白馬岳〜唐松岳縦走の2日目。
(1日目の白馬岳(猿倉~天狗山荘)の記事は、こちらからどうぞ)
この日は天狗山荘から難所の不帰ノ嶮(かえらずのけん)、またの名を不帰キレット(かえらずキレット)を通過して唐松岳を登って、八方池へ向け下山します。
前半の不帰ノ嶮は岩場が続く険路ですが、後半の八方池へ続く八方尾根は危険箇所がなく高低差も800mほどしかないアルプス入門者に最適なルート。この両極端な2つのルートを、晴天に恵まれた青空の下、満喫してきました。
唐松岳は日本三百名山。標高は2,696mです。
前段の説明の通り八方池から簡単にアプローチできる上、白馬三山と剣・立山の眺望が素晴らしく、途中にホテルの様な唐松岳頂上山荘もあり、とても人気の高い山です。
いざっ
アクセス方法
・八方尾根へのアクセスは、こちら。
■ルート
■全行程スケジュール 2016年8月7日
5:00 天狗山荘出発 ⇒ 5:20 天狗の頭 ⇒ 5:40 大下り(不帰キレット始まり) ⇒ 6:30 不帰一峰 ⇒ 7:20 不帰2峰(北峰) ⇒ 7:30 不帰2峰(南峰) ⇒ 8:15 唐松岳 ⇒ 8:40 唐松小屋 ⇒ 10:00 八方池 ⇒ 10:45 八方池山荘 ~ゴンドラ・リフトで下山~
お早うございます。
隣の人が早い時間から準備する音がうるさくて目を覚ましたのは、なんと2:40(^_^;)
もはや早起きとは言いがたい。。
片付ける音は増す増す大きくなるため、もう眠れないなぁと。そんな時は、よしゃ!と、頭を切り替えて朝食にします。
食べ終わってテントの片付けを始めたのが4:00。
テントを撤収し、パッキングも完了。
小屋の前で暖かいコーヒーを飲んで山小屋に泊まった方としばし談笑。
そして、しゅっぱーっつ!!
5:00 登山開始。昨日沈んでいった夕日の真逆から朝日が登り始める。
今日も怪我なく良い1日でありますように!
5:40 天狗の頭に着きました。2,820m。
朝の澄んだ空気のおかげでコントラストの高い景色が広がります。
左前方に五龍岳と鹿島槍、右には剱岳。遠くに槍ヶ岳も確認できる。
剱岳アーーップ!
次はあいつだな。
急いだらもったいない。
不帰ノ嶮のコースタイムは4.5h〜5hほど。唐松岳から八方池までが2.5hほど。八方バスターミナル発新宿行きバスは14時なので十分間に合います。
さあ着いた。ふんどしを締め直す。
ここの天狗の大下りから不帰キレットが始まる。最低のコルは2,400m。天狗の頭からだと標高差400mを一気に下ることになります。
ガレ場が滑りやすいので無理して急ぐと危ないです。
テン泊装備が重いんでね、のっけから必死ですよ。
早々に鎖場が登場するんで、ザックの重さで体が振られても耐えられるように荷重の移動を意識しながら下ります。
この先に見える登り返しがえげつない。
最低のコルに到着。
ここまで見るからに身軽そうな3人に先を譲りましたが、後続には自分以外にもテン泊装備の人が4〜5人いました。
そして、その内の1名は前日から付かず離れずで一緒に登ったフォーさんでした。「おーい」と手を振ってお互いの存在を確認。
見るからに険しそうなトレイルが近づいてきた。
いよいよ本格的な岩場が始まります。
直登です。そして鎖場や岩場で自分が重宝してるのがこれ、園芸用の軍手。
表面が全面ゴムで滑り止めになってるし、手の甲の部分はポリエステルなので、額の汗をぬぐっても乾きが早い。
無事、最初の難所を越えると、ハイマツをかき分けて登っていきます。こういう登りが足腰にくるんだわ。
ふー、とりあえず不帰1峰とーちゃくっ。
唐松岳側からあの大下りを逆に登っていく人たちと通り過ぎましたが、最後にあんな壁みたいな登りが出てきたら心が折れちゃうだろうな。
2峰に向け再びガツンと下り、登る。
見るからに先ほどの登りより急峻だぞ。
おお、よく見るとあんなとこに人が!
あそこを行くのか。
その下に目を転じれば取り付いたばかりの人が。いきなりこんな岩登りで幕をあけるんだな。。
戦々恐々と眺めながら、下っていきます。
さあ、自分もやりますかっ!
