【福岡】基山 ちかっぱ咲いとぉー!オキナグサとセクシー巡礼登山

【福岡】基山 ちかっぱ咲いとぉー!オキナグサとセクシー巡礼登山

 

男は疲れていた。

 

絵に書いた日本の中間管理職。

部下の女子からは「金髪にしてもいいですかぁ〜?」というぶっこみ質問を受け、たじろいでいた。

それも、業績評価の面談中にだ。

完全に舐められている。

「昇格させるか、ボーナス上げるか、どっちかして下さいよ」という攻撃に、すでに脱糞。

もはやどっちが評価されているのか分からない。

 

もう我慢の限界だ。

心が折れたおっさんに、今必要なのは癒やしだ。

たまには花でも愛でるか。

しかし、そんじょそこらの花では物足りぬ。

 

前から興味のあった、オキナグサを見に行くことにしよう。

 

福岡県と佐賀県の境にある基山(きさん/きざん)に登ってきた。

 

春の開花ラッシュ、その最前線に降り立つ。

 

オキナグサの開花時期は4月初旬。この日は4月10日で絶好のタイミング。

しかもこのオキナグサ、漢字では「翁草」と書く。

白髪の老人が俯いた姿によく似ているというのが、その名の由来と聞いたけど、燃え尽きて灰と化した今の自分と瓜二つな姿ではないか。

 

しかも、疲れた表情は、男としてのセクシーさを倍増させる大事なスパイスと聞いたことがある。

オキナグサを愛でて、セクシーさとは何かを追求する旅にしようではないか。

一皮むけた男への門出だ。

これで明日から女子に舐めた態度を取られないで済むだろう。

 

しかし、このオキナグサ、なんと茎や葉まで、全てに強い毒を持つというじゃないの。

その汁に触れただけで炎症を引き起こし、もし口に入ったら最悪心停止する可能性がある、猛毒の持ち主だったのだ。

美しい花には毒がある。

 

セクシーを取るか死を取るか。

Dead or sexy。

 

まさに生死をかけたセクシーの戦いが幕を開ける。

 

基山は標高404m。

山頂には倭が白村江の戦いで破れ、朝鮮からの攻撃に備えて築いた日本最古の山城の1つ、基肄城(きいじょう)の跡があるよ。

 

ルートとコースタイム

■2022年4月10日 ※カッコ内は標準コースタイム

上原田公園⇒(20分)⇒登山口⇒(50分)⇒オキナグサ群生地⇒(10分)⇒基山山頂⇒(20分)⇒北峰(北帝)⇒(35分)⇒登山口⇒(20分)⇒上原田公園

コースタイム:2時間35分(休憩含まず)

総距離 7キロ
累積標高上り 473m

基山のオキナグサ 本編

上原田公園で道を迷う

基山登山口に近い上原田公園の駐車場にやってきた。

軽自動車専用の駐車スペースが空いててラクラク停められた。小さな人間には似つかわしい小さな喜びだ。

そして、軽自動車最強説を頑なに信じ込もうとするおめでたい男だ。

 

なにはともあれ、軽自動車のお陰で無駄な駐車場待ちをしなくて済んだ。

タイムイズセクシー。もとい、マネー。

とっとと登山開始さ。

YAMAPで現在地を確認する時間すらもったいない。

どうせ公園を抜けたら登山口ってパティーンでしょ?と勘ぐって歩き始めたそこは落とし穴だった。

 

広い公園を抜けて基山を目指すけど、家族連れで遊ぶ人たちからの視線が、なぜだか痛い。

「あの人なんで登山のカッコしてんの?」

「やーね。きっとノミだらけよ。」

「ノミがうちらの幸せな空間に足を踏み入れないでほしいわ」

「あっちいけ、道楽ノミヤロウ」

 

精神的に参っているから被害妄想が広がる。

 

ハァハァハァ。

たまらず公園のトイレに駆け込む。

 

落ち着け、なんだこの雰囲気は。

そして一体どこが登山口なんだ。

 

まあいい。登山前にトイレに入れたのは不幸中の幸いだ。

 

そして公園の奥にも広い駐車場があったのもナイスな発見だった。

 

どうやら登山口は公園の奥にはないことが分かり、一旦駐車場まで戻ることに。

無駄に500mは歩いた。

ポニーがいるあちら側を歩かなくてはならなかった。

デブにはちょうどよいウオーミングアップだったと納得するしかなさそうだ。

あとで、あのポニーと戯れるセクシーショットでも一枚撮っておこう。

 

