【後編】岩手山登山 焼走りでやけになったオヤジ編 コマクサの群生と幸せホルモン 裏岩手縦走2日目

【後編】岩手山登山 焼走りでやけになったオヤジ編 コマクサの群生と幸せホルモン 裏岩手縦走2日目

日本の山は、春になるとさくらが咲き、夏は濃い緑と高山植物が栄え、秋は世界一の紅葉に燃え、冬は雪景色に染まる。

 

四季の巡りに合わせてよどみなく姿を変えていく日本の風景に、日本人でさえメロメロにされるというのに、外国人にとってはそれこそ手品でも見ているような感覚になるのかもしれない。

この風景は唯一無二。

大袈裟ではなく奇跡の風景なのだ。

自分のものではないけど、日本の自然美が誇らしく思えてくる。

 

年々、登山をしていて、外国人を見かけることが増えてきているのも納得。

 

八幡平から岩手山を繋ぐ裏岩手縦走も2日目。

 

遥か遠くに見えていた岩手山が、少しずつ少しずつ大きくなってくる様子は、今回の旅の中でも特別な意味を持つ風景。

 

目的の山がぎりぎりまで姿を見せないことってよくあるけど、裏岩手縦走路みたいに目指すべき山が遠くから見えてるってすごく良い。

小さな一歩でも、進んだ分だけ確実にゴールへ近づいていくという、この当たり前の事が、頑張ろうって気にさせてくれるもんね。

 

2日間で歩いた距離は36kmだけど、今振り返ると絶景のオンパレードで、あっという間だったな。

 

横綱級に大きな岩手山と、振り返れば果てしなく続く裏岩手縦走路。

山ヤロウをこれほど興奮させるルートってなかなか無いと思うけど、この岩手の山深さはその期待を決して裏切らないよ。

 

最後は冷麺でしっかり整えてと。

 

下山後の温泉、ご当地グルメまで、ばっちり岩手を満喫した2日間。

 

しかも、2日目は快晴。

岩手のツンデレな神様が、ガスと晴れの二刀流じゃ!と言って与えくださった初日の水上訓練を耐え抜いて、翌日は絶好の登山日和。

 

とは言え、良いことばかりではない。

トレイルはまだぬかるんでいるはず。

それに2日目のこの日は、三ツ石山荘から岩手山への激登りと焼走登山口へと下山するという18kmの鬼畜な行程。

まだまだ気が抜けない。

 

よーし、こんなに近づいた。

後編は、「焼走りでやけくそになったオヤジ編」です。

 

1日目の八幡平~三ツ石山は ⇒ こちら をご覧ください

 

ルートとコースタイム

■2023年7月2日(2日目) ※カッコ内は標準コースタイム

三ツ石山荘⇒(35分)⇒大松倉山⇒(75分)⇒犬倉山⇒(205分)⇒不動平避難小屋⇒(40分)⇒岩手山山頂⇒(35分)⇒平笠不動避難小屋⇒(90分)⇒第一噴出口跡⇒(85分)⇒焼走登山口

コースタイム:9時間25分(休憩含まず)

総距離 18.3キロ、累積標高上り 1,225m

 

■2日間合計
コースタイム:16時間40分(休憩含まず)、総距離36.3km、累積標高上り2,110m

 

裏岩手縦走登山(後編)

朝からびちょびちょ男

なんて爽やかな朝だろう。

自分が今、良い空気を吸っているのが分かる。

昨日の雨で大気が洗われ、おっさんの心も澄み渡っていく様だ。

山の朝は寒くて体動かないし好きではないんだけど、やっぱり景色を見れば気も変わる。

 

AM4:00

お世話になった三ツ石山荘を4時に出発。

入口付近にいるのは昨日夕方にバタバタとやって来たチェコ人の女性。今日は八幡平方面に行くと言ってたから自分とは方向が逆。もう英語を話さなくて済むのが嬉しい。

別れ際に、GOOD LUCK!と言ったら、こいつほんとに英語喋れないんだなと言いたそうな呆れ顔で、Have a nice day!と言い返された。

あ、それそれ。それが言いたかったんだよ。GOOD LUCKって恥ずかしすぎるやん。

中1からやり直したい。

 

まだ薄暗い森の中を登山開始。

ヘッデンはいらないぐらいの明るさの中、体の目覚めを待つようにゆっくりペースで歩いていく。

ちょっと歩いただけで景色が開けた。

後ろを振り返れば三ツ石山。

昨日は神秘のガスベールに包まれてどこを歩いているのかも分からなかったけど、ひとまず今日は雨とは無縁な1日になりそうでよかった。

 

シュゴゴゴーー!!!

