針ノ木岳(はりのきだけ)に登ってきました。

標高は2,831m、日本二百名山、新花の百名山です。この山の見どころはなんと言っても日本三大雪渓の針ノ木大雪渓です。

今回はこの山の魅力を余すことなく紹介したいと思いますっ。

ちょうど慎太郎祭という開山式と重なったお陰で、道標が分かり易く整備されてて雪渓まで迷うことなく行けたし、ちゃっかりお祭り気分も味わいながら楽しく登ることができました。

それと今年は雪が豊富なため安心して雪渓を歩けたのも大きかった。去年、針ノ木岳登山を企画しましたが雪不足から雪渓の崩落が進み、鹿島槍ヶ岳に切り替えた経緯があります。そんなわけで今回は満を持しての登山。いや、ほんと待っただけありました。もうニンマ~です。

針ノ木岳は後立山の最南端、北アルプスの中心に位置するため山頂に立った時の大パノラマはすごいです。

これまで登ってきた中で最も壮観と言っても大げさではない、筆舌しがたい光景が広がってました。

立山と剱岳にはしつこくガスがかかったままでしたが、それでも360度のどえらい景色に感極まってしまった。うるうる。

 

これまで北アルプスに対してこだわりなんてなかったけど(むしろ登りがしんどくて辛い思い出ばかり・・)、でも今回の旅で大好きになりました(笑)。

 

 

 

午前中、針ノ木岳の山頂をガスが包み眺望は完全に遮られました。たまに晴れ間は見えるけど早い時間に針ノ木岳に登った方から山頂の様子を聞くと、「全然視界はきかなかったし辛かった・・」とのこと。。

この情報を聞いて、当初余裕があれば蓮華岳にも登っちゃおうと思ってたけど針ノ木岳一本勝負に切り替え、歩くペースを遅らせたり針ノ木小屋で昼食を長めにとったりして時間調整しました。

 

午後から天気が好転することを祈って山頂を目指す。

ツキにも恵まれました。

北アルプスのへそから眺める大展望、会心の登山。

 

いざっ

 

 

アクセス方法

・扇沢駅前の駐車場の案内は、こちら

■ルート

 

■全行程スケジュール 

2017年6月4日

6:45 針ノ木岳登山口 ⇒ 7:35 大沢小屋 ⇒ 10:15~11:00 針ノ木小屋(昼食) ⇒  12:15 山頂 ⇒ 13:05 下山開始 ⇒ 13:50 針ノ木小屋 ⇒ 15:15 針ノ木岳登山口

ほぼコースタイム通りです。

 

 

登山開始

 

扇沢の無料駐車場です。

ここは有料駐車場と無料駐車場が隣接してます。有料駐車場は舗装されてて12時間1000円。無料駐車場は未舗装で第1駐車場が100台収容、第2駐車場が50台収容となってます。

第1駐車場から駅までは歩いて5分ぐらいとちょっと離れてるからオシッコ漏らさないでね。

 

今年もここにやって来ました!嬉しいです。

黒部ダム、立山への玄関として名高い扇沢。鹿島槍ヶ岳や針ノ木岳の登山口があるのもここでまさに北アルプス北部の表玄関といったところ。

ちなみに扇沢というだけあって扇状地なんでしょうね。扇沢駅の形も横広がりで扇状地を大いに生かした造りになってます。

 

今日は第60回慎太郎祭。関係者の方々は朝早くから準備で忙しそうです。

慎太郎祭の参加費用は2,000円。今年は150人~200人ほどが参加されるそうです。自分たちは参加しませんが、慎太郎祭と重なったことで人も多いし案内標識やルート上のリボンも充実しててラッキーでした。

 

こんな感じで関係者の方が道迷いしないように至る所に案内を用意してくれてました。

あざーーっす!

 

慎太郎祭の受付会場です。ここはスルーします。

参加者はここで登録を済ませ、お神酒用の升や記念バッチを受け取ってました。

そもそも慎太郎祭とは?ですが夏山開山式のことです。

石原慎太郎のことじゃありません。百瀬慎太郎という針ノ木小屋を建てて大町登山案内人組合を結成した登山界のスーパースターらしいです。

 

 

やっぱスーパースターって初めて何かやった人なんだな。例外と言えば長嶋茂雄ぐらいでしょうか。そんなどうでもいいことを考えながら歩いてると少しずつ本格的な雪渓になってきた。

雪解け水もすごい水量です。こんなのが雪渓の下を流れてるなんて・・。もし歩いてる時に崩落したら命はありませんね。。

 

新品のリボンが目につきやすい所にたくさん結ばれてました。ピンクリボンって色褪せる前はこんな濃い赤だったんですね。

 

完全に食べ頃を過ぎたふきのとう。

ふきのとうは苦いと聞いたけど一度食べてみたいです。来年チャンスがあったら採集してみます。

 

