雪倉岳と朝日岳 登山 北アルプスの最北端は秋の花々と日本海の大絶景 朝日小屋テント泊

雪倉岳と朝日岳 登山 北アルプスの最北端は秋の花々と日本海の大絶景 朝日小屋テント泊

9月7日〜8日、1泊2日で北アルプスの雪倉岳(ゆきくらだけ)朝日岳を縦走してきました。

朝日小屋でのんびりテント泊するぜ〜、というのが最初に掲げた目的。

しかし結局、いつものDEAD OR ALIVEな登山になってしもた。。その顛末は後々ご説明します。

 

さて、百名山が立ち並ぶ北アルプスの中ではこの2座とも地味な存在ですが、実はずいぶん前から登りたいと思っていた山です。

きっかけはどこか良さそうなテン場ないかな?と雑誌をペラペラ探してて、たまたま目についた朝日小屋のテン場の評判の良さ!

朝日小屋はテン場が広くて水は美味いし景色が最高!とべた褒めされてて、朝日岳には絶対テント泊で登るぞっ!と決めてました。

雪倉岳を知ったのはそのしばらく後で、これまた雑誌で「百花繚乱の稜線歩きができて超おすすめ!」と紹介されてたので、朝日岳と縦走できたら最高だなぁと思ってました。

今回は残念ながら春~夏の花のシーズンは過ぎてしまいましたが、それでもダイナミックな稜線歩きと遠くに見えた富山湾の景色は聞いてた以上に素晴らしく、大満足の旅となりました。

 

雪倉岳〜朝日岳のポイント

①雪倉岳からは白馬岳、剣岳から富山湾まで360度の大パノラマ。

②コースタイムは長く、蓮華温泉から雪倉岳〜朝日小屋まで約10時間!

③朝日小屋のテン場は広くてフラットで眺め良し。

 

今回のコースは、蓮華温泉を起点に鉱山道で雪倉岳へと登り、朝日小屋でテント泊。2日目は朝日岳の山頂で日の出を見てから蓮華温泉へと下る周回ルートです。

よく蓮華温泉を起点に白馬大池経由で白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳〜蓮華温泉の周回ルートが歩かれてますが、これは2泊3日コース。

白馬岳は何回か登ってるし1泊で企画したいという人には今回歩いたルートがお薦めです。

とは言え、今回のルートも初日はコースタイム10時間ほどの長丁場しかも途中に有人小屋がないため、中級者以上の方に薦めたいルートです。

雪倉岳は花の百名山として有名なだけでなく、国内で初めて氷河の跡が発見された山としても知られてます。

朝日岳は言わずと知れた北アルプス最北端の山です。親不知(おやしらず)へと続く栂海新道(つがみしんどう)の起点にもなっている山です。ヤマレコを見てると白馬岳から親不知まで歩く人も多いみたいだけど、ゴールが日本海だなんてなかなか夢があって良いなと、自分もいつか歩いてみたいと思ってるコースです。

 

雪倉岳は標高2,611m、日本二百名山、花の百名山。朝日岳は標高2,418m、日本三百名山で北アルプス最北端の山です。

いざっ

 

ルートとコースタイム

■2019年9月7日~8日

・1日目
蓮華温泉⇒(260分)⇒白馬岳~雪倉岳稜線⇒(50分)⇒避難小屋⇒(50分)⇒雪倉岳⇒(120分)⇒朝日岳山頂ルートと水平道の分岐⇒(95分)⇒朝日小屋
標準コースタイム:9時間35分

・2日目
朝日小屋⇒(55分)⇒朝日岳山頂⇒(40分)⇒親不知と蓮華温泉方面の分岐⇒(80分)⇒五輪の森⇒(170分)⇒兵馬ノ平⇒(65分)⇒蓮華温泉
標準コースタイム:6時間50分

2日間合計の標準コースタイム:16時間25分

■活動距離:30キロ
■単純標高差:1,460m
■累積標高上り: 3,081m

 

雪倉岳~朝日岳登山 本編

恐怖、水がない事件発生

蓮華温泉は混みます。事前情報通りでしたが、深夜2時頃に着くと既に8割方埋まってたのには驚きました。朝になって目を覚ますと当然満車。

「おぞろじや。やっぱ雪倉岳ってすっげー人気の山なんだなぁ」とこの時は本気でそう思ってたもんね。

でもこのほとんどが白馬岳に流れたとこの後すぐ知ることになるのだけど。。

まあとにかく車中泊は必須です。

 

