白馬(はくば)と白馬岳(しろうまだけ)みたいに、山名と地名とで読み方が違うところは別に珍しくはないんだけど、ここ福島県の雄国沼(おぐにぬま)と雄国山(ゆうこくやま)もそう。
難しい漢字の地名は鼻っから読めなくてもいいんだけど、こういう小学校で習う様な優しい漢字で読み方をひねってくるのが厄介なんだよね。
たとえば新潟県の新発田市(しばた)とか。
鳥取県の米子市だって、もうコメコ市でいいよ。
でも一番は東京の国立。
はじめから「くにたち」って読める人いる?こんなのもはやキラキラネームかと疑うレベル。
いくつも読み方が変わる漢字ってそろそろ見直していい時代かもしれない。
山だって「やま」「さん」「ざん」「せん」とか、おっさんになるとそんなことで迷うことがめんどくさいんです。
しかもたまに山の代わりに「岳」や「峰」、「嶺」が使われてたり、もうどうでもいい。
あ、でもそんなことより「渡辺」と「斉藤」の漢字統一選挙を実施してほしい。メールアドレスの検索がクッソめんどくさいから。
あ、あと「菅野」のスガノ、スゲノ、カンノの統一も次期総理の公約に盛り込んでください、お願いします🙏
さてさて、コロナによる巣ごもり需要をきっかけに始まった空前の猫ブームに乗っかり、今回自分が目指したのは「猫魔ヶ岳」。
雄国沼(おぐにぬま)と猫魔ヶ岳の二刀流です。
この山はニッコウキスゲの群生で超絶有名な雄国沼(おぐにぬま)とセットで登るのが王道。
ニッコウキスゲハンターの自分が前々から歩いてみたいと思って虎視眈々と狙っていたルートどえす。
6月末、ちょうど見頃を迎えたタイミングで歩いてきたけど、おっさんに優しいハイキングと思いきや、ずいぶん長い距離を歩いて今回もしっかりバテバテ。
標準コースタイム
■2024年6月29日 ※カッコ内は標準コースタイム
こがね平駐車場⇒(25分)⇒八方台登山口⇒(80分)⇒猫魔ヶ岳山頂⇒(20分)⇒猫石⇒(65分)⇒雄国沼休憩舎⇒(25分)⇒ニッコウキスゲ群生地⇒(5分)⇒金沢峠⇒(105分)⇒猫石⇒(25分)⇒猫魔ヶ岳山頂⇒(60分)⇒八方台登山口⇒(20分)⇒こがね平駐車場
コースタイム:7時間10分
距離 17km、累積標高上り850m
猫魔ヶ岳と雄国沼
こがね平駐車場から登山スタート
ボンビーだから雄国沼のニッコウキスゲを見ることなんて許されないんだと諦めてる人はいないかい?
ボンビーなめんな。
こがね平駐車場から長い距離を歩いてやろうじゃないか。
何を言ってるかというと、ニッコウキスゲが見頃を迎える頃、雄国沼周辺は通行止めとなってシャトルバス(有料)でのアクセスになってしまうわけだけど、ここ八方台からなら歩いて行けちゃうんだよね。
ただ、八方台は超絶人気の磐梯山の登山口でもあるから、早朝には第二駐車場まで満車になってしまう。
東京を早朝に出ても八方台に止められるはずがなくて、そこから1.4kmキロほど離れた「こがね平駐車場」に駐車してスタート。
道路を1.4キロほどてくてく歩いて八方台駐車場に着いてみると、歩きに来たくせに無駄に歩きたくないというわがままボンビー達が駐車場入口をふさぐ様に停めてたり、まさに無法地帯。
無理して停めて当てられたらたまらんから、こがね平駐車場に停めて良かったと思う。
猫魔ヶ岳へ
さて、福島といえばコレというこの攻撃的な熊の看板から登山スタート。
ニッコウキスゲの時期は雄子沢登山口で500円の協力金を求められるらしい。
だがしかーし!!
八方台から歩けば、雄子沢登山口を通らずに済むから支払いからも免れることができるのだ!
