道志山塊の杓子山(しゃくしやま)と高座山(たかざすやま)に登ってきました。
本日のルートは、鳥居地峠(とりいちとうげ)の駐車場から高座山を経由して杓子山までのピストンです。
新幹線の窓からチラッと富士山が見えたり、会社の窓から夕焼けに染まる富士山が見えるだけで異様にテンションが上がるんだから、やっぱり富士山は偉大ですね。千葉市内の小学校に通ってた自分は、冬に校舎の3階から富士山が遠くに見えた時、感動してしばらくボーっと見惚れたのを今でも覚えてます。
「ありがとう!富士山さん!」
敬意をこめて「さん」付けしたいところですが語呂が悪過ぎてくそダサいです。まっ、とにかく杓子山は富士の外輪山だけあって富士山がブったまげる近さで大迫力です。
ヤマレコにもオススメの山として紹介される程なので、そのナイッスーな景色を期待して鼻息荒めに登ってきました。
しかし・・、そこに待ち受けていたのは自分史上最大の急斜面!
さてさて、どうなるものか。
では、杓子山登山のポイントです。
杓子山登山のポイント
①遮るもののない富士山の眺め。
②特徴的な山頂標識と鐘
③高座山までの急斜面
富士山の眺めはピカイチですが、なんつっても自分としては高座山までの急斜面を薦めたいっ!目を疑う急坂を楽しめって感じです。
下山では洋服が汚れるのを恐れてたら怪我しそうになるので、滑り台だと思って滑っちまえ!ってつもりで歩きましょう。雨が降るとドロドロのトレイルになるそうなので、そういう日は違う山を選択した方が良いです。
途中ですれ違った方や山頂でお会いした人にどこから登ってきたのか聞いてみると、ほとんどの方が明美を起点にして、下山で不動湯ルートを使ってました。このルートの方が高座山を経由しない分、アップダウンが少なくて楽できるとのです。
いろんなブログやヤマレコを参考に鳥居地峠ルートを選択したんだけどな・・意外とマイナールートだったのかもしれない。。
杓子山の山頂でこの標識と鐘を見た時は「コレコレ!」って感じでした。ちょっと読みにくいけど「杓子山1597.6」って書かれてます。
杓子山は道志山塊の山で山梨百名山、標高は1,597.6m。高座山は標高1,304.4mです。
富士山はすぐそこだ!
いざっ!
アクセス
鳥居地峠(とりいちとうげ)
ルートとコースタイム
■2018年12月1日
※カッコ内は標準コースタイム
鳥居地峠⇒(55分)⇒高座山⇒(40分)⇒大権首峠(おおざすとうげ)⇒(45分)⇒杓子山⇒(30分)⇒大権首峠⇒ (40分) ⇒高座山⇒(50分)⇒鳥居地峠
標準コースタイム:4時間20分
■活動距離7.4キロ
■高低差589m 累積標高上り743m
杓子山登山 本編
鳥居地峠登山口へ
杓子山の登山口がある鳥居地峠への移動中で、早速富士山が姿を見せてくれました。
こんだけデカけりゃ山頂からの眺めも十分期待できるぜ!と虚勢を張りますが、もう富士山は十分見たから山中湖でほうとう食べて温泉入って帰るのもいいなという気持ちが半分あります。
登山口は忍野村(おしのむら)にあります。
道志にはなかなか来ることがないので初めて聞く地名だらけで読めません。
散々迷って途中でYAMAPを起動して、なんとか鳥居地峠までやって来ました。
ゲート前に5〜6台ほど駐車できるスペースがありますが、思いのほか車が多く止まってたのが意外でした。
運良くラスト1台分のスペースをゲットできて良かったです。
急坂を越え高座山へ
ほいだば出発です。
このゲートはくぐらず右に折れます。
高座山への標識があるのでその通りに進みましょう。たぶん迷わないと思います。
悪路ですが4WD車なら走れそうな道を歩きます。
しばらく行くとここにも駐車スペースがありました。この悪路を走れるなんてハイエースって強いんですね。
ここからトレイルに突入です。
すぐにススキ野原が広がります。
富士外輪山≒ススキ野原っていうイメージを裏切らない景色です。
そしてやっぱり富士山。
ないっすー!富士山ゴイっスー!
