燧ヶ岳に登ろうか、それとも至仏山に登ろうか。
尾瀬には2つの名山があって、悩むわー。
まだどちらにも登ったことのない頃の話です。どっちから登るか決めかねていた自分に、登山歴の長い友人が「燧ヶ岳のほうが大変だから燧ヶ岳から登ったほうが良いよ」と言い放った。
度肝を抜かれた。
もし自分が逆の立場なら、確実に確実に確実に楽な至仏山から薦めていた。それを大変な方から薦める友人は、自分よりその更に先を見ている様で、その発言は光った。
あえて困難な道を薦めるかっこよさ。違いを生む男。まさにキラーパス。うっ…羨ましい。自分も光ることを言ってみたい!
燧ヶ岳か、至仏山か。
この後、あえなく自分は燧ヶ岳に登ることになった。
「難しい山サイコーだぜー!」「困難な道カモーン!がっはっはー!」と、ヤセ我慢はなはだしく、ゼーゼー息を切らしながら登った。
軽くアホだ。
懐かしいな。ずいぶん前の出来事。
それから燧ヶ岳へは計2回登っている。しかも、燧ヶ岳こそが尾瀬だ。大変な燧ヶ岳こそが山だ。と、燧ヶ岳を患ってしまったばかりに、未だ至仏山には登れないでいる。
困難な山である燧ヶ岳をたくさん登り、その友人を出し抜く。そして、あの時の自分と同じ様に、燧ヶ岳か至仏山のどちらから登ろうか悩んでいる人がいれば、すかさず「大変な燧ヶ岳から登るべきだね」とクールに呟く所存だ。
完璧なシナリオ。早くそんな人出てこないかな。
更に続けて、「燧ヶ岳と至仏山なら、燧ヶ岳の方が格上だからさ」と、したり顔で答える。
まだ手は緩めない。「なんなら、日本十名山を選ぶなら燧ヶ岳は外せないね」と畳み掛ける。
「次の総選挙、センターは燧ヶ岳で決まりかなぁ」
燧ヶ岳がいかに良い山か分かってくれたかい?燧ヶ岳だ。燧ヶ岳こそがセンターだ。他にどんなに良い山があっても「燧ヶ岳から登るべきだね」とささやく準備はいつでもできている。
おかげで未だ至仏山に登れていない…。
そんな呪縛を振り払い、尾瀬の至仏山(しぶつさん)に登ってきました。
至仏山は、植生荒廃が原因で一時は入山が禁止されてたけど、解禁された現在でも入山できる時期が限られている山。
そんな関係者による植生復帰の努力もあって、とにかく高山植物の宝庫。山体が蛇紋岩でできているという特性から、ホソバヒナウスユキソウという固有種だったりカトウハコベという珍しい花々を鑑賞する事ができて、最高の山旅になったよ。
ルートは鳩待峠から山の鼻ビジターセンターを経由して山頂へ。下りは小至仏山を経由して鳩待峠へ下る定番の周回コース。
山の鼻ビジターセンターから山頂までは上り一方通行なので、体力に心配のある方は途中で引き返せる鳩待峠から小至仏山経由のルートで登ると良いです。
燧ヶ岳の良さを知っとくためには、至仏山から眺める燧ヶ岳も見ておかないとね!