やっと登山開始

軽自動車によって作り上げた時間的アドバンテージは全て食いつぶした。

ふっ。そんなものだ。

間違えといて言うのもはばかられるが、慎重な自分にしては珍しいミス。

 

下山したら、このうみたて卵直売所に立ち寄ってみようかな。

 

ポニーとのセクシー・ダイナマイトな撮影会は、寸前で他の家族に取られた。

2頭いるポニーもこの家族が与える餌攻撃にすっかり目の色を変えて夢中な様子。

 

今、あれを邪魔するわけにはいかない。

この子供たちから、

「あ、さっき間違えて反対側歩いてたノミが来たよ」とか言われるのも辛い。

 

黙って立ち去った。

 

ここが、原田の田舎卵。

間違っても登る前に買わないように。

 

セクシーな男には香りが必要だ。

鶏糞と飼料のナイスなオイニーが立ち込めるここで、一旦足を止め、体に染み込ませなきゃな。

 

最近はソーラーパネルの老朽化が問題になっているらしい。

国民にコロナ給付金でお金をバラまくより、エネルギー事業に使うことの方に自分は遥かに賛成。

 

林道を歩いていると、地元の農家風なおじさんから、

「基山なんて小学生の遠足以来登ってないけど、楽しいのかい?」

と、突然ディスられた。

 

小学生でも登れる山に、いいおっさんが一人でウキウキしてやってきた。

それだけではけ口にされたのだ。

こうなったら小学生よりセクシーに楽しむしかない。

 

基山はあっちなのね。

 

 

基山サービスエリア方面の景色が開ける。

ここからようやくトレイルに突入。

 

帽子を忘れたから、恨めしい杉に対して初めて感謝した。

ようやく花粉の時期も落ち着いてきて、余裕がでてきたのだ。

今年の花粉は目の充血がひどかった。鼻水の量も仮に出血だったらきっと死んでたな。

今から来年が怖い。

 

突然、一本桜が現れる。

山桜っぽくない。

 

祠が出てきたから、お願いしておく。

「神様お願いです、一生、電車で隣になった女性がスマホゲームに熱くなって、肘をガツガツぶつけてこない巡り合わせにして下さい」

神様にはなかなか伝わりにくい願いを聞いてもらった。

 

この2日後、LINEを猛烈に連打して打ち込む女性が隣に座り、30分間、不快な振動を食らうことになった。

お願いだからフリック入力を覚えてほしい。

そんなこと、こんな山の中でお願いすることではなかった。

もたもたしていると後ろの年寄りパーティーに追いつかれてしまう。そろそろ行こう。

 

マムシグサ。

 

再び祠がでてきた。

もうええわ。

 

史跡ときやまん

史跡巡りコースにはめちゃくちゃ興味はあるけど、とりあえず今日の目的はオキナグサとセクシー道を極めることにある。

なので史跡はパスじゃ!

 

すると、こんなユニークなウクレレ巡礼者が登場。

彼らを「ペヤングウクレレ十字団」とでも名付けよう。ペヤングに特に意味はないが、陽気な感じが気に入った。

小粋なファンファーレをかき鳴らしておくれ。

 

ほんとにウクレレライブやるんだね。

しかもこのチラシ、よく見たら下の方に馬車に乗るアンパンマン、くまモン、ドラえもんのイラスト付き。

最近、某有名キャラクターの商標問題で揉めに揉めたばかりだから、これ許されるのか?と余計な心配をしてしまう。ちなみにくまモンはフリーだから影響ない。

くまモン最高だぜ。

 

きやまん!!

基山にゆるキャラなんていたのね、知らなかった。

調べてみると、基山の上りサービスエリアで買えるらしい。かしわうどん食って、きやまんグッズゲットするしかないな!

