乗鞍岳にやってきました。最高峰の剣ヶ峰の標高は3,026mです。
なーんと、これが自分にとって北アルプス一座目。それと今年初の3,000m峰という記念すべき登山となりました。
まだ残雪が多く残ってる4月下旬、位ヶ原まで春山バスが開通したタイミングという事もあって、バックカントリーのスキーヤーやボーダーですごく賑わってました。
今回、自分たちはマイカーで行ける最高地点の三本滝レストハウスから登山を開始。
標高差は約1,200m。上りの累計標高は1,600m。その上、踏み抜き地獄で体力を奪われるため、しっかりした登山となります。最後は本当にしんどかったな。。
天気は最初こそ曇ってましたが徐々に好転し、乗鞍岳の主峰剣ヶ峰の姿を確認できる頃には青空が広がる絶好の登山日和となりました。
近いようで遠い剣ヶ峰を前に、何度も挫折しかけましたが、圧倒的な存在感でたたずむ穂高岳や槍ヶ岳などの大御所達の眺望に励まされ、何とか登頂することができました。
これがガスガスの中だったらたぶん途中で諦めてたな。。
北アルプスに来たんだなぁ、と感じさせる残雪期の北アルプスオールスターズ。
この時期に来れて本当に良かった。
■アクセス方法
・休暇村乗鞍高原への一本道を車で10分ほど進むと三本滝レストハウスがあります。
・休暇村乗鞍高原へのアクセスは、こちら。
■ルート
登りに対して下山の異常な速さ(笑)。
■スケジュール 2016年4月24日
7:30 三本滝レストハウス ⇒ 11:00 位ヶ原(くらいがはら) ⇒ 12:50 蚕玉岳(こだまだけ) ~お昼~ ⇒ 13:20 剣ヶ峰山頂 ⇒ 13:40 蚕玉岳 ⇒ 13:50 下山開始 ⇒ 15:45 三本滝レストハウス
オラぁもう疲れちまっただなや。。
いまだに都会の生活に疲れ、夜汽車で東北の実家に帰る的な雰囲気が漂う夜の上野駅。
今日のメンバーとの待ち合わせのために熊谷へ移動します。
さいたま健康ランドで仮眠して、早朝3時に出発。
の予定でしたが、まさか言いだしっぺの本人が寝坊してしまい20分遅れで出発。スミマセンでした。
朝の埼玉はどしゃ降りでしたが、高速を走ってる間に雨は上がりました。予報どおりです。
途中、釜飯で有名な横川でトイレ休憩しすぐ出発。
松本インターで降りて沢渡(さわんど)方面へ。
途中、オケツの里で、あ、風穴の里でトイレ休憩。失礼。
やっぱ北アルプスは遠いわ。
三本滝レストハウスの場所がナビやGoogleマップできちんと表示されず、三本滝のすぐ手前まで来てたのに不安にかられ、Uターンし休暇村まで戻る失敗を犯してしまいました。
勇気ある行動でしたが、結果的に軽くタイムロス。
切腹!