今にも爆発するんじゃないか?という爆音が静かな山の中に響き渡る。

蒸気を吹き出しているあそこは網張温泉かな?

 

開放的な稜線に出ると、まだ遥かに遠い岩手山とニッコウキスゲのトレイルで癒やされる。

もう7月2日だから、キスゲが咲くのも分かるけど、もうそんな季節なんだなぁと頭が追いつかない。

 

裏岩手縦走路9座目、大松倉山に到着。

おっさんの体はデリケートなのだ。朝は体調不良に気付きにくいからね、ここまでは体に異常がないことを確認しながら歩いてきたけど、なかなか調子は良さそうだ。

 

もう日の出のはずなんだけど、初めての土地だとどこから日が昇るのか分からない。

 

あ、あそこな。

意外と雲が多くてしっかりした日の出は見れなかったけど、この角度からの風景は裏岩手縦走路を歩いた者のみが見られるという特別感を与えてくれる。

部下からも虐げられているおっさんにとっちゃ、こういう小さな優位感が大事。

 

日が昇り、きらきら輝きだす森。

 

しかしきらきら輝いてる正体はこれ。

これこそが正真正銘、真の露払いじゃい!夏のラッセル行軍。

 

行く手を阻むのは、朝露だけでなかった。

ここのドロドロで激しく滑り、早速尻もちついて泥まみれになるというやっぱりな幕開け。

ザックもドロドロになったし。

帰ったらすぐに洗わないと。

 

まだ歩き始めて1時間も経ってないというのに、帰ってからやることが決まった。

 

コケてる間も、せっかちな朝日はぐんぐん昇る。

今日は盛岡市内は猛暑日と聞いている。

下山の樹林帯で暑さに苦しむ自分が目に浮かぶ。

 

ここから絶景続き

10座目、犬倉山ゲット。

 

ここからは裏岩手縦走路が丸見えだ。

果たしてどこを歩いてきたか、八幡平が一体どこなのかも分からないけど、あそこを全部歩いてきたんだなぁと感動する。

 

犬倉山を少し下って、せっかくだから名水の誉れ高い犬倉冷水を汲みに行く。

 

どばどば出てる。キンキンに冷えてるのが有り難い。

この雑味ゼロの自然の恵みに、この男は躊躇せずアミノバイタルの粉末を混ぜて台無しにしていく。

そして、やっぱ名水で飲むアミノバイタルうめぇ!と満足気。

名水の有り難みを諭しても、この男にはゴリラに論語。

名水で顔と首をガシガシ洗い、下流におっさんエキスを流しておくことも忘れていない。

これでやっとシャキッとした。

 

再び歩き始めれば、眼下に平野が広がった。

昨日とは明らかに見える景色が変わって、裏側から表側にやって来たことを実感する。

 

どうでもいいけど、最近、オリックスの平野の関羽雲長化がひどい。どうでもいいんだけど。

 

そして、また少し近付いてきた岩手山。

まだ遠いから見上げるってほどではないけど、徐々に大きくなっていく岩手山は、裏岩手縦走の中でも特別な意味を持つ風景だから何枚も写真を撮ってほしい。

 

ひーひー言いながら開放的な斜面を登っていく。

この先も展望がよさそうだ。

 

昨日からの疲れをかなり引きずっているけど、この絶景が原動力。

 

もっと遊び尽くす。

 

せっかく岩手まで来たんだ。

足腰立たなくなるまで遊んでやる。

 

ここ一帯だけ草木が生えてない不思議なところに出た。

有毒ガスでも吹き出しているのかもしれない。

そんな異様な場所でさえ絶景。

見上げればこれから歩く岩手山へと連なるギザギザした稜線も見えて、テンションは否応なくアゲアゲだ。

 

なんでもない草だって、こんなにキラキラ輝いている。

 

いつも尖っているハクサンチドリもいつも以上に尖っている。

 

やっぱり、ここは地温が高いそうだ。

「高温で軟弱な熱泥があるため泥を踏み抜かない様に注意すべし!」といったことが書かれている。

忘れちゃいそうだけど活火山だね。

 

熱泥地獄を抜けたら、この謎の綿毛が風に乗ってふわふわ舞っていた。

 

突然、黒倉山経由で岩手山を目指すか?経由せずにまっすぐ岩手山へ進むか?

