【北アルプス】立山三山 紅葉ブロッコリー!レミ・ワールド炸裂のスピリチュアルな冒険第3部(雷鳥沢テント泊)

【北アルプス】立山三山 紅葉ブロッコリー!レミ・ワールド炸裂のスピリチュアルな冒険第3部(雷鳥沢テント泊)

オラオラ系の大絶景に悶絶ッ!

 

霊山を巡るスピリチュアルな冒険スペクタクルもいよいよ締めくくりの第3部に突入。立山三山お祓いスタープラチナ編だ。

 

厄払いをすべく霊山を巡る。そこには大義という二文字しか存在しない。一切の笑いなしで挑む男の真剣勝負だ。

では、軽く振り返ってみよう。

第1部の白山編では池巡りと弥陀ヶ原の絶景に癒やされたが、終電が心配で地獄の猛スピード下山へと突入し、精根尽き果て天に召された。

第2部の大日三山では圧倒的な紅葉に萌えまくったが、まさかのそもそもが霊山ではなかったという信じられない展開にお祓い肩透かしの刑に処されたのだった。

しかし今日は違う。

霊山の中の霊山、本命の立山だ!

 

長く厳しい修験の道のり。

それまで山頂を覆っていたガスが太陽と強風によって晴れ渡っていく。眼下には紅葉した台地が広がり、立山の圧倒的で巨大な姿が現れた。

息を飲む絶景だ。

吹き荒れる強風の中、景色に見惚れていたら、突然、刺す様な痛みが背中に走った。

うあぁっ!やられた!

がら空きの背後から襲いかかる痛みに、思わず倒れ込む。

 

さあ、おっさんよ。この困難をどう乗り切る。

中年オヤジが困難に抗いつつ、遥かな頂きを目指す散々な旅。

 

立山三山は浄土山、立山、別山。そして立山とは雄山、大汝山、富士ノ折立の総称で、最高峰は大汝山の3,015m。だけど主峰は雄山で、雄山山頂には雄山神社本宮が設置されている。

今回こそ厄払いができることを祈る。

いざ

 

ルートとコースタイム

■2021年9月20日 ※カッコ内は標準コースタイム

雷鳥沢キャンプ場⇒(100分)⇒剱御前小屋⇒(30分)⇒別山⇒(15分)⇒別山北峰⇒(60分)⇒真砂岳⇒(35分)⇒富士ノ折立⇒(10分)⇒大汝山⇒(25分)⇒雄山⇒(45分)⇒一の越山荘⇒(40分)⇒浄土山⇒(95分)⇒雷鳥沢キャンプ場

コースタイム:7時間35分(休憩含まず)

総距離 13.0キロ
累積標高上り 1,480m

霊山第3部 立山三山~お祓いスタープラチナ編~

寝起き

テン場の朝は早い。

みんな山の稜線でご来光を見たいと思って2時頃には起き出す。誰か一人が鳴らすガサガサをきっかけにガサガサの連鎖が始まり、しまいには闇夜をつんざくガサガサフィルハーモニー楽団によるビニールノイズで、不快に目覚めるというのがテン場でのお決まりになっている。

ああー、耳栓忘れたわ。

そう言って後悔するのも毎度のルーティンで、「あー俺って学習しねーなー」と毎回同じことを思う。

 

そしてテントから顔だけ出して星空をチェックするのもいつものルーティン。

今日はオリオン座がよく見える。

最近、星空撮影のコツをつかんできた気がする。まだまだ下手だけど、どういう設定にすればちゃんと映るのか、月が明るい時はこれぐらいが限界だなーとか、なんとなく分かってきた。

今頃か?と自分でも思う。今更ついでに言わせてもらうと、今年になってからやっとミニ三脚を持ち歩くようになった。前までは手持ち。手ブレ補正の無いカメラでよく手持ちで星空を撮ってたなと自分でも感心する。

話を戻すが、とにかく晴れ渡った空を見て今日も良い一日になりそうだなーと、期待に胸が膨らむ。

 

真っ暗な中、カメラを通して見てみると立山の姿を確認できるというカメラあるある。

ふぅーん、山頂付近にはちょっとガスがかかってるんだなと確認して出発の準備を整える。

9月後半の夜明け前はさすがに冷え込み、ダウンを脱ぐのに思いっきり躊躇する。

さて、出発だ。

涼しいからハイペースで登ってご来光ゲットしてやるぜぃ!

