これは8月中旬のくっそ暑い日に、都心から遥かな尾瀬へと避暑を求め逃亡を図ったおっさんの汗と涙を余す所なくドラマ化したものである(スクールウォーズ風に)。
夏が来〜れば思い出すぅー♫
はるかな尾瀬〜遠い空〜、ボエェ〜♫
ところで、2024年って冬来たっけ?
2024年1月頃の自分の記憶では、過去にないほどの暖冬を雪山登山中にハッキリ感じ取れたし、2月には既にGW並みの暖かさで汗だくとなり、GWに入る頃には初夏の陽気っていうね、まさに異常気象そのものだった。
「このままだと今年の夏はまじでヤバイ!」とビビってる間に、連日体温超えの夏に突入してしまい、7月以降はエブリデイ夏バテ。
おまけにひどい腹下し。
外を歩く気になんてとてもなれず、当然山へも行く気にもならない…
「今年の夏はもう登山やーめた」
そんなことを宣言した折、たまたま開いたGoogleが薦めてきた尾瀬の観光案内を見てみて心が震えた(単細胞)。
「尾瀬は涼しく、8月の平均気温は17℃です」
じゅ、じゅ、じゅうななど!?
ほんまかいな。
今すぐ行きたい。
やっぱり夏は尾瀬だよね。
少しお腹の調子も少し良くなってきたし。
そんなわけで、今回は尾瀬ヶ原を散策してのんびりテント泊して、余裕があれば至仏山に登っちゃおっかなーみたいな、全体的にふわっとした企画。
だって、「涼む」というのが最大の目的なんだもん、もんもん。
なのに、なぜ?
歩行距離23km?
話ちがくね?
最近は男が日傘をさす姿も珍しくなくなってきたけど、都心って意外と日陰が多いからね、都会であればあるほど必要ないと思う。
問題は地方だよ。
先日も郊外にある工場に用事があったんだけど、駅を降りてから2キロ先の工場まで見渡す限りの日なた。
熱波で工場が揺れて見えたもんね。なにあれ、蜃気楼ですか?
たまらずバッグの中から晴雨兼用の傘を取り出したわけです。
まあ、何が言いたいかというと、
尾瀬ヶ原って樹林帯がないからね、散策するってなるとひたすら日なたの木道を歩くことになるわけです。
気温は25℃ぐらいでまあまあ快適だったんだけど、直射日光を浴び続けてたらそりゃ暑い。
炎天下で焦げついた尾瀬ヶ原、
夕立に遭いずぶ濡れになった尾瀬ヶ原、
そしてガスガスの至仏山。
なんだ、結局いつもの流れじゃないの。
まあ散々な目にも遭ったけど、それでも尾瀬は特別な場所だから全てが夏の良い思い出なわけです。
なので総じて「尾瀬は楽しいところ」ということを一所懸命書くショゾンです。
いつも弱音を吐いてばかりのおっさんが、尾瀬を漫遊する一泊二日の旅。
カメラはいつものX-T1でフォトウォーク♫
標準コースタイム
■2024年8月17~18日 ※カッコ内は標準コースタイム
鳩待峠⇒(60分)⇒山の鼻キャンプ場⇒(85分)⇒龍宮小屋⇒(30分)⇒見晴⇒(25分)⇒龍宮小屋⇒(85分)⇒山の鼻キャンプ場⇒(150分)⇒至仏山山頂⇒(25分)⇒小至仏山山頂⇒(100分)⇒鳩待峠
コースタイム:9時間20分
距離:23.9㎞、累積登り:970m
尾瀬散策と至仏山登山
戸倉駐車場から鳩待峠へ
ここは尾瀬の玄関口、群馬県片品村にある戸倉駐車場。
まだ夏休み期間だし、それに土曜日だし、多くの人が尾瀬を目指してるもんだとばかり思ってたんだけど、駐車場は半分ぐらいしか埋まってなかったよ。
戸倉駐車場から鳩待峠まではバス移動。
ちょうどバスが待ってたから慌ててチケットを買って乗り込む。
片道1,300円なーりー(2024年時点)。
とうちゃくー。
予想に反して、意外と暑い。
親から尾瀬は涼しいところだと刷り込まれたであろう子どもがバスを降りて、「すっごい涼しい!」を連発してるのが無邪気で可愛いじゃないの。
やってきましたよ、尾瀬。
最盛期に比べたら人気は下火かもしれないけど、やっぱり特別感はあるよね。
鳩待峠から山の鼻キャンプ場へ
テントを背負って登るのが嫌だという人は安心してほしい。
鳩待峠からテン場のある至仏山荘へは下り。
標高を200mほど下げるんだよ。
帰りのことは考えるでない!