針ノ木岳の姿を確認できるところまでやって来ましたが・・。うぅ。。

扇沢駅前は快晴だったのに信じられないガス模様です。これはやっちまったな。

 

小沢小屋が見えてきました。登りはじめてからここまで約1時間ですが、慎太郎祭の受付会場や多くの人に舞い上がってしまい短く感じました。

 

百瀬慎太郎さんのレリーフがありました。冬の立山を初横断したと書いてます。

やっぱ偉人は初モノなんだなと再確認。常に誰かの踏み跡を探してる自分にはできそうにありません。

 

小沢小屋から針ノ木峠まではなんとたったの4キロ。驚きです。

扇沢から小屋までが3キロだから片道7キロ。山頂と扇沢の往復が11キロだから・・・あれ?計算合わねぇぞ。

 

ま、まあとにかく残り4キロで標高差1400mも登るんだから終盤はかなりの急坂になることを覚悟しておきましょう。

 

さあここから大雪渓の始まりです。

今年は雪が豊富だったからここより下にも雪渓がずっと続いてましたが、慎太郎祭の案内準備をしてくれた方々の道標がなるべく安全なルートを指しててここから雪渓スタートとなりました。

 

大雪渓に降り立つ。

涼しい風が吹き抜けていきます。うーん、ちょっと寒いぐらい。アイゼンは最初の内は着けません。標高差があるので脚力の消耗はなるべく避けたいと考えました。しばらくは身軽に登ります。

 

慎太郎祭の準備です。

皆さんここで神様にお祈りしてからお神酒を楽しむわけね(>_<)

 

山を想えば人恋し、人を想えば山恋し。

百瀬慎太郎さんは歌人でもあったそうです。山を想えば人恋しって一人で登ることが多かったんでしょうね。

あたしゃ大菩薩嶺に15名ほどで登ってきたばかりで人のことでお腹一杯です。

 

まだ元気です。

長い長い雪渓が続くからここは焦らずゆっくり登ります。

真っ白な世界が続くから距離感がつかみにくい。ゴールが近いと勘違いして急いで何度も痛い目に遭ってきました。

同じ鉄は踏まない!

 

左手に青空を垣間見る。天気予報じゃ朝は晴れ。昼に曇って午後からまた晴れる。

その筈なんだけど朝からめちゃくちゃ曇ってます。晴れを祈りましょう。

 

右手には滝が露出してました。

こんな支流がたくさん集まって今自分達が歩く下を激流が流れてますが、全く音は聞こえてきません。不気味ですね。

 

ごみ袋を尻に敷いてシリセードで下る登山客を発見。

一人でも決して恥ずかしがることなく滑り降りていくあのお方は上級者に違いない。

 

やべぇ、疲れてきた。

前日に立ち寄ったお店で流れてたピチカートファイブの「とーきょーは夜のしちーじー」が頭から離れず、軽快すぎてペースが狂いました。

 

ひょう?雪じゃないよね?

なんとここであられが降ってきた。

突然降り始めたあられに信じられない想いで顔を上げると、更に強く降ってきて顔が痛い。

もう6月ですぜ。。

春の気配を一切感じさせないこの天気。北アルプスはやっぱ別世界ですね。

 

あられがどんどん強くなってきました。

さすがに寒くなってきたのでレインウエアを着込みBuffも装着。もちろん手袋も。

だんだん修行みたくなってきた。

 

天気も悪いし標高差あって結構キツイ!

いつもの地団駄です。発作みたいなもんです。

 

慎太郎祭のために仕込んできたうちわ。その後ろに針ノ木峠が見えてきました。ここからが長い。意識してゆっくり進むようにしましょう。

で、ここら辺からだいぶ傾斜が増すからアイゼン装着します。

 

足が重くなるけどズルズル滑って体力消耗するよりマシ。

アイゼンは誰もが持ってくるだろうから心配いらないけど、山頂を目指す方はピッケルも持ってきた方が絶対良いです!

自分はストックしか持ってきませんでした。峠から山頂まではところどころ急坂があって、自分は30mぐらい滑落しました。詳しくは後程。

 

左側には目が覚める青空が見えるっ!

天気は好転する兆しか?やっぱ青空見ると元気出るわ。

横からの写真だと傾斜がきついのが分かってもらえるかな?針ノ木峠が近づいてくると急坂になってきます。

 

一瞬だけ右手のガスが晴れました。ちょっと見えたあの峰はスバリ岳かな?

