1月13日 八ヶ岳の天狗岳に雪山登山にやってきました。
天狗になれるほど自慢できる事なんて何一つありませんが、
こんな自分でも天狗になれるんだ。
そんなちょっとだけ自慢できるところを探す自己肯定をテーマにした山旅の記録です。
さてさて、2019年1発目ということで、新年早々優柔不断全開でどこに登るか悩んだ末に選んだ天狗岳。
ガチ過ぎない歩行距離と標高差、でもそれなりに難しさもあって、そこそこ標高が高くて景色が良い雪山。そんな条件にビタッと当てハマるのが天狗岳です。悩んでるうちにどうして天狗岳がこんなにも人気がある山なのかが改めて分かりました。どの条件においてもバランスの良い山だと思います。
天狗岳は中級者向けと言われてるので、それが丁度良いと思えるんだから自分も中級者って言っちゃっていいのかな?いいんだよね?と早速の天狗モード。
今日はこんな感じでいきますっ!
さあ、こんな絶景が待つ天狗岳の山頂へ!天狗岳のことを簡単に紹介するぜっ!
天狗岳 雪山登山のポイント
①南八ヶ岳、南アルプス、中央アルプス、北アルプスの大パノラマ。
②通年で営業してる黒百合ヒュッテもあって安心。
③岩場や急斜面ありの中級者向けのルート。
天狗岳に登るのは今回で2度目です。前回は渋の湯から登ったけど今回は唐沢鉱泉から。天狗岳は白駒池や本沢温泉、稲子湯など山頂へのルートは沢山ありますが、雪山シーズンでは渋の湯と唐沢鉱泉からがメジャールートかと思います。
渋の湯を起点にする場合、黒百合ヒュッテ経由で東天狗→西天狗岳に登り、再び東天狗方面に引き返して黒百合ヒュッテ経由で下山するのが一般的ですが、唐沢鉱泉起点の場合だと黒百合ヒュッテ→東天狗→西天狗→唐沢鉱泉と、西天狗岳からそのまま唐沢鉱泉に向かって下山できるためコース取りが効率的です。
前回はガスガスでどんな景色だったのかさっぱり分からなかったけど、今回は狙い通りの快晴!改めてこんな景色が広がってたのかと新鮮な気持ちで歩けた。
くそっ!前回のあれはなんだったんだ!!
こんな景色だったなんて!あちき悔しいぃ!!
天狗岳は八ヶ岳のちょうど真ん中に位置する日本二百名山で、標高は西天狗岳が2,646m、東天狗岳が2,640mの双耳峰です。
目の前には硫黄岳。その奥には八ヶ岳最高峰の赤岳と阿弥陀岳。南アルプスから北アルプスまでの大パノラマが広がってます。
いざっ!
アクセス
唐沢鉱泉
住所 長野県茅野市豊平4733-1
TEL 0266-76-2525
ルートとコースタイム
■2019年1月13日
※カッコ内は標準コースタイム
唐沢鉱泉⇒(60分)⇒渋の湯ルート出合⇒(60分)⇒黒百合ヒュッテ⇒(10分)⇒中山峠⇒(80分)⇒東天狗岳⇒(25分)⇒西天狗岳⇒(45分)⇒展望台⇒(75分)⇒唐沢鉱泉
標準コースタイム:5時間55分
■活動距離9.1キロ
■累積標高上り933m
天狗岳登山 本編
唐沢鉱泉登山口へ
唐沢鉱泉にやって来た。
小学校の頃に好きだった女の子が「唐沢さん」でした。顔なんて1ミリも思い出せないけど唐沢と聞くとさそんなささいなことを思い出す。年齢を重ねてもこういうのって忘れないもんだな。いや、忘れてたのか。
で、唐沢鉱泉ですが、渋の湯が有料駐車場だからてっきりここも駐車料金をむしり取られるもんだと思ってたらタダで止められました。嬉しい!有難う唐沢鉱泉!
早速浮いた軍資金で下山後に何を食べてやろうかと考えながらせっせと準備をする。
100〜200mほど歩くと立派な唐沢鉱泉の温泉宿がありました。この宿の前の駐車場は施設利用者しか止めてはいけないみたいです。
ちなみに唐沢鉱泉に近づくと道路はガチガチの雪道になるので運転には気をつけようね。
そんな訳で歩き始めからチェーンアイゼン装着してます。
唐沢鉱泉からは直接西天狗岳に登れますが、登りは黒百合ヒュッテ経由で東天狗岳→西天狗岳で、下山は西天狗からここに戻るルートを予定してます。
見事な快晴!