 

登山開始

真っ暗な中、雷鳥沢キャンプ場から別山に向けてしばらく歩いてると、少しずつ空が明るくなってきた。

そろそろヘッデンは消しても良さそうだ。

一日の中で夜から朝へと変わる時間が最も美しい。それを稜線から眺めるのが至福のひとときだ。

しかし、暗闇の中で気付かなかったけど、稜線遠過ぎね?

やべぇ、確実に日の出に間に合わないな、こりゃ。

 

ふむ、目論見が外れた。前日の大日三山の疲れが取れず、登り始めから喘ぎまくってペースが上がらない。

稜線までまだ半分以上残してるというまさかの超鈍足ベース。

ヘッデン歩行って足元にも気を付けなきゃいけないから尚更遅くなるし、完全に計算が狂った。

自分をスイスイ〜と何人ものハイカーが追い抜いていく。

うぐぐっ。きっと昨日はテン場でのんびり過ごして元気なんだろう。それに、もしかしたら三山縦走するつもりなんてないのかもしれない。雄山に登ったら下山しちゃうんじゃないの?きっとそうに決まってる。

そんな言い訳を自分にしてた。

 

期待しても無駄無駄無駄無駄ァー!!

と言わんばかりにマシマシでガスってきた。

昨日今日と完璧な晴れ予報だったからすっかり油断してたけど、まさかのガスまみれになる予感。

 

ひ、ひーー!!!

こりゃアカーン。もうすぐ稜線に出るっていうタイミングで完全なるガスり菌シロタ株に感染した。

お腹まで下しちゃいそうだ。

 

稜線は神秘のガスり天国

結局、ガスの中を歩き続け、剱御前小屋に到着。

ハイペースで飛ばしてたってさー、この天気じゃ結局ご来光なんて見れなかっただろうに。急がなくてラッキーだったぜー!と、開き直り炸裂だ。

 

ゴホッゴホッ!

朝食直後の時間だったのか、剱御前小屋からヤロウどもがゾロゾロ出てきて、彼らヤニ族が吐き出す副流煙で激しく悶絶。

空気が良いところに来て、あえて悪い空気を吸う奇行を好むヤニ族は、今や職場で喫煙環境を奪われ、ファミレスでも席を失い、タバコの価格高騰により一部の金持ちだけが楽しむ嗜好品となり、今や天然記念物みたいな存在となってしまったが、不思議とこういう空気が良いところでは比較的見つけやすいという生態は着目すべきポイントだ。

ここには長居無用だ。とっとと先を急ごう。

 

別山に向けて歩き始めると、ここでやっと太陽が重厚なガスの層を突き破り、その光を射してやろうとあがき始めた。

いいぞいいぞ。

なんとか晴れて欲しいものだけど、ガスだって負けちゃいない。勝負はまだ分からない。

 

立山の山肌をガスが駆け上がる。

何か景色が進化し続けている様で、見てて飽きることがない。

これこそ山の景色だ。

 

別山のしつこかったガスが取れてきた。山頂のハイカー達の姿も確認できる。

刻一刻と見える姿を変えていく、常に流動的でいて神秘的な世界観。とんでもない情報量だ。

太陽は偉大だ。これは晴れるよ。

 

おおー!!見えた。

さあ、舞台は整った。あの高みを登るでゴザル。

 

眼下の景色がぱぁーっとあらわになった。

地獄谷から立ち上る煙もよく見える。

高いところをゆったり飛んでるみたいだ。

 

どんどん晴れ渡っていく。

昨日歩いた大日三山のガスも晴れた。

太陽によってあたためられた空気が上昇し、強風によってガスが煽られる。地球の呼吸を直に感じる。

 

ガスによるシールドで遮られた陽の光と波立つ雲海。まるで白黒写真の様な1枚になった。

適当に撮っただけだけど。

 

裾野を見せただけで独特な重厚感がある山が見えた。剱岳だ。

その圧倒的な存在感はさすがじゃ!

