子供(次男)と2人で九重の坊ガツルにテント泊にやってきました。夏休み先取り企画です。
初日は長者原(ちょうじゃばる)から雨ヶ池越ルート(あまがいけごし)で坊ガツルへ、2日目は大船山(たいせんざん)を登って諏蛾守越ルート(すがもりごし)で長者原に下山する予定です。
坊ガツルはなんとテン場代無料! しかも秘湯で名高い法華院温泉があったり、炊事場が完備されてたりと、使い勝手の良いテン場です。テン場のトイレはボットンですが、どうしても無理という方は法華院山荘の水洗の洋式トイレが借りられます。
九重連山の中では久住山と並ぶ主峰大船山の登山口がすぐ近くにあり、テン場からの眺めも最高。
至れり尽くせりのオートキャンプ場ではなく、そろそろ子供に山岳テントデビューさせてみたいなと考えてる方には絶好のロケーションだと思います。
坊ガツルを含む長者原一帯の湿原は、くじゅう坊ガツル・タデ原湿原と言い日本最大級の中間湿原として有名で、ラムサール条約で厳しく自然保護されてます。
そんな自然豊かな九重のど真ん中に、テントを張って一日のんびり、贅沢な時間を満喫してきました。
まずは初日の坊ガツルまでの雨ヶ池越ルートをレポします。
では
アクセス方法
・長者原へのアクセスは、こちら
■ルート
■全行程スケジュール 2016年7月17日
12:40 長者原ビジターセンターで昼食 ⇒ 13:25 長者原登山口 ⇒15:40 雨ヶ池 ⇒ 16:50 坊ガツル
連日の記録的な大雨で九重への幹線道路は土砂崩れのため通行止め。
アウトぉ!と思いましたが、そこはさすが観光名所だけあって九重へのルートは複数用意されており、役場の方からぐるっと回って長者原へ向かいました。
この翌日に九州で梅雨明け宣言が出されるというラッキーなタイミングもあって、この日は快心の晴天。
車を走らせてて最高に気持ちよかったです。
12:30に長者原ビジターセンターに到着したら軽く昼食。うどんと大分名物の鳥天のセットにしましたが、子供が食欲ないと言ってあまり食べなかったのが少し心配。。
トイレも済ませたら坊ガツルへ出発です。子供の様子を見ながらのんびり歩きます。
NHK「みんなのうた」で一躍有名となった、あの「坊がつる賛歌」の碑。
「芹洋子」さんが歌ってます。
ネットで調べると”あの有名な” 的な触れ込みばかりヒットしますが、自分はぜんぜん知りませんですた。
行きは雨ヶ池越ルートで坊ガツルを目指します。
明日は諏蛾守越ルートで長者原に戻ってきます。
坊ガツルまでの標高差は約300m、距離は約5.2キロです。子供の足でも4時間ぐらい見とけば大丈夫でしょう。
苔むした石段を太陽に向かって上がると、
広大な湿原が目の前に広がります。国内最大級のくじゅう坊ガツル・タデ原湿原の始まりです。
前方を歩く4〜5名の団体さんはここの自然保護を目的にパトロールされてる方々でした。
その方々に「ほら、あれが食虫植物だよ」「え、どこどこ?」と教えてもらいました。
昔、子供にねだられて姪浜の平田ナーセリーで買って育てたことがあったなぁ。まさか自生してる本物を見られるなんて感激です!
ノハナショウブです。大きくて色鮮やかな花でした。
最近は自生地が極端に減ってきてるみたいで残念ですね。
ここから坊ガツルまでは長い長い樹林帯に突入します。
朝降った雨のせいでぬかるんだ箇所が随所にあって油断できません。
樹林帯に入ると夏の日差しが少し和らぐ。
木漏れ日の中をのんびり歩きます。
ことごとく天気予報に裏切られ、会社帰りにずぶ濡れになって帰る事がしばしばありました。
今日の様な本番で晴れてくれたら、これまでのツキの無さは帳消しですな~。
ここで一休み。子供のテン泊装備も自分のザックに入ってるから今日も重いっす。
食欲なかったけど元気そうです。とりあえず一安心。
白いキノコには気をつけろと言いますから、これもきっと毒なんだろうなぁ。
更にここでも一休み。
次男から要求がありました、「今日さ、たくさん歩いたご褒美はさ、Wiiのソフトで良いよ」。
「・・・・は?」
「だからさ、ご褒美は大乱闘スマッシュブラザーズで良いよ」
「買わんわ!そんな高価なもの!!ミニカーでええやん!ミニカーなら買ってあげる。そんなこと言うなら帰るよ!!」
「じゃあ帰ってもいいよ」
「んぐ・・・。ぐっ」
ここから交渉開始のゴングが鳴り、坊ガツルに着くまでの間、熾烈な駆け引きが続きました。
休んでたところは土石流の通り道だった様です。
次男坊がおねだりというデッドボール気味の直球を次々に投げ込んでくるから避けきれなくなってきました。
もう疲れてきました。
割と大きな岩を越えると、
突然広がる景色に息を飲む。雨ヶ池です。
雨が降った時にだけ出現するのがこの雨ヶ池。要は水たまりですが、この日は朝に雨が降ったのと、それまで九州で降り続けた大雨が池を残してくれてました。
これはこれで貴重なものなので見れてラッキーです。
名残惜しかったですが、再び樹林帯へ。
子供が、あっ!と叫んで指差しながら自分を手招きするので行ってみると、
少し開けたところから眼下に広がる坊ガツルが見えました。
坊ガツルへ向け、最後は下ります。
ガラムマサラ、麻木久仁子、いやいや、アサギマダラがたくさん飛んでました。
日本から台湾、南西諸島に長距離移動する蝶で、夏の時期は日本の高山でよく見られるそうです。
これまでの長い樹林帯から解き放たれ、ここら辺はとても開放的な気分で歩けたな。
気持ちいいからのんびり歩こうよ。
そう子供に声をかけて、ここからは何度も足を止めながら進む。
たまに山で見かける黒いトノサマバッタ。イナゴかと思ったら違いました。なんで黒いのかは謎ですが成長過程で黒くなるみたいです。
重機が置いてあったし、明らかに車が通れる道でした。法華院の荷揚げは車でやってるんだろうなぁ、でもこの道はどこに通じるのだろうか?