駐車場からは朝日岳が見えます。

あれよりも標高の高い雪倉岳に登って朝日小屋まで歩くんだからなかなか大変かもなーと思ったけど、

「しかしまあ初日はコースタイム片道7時間(※注意)のゆるふわハイキングだから大丈夫だよね」

とそろそろ出発します。

 

この時は平和だった。。

この時は。

 

テント泊装備がズッシリ肩にくるぜぃ。。

 

割と新し目の建物がトイレ。もちろん水洗です。

蓮華温泉ロッジがあるぐらいだから水場ぐらいあるだろと高を括ってたけど、水場はないから気をつけるべし!

うぐっ。

「しゃあねえ」と呟き、後で後悔したくないからとトイレの水をハイドレーションに充填。綺麗な水だと思うけど、気分的に優れない。

 

蓮華温泉ロッジです。ここの外に水場があるもんだと思っていた。。

ちゃんと事前に確認しとかないとアカンかったわー。

 

「おっ、水場あった!」と近づいてみると煮沸しないと飲めないとのこと。

出だしからつまづいたな。

気を取り直して、登山開始。

 

蓮華温泉から登山開始

鉱山道は「こちらから野天風呂へは行けません」という案内がある方へ。

蓮華温泉の周りには野天風呂が点在してて500円で入浴できますが、テン泊後のシャンプーは必須なのでロッジに内湯がないか聞いてみる予定。

 

もう9月ですがまだまだ多くの花が咲いてました。

こちらはシシウド

 

最近は苔を追いかける女子「苔ガール」というのがブームらしいですね。

興味がある男性諸君は全身を苔で覆って奥多摩か北八ヶ岳で待ち伏せると良いであろう。

自分はテント泊のザックを担いだまま苔の目線まで腰をかがめてカメラを構えるのがしんどいという印象しかないんですけど。。

 

昨夜は深夜2時に蓮華温泉に着きました。予想に反して到着が遅すぎた。

睡眠を取らないで登るのは黒戸尾根から登った甲斐駒ヶ岳でほとほと懲りたから(この時は完全に徹夜)、最低限の睡眠時間で4時間眠ったとして、7時の登山開始がギリギリのタイミングでした。

そのせいで登り始めから暑いのなんのって。。5時ぐらいから歩ける事ができてたら最高だったんだけどね、仕方ないか。

 

ウォーミングアップがてら軽く30分ほど歩くと案内標識が出てきました。

雪倉岳まで5時間と記載されてます。

ん、なんか俺が見たコースタイムと違うけど?

まあ地図に記載されたコースタイムと案内標識が違うことは良くあるからね。

なんにしても到着は14時頃になりそう(※注意)。

朝日小屋の女性オーナーは15時以降に到着した登山客に怒ることで有名みたいだから今回は叱られないで済みそうです。

 

それまでの樹林帯から急にザレて景色が開けたポイントにでました。

だいぶ前に土砂崩れでもあった様な所を通過します。

 

足場をそのまま橋にしてますね。

ほんとこの橋大丈夫か?とここでもビビりの才能を発揮して尻込みしましたが、見た目以上に丈夫で一安心。

 

ハクサンシャジン

結露した水滴が付いてとても綺麗です。

 

ヒーヒー言いながら登る。

昔、雪倉岳の山頂付近では銀が採取できて、この登山道はその時の運搬に利用された鉱山道。銀の道です。

銀を運ぶ人足達の手当てが銀の重量に比例した歩合制だったとしたら、強者が運ぶ重さはテント泊装備どころじゃなかっただろうし、中には1日2往復する変態もいたかもしれません。

そんな事を考えながら歩いてました。

 

何気なく撮ったこの赤い実。何か分かりますか?

調べてみると、なんとゴゼンタチバナの実だと知ってびっくり!

言われてみれば確かに葉っぱがゴゼンタチバナと一緒。山の秋を見つけましたっ!