しかも休暇村でトイレ借りたら「何か利用してって下さいね」と冷めた感じで言われる。
ふぅ、あそこには二度と行かねぇ。
三本滝レストハウスに着いたのは7:30。
100台キャパの駐車場には40台ぐらいしか停まってなかったので、余裕で停めることができました。
BC目的の人が大半で、みなさん8:30の始発バスまでのんびり過ごす中、自分たちは急いで準備を始めます。
登り始めは、ふきのとうを取りに来てた山菜マダム達に混じってスタート。
これがふきのとうか。どんな味か興味が湧いたので採取しようかと思ったけど、同行者の「にがいよ。にがいよ。」が自分を踏みとどまらせました。
この山一番の急坂がこれ。登り始めのゲレンデ。
久しぶりのきちんとした登山だったから、ガツガツ行きたい気持ちが強く、前のめり気味に登れたけど、これが山頂目前に現れてたら登れなかっただろうな。。
今日はそれぐらいヘトヘトになる登山となりました。乗鞍岳って気軽に3,000mの世界に行けちゃうイメージがあったけど、バスを使わなかったらガッツリ登山となりますのでそれなりに覚悟が必要ですね。
急坂で一気に標高を稼ぐと乗鞍岳のアタマがひょっこり姿を表す。
ヤマレコやヤマップの記事で皆さんが「遠い、本当にあそこまで行けるのか?」と書いてある通り、まだ遥か彼方って感じ。
七ツ石から見る雲取の遠さに似てるかもしれない。
ゲレンデトップで雪が出始めますがぐずぐずなのでアイゼンは不要です。
自分は結局、肩の小屋までノーアイゼンでした。
ゲレンデを登りきるとゆるやかな上り坂。これまでが急坂だったから横移動に感じられるほどです。
ゆっくり標高を上げていきます。
予報どおり、雨から曇り、曇りから晴れに変わっていき、この辺りから日差しが強く感じられる様になってきました。
真ん中の三角錐の山が剣ヶ峰。
ですが、登る直前に読んだヤマレコ記事に全貌が見えて左側のピークが剣ヶ峰、というコメントがあったのと、地図と照らし合わせてみても、剣ヶ峰が左側に位置してたので、迷うことなく左側の大きな山こそが目的地だ!!と思ってた。
その結果、後々でメンバーを余計に歩かせてしまうことになる。。
ほんとごめんちゃい。
右の樹林帯の隙間から穂高や槍ヶ岳の姿を確認できたときはテンション上がったわ。
北アルプスに来たんだなーと、感慨ひとしお。
登り始めの曇り空はいずこかへ。
すこぶる晴天に恵まれました。だんだんと森林限界に近づいてきたこともあって、休憩したいけどちょうど良い日陰を見つけられない。
振り返ると筋骨隆々のアルプスと違って、草食系男子な山々が広がる。
一見、大人しそうに見えるけどキレたら手が付けられなかったり、ギャップがあるんでしょうね。
よけい厄介だ。
ズボッと踏み抜き地獄が続く。これぐらいはまだマシで、股下までハマってしまい抜け出すのに難儀することもしばしば。
急激に体力を吸い取られていく。
木陰を見つけて軽く食事を摂りまーす。
標高が高いと運動量も上がるし、踏み抜きばかりで疲れてきたのでカロリー高めのカレーパンをチョイス。
バスを使わずに登る孤高のBCスキーヤー。かっこええ。。
スキーブーツの重さと足首が曲がらない不自由さをものともしない、ああいう存在に憧れるわ。
剣ヶ峰が少しずつ近づいてきた。
この時はあれを朝日岳だと思ってましたが・・・。
右にはエコーラインが見える。
そろそろバスの卑怯者どもがあそこを辿って上がってくるぜ。
乗鞍ブルーって言うのかな。
繰り返しになりますが、この時は剣ヶ峰山頂は左の山だと思ってたから、ツアーコース方面に行けば山頂に直登できるじゃん、と思ってしまった。
足跡もついてるし、地図を確認して、「OK行ける」って合図をみんなに送る自分。
しばらく進んで、足跡あるにはあるんだけど・・・どうも少ないなぁと不安になって再びGPSで自分たちの位置と進むべき方向を確認すると、やはりズレてる。
ここでやっと目指す山を間違えてたことに気づき、元のルートと合流することにしました。
とりあえずあの人が多いところに合流したいんだけど踏み抜き地獄でほんと進むのが大変。
ここでもかなりの体力を奪われました。
カラス「おいおい、なにやってんだよオメーら。ラクしようなんて考えるからこうなるんだよ」
ほんと悪いと思ってますよ。。
切腹!
なんとか合流。位ヶ原までバスに揺られてきたBCの大行列に自分たちもついていく。
BCのメッカとは聞いてたけど、まさかこんなに人が多いとは・・。ほとんどのスキー場で営業が終わり、前日に春山バスが開通したばかりというタイミングも手伝ってすごい賑わい。
虹!
