平標山(たいらっぴょうやま)に登ってきましたー。
三国山脈(谷川連峰)の西端に位置し、群馬県みなかみ町と新潟県南魚沼市にまたがる標高1,984mのお山です。
雪山、夏山、オールシーズン多くの登山客に親しまれる山ですが、その一番の理由はなんといっても植林されてない自然美が残っていることだと思う。
谷川連峰は中央分水嶺。日本海側と太平洋側で水の流れや気候を分け隔てるのがこの山脈なだけにこの連峰は厳しい環境にさらされ、標高が低い割りに森林限界が低い。その圧倒的な開放感と自然美は雪山登山をやってて本当に良かったと思わせてくれる光景。
さて、そんな人気の平標山ですが、実はどの名山にも選ばれていない。
えっ!そんなはずないでしょ?といろいろ探したけど選ばれてないんです!(仙ノ倉山は二百名山ですけどね)。
アクセスの良さ、眺めの良さ、登りごたえ、どれをとっても人気がでるのがよく分かる。
でも意外!ノンタイトルの名山だったんです!!
この話は一番最後に詳しく書くとして・・
今回は時間に余裕があれば仙ノ倉山まで足を伸ばしても良いかなぁと考えてましたが、意外とバテてしまい平標山だけにとどめておきました。
登りは松手山ルート、下山は小屋の手前で右折してヤカイ沢を下るルートです。
約1年前は強風により撤退しましたが、今年も登りに来る機会に恵まれたことに感謝!
山頂は少しだけ風が強かったけど・・それでも絶好の快晴に恵まれた会心の登山!!
いざっ
■アクセス方法
・平標山登山口駐車場へのアクセスは、こちら。
■ルート
■全行程スケジュール
2017年4月2日
8:13 平標山登山口駐車場 ⇒ ~道迷い~ 8:35 登山開始 ⇒ 10:10 鉄塔 ⇒ 12:40 山頂 ⇒ 12:55 下山開始 ⇒ 13:20 昼食 ⇒ 13:00 下山開始 ⇒ 15:00 下山完了
登山はじまり
平標山登山口駐車場に着きました。
雲1つない晴天に恵まれニンマリしながら日焼け止めクリームを顔に塗りたくって出発です。
西吾妻山でタヌキ焼けした教訓、しっかり生きてます!
前回と同じ松手山ルートで登ります。最初、周りの登山客の後についてったら小屋経由で登るルートの方に行ってしまい、途中でUターンして戻ってきました。
少しでも歩いたことのあるルートの方がこの時期は安心なので戻ってきたわけですが、
結果から言えば小屋経由で登った方が良いです。
ツボ足で膝まで埋まったんだろうなっていう踏み跡が続いてました。日陰で雪がだいぶ硬くなってたし、踏み跡の縁は踏み抜かないからそこを選んで登る。
松手山ルートより平元新道で小屋経由またはヤカイ沢沿いのルートで登った方が良いと思った理由は2点あります。
まず、ここがそうでしたがいつ雪崩れてもおかしくない斜面を登って行きます。
湿って重くなった雪がもりもりっと下に向かってせり出てるのが分かりますかね?雪崩れたら本当に危ないと思ってここはペースを上げて通過しました。
そして2点目は、急坂が続くこと。標高差はどちらも変わらないけど、松手山ルートは急坂と緩斜面の繰り返しに体力もメンタルもやられる。ヤカイ沢はゆっくり標高を上げていき最後にガツンと登る。一定のペースをキープし易いし、何より安全。スノーシューで簡単に登れる感じのルートです。
松手山ルートは急坂で一気に標高を上げるから登り始めてすぐに景色が良くなる。
原生林が作り出す自然美は谷川連峰の大きな特徴。
急坂を抜け、いよいよ尾根にでます。
ひゃー気持ちいい!
苗場スキー場方面の景色です。
さっ、まずはあの鉄塔目指して登って行くよ。
近いようで遠いからあそこに着いたらまた休憩しよう。
そろそろハイドレーションが使える季節になったなぁーと思って持ってきたけどそれでも時々シャリシャリってする。
暖かくなってきたけどこの時間帯、午前中はまだ氷点下。凍りつかないようにまめに飲んで流れをつくらないと凍っちゃいます。
うさぎの足跡。
四阿山登山以来の晴天。
山頂はどうか分からないけど松手山ルートは風もなくおだやか。
あ、平標の山頂が見えたよ!