 

山頂付近までは樹林帯が続くとは言え、意外と日向が多くて登ってて暑いのなんのって。

もう9月なのが信じられまへん。

 

ハクサンフウロ

6月から見かけるから開花時期が長いんですね。

 

比丘尼飯場(びくにめしば)という場所に着きましたが、特に広い場所でもないし日向だし、休憩するところではないと先へ行きます。

でもこの「飯場」ってのを見た瞬間、恐ろしくお腹空いてきたじゃないかー。どうしてくれるんだー。という訳でそろそろ休憩にします。

 

飯場を少し進むと沢が出てきました。もう暑くて限界だった。休憩するにはもってこいっ!

 

いただきまーっす!!

猛暑で沢があれば当然やりますよね。

 

コウゾリナ

 

ミヤマキンポウゲ

もう9月だから花は終わってると思ってましたが夏の花と秋の花を同時に見られてなかなか見応えあります。

 

おにぎりを食べ、テント泊が相変わらず重くて閉口しますが再び出発。

雲ノ平ではツエルトにしたけど、話に聞いてた以上に結露がひどくテントの楽しみが半減してしまったので、今回は王道のモンベルのステラリッジにしました。旧式だから重たいけど、やはり居心地を考えれば自立式に勝るものはありません。

ツエルト泊はもう少し経験が必要だと痛感してます。

 

左に見える景色で段々と森林限界が近づいてきたことが分かる。

真ん中のポコンと出たピークが新潟県の最高峰小蓮華山(これんげさん)

体力の余裕も時間も無かったので本日は登頂しません。

 

やっと水場に到着!めちゃ美味い!!

ここまで沢はいくつかあったけどうがいだけにしておきました。ここでハイドレーションの中のトイレの水ともおさらばだぜ!

 

ミヤマアケボノソウ

この黒い花はこれまでも何度か見かけたことがあるけどすごくインパクトのある花です。

また見られて嬉しい。

 

水場を過ぎてからはいよいよ森林限界に向けてラストスパート。

とは言え、風はないし暑い!ペースは上がらず、コースタイム通りのえっちらおっちらペースです。

 

カライトソウ

 

なぜこんなに登らせるんだ?

右に見える雪倉岳への縦走ルートよりも既に標高の高いところにいるのに、まだ登らせることに辟易しながらこの無骨なルートを詰めていく。

 

やっと登りきったぜぇ。しこたま疲れた。

この写真の奥に見えるピークは先程から紹介している小蓮華山。

 

白馬岳〜雪倉岳の稜線コースとの合流地点も見えてきた。登山客2人が分岐で食事中です。

結局、朝日岳まで3人としか出会わなかった。。人気の山だと思ってたのにすんげぇ意外っ!

いよいよ雪倉岳へ 急坂にへばる

ひー!ここから朝日岳まではまだ9キロもあるのか!

反対の白馬岳まではたったの2キロ。。白馬岳でテント張ったら幸せになれるよ、これは。

 

とは言え狙うは雪倉岳。休憩を挟まずに目指します。

 

頑張って標高を稼いだけど下る。。

ほんと大変だったのにと忸怩たる思いだが、鉢ヶ岳を巻く縦走路なのが救い。

一つ一つのピークを踏んでたら体力持たないからね。

 

まだ下る。。

銀を運ぶ人たちから不満は出なかったのか。。

 

振り返ると白馬岳。やっとアルプスに来たことを実感するすごい景色です。

実は数年前に白馬岳に登った時はそれほど良い山だとは思わなかったんだけど、雪倉岳側から見る白馬岳は雄大で、長野側が切れ落ちててすっげぇ格好良いです。

 

タテヤマリンドウ

 

ウサギギク

 

 

まだまだ下る。

なんで鉱山道、あんなに登らせるねん(T_T)

前方に避難小屋が見えてきました。

 

避難小屋の近くまで下りてくるとなんと前方に富山湾!

更に富山湾に向かって流れる一本の川。黒部川です!

この景色にテンションアゲアゲです。

 

避難小屋は清潔が保たれてるしトイレもあります。

白馬岳と朝日岳が結構離れてるのでここに水場があれば最高の幕営地になるんですけどね。そんな事を言ってもどうしようもないけど。

ちなみにこの避難小屋の管理者も「避難小屋なんだから計画的に利用しないでね」と登山客の安全を考えて言ってくれてます。まあそんな訳なので当初の予定通り頑張って雪倉岳を登って朝日小屋を目指しまっせ!