下から見ると意外とつかみやすい岩場だし鎖もあるので心配なさそうです。
園芸用軍手でがっしり鎖を握る手に力を込めます。
縦に登ってから右への横移動。デカザックが当たらないように細心の注意を払います。
はしごが出てくるなど、アスレチック感覚で楽しいです。
自分の後ろから距離を詰めてくる身軽そうな2人組と、「楽しいですね、この先に広いところがあったらそこで前を代わるからもう少し待ってて下さいね」と伝える。
声を掛け合うことが大事ですね。
ここで交代し、落石が心配なので前後距離をあけます。
ここも直登しますが、見た目以上に登りやすいので大丈夫。
ふぅ、大変な登りが続くっていうより、コースが長く体力が必要ってとこが問題ですね。
よく整備されてますが、滑りやすい岩場なので雨だったらパスした方が良さそうです。
ここは一瞬、「?」と思うところでした。
鎖をつたって横移動してから縦移動です。
ここら辺で疲れてきました。
注意散漫になって怪我するのが怖いから休み休みいきます。
滑落したら死が待ってます。
高いところダメなんで、こういうところはすくんでしまい極端に動きが鈍くなってしまいます。。
じゃあなんでこんなところ歩いてんでしょうね
慎重に慎重に、不帰2峰北峰を踏破。
ここまでが不帰キレットの心臓部。ここから先、唐松岳まではだいぶ距離がありますが、もう難所はありません。
この先の右前方に見える峰が南峰。中央の峰が不帰3峰です。
北峰から南峰まではなだらかに下って、再び登る。
労せずして南峰に到着。
ここで後ろから追い上げてきたフォーさんと合流。相変わらず動画を回しながら「カエラズ、フォー!!」とエネルギー溢れるコメントを発してました。
南峰で軽く休憩しようとも思いましたが、日差しが強すぎるため3峰へ向け下ります。
この下って登るってのを繰り返すのもあと2回。頑張れーと自分を奮い立たせる。
3峰は巻き道しかなく、ピークへのルートは見つけられなかったので、ここはパス。
ここまでくれば唐松岳の山頂を残すのみ。
振り返ってここまで歩いてきた軌跡を眺める。
長かった登り返しもこれが最後です。
最後の踏ん張りどころ。時刻は8:10。前を譲った人たちが自分のことを見てるのが肉眼で確認できます。完全に射程圏内。
天と地とが互いに近づき合う瞬間。遠かった。
強い日差しの下、幾度の登り返しにヘトヘトでしたが、この時ばかりは心気が充実するのを感じます。
八方リフトの営業開始は8時のため、この時間は唐松岳頂上山荘の宿泊者か、自分達のようにキレットを越えてきた者達だけが山頂を独占できる、絶好の時間帯。
8:15 天狗の大下りから約2.5時間が経過し、唐松岳登頂。
前日の疲れが残ってたから、思うように足が前に出なかったんです。
周りの人のペースは早いし、自分が遅いのだとばかり思ってましたが、実は良いペースだったことをここで初めて知る。
先を譲った方々と「お疲れ様でした~、ほんと長かったですね」と挨拶を交わし、自分の後から元気に登ってきたフォーさんともガッチリ握手を交わしました。
唐松岳山頂からの眺めは、不帰ノ嶮でずっと眺めてたそれと何ら変わらないため、新鮮味に欠けましたが、山頂は達成感で満ちてました。
「自分はお先に下ります~」と、一期一会の別れを告げて唐松頂上小屋へ移動。
体力に余裕があれば五龍岳も縦走してしまおうと考えてましたが、、ムリムリ^^;
白馬山荘にも負けないぐらい、清潔感の漂う唐松頂上山荘に着きました。
このテラスでやることと言えば、
祝杯でしょう!