ほんとすげぇ眺め。
いや。すげぇのは富士山の眺めだけじゃなくて、
これよ、これ。
写真じゃ伝わりにくいけど、ほんとバカすぎる急坂っ!(誉め言葉です)
さっきまで温泉浸かって帰りたいとかいう甘っちろい考えを捨て、どうやら本気を出さなきゃいけないみたいだな。。
真ん中の窪んでるところがステップになってて、そこを階段を上る様に登っていきます。
だが俺はそんな逃げることはしたくない!!
柄にもなく男気を見せ窪みから外れてあえてザレた斜面にチャレンジを試みるやっほっほ亭。
「お、おあとがよろしい様でぇ!!」
気合入れて自分を奮い立たせます。
「うぅ。とても立っていられない様でぇ!!」
下腹が出てきたのが原因か、ザザーっと徐々に下へ下へと滑っていくだらしなさ。
まじやべぇっす。
ついに手をついて急坂に屈した自分。この情けない「お願い許してぇ」の土下座ポーズに涙が止まらない。
そうこうしてる間にも容赦ない急坂でズルズル滑って止まらない。
ヤべぇ。ふざけてるとほんと下まで滑っちゃうんですけど!
これ以上のチャレンジ精神は持ち合わせてないので、窪みに戻ってきました。
「痩せよう。。」
いや、もとい。
「今日の自分を超えてやる」と、怠惰な生活を送ってしまったがために太ってしまった後悔の念をちょっとカッコ良く言い直してみる。
つか、こんな急坂なのにヤマレコがよくおススメの山として取り上げたな。
少し登って度々振り返る富士山。
ゴイスゴイス。
ナイスナイス。
富士外輪山って富士山の眺めが全てと言っても過言じゃないですからね、ここまではパーフェクトと言って良いのではないでしょうか。
登ってきた急坂。そこいらの滑り台より傾斜は急です。ここを下るのは自殺行為としか思えません。
でもここから先はなだらかな登りっぽい。よかったよかった。
ふむふむ、合ってる合ってる。基本一本道なんだけど、すぐ横に巻き道もあって、正しいかちょっと心配になりました。
近づいてみると、なだらかな坂に見えたそれが徐々に恐怖の急斜面だということが分かってきました。
なんだこの山。
もうチビりそうです。
岩場でもないのにロープがでてくる始末。
超やべぇっす。
やべぇしかでてこない。
ロープがなかったらアイゼン+ピッケルがないととても登りきることはできなかったでしょう。こんなザレた急坂は自分は初めての経験です。
山頂が見えてからがまた大変。
この先、中途半端にロープが途切れてる区間があって、這いつくばるように右にトラバースしました。
この山、大馬鹿です!(これはただの文句です)。
苦労しつつもそれなりに楽しみながら高座山の山頂に到着。
ヤマレコじゃたくさんの人が軽々登ってる印象だったからこんな面白い(?)ルートだったなんてちっとも知らなかったよ!
ここには登りに来る価値ありです!
ありゃ、富士山に少し雲がかかってしまったな。この先大丈夫だろうか。
ここまで散々見続けてきた富士山だけど、やっぱ登山しに来た以上、お昼食べながら富士山が見たいからね。
頑張っちくり、富士山さん!!