 

さきほどの分岐でお昼ご飯を食べていた2人が空身で軽そうにこの急坂を登っていく。

白馬岳にテントを張って雪倉岳までお散歩だそうです。テン場に着いたらすぐビールを飲む人ばかりじゃないんだね。。

 

その2人とは真逆で、自分はアヘアヘ言いながらなんとか急登を這い上がりました。

そしてその更に先がピークがあったって言う山あるあるに精神崩壊寸前。

 

そして更にまだ先だった時、汗とは違うしょっぱいものが頬をつたう。

涙で視界が歪んでちゃんと見えないよ。いや、もしかして老眼か?

 

ほいっ!

標高2,611m、雪倉岳登頂です。

「環境庁 富山県」としっかり刻まれてますぜ、小泉進次郎環境大臣!

環境庁(ちなみに今は環境省)ってこういうの設置するだね、知らんかった。

そんなつまらない話題は置いといて、

 

ドーンと白馬岳(左)と旭岳(右)。

やべぇ、白馬岳カッコ良すぎっしょ。

山頂付近の稜線でギザギザしたところ、あそこがドラマ「坂の上の雲」のエンディングロールで使われた上り坂かぁー(と、この時はそう思っていたけど、正しくは小蓮華山の稜線が正解)。

 

9月に入って空気が澄んできました。剱岳と立山も見える。

 

これから目指す朝日岳方面はちょうど雲が邪魔してしまい残念!山頂に着く直前まで雲なんてかかってなかったのにぃ!

あの朝日岳の向こうには日本海が広がってて、親不知の海岸と北アルプスを結ぶ栂海新道(つがみしんどう)は1度は歩いてみたいルートです。行きたいところが多すぎで参っちんぐ。

 

さて、小屋の到着が遅くなると女将さんに叱られてしまうので先を急ぎますかね。

って今何時だっけ?(スマホを取り出す)

感覚的にはちょうどお昼頃だと思う。

 

 

「ぎょえーー!!もう14時20分やん!!」

まさかの朝日小屋の到着予定時刻の14時。緊急事態発生。

「え、うそ!なんで?」まだ事態を受け入れられない。

歩くペースは確かに遅かったけど、、でも経験上ほぼコースタイム通りのペースだったはず!

なんでまだ雪倉岳にいるんだろ?

なぜ?

(・∀・)

………。。

やべぇ!とにかくやべぇ!

すごいスピードで歯車が狂い始めた。

 

女将さんに叱られる!

(もはやそんな問題でもないのだが。。)

 

水平歩道へ雪崩れ込む

「とにかく!もう時間ないからっ!」

と動揺しまくって、そして

「んあ~!すんげぇ気持ちいい稜線!」

と感動しまくって、そして

「やべぇ、マジで真っ暗になったらビバークせにゃならん!」

と、落ち着きがなさ過ぎて息が詰まりそう。

 

雪倉岳から朝日小屋までのコースタイムはなんと3時間30分!

今更だけど、蓮華温泉から7時間で朝日小屋に着くというコースタイムの計算がおかし過ぎる。どうしてそんな計算になったのか。まったくもって馬鹿げてるけど、こうなった以上は仕方ない。

 

そしてここから恐るべきハイペースによる下山が幕を開ける。

殿ー!急ぐでござるー!!

と映画「参勤交代」状態。

 

「うむ!素晴らしい景色じゃ!急げー!」

 

「ハート型の池塘じゃー!」と横目にしながら、ブレーキが壊れたトラックの如く猛スピードで下っていく。

ブオオオオーーーン

もはやゆるゆるテント泊どころではなくなりました。

「コースタイム、どこかの区間を見落としたんじゃな、くそっ!切腹じゃ!」

とか悔みながらも完全に上の空。あわわわわ。

当初掲げた癒しの登山はもはや完全に空虚なものとなった。

この登山の行き着く先がどうなるのやら。。

 

振り返る雪倉岳。こっちからの山容もなかなかグッドでござるなー。

とか言ってる場合じゃないんだけど、さすがに一気に駆け下りてきて疲れた。

いや、疲れたとか言ってられん!と再び気合注入。

時間が迫ってることにハラハラドキドキ。

行くでござる、ガルルルルル!