どちらか選べと迫られる。

さあ、どうする。

 

男は負けた。

しかも開き直って、これから黒倉山よりはるかに高い岩手山に登るのに、こわっぱ如き高倉山なんぞに構っておれぬわと吐き捨てたのであった。

強気を装い弱みを隠す、この男の小ささが垣間見えた。

きっとこういうところが部下にも見透かされ、なめられる原因なんだろう。

これからはカッコ悪いところを見せるカッコ良さを目指したい。

 

さんざん岩手を遊び尽くすと言っておきながら巻く。

途中、休憩していたトレラン2人を遠慮しながら抜いて、その3分後にすごい勢いでブチ抜き返された。

だからさぁ、抜きたくなかったんだよ…。

 

標高1,600mまで登ってきた。

八幡平の標高が1,613mだから、スタート地点と同じ高さに戻ってきたと思えば、八幡平スタートがどれだけ体力的に優しいかが分かってもらえると思う。

 

秋田駒ヶ岳の雲もとれた。

 

どうでもいい話だけど、ファスナーの端が飛び出てるバッグがあるけど、あれなんの意味があんのかね。

電車でバッグを抱えてる人の飛び出たファスナーが隣に座ってるとたまに当たるんだよね。

硬いし、本人は気付いてないし、オシャレなデザインだとしたら、それぜんぜんオシャレやないし!!って言いたい。

すみません、取り乱しました。

つか、山を歩いてるとあれこれ思い出されるんだよね。

 

ほら、ウラジロヨウラクだって、青空の下でこんなに色鮮やかに咲いている。

ファスナーの端が当たるなんて小さなこと流せ流せ。

 

岩手山がみるみる近付いてきた。

 

このゴールまで着実に距離を縮めていく感じがたまらんよね。

最後の目的地がこの大きな岩手山という分かりやすさがいい。

 

実際には逆光で、大きな黒いかたまりに見えてたんだけど、それがかえって威風堂々としてて雰囲気出てた。

 

なんて花か調べないと。メモメモ。

 

岩手山のカルデラ

ここら辺から溶岩が固まってできた地質に変わり、植生もハイマツが混ざり始める。

ここからが絶景続きで、今回の縦走路で一番の見どころ。

 

眼下に見えるのは御苗代湖(おなわしろこ)。

猪苗代湖(いなわしろこ)と間違われるのが分かっててどうして似せたんだろうね。

最近、久しぶりにCMで見たカールスモーキー石井が中島みゆき化してたな。どうして似せたんだか。

 

標高1,730m。

正直言って、たいぶ前からバテている。

しかし、まだまだ岩手遊興の旅は始まったばかり。疲れたとか言っていられない。

 

ガスがうごめく景色はこれまで何度も見てきたけど、何度見ても不思議な光景。

 

岩手山は独立峰の火山なのに、なぜこんな断崖絶壁の稜線なんだろうか。

爆裂火口?違うよなぁ〜と思って、ここら辺でやっと気付いたんだよね。

これはカルデラだね。

今そのカルデラの外輪を歩いてるわけか!と、でっかいウンコが出た時ぐらいスッキリしたのを覚えている。

 

もう綿毛になってしまったチングルマがあれば、まだつぼみのシャクナゲを見たり、山の7月は春と夏のミックス。

 

難しさは皆無なんだけど、こういう斜面って転んだら傷だらけになるから慎重に登る。

 

運転中に音楽を流してて、緊急車両のサイレンが聞こえてきて外か中なのかで焦ることが度々ある。

 

そういうサイレンの音、曲の構成になんも影響しないし、害でしかないから本気で、即刻、金輪際やめてほしい。

いや、ほんとセンスも配慮も無いから。

もはやサイレンを使っただけでそのミュージシャンが嫌いになるもんね。

 

このダイナミックな地形を眺めながら、下から吹き上げてくる風で一気に汗を乾かす。

 

あれが鬼ヶ城かな?

