4月22日。
ハプニングに見舞われた旅ほど思い出深いものとなります。
事件は残雪期の北アルプス、快晴に恵まれ多くの登山客で賑わう焼岳で起こりました。
まったくうっかり八兵衛だよ!
いや、八兵衛でもやらないであろう大失態に笑いが止まらない最高の登山になりました!
それでは早速ですが、焼岳登山の特徴をご紹介します。
焼岳登山の特徴
①焼岳は現役の活火山で噴火口を挟み北峰と南峰に分かれてます。
②新中の湯ルートは標高差約800m、距離は約7キロ。程良い登山が楽しめる。
③山頂からは乗鞍岳と穂高連峰の大展望。
↓この大絶景。焼岳サイコーです。
ほいじゃ、まずひとーっつ!
通常、山頂というと北峰を指します。標柱があるのも北峰です。最高峰は南峰の方ですが崩落しやすいため積雪期しか登れないと言われてます。一般登山ルートは無く、本来は登山禁止なので冬なら登ってOKというわけでもないんですけどね。。自己責任で判断ください(‘ω’)ノ
ふたーっつ!
新中の湯ルートは標高差800m、距離7キロ。装備が重く、踏み抜きで体力を消耗する残雪期の登山ではちょうど良いぐらいの距離だと思う(自分にとってはです!)。
「下堀沢出合」から先は森林限界。かなりの急坂が続くため雪崩に要注意です。
みーっつ!
登ってる途中から背後に乗鞍岳が圧倒的な存在感でそびえて見えます。左手には白山、山頂からは穂高連峰。眺望の良さはピカイチです。
↓これでっせ
焼岳の南峰の標高は2,455mで最高峰。北峰は2,444m。日本百名山、現役の活火山ですが1992年に入山規制が解除されました。
1915年の爆発的噴火が梓川を堰き止めて大正池ができたのも有名なお話。
今回は冬毛の雷鳥にも出会えたし、めっちゃ楽しかったです!
登るぜ、焼岳!
いざっ
■周辺地図
■ルートとコースタイム
■2018年4月22日 ※カッコ内は標準コースタイム
新中の湯登山口⇒(90分)⇒下堀沢出合⇒(90分)⇒山頂⇒ (60分) ⇒下堀沢出合⇒(60分)⇒新中の湯登山口
標準コースタイム:5時間00分(休憩含まず)
登山開始
新中の湯登山口へ
ブォォォオオオーーーン!!
キュルルルーー!!
ブロロォォーーー!!!
駐車場が見えてきたぜ!
(はいはい)
この5日前に冬期通行規制が解除されたばかりの安房峠を時速30キロという超安全運転でやって来ました。
なんせ知り合いが昔バイクでここの崖下に落ちたと聞いてたのでスペシャル安全運転です。
10台ほど停められる駐車場に運良く停められました。もし停められなかったら少し下ったところにある中の湯温泉に5百円払って駐車場を借りることもできます。
ちゃちゃっと準備終わらせてスタートしますよ。
樹林帯に突入
最初は道路沿いを歩きます。右下が道路です。
まだ登り始めたばかりとは言え既に標高1,700m近い。
南側斜面はすっかり雪解けが進んでます。
15分も登り続けたら完全に雪のトレイルに変わりました。
4月に入ってから季節外れの猛暑が続き、既にアイス過食気味です。
この分なら年間100アイスはマークできるでしょう。
いや、そういうことではなく今年の雪解けは早そうだということを言いたかった次第です。この日も東京では30度に届くという異常事態でした。
雪が緩んで踏み抜きが心配ですが、朝はまだ締まってるので1〜2回踏み抜く程度で済みました。
下山では10回近く落ちました。恐怖でした。アイスで重くなったからかもしれません。
焼岳の森はとても綺麗です。
何度も見上げる。
三ツ岩岳で歌いながら登ってたら、山頂に着いた時に他の登山客から「良い歌だったよ」と誉められてとても恥ずかしかったです。それ以来、登山中のカラオケ大会は自粛してますm(__)m
樹林帯ではなだらかな登りが続くのでペースがつい速くなりがち。風が通らなくてすぐ暑くなるから意識してゆっくり登ります。
だいたい1時間ほど歩くと焼岳の男前な姿が見えてきます!