 

律儀な性格という訳ではないが、別山の北峰もしっかり踏みに行く。

まだ朝で体力に余裕があったというだけなんだけど、全山踏破してお祓い登山を完遂するぜぃ!

 

北峰に到着。こっちは別山本峰にある様な祠はなく質素な標柱が立つのみ。

こういう山頂、嫌いじゃないよ。

 

右を向けば、立山の岩稜が静かに巨大な姿で出現した。一斉に始まるカーニバル。なんてドラマティックな展開だべー!

ゆったり骨太で、どっしりと巨大。

初めて間近で見た立山。感動的な瞬間だ。

この光景から目が離せない。

しばらく見惚れていると突然、背中にビリリッ!と痛みが走った。

 

うあぁっ!や、やられた!

 

がら空きの背後から襲いかかる痛みに、思わず倒れ込んだ。

 

 

坐骨神経痛だ!

 

「イテテ…」

 

お尻からももの裏にかけてビリビリと痛みが駆け抜ける。

登山に最も必要なのは体力ではない。長距離移動に耐えうる坐骨であることを痛感した瞬間。

どなたか恵んでおくれー、ウォルターアントニーがCMしてる「漢方ラックル顆粒」をぉ〜。

コフト顆粒じゃないよ。

 

引いて見てみると、別山からはこれから歩く立山〜浄土山までを俯瞰して見ることができる。浄土山にはまだガスがかかってるけどね。

坐骨神経痛の痛みを誤魔化しながら、果たしてこの距離を歩けるのか?

ちと不安だ。中年になると背負うものが多くなる。これはその責任という痛みだ。甘んじて受けようぞ。

 

ちなみに北峰からの景色では後立山連峰も外せない。右の尖った峰が針ノ木岳。

真ん中奥のどっしりした山はなんだろう?いつも長野側からしか見たことがないから位置関係がいまいち分からないけど蓮華岳っぽい。

 

剣岳は見えそうで見えない。時間の問題なんだろうが、これはこれで神秘的なベールに包まれてて良い感じだ。

うごめくガスの動きは見てて飽きない。

しゃがんで立ち上がると再び痛みが走った。

「イテテ…」

お祓いしてもらえばこの痛みは引くはずだ。立山の神様は何でも治してくれる。

 

まあいい。とにかく剱岳を撮ろうと身構えるカメラマンの多さにも驚いたが、自分はもうタイムリミットだ。

先は長いのだ。剱岳は昨日ウンザリするほど見たし、鼻くそも投下したし、次の真砂岳に向けて移動じゃい。

 

別山の山頂にある祠で、まず最初のお祈りをするのを忘れずに。

腰痛と首の痛みが取れますよーに。

中年になると毎日どこか痛いと博多華丸も言ってたな。よく分かるわ。

ちなみに華丸さん、城南高校落ちて福大大濠なんだからかなり勉強できたんだね。あたしゃそれ聞いて裏切られた気分だよ(笑)

 

真砂岳へは極楽トレイル

立山というところは爽快な稜線をどこまでも漫遊闊歩できちゃう、そんな癒やしの山だと勝手に思い込んでいた。

なのになんだこの激下りは。

下ったら登らなきゃいけないじゃないの。こちとら昨日の疲れが取れてないんじゃ。

 

しかし下り終えてみれば、ここからが本物の立山だった。

こ、これだよ。。こういうのを思い浮かべてたんだよ!!そんな稜線が目の前には続いていた。

青空へと続くスカイトレイルだ。

 

真砂岳の稜線に点々と先行者が見える。青過ぎる空がさえざえとし実に覚醒した景色だ。

この非日常で巨大な世界観に放り込まれてるというのに、みんな当たり前の様にのんびり歩いてるのが不思議に思えた。

イテテ…。坐骨神経痛により現実に戻される。やはり絶景を見てても痛いものは痛い。

 