 

城跡なだけに礎石群がでてきた。

以前、秀吉の朝鮮出兵の拠点となった、唐津にある名護屋城がどんな所なのか期待して訪れたが、だだっ広い野原に礎石だけが点々と置かれてあるだけの殺風景な光景に、呆然と立ち尽くしたことがあった。

 

しかし、その名護屋城の一件以来、礎石にはちょっとだけ愛着が湧いてしまっている。こんな石ころに親近感を感じてしまうぐらい、部下からの逆ハラによって疲れ切っているのだ。

この礎石ぐらい強いメンタルにならなくちゃならんよと、きやまんが教えてくれたのだ。

きやまんのお陰でパワーをもらった。

 

工エエェェ(´д`)ェェエエ工

きやまんのパワーなんぞ一瞬で吹っ飛ぶ、灼熱の日向道が待ち受けていた。

4月だというのに真夏日を連発する福岡で、帽子を忘れるという失態を犯してしまった自分には過酷この上ない。どーせ、低山だし山頂まで樹林帯だろうから大丈夫と思って完全に油断した。

ちなみに、男の低いトーンはセクシーさを感じさせる大事な要素だ。

自分の場合、本当に声変わりしたの?と言われるほど、軽い声をしている。セクシーさなんて微塵も感じさせない甲高い「えええぇーー!!」が響き渡った。

 

あ、こっちに逃げ道があったのね。

この時ばかりは杉に感謝。

 

杉なんぞに感謝する必要はなかった。

逃げ道は30mほど歩くとすぐに日向道へ突入した。

こんもりしてるところが山頂か?

 

オキナグサの群生

こんもりに到着してみると、山座同定があった。

一通りチェックしてみたけど、春霞と黄砂がでてしまい、一切何も見えないっていうね。。

 

オキナグサの保全を呼びかける説明書きもあるよ。

 

早速、オキナグサを発見。

花びらの内側は真っ赤、外側は産毛で白いから青空が良く合う。

 

しかし、ロープで囲われてて近寄れないようになっているのが残念。

ズームにしなかったらこんなに遠い。

これではつまらない!

 

どこかロープのすぐ近くに咲いてる目立ちたがり屋はいないものか?

探しながら一周してみた。

 

オキナグサはたんぽぽやチングルマみたいにすぐ綿毛になっちゃうんだな。

きっと綿毛にも毒があるんだろう。油断ならない。

 

ロープの外に飛び出したやんちゃ者を発見。

この猫背を通り越してうなだれた姿が、今の自分のように自信の無い男を彷彿とさせる。

背中を丸めるか、それとも背筋を伸ばして丸いお腹をアピールするか、どちらがセクシーなのか悩ましいところだ。

 

基肄城跡の石碑。

今日登ったルートとは違い、すぐ近くに草スキー場の駐車場があるため山頂は人工物が目立つ。

 

遠くを見渡したところで、春霞で全然見えやしない。

筑紫野市方面の景色が見えたはずなのだが、無念。

 

それじゃ、山頂に行くだけ行ってみよう。

 

するとここでも群生地がでてきた。

死のうと思えばこいつらを丸呑みにすればいい。ぱっと見はとても猛毒の花には見えないところが、ミステリアスだ。

ミステリアスな男にこそセクシーさが備わるのだ。

まさにそれを具現化したのがこの翁草。

自分も中間管理職として、見事に振り回されてはいるがそれに飽き足らず、週末は山で屍になっていることを職場の人は誰も知らない。

 

山頂の標柱かと思いきや「いものがんぎ」だって。

山頂手前で盛土されたところがいものがんぎらしい。

知らないことだらけだよ。

 

ズミ?山桜?

 

さあ、山頂だ。

基山に登ろうと思ってから3年、これでようやくセクシーの入り口に立てた。

 

目の前には九千部山。

麓にはモンベルのキャンプ場がある。以前、次男坊と三男坊(わんこ、オス)の3人で登った山だけど、その頃はまだモンベルのキャンプ場ではなかった。

モンベルが手を加えたとあっちゃ、行かない訳にはいかない。

 

こちらは脊振山。

説明不要の脊振山系の最高峰。山頂には朝鮮戦争に備えた旧米軍の施設があって、今は自衛隊の基地になっている。

実はちゃんと登ったことのない山で、車で山頂付近を散歩した程度しかない山。

 

山頂には基肄城を作るように命じた天智天皇の標柱が立てられている。

命じただけの人なのに。

苦労した人は報われないもの。

 

鳥栖市の眺め。

基山サービスエリア(上り)のうどんと、鳥栖駅のうどん。どっちも美味いと評判だけど、こないだ鳥栖駅までわざわざうどんを確かめに行ってみたけど、基山サービスエリアの完勝ですな。

甘ーーーい!出汁が美味い。もうすっかり基山のうどんの虜だ。人を堕落させる罪深いうどんだ。

 

ついついうどん談義に熱くなってしまったが、波打つ「いものがんぎの」をいくつか越えながら帰りますかね。

 

