九重の坊ガツルテント2日目、本日は大船山(たいせんざん)に登ってきました。
(1日目の雨ヶ池越ルートの記事は、こちらからご覧ください)
大船山はミヤマキリシマの代表的な群生地として知られ、山自体が国の天然記念物に指定されてます。
秋には九重一と称される紅葉が見られ、花の百名山、日本三百名山、九州百名山に選定される九重の名峰です。
坊ガツルから長者原への帰りの諏蛾守越ルート(すがもりごえ)では、硫黄山から立ちのぼる噴煙を間近に眺めながら、九重がまだ生きた火山であることに驚かされつつ、荒涼とした大地を歩きます。
ここは川端康成も歩いたことで有名なルートです。
死ぬまでに見ておきたい絶景と言ったら少し大げさですが、多くの人に訪れて見て欲しいと思わせる場所です。
夏休み、どこに行くか悩んでる人にぜひ参考にしてもらいたい、そんな山行となりました。
②春はミヤマキリシマ、秋は紅葉の名山
③雨ヶ池〜諏蛾守越は変化に富んだ素晴らしいルート
さあ、子供との九重坊ガツルテント2日目の幕開けです!
いざっ
アクセス方法
・長者原へのアクセスは、こちら
■ルート・全行程スケジュール 2016年7月18日
登山開始
おはよーございます。
この前日、子供に朝一で大船山に登ろうよと誘いましたが「僕はテントで寝て待とうと思うんだぁ」と断られてしまいました。
一応、起こそうと何度も激しく揺さぶりましたが全然起きてくれなかったので、仕方なく1人で大船山に登ってきます。
自分も少し寝坊してしまい、既に5:50です。
急いで大船山登山口に向かいます。
遅れたとは言え、まだ日は低くトレイルは薄暗いです。
登ってる途中、何度か顔をのぞかす大船山。写真右側のピークがそうです。
5合目の見晴台では九重の峰々の眺望を楽しむことができます。
天気に恵まれました。これだけ晴れてれば山頂からの眺望も期待できそうです。
標高は1,786mしかないので、基本ずっと樹林帯なのがちょっとしんどいです。
ところどころリボンが消えててどこを進めば良いかイマイチ分からないところもありましたが、概ね整備が行き届いたルートです。
見事に晴れ渡る空。この日、九州で梅雨明け宣言が出されました。
長かった梅雨が終わり、これからはいよいよ九州の暑く長い夏と台風シーズンに突入です。
途端に当ブログのアクセス数が落ちるのもこの季節。山なんて登ってらんなくなりますやんね。
少し樹木の密度が低くなってきたと感じたら稜線までもう少しです。この瞬間がたまらんとです。
よし、出ました!
段原(だんばる)とよばれるポイントです。
大船の山頂も射程圏内に捉えました。船が転覆した様な形をしてるからその名がついたという説もあるらしく、言われてみればそんな形をしてます。言われるまで分からんとです。
こっちは北大船山と米窪方面。
まあしかしくどいけどほんと良い天気。ニンマリです。
山頂直下はちょっとした岩場になってますが、危険箇所は特にありません。
大船山もれっきとした火山です。トロイデ火山が多い九重の中では唯一のコニーデ火山なのがこの山の特徴です。コニーデ火山の代表格は富士山と鳥海山。ちなみにトロイデだと由布岳や雲仙普賢岳もそうです。
分かってる風に書いちゃいますけど、さっぱりです。
登りはじめてから約1時間、6:45に登頂。あっという間でした。少し急いだのでタイムは参考にしないでくださいね。
すっかり日も高くなりました。
ネコ耳が特徴の由布岳もはっきり見えます。
由布岳は2つあるピークの内1つしか登ってないから早くもう一度登りたいと思ってる山です。何より下山後の温泉がたまらんく良かった。
こっちは阿蘇方面。霞んでるけど根子岳まで見えます。
で、ドーンと九重連山。
左から稲星、牛の角みたいな形をした中岳(九州本土最高峰)と天狗ヶ城、白い山容の硫黄山、三俣山の「くじゅう17(いちなな)サミッツ」。
久住山は隠れて見えませんでした。
こっちは北大船と米窪。なんとも不思議な形をしてます。
ミヤマキリシマの開花時期はあそこがピンクに染まるらしいです。
下山は苦手なので登りと同じ時間をかけて、1時間で登山口に着きました。
坊ガツルからの三俣山の景色も見納めです。
朝ごはんの準備をしつつテントの撤収と、父親は忙しいのだ。着々と下山の準備を進めます。
昨夜盛り上がってた団体さんと同じタイミングで出発です。
大人数でワイワイガヤガヤやるキャンプって楽しいだろうなぁ~。
時間が経つにつれてますます天気は良くなる。雲ひとつない快晴です。
暑くなりそうだからまずは法華院山荘に立ち寄ってしっかり水分補給しておこう。
橋の上は清流で冷やされた空気と降り注ぐミストで涼しい。
この世のオアシスみたいです。
登山道に関する掲示板があったので、諏蛾守越ルートに危険箇所がないかチェックしておく。
なんども坊ガツルに来てるというご夫婦にも話を伺いルートの特徴を確認。
CCレモンと水を補給して出発です。
諏蛾守越ルートは法華院山荘の中を抜けていきます。
ひゃーこの先はずっと日向。これは暑そうだぞ。
雨ヶ池ルートは一番標高が高いところが1,340m。諏蛾守越ルートは1,505mなので、標高差は約500m。
普通の登山ぐらいに登るので覚悟していきましょう。
ざばざば水が流れてました。
あとは帰るだけだから靴が濡れるのなんて気にしなくていいよ、と子供に伝えます。