ガスに覆われていた朝とは全く違う空気が流れている。

胸が震える絶景が広がるとはまさにこの事よ。震えるどころかおケツまでビリビリだ。

 

別山は剱岳の撮影で多くのハイカーで賑わってたけどみんな景色に見入ってたし、切り裂く強風がうるさ過ぎてそれが逆にとても静かな世界に感じさせた。

そんな静かに始まった三山縦走は、真砂岳へとゆっくり盛り上がっていき、その更に先に控える大本命の立山へと一気に駆け上がっていく壮大でドラマティックな展開。

たまらんぜ立山。

 

左に内蔵助小屋が見える。

本当ならこの3連休は2泊3日で裏剱を歩いて、内蔵助平も通る予定だったんたけど、台風の影響で今回のお祓い登山となったのだった。

しかし、それはそれで良かった。限られた中でベストな選択ができたと思う。

 

真砂岳に到着。

真砂岳の山頂はなだらかなピークで、え?ここがピークなの?って感じ。

 

眼下には極楽浄土の雷鳥沢キャンプ場が見える。

何年か前にテントの盗難という信じられない事件が発生したが、2021年シーズンに関してはそんな話は聞かない。

でもやはり心配だ。目ヂカラアップで視力を瞬間的に5.0までアップじゃい!

50mmのズームレンズじゃ自分のテントの無事までは確認できなかった。

 

念願の立山へ レミの呪い

さあ、いよいよ立山に向けた登りのスタートだ。なんとすっきりした空。初めての立山が恵まれ過ぎー!といささか変なテンションだ。

しかし、まさか立山がこんな山だったとは思わなかった。厳格な雰囲気がありながらバリエーション豊かな絶景が展開される。うん、余は楽しいぞ。

今見えてる山頂が富士ノ折立(ふじのおりたて)。大汝山と雄山はその先に隠れてる。

 

左には内蔵助氷河(くらのすけひょうが)。

国内7例ある氷河の1つで、一般ルートで氷河の上を歩けることで有名だ。

 

ふー。ちょっと登っただけで息が上がる。

ちきしょー、24時間とは言わないけど12時間はぶっ通しで歩き続けることのできる体力が欲しい。

歩き始めてわずか3時間でバテるという情けなさ。

 

魚えぇーー!!

めっちゃ岩稜!

立山ってちびっ子からお婆ちゃんまで登りに来るところって聞いてたのに!めちゃくちゃ優しい山だって聞いてたのに!

厄払いに来て大怪我したらシャレにならん。

坐骨よ、最後までもっておくれー!

 

あぶねー。途中で痛みは襲ってこなかったぞ。

とりあえず慎重に登って富士ノ折立ゲッツ。

標高は剱岳と同じ2,999m。

別山北峰と同じく実に質素な山頂だ。本物の霊山っていうのは逆にそんななのかもしれない。東照宮や金閣寺みたいにきらびやかに飾りまくってるのは将軍様を喜ばすために偽ってるって感じがするしなー(ガチ偏見)。

まあ、とにかく登拝だ。

 

ひっくり返すと世界平和的なことが各国の横文字で書かれてた。

やっぱ、ちっとも霊山ぽくないでゴザルー。

 

戻ってきたら襲撃でも受けたかの様に多くのザックが散乱してた。

ほとんどの人がここにザックをデポって富士ノ折立のピークを目指してたみたいだけど、日帰りのザックならデポる手間の方が面倒くさい距離だ。

さて、お次はもう目の前に見えてる大汝山へとえっちらおっちら移動だ。

 

富士ノ折立から歩いて10分で大汝休憩所。

ここは映画「春を背負って」のロケ地に使われた休憩所だ。

実際には背負ったのは春ではなく、筋肉ムキムキに鍛え上げた豊川悦司を松山ケンイチがフラフラになりながら背負い下山するという映画だ。

よりによって身長186cmという大柄なトヨエツをおぶって下山するというのは容易じゃない。ここは松山ケンイチもガチできつかったと振り返るポイントで、おぶられたトヨエツの足を引きずりながらの下山はワロタ。