フデリンドウなんかも咲いてた。

 

眼下にら山頂に最も近い草スキー場の駐車場が見える。

あそこから登ればよかったな…(本音)。

今日のルートでも累積上り500mもないというのに、登山が趣味とか言っておきながら、常に楽することを探している。

 

しかし、山頂は野原が広がっていて本当に気持ちが良い。まるで美ヶ原の様だ、と言うと少し大袈裟だけど、空も近いし、お弁当持ってきてハイキングするにはもってこい。

草スキー場から歩いてお弁当を広げてる家族も何組か見かけたよ。

 

白村江の戦いで新羅・唐に破れて軍を日本に引き上げさせた天智天皇はここに城を築き朝鮮からの攻撃に備えたといった説明。

白村江の戦いは九州の歴史、特に古墳を調べてると度々登場するから大事なポイント。

そして、なんか最近、古墳が盛り上がってきてる気がする。

いろんな番組で古墳特集を見かけるようになってきて、少しコーフン気味。

まりこふんさん、がんばれ。

 

さて、見納め。

山と溪谷でも使ってくれそうなオキナグサの写真が撮れた気がする、と自画自賛。

今日は曇り予報だったけど、よく晴れてくれた。

やはり青空に花とおっさんのコラボは映えるな。

 

日本在来種のたんぽぽ。

 

北帝門経由でゲッザーン

スキー場みたいな山頂。

来た道をそのまま戻るのも味がない。歩いた距離だけを見れば、他の山ならウオーミングアップが終わってここからが中盤戦が始まるって段階。

というわけで、北峰にも寄ってみよう。

 

ここを右に行くとピストンになってしまうから、北帝門跡へ。

ちなみに、ここで天拝山まで歩こうとされているご年配3人パーティーに出会い、天拝山はこっちではないですよとYAMAPを見せたところ、

「だからスマホがないとだめなのよ!」

「もぉ〜!山頂付近を歩いて帰りましょうよ!」

と、なんだか水を差してしまった感じになってしまった。

もっとセクシーに伝えないとだめなんだな。

 

北峰に到着。

北帝門ってどんな門だったんだろう。

何かしらの一部が残ってないか探したけど、なーんも探せなかった。

 

まったく名残惜しさゼロだぜ…。

北帝門よ、さらば。

 

少し下ったところに北帝城址の石柱発見。

しかし、あるのは石柱だけで、北帝門の残骸などはなかった。

まあいい。

何が残っているかなんて大した問題ではない。

その昔、大野城とともに日本最古の山城が確かにここにあって、そして今、同じ場所に立って、時空を超えて当時の勇ましい武士と、中間管理職が出会えたことに意味があるのだ。

お互い疲れたなと、傷を舐め合った。

 

下山は杉林の中を駆け下りてきたので20分ぐらいだったけど、気持ち的には5秒で下山完了って感じだった。

それにしても暑い。。

お陰で距離は短かったけどバテた。

暑さにゲンナリし、うみたて卵のお店に寄るのすらす忘れてしまった。

 

男の疲れた表情に刻まれたものを、渋さとかセクシーとか言うのなら、

今、汗臭さを放ち、オキナグサの如く深くうなだれた自分ほどセクシーな存在はない。

下山後はいつもこうだ。

なんだ、いつもできてるじゃないか、セクシー。

セクシーなんて簡単だな。

 

振り返って

基山。

福岡県民なら、あのサービスエリア「きやま」と読んでしまうだろうけど、山名は「きざん」。

地名は白馬(はくば)だけど、山名になると「しろうま」になるのと同じ論理なのかな。

 

オキナグサは、全国的には栃木県の鬼怒川河川敷や群馬県の富岡アルプスなんかで見ることができる。

けれど、基山の様に山頂付近で群生してる場所ってあまり無いと思う。

富岡アルプスにも行ってみたけど、麓の神社に群生してたし。

やはり、山の上で咲いていると青空を背景になるのがいいです。

 

4月中旬〜後半になると綿毛が目立ってくるから、開花情報はYAMAPで逐一チェックして見頃を狙うべし。

オキナグサは絶滅危惧種Ⅱ類で、Ⅰ類ではないにせよ、数が激減している貴重な花です。

福岡での群生地はここ基山と平尾台が有名だけど、基山の方が群生規模は広いみたいなので、興味ある方はぜひ基山サービスエリアのかしわうどんとセットで訪れてみてね。

ではでは


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