富士吉田市の町並みが見えます。下界はよく晴れてるみたいです。
登り返しに耐えてガスの杓子山へ
これから目指す杓子山がとうとう見えました。
ここまでの急坂でちと疲れましたがここまで来たんだしもう一踏ん張りして行ってみますか。
高座山から最初は下る。
モッタイナイ。
このやろうめ。ボキッとしてやる。
そして登り返す。ひー
高電線の向こう側の杓子山。だいぶ近づいてきました。写真には映ってないけど、この時右から杓子山に忍び寄るガスの気配がありました(前フリです)。
高圧線の下から見上げるのはお決まりのアングルですね。
そして再び下って、また登り返します。
5回ほどそんなアップダウンを繰り返しました(マジか。。)
ピストンなので帰りのアップダウンのことを考えると今からゲロ吐きそうです。
隙間から杓子山。まだガスに巻かれてないです(前フリです)。
更に待ち受けるアップダウン。
全体の行程は短いのでそれほど大変じゃないはずですが、やはり太った事が悪さしてるのか足が上がらない。
最近は忙しくてランニングもサボり気味だったし、登山を楽しむには基本的な体力作りが必要だなと改めて痛感させられる登り返し地獄。
枯れて汚いイソギンチャクの様なアザミ。冬の山は撮るネタが少ないんでね、こんなんで勘弁してください。
割と平坦な道がでてくると大権首峠は目の前です。
大権首峠に着きました。大権首峠と書いて「おおざすとうげ」と読みます。漢字検定とか全く意味を成さない読み方ですね。
ここはトレランコースもあって不動滝方面に林道を使って行けるルートがあります。明美起点の人はこのトレランコースで下山する人が多かったです。
荷物運搬用モノレールの線路がありました。
この時は林業の作業用かとばかり思ってましたが違いました。あとで説明します。
高座山ではわずか1人としか会わなかったのに、ここに来ると3〜4人とすれ違いました。
みんな明見を起点に不動の湯ルートで登ってきた方々です。
「ちっ、楽しやがって!!」
とか言ってないで、自分も次登りに来たときは絶対に明美からの登ることを誓わせてもらおう。
いよいよ杓子山は目の前。秒読み段階です。まだガスってない。この分なら大丈夫でしょう。
なかなか気持ち良い風が吹いてます。
ん、なんだこりは?
グライダー離陸用の台がありました。
こんな高いところから飛び立つなんて高所恐怖症の自分には理解不能です。
さっきの荷揚げ用のモノレールはグライダー運搬用だったんですね。
しかしこの山は展望所も多く眺望に優れてます。同じ道志の最高峰御正体山とはえらい違いです。
富士山はたまに雲に隠れてしまいますがちょっと待てばご覧の通り絶好調です。
山頂ランチが楽しみです。
とウキウキ気分だったのに、倒木の下をくぐったらコイツが頭に突き刺さって悶絶。
「あっぶねぇ~、杓子で即死するとこだったぜ!」
幸い流血せずに済みましたが、どこに危険が潜んでるか分かりませんね。
さあ山頂への最後の階段を登るよ。
杓子山の山頂に到着しました。急坂を乗り越え、頭を負傷し、こんなに頑張ったのに背景をご覧ください。
ええ、そうです
完璧なタイミングでガスに取り囲まれたよ!!
前フリ通り、見事に真っ白です。
富士山の反対側はクリアなんだけどね、、
麓の街並みが見えたって意味がないんじゃ!!
富士山と反対側はクリアその2。
杓子宮と麓の街並み。
意味ないんじゃ!!
鐘を打ち鳴らして鬱憤を晴らすしかありません。
本来ならこの杓子山のシンボルとも言うべき標識と鐘の背景には大きな富士山がどデカく見えたはずなのに。。。
「さあ、鳴らすぜ!!」
顔でな!!
所得隠しゴーンと(音色はカーンだったけどね!!)
何十億という報酬をむさぼる経営者になれるものならなりたい。
「こんなはずじゃなかったのに・・」
富士山の景色を期待して登って来ましたが、まんまと裏切られた登山者が口々にそんな事を呟いてます。もはや足取りはゾンビ。
同じ痛みを分かち合える我々はもはや同朋ゾンビと呼べる存在です。
人間らしさを取り戻すため飯にしましょう。
どんなにガスったって山で食べるご飯は美味いんでね、毎度のシンガポールラクサ味のカップヌードルやキャラメルやらスポーツ羊羹やら。下腹が膨らむメニューをふんだんに用意してきました。
ところで、ご飯を食べてると他のグループが集合写真を撮り始めたのですが、そのカメラが富士のX-T3だったのがクソ羨ましかったです!!