ではなく、環水平アーク!!
知った風なこと書いてますがこの時は「虹だー!」ってみんなで騒いでたな。
帰ってから写真を見返して、なんで真っ直ぐなんだろう?と思って調べてみたら虹じゃなかったのね。
簡単に特徴を言うと、その名の通り水平に見え、太陽が58度以上高いのが条件で上空の氷の結晶が光を屈折させてできる現象とのことです。日本では夏至を挟む半年間確認することができ、北限はデンマークのコペンハーゲンなんだそうです。
なにはともあれ、珍しい現象みたいなんで見れてよかった。
そんな景色に励まされながら、なんとか前を行く外国人の団体に追いつきました。
この人たちとは、この後で追いつかれてしばらく同じペースで進むことになり、山頂で写真を取り合いました。
山登りあるあるですね。
ミニオンズのデザインがイカすスノーボードを担いだフランス人が、ハーフパンツにタイツって出で立ちなのには驚いたな。外国人の発熱量ってやっぱすげっす。
キツい。ああ、ほんとキツい。
直登ルートは別にあるから、このルートは巻き道になるんだけど長い長い急坂が続く。
踏み抜きで疲れた足がもう前に出ない。
登る。ひたすら白い世界を登る。
剣ヶ峰に環水平アークがかかる。
ああ、だめだ。なんか少し気持ち悪い。白い世界に酔ったかも。。
気持ちを切り替えたいから会話を楽しみたいけど、余裕がないから顔を上げて景色を見るだけ。
飛行機雲かぁ、と。なんかこの時はこの雲に救われたな。のんびり行きますわ。
修学旅行どこ行ったの?なんて会話しながら。
みんなやっぱり中学校で京都・奈良に行ってるんですね。
ウチの中学校はなぜか上高地。班決めで揉めた記憶しか残ってないっす。。
登ってる時は何度も何度も振り返って、宇宙線研究所がある標高2,872mの摩利支天より高いところまで上がって来たか確認して、「はぁ・・まだか。。」の繰り返しだったけど、いよいよ超えた。
ぞくぞくと上がってくるBCの人たちとアルプスの景色。
この時期に乗鞍に来れて本当によかった。
北アルプス、アップ。
見とれてしまう。
見とれてしまうわい。
外国人だって見とれてます。
氷点下ではないけど、持ってきた水がキンキンに冷える寒さと強烈な紫外線にさらされる過酷な環境で、彼が半袖なのはきっと同行者から行き先を知らされなかったからでしょうね。
うっかり山頂まで来てしまいました的な。
下山後、自分も紫外線で雪目と顔が大ヤケド。人のことは言えませぬな。
蚕玉岳(こだまだけ)の山頂。標高は2,979m。
ぺちゃくちゃ音を立てて食べる人と同じくらい、標識前に荷物置いたり居座ったりする人がNGです。
ここも標識前にザックやストックやスキー板が置かれてたのでなるべく写真に入らない様に近づいて一枚撮りました。
プンプン。
BCの山スキーヤーが滑っていく。
一人ずつ滑り降りていく度に「ヒューヒュー!」と今では聞かなくなった死語的歓声を大声であげてる人がいましてね、まあドン引きですよ。
イワヒバリ「あたいもドン引きだよ」
さて、ここでお昼ご飯にしました。と言ってもここまで休憩の度に空腹に負けて、ちょいちょいパンをつまんでたから、残り1個しかなかったけど。あっという間に食べ終わっちゃいましたよ。
ザックを蚕玉岳にデポって剣ヶ峰山頂を目指す。
すぐ目の前に感じられる距離ですが、体力を使い果たしてるからちょっとの登りでもすぐに息が上がる。
もう少しだ。今年最初の3,000m峰にして初めての北アルプス。
自分にとって記念すべき一歩。
到着!