よしよし、あそこまで登る。松手山の山頂標識は雪に埋まってたためスルー。GPSで探すこともなく完全にスルー。
俺らの目的地は松手山じゃないのだ!!
(前回はまさかの松手山で撤退)
途中、大雪庇の横を通過します。クラックもすごい!
人一倍臆病者なんでザックに枝を何度も引っかけながら必要以上に樹林帯側を歩いてかわす。
さあ、山頂直下までやってきた。この急坂がなかなかよ。
しんどい!
足を上げろ!
フゥー、呼吸。2,000mもないのになんか今日は吸えない。
とにかくここは2回吸って、素早くハッと吐くを繰り返す。自分流の呼吸法。
風が強いからここら辺からは雪が少ない。
まずはこの先に見える木道まで休まずに登り切ろう。
松手山を過ぎたあたりから遠目に見てたんだけど、ここら辺をかな~りゆっくり登ってた2人組みがいて、なんであんなに遅いんだろうって思ってたけど、なるほどなるほど、急坂で足が上がらない。ここまでで来れば分かる。急だからつづら折りに登っていきます。
一面真っ白だから登りの角度が分かりにくい。
地面についてる自分の足の角度を見て貰えば割と急坂なのがわかりますかね?
浅間山。真っ白。
やっぱさすがの貫禄です。
さあ、山頂までもう少し。
木道の上を歩きながら最後の踏ん張りだ!と鼓舞する。
スゥ〜スゥ〜ハッ!
この登りの苦しみもラストだと思うと少し名残惜しいとか思うぐらいちょっとだけ余裕。
登りきりましたー!っておーい!!!
ピークまだ先にあんじゃん!
偽ピークにメンタルやられたわ。
ここから一気にとぼとぼペースにダウン。
筋斗雲見っけ。
モンスターも。
森林限界のためほとんど樹木はないんだけど、なぜかこの3本だけが残ってた。
ああ、やっと山頂だよ。賑わってる。待っててな。あの中で俺が一番賑わってやる。
しかし長かった。思ってた以上に登りごたえあったな。。
でもそれももうおしまい。今回は登り切ることができてよかったよ、満足。
ふぅ〜、登りきったぜーって、
うおーーーーーーーい!!!!!
まだ先にピークがああああーーーるぅ!!
マジか!この山すげっ!
平標っていう名前に完全に騙されたな。平らな山をイメージして楽勝登山だと思ってたのに。
やった。。
やったぜ。。
次こそ間違いない。間違いない。
予想以上に苦しかった登山に完全にメンタルがやられた絵。
今年初のヘソ出しルック。
この雄大な景色に心が洗われる。やっと山頂に立てて感無量。
全ての苦労が報われるってもんよー。
しかし冷静に振り返ってみるとこの山の登りは楽しかったな。
樹林を抜けてからの爽快な稜線歩きはワンダホーだったし標高差1,000m(累計の登りは1,170m)っていうのもちょうど良い。
日差しが成功の立役者。
甲羅干し日和です。
いつ寝ますか? 今でしょ。
死んじゃいますね。確実に。
仙ノ倉山方面。
行きませんよ、当り前です。
もう満腹です。
この素晴らしい景色ともお別れ。今シーズンの雪山登山もこれが最後になるのかなぁ。
さすがに山頂は風が強いんで少し下ったところでご飯にしよう。下山だす。
屋根だけ見える平標山の家。
下山は小屋経由のルートとヤカイ沢沿いのルートのどちらにしようか悩みましたが、ヤカイ沢沿いルートに踏み跡がばっちりあったのでこっちを選択。はじめて歩きます。
繰り返しになりますが、平標山の自然美は素晴らしいです。雪山やらないとこの美しさには出会えませんもんね。特権です。
ここでお昼にしますだ。
新潟のご当地スーパーPLANT-5で人気No’1の煮たまごおにぎり。
西上州の山々を眺めながらのランチは贅沢だなぁ。
これでたしか140円。安いし大きいし、新潟サイコー!