さっき光の速さで抜き去っていったトレラン2人組が立っているのが見える。

身軽って羨ましい。

 

上空を優雅に舞うハヤブサ。

前回の谷川馬蹄形で見たイヌワシとはサイズも飛んでる姿も全然違う。

 

1,800m地点。

あと200m近く登らなきゃ(汗)

もっとペース落とさないと持たないかも。。

 

それにしてもこの網張温泉方面から外輪を歩くルートは、間違いなくいくつかある岩手山の登山コースの中で一番見ごたえのあるコースだと確信して、幸せホルモンの噴出が止まらない。

表登山口の馬返しコースも人気だけど、ここを歩かないなんてもったいないよ。

 

カルデラの反対側の外輪に、天狗のイボとかそんな名前がついてそうな突起がある。

 

まだまだこの絶景が続く。

今回の2日間の旅の核心部だからね、尺は長めに取る。

ちなみに、盛岡側から見える富士山のような岩手山を「表岩手」と呼ぶのに対して、盛岡の反対側が「裏岩手」。

 

この一箇所だけ、岩場をよじ登るところがあって、トレッキングポールをしまうか迷った。

 

イワウメ。

 

ズームにすると岩手山のお鉢を歩いているたくさんのハイカーが見えた。

もう手が届きそうだ。

 

ええーーー!!!

 

突然、外輪が終焉を迎えた。

まさか、こんな終わり方?

 

ここから、

眼下に見える8合目に向かって激下り。

なにこれ、今日イチの鬼畜やん。

 

 

よっ、三文役者。

これが白日夢であってくれ…。。のポーズ。

 

下手な演技は置いといてだよ、ここまで稼いだ標高を捨てて、あそこまで下らなくてはならないという現実を、バテた中年が受け入れるには時間が必要なのよ。

 

しかし、下らないと山頂には立てないから仕方なく下る。

えずきながら下る。

マンションの10階ぐらいから一気に下って20階ぐらいまで一気に登るのね(しつこい)。

くそっ。

 

下りながら山頂を見上げる。これから登るというのに、みるみる山頂が高くなっていくという不思議。

 

お花畑

外輪山から下っていく途中は高山植物の宝庫。

まずはチングルマ。

隣の秋田駒ヶ岳ほどではないけど、なかなかすごいよ。

 

特筆すべきなのが、このシラネアオイ。

この斜面はこれまでの登山人生で見たこともないほどのシラネアオイの群生が見られた。

曇り空ばかりだから、こんな色鮮やかに撮れたのも初めてかもしれないな。

どれも元気じゃ。

 

うーん、近付いてきた。実に感慨深い。

 

こちらが不動平避難小屋。

二階の窓からおじさんがじーっと見てて、

ほんと、じーーーっと見てくるから、気味が悪くて緊張したけど、カメラを向けたらぷいっとそっぽ向いた。

なんでそんな見るんだ。。

 

不動平避難小屋の前には「お花畑」と案内板が立ってて、ベンチもあったからここで束の間の休憩。

別れを惜しむようにおにぎりを一個食べて、これから最後の遊興を楽しまなきゃ。

 

いよいよクライマックス

さあ、楽しもう。

長い旅もこれがクライマックスだ。

 

富士山の須走コースみたいに足が沈み込む斜面に手こずりながら登っていく。

富士山みたいに息が苦しくない分マシかな。

 

さっきあそこから下ってきた。

やっと同じ高さまできた。

 

お鉢まで這い上がると、お地蔵さんが50m間隔ぐらいで配置されている。

こういうのも外国人からしたら珍しいだろうね。

 

カルデラを形成する外輪山がガスをせき止めてくれているけど、いつ決壊するか分からない。

急がねば!