自分がそんな高級機種を持てる日は永遠に来ないでしょう。
羨ましさばかりが募る山頂を後にして下山します。
恐怖の下山の幕開け
先ほどのグライダーの離陸台に戻ってくるとグライダーが運び上げられてる!
「どこに着陸するんですか?」とかいろいろ話を聞かせてもらいました。
「で、まだ飛ばないんですか?」
常識を逸脱した図々しい催促をしてみると、「まだまだですよー」とのことでした。
すみませんっ!
ふんぬっ!
下山を阻む様に立ちはだかる倒木を金太郎並みの怪力で担いでどかしときました。
有名ブログ「ビストロきっちょむ隊」を真似て、枝を使って鹿の角を演出したつもりですが、ただただケツのどアップでしかない出来上がり。
見苦しさでますますフォロワーが減りそうです。
ブログを始めて結構年数経ちますが、きっちょむ隊とは違って永遠不滅のマイナー路線を歩み続けるやっほっほ亭です。
まだ栗がありました。この時期の山には冬と晩秋が混在してます。
高座山まで戻ってきました。ここまでのアップダウンを心配してましたが、遊びながら歩いてきたのでそんなに苦に感じませんでした。
一応、それなりに山登りを続けてきたんでちょっと体力はついてきたんだと思います。
いよいよか。。言ってみればここまでの行程は序の口です。
地獄の下山、ここからが本番だぜ!
巻き道なんて使わねぇぞ!!
今こそマイナーブログの意地を見せる時。いざ、参るでござる。
こんなザレた急な下りは初めてです。でも絶対、巻き道を使うよりこっちを歩いた方が楽しいです。
ロープをヒーヒー言いながら必死につかみ、滑りそうになっては大笑いしながらゆっくり下ります。有名ブログと違って安全な道は選ばない。
ちょっと休憩。
疲れました。
ここまでくれば窪みを使って普通に下りられます。
登ってきた2人組との離合はちょっと困ったけどね。
振り返る高座山は富士の外輪山らしく一面ススキ野原に覆われてました。
この山のことは忘れることはないでしょう。おもしろ過ぎです。
明美から登らずに、鳥居地峠から登ることを当ブログではススメます。
自分は次に登る時は明美から登りますけどね。うふっ。
最後の最後に、カメラには映らなかったけど雲の上から富士山の山頂部分が姿を見せてくれました。
この時期は富士山も真っ白で雲と同化してしまうため意外と気づきにくい。最後に良いものが見られました。
振り返る急坂。
ちょっと名残惜しいですが無事に下山できて良かったです。
帰りに吉田うどんを食べました。
ここ「吉田うどんの駅」は最初から狙ってた訳じゃなくて、観光名所や道の駅があれば寄ろうと思ってた矢先にあったんで咄嗟に入りました。
飛んで火にいる吉田うどん。
お店のイチオシだった肉汁うどんを頼みました。
麺は太めでコシが強くて、汁がバリウマ!
山梨の名物はほうとうだけじゃなかったんですね。
振り返って
富士山を眺める登山は、都心近郊の山旅の極意と言って良いでしょう。
道志の山は地図で見ると丹沢山地のすぐ隣に位置してるため、東京からのアクセスは良いし、景色も良いのでぜひおすすめします。
高座山経由のルートで歩いてる人は少なかったのですが、5台ほど止められる駐車場は満車。不思議です。
いずれにしても山頂はそこそこ賑わっていたので人気の山なのは間違いないと思いますし、駐車場は狭いので、なるべく早出した方が良いです。
一面に広がるススキ野原。
原生林や山中湖の眺め、下山後の観光地巡り…。道志は見どころがたくさんあるので楽しい旅になると思います。
気温が下がり空気が澄んで、遠くから富士山が見渡せる季節になりました。
晴れた日は東京の社屋から眺める富士山が楽しみの一つです。最近、給湯室からだと浅間山も見える事を発見して一人で興奮してます。
まあ、浅間だと思ってたのが実は男体山だったんですけどね。ふっ
そんな季節なのに、まさか今回山頂から富士山が見られないなんて、、
この運の無さは持ってない男の極意と言っても過言ではないてしょう。
あたぁ!!
ではでは