至仏山は標高2,228m。日本百名山で群馬県の山。至仏という名から百名山の中でも一番最後に登る人もいるみたいですが、「渋っ沢」が山名の由来で仏は関係ありません。
いざっ。
ルートとコースタイム
■2020年7月19日 ※カッコ内は標準コースタイム
鳩待峠⇒(60分)⇒山の鼻ビジターセンター⇒(140分)⇒至仏山⇒(25分)⇒小至仏山⇒(15分)⇒オヤマ沢田代⇒(60分)⇒鳩待峠
標準コースタイム:5時間00分(休憩含まず)
総距離 11.1キロ
単純標高差 818m
累積上り 897m
至仏山登山 本編
尾瀬第一駐車場から鳩待峠へ
やってきたのは尾瀬第一駐車場(尾瀬戸倉)。
群馬県の沼田経由でやって来たけど、公共交通機関ならここまで上毛高原からバスで来ることもできる。
これまで燧ヶ岳へは福島県側からのアクセスだったけど、至仏山は群馬側からアクセスできるため都心からのアクセスが楽ちんだよ。
尾瀬第一駐車場から鳩待峠へは、乗り合いタクシーかバスでの移動ね。
どちらも片道料金は1人1,000円だよ。
乗り合いタクシーとバスの共通乗車券を購入して乗り込む。
鳩待峠へと向かう道中を最前席でカメラを構えてワクワクしてたおっさんがいれば、間違いなくあたしの事です。
至仏山はコースタイムが5時間ほどという気楽さもあって、お気楽にバス旅行気分。
しかし先に言っておくけど、
この後、強烈な日差しによっていつもの汗だく登山になるのは当ブログの筋書き通り。
鳩待峠に到着。
ここ鳩待峠休憩所には売店や食堂があって、名物の花豆ソフトがウリというワンダホーなところ。
本日の御仏の道に向け、断食修行を敢行しダイエットに成功したものの、漫画の様なリバウンドに苦しんでいる自分を悩ます花豆ソフトが大好きだけど憎い!あちき憎い!
帰りのバスの時刻を念のため撮っておくよ。
タイミングが合わなければ乗り合いタクシーに乗れば良いんだけどね。同じ料金だし。
つるつるの木道 山の鼻ビジターセンターへ
さて、ここから始まる至仏山登山。
仏なだけに、お遍路登山が本日のテーマ。
まずは山の鼻ビジターセンターに向けて鳩待峠から少し標高を下げていくけど、ここでお遍路登山、最初の関門が登場。
前日まで雨が降ってツルッツルに滑る恐怖の木道。
お遍路とは心の変革をもとめる行為。そんな簡単じゃないんだぞ!と厳しい修行が幕を開ける。
コースタイムは5時間と短いから、焦らず朝2便目のバスに乗ってきた。
鼻息荒めの登山客は第1便、もしくは乗り合いタクシーを使って早い時間から歩き始めてるから、駐車場は満車に近いにも関わらず第2便のバスは空いてたし、木道も人が少なくて尾瀬の森は静かでほんと気持ち良い。
樹林帯からは至仏山がチラチラ見える。
快晴予報でありながら、登ってみたらガスガス。なんてことが梅雨時の登山にありがちだけど、今日は完璧な晴れ。
み仏ブルー。
鳩待峠から山の鼻ビジターセンターまではこんな木道を約60分ほどかけて横移動。
濡れた木道で怒りのヒップアタックをキメる山ガールがいたり、荒修行の様相を見せ始める仏の山。
心頭滅却だ!邪心を捨てて歩けばなんてことないぞ!
と言ったそばから自分も2回ほどスリップ。転びはしなかったけど心臓が止まるほどビビって命を落としそうになった。
山の鼻ビジターセンターに到着。
木道は最初こそ気を付けてゆっくり歩いてたけど、途中からめんどくさくなってスーパーペースアップ。コースタイムの半分の30分で到着。
山の鼻に隣接するのは至仏山荘。ここでテント泊もできるし、お風呂にも入れるみたいだから、次回はここでのんびり一泊するのも良さそう。
さて、忘れがちだから改めてお遍路の心得をおさらいしておこう。
①貪りの心をおこさない。
②邪心を持たない。
③焦らず丁寧に祈りながら巡る。
邪心と弱音でできあがってる当ブログは大丈夫なのか?