 

よーし、てっぺん取りにいくよ。

 

ここまで歩いてきた裏岩手縦走路。三ツ石山がよく見える。

感慨深いじゃないの。

 

長かった。とても一泊二日とは思えない濃い旅になった。

昨日の水没で嫌になって松川温泉にエスケープしてたらこの絶景は見られなかった。

 

右を向けば噴火口。

岩手山は今も生きた活火山と聞いてたから、内心ビビっている。

周りのハイカーはみんなゴールを目前にほくほく顔だというのに。

とにかく信じられないほど平和だ。

 

左を向けば、この後下山する予定の焼走りコースが見える。

なんだ、まだまだ長いじゃないの…。

あとは下るだけだなと甘く見ていたことを痛感した。

 

岩手山山頂

裏岩手縦走、最後の11座目。

黒倉山に登ってたら12座で1ダース登山達成!って言えたんだけどね、ぜんぜん悔しくない。

 

お鉢回りするか…?

うーん、雲がもくもく湧いてきてるしなぁ。

温泉入って電車の時間も考えるとここはパスでいいかも。

ここまでだってすごい絶景だったし、早くお風呂入りたいし。

 

パノラマで撮影して、お鉢回りした気になろう。

 

標高2,038m。すごいところに立っている。

まさに独立峰らしく富士山みたいな景色だ。達成感が遅れて込み上げてくる。

あともうちょっと遅かったらガスの中だったかもしれない。今日はツイてる。

 

さらば山頂よ。

さすが百名山、人が多かったな。賑やかな山は割と好きな方だよ。

 

裏岩手縦走路も残すはゲッザーンのみ。

 

焼走登山口へゲッザーン

下山は散々悩んだ末、馬返しではなく、予定通り焼走登山口へ。

理由は、焼走コースだとコマクサがちょうど見頃を迎えているということに加え、登山口に焼走りの湯という温泉施設があること。

下山後、最寄り駅までタクシー移動になるのは馬返しも焼走も一緒だしね。

 

下りは早い。

またここを登り返せと言われても絶対無理!というところまであっという間。

 

焼走コースは途中で上坊コースとの分岐があるから、そこだけ間違わないように気をつけないと。

 

こっちから見るときれいなおにぎり型なんだな。

下りながら見上げた岩手山は裏から見る姿とはぜんぜん違う。

 

平笠不動避難小屋に到着。

ここでドコモの電波が入ったから、すかさず平舘タクシーに電話して配車を予約。ソフトバンクは電波入らなかったよ。

なんにしても、もはや自分の中では平舘タクシーさんの一択。

 

樹林帯に入ると同時に雲の層にも突入。

飛行機に乗ってると雲の層に入った瞬間揺れ始めるけど、歩いてたらなんも変わらない。

 

トレイルの両脇にはずーっとカラマツソウの大群生。

これほどの群生は過去1かもしれない。

 

そして「焼走り」という名らしく、ザレたトレイルに変わると出てくるのが高山植物の女王、コマクサ。

 

斜面いっぱいにコマクサが咲いてるのが分かるだろうか。

右も左もぜんぶコマクサ。コマクサの安売り王状態。

 

たまに変なのも混ざる。

 

富士山の須走みたいなコースだから、歩き方を変えて、かかとからザクザク踏み込む様に走るのが気持ち良い。

 

疲れて立ち止まるとまだまだコマクサ。

シラネアオイ、カラマツソウに続き本日3回目だけど、これほどの群生は過去1かもしれない。

焼走コースにして正解だったよ。

 

第一噴出口跡は展望地。

雲の層を抜けてすっかり景色も開けた。

昨日が最悪な天気だった分、今日は何もかもがめぐり合わせが素晴らしい。

 

焼走コースは馬返しに比べて距離が少し長いけど、下りのコースタイムはほとんど一緒。

残り2.2km。ここから等高線の幅が広がって、かなりなだらかな下りになるからとても歩きやすい。

 

7月に入って緑が濃くなった。

あと2週も経てばセミが鳴きだして本格的な夏がやって来る。

ちょうどお昼でサウナと化した樹林帯にうんざりしながら、今は猛烈にソフトクリームが食べたい。

四季の巡りに感動するより、ソフトクリームが食べたい。

 

緑がいっぱい。

ソフトクリームが食べたい。

 

疲れてくるとちょっとした段差がしんどいからね、土のうを積んでくれた方に心から感謝しながら下っていく。

土のうにトレッキングポール突かないでね。

 