一歩樹林帯に踏み入れた途端始まる原生林の森。
杉林というつまらない過程を経ないで、こんな手軽に大自然に触れられるのが素晴らしい。
木道の整備は東電。
熊よけの鐘を鳴らして進むべし。
真夏の定番、マルバダケブキ。
山の鼻キャンプ場でテント設営
40分ほど歩いて山の鼻エリアに到着。
ここ至仏山荘で山の鼻キャンプ場の受付けをするんだけど、自分がまさかのテン場一番乗り。
熊の出没が不安だから「このまま誰も来ないなんて、ないですよね?」って聞いちゃったもんね。
キャンプ場の前にはビジターセンターがあったり、山の鼻エリアには至仏山荘の他に山の鼻小屋、尾瀬ロッヂといった小屋が密集している。
さすがです、尾瀬は他の山とは違う。
ちなみに、至仏山荘ではテン泊者向けにストーブで作れるパエリアやすき焼きのプレートなんかも販売されてるそうです。
事前に知ってたら荷物減らせたのにぃー。
こちらが至仏山荘のレストランです。
ちょっと様子が見たくて中に入るだけで、何人かの店員さんが元気よく「いらっしゃいませー!」と言ってくれて、おっさんは怖じ気づく。
とりあえず身軽になりたくて、山の鼻キャンプ場一番乗りでテントを張ったよ。
テントを張ってると軽く雨が降ってきて、ちんたらしてたことを後悔した。
幸せのとんぼが舌をだして笑ってらぁ。
長渕剛のとんぼの「北へ北へ向かった」という歌詞がいかにも鹿児島出身者らしいポイント。
福岡から見た東京は北ではなく東って感覚だからね。
尾瀬さんぽ
小雨がやんで、すかさず尾瀬ヶ原を散策に出かける。
どこまで歩くかは決めてないけど、とりあえず見晴エリアまで行ってみることに。
今思えばなぜ傘を持たずに出かけたんだろう。
こちらが山の鼻エリアにある尾瀬ロッヂ。
この隣に山の鼻小屋があるんだけど、お酒の自販機が至仏山荘より50円ほど安くてお得。
あたし、下戸ですが…
熊は高い確率で現れるので、どうしても野生の熊を見てみたいという方は早朝の尾瀬ヶ原に出向いてみると良いよ。
素晴らしい天気の下、自然の中ですごすひとときを堪能しようではないか。
振り返った至仏山の山頂はガスの中。
明日登るかどうかはまだ分からない。
サワギキョウ。
ワレメコウ。
コバギボウシ。
ヒツジグサ。
今日こそ「山って楽しいところ」を伝えるという本来のブログの目的を遂行できる気がする。
オオニガナ。
このブログは、花ブログでもなければ、おっさんの自虐ブログでもない。
「日本一爽やかな山ブログ」だと高らかに宣言する。清潔感がモットーです。
えっちらおっちら歩いて、見晴まで意外と遠かったぜぇと思いきや、ここは龍宮小屋で見晴はまだもうちょっと先。
龍宮小屋から見晴まではあと30分。
日傘がほしいけど、晴れると景色は最強に美しい。
10年ぐらい前、ここの沢に魚がいたのを覚えてて、よーく見てみたらまだいた(笑)
再会できて嬉しいよ。
山にはガスがかかってても、自分の上には青空が広がりめちゃ暑い。
せっかく晴雨兼用の傘を買ったのに持ってこなかったことを激しく後悔。
燧ヶ岳と見晴エリアの素晴らしい景色が近付いてきてわくわくするけど、さすがに疲れてきた。
見晴エリアのご紹介
こちらが見晴のテン場。
なんか前より狭くなった気がするけど、山の鼻キャンプ場よりかは広い。
見晴のテント泊受付はこちらの燧小屋で行う。
ここ見晴エリアも小屋が密集している。
こちらが第二長蔵小屋。
ここが檜枝岐小屋。
檜枝岐という様に、ここはもう福島県。
山の鼻エリアの群馬県から福島県まで歩いてきたよ。
ちなみに、龍宮小屋付近が群馬県、福島県、新潟県の県境になっている。
こちらは尾瀬小屋。
ここでステーキ丼を食べるつもりだったけど、まだおにぎりが残ってたからぎりぎりのところで節約することを選択。
