【埼玉】鐘撞堂山とたてがみの豚丼 迷わず行けよ!豚丼前線危ぶめば豚は無し登山

【埼玉】鐘撞堂山とたてがみの豚丼 迷わず行けよ!豚丼前線危ぶめば豚は無し登山

日本ワンコイングルメ協会。

ここに一本のタレコミがあった。

「波久礼駅前の豚丼がマジやべぇ」

というものだった。

 

秩父の「野坂」は有名だけど、波久礼駅とは…。完全に盲点だった。

どうにかして行くしかない。

Googleマップを見てみると、すぐ近くには鐘撞堂山(かねつきどうやま)があるではないか。実は前々からハイキングにちょうど良い山だと思っていた。

 

NGO法人山のアニマル協会。

折しもここにも一本のタレコミがあったばかりだ。

「陣見山でカモシカを見た!」というもの。

 

どげんかせんとして行くしかない。

カモシカはにわかには信じがたいが、豚丼は食べたい。という訳で決めたコースは、

「桜沢公民館〜鐘撞堂山〜円良田湖〜陣見山(カモシカ)〜波久礼駅〜豚丼〜桜沢公民館」の周回コース。

しかし、このコース、18kmもあってもはやハイキングの域を超えている。

豚丼を美味しく食べるためにはそれぐらいの試練が必要なのか。。

世界で唯一、登山とワンコイングルメの両立を目指す宿命なのだ。

決行せねばなるまい。

 

まだ2月の埼玉の低山ハイクは涼しく、それでいてよく晴れて寒くない。最高のコンディション。

なにより、今日はお腹の調子も良い。

条件は揃った。

最高の豚丼が待っている。ぐだぐだに疲れてやろうじゃないか。

 

さあ、豚丼前線、この一足が道となる。迷わず行けよ。

乞うご期待。

 

鐘撞堂山は標高305m、関東百名山。

日本全国、豚丼の旅。素晴らしい埼玉の自然が待っている。

 

ルートとコースタイム

■2022年2月23日 ※カッコ内は標準コースタイム

桜沢公民館⇒(20分)⇒八幡山山頂⇒(75分)⇒鐘撞堂山⇒(35分)⇒円良田湖⇒(25分)⇒円良田特産センター⇒(25分)⇒虎ヶ岡城址⇒(65分)⇒陣見山⇒(55分)⇒虎ヶ岡城址⇒(60分)⇒波久礼駅の豚丼屋(焼肉たてがみ)⇒(110分)⇒桜沢公民館

コースタイム:7時間50分(休憩含まず)

総距離 18.0キロ
累積標高上り 1,230m

鐘撞堂山~陣見山 そして豚丼 本編

桜沢公民館から登山開始

豚丼を食べに来た。

今日はいつもより意気込みが違う。

登る前から既に腹が減っている。

鐘撞堂山は豚丼の前哨戦にすぎない。そして出発地はここ、桜沢公民館の駐車場。

電車でのアクセスも良くて、秩父線の寄居駅からここまで歩いて10分ぐらいの距離。

 

八幡神社で安全豚丼、並びに安全登山を祈願しておきたかった。

なのに、おお、ジーザス。これは何の試練ですかぇ?

お賽銭箱には指を伸ばせば届く距離に千円札があるじゃないか。

これで豚丼をたらふく食べなさいという神の声が聞こえる。いや、もしかするとこれは、神様は自分が誘惑に負けてしまう弱い人間かどうかを見て楽しんでいるのかもしれない。

しかも寄居警察署がすぐ近くにあるという好立地。きっと簡単に捕まるだろう。これは誘い水なのだ。

こんな誘惑を仕掛けてくるなんてひどい!

いっそ木の枝で奥に押し込んでしまいたかったが、その行為自体が賽銭泥棒に間違えられそうだったから余計なことはやめておこう。

この神社の左奥にある登山口へ向かおうぞ。

 

空腹の登山開始

ここから登山開始。

 

登り始めは、なかなか急な上り坂でスタート。

一気に標高を稼いでから、鐘撞堂山まではなだらかな尾根道が続くといった感じ。

 

ちょっと登っただけで休憩できるポイントがでてくる。

町民の散歩コースといった感じ。

 

新緑の季節は気持ちの良さそうな道が続く。

開放的で気持ちが良い。

2月でよく晴れた日というのも低山ハイクに完璧な条件。

こんな良い日なら谷川岳でも良かったんだけど、風が強めの予報だったから低山にしといて正解。

 