下堀沢出合まではもう少しです。森林限界ぽくなってきたしテンション上がる。
歌いたい。
いよいよ森林限界へ
この写真には写ってませんが、先行者も後続者も割と多かったです。踏み跡もたくさんあって道迷いの心配は無用です。
さすが百名山。そんな安心できる点も焼岳は素敵過ぎます。
自分も一度でいいから素敵すぎるとか言われてみたい。
急斜面をひたすら登って行きます。雪の白と空の青が気持ちいいけどそんなん言ってる余裕なんてない。ヒーヒー言ってます。
写真じゃ分かりにくいのですが、ピッケルを持って来なかったことを後悔するぐらいの斜度です。
この2つのピークの間の谷を抜けていくパーティもいましたが、見るからに雪崩の巣だったので自分は怖くて行けそうにありません。
「あのパーティ、とんだ冒険野郎だぜ!」
きっと残雪期にしか登れない南峰を目指してる人達なんだろなぁ~、と思って見送ります。
自分たちは安全な北峰を目指します。
多くの踏み跡が残ってる安全そうなルート。左に真っ直ぐ進んで、稜線に出てから右に折れるルートを確認して慎重に進む。
長いんじゃ!
安全そうとは言え、どこで一息いれていいか分からないぐらいの斜面が相変わらず続く。
周りに目印がないから距離感がつかみにくい。着きそうでなかなか着かない感じです。
あー!!雷鳥っ!!
先行パーティーの方達が休んでた近くのハイマツの中から「うるせぇなー」って感じでゾロゾロ出てきました。
しかもつがい!
子供もいる!
冬毛の子供、ぷりぷりしてて可愛い!
こんなラッキーなことありますかね。素敵過ぎやろ焼岳。
そしてくどい様ですが、無情にも急坂は続きます。
雪がない所もチラホラ出てきたので、いつもなら強風が吹き付けるポイントなんでしょう。
疲れてきました。もっと景色を楽しまないともったいないと、ところどころ休みながら進む。
ちなみにアイゼンは12本爪ではなくチェーンです。こんな急坂が続くとは思ってなかったんでチェーンアイゼンにしちゃいましたが、雪はぐずぐずに腐ってたから特に困りませんでした。
横を見れば斜度がどれぐらいか分かりやすいです。
振り返ると乗鞍岳。さすがの存在感です。
前を歩いてたパーティの1人が足をつって止まってたから、気付けば自分たちが先頭を歩くことになってました。
振り返ればぞろぞろと後続の登山客が続きとても気分良かったです。
しかしみんなヘルメットにピッケル。
自分たちはチェーンにハット姿。
焼岳ってみんな重装備なんですねぇ。
こんなクレパスがあったり、気温の上昇とともに落とし穴が多くなってくるから気を付けて歩きます。
白山だ!
初めての焼岳は衝撃の眺望の良さ!ちびりそうです。
山頂までもう少し!
山頂付近は地熱で雪が少ないと聞いたことがあるけど、その影響で雪がないのか?本当のところは分かりません。
大絶景の山頂
登りきりました!!
楽しい登山でした。気分的にも体力的にも余裕があるって最高です!
山頂の標柱が見当たらなかったので、後から登ってきたベテランっぽい方に聞いてみました。
「ああ、南峰に標柱はないですよ。あるのは北峰だけ」
・・・・?
またご冗談を。
なんぽーに登っちゃったよ!
驚いてる自分を見てこのベテランさんが更に続ける。
「ああ、そういうことねー。どうりで今日は南峰に登る人が多いなぁと思ってたんだよね。」
・・・・もしかして、気分良く皆さんを引率しちゃいましたかね?
ひゃっはっはー
ダッフンダだぜ!