あれを見て、体がデカいってだけで街でも山でも倒れる訳にはいかないなと痛感した。

 

大汝山に登ろうとすると、登山道を挟んで記念撮影をしてる女性二人組がいて、「行っていいですか?」と聞くと

「ちょっと待ってください!!」

と、ここで最強スタンド「ザ・ワールド」による足止めを食らう。

自分なら先に行かせてから撮影するものだが、そこは「ザ・ワールド」。無駄無駄無駄無駄ァー!と撮影しまくる。

 

まあ・・いいさ。待ちますわ。

 

まあ、、、、いいさ。

 

つか長ぇ~。

ほんと、いつまでポーズとっとんねん!って感じで、1分近く他人を足止めさせ、「はい、もういっちょー!」と撮り続ける図太い神経をしている。

俺なら5秒とかからないの。いや、3秒だ。

とにかくこの二人はやばい!これ以上関わってはいけない!

 

山頂どっこいしょー!立山最高峰の3,015mでっせー。

しかし、実はこの山頂の写真を撮る直前にも、さきほどのおばちゃん二人組による記念撮影がここでも繰り広げられ、軽く5分は足止めのおかわりを食らったのだった。

カメラ越しでないと自分の存在を確認できないとでも言う様に、ひたすらポーズを取り続けるおばちゃん2人組。

さすが最強スタンド「ザ・ワールド」。

何人かのハイカーから白い目で見られるのもお構い無しだ。

そして、自分の番が回ってきた頃には後ろに長蛇の列ができているという目を疑う惨劇。

しかも、あたかも行列を作った犯人が俺であるかの様に後方のおばちゃん達から「あ〜ぁ」とウンザリされるという冤罪事件も勃発。

俺じゃない!俺じゃない!俺じゃないんだよー!とブツブツ言いながら退散。心で泣いた(泣)

ちなみに2人組の一人は平野レミ似だった。それだけで最強だ。周りなんぞ気にする筈がない。相手が悪かった。

しかしちょっとだけ真面目な話をさせてもらうと、岩場みたいにバランスが取れない場所で行列を作るというのは非常に危ない行為だ。

あんなポーズを取り続けて恥ずかしくないのか?という問題ではないのだ。やれやれだ。

 

 

ちなみに「平野レミ ブロッコリーサラダ」でググると信じられない光景を目にすることができる。

 

それがこれだ。

 

「サラダなんてこれでいいのよー!」と言って完成させた渾身の一品は、もはや放送事故だ。

「はい、完成!」と言った直後にブロッコリーが転倒するという奇跡が起こる。

まさに最強だ。とにかくこの二人の近くにいたらろくなことない!

今度こそ、今度こそ!!離れるべく急いで雄山へ移動だ!

 

お次の主峰雄山までは大汝山からわずか20分の距離だ。

大汝山と雄山はこんな近い距離なのに、山の名前を分ける意味ってあるのか?なんてつまらない事言うじゃないよ。

 

みるみる近づいてくる雄山。山頂に設置された雄山神社本宮もはっきり確認できる。ここは国内最高のパワースポットだ(たぶん)。

これこそが本物の蓮舫だ。もとい霊峰だ。「2位じゃダメなんでしょうか?」ではないのだ。

ちなみに最初から2位を目指す開発を政府が指導するなんてことはあってはならない。

それ以前に2重国籍をどげんかしておくり。

 

念願の厄除け達成

雄山の山頂には社務所兼売店があるから、そこにザックをデポらせてもらって、お祓いに参ろうぞ。

 

初穂料の500円を払うと鈴付きのお札をもらえるよ!

いよいよここにやって来たんだ!という実感が込み上げて胸アツだっ!

雄山神社はコロナ禍で入場制限をしてて、1グループ10名程度ずつに区切って案内される。

そう、10名程度集まるまで待たされる訳だ。

なんか嫌な予感がする。

振り返る。やはり。

レミだ。

引き離したはずのレミがちゃっかり追いついて同じグループにいる。しかも後からやってきたというのに、「それではこちらへどうぞ」と案内されると、先に待っていた俺よりしっかり先に行こうとするから、これ以上足止めを食らう訳にはいかんっ!とアウトから必死に抜き返した。

ガルルルルル!