どんぐりがぽろぽろ落ちてる。

動物に食べられた形跡ではなさそうだよ。

果たして、あの国の天然記念物カモシカが、こんな街のすぐ近くの山にいるのか疑わしいぞ。

 

八幡山の山頂に到着した。

八幡山というピークがあることを知らなかったから突然の山頂にびっくり。

こんな簡単に山頂に着くなら宝登山まで軽く歩けちゃいそうだと気持ちばかり大きくなってしまう。

 

埼玉、そして栃木といえばホンダ。

アイルトン・セナもホンダがF1撤退する時に、和光、栃木のホンダありがとうと言っていたのを思い出す。

ここ寄居にもホンダの工場がある。

 

尾根から見える街が近い。

ここら辺は群馬方面、長野方面に登山しに行く時によく通過するエリアなので、それなりに馴染みはあった。今日は実際に歩いてでしか見つけられない旅にしたい。

 

八幡山から先は、なだらかに下ったり登ったりを繰り返して鐘撞堂山へと近づいていく。

なんて平和なんだと思っていたら奴がきた。

空腹ちゃんだ。

突然、空腹の限界が襲ってきた。登山あるあるなのか?自分の場合、よくあるパティーン。

確実にこのままでは陣見山までは持たない。

ついさっきまで、宝登山まで歩けちゃいそうだ、楽勝だなーガッハッハーと言ってたのが嘘みたいだ。

 

あら、カタクリの自生地なのねん。

カタクリが咲く季節まであと2ヶ月ほどか。花粉は辛いけど早く春になってもらいたい。

 

鐘撞堂山まで残り0.8km。

腹減った。行動食のキャラメルを食べれば、なんとか山頂までは持つと思う。

 

左の巻道と、右上へと伸びるコースへの分岐点。本来なら迷わず巻道を選択したいところだけど、ここは山頂に向けて右上へと進む。仕方ない。

左の巻道に行っても山頂へは行けるんだろうけど、かえって遠回りになりそうだからね

 

左前方に山頂が見えた。

鐘撞堂山ハイキングコースはずーっと日当たりの良いトレイルが続くのがいい。素晴らしい、と称賛する一方で腹が減りすぎてフラフラする。

やべぇやべぇ。鐘撞堂山でシャリバテして撤退なんてしたら末代までの恥だ。

 

鐘撞堂山の山頂とロウバイ

ロウバイが咲いている。

もう山頂だ。

今更だけど登る前に豚丼食べれば良かったんだと、企画を台無しにする考えが頭をよぎる。

 

山頂の見晴らし台からは広大な関東平野が一望できる。

誰しもが簡単に歩けてしまうお手軽さ。それでいて開放感抜群のトレイル、そしてロウバイとこの展望。

やはり鐘撞堂山は良い山だった。

春には麓の円良田湖は桜がたくさん咲くというから、そっちも良さそう。

 

下を向けばロウバイ。ちょっと遅かったかも。

土の色と同化して分かりにくい。

 

その昔、ここで鐘を撞いて寄居の鉢形城に敵襲を知らせていたというのが鐘撞堂山の由来。

これから向かう虎ヶ岡城ではないというのが、ストーリー的にはちと残念だけど、まあそんなもんだ。

ちなみに、その虎ヶ岡城址からの景色は良かった。

陣見山は武田軍勢の物見の兵が、その山頂から敵方陣地の雉ヶ岡城を見下ろしたことが由来らしい。

ここら辺は戦が多いエリアだったんだね。

なにはともあれ、鐘撞堂山ではちゃんと鐘を撞いておかねば。

 

ロウバイだけではなく、梅も咲き始めていた。

ほんと、良い季節に来れた。

 

東屋の奥に見える櫓が、さっき言ってた見晴らし台。

山頂は広くてベンチも多いから、ここでしっかり朝ごはんを食べてしまった。

おにぎり3個、おまけにハンバーガー1個、そしてSOYJOYを1本。

止まらなかった。

腹が減りすぎるとこうなる。

しかも止まらな過ぎて誤嚥して危うく死ぬところだった。企画倒れになるところだったぞ。

 

東高山と西高山を経て円良田湖へ

しかし、これで一気に復活した。

むしろ腹が膨れて歩きにくい。

一歩一歩が胃からこみ上げてきそうだ。

こうなると豚丼のためになんとしても腹を空かせなくてならない緊急事態ということになる。

とにかくたくさん歩かねばっ!