ちなみにもちろんですが、一般者の車での立ち入りは禁止されてます。自然保全ですから。
清流が流れてました。子供と2人、暑さで悲鳴をあげてたので、飛び込んだら気持ちいいだろうなぁという誘惑を断ち切るのに難儀しましたな。
16:50、長者原からコースタイム約2時間のところ、3時間半かけてやっと到着。予定通りです。
やっぱり子供の足だとコースタイムの約2倍はみといた方が良いですね。
貫禄の三俣山がすぐ目の前という絶好のロケーション。
水たまりで濡れた子供の靴下をどこに干そうか悩みつつ振り回すダメ親父。
今晩の我が家が完成です。
夏休み前ではありましたが、久しぶりの晴れ予報でしかも3連休ということもあり、この後も続々と人が増え思いの外賑わってました。
坊ガツルの楽しみと言えば、そうだす、法華院温泉だす!
法華院温泉山荘までは歩いて約10分ほど。ちなみにこっちにもテン場はありますが有料で300円。
たった300円で板張りの上にテントを張れて、温泉は目の前。法華院山荘の談話室や水洗トイレだってすぐ近くなんだから超お得だと思います。
法華院温泉山荘にはなんと自販機がたくさんあります。
談話室にはジュース、温泉の前にはご覧の通りビールの自販機。
ちなみにコーラは500mlで200円。山の値段設定とは思えない親切価格。車で荷揚げしてるだけあって安いです。
男湯は10人も入るといっぱいになってしまう狭さのため、しばらく待ちました。
この狭さや温泉の香り、源泉感の強い大量に浮かぶ湯の花は秘湯に来たことの喜びに変わります。
自分たちが浸かってる時は待ってる人がいなかったので、少しぬるめの湯を長く楽しめました。
もちろん自然の中の温泉ですからシャンプーや石けんは使用禁止、それどころか洗い場もありません。
ああー良い湯だったなぁー、と外に出てみるとすっかり夕方。
子供が自分の体の匂いを嗅ぎながら、早くお風呂に入って温泉の臭いを消したいと呟いてたな^^;
20:00。九州は日が暮れるのが遅いからまだ星は見えません。
夜を楽しみにしてたハイカー達の楽しそうに盛り上がる声が聞こえ、幸福感が坊ガツルを包み、夜が更けていきました。
2日目の大船山登山に続く ⇒ こちら
振り返って
子供とのんびり坊ガツルで山で過ごす1日を楽しめました。
全体的に坊ガツルに来ていたハイカー、キャンパー達は共通して、まったりと山を楽しもうとする人が多い様に感じます。関東の山と違ってトレランする人を一人も見かけませんでしたし。
何回も坊ガツルに来てると言う老夫婦、仲間たちと飲み会だけを楽しみに来てる人たち、一人の時間を楽しもうとするソロハイカー。それぞれが丁度よい距離感を保ちながら、精神の逃げ場を求めようとする思いが満たしてました。
坊ガツルは大船山、三俣山への玄関です。
大船山は日本三百名山ですが、もし百名山に選定されてたら最短距離でピークを踏もうとする輩で溢れ、岳麓寺がメインルートとなって坊ガツルでのんびり過ごす人は減ってたかもしれません。
三百名山だからこそ、玄人志向の人たちが集まって来るのだと思います。
まあ、先ほどからゆっくり楽しむとか散々言ってますけどね、
子供からのゲームソフトのおねだりに対しては、目ぇひん剥いて、子供が言葉を失うほどの「NO!!!!」を言い渡してやりましたよ。
どんなもんだ。
でも、きっとしつこいから明日また言ってくるんだろうなぁ。。
夏休みの思い出作りには金がかかるものなのか・・。くそっ、テン場無料だったのに!
ではでは