風が弱いってのが雪山では何より有り難い。
気温は低いけど風さえなければどこかに逃げ込まなくてもお昼が食べられるし、立ち止まってレイヤリングもしやすい。今日は良い1日になりそうだな。
ナメ滝との分岐がでてきます。ここを黒百合平方面へ。
登山開始 黒百合ヒュッテへ
この橋を渡ったら天狗岳登山のゴングが鳴る。
天狗岳が中級者向けと言われる理由は、黒百合ヒュッテから山頂にかけての区間が森林限界を迎えて風に晒されることになるし、途端に急坂になって岩場も出てくるから。
まあ気を付けますが、今日は天気が良いから気楽に雪山を楽しみましょう。
森に差し込む日の光で雪がキラキラしてとても綺麗です。サングラス越しでも良く分かる。
以前乗鞍岳で雪目になったし、日焼けで顔の皮がズル剥けになって辛い思いをしたので、この日は美輪明宏ばりに白くなるまで日焼け止めクリームを塗りたくってます。
ここまでだいぶ端折ったけどずっとシラビソの樹林帯の中を1時間ほどかけて歩き、渋の湯との分岐に差し掛かりました。
レイヤリングしつつちょいちょい休みを挟み、ペースもゆっくりだから疲労感は全くありません。
あぢぃ。
背中に貼ったカイロがもはや火種。体温も上がり背中が焼けそうです。
カイロ1枚でこうも違うか。剥がしたら途端に寒くなりそうだし、汗かかないようにちょいちょい休みながら歩くのが良さそうだな。
樹林の密度が薄くなってきました。
これから薄毛の人を見かけたらハゲとは言わず、そろそろ森林限界ですね!と言えばその人の名誉も保たれますよ!
そんなこんなで黒百合ヒュッテに到着しました。ここまで結構長かったのにこんなに簡単に端折るなんてヒドイ!!
自分の適当な編集に我ながら呆れてしまうわ。
ここまで唐沢鉱泉から標準コースタイムは2時間です。
黒百合ヒュッテのメニュー表です。冬山でラーメンとかうどんが食べられるんだから最高ですね。
ラーメン700円ですよ?都内ではラーメンブームのせいで700円で食べられるとこなんてなかなか無いのに。偉いぞ黒百合ヒュッテ!
ちなみに二郎系ラーメンは最初どんなもんか分からず大盛りを頼んで大量に残してしまったので大っ嫌いです。
一所懸命食べたけど全然減らない。だいたい普通にラーメン食べに来ただけなのに通常のラーメンの5倍はあろうって量がどんっと運ばれてきたわけです。博多ラーメンの替え玉するぐらいの感覚で大盛りを頼んだことを呪いました。
「こ、これが二郎系ってやつか!」
とにかくこの大量のもやしの山を食べて麺にたどりつかないと。
もやし。食べても食べてももやし。1000円も出したのに1袋50円のもやしだけで満たされてしもた。
やっと麺に手が届くとこまで来たって言うのに、くそっ!
悔しい!!つか、残してしまう罪悪感もあって血圧が下がってクラクラするぐらい必死に食べたけど全然減らない。
おんどりゃあボケェーー!!ずるずるずるずるーーー!!!
こちとら180㎝の巨体じゃ!食うことに関しちゃ昔から自信があるんじゃい!
ガルルルルルルルルルル!!!
残してなるものか!!
がるるるる!!
残して・・・
なる
ご・・ごめんなさい。。ウプッ
完敗。ベルトを緩めてももう入らない。半分以上残して終了。オエェー。
敗北感に打ちひしがれ、残してしまったことを店員さんに謝ると「いえいえ、だれでも最初はそうですから」と慰められた。
なんか違うぞ。。食べることが楽しくないじゃないか。なんで「ごめんなさい」という気分にさせるんだ?それでなんで慰められてんだ?
客に肩落とさせるこの仕組み何?
俺は楽しんでご飯を食べたいんだ!少しずつ色んな味を食べたいんだ!それが理想なのだ!!
もやししか食ってねぇぞ!!
この件以来、二郎系ラーメンは食べてません(当たり前だ!)
まあどうでもいい話でしたね。
黒百合ヒュッテの前は広いテン場があります。日帰りで来れる山ですが、折角八ヶ岳まで来たんだし、それに山の夜を楽しみたいって人で賑わうそうです。
自分には寒さを楽しむ若さはありません。もうむしろ怖いです。
厳冬期のテント泊だけはこの先もすることはないでしょう。カイロを貼ったって無駄です。
日向で軽く行動食をつまんだら山頂に向けて移動開始します。
チェーンアイゼンから12本爪に替えようか悩んだ末、チェーンで行くことにします。
天狗岳山頂に向け靴ずれにもだえる
再び樹林帯を少し歩きますがそこは端折って(またか!)、中山峠に到着。
ここから天狗岳に向けて急坂が始まり、森林限界を越える。
すっげー!!天狗岳ってこんな山だったのか!!