 

多くのハイカーが左の円良田湖方面へ向かうところ、ここを直進してみる。

直進しても円良田湖方面へ下っていくんだけど、よく整備されたコースばかり歩いてても面白くない。

藪っぽいのは最初だけなんだけど。

 

ちょっとマニアックなコースでもしっかり歩かれている、さすが人気の鐘撞堂山。どこを歩いてもきっとコースは明瞭なんだろうな。

そしてなにより、メインコースから外れただけでとても静かで良いコース。

 

静かなコースだと足を止めて空を見上げる回数も増える。

こっちのコースに逃げてからすれ違ったのは2人だけ。

 

東高山に到着。

YAMAP地図にはなかったピークだった。

 

冬は樹林帯でもよく見える。向こうに見える山は、たぶん皇鈴山。

定かではない。宝登山だったらごめんよ。

 

このアップダウンが豚丼をより美味しくしてくれる。豚丼のために歩くんだ。

陣見山まで登る体力は温存しておきたいとか、そんな甘っちろい考えは捨てた。

豚丼をいかに美味しく食べるか。それが最大ミッションだ。

限界まで疲れてやる。

 

やったぜ上りだ。

これでまた更に豚丼が美味くなる。

 

西高山に到着。

まあなんて適当な名付けなこと。

 

登り始めからずーっと原生林。すぐ近くの外秩父七峰縦走の山々は杉林が多いのに、信じられへん。

ハイカーが集まるのもよく分かる。

 

前から登りたいと思っていた鐘撞堂山で晴れてくれるなんて、今年の天候の運を使い果たした感じだ。

さてさて、今年のアルプス登山の天気は大丈夫だろうか。

2021年の白馬大池での豪雨とカミナリはめちゃ怖かった。今でもなんで小屋に逃げずにテントに残ったのかと思う。

何ともなかったから良かったけど、他の登山客がテントに残ってたからってのもあって周りに流された。

次からカミナリが落ちそうなら迷わず小屋に逃げようと思った。

 

西高山を過ぎると円良田湖に向けてちょっと急な道を下っていく。

急な下りがももの筋肉を破壊し、栄養分を奪い、豚丼をより美味しくしてくれる。

全ては豚丼のために。オールフォーブタ、ブタフォーオール。

 

円良田湖は釣り客がたくさん。

バス釣りではなくフナ釣りっていうのがいい感じ。

 

釣り客の車がたくさん路駐されている。

桜の開花時期はすごく混雑しそう。

 

どこかしこに咲く梅と青空で、失語症になってしまいそうだ。

 

円良田特産センターとかりんとう

円良田湖から一旦離れ、大通りに出て虎ヶ岡城址へ。

まだまだだ。

腹を空かせないと。

もっと歩かないと。

 

円良田特産センターという、センターと言うのはちょっと大げさな直売所がでてくる。

しかし、ここには立ち寄ってみるべし。

実はこの歩いた2月は円良田湖のトイレが冬季使用不可だったから困ってたんだよね。ここに立ち寄ってトイレを借りた。

 

トイレを借りるだけでは申し訳ないし、せっかくだから何か名物でも売ってないか物色。

ここら辺の名物が何かなんて、これまで考えたこともなかった。田舎っぺうどんが美味いことぐらいしか知らない。

 

そう言えば、道の駅はなぞのはかりんとうが有名って聞いたことあった!

ここからだと割と近くだし、きっとその影響というか、相乗効果で美味いはず。

しかも、よーく見てみれば「ゆーあいハウスおがの」って書いてある。きっと障害者支援施設だろう。なるべくこういう施設が販売してる物は障害者の雇用にも影響するから多少高くても優先して買っておきたい。仕事もとても丁寧だ。

賽銭箱の千円札に惑わされた男が言うことではないのだが。

そんな訳で、シナモン味をチョイス。

一つしか買わないセコさは許しておくり。

 

虎ヶ丘城址の鬼の階段

これから向かう虎ヶ岡城址と陣見山までのコースで再確認。

 

道に迷わないか不安だったけど、しっかり案内標識がたくさんでてくるから迷うことはなかった。

さきほど立ち寄った円良田特産センターへの案内の多さが目立つ。

他に目印になる様な所がなかったからだろうけど。潰れたらどうするんだろ。

 