 

遥か先へと続く登山道。これを見た時は絶望感が広がったな。。

マジで明るいうちに着くんかいな、これ。

アカン。完全にコースタイムすっぽ抜けた、何やってんだ俺。

 

水平歩道が細い線で手前の山を巻くように伸びている。

ブレーキが故障した状態のまま水平歩道に突入。スリル満点。

果たしてこのハイペースでこの長距離を歩き切れるのか?寿命縮むわ。

そして水平歩道とは言うけど案外アップダウンが多くてしんどいっ!

息も上がる。足パンパン。頭の中は真っ白。髪の毛も真っ白。

 

大きく山を巻きに巻いて、やっと現れた朝日岳に向かってこのまま一気に突き進む。突き進むというか雪崩れ込む。もうぐちゃぐちゃ。テント泊重いっ!

上昇する体温。まだ日は高い。間に合うか?まだ油断はできないっ!

 

池塘がでてきた。ゆっくり歩けばどれだけ楽しめただろうか。

水場が何箇所かでてくるからそこでナルゲンに補給。そして急ぐ。

 

16:10

やっと朝日岳山頂ルートとの分岐までやって来ました。

登る?

登んねぇよ!!

 

あと時間的な余裕はあとどれぐらい?

え~っとここから朝日小屋までのコースタイムは・・

1時間30分!!マジかいや!!

ガックリ・・。

うそだろ、まだ1時間30分もあんのかよぉ〜と、押し寄せては引いてまた押し寄せてくる波の様にやって来る絶望感。

でもコースタイム通り歩けば18時前には着くからなんとか明るい内に辿り着きそうだな。。

なんにしても今できることはただ歩くことだけ。

 

心臓が止まるんじゃないかというハイペース。テント泊装備でこんなに飛ばしたの初めてだよ。。

やっと小屋が見えた!

「遠っ!!」

いや、そうでもないか?もうよう分からん。

ずいぶん長いこと歩いてる。上昇しきった体温。汗も出尽くしました。

でもここまで来れば、きっと、もう大丈夫。バテバテ。

それでも朝日小屋は天国だった・・

17:00

自分を誉めてあげたい。やっと着いたよ。

雪倉岳から朝日小屋までのコースタイムは210分。100分で歩きました。終盤にこんなに踏ん張ったのは初めてだよ。。

フラフラ状態で見えないゴールテープを切ってそのまま小屋にダイブ。

さすがにもう女将さんに叱られるの嫌だなーとか言う気持ちはすっかり吹きとんだわ。

 

お邪魔しまーす、テント泊の受付をお願いしますっ!

 

意表をついて小屋の管理人、清水ゆかりさんの対応はとても親切でした。

なんか聞いてた話と違うぞ。。いや、叱られる事を期待してた訳じゃないから全然いいんだけど。。

朝の7時に出発したけど暑くてペースが上がらなかったことを伝えると「暑かったよね~、うんうん。鉱山道、うん?」と最後少し腑に落ちない感じだったけど、今思えばコースタイム的にはまあまあいいタイムで歩けてたからなんだよね。

まだこの時は正しいコースタイムがわかってない状態だったから「なんか変なこと言っちゃったかな?」と心配しちゃったよー。

 

まあとにかく、朝日小屋の名物「鱒寿司とクルミ寿司」をしっかり1つずつ購入。

凍ってるから明日食べてね!との事です。

ありがたい!

 

ヘトヘトで時間かかったけど明るい内に我が家も設営完了。

なんだかんだで余裕だったな。

 

お米を炊いてる間に夕日は沈んでしまったけど、朱色に染まる空と富山湾に1日の終わりを見る。

やれやれ。やっぱり今回も試練の登山になっちまったな・・。

次こそはゆっくりテント泊を楽しんでやる。くそっ。

 

この大きな景色が朝日小屋の最大の魅力。

大きな椅子の背にもたれかかってずっと見ていたい景色。

左から雪倉岳、白馬岳、旭岳。

ここにたどり着くまでの行程がシビれまくりだったからこの景色は癒やし効果抜群だよ。

 

すんげー寝たー!と、テントから顔を出してみると「ワオっ!!」。肉眼で天の川が見える!