いきなり景色が開けました。前回ガスガスだったから初めてこんな山だったことを今初めて知る。
ピッカーンと太陽が眩しすぎて目がやられそうです。ほんと、雪目になるのが怖くて怖くて、サングラスだけは手放せません。
雪目になったことのない人はその恐怖を知らないからきっと分かってもらえないでしょう。
明るいと目が開かないし、外気に触れるだけで痛くて涙が止まらないからゴーグルを装着して都内の人混みをかき分けて眼科に向かいました。あの時の俺はただの変質者でしかなかったな。
もうあんな辛い思いはごめんです。
話を戻します。
人気の山だけあってよく踏まれてます。
森林限界を越えたし、前回風が強まったのがここら辺から。今日はそよ風で助かってます。
左に断崖絶壁。
ちょっと広いところに出たのでここでもちょっと休憩。おだやかな日です。
急坂になってきました。
すれ違う方々が自分の足を見て「おいおいチェーンでこんな山来るなよ」と目で語りかけてきます。
確かにずるずる滑りそうになるけど、体重を生かして雪面に足を突き刺しながら登ってるから大丈夫。増えた体重を味方につけるやっほっほ亭スタイルです。
振り返ると北八ヶ岳の景色。今年は長野方面の雪は少なめで霧ヶ峰なんかまだ茶色いです。
連日北海道や東北は猛吹雪って天気予報で騒いでるし、上越方面も今年は雪が多いみたいです。長野県南部と山梨は南岸低気圧がやって来る2月までは雪不足が続きそうです。
とは言え天狗岳も山頂に近づけば雪は豊富。たまにズルっと滑る。くっ。さすがにチェーンは厳しかったかも!
それと、かかとの違和感が半端無い。
まさかの靴擦れだ!
感触からして既に皮はむけて真っ赤になってる感じ。最悪やん。。
しかも両足。
痛いのが滅法ダメな自分はヘコタレる寸前です。
中山峠から登るルートと黒百合ヒュッテから直登するルートの合流地点です。
足が痛くてまともに歩けないのに、ここから更に急坂にもなるし岩が混じり始める。ひー
みるみる近づいてくる天狗岳。左が東天狗岳で右が西天狗岳。
さすが中級者向けの雪山だけあってチェーンアイゼンだと苦戦するわ。でもここまで来たら最後までチェーンで行っちゃうけどね。
岩場にさしかかります。
慌てず、歩きやすいところを選んで進む。
靴擦れがジンジン痛いです。ひー。久しぶりに厳冬期用のブーツを履くとこういうことになるのか。
ちなみにチェーンとは言え小さな前爪が付いてる珍しいモデルの物を履いてます。この前爪意味あんのか?って思うぐらい小さいんだけど、微妙に引っ掛かりがあって少しは役に立ってんだなと今回初めて思えた。
それがなかったら12本爪に付け替えてたと思う。
前回登った時は、ガスガスで風もビュービューだったけど、あまり来たことのない八ヶ岳で初めての天狗岳だったから、ここにやって来れたって事だけで楽しかった。
今でもその気持ちは強いんだけど、景色が良いとこんなにも違うか!って感じです。
山頂の標識だって目視で確認できる距離になりました。
東天狗岳の山頂です!
「ねえねえ、最近あの人天狗になってない?」
山頂で天狗のポーズを取ってると、少し張り切り過ぎてる自分に対してそんな囁きが聞こえてきます(そら耳だけどね)。
ほ、、、ほどほどにしときますかね。
ブログとかやってますけど本当は人見知りで目立つことが嫌いですからっ!許して!!
眺めはさすが標高2,640mの景色!登った甲斐あったなって思うこと間違いなしです!
山頂からはドっカーーンと南八ヶ岳の景色。目の前は硫黄岳の爆裂火口です。
そしてすぐ隣の西天狗岳。見た目には向こうの方が低く見えるんだけど、実は東天狗岳より6mほど高い。
という訳で本物の天狗になるべく西天狗に向かいますか。
冒頭で書いた通り、
「今回は読者が吐き気を感じるほどウザい自慢を並べまくって、真の天狗になってやる」という企画だけど、さっぱり出てこない!!
なんてつまらない人間なんだ俺は。
「え、、エクセルが得意ですっ!」
(くそダセぇ!)