集落を抜けていく。

町民の皆さん、挨拶をすると伏し目がちに挨拶を返してくれた。

みんな照れ屋でしー、と思ったけど、ただの不審者にしか映らなかっただけだろう。

自分だって家の前を見知らぬデカいおっさんが、ふんふん鼻息荒めに歩いてたら目をそらす。

 

ここにも円良田特産センターへの案内。

円良田特産センターへは迷わず行ける。

 

そして途端に人の気配が消えた。

鐘撞堂山はハイカーが多すぎたからか、余計に寂しく感じる。

ここですれ違ったのは、人気のない山を攻めるのが好きそうなツワモノ山ガールが一人で下りてきたぐらいか。

本当にカモシカが出てきそうな雰囲気になってきた。

 

はいはい。

 

尾根に出た。

ここから波久礼駅へも行けるのか。帰りはそうしよう。

 

尾根に出てから虎ヶ岡城址へと続く鬼の階段。

一気に登りきれず、途中で座り込んだ。

 

へたり込んだところで見渡せた景色。

このどこかに鐘撞堂山があるはずなんだけど、地味な山頂でさっぱり分からない。

 

さあ、見えた。

疲れた。ガチでぶっ倒れる3秒前。

 

広い!さすが城跡。

開放的で風がちょーきもちいいー。

 

美味い!!

もっと腹を空かせたいけど、せっかくかりんとうを買ったんだから、1本だけのつもりでつまんだら止まらなかった。

 

やべぇ。

 

腹を空かせないと。

 

もっと歩かないと。

 

それにしても、ここからの景色が今日イチだな。

陣見山の山頂からはどうなんだろう。

陣を見下ろしてたんだからさぞ絶景が広がっているに違いない(前ふり)。

 

陣見山のカモシカ

12:15

陣見山はここから2キロちょい、60分か。行って戻ってきて波久礼駅まで下ったらコースタイムは3時間ほど。豚丼の閉店が確か15時だから、頑張ればぎりぎり間に合うな。

この一足が美味い豚丼への道となる。迷わず行けよ。レッツらゴーの助。

 

馬頭観音かな?

さあ、ここからがカモシカの目撃情報のあった会場だ。

一瞬も気が抜けない、カモシカさんえらっしゃ〜い。

 

そんなカモシカとの出会いを前にわくわくした気分が根こそぎ吹き飛ぶ、急登が始まった。

緩やかに見えるけど、これが長く続く。かなりしんどかった。

 

しかも、こんな頑張ったのにすぐ近くに車道が見えて失望。

間瀬峠・陣見山ビューラインという道路らしい。車で来れちゃう山ほどガッカリさせる物はない。

本当にこんなところにカモシカがいるんだろうか。

 

急登に次ぐ急登で、もう足に力が入らない。こりゃ何気に60分で山頂に着かないかも分からないぞと、漠然とした不安が襲う。

しかし、ここまで来て今更引き返すわけにはいかない。

もっとお腹を空かせないと。

 

雪が出てきた。

 

オエェ〜

しんどい登りばかりが続く。そして案の定、全然カモシカらしきものはいない。

しかも、それまで開放的で明るかった登山道は、今や深い杉林で闇夜の様だ。

 

最後の方は雪でガチガチに凍ったトレイル。

アイゼンを持ってこなかったからここでも失速。

 

そして、またもや車道が出てきてリアルガチで失望。

こんなところを、

こんなところを、

カモシカが歩いているはずがないんだ!

(ノД`)シクシク

 

まだ見ぬカモシカに思いを馳せてやって来たが、あてが外れた様だ。

しかも、ローカットシューズの中に雪が入りまくって霜焼け確定。今日が陣見山の悲しい記憶として一生残ることだろう。

 

おお、武甲山が見える!

山頂の100mぐらい手前、切り株の上に立って背伸びすれば絶景が見える。

女性や子供にはちょっと厳しいかも。

きっと山頂では絶景が広がっている。

 

さあ山頂だ!!

 

あれ。

うそだろ…

テレ玉のアンテナしかないじゃないか!