「まさかあの山登るんじゃないよね」、と子供が戦々恐々と聞いてくる。
「いやいや、山と山の間をぬって越えていくからあの高い山には登らんよ」
とは言え急峻な登りが続きます。
ガスっても見つけやすい様に大きく書かれた「スガモリ」の案内。
以前、ここで吹雪にあい9名が集団で遭難。その内7名が亡くなってます。
2名は自力でスガモリ小屋にたどり着いて助かったそうですが、それ以来ペイントの案内はできる限り目立つ様にしてると聞いたことがあります。
黄色のペイントを辿っていきます。ガレ場が続くので落石注意です。
振り返ると坊ガツルはもうあんな遠く。
暑い。。何度か休憩しながら登ります。
ミツバチが飛び回ってますが、虫が大好きな次男は一向にたじろがず、ミツバチの場合アレルギーがある人でも2回までなら刺されても死なないよと教えられました。
自分は子供の頃に一度刺されてるのであと1回でアウトやん。
ガレ場を越えると目の前に広がる北千里浜。ここから圧巻の景色が始まります。
目の前の白い山体の硫黄山から立ち上る噴煙。その火山性ガスによって草木は枯れ荒涼とした大地を作り出してます。
入山規制にしてないので、きっと火山活動の予兆はないのでしょうね。
地球本来の姿を浮き彫りにした壮大な景色がしばらく続き、硫黄の臭いが鼻をつく。
こんなところを歩けるなんて、感無量。これまでこんな風景に出会ったことありません。地球の鼓動を近い距離で感じます。
北千里浜を過ぎると諏蛾守小屋まで最後の登りです。
「ここを登りきったらあとはずっと下りですよ!」と、法華院山荘でルート状況を聞いたご夫婦が教えてくれました。このご夫婦、雨ヶ池越ルートで帰ると言ってたけど、自分たちを心配して諏蛾守越ルートに変更してくれたのだろうか?
なんにしてもこの先も親切にルートの間違えやすいところを教えていただき大変助かりました。
そのご夫婦が先に待つ諏蛾守避難小屋に到着。集団遭難死亡事故があって作られた愛の鐘。
ガスがかかりやすいエリアのため、この音で歩く方向が分かって助かったという人が多いらしいです。
登頂の記念に2〜3発元気に鳴らしておきました。
さあ、あとは下るだけですが、浮石が多いガレ場を下るのでまだまだ油断できません。
ここで2回ほど滑り台をして楽しんでましたな。
ここの一部だけ舗装路があって、はるか眼下に長者原が見えます。
まだ2~3キロあるかな。
ここを右に折れると長者原への近道です。
「見落としがちなので注意して案内標識を見ててくださいね」、と先ほどのご夫婦からアドバイスを聞いてたので、すぐ気付けました。
ありがとうございました。
分岐から30分ほど歩き、ここからアスファルトの舗装路にでます。
おぉ~滝だ。あの水がこっちに向かって流れてるはず!
暑い!水よ来い!
やっぱり!ちょっと水遊びしていこう。
と言う前から我が子は靴のままじゃぶじゃぶと川の中へ。おいおい。。
自分も靴下を脱いで足をひたす。
う~ん気持ちいい。雪解け水じゃないからきんきんに冷えてるわけじゃないし、ちょうど良い水温。
うおおおおーー!!
冷たくて気持ちいいーーー!!
何やらガサガサしてると思ったらズボン脱いでたのか。
まさか?
ぬおおおおおーーーーー!!
おっ、おまえもか!!
ぬおおおおおおおおおーーーーーーー!!!
おおーっ、すげーいい顔してる!
いやぁ〜満足。涼めました。
もういいだろぉー、そろそろ帰るよ〜
子供の前をオニヤンマが飛んでいきました。
星生キャンプ場を過ぎ、車の通る音が聞こえ、旅の終わりと夏の始まりが近づいてます。
梅雨が明け、これから夏の最盛期を迎える九重の緑がきらきらと美しい。
長者原から子供と雄大な九重連山を眺めながら、かけがえの無い時間を過ごせました。
振り返って
九重には1700m以上の峰が9座あり、これらを「くじゅう17(いちなな)サミッツ」と言い、踏破した人のことを「17サミッター」と呼びます。
西日本新聞社が発刊しているアウトドア雑誌「のぼろ」で紹介されて以来、17サミッターを目指す人が急増し、中には1日で達成してしまう強者もいるみたいです。
自分は今回の大船山で6座制覇です。まあ、あまり意識しないでコツコツと楽しんでやろうと考えてます。
大船山にはこの山を愛した岡藩藩主、中山久清の墓があります。
百名山の久住山が全国的に有名ですが、昔は大船山が主役だったのかもしれません。
牧ノ戸峠から久住山を目指すのが一般的なルートとなってますが、諏蛾守越ルートの北千里浜の風景は日本とは思えない圧倒的な迫力がありました。
久住山だけを目指す登山はもったいないです。
サッカーユーロ2016の開催期間中は眠れない日々が続きました。
ポルトガルのエース、ロナウドが決勝ゴールの数分前、エデルの耳に口を近づけ囁きます。エデルがその時の言葉を明かしてます。
「ロナウドが、お前が点を決める、と言ってくれたんだ。その言葉は僕に自信をくれた。」
やる気にさせる一言が成長につながります。叱っても自信は育ちません・・・
そんなこと分かっちゃいますが、どうすれば子供がやる気になるか、親と子の様に距離が近すぎるとそう誉めてばかりいられないので難しいものです。
毎日の宿題をやる気にさせる魔法の言葉、ご存知の方がいたら教えて下さい。
お願い致します。
ではでは