針ノ木岳はもっと左奥にある筈だからまだガッスガスです。

 

やっと峠が手の届く距離まで近づいてきました。途中で長く休んだのが良かった。体力的にはまだ余裕あります。ペースも遅めだったしね。

 

針ノ木小屋の裏に回るとテントが2張ありました。夜でもないのに少し止まっただけでダウンが必要なぐらい寒いってのによくテントしますわ。

ここのベンチで昼食にします。少しでも天気が好転するのを期待して時間を稼ぎます。

 

今回は自分でおにぎりを握ってきました。不細工だけど普段から料理は全然しないからこれでも上出来な方です。塩がないから鮭フレークをちょっと多目にまぶしてます。

自分好みの大きさで作れるからこれいいかも。

 

あっはっはっはー。寒い寒い。

 

このガッスガスの景色を眺めながらご飯を食べ終わってしまった。やることを無くすとこれ以上時間を潰すのがしんどくなってきます。

じっとしてても体は冷えるしそろそろ山頂目指すかね!行くよっ!

 

ふん!

雪庇の心配はありません。でも小屋からずっと雪が積もった稜線を登っていくから油断しちゃいかんぜよ。

 

大雪渓とは明らかに雪の色が違います。ぐずぐずでアイゼンが効きにくい雪質は同じだけどあまり踏まれてない白く綺麗な雪です。

標高が高いからまだ夜のうちは雪が降るのかもしれませんね。

 

眼下にはすごい急斜面を時々膝をつきながらバックカントリースキーヤーが一人で登っていきます。

踏み抜きも多いだろうし、雪崩だっていつ起きてもおかしくないところをよく登るよ。。

 

大雪渓方面に目を移すと慎太郎祭の参加者達がぞろぞろと登ってきます。

あの人達と下山中に稜線で行き交うなんて無理だよ。と、心配しましたが慎太郎祭に参加した方々の多くは針ノ木峠までのピストンだったのでその心配は無用でした。

 

ガスが晴れてきた!

針ノ木岳の姿をここでやっと拝むことができて拍手喝采!テンションアゲアゲです!

 

急坂を慎重に登る。

ここで滑ったらさっきのスキーヤーのところまでまっ逆さまです。

 

写真で見る以上に急坂だからピッケルは持ってくることを強くお薦めします。

自分はちょうど1年前に鹿島槍ヶ岳に登った時に雪がちょこっとしか残ってなかった記憶があって油断して持ってきませんでした。大失態です。

 

ガスったり晴れたりを繰り返してたけど確実に晴れの時間の方が長くなってきた。もう晴れることは確信に変わって最高の気分。

折角稼いだ標高だけど少し下って、針ノ木岳の頂上に向かって登り返していくのだって苦じゃないぜっ

 

登りきったと思いきやピークはもう少し先にありました。でもここまで来ればゴールしたも同然。最高のタイミングで太陽も頑張ってくれました。

 

最後の稜線歩きは残雪期の難しい雪質に苦しめられたけど最高の時間でした。いよいよです!

 

とーちゃく!

針ノ木小屋から割と簡単に着くと思ってた自分が甘かったけど、標高差1,400mを無事に登れて良かった。感無量です。

山頂標識に祭のうちわを差して夏山開きを始めます。

 

まずはヘソを出しながら恒例の悦びの舞で山開きを祝う。

アイゼン装着したままなので足を下ろす時はそーっとやらないと刃が欠けそうでおっかなびっくりです。

 

立山側にまわってみると、ここが日本とは思えないどえらい景色が広がってました。

黒部湖から3,000mまで一気に駆け上がる立山連峰はまさに壁。北アルプスの偉大さを感じずにはいられない。

 

今回の景色は本当にやばかったな。見渡す限りの山、山、山。

高瀬ダムと北アルプス南部の山々。

北アルプスの中心に位置するだけあって山頂からの眺めは度肝抜きまくりです。

 

 

ま~つりだーまつりだ~まつりーだぁ~🎵

ねじりハチマキで北島三郎の「祭」を熱唱する新しい登山スタイル。

周りの視線が軽く痛いです。

 

ずっと見てても飽きることのない絶景。長居ができるのも風が弱いお陰。ほんと、天気に恵まれました。かんぱーい!

 

人の少ない山頂で景色を十分堪能できました。のんびりできたのもハイシーズンに入る前だからこそ。この時期にこの山を選んで本当に良かった。

昼食もとらなかったのに50分も山頂で遊んでましたが、それでも後ろ髪を引かれる想いで下山します。

 

山頂直下のこの急坂を下りようと一歩踏み出した途端に滑落しました。と言うと少し大袈裟かな。

最初から足を滑らせても岩がある方向に落ちないルートを選んでたから、すごいスピードだったけどこのままなら大丈夫だなって考える余裕もありました。同行者にもびっくりさせちゃって、どうもごめんなさい。

背中もブーツの中も雪まみれになってしまった。ちべて。

 

その後も急坂の下りの連続。もう大丈夫。慎重に通過。

他のグループでちょっと心配な女性がいたので途中で立ち止まって様子を見ました。無事に下りることができて周りの人達も一安心。自分の同行者は並行して下りてあげてました。さっさと下りて見上げてた自分とはえらい違い。見習いますっ!