 

苦労が何一つ報われないという、アンテナと日陰と部屋とYシャツと眺望ゼロ。

それまで虚勢張って頑張ってきたが、さすがに心が折れた。

ハイカーが少ないのにはちゃんと理由がある。異様なまでに沈黙に包まれる山頂。

放心。

ここまで歩いてガチで損した。

 

そう後悔していると、後からやってきた物好きなお兄さんがやってきて、打ちひしがれる自分を憐れみ「この山は景色無いんですよ(笑)」と言って、山頂を楽しむ様子もなく、踵を返して帰っていく。

ただのトレーニングで来た様だ。

 

残念すぎて、こうなったら宝登山まで歩いてやろうか?と血迷った考えが浮かんだのも事実だが、自分もこれは腹を空かすためのトレーニングだと思い直すことにした。

そうだ、カモシカなんて最初から探しちゃいないんだ。ただ歩きに来ただけ。そう思い直す。

登山なんか楽しんじゃいけなかったんだ。

うっかりうっかり。てへっ。

(ノД`)シクシク

 

「たてがみ」の豚丼が待っている。

よし、戻ろう。

涙が止まらない。

 

波久礼駅へゲッザーン

今日の豚丼はきっと沁みるぜぇ〜と思いながら、道を戻ってきた。

ここは波久礼駅と円良田特産センターの分岐。ここを波久礼駅方面へ。

ちなみに、特産センター経由で波久礼駅に行ってもそれほど時間は変わらない。

 

すぐ近くに見える山々が虎ヶ岡城址だと思うんだけど、どれもこれも同じ山に見えて分からないのが里山あるある。

虎ヶ岡城址まで歩いて波久礼駅へ下るのが正解だったんだ。

陣見山は悪くない。ちゃんと調べずに企画を立ててしまった自分がぜんぶ悪いんだ(前ふり)

 

波久礼駅まで近道で、それでいてずっと下り基調だと信じて進んだ尾根道は、しっかりアップダウンがあってまんまとしてやられた感じ。

これなら円良田特産センター経由で波久礼駅に向かった方が楽だったのでは?という考えが頭をよぎりまくるが、いかんいかん、そうではない。

これで豚丼がより美味くなるんだ。

この一歩は小さいが、ブタへの偉大な一歩なのだ(アームストロング風に)

危ぶむなかれ、危ぶめばブタは無し(アントニオ風に)

 

しかし、もう時間に余裕はない。

途中にあった祠で無事間に合うことを祈る。

祈ってる時間もないのだが。

 

最後にガツンと下る。こういうパティーンなのね。

ぜんぜん急げないっ。それでも急げ!

 

かんぽの湯寄居が見えた。

ああ、波久礼駅はもうすぐそこ。

腹もいい感じに減ってきた、完璧なプランだ!

 

かんぽの湯の裏を波久礼駅方面にショートカット。

YAMAPで近道を歩いた方の軌跡をダウンロードしてきて良かった。

 

畑を踏まないように、民家の塀沿いに細いあぜ道を歩いて出てきた。体がでかいから細いところは苦手だ。

 

そして波久礼駅は目の前。

間に合った。時刻は14:25。

タレコミによると閉店は15時。ラストオーダーは早くても14:30だろう。

ちなみに駅前のうどん屋も美味しそうだったから、次回はあちらにお邪魔してもいいな〜と、爽やかに食欲を振り乱しながら歩く。

これまでの日没ぎりぎりを攻める登山では味わえなかった時間だ。

この時の自分は完全に浮かれすぎていた。

覚えているだろうか、天城縦走路を。

浮かれた門に厄来たる。

 

いよいよ本命の焼肉たてがみの豚丼

さあ、今日の最終目的地に着いた!「焼肉たてがみ」さんだ。

空腹の限界を迎えても、かりんとうを全部食べ尽くすことなく耐えた。そのご褒美タイム。

もう今後は山なんていいから、グルメブログ一本に方針転換しても良いかもしれない。

ふんふん〜♫るんるん〜♫

 

完全に浮かれていた。

 

支度中!!!ウソでしょ!!