仕方ないから下る。
仕方ないのだ。
最近上司からこの本面白かったよ!とほぼ強制的に渡された薄〜い文庫本を仕方ないから半年かけてようやく読み終わりました。1日1ページぐらいか?
苦手なビジネス本に吐き気を感じながらもよく読んだ俺。サラリーマンだから仕方ないのだ。
偉いでしょ?(自慢のつもり)
見上げる西天狗。
前に登った時はここでなぜか鼻血を吹き出してストップしたんだった。情けないけど、花粉の時期はちょっとした事ですぐ鼻血が出るぐらい弱ってて怖い。
他の登山客は雪に鮮血が付いてるのを見てビビったことでしょう。
こ・・今年の干支占いで仕事も順調、財運も好調だったし!!
きっと良い年になるさ。
今年1発目の登山で靴擦れとアイゼン選択をミスるという失態をしたけど2回目から挽回してやる。
西天狗の山頂に近づいてくると茶色い岩稜帯になりました。
なんで茶色なんだろう?とそんなことを思って黙々と登る。
西天狗の山頂が見えた。
すげぇ!いくら今日は風が弱いとは言え、1月だっていうのに山頂でご飯食べてる人がいる!
すげぇ!
ここは天国じゃー!
というわけであたしも山頂で飯にします。腹ペコです。
定番のカップラーメンシンガポールラクサ味と、デザートのチョコクレープ。
半額だったから飛びついてしまった。甘いものがないと生きていけません。
ラーメンができるまでは撮影タイムです。まずこちらは蓼科山が目立つ北八ヶ岳の景色。
東京では雨不足が連日ニュースとなる異常事態ですが、ここ八ヶ岳でも同じで雪不足が一目瞭然です。大丈夫だろうか、地球。年々雪が減ってる気がする。。
奥の壁みたいにそびえるのは中央アルプスです。
こっちは手前が霧ヶ峰で、その奥に北アルプス。北アルプスに積もった雪が雲と同化してるから写真じゃちょっと分かりにくいですね。
さしてこの南八ヶ岳の峰々。というか東天狗からの景色とあまり変わらないかな。
真ん中が八ヶ岳連峰最高峰の赤岳。その右が南稜や北稜といったバリエーションルートが豊富な阿弥陀岳。阿弥陀岳のバリエーションルートは毎年冬になると事故が多いから手が出ない相手。南稜は夏に歩いたことあるけどとても冬に登ろうとは思えない岩場でした。
この景色はほんっとに名残惜しいけど、そろそろゲッザーーンします。
唐沢鉱泉へ ゲッザーーン
展望所を過ぎ、枯尾の峰との分岐を間違えないように唐沢鉱泉方面へと進む。
やっと唐沢鉱泉にゲッザーーンしました。
西天狗の山頂からコースタイムで2時間。下山は単調だから時間以上に長く感じましたな。
駐車場の車はほとんどいなくなってました。もう16時。西日に傾くと下山中は日陰が長いし樹林帯だしほんと暗かった。気温もグッと下がるからもう少し早く下山できれば良かったんだけど、靴擦れが痛くてこの時間が限界でした。。
干支占いじゃ今年は良い年になるはずだったのに靴下には血がべっとり。前回の鼻血に引き続き天狗とは流血がつきものの様です。。
振り返って
やっと快晴の天狗岳に登ることができました。
南岸低気圧が太平洋側にドカっと雪を降らすのは2月〜3月。にしてもですよ、厳冬期の1月にしちゃあ雪は少な過ぎでした!
ちなみに最近、以前に増して寒さに対して弱くなった気がする。というのも冬の夜に都心を発って、現地に早く着いて仮眠をとるなんて、もうとてもできないと思ってしまう。
寒くて眠れないし、厳冬期の早朝の寒さと放射冷却攻撃を考えただけで委縮してしまい、腹をくくって踏み切るにはええーい!と気合いが必要です。つか、早朝に布団から出る時も同じか。
早朝に出発して10時前に登り始めることのできる山。
それが理想ですが、山登りが好きな連中は変態ばかりだから(誉め言葉ね)、真冬でも早朝には駐車場がいっぱいになってしまう。
今回の唐沢鉱泉も駐車場に止められず、少し下った広めの路肩に寄せて止めました。やっぱり冬の八ヶ岳は混みます。
道路はガチガチに凍って気温は当然氷点下。日影だし超寒い。でも実際にやって来ると冬のシンとした静かさが心地よくもあります。
凄い寒いけどやって来ちゃえばなんだか幸せな場所だと思えます。
足はすごく痛かったけど、今年1発目の登山は快晴に恵まれて大成功の登山となりました。
今年は下山後の腹ペコに二郎系へ行ってみるのもいいかもです。
では