無限ピークを楽しんだ2日間だった。

足腰が立たなくなるまで遊び尽くしたと、胸を張って言える。

 

裏岩手縦走路の旅、ここに完。

 

焼走の湯と移動、そして冷麺

まだ終わりではない。

登山口から歩いて10分ぐらいかな。

正面に見えるのが焼走の湯なんだけど、軽く道に迷った。

予定より早く下山できたから、歩きながら予約していた平舘タクシーさんに電話して少し時間を早めてもらった。

最初は大更駅14:07発の盛岡駅行きのバスに乗ろうと思ってたんだけど、13:14発の盛岡行き電車に間に合いそうだったんだよね。

少し慌ただしいけど、大更駅のみどりの窓口で新幹線のチケットを買う時間も作れそう。

 

間に合った。。

結果的にはだいぶ余裕で、しっかり新幹線のチケットも買えたしね。

これで盛岡まで花輪線の旅が楽しめるなぁと思ったら意外と混んでた(笑)

 

ちなみに馬返し登山口に下山した場合は近くに温泉がないから、盛岡駅から歩いて10分ぐらいのところにある銭湯に行こうと思ってたよ。

 

盛岡駅で1時間ほど余裕ができたからすかさず冷麺。

本場はスイカが入ってることに驚いたけど、後味が甘いってすんげーうめぇっす!!

 

富士フイルムカラーのハヤブサと、キヤノンカラーのこまちが合体する奇跡の瞬間を目撃できるのはここ盛岡駅だけ。

ガチャピンとムックのほうがしっくりくるか。

 

鉄たちに混ざって絶好の撮影場所を陣取ったけど、孫を連れたおじいさんにじーーっと見られ、場所を譲ったからこんな角度からになってしもた。

 

振り返って

道楽ハイカーな自分は、ガチ勢が挑戦しちゃうような鬼畜な山には登らない。

でもその分、仕事で疲弊した中年の心を一気にフル充電しちゃいそうな、そんなグレートビューな山を選んでいる。

そういう意味で裏岩手縦走路は、大正製薬のドリンク以上のファイトをくれた。

 

初日の八幡平〜三ツ石山荘までの行程では、何度も何度も水たまりにドボンし、気持ちも完全に水没したけど、2日目は岩手の森と火山を遊び尽くして完全に生き返った。

カルデラのギザギザした稜線が絶景過ぎて、間違いなくリポビタン以上のパワーをもらえたから、これで明日からまたパワハラに耐えられるってもんだ。

 

とにかく素晴らしかったのは、次々と景色を変える展開と内容の濃さ。

とにかく、来て!!一度でいいから歩いて!!どんなに水たまりあっても、最後まで歩ききってほしい。

きっと期待は裏切らない。

避難小屋はびっくりするぐらい綺麗だしね。

 

さて、ココヘリが当たり前の時代になったね。

無論、自分も持っているわけだけど、山に入る頻度の高い人ほど常識になってきている。

やっぱり登山中に事故を目撃する機会があるし、かなりの確率でレスキューに向かうヘリを目撃するからだけど、登山道具が壊れた時に保険が使えるのも大きい。

免責金額(自己負担額)が5,000円だから、テントが全損した時ぐらいしか使う場面はないかもだけど、最近はめっちゃ高いザックを背負ってる人もよく見かけるからね、そういう人はココヘリに入らない手はないと思う。あ、あとカメラも対象だしね。

 

今回の旅では、初日の八幡平を出発してから三ツ石山荘までの18km、誰ともすれ違わなかった。

こういう登山こそ、ココヘリは最低限必須な装備だと思う。

 

体力任せに歩くことよりも、どれだけ計画的に歩けるか。そういうところも登山の面白さだよなぁとは日頃からよく思うことだし、少なくとも今回の登山は、企画を楽しむ旅的要素が強かった。

 

体力や機敏性といった運動神経が必要な場面はたしかにあるけど、ガチ勢が挑戦しちゃいそうな山には登らないからね。

今夜も中年の心を一気にフル充電しちゃいそうなリポビタンな山を探そう。

 

ではでは

 

前編はこちらからどうぞ! ↓

http://hibihansei.jp/hachima-2023/


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