 

リアルにくらっときた。

もう何もかも捨ててどこかにへ旅立ちたい(東尋坊に佇む自分をイメージできた)。

震える手をおさえながら店の中を覗くと、まだ食べている客がいる。

今にも泣き崩れてしまいそうだが、なんとか平静を保って、お店の女将さんに話を聞いてみると、

「14時までなんです〜」

とのこと。

 

どうやらタレコミにガセ情報が混じっていた様だ。

( ノД`)シクシク…

 

この企画を思いついた1週間前から今日この時まで、豚丼のことしか頭になかった。

仕事も手につかなかった。

もう生きていけない。

お店の前のテーブルに突っ伏して泣いた。

ついさっきまでうどんもいいな〜とか言ってたくせに、今さらうどんに切り替えなんてできない!とダダコネをご披露。

ううっ、うぐっ、うぅっ(泣)

 

やっと、やっと少し落ち着いてきた。

ちゃんと自分の目で調べずに企画を立ててしまったのが悪いんだ。

 

仕方ない。

最後に、お店の前で泣き崩れる自分の写真を撮ろうと、膝をついて準備していると、再びお店の中から現れた女将さん。

「あのぉ」

女将さんはそこで少し間を置いた。

おもむろに凹んでいる自分にどん引きしているのだろう。

 

「お弁当なら準備できますけど、どうされますか?」

 

 

生きててよかった!

 

もちろんデカ盛りを注文。

 

お店の前のテーブルで食べさせてもらった。ぽかぽか天気だし、むしろ外の方がいいね。

しかも、お茶まで頂いちゃって。営業時間過ぎてるのに、女将さん良い人だなぁー。

そんなサービスもあって、たくさん歩いたし、豚丼以上の味がした。

この後、店主も現れたので、しっかり感謝を伝えさせていただきました。

朕は満足であるぞ。グっ。

 

国道140号沿いの散歩

ありがとう豚丼。

波久礼駅から寄居駅まで電車で帰ろうか迷ったけど、あとは平らな道をえっちらおっちら散歩するだけなので歩くことにした。

そして振り返れば陣見山が見える。

山頂にあったアンテナが見えないけど、きっと陣見山のはず。

 

単線の踏切を渡って山側の歩道を歩く。

いつも車や電車で通ってる140号線沿いだけど、歩かなきゃ見つからない風景を楽しもう。

 

ただの橋だけど、「西行戻り橋」という名の橋。鎌倉時代の歌人西行法師がここの集落の子供たちと禅問答をして、返り討ちにあって帰ったのがその由来らしい。

もちろん今では車が渡れる様に当時の橋は残っていない。

でもせっかくなので自分も渡らずに戻っておく。

 

寄居の街のゴミ捨て場が広大すぎてビビる。

ただ何の目的も持たず散歩してるだけなんだけど、それなりに楽しい。

 

撮り鉄が大きなカメラで狙ってたからSLでも来るのかと思いきや、普通の秩父線がやって来た。

朝と夕方にSLが走ってるみたいだから、期待しただけにちと残念。

 

花園城址登り口。花園城なんてあったんだなと、ここでも新たな発見。

そして、おみやげと書かれた瓶の中身は空っぽだった。

どーせ。

 

お寺の前では梅が満開。

いかにも散歩を楽しんでる風だが、もう足が疲れてきて、既に歩いたことを後悔していた。

散々、山を歩いた後なんだ、当たり前だ。

うっかり、大盛りが食べられてまた浮かれてしまった。

今日は車窓から眺める景色で良かったな…。

 

やっとゴール。

豚丼、ありがとう。ブタのお陰で歩き切れたよ。

総距離18キロでヘトヘト。

とてもじゃないけど、今の自分には鐘撞堂山から宝登山までの23キロは歩けないことを痛感した。

 

振り返って

鐘撞堂山は、ヤマケイで「山麓からは同定できないほど目立たない山」と紹介されている通り、自分も麓を歩きながら探したけど、結局見つけられなかった。

そんな山だけど、ロウバイは咲くし、円良田湖は桜で有名みたいなので、4月に花見、そして豚丼とうどんと組み合わせて、トータルで楽しむべし!

虎ヶ岡城址はおすすめです。

静かで景色も良いので。

とにかくその先。虎ヶ岡城址から先の陣見山はストイックな人限定でいいよ、ほんと。

 

豚丼大盛りの旅。

これだけ歩いて豚丼食べれなかったらと思うと、ゾッとするわ。焼肉たてがみの女将さんの優しさに感謝感謝。

ラーメン屋で1,000円使うより100倍満足の豚丼。お店の対応も素晴らしかったな。

素晴らしい!ゲンスー美味い!そんな小学生並みの筆力しか持ち合わせていないので、どう美味いかは、ぜひご自身で足を運んで食べに行って確かめてみてください!

豚も丁寧に焼いてあったけど(どうやら炭火で焼いてるらしい)、お米がやたら美味く感じたよ。

日本ワンコイングルメ協会の調査は終わらない。

てはでは


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