 

慎太郎祭の参加者達が針ノ木小屋までのピストンで下山を始めました。

複数のガイドに守られながらゆっくりゆっくり下っていくから簡単に追いついてしまうだろうな。

 

大雪渓の下りで針ノ木峠を振り返ると、登りの時にはガスに包まれて見ることのできなかった澄み渡る青空と真っ白な大雪渓が視界全体に飛び込んできました。豊富な雪とこの広い広い雪景色。

去年は雪不足。自然が作る物ですから毎年同じ光景に出会えるとは限りません。1年前の企画倒れがあるから余計に嬉しい。

 

大雪渓を下りながら真向かいにそびえる爺ヶ岳が凛々しかった。

残雪期特有のびちゃびちゃな雪質のため尻セードはせずに重力のままにえっさほいさっと下山しました。

気付いたら、あれ?先頭じゃね?って感じ。

 

祭りの後。

関係者の皆様、大成功ですね〜、ご苦労様です。

 

激流が顔をのぞかせ雪渓の終わりを告げてました。

 

雪渓から土の上を踏んだ時の足の裏に感じる硬さに違和感を感じる。

ふと下に目をやるとふきのとうの花を見つけました。ふきのとうがこんな風になるなんて知りませんでした。こういう発見が1つ1つ面白い。

 

慎太郎祭の受付まで戻ってきました。

すごくペースの早いおじいさんがいて、前を歩く登山客を煽ってどんどん抜いていく様子から気が立ってんのかと思ってましたが、ここで仲間と合流して楽しそうに談笑されてました。早く酒が飲みたかっただけの様です。。

 

今年初のチングルマ。

もうここら辺はさっきまでの雪渓の上を吹く冷風が嘘みたいに暑い!初夏の日差しがちりちりと背中と首を焼きます。

 

ああ、なんか今日の登山は充実してたなぁ~。楽しかったよ!

途中、林道歩きをはさみながら登山口まで戻ってきました。

 

扇沢駅前は朝の閑散とした様子から、多くのバスが停まる観光地に変わってました。

観光客はまだそれほど多くはないようですが、家族連れで黒部ダムに遊びにきてる方々も見かけました。夏本番まで秒読みってとこですね。

観光客向けの豚まんに激しく引き寄せられたけどここは我慢だ!

 

信濃大町駅前のお土産屋さんにやってきました。

目当ては、

 

おやきです!

この品揃え、たまりませんな。

食べることへの興味をなくしたら登山の楽しみも半減ですよ。ダイエットなんてムダムダムダム。ダムカレードックと辛子しめじ野菜おやき下さい!

長野っていいね!

 

振り返って

 

針ノ木峠まで延々と続く大雪渓をやっと登りきると、峠から山頂までは気を抜けない急斜面の連続。

ふと振り返ると後方のガスは晴れてきて、大きな蓮華岳が綺麗に見えました。

針ノ木峠から山頂までは約1時間。一息つけるところでしばらく山頂方面を眺めてると、たまにガスが晴れ針ノ木岳がうっすら姿を覗かせる。もう少しで晴れるっ!とワクワクしながら腐った雪にアイゼンを突き刺しながら登りました。

山頂に着いて立山方面の景色を見に行くと、見所の多い針ノ木岳の中でも特に印象深く心に残った景色が広がってました。

広大な北アルプスの山々。

これまで見てきたぽつんぽつんとピークごとにあれが白馬、あっちが槍ヶ岳といった感じではなく、視界を埋め尽くす圧倒的な白く巨大な壁。眺めてるだけで剥き出しの地球が迫ってくる異様な光景でした。

 

 

同行者がこれまで登ってきた白馬とかと全然違う、怖くなってくると言ったのも頷ける。それぐらいの絶景でしたが、写真だと臨場感が伝わらずなんとも惜しい。

これは是非見にきて欲しい。そしてこの時期をお薦めします。慎太郎祭の日程と合わせれば人も多くて安心ですからね!

ほんと、今回は針ノ木岳を選んで大正解でした。これから雪解けの速度は更に加速し、もうじき花のアルプスシーズンが到来します。

季節は目まぐるしく巡るけど、一年の大半が雪に覆われている北アルプスに自分の様な一般登山客が訪れることができるのはほんのわずかな期間だけ。

どの山も標高差があってちょっと苦手だったアルプスもこんなどえりゃあ景色見せられたらまた来るしかないでしょう。

次は何食べようかなぁ~。

ワンコイングルメとアルプスの旅。楽しみばかり。

ではでは