夜の早い時間は月が明るいから、満天の星空は朝方の方が綺麗なことが多いんだよね。

そんな訳で朝の3時です。お早う御座います。

ちなみに今回用意したカメラは富士フイルムのX-E1とXF35mmF1.4レンズです。カメラの腕がさっぱり上がらない自分でも綺麗に撮れるんだからやっぱりこのレンズ最強です。

 

朝日岳の山頂で朝日を見るというのが2日目の最大の目的なので、星空撮影はそこそこにして出発準備を整えます。

みんな朝早いけど、白馬岳方面に向かう人、栂海新道で日本海を目指す人とバラバラ。そしてどこへ向かうにもコースタイムは長い。蓮華温泉へ下る人が一番少なかったかも。

朝日岳で朝日を浴びるプロジェクト

朝日岳の山頂です。登り初めは真っ暗で、後ろを振り返った時の富山の街明かりがとても綺麗でした。

山頂に着く頃、うっすら明るくなってきました。

 

5:10

すんごぉーい雲海!

日の出が5:30だからまだ20分ほど余裕あります。

風はないから寒くない。

この朝日が昇る前のマジックアワーが1日で最も空が綺麗な時間帯だからこれを見ながら待つのはちっとも苦じゃない。

正面の火打山、妙高山方面から朝日が昇ります。

 

白馬岳。

鳥の鳴き声も聞こえない、静かな時間帯です。

 

朝のシンとした空気感は剱岳の岩肌がくっきり分かるほど透明。

 

どすこいっ

 

殿、いよいよ上るでござる。

 

 

ピカー

朝日岳で朝日を拝むという世界最小規模のプロジェクトが成功した瞬間

涙無くしては見られない光景。

蓮華温泉への下山ルートも大絶景連発

満足しました。蓮華温泉へ下山します。

途中までは栂海新道と同じルートです。

 

雪渓がモルゲンに染まる。

 

朝日岳の下りは素晴らしい景色の連続。

朝日岳の山容も良いし、この景色、テン場のロケーション、全てが一級品。三百名山だなんて失礼な番付けするんじゃない!自分はこの山を俄然お薦めしちゃいます。

 

モルゲン色のチングルマの森。

チングルマは花を咲かせてる姿も果穂になった姿も洒脱な感じが良いですね。

 

どこの山にもありがちな見慣れた景色も、良い山は新鮮に感じさせます。

蓮華温泉へ下山するルートは栂海新道の中でも一番景色の良い所を歩ける区間なのではないでしょうか。

そして栂海新道はこの先左へ曲がり、標高差2,000m以上の遥かな日本海を目指して下っていく。うへぇ。。

蓮華温泉は右へ。栂海新道ほどではないけどコースタイムは6時間以上。なかなか長い道のりです。

 

あっという間に太陽はうんと高いところから強烈な光を浴びせてきます。容赦ねぇっす(T_T)

水が豊富な山で、至る所に点在する池塘に日差しが反射してきらきら眩い。

 

さいなら朝日岳。

また登りに来たい山でした。

 

五輪の森というポイントに着きました。

来年2020年は東京オリンピックということもあってインスタ映えを狙った登山客が往来すること必至でしょう。

ちなみにこの登山の数日後、東京マラソン2020に当選しました。開催日は3月1日。今回からスタートとゴールが新国立競技場ということもあって、オリンピックより先に新国立競技場に立てることに感激っ!

 

五輪の森を過ぎるとすぐに高層湿原が見えてきました。

なだらかに下っているので、なかなかガッツリとした樹林帯に突入しません。

 

キンコウカ

標高の高い湿地帯に8月〜9月にかけて咲く花です。

 

 

シモツケソウ

 

 

マツムシソウ

 

 

マスズシソウ

 

湿原のベンチで休憩。楽しみにしていた鱒寿司をいただきます。昨夜買った時は凍ってたけと今は解凍されてちょうど食べごろ。

めちゃくちゃ美味い!いくらでも食える!

 

こちらが、くるみ寿司。

鱒寿司を2つ買おうか悩んだけどくるみ寿司って珍しいと思って買ってみました。こちらもなかなか美味い!

あっという間に2つ完食です。

 

朝日岳の下山はほんと絶景続きでござった。

この1枚も表紙に使いたいぐらいだったけど、これだとどこの山に登ってきたかが分からないからやめたけどね。

ちなみに左の奥に頭だけ出してる山が妙高山です。

 

朝日岳から5.7キロ歩いてきて、蓮華温泉まではまだ5.2キロもあります。

やっと半分過ぎたけど長いっ!