標高3,026m。剣ヶ峰の山頂の本宮の半分は雪に埋まってます。
山頂標識はこの裏です。行ってみましょう。
裏に回ると、どーんと御嶽山。富士山みたい。
こんな近くで見れて感激です。
まだ噴煙が見えます。
だいぶ小ぶりですが、海老の尻尾がまだ見れました。
ヘトヘトですが今日はこれをやるために登りにきたと言っても過言ではありません。
乗鞍で海苔を食らう、です。
外国人が、「oh 、のりィー」
と食いついてきたので話のわかる奴だということで軽く談笑。
来日10年目のフランス人でした。外国に来て山に登るそのアクティブさに脱帽ですわね。
これもお気に入りの一枚。
下山中に思わず足を止めてアルプスの山々に見惚れてしまうハイカー達、という構図が気に入ってます。
名残惜しいのですが、登りに時間をかけすぎてしまったのでそろそろ下山です。
この景色を見ながら下山できるなんて最高です。
記憶に焼き付けておきたいと思うけど、毎度、瞬間風速で忘れる。
山頂直下の小屋を掘り返してる人がいました。
大変な作業ですね。。
蚕玉岳に戻ってきてちょっとだけ撮影タイム〜。
剣ヶ峰と逆立ちのコラボ。
とりあえず定番の命。
からの〜
のぼせもん。
話は変わりますが、同行者と元気が出るテレビの裏番組の話題で「オレたちひょうきん族」と言いましたが、ダウンタウンの「ごっつええ感じ」でしたね。失礼~
今日は風が弱かったですが少しだけシュカブラがありました。
チェブラーシカと重なってしまうのは自分だけですかね。
これです。
左に朝日岳。
自分たちが剣が峰に向かって登ってる時、一人だけ登ってた人がいたけど、この時は無人のピーク。もうこれ以上登るなんて考えられませんよ。。
さって、俺たちも眼下の小屋目指してバックカントリー尻セード行くぜー!
ひゃー気持ちえぇー。
振り返っての一枚。広大な雪原に見事な尻セードの跡。ピッケルがないから滑り込みの要領でブレーキかけます。
ここら辺は雪質が良かったけど、肩の小屋より低いともうびちゃびちゃ。尻セードの季節もおしまいですな。
もう山頂があんな遠いよ。楽しかったなぁ。くたくただけど。
下山はあっという間。
途中で雪がなくなってからバックカントリーの人たちは板を担いで急坂を下るから苦労してましたな。
少しは歩け、こんにゃろ。
いやいや、こちとら好きで登ってるんでね、空耳ですよ。
しかし、狭いところを何の掛け声もなく突然横からズバッと抜いていくスキーヤーがいて危ない場面もありました。声をかけましょうね。
とりあえず今日も安全登山、おっつー。
振り返って
西穂にするか乗鞍にするかで悩みましたが、西穂だとコースタイム的に帰りのロープウェイに間に合うか不安だったので乗鞍にしました。
道を間違えたり寝坊したり、全て自分が原因でトラブルを起こしてしまい今回も反省の旅となりました。
ですが、青空の下、残雪期の素晴らしい北アルプスの眺望と、剣ヶ峰の白さと、御嶽山の存在感に酔いしれ、結果オーライな旅になったこと間違いなし。
自分で言うのもなんですが、帳消しですな (^o^)
環水平アークという珍しい現象を見ることもできたし、辛かった時に見上げた飛行機雲は忘れられない光景となりました。
くどいようですが、この時期の乗鞍に来れて良かった。
帰りの車ではなんともなかったのですが、家に着く頃、目が開かなくなり涙と鼻水止まらない症状が出始めました。雪目です。紫外線が原因の角膜炎です。
登山の翌日は雪目と顔の日焼けによる痛みで苦しみました。
雪対策の大事さを思い知って、今回も日々はんせいの旅の終わりとさせていただきます。
ではでは