八ヶ岳っ!ナイッスー!!
絶賛梅雨真っ只中、南八ヶ岳の硫黄岳(いおうだけ)に登ってきたよ。
へたちょこハイカーの自分が考え抜いた生ぬるい企画はこうだ(へたちょこは、へたれ&へなちょこの造語だよん)
①オーレン小屋のボルシチを食らう(ピークハントなんて二の次だ!)
②ウルップソウを見る(本州では白馬岳と硫黄岳で生き残っている!)
③新作手ぬぐいをゲットする!
優先させるのは①~③で、あわよくば山頂の爆裂火口の絶景を見て嬉ションしちゃってもいっかなー、ぐらいの軽いノリ。
そんな訳で今回のルートは、硫黄岳の最短ルートである桜平を起点にオーレン小屋経由で登るコースを選択。
今回こそ、
晴れを狙う!
晴れを狙う!
晴れを狙うッ!!
絶対にッ!!
という強い意気込みでやって来た。
もう梅雨に疲れた。毎日雨で通勤も大変。洗濯物びちょびちょ(T_T)
とにかくお願い、晴れておくれーー!!と雨雲レーダーをガン見しながらやって来た。
そしてもう1つ言いたいことがある。
八ヶ岳まで来て山小屋グルメを楽しまないなんて、人生大損してるYO!
ほらほら。
こんなに野菜がトロトロしちゃってるるるるーーー!
ラミパスラミパスルルルルル!!!
Borscht!!(ボルシチ!)
食べるべし!召すべし!食らうべし!!
フーフーフー、フゴー!
興奮し過ぎた、大人気ない。これが人生初のボルシチデビューだから許してちょ。
八ヶ岳でボルシチデビューできるなんて幸せの極み!
ライスまたはパンとのセットでなんと1,300円!山奥なのに1,300円で食べられちゃうんだよ!すげっ!
梅雨空に晴れ間が広がり、歓声が上がる。
硫黄岳は標高2,760m、別名箕冠岳(みかぶりだけ)。
おっさんによる食い倒れ登山です。ゲプッ。
ルートとコースタイム
■2021年7月11日 ※カッコ内は標準コースタイム
桜平(中)駐車場⇒(40分)⇒夏沢鉱泉⇒(60分)⇒オーレン小屋⇒(25分)⇒夏沢峠山びこ荘⇒(60分)⇒硫黄岳山頂⇒(20分)⇒硫黄岳山荘⇒(25分)⇒硫黄岳山頂⇒(15分)⇒赤岩ノ頭⇒(65分)⇒オーレン小屋⇒(50分)⇒夏沢鉱泉⇒(40分)⇒桜平(中)駐車場
コースタイム:6時間40分(休憩含まず)
総距離 11.6キロ
累積標高差 1,170m
硫黄岳登山 本編
桜平駐車場はトイレ閉鎖
桜平(中)駐車場。トイレに立ち寄って出発準備だ。
ちなみに桜平駐車場には上中下と3箇所あって、トイレがあるのはこの桜平(中)駐車場で、駐車スペースも広い。
上と中はそれほど距離が離れてないから無理して上を狙う必要はないけど、下はさすがに遠いから早めに到着して中駐車場をゲットしておきたい。
ぬぬぬわんと!!コロナウイルス感染防止のため閉鎖中だとぉー!コノヤロー
ここから歩いて40分先にある夏沢鉱泉のトイレは使えるとのこと。
それって、感染防止対策になっとるのけ?
駐車場まではひたすら未舗装の砂利道だったのに、駐車場から上で舗装されてるという事実。
シャクナゲが見頃を迎えてる。
このゲートをくぐればラグビー稲垣啓太だってニンマリさせてしまう八ヶ岳ロードの始まりだ。
周囲には頭の中が美味いもんで埋め尽くされた登山者ばかりだ。
滝を眺めてえっちらおっちら。
手持ちで1/4秒開放で撮影。脇締めてしっかり固定!
安らぎの緑と書かれた看板。
安らぎをありがとごぜぇまぁ〜す(とろサーモン風に)。
夏沢鉱泉までは小型の輸送車が通れる様に整地された道が続く。
全国で猛威を振るう今年の梅雨。
ここ最近の梅雨は降り方が変わったとニュースを賑わしてるけど、自分は本当にこの時期が来るのが怖くなったよ。
防災マップとかよく見るようになったし。
そして、今日はと言えば、めちゃくちゃガスっているのだが、
安心セイ!セイセイセイ!10時頃から晴れる予報なのだよ!