やっと、炭酸にありつけました。喉を締め付けるこのキュ〜がたまらん。
ペットボトルがなかったから、飲みほさなくてはならないのがきつかった( ^ω^ )
不帰ノ嶮から眺めた唐松岳の印象は、正直、地味〜って感じでしたが、ここからコーラをちびちびやりながら見上げるととても綺麗な形をしてました。
こっちからの景色の方がお薦めです。
八方尾根を八方池へ向けて下山します。ここからだとコースタイムで約2hです。
だいぶ時間に余裕ありますが、じっとしてるのも退屈なので、下山してソフトクリームでも食べますわい。
こうやって遠目に眺めると、あれほど長く感じた不帰ノ嶮が、広大なアルプスの中ではごく狭いエリアでしかないことが分かり、自分の小ささを潔く受け入れることができて、むしろ満ち足りた気分になります。
澄み渡る青空。
横移動の様に、なだらかなトレイルが魅力の八方尾根は、歩いててとても爽快でした。
リフトの営業開始に合わせて登ってきた人で賑わってました。
巨大なケルンが休憩スポット。
八方尾根を振り返る。
このルートを登ったらさぞ気持ち良いことでしょう。さすが天下に名高い八方尾根です。
ハクサンシャジン
白馬一帯は高山植物の宝庫です。
下山したら速攻でソフトクリームだ!
こんな自分でも高山植物を見て綺麗だな~と感じる清らかな心は少しだけ持ち合わせてますが、食欲には勝てませんのよ。
標高を下げると雲がでてきました。
もう10時近いですから仕方ありません。
八方池の逆さ白馬は諦めたほうが良さそうです。
10人以上の団体さんが何組も通ります。
こういう狭いトレイルではエスケープできるところに避けて何組も先に行かせました。
まあ時間はたっぷりありますから、急がないことを意識してスマートに声を掛け合います。
10:00 八方池が見えてきました。やっぱ無理だな。
少しだけ逆さに映る峰が見れました。
どこだろうか?天狗の頭かな?
座るところを探してた親子連れにベンチを譲り、ぼちぼち行きます。
一人だとのんびり歩こうと意識しても自然とペースは速くなってしまいます。
八方池までコースタイムの半分ほどで下ってきました。まだまだ登山に対して気持ちの余裕がないんだな。
観光客がどっと増えました。登山客と観光客が入り乱れる様子は上高地の様です。
子連れの人達には楽しんでもらいたいからついつい先を優先させて行かせてしまい、後ろの登山客をイライラさせてしまいました。
スンマソン(*_*)
ひゃっほー
きもちいいー
あー、夏休みの高原って感じだな。
リフトからゴンドラ乗り場へ移動してると、うさぎ平、天空牧場というのぼりが見えてフラフラと立ち寄ってみました。
じゃじゃーん。りんご味。めずらしいでしょ。
ソフトのねっとり感も残しつつ、リンゴのしゃりしゃり感がたまらんの~、満足じゃ~
高原の涼しさとソフトクリームの冷たさですっかり満たされ、ゴンドラに乗り込みました。
中はムワッとしました。
ゴンドラを降りて八方バスターミナルへの移動で少し道に迷い、ヤフーナビを使いました。みなさん、事前に調べておくことをおすすめします。
バスターミナル前の八方の湯は洗い場で並んで待つほど混雑してました。
昨日の白馬岳登山ではタイツを履いてなかったので、湯船に足を付けた時の日焼けの痛みに耐えられず、すぐ出ました。
振り返って
まだ黎明と言うには早すぎる2:40。目を覚めし、テントの前室をわずかに開けて顔をのぞかせると、前日の夕方に湧いた雲はどこかに消え去り、満天の星が空を覆っていました。
これまでに見たことのない星の群れ。一つ一つの星が放つ光が強いため、もはや夏の大三角形がどれか見分けがつきませんでした。
前日の白馬大雪渓で幕を開けた、今回の白馬岳〜唐松岳縦走は終始晴天に恵まれ、大満足に終わりました。
登り始めると、しばらくしてご来光を仰ぎました。夜に冷やされた空気があたたまる前に、キレットへと向かう。
右手には常に鋭い殺気を放つ剱岳がそびえ、前方には堂々と居座る五竜岳が徐々に近づいてくる。
雪渓、キレット、お花畑、八方池と目まぐるしく変化するバリエーション豊かなトレイルは、歩いてて飽きることがありませんでした。
八方池は子連れの観光客で賑わってました。リフトやゴンドラは子供にとってこの上なく楽しい乗り物でしょう。
リフトで涼しい風を浴びながら高原までひとっ飛び。
帰りの高速バスに乗り込むなり運転手から「小仏トンネルを中心に事故渋滞10キロで~っす」と告げられる。
「事故渋滞なので~、更に渋滞は悪化すると思いま~っす」と、どこか抜けたアナウンス。。
とにかく、東京までひとっ飛びとはいかないもんですな。。
その後「渋滞20キロで~っす」と相変わらず気の抜けたアナウンスがあって、しまいには諦めた感じで、
「30キロになりました~」。。
運転手が少し気の毒に思えてきました。
ではでは