今日は手軽な日帰りお遍路スタイルだから、トイレを済ませたら尾瀬研究見本園を抜けて、至仏山の頂きを頂きに行くぜ。
尾瀬研究見本園を抜けて登山開始
こちらがその入口。
研究熱心で邪心まみれのおっさんが今から参るでござる。
突然、目の前に広がる至仏山の姿。
もうね、この景色で感動のあまり声を上げたもんね。至仏ナンマンダブー!って。
てか、実は今見えてるのはニセピークで、本ピークは奥まった所にあるんだけど。でも、ここからが今回のルートで1番至仏山の山容を楽しめるビューポイントだから、記念撮影するならここで撮ることをお薦めするよ。
キンコウカが咲き乱れる研究見本園。レッツ研究。
さあ、研究でござる。
ニッコウキスゲ。朝開いて夕方にはしぼんでしまう花でござる。メモメモ。
アザミと蝶のコラボも研究のためゲット。
後日、こんな人が多い所で熊が遊んでたとヤマレコを読んでビビった。おちおち研究なんてしてらんないね。
ちなみにこの日も熊鈴はしっかり持ってきてるんだけど、安物で大きな音が鳴らないから、モンベルで売られてる透き通った音の出る熊鈴に憧れている。
お遊びはここまで。
ここからは御仏への神聖な道。金銭欲にまみれで邪心だらけの心を清めに参るでよ。
尾瀬ヶ原の延長で樹林帯なんて無いもんだと勝手に思い込んでたけど、やっぱりスタートしてからしばらくは樹林帯だったのねん。
まあ、言うほど樹林帯は嫌いではないし、さすが尾瀬っていう原生林の森には癒やされる。
とは言え、足元の登山道は川の様に流れてるから油断は禁物。一度バランスを崩せば、水たまりにダイブして一瞬でお清めできるというワイルドなコース。
お遍路の心得、ゆっくり丁寧にサッカーくじが当たれぇ〜!と一歩一歩念じながら登るべし。
登山口からしばらくはご覧の通り狭い登山道なので、上りの一方通行です。
樹林帯が気持ちいいぜー!と去勢を張り、服がびちょびちょになるぐらい汗をかいた頃、やっと樹林帯を抜ける。それと同時に強烈な日差しが襲いかかるというみ仏からの有難い試練を頂戴する。
ここまでの樹林帯はそれなりに長かったんだけどね、この先の高山植物で尺を取りたいのでざっくり割愛したよ。
ここが森林限界だと知らせるプレート。
ここからは尾瀬ヶ原の大展望と怒涛の高山植物の登場劇が幕を切る、み仏パラダイス。
まさに天国の様な世界が広がっていたんだよ。
尾瀬ヶ原の絶景と高山植物パラダイス
おおー!燧ヶ岳が見える!
燧ヶ岳の山頂から至仏山を眺めながらカップラーメン食べたなー。それが今回は逆から見てるんだから感激!!
こうやって見ると、燧ヶ岳から見た至仏山と、こっちから見る燧ヶ岳って良く似ててあたしには違いが分からないよ。
イワシモツケ。
高山植物、まずは序の口。
ハナニガナだなや。上信越の山でならこの時期ど定番。
シラネニンジン。
キャロット?
文句なしのスッコーン晴れ。
どんなに晴れてても山頂に着く頃にはガスってしまうことがあるけど、今日はそんな心配は無用の完璧な青空。
おかげで超暑ぢぃ。
標高1,400mの尾瀬ヶ原と、2,228mの山頂との高低差は828m。ここがちょうど中間だから1,814mってことね。
ミヤマダイモンジソウ。
あまり馴染みの無い花だけど、いいね。
至仏山名物、蛇紋岩が剥き出しになってきて、木道の出没頻度が高くなってきた。階段、階段、そして階段。
ここら辺で、階段ばかりで会社の防災訓練みたいだなと呟いたのを覚えてるなー。防災訓練は階段を駆け下りるだけだから楽なんだけどね。16Fから。ひでぶ。
ヨツバシオガマ。
なんて爽快な景色。
逃げ場の無い日向が延々と続くから確かに暑いけど、尾瀬ヶ原を抜けて吹き上げてくる風が涼しくもある。
これぞまさに夏山登山って感じで夏を満喫中〜。
ジョウシュウアズマギク。
そしてこちらがカトウハコベ。
本州では早池峰、谷川、そしてここ至仏でしか見ることができない希少種。