くそっ。厄払いに来て、なんでこんな邪心を抱えなきゃならないんだ。

せっかくの立山なのにー!

平静を保て、ヒーヒーフー。

 

立山は紛れもなく日本一の霊山だ。

これでばっちり厄払いも完了。最後にしゃんしゃんっとお祓いしてもらったし、この瞬間から悪い巡りから解き放たれたに違いない。

ああ、生まれ変わった気分だ。

 

なんまんだぶー。

これでレミの呪縛からも解き放たれたと信じたい。

 

立山雄山神社本宮の石柱の前で、3秒で記念撮影を済ませて、ゲッザーンだ。

右にちょっと映ってる方々を見てわかる通り、室堂から雄山までは観光客で溢れているため、実に楽しい雰囲気だ。

 

ぐっばい、雄山。

ここにはまた来たい。紅葉も素晴らしかったし、スピリチュアルさ、歴史深さ、自然観、全てが魅力的だ。

 

一ノ越へゲッザーン

一ノ越に向けて下る。

さっきも言ったけど、室堂から雄山までは観光客が多い。

彼らはの足取りはおぼつかない。後ろを歩く人に前を譲ってあげる余裕なんて1ミリもないから、山歩きに慣れてる人が観光客に気を使ってゆっくり歩いてあげないと事故の元だ。

 

一ノ越山荘が見える。

なかなかの急坂で油断できないっ!

俺は山歩きに慣れてるからこれぐらい余裕だぜー!と、クールに行きたいところだったが、ここで急に膝が痛くなってきて、誰よりもぎこちなく歩くはめに。

「イテテ。。」

これまで登山をしてて膝が痛くなったことはなかった。坐骨神経痛にひざ痛、悪くなるときは連鎖的に勃発するものなんだな。お祓いしたばかりなのにぃ!

ゆっくり歩いてると背後にレミの気配を感じた。油断できない。

厄除けに失敗したか?

いや違う。相手が悪かっただけ。

もう、諦めよう。

 

 

レミから必死に逃げるように、なんとか一ノ越山荘に到着。

もう駄目だ、疲れ果てて到着と同時に倒れ込んだ。

一ノ越山荘で何か食べたい、でも時間に余裕がある訳ではない。ここでしばらく悩んだ。

ふと気付けば、坐骨神経痛が少し和らいでいた。不思議と運動をすると痛みがおさまるみたいだ。血行が良くなるからだろうか?

しかし、膝は痛い。

しかもまだまだ先は長いのだ。三山踏破は甘くなかった。もたもたしてる余裕なんぞないのだ。

 

まだ終わらない散々な三山

最後の一座、浄土山だ。

オエェ〜。あれに無理して登る意味あんの?

このまま一ノ越から雷鳥沢キャンプ場に下山したらきっと楽しいまま終われるはずだ。室堂でのんびり立山そばだって食べられる。

そんな誘惑が襲いかかってきて躊躇しまくり。

 

おいおい、みんな浄土山には見向きもせず雷鳥沢キャンプ場に向かって下りていくじゃないか!

その中にレミを発見!意気揚々と引き上げていく姿がこんなに離れてても一目瞭然。恐ろしい存在感だ。

しかし、本当に前後見渡しても浄土山を目指すのは自分以外誰もいない。雄山のハイカーの内、全体の1%もいないじゃないか。

 

ちなみに、こうやって眼下を見ると地形が波打った様なモレーンができているのがよく分かる。山崎カールを作り出した氷河によってできた盛り土地形だ。

 

わざわざ立山まで来たんだ、いつもの2倍の鈍足ペースでいい。なんとか浄土山まではたどり着いてやろうじゃないか。

脳内催眠で「俺は今平地を歩いてる、ここは平地なんだ」と思いながら、歩幅10cmぐらいの小股で、ペンギンの様に歩いた。

 

ガスったり晴れたりを繰り返す。お昼を過ぎるとどうしても天気が安定しない。なんとか山頂に着くまではもっておくれー!