 

湿原を過ぎてから本格的な樹林帯に突入。

上りで歩いた鉱山道もそうだったけど、樹林帯なのに日当たり良過ぎるんだわ。。暑くて暑くて何度か休憩を挟んだけど、登ってくる人達の疲れ方がヤバかったな。

 

沢の音が聞こえてきて「水浴びできるぜー!」と期待したのに、沢のずいぶん高いところを橋で渡るのねん。

そりゃ低いと増水した時に渡れなくなっちゃうもんね。

結局、沢遊びはできませんでした。

 

倒木の上に美味しそうなパンケーキが置かれてました。

(キノコだよ!)

 

 

2つ目の橋が出てきて、ここからもう一つの朝日岳名物が始まる。

300mの登り返しじゃい!

雪倉岳を周回するルートで悩んだのは、初日にここを通って朝日岳から登るか、2日目の最後にするのか。

初日にすると、下った300m分をその日の内に登らないといけないから、そっちの方がしんどいっ!と思いました。テント泊装備だし。

2日目はずーっと下り基調だし、最後だけ登れば良いからそっちの方が楽やん!と思った次第です。

 

登る。。

もうね、

体力は残ってても暑くて気力でないのよ。萎えまくりです。

 

兵馬ノ平という湿原にでました。

うしっ!これで上りからも解放されるぜ!

 

いや、まだ上るのか。。考えが甘かったな。

新穂高温泉から鍋平駐車場までの200mの登り返しもかなりえげつないけど、それ以上だもんね。

 

疲れ切ったところで左に見えたオアシスは龍宮城ですか?

いいえ、蓮華温泉ロッジです。

 

もう歩けないっ!!

限界を迎えたところでゴーーール!でござるー!

風呂じゃー!余は風呂に入るぞー!

蓮華温泉ロッジの内湯は1人800円。下山後すぐに入れるんだからこんな有り難いことないね。

 

 

日本秘湯を守る会、こんな山の奥にあればそりゃそうだよね。

 

 

蓮華ロッジのレストランから見える朝日岳。

窓から涼しい風が入ってきて湯上りで火照った体を冷ましながら景色をぼーっと眺めてました。

この日は下山だけだったとは言え疲れたな~

 

やっほっほ亭という名のブログを運営してる自分が山道を走ってる時にあった『ヤッホー平』を見落とすはずがありませんぜ!

 

しかしそこは大勢の猿達に占拠されたウッキー平でした。

自転車で山道を上る人達がいたけど、この猿の群れは怖くなかったのかな。。

 

 

北アルプスの帰りだし、暑かったし、ぜったい冷たい蕎麦が食べたい!と1軒目のお店に飛び込んだら、おばちゃんがお座敷で横になって寝てた((´∀`))ケラケラ

客いないし、平和だわー。

こういうお店、嫌いじゃないよん。

 

振り返って

雪倉岳も朝日岳も人気の山だとばかり思ってたから、ぜんっぜん登山客がいなくて拍子抜けしました。

ずっと歩きたいと思ってただけに思い入れが強すぎたみたいです。

実際にはすぐ隣の白馬岳に登山客は流れ、蓮華温泉から朝日小屋までに出会った登山客はたった3人。

いつもは静かな山歩きを求めているのに、つい先日登ったのがお盆の週で激混みだった雲ノ平だっただけにそのギャップが少し不安にさせる。ちなみにこの時の混み方は凄まじく、三俣山荘の前には「超絶混雑、布団2枚で5人」と掲げられてて北アルプスの終焉を見た。。

 

そこそこ登山を重ねてきたけど、この富山湾がぱーっと見えた瞬間は感動しました。

散々ご紹介した通り、今回のルートは歩きごたえもあるし、眺めも素晴らしく、ぜひ多くの人に歩いてもらいたいコースです。

特に朝日岳が三百名山なんて失礼な話だよっ!まったく。

評価はぜひ自分で歩いて判断してくださいね!

 

それと、今回はコースタイムを間違えるという情けない間違いを犯してしまいました。でも誰にでも起こりうることなので今回の私のアホなミスを少しでも自分のこととして教訓にするべしっ(なんで上から目線なんじゃ?)

特に雪倉岳の様にコースタイムが長く、途中に有人小屋がないルートでは致命的なミスになりかねないなと、今回も反省の旅となってしまいました。

そんななかなか厳しいルートだからでしょうか。苔ガールおらんかったわ。。

ではでは


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