ずいぶん暖かくなってきて雪が重くなりました。
松手山ルートの下の斜面は今にも雪崩がおきそう。クラックだらけです。
ヤカイ沢沿いルートはこんな感じの緩い斜面なので絶対とは言い切れないけど雪崩がおきそうなところはこの日はなかったです。
こっちから登ればよかった。
ところどころ雪が解けて沢が覗いてるところがありました。
ズボッと落ちて下が沢だと思うと怖い。
春の訪れを感じさせます。
木の枝をつかって槍投げの練習中。
下山は苦手なので同行者にどんどん置いていかれます。。
(遊んでるからじゃなくて)
橋に降り積もった雪の量にたじろぎますね。
今年のみなかみ周辺は例年以上の積雪だったそうです。
昨夜買って炭酸が抜けきったリアルゴールドで下山後の乾杯。
シュワシュワの炭酸が飲みたいけど、まだこの時期は駐車場の自販機も雪に埋まってて使えません〜
下山後の楽しみ みなかみ名物 高橋の若どりと三峰の湯
同行者から「若どりの高橋」で検索してみてと言われ、調べるなりカーナビにセット!!
ここ高橋の若どりは敬意を込め「月夜野のケンタッキー」と呼ばれてるそうです。
行くべし!群馬のB級スポット。月夜野名物。
そして食べるべし!
駐車場は縦列駐車で3台がやっとっていう狭さ。停めにくいんですけどぉ~それでも来るべし!
メニューは照り焼きと蒸し焼き(骨付き)で、それぞれ大きさによって金額が異なります。
自分は蒸し焼きを注文すると、「ももにしますか、胸にしますか?」と聞かれ
「も・・ももにしますっ!!」と声高らかに即答。
更に、「いつ食べますか?」と聞かれ
今や死語になりつつある「今でしょ?」と反射的に答えそうになるのをこらえて「持ち帰ります」と答えました。
うんめっ!
蒸されてるから余計な油が落ちてて美味かった。
味付けも濃すぎず、鳥自体の味わいを楽しめるぐらいの味付け。いい!
月夜野のケンタッキーはケンタッキーをはるかに超えるうまさだ!!
高橋の若どりからすぐ近くにあるみなかみ町営温泉センター「三峰の湯」にやってきました。
めちゃくちゃプレハブですが、源泉掛け流し。大量の掛け流し!
硫黄の匂いは無し、トロッとした湯でもないんだけど、湯の鮮度が良いってこういうことか!!と浸かって分かるぐらいの良い泉質。どばどば出てます。
洗い場が3つしかなく、地元のおじいさんが時間をかけてヒゲ剃ってんのを待ってるのがしんどかったな。。10分、いやそれ以上待ったかな。。
振り返って
なんとか名山がたくさんある中で、一般的に知られてるのはせいぜい日本百名山ぐらいなものでしょう。
山をやってれば、日本二百名山、三百名山、花の百名山ぐらいまでは聞いたことがあると思う。
それと九州百名山、東北百名山、山梨百名山・・など地元ならではの百名山が各地にあって登頂意欲を掻き立ててくれる。
平標山がノンタイトルだったことが衝撃だったので、いろいろ調べてみました。
「web echigoyuzawa」というホームページで平標山が花の百名山として紹介されてて、あれっ?と思ったけど平標山は正確には「NHK版花の百名山」と「決定版 花の百名山」に選出されてました。
(分からないなんて申すでない。まだまだここからじゃ)
そもそも「花の百名山」は1980年に田中澄江さんが定めたものです。これが本家本元です。
その11年後、田中澄江さん自身が花の百名山を見直して新たに打ち立てたのが「新 花の百名山」。
なので「花の百名山」と「新花の百名山」は重複が多いんです。
で、それから数年後に山と渓谷社が出したのが「NHK版 花の百名山」と「決定版 花の百名山」。
そして更にその後に田中澄江さんがまたもや「再改版 花の百名山」というものを出しました。
おいおい・・。そんなに選べませんか?
(つか、そこまで百にこだわりますか?)
という背景を踏まえ、「花の百名山」とは一番最初に田中澄江さんが選定したものが一般的であって、残念ながら平標山は花の百名山ではありません。
つか、雪山で花の百名山かどうかなんて関係ないんですけどね。
いや、しかしそんなことは抜きにして、この山はすごく良かったです。
平らなところに標を立てた山。
名前を聞いて、なんとなく簡単な山だと思ってしまったけど、大間違い。ニセピークの連続にいつも以上に骨が折れた。
でも、この山ならこの先何度来ても良いなぁ。
谷川からの主脈縦走もやってみたい。
あとわずか2ヶ月で最も日が長い6月を迎える。それまでに本当にこれだけ積もった雪が解けるんだろうか?
もう春山登山が本格的に開幕してます。が、谷川連峰の春はまだまだ先みたいです。
ではでは