何かを探しながら歩いてる人がいたから、たまたま聞いてみるとこの花を探してるとの事で、いろいろ教えてもらったんだよね、ラッキー♫
コオニユリ。
ホソバツメクサ。調べてみるとこちらも人気の花みたいね。
カトウハコベと大きさや形が似てるけど葉っぱが違うので一目瞭然。
ホソバコゴメグサとも似てるけどまだまだ未熟者だから並んで咲いてないと違いが分からない。
再びカトウハコベ。
ここから先、山頂方面では見なかったからここら一帯でしか咲いてないのかもね。
こんなに少ないのに絶滅してしまわないか心配になるよ。
羽を広げると目玉模様のクジャクチョウ見っけ。
その周りの紫の花はイブキジャコウソウ。
花の撮影ってかがんだ姿勢が長くなるから疲れるんだよね。
ふいーっと背中を伸ばして振り返ってみると、ずいぶん登ってきたなーという景色。
周りの登山客もすっかりバテてきてる様子。山頂までの標高差はたった828mしかないんだから焦る必要無いっていうのも至仏山の良いところ。
休憩スポットも至るところにあるしね。
ビンズイがさえずってました。
トリミングして無理やりアップにしたから画像が悪くてごめんよ。
何て鳥かさっぱり分からなくて、野鳥の会の知り合いに見てもらったら、ビンズイだと一発で言い当てたのにさすが!と思った。
タテヤマリンドウ。
ジョウエツキバナノコマノツメ。
ほんとすごい。宝庫とはまさにこの事。至仏山の植生を守ってくださっている管理者の方々、グッジョブ。
青空に向かって伸びるみ仏トレイル。三蔵法師様、天竺はもうすぐでござるぞ!
ここまでで既に実りの多い登山になった事に満足しまくりー。
至仏山、めちゃくちゃ良い山だね!
ミヤマキンバイ。
ハクサンチドリ。
イワイチョウ。
そして高山植物の主役と言えばのチングルマ。
花の時期に至仏山を選んで正解だったよ。
天竺への最後の登り。
愛の国〜ガンダ〜ラ〜♫
山頂は上越の山々の大パノラマ
今ここに聖地巡礼なる!
山頂ではまず、金銭欲にまみれた心の浄化を丁寧に祈りました。そんな人、他に誰もいなかったけど(笑)
たくさん儲かりたいなんて思っちゃいないさ。あたしゃちゅうちょせずに自販機でジュースが買える人間になりたいだけ。
こうして浄化された自分は、下山後に食べようと決めていた物欲の権化「尾瀬名物花豆ソフト」をケチるという台無し登山を決行し、帰宅後それを激しく後悔。結果的に「あそこでケチったのは普段から金銭的余裕が無いからだ!」と今まで以上に金銭欲が増幅する結果となった。
あ〜、仕事がんばろっと。
尾瀬ヶ原を挟んで見る燧ヶ岳。
クラシックルートの御池から登るルートは本当に楽しいので、多くの方に薦めたいルートだよ。
至仏山の魅力を知ってしまったからどっちも薦めたいんだけどね。
どれが何て山か、さっぱり分からないけど、勘では、左に巻機山、真ん中やや右に中ノ岳や越後駒ヶ岳など越後三山方面、だと思う。
勘だよ。
残雪があって平らな山、あれは平ヶ岳だと俺の勘がささやいてる。
勘だよ。
奈良俣湖と、その上に見える山は谷川岳。これはたぶん当たってる。とは言え、勘だけどね。
これから向かう方角は蛇紋岩がせり出してて、滑りやすいと聞いている箇所。
蛇紋岩は地中でマグマが冷やされる過程で水とうまい具合に混ざってできるそうです。いまいち興味が湧かず頭に入ってこなかったので、興味ある方は自分で調べてね。
とにかく蛇紋岩は表面に脂のようなテカりがあって滑りやすいのが特徴なので、雨の日は特に注意しないとね。
一通りの景色を堪能したらスイーツタイムに突入。
仕事中も山でもバウムクーヘンは手放せないぜ!
贅沢な時間とはまさにこの事よ。ぷかぷか浮かぶ雲をいつまでも見ていられるな。
さーって、のんびり写真撮りながらゲッザーンしますかね。
小至仏山への登り返しとオヤマ沢田代のワタスゲ
ルンゼから吹き上げる風が涼しい!