これもボンビーにはとても大事なポイント。
シャトルバスと合わせて1,700円も浮いた😀
金が無い奴ぁ黙って長い距離を歩け。そう言わんばかりに黙々と進む。
梅雨の晴れ間を狙ってやって来たけど、当然カラッと晴れる訳もなく、曇り空のため樹林帯は暗い。
梅雨に突入して、見上げれば新緑の薄い緑からだいぶ夏らしい濃い色になってきた。
そして早速だが樹林サウナによっておっさんは汗汁まみれだ。
だがどんなに不快でも1,700円も浮いて笑みがこぼれる。帰りに蕎麦と飲むヨーグルトでも買おうかな。
猫魔ヶ岳までは残り0.5km。
風が吹いてる中でも携帯扇風機を浴び続けている甘っちろい女子たちよ、よく聞け。
心頭滅却すればサウナも涼し!
この灼熱の中でも割と良いペース。
そろそろ景色が開ける。
樹林帯が暗すぎたから、少し明るくなっただけで気分は晴れやか。
なんてね、ドボボーーーん。
やはり、磐梯山は重たい雲のマウントによって無残な姿でご登場。
磐梯山にしなくてほんとよかった。
ああ、やっぱりこれからの登山には携帯扇風機が必要だわ。
そんなことを思ってたら猫魔ヶ岳の山頂はもう目の前。
この時は帰りの登り返しの方が今よりも苦しいだなんて思いもしなかった。
今振り返っても、暑すぎるっていう理由で最初を超絶のんびりペースにして足を残せたからほんと良かった。
景色が開けた。曇ってるけど猪苗代湖はまあまあ遠景が効いて、おっさんも少し復活。
猫魔ヶ岳と猫石
猫魔ヶ岳、標高1,404m。
一応、日本百低山というブランド品。
ブランドロゴはこのキャット。
ガーフィールドの方が可愛いからもし再訪できたら並べて置いてみようか。
麓の標高がすでに500m以上あるから標高差は1.000mほど。
先行するご夫婦が「ここにあったよ!」と騒いでた。一等三角点マニアにとって垂涎の光景なのかもしれない。
山頂は景色が良かったんだけど、この山の見どころは猫石だからちょっと涼んだらさっさと次へレッツゴーだ。
山頂から500mほど進んだあたり。
「猫石すぐそこ」と、ちょうど良いぐらいに可愛らしい字で書かれた案内を見逃さず、ここは右へ。
こういう案内が達筆すぎるとちょっと嫌だよね。
こっちの猫石は達筆!
ちなみに猫の形に見えるから猫石というわけではなく、その昔、弘法大師が化け猫を封じ込めたとされる巨岩だって聞いたよ。
猫魔という怪しい地名の由来はそういうことみたいだよ。
そんな化け猫ちゃんからは本日のメインディッシュである雄国沼が見える。
もしかしたら湿原がニッコウキスゲで黄色く染まる光景に期待したけど、さすがにそれは期待し過ぎ。
雄国沼へずっと下る
猫石から雄国沼へは長い長い下り。
ここを下りながらマジでこれ登り返すの?と何度も疑うこと間違いナシ。
沢を横切ったあたりからやっとフラットになるから、ここで腹をくくる。
雄国沼がこがね平駐車場より標高が低いことを後で知る。。
駐車場の標高が1.100m。雄国沼が1,089mという事実。
でもフラットにると木漏れ日が差し込む天国みたいなトレイルが待っていたわけです。
ここがめちゃ気持ちよくてね、アホだから登り返しのことなんて忘れて浮かれてたな。
ちょうど晴れてきてくれて、ブナの森がキラキラ輝く。
今回は反時計回りで雄国沼を周回したんだけど、結論から言えばピストンで歩いた方がお薦めです。
雄国沼(おぐにぬま)が見えた。
ニッコウキスゲはまだ見えないなぁー。
後ろからトレランおじさんがクラクション代わりに熊鈴を16ビートでチリンチリン煽ってきたり(笑)
まあそれぐらい歩きやすい。
さあ湖畔に出たよ。
猫魔ヶ岳の曇り空が嘘みたいに晴れた。
円錐形のきれいな山が雄国山(ゆうこくやま)なんだろうなぁと。
修行しに来たわけじゃないんでね、登りまへん。
お腹が空いたから雄国沼休憩舎に立ち寄ったけど、日なたは暑くてとてもゆっくりできないからおにぎりは1個だけにしてさっさと移動。
梅雨明け前なのに日差しだけで死ねる。
ベコ岩だそうです。
雄国沼へ下って行く。
ここまでニッコウキスゲは一輪も見てないんだけど、本当に群生してるのか?と怪しんでた。
鬱蒼とした森は突然幕を開けるニッコウキスゲ劇場の序章なのか?