ボンビーらしい決断だ。
おいしい水は無料だから、おにぎりで足りない分はこれで満たす。
この尾瀬らしい湿原と山小屋と青空がご馳走なのだと言いつつ、すかさずハイチュウを頬張る。
さて、山の鼻へ戻ろう。
山の鼻エリアへ戻る
そしてスコールに見舞われる(ToT)
せっかく晴雨兼用の傘を買ったのになんて持ってこなかったんだか…。
龍宮小屋に逃げ込んだけど、もうすでに雨宿りなんて意味がないぐらいびしょ濡れになった。
雨上がりでさっぱりした尾瀬ヶ原。
龍宮小屋で一緒に雨宿りしてたカップルが歩くのが速すぎて追いつけなかった。
湿原に反射する青空。
今度は濡れた服があっという間に乾いていく強烈な日差し。
なんにしても尾瀬って楽しいところだよなぁ。
楽しぃ〜楽しぃ〜♫
日本一爽やかな山ブログを目指した成れの果ての姿がコレだ。
デフォルトで脇腹に栄養を蓄えられる最強ボディ。
いま戻ろうとしている至仏山荘の辺りは確実に雨が降ってるなぁと思っていると、早速ここでも雨が降り始める。
霧雨だからそのまま濡れながら歩くのも、それはそれで気持ち良かったりする。
湿原ではよく油が浮いてるのを見るけど、これは鉄分が酸化して浮いているだけ。
水質汚濁ではないのだよ。
尾瀬ロッヂに戻ってきたときには快晴。
至仏山荘前のベンチはびちょびちょ。
テントの数はまあまあ増えたけど、混みすぎてる訳ではないし、ちょうどいい感じ。
それに尾瀬の特色だろうか、やんちゃな人がいないのも実に良い感じ。
今回はダイソーで買った「ご飯が炊ける炊飯袋」なるものを持ってきた。
ただの不織布の袋なんだけど、それにお米を入れて20分ほどお湯で茹でたらお米が炊けちゃうという話なんだけど、半信半疑で試してみたらちゃんと炊けてたよ。
コレいいかも。
ちなみに今日のメインディッシュは無印のスープカレー。
せっかく490円もしたのにご飯がぜんぶ吸っちゃってまったく味わえなかった(笑)
1合も炊くんじゃなかった。
そのくせ1合だけだと足りないから、菓子パンでも売ってないかなぁと山の鼻小屋に潜入。
ちょうど夕食時だったから小屋の皆さんは忙しそうで、結局何も買わずに出たよ。
夕方の6時で気温は25℃。
なんか聞いてた話と違って暑いんですけど…。
まあ下界は40℃近い気温だったらしいから、それに比べたらそりゃ天国だけど。
日が暮れていく。
おやすみなさい。
山を歩いてる時より、寝る時間がいちばん幸せだなぁなんて思いながらシュラフに潜り込んだよ。
明日はテントを背負って至仏山に登って、そのまま鳩待峠へ戻る予定。
至仏山登山
はい、朝になりました。
「熊がいて尾瀬ヶ原を歩けないよ、参ったな」と言うおじさんが困ってる風で実に楽しそうに話し掛けてくるから、それに少し付き合ってあげてからの登山スタートです。
辺りには朝の高原っていう雰囲気が漂う。
5時に起きてテントを片付けて6時歩き始めというのんびりプラン。
鳩待峠発10:30のバスに乗る予定。
ヤマハハコ。
湿原らしくもやが垂れ込める清々しい空気とは裏腹に、熊がどこかに隠れていないかビビりながら歩く。
さあ登りだ。
至仏山って年中こんなトレイルなのかなと、前に登った時ももはや川だったもんね。
うーん、今日は天井がやけに低いし重い。
ちなみに今日はてんくらA予報。嘘だろ。
30分ほど黙々と登れば、ところどころ蛇紋岩がむき出しになってくる。
どうでもいいのてすが、福岡市動物園に念願の象がやって来た。
1年前から、ずーっとまだかまだかと待たされて、たしか12月頃にやってくる予定だったのが更に遅れ、、
7月末にようやくミャンマーから象がやって来てくれました!!
わーい。うれぴー!