み仏レボリューション!
蛇紋岩のお化けが近づいてきた。
こういうところには蛇紋岩植物がたくさん咲いている。今回のお遍路は見どころが豊富だよ。
尾瀬で一番人気。ホソバヒナウスユキソウの大群生!
この花を目的にお遍路登山する輩も多いと聞く。蛇紋岩変性種なので至仏山と谷川岳でしか見ることができない絶滅危惧植物だけど、ここでは至るところで群生が見られた。
植生保護の関係者の皆様、グッジョブ!
ハクサンシャクナゲ。
ベニサラサドウダン。
滑りそうな岩場をヒーヒー言いながら下ってきた。
テント泊装備のおじさんにも抜かれる始末。
アップにすると蛇紋岩が滑り易い岩だってことが分かってもらえると思う。
ツルッツルのゲーハーよ。
小至仏山に向けて伸びるトレイルが、先日登った巻機山からニセ巻機山へと続く光景とデジャヴュ。
ちなみに右奥に見えてる大きな山は百名山の上州武尊山。さすが、風格が違う。
360度どこを見ても有名な山々と高山植物。贅沢過ぎる。
振り返る至仏山の山頂。
燧ヶ岳が火山で生まれた山なのに対し、至仏山は隆起して誕生した山。その生い立ちから勝手に優しいイメージを持ってたんだけど、なかなかワイルドな山だったな。
侮っちゃいかんぜ。
なんですかあれは?小至仏山に登り返しですか?シンジラレマセンよ。
くっ…。
苦しいっ!この苦しみも御仏プレゼンツと思えば贅沢。
お遍路バンザイ。
小至仏山の山頂ゲット。
ここは先客1名のみで静かだったので、ちょいと休憩。
小至仏山から悪沢山、笠ヶ岳に伸びる稜線。そしてバックに武尊山。大きな景色だ!
振り返れば、左には今下山してきた至仏山。右に燧ヶ岳。尾瀬の2大巨峰を一枚に収めることができて満足。
その間に見える、奥まって見える山は会津駒ヶ岳。
すごいぞ!尾瀬!
ハクサンコザクラかと思いきや、なんとユキワリソウじゃないの!花びらの切れ込みが浅いのが特徴。
白い花はハクサンイチゲ。黄色の花はシナノキンバイ。これらの目を引く花も良いんだけど、黄色がかったツクシみたいな地味な花がオゼソウです。
オゼソウも至仏山と谷川岳、北海道の一部でしか確認できていない希少種。ありがたいこっちゃ。
シナノキンバイをアップ。ミヤマキンバイに比べると倍デカいからとにかく目立つ。おかげでオゼソウに気付けなかったよ。
蛇紋岩のトラバース。雨じゃなくて良かった。
タカネナデシコ。
まだまだ見せ場が続く至仏山。その実力や恐るべし。
この先に待つ高層湿原オヤマ沢田代が最後の見どころと思ってたけど、そこに行くまでがとにかく百花繚乱で全然歩みが進まない。
テント泊装備のおじさん、もうずっと先に行っちゃったなー。俺もおじさんだけど。
チングルマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイの大群生。
シナノキンバイどーーん!
オヤマ沢田代に到着。最後はワタスゲで締めくくりという、最初から最後まで4番打者を並べた満腹打線。うーもう食べれない〜うー苦しいーとベルトの穴を緩めずにはいられない。
腹が苦しくてコースタイムの2倍ぐらいのペースでやっと着いた。
でもちょっと遅かったかな。ワタスゲはぎりぎりって感じかも。
一面に広がる。
こんなにも五月雨式に多種多様な植物がでてくる山って他にあったかな?
梅雨時に晴れてくれた幸運と、このタイミングで至仏山に来れた幸運に高揚感を覚える。
これが、本日の締め。
と思いきやカラマツソウ。
鳩待峠へゲッザーン
あっけらかんとした青空のまま、下山の時間は続く。
これまでの遅れを取り戻すハイスピード下山の始まりだ!