怪しみつつもサプライズに期待するおっさん。
違った。
黒いのはぜんぶオタマジャクシという序章。
手ですくってみたら人生でしたことのない経験ができたのになぁと少し後悔している。
雄国沼のニッコウキスゲ
そしてようやく湿原にでた。
群生の密度は尾瀬を超えるというニッコウキスゲはまだ見えない。
行列の密度は尾瀬を超える😂
どこの山もそうだけど大所帯はいるから、そのグループと距離を空ければストレスなく歩くことはできるからなんの問題もなし。
さて、肝心のニッコウキスゲはどこかな。
わくわく
おお〜
おっふ〜
キスゲ元気いっぱい。
ここは一方通行の周回コースになってるから、みなさん思い思いに腰をおろしてのんびり撮影を楽しんでいる。
咲き始めで肌に張りがある。
猫魔ヶ岳だけだと面白くないから、雄国沼との二刀流にしないともったいない。
もう何年も登山をしているとただ登るだけでは満足できなくなってるから、今日みたいな登山はまさに理想形。
腰を下ろすどころか、撮影に本気の方は盗撮的アングルで夢中だ。
雄国沼に反射する山々。
今週末から満開という情報は嘘ではなかった。
ニッコウキスゲの群生地で有名なのは、霧ヶ峰、高峰高原、霧降高原、尾瀬、雄国沼だと思うけど、その内尾瀬のニッコウキスゲはまだ見たことがないから来年のターゲットかな。
途中、何度も何度も立ち止まってゆっくり楽しんだけど、あっという間に一周してしまった。
もう一周するのはめんどくさいけど、もう帰るのは名残惜しい。そう思っている人たちが足を止めてたたずんでいる図。
自分も名残惜しいけど、雄国沼を一周して猫魔ヶ岳への登り返しが待ってるんでね、そろそろ行きます。
ちなみにこれから登り返すことになる猫石と猫魔ヶ岳はあんな遠い。
なんとかしてあそこを巻いて帰る手段はないのかとYAMAPを改めて見てみる。
うん、やっぱ無いわ😂
これが見れたわけでまったく後悔はない。
ボンビーは黙って歩くのだ。
最後はニッコウキスゲではなくノハナショウブで〆る。
登り返し天国
ひーひー言いながら金沢峠まで登ってきた。
ここ金沢峠からブルジョワな方々は冷房の効いたシャトルバスに乗って近隣の駐車場へと帰っていく。
ふっ。
心なしかみんなリッチな笑みをこちらに向けている様だが、こちとら1700円も浮いたんだぞ!と胸を張って応戦だ。
ちなみに金沢峠からの眺めが猫魔ヶ岳と遜色ないレベルという事実にも驚く。
なんのためにこれから猫魔ヶ岳へと登り返すのだろうと思えてしまう爽快さ。
ちなみに、さあ行くぞ!という気持ちを萎えさせるアスファルトのひなたロードを行くことになるのは計算外。
ミミズが干上がっている。。
ブオオーンと音がして眺めてみればシャトルバスがローギアでゆっくり上っていく。
兵庫県には20m歩かされただけで文句を言うパワハラ知事がいるけど、そういう男はタクシーじゃなくてバスに乗せられたと言って文句を言いそうだな。
つか、パワハラで自殺って刑事罰で訴えることできないのかな。
パラグライダーが飛び立つところからがどこよりも眺めが良いという真実。
てくてく歩いてきた。
長かったアスファルトもようやく終わりだ。
ここまで堰を切ったかの様に「暑ぢぃ」を連呼してきた。
そして森に入れば右も左もギンリョウソウだらけという不思議な区間に突入。