動物園で象が見られるのを当たり前だと思ってたけどね、いなくなると絶滅危惧種の象を輸入するのがすごく大変なんだなってことがよく分かったよ。
それに、全国の動物園で象の高齢化も進んでるから、それこそ限られたところでしか見られなくなるかもしれない。
市原ぞうの国にはたくさんいるけどね。
下の尾瀬ヶ原から爆竹の音が鳴り響く。
ふむ、熊は困るぐらいたくさんいるだけどね。
樹林帯の背が低くなってきた。森林限界が近い。
するとすかさず天候は悪化。
さらに悪化。
あぁぁ…。
休憩しにやって来た蝶々。
おっ。少し晴れ間がでてきた。
小さな窓から顔を出してくれたみたいだ。
ヒメコゴメクサ。
ガスがうごめく。この光景だけで登山したことない人は感動しそう。
なんと晴れた。
嘘みたいな展開。
前回の蓼科山ではまんまとガスまみれになったからね、結局運なんてとんとんで終わる。
足元にカトウハコベが咲いてないかな?と探しながら歩く。
これはウメバチソウ。さすがに8月だから終わっちゃったっぽい。
カトウハコベは見つからないけど、どんどん晴れていく。
さあ、勝利の山頂はもう目の前だ。
ツリガネニンジン。
至仏山の標高差は1,000mに満たないんだけど、久しぶりのテント泊装備だったからかなり疲れたよ。
今日は体をテント仕様に目覚めさせるつもりだったけど、逆に自信喪失したよ。
そして山頂に着いてみればガスの圧勝。まさかの。
(ToT)
昨夜、至仏山荘で買ったバームクーヘンが本日のお昼ごはん。
登りは自分には暑すぎてね、食欲もいまいちなかったから、これぐらいでちょうどよい。
今日は縁がなかったけど、前回は完璧に晴れてくれたから、まあこんな日もあるさと。
下山しまーす。
そしていきなり蛇紋岩で激しく滑った(ToT)
これなんてまさに蛇紋岩。
標高を下げると再び晴れてきた。おいおい。
目の前の小至仏山にかかっていたガスも晴れて姿を現してくれた。
本ビークが残念だったからね、その代わりと言っちゃなんだけど、子で我慢してやるわい。
なのにまさか、小至仏山の山頂まであとわずかというところでガスるというね。
今日はつくづくツイてない。
背景に白い屏風を配置してみました。
ちなみにいつも思うけど、至仏山の標柱って墓石っぽくてね、小至仏山なんて冗談で「故 至仏山」なんて書きたくなる。
そんなことを思ったから罰が当たったのか、ますます真っ白な世界へ突入。
ボエェ〜。
そして下り始めたらまたも晴れる。
なんだよーちくしょー。
振り返っても晴れてる(笑)
くっそーまた来るよ。
ここの下りは右側の斜面がお花畑になってて、6月〜7月初旬に来るのがお薦め。
さすがに8月だからチングルマはすっかり綿毛。
これはこれでいい。
コバギボウシ。
もう夏から秋の花へシフトしている。
こんなに暑くても山では季節が進んでるんだな。
尾瀬ヶ原は見事に晴れたけど、燧ヶ岳は姿見せず。
まだ至仏山の方が条件が良かったっぽい。
ここら辺で、10:30のバスに間に合わないかも!ってことに気付き、残り3キロを超ハイペースモードにギアシフト。
YAMAPのヒートマップが真っ赤になるぐらいのペースで、転がるように下ってきた。
残り1キロというところで間に合うと確信が持てたよ。
樹林の隙間から建造物が見えた。
ゴールが見えた時と山頂に着いた時、どっちの方が嬉しいんだろう。
尾瀬の観光客って年々減ってると思うんだけど、また新たな箱物が建てられるっぽい。
それか建て直しかな?
鳩待峠に到着。ここでバス券を1.300円で購入。
往復2.600円だもんね、まあ楽しめたけどやっぱりちょっと高いなぁ。
あんなに急いだのに、バスには一番乗りで乗車できたから慌てる必要はなかったのねん。
バスの運転が優しくて、うとうと眠ってしまった。
バス酔いに苦しんだ南アルプスの広河原〜芦安の荒い運転に比べたら天と地の差。
安全運転ありがとうこざいました!
おわり
山の鼻キャンプ場は初めて利用したけど、小屋は多いし、フラットだし、ほんとのんびりするには最高のところだったよ。
見晴エリアも良いところだけど、あえて違いを探せば見晴の方が炊事場が広いってことぐらいかな。まあどちらも天国。
行程のほとんどが尾瀬ヶ原の平坦の散歩だったけど、それでも全部で23kmも歩いたらそりゃ疲れるよ。
いったいなんだってこんなに歩いてしまったのか。
やはり尾瀬は特別な場所だと思って、ボンビーらしく無駄にぜんぶ楽しんでやろうとがめつい根性がでてしまったみたいです。
そんなわけで、ぜんぜん伝わらなかったかもですが、尾瀬はやはり楽しいところです。
ではでは