三山歩くことになんの意味があるのかなんて考えちゃいけない。どんな世界が待ってるかなんて分からないんだから。

 

しかし、浄土山の山頂で待ってたのはまさかの富山大学の小屋という味気無さ。当然、部外者以外は立ち入り禁止だ。

なんと羨ましい立地条件なんだ。

 

本当の山頂はあっちだよと、くつろいでたおじさんに教えてもらい、とぼとぼ移動。

坐骨神経痛とひざ痛、そして最強の敵レミが繰り出す奥義「足止め」という困難を乗り越え、やっと三山の旅も完結だ。

やれやれだぜ。

 

浄土山の山頂は標柱がなく、ただケルンがあるのみ。

祠はどこかにあると聞いていたが、もはや疲れ過ぎて呼吸までおかしくなってるから、これ以上の探索は不可能だ。

自分の場合、高山で長い時間活動していると呼吸に違和感がでてくる。喘息が原因だと思うんだけど、もうカラータイマーは消滅寸前。

これで終わりにしよう。

こんなに無理する必要なんて無かったのかもしれない。次の山行は歳相応の楽しみ方をしたいものよ…。

 

龍王岳もガスに包まれてしまった。

まさに間一髪。

三山踏破するまでガスらずにいてくれたのは、雄山でのお祓いの効果だ。レミの足止めさえなければ、もっと早く着けたはずなのに良く耐えたねと、そんな情けを雄山の神様はかけてくれたに違いない。

お祓いの効果がこんなに早く出るなんて、リポビタン以上の即効性だ。ビビるわー

 

ああ、下山は真っ白け。

完全にガスに包まれた。

 

ゲザーンとトザーン

浄土山からの下山をなめていた。このガレ場の急坂がひざ痛にこたえる。そしてヘトヘトに疲れ切ったおっさんには途方もなく長く感じられた。

ガスで先が見えないというのは、疲れてると余計にしんどいものだ。

 

室堂方面から浄土山へ向けて登ってくる人が20人以上いたのにも驚いたが、向こうもガスの中から痛みに顔を歪めたおっさんが突然現れ、さぞ驚いたことだろう。

みんな「ひ!お先にどうぞ」って譲ってくれたぞ。優しいじゃないか。おかげで休むことなく浄土山登山口まで下りてきた。

これで雷鳥沢キャンプ場はすぐそこだ!と思ったらそうではない。

 

ちょっと歩いて見えてきたあそこは室堂だ。雷鳥沢キャンプ場はその更に先。まだまだ40分以上歩いた谷の底にある。

地獄の底に感じられた。

 

ホシガラスが飛び交う。

生まれ変わったらホシガラスになりたい。それぐらいもう歩きたくなかった。

 

三つ星ホテルの横を通過するリアルゾンビを宿泊者たちは奇異な目で見てたことだろう。

顔を上げると目を背けられる感じだ。

幸せな空間を汚して本当に申し訳ない。存在して申し訳ない。

 

ああ、やっと見えた。雷鳥沢キャンプ場だ。これでやっとゲッザーンが終わる。

テントを撤収し、荷物を重くしたら室堂までのトザーンが始まる。

 

ひ、ひーーー!!!

これ!これかー!みんな口を揃えてマジ辛い!って言う室堂へ続く階段とはこれのことか!

雷鳥沢キャンプ場から室堂までが、この日一番辛い登山となったのは間違いない。

 

駆け込み乗車

室堂発のバスを30分ぐらい待つことを覚悟していたら、なんと3分後に臨時便が出るという情報をゲット。

は、走れ!!ひー!!