まさか南峰に登ってたなんてね、笑いが止まりませんわ。
なんにしても標高が高いのは南峰の方なんだしラッキーでしょう。
眼下に火口を眺めながら、本来登るはずだった北峰を見に行きましょ。
見てよ!あっちの方が低いぜ!どっひゃっひゃっひゃっ
やっぱ折角来たんなら最高峰に登りたいよねー、だよねだよねー。
雪が多ければ南峰から北峰へ移動できるそうですが、もう雪が付いてなくてロープで懸垂下降しないと渡れないとベテランさんがおっしゃってました。
しゅごーってガス噴いてるし。
北峰の方が危険なんじゃね?って感じ。
無理して渡る必要なんてなかろーもん。
山頂からの眺めも格別です!
笠ヶ岳、双六岳、雲ノ平方面の眺めです。
うっとりしちまうぜ。ナンポーさいこーです
ケルンがありました。
ここでお昼にしたいと思います。
毎度のシンガポールラクサ味。
これ作った人マジ天才。
食べ終わったら時間に余裕もあったし、しばらく遊んでました。乗鞍岳です。
奥穂高岳方面をバックにへそ出しです。アイス食べ過ぎのみっともない腹ですがそんなこと気にしない。
何枚も撮って遊んでました。ええ、この山で一番はしゃいでたと思います。
歌わなかったけど他の登山客の邪魔しちゃいましたかね。。
十分楽しんだのでそろそろ下山しましょ。
雪ダルビッシュ。
ケルンの中にお地蔵さんが隠れてました!
皆さん見つけてね!
踏み抜きだらけのゲッザーン
この急坂をよく登ったよなぁと感心しながら下ってたら、
尻セードして止まらずに暴走してる人が抜いていきました。もはや滑落です。若いのねん。
自然が創った大作を観賞しながら、踏み抜きに苦しむ。
何度もね。こんな穴がボコボコできてるし怖かったです。
ここでも踏み抜いてびちょびちょ。
まったくビストロびっちょりだぜ!
有名ブログにかけてみました。
ラブピンクさん、名前変えたみたいですね。
登山口の近くはどろどろのトレイル。
死んでもここで転ぶわけにはいきません。
駐車場が見えてきました。今日も安全登山?でした。
焼岳やっぱ素敵すぎだわ。
中の湯温泉でほっこり
下山後は中の湯温泉へ。露天風呂からは穂高連峰を眺めることができるし、風呂上がりはそば茶を飲んでゆっくりできるし、ソファふかふかだし、ここは寄るべし!
帰りにフラッと立ち寄った道の駅で食べたチーズおやきが超絶うまかった!
最後まで完璧。100点満点の旅となりました。
振り返って
昔、それこそまだ高校生の頃。平日はバイト、週末は近くにあった競馬場に行くのが日課でした。若い頃にいろいろ遊んでおくと大人になってからハマらないと言いますがまさにその通りで、高校三年間でどれだけの額をスったのか計算してみると、軽く30万円を超えていたことが分かり、高校を卒業してから競馬とパチンコは見事に卒業しました。
教わるより自分で失敗する経験がいかに大事かということですね。
安房峠が開通し、新中の湯登山口前の駐車場まで車で行けるようになったことも知らずに、朝一で中の湯温泉のフロントに「車を停めさせてください!」とお願いしに行きました。
「いいですけど、、もう上まで行けますよ」。
ほえ?
危うくここでもうっかり八兵衛になるところでした。
不意打ちの南峰でしたが、もし逆に南峰目当てで北峰行っちゃってたらそりゃもう残念な登山になっていたことでしょう。
簡単に登れたし、ほんとラッキーでした。というか、いつ雪崩が起きてもおかしくないルートを進んだ先が北峰なら、絶対にそっちの方が危ないです。自分にはとても歩けそうにありません。
山頂で南峰だと教えて下さったベテランさんのザックには、目立つ様に「指導員」と大きく書かれた手拭いが結ばれてました。
「チェーンでこの急坂は不安だなぁ」と心配していただきましたが、雪は完全に腐ってたのでチェーンすらなくても歩けるぐらいでした。
教わるよりなるべく自分で経験することですねー。
踏み跡ばかり追う一方で、自分の目でどこを歩けば安全かを少しは判断できたんだなぁと、意識過剰な見方ですがちょっとだけ経験を積めた気がしました。
ではでは