こんなに木漏れ日が気持ち良いところなんだけど、情け容赦のない猫石への登り返しが始まりヒーヒータイム突入。
何度も足を止めて休む。
ちなみに今日はそれでも累積上りは800mほどしかないんだけど、ハイキング気分というマインドで来てるからこれぐらいの登りでもしんどいのよ。
どういうわけでこういう毛が育つんだろう。
いま各地で希少なマリモが見つかっているというニュースを見てちょっとだけ興味がわいた。
マリモって北海道の阿寒湖が有名だけど、東京、大阪、大分から、河原で拾った石を水槽に入れてたら国内で2例しか報告が無かったモトスマリモが育ったという珍現象が起きているらしいよ。
いつでも熊が出てきそうだなぁとブツブツ言いながら疲弊した体にムチを打って登っていく。
熊の糞とかは落ちてなかったけどね。
緑は夏らしい濃いマリモ色に変わった。
立ち止まってばかり。
再びの猫石。
さっき見たばかりだけど、律儀にもう一回見納めしておこうかな。
実は化け猫扱いをされた猫に激しく同情している。
魔女狩りと同じで、きっと意味もなく無慈悲に殺されたんだろうなと、この平和な観光地でそんなことを思った。
猫石から猫魔ヶ岳へ移動。
森林効果で涼しいはずなのに汗汁は止まらない。
2回登るってことはよぉ〜
2度死ねるってことだなぁ。
ものすごく薄っぺらなことを不敵に言ってみた。
山頂に着いてみると予想を裏切る完全なる無風。
こりゃ長居は無用だなと言いつつ、もう足が動かないんだからへたりこんだ。
ハイパー大吉食べてラストスパートだ。
いやいや、ハイチュウだけじゃ足りなかったからスウィーツおかわり。
下山したら浮いた1700円で桃でも買おうかな。
最後に磐梯山の雲も取れた。
さーて、帰ろう!
こがね平駐車場へゲッザーン
ここからは下りだけだ。
登ってばかりだったけど、なんだかんだで良い一日になったな。
途中、リフトを通過。
星野リゾートのスキー場かな。
下りは早くてあっという間に登山口に到着。
しかしこれで終わりではない。
八方台からこがね平駐車場まで、約1.4kmの道路歩きが待っている。
いつも道路を歩く時、南アルプスの鋸岳を下山して角兵衛沢から仙流荘までの10km以上ある林道歩きを思い出すと余裕で乗り切れる。
あそこだけは2度と歩かない。
こがね平駐車場に着いた。
梅雨なのに晴れに恵まれたよ。
おわり
狙ったわけではないけど、田代山、会津駒ヶ岳、そして今回の猫魔ヶ岳で福島3連続。
雄国沼のニッコウキスゲ、率直に言ってサイコー過ぎたよ。湖畔の木漏れ日トレイルも爽快過ぎ。
暑ぢぃ暑ぢぃばっか書いて伝わらなかったかもだけど。
でも基本的には避暑地だから朝夕は半袖だと寒いぐらいで天国。
東京のうだる暑さから解放されに来たれ東北!
6月末〜7月初旬のお出かけには雄国沼をぜひ候補にしてください。
必ず満足するよ。
コロナの巣ごもり需要で始まった空前の猫ブームの裏に、日本における猫の殺処分数は毎年約1万匹もいるんだって。
しかも猫の場合は犬に比べて子猫の引き取り処分が多い。
ブームが去れば処分数はさらに増加するかもしれないけど、逆にブームによってペットが店頭で販売されているという異様な光景が日本ぐらいなものだという認知が広まり、殺処分数の減少に繋がってくれたら良いんだけど。
猫石は人間を恨んだ化け猫ちゃんの供養塔に思えてくる。
ではでは