膝が痛いけど走った。あ!楽しみにしてた立山そば!それを横目に走った。

この素晴らしい大自然ともおさらばなんだなぁ~とか感傷に浸る余裕なんぞ無い。ドタバタと走った。

人だらけのコンクリートジャングルで、上司と部下の板挟みに合うやりがいに満ちた日々に向かって走る。

五月雨式に舞い込んでくる短納期依頼が待っている。数字とドキュメントと承認と申請に埋もれるパラダイスに向けて走る。

ちょうど臨時便のバスがあるなんて、これもお祓いの効果だろう。そんなことを考えながらバスに飛び乗った。

 

扇沢へ怒涛の移動。この慌ただしさに立山黒部アルペンルートの風景を楽しむ余裕はどこにもない。

往復9,470円のプラチナチケットをただ移動することだけに使ってる感覚。

 

怒涛のダム放水。

なんだこの慌ただしさは。

 

黒部ダムを優雅に走る遊覧船が見える。とうとう黒部ダムまで戻ってきてしまった。

ほんと、あっという間だったな。

 

それにしても静かだ。ちょっとだけ止まって落ち着こうじゃないか。

良い旅をした。そんな充実感を味わおうじゃないの。せっかく立山まで来たんだ。

ほんと疲れたけど、またいつか来たいものだ。

交通費が高くてゲロりそうだけど。

 

ハイカーも観光客も、歩く距離は違えど向かってる先は同じだ。はるばる北アルプスまで来た目的は、圧倒的な大自然を見るためであって、決してダムカレーを食べることではないのだ。

ほんの一瞬でも何か込み上げてくる風景を見れたのなら、全能感を味わえたのなら、それは最高の山旅なのだ。

はっきり言ってダムカレーは超気になるところだが、2日間丸ごと絶景まみれになれたことに多謝!

ダムカレーは諦め、レミが乗ってない扇沢行きバスに乗り込んで帰った。

 

振り返って

下山から1週間後、坐骨神経痛を引きずって整体を訪ねた。

そこは神の手を持つリフレクソロジーで、回らなかった首がくるくる回るようになったり、上がらなかった腕がスッと上がったり、まさに神業。雄山のお祓いでも治せなかったものがここでは手に入る。しかも30分で1,800円という破格値。

混んじゃうから場所は秘密だYo!

たまたまキャンセルが出たということで、当日予約でハードにぐりぐりされてきた。

「痛みが我慢できないときは言ってくださいね」

「ふ、ふぐっ!(痛い!)う、うググッ」

痛みと気持ち良さが混ざった不思議な感覚。すっかり陶酔してしまい、下腹部を揉まれてる時に気が緩んでしまった自分はあろうことかやってしまった。

 

「ぷす~っ」

店内に漂っていたアロマの香りを、一瞬にして屁の香りへと変え、寝た子も呼吸を止める。

地獄だ。

通りすがりの手もみんではない。何度か通い、顔を覚えてもらってるお店なだけにスーパー恥ずかしい。

つか、もはや営業妨害だ。出禁にならないかを心配した。

ちなみに神の手曰く、この坐骨神経痛はすぐには治らないとのことで、この先何度か通うことになった。

次は油断しない。

 

台風一過で晴れ渡る空。完璧な2日間だったヨ。

登山は経験がものを言う遊びだ。危険予知や準備、道具選びとか。

風雨にさらされ、寒さに震えて避難小屋に逃げ込んだ経験や、予期せぬラッセルで計画が狂って日没ぎりぎりで避難小屋にたどり着いたり、そんな失敗を何度か経験してると、同じ晴天でも以前とは重みが全く違ってくる。

晴れ渡る空、満天の星空に出くわした時の感動は、登山経験が浅かった頃の比ではない。

絶景慣れも少し出てくるけど、一方でとても些細なことをより大事に楽しむことができる様になっていたりする。

例えば植物に詳しくなった。チングルマは草ではなく木の仲間で、落葉広葉樹のため秋になると真っ赤に紅葉する。

6月に花が咲き、7月に綿毛となって、9月には紅葉。チングルマのことをあまり知らなかった頃とは気付きが違う。今回の立山ではチングルマの紅葉が一面に広がり、格別に綺麗だった。

晴れた空とチングルマの紅葉。

9月後半の立山はハイカーが祝福されてるかの様な世界だった。

以上、霊山スペクタクル第3部。完

 

 

【今回の使用カメラ】

富士フイルムX-T1、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS。


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