もはやトレラン。
オヤマ沢から先、鳩待峠までは本格的に樹林帯へと突入する。
最後に振り返る至仏山。
登山を楽しむ者にとって最高の一日になった。充足感で一杯になったよ。
もうすっかり燧ヶ岳へのこだわりは消えた。
終わりと思いきや、こいつはノハナショウブかアヤメかカキツバタではないの!
たぶんノハナショウブね。最後に派手な花で締めくくるなんて、完璧なシナリオだな。
ばいび、燧ヶ岳。
燧ヶ岳の呪縛から解放され、至仏山から弛緩の余裕を与えられたあちきは、夏が来るたびに尾瀬を思い出すことでしょう。
ぐるぐると尾瀬ヶ原を歩いて巡る楽しみ。きっと来年も来まっせ!
野いちご見っけ。
クワガタのメスが登山道のど真ん中で縄張り感だしてたけど、踏まれたら即死してしまうので、草むらに投げておいた。お遍路の最後に良いことができた気がする。
鳩待峠から第一駐車場へ
鳩待峠に到着。
うーん、花豆ソフトかぁ〜。
うーん。。
いや、帰りにコンビニ寄ってクーリッシュでいい!あちき我慢する!
下山が途中からハイペースだったとは言え、全体の行程はゆっくりだったから実はそんなに疲れてないんだよね。余裕で我慢できるぜーハッハッハー。
と余裕かまして、帰宅後、激しく後悔した。
花、花、花巡りの登山で、最後に花豆を食べなかったなんて。
しかもコンビニ寄ってクーリッシュ食べなかったし。いや、ちゃう。クーリッシュちゃう。
やっぱり旅はご当地グルメを楽しまなきゃいかんのよ。
次のシャトルバスまで1時間の待ち時間だったので乗り合いタクシーで帰ることにします。
バス・タクシーの共通乗車券を購入してバス乗り場へ。
乗り合いタクシーは、公共交通機関で来てる人もいるから途中バス停に寄ってから尾瀬第一駐車場へ。
戻ってきました。
まだ意外と止まってる車が多くて驚いたけど、みんな折角の尾瀬だから下山後ものんびりしてんのかもね。
くっ。花豆ソフト食べときゃ良かった…
帰りに道の駅に立ち寄るのはもはや義務。
道の駅のお土産って高いから、なるべくなら地元ならではのスーパーに立ち寄って、ご当地ならではのお惣菜グルメを楽しみたかったけど、田舎ってなかなかスーパー見つからないんだよね。
そしてここの道の駅でも花豆推し。しかし自分が買ったのは、なぜかおやき。なぜだ!
血迷ったか?
登山で恵まれ過ぎたからこれぐらいの失策は、まあいいさ。
振り返って
至仏山に咲く花々。青空へと伸びるトレイル。ぷかぷか近くに浮かぶ雲。
登山冥利に尽きる一日となりました。お遍路大成功!
至仏山は夏と秋を除けば、GWに一週間だけ登山が許されますが、残雪期に登るなんてほんともったいない!7月初旬〜中旬に登るべし!
尾瀬固有種のホソバヒナウスユキソウ、オゼソウ、カトウハコベといった希少種。
そして上の写真のチングルマを始め、ハクサンイチゲやシナノキンバイといった定番の花々。
ホソバツメクサも見応えあった。
こんな山、他にあったかな。森林限界を超えてからの尾瀬ヶ原と燧ヶ岳の眺めに興奮して鼻血噴出。山頂からの上信越の山々の眺めも鮮やか過ぎた。
なかなかこんな経験できないよ。
出勤前の30分。ドトールコーヒーで至仏山のブログをスマホで書きながら、激しく老化が進む脳みそをフル回転させて楽しかった山旅を思い出す。
ちなみに燧ヶ岳の御池ルートも良かったんだよね。途中でガスってしまったけど、それでもすごく良かった。
燧ヶ岳に登ろうか、それとも至仏山に登ろうか。
ますます悩むわ。
ではでは