どうせ山頂だけ雲が残るパティーンなんじゃないの?なんて覚悟しておく必要はないのだ!
晴れをゲットしてボルシチも食らう。八ヶ岳を最大限満喫するための下調べは完璧なのだよ。
夏沢鉱泉は魅力いっぱい
ここまで既に書きすぎで疲れてしまったが、歩いた距離は超短くて、汗なんか一滴もかかずに夏沢鉱泉に到着してしまった。
フラフラ撮影しながらだったけど、駐車場からここまで30分ほどだったよ。
おお、ここに売っとーやん!!あの手ぬぐいが欲しかったんだよ!
2枚で1つの絵柄になってるんだけど、お目当ては左の太陽と竜が描かれた方。
硫黄岳山荘で買おうと思ってたんだけど、帰りに夏沢鉱泉で忘れずに買っとこっと。
夏沢鉱泉の充実したメニュー。
さすが八ヶ岳。山小屋とは思えないクオリティ!
溢れ出る食欲を抑えるのに必死さ。グルメを楽しみに来たくせに軍資金はごくわずか。最初から狙いはボルシチに定めた一点勝負だ。
お次はオーレン小屋。ゴーゴーだ。
湿った森で居心地良さそうなキノコ。
オーレン小屋の水力発電小屋。これが出てくればオーレン小屋は目の前だ。
オーレン小屋も魅力いっぱい
オーレン小屋に到着。
夏沢鉱泉からここまでコースタイムでわずか60分。
近距離間で味自慢の山小屋がでてきて、八ヶ岳という日本屈指の山岳ランドという事もあって登山客は多く、登山経験が浅い人でも安心。天国みたいなところだ。
そんなグルメな山域だが、今回ばかしは相手が悪かった様だな。
今回自分が持参したお菓子はコイツ、世界ナンバー1のお菓子「博多通りもん」だ!
世界一(だと思っている)を行動食でいただくという最高の贅沢を企てた。
このしっとりした餡がサイコー。うふふ、あはは、ルルルルルー。
さて、参ろうか。
オーレン小屋のボルシチは11:00〜14:00までだから下山で立ち寄って食べる予定。
今はまだ9時だ。
小屋で咲いてたグンナイフウロ。
バイケイソウはもう少しで咲きそう。今年は当たり年みたいで多くの人がヤマレコでおかしなテンションになっちゃってるのを見かける。
3〜4年に1度しか咲かないオリンピックみたいな花だからみんなが大騒ぎするのも良くわかる。
オーレン小屋のテン場に泊まるのが憧れだったけど、今日は結局日帰りで来てしまった。
しかし、思ってたとおり天国のような立地条件!
次は必ずテントで来よう。もったいないことをした。
昼から天気が良くなる予報だったから、うだうだと下手な時間つぶしをして夏沢鉱泉へと移動。
夏沢峠までも、まるで公園内の散策路みたいに完璧なまでに整備されたトレイルが続く。
これから標高2,440mの峠に向けて上り詰めるというのにそんな事を1ミリも感じさせない。
桜平駐車場の標高が既に1,862mもあったから、
ほら、ぜんぜん頑張ってないのにこの高度感。
山びこ山荘は閉鎖中
夏沢峠に到着。
ここ山びこ山荘はヤマネが暮らす小屋として有名だけど、コロナ禍のため営業中止(2021年)。
オーレン小屋からたったの25分で着けちゃうからなかなかお客さんも立ち寄らないし、すぐ近くには同グループの本沢温泉小屋もあるから間引き営業って感じなのかな。
疲労感はゼロだけど、晴れのタイミングに合わせるべく必死で時間を使う。
うむ、ならば仕方ないな、必死で食べようではないか!
杏仁豆腐ケーキだ!毎度のKALDIでゲット。
本気で美味かったな。死ぬほどバター使ってるし杏仁豆腐の味もしっかりしたし、コストパフォーマンス高いよ!
ガスガスの山頂
時間を使うのが下手くそ過ぎて、手持ち無沙汰に耐えられず登り始めてしまった。
これがボンビー暇なしの性、特性と言ってもいい。
じっとしてると窒息してしまうのだ。
ほら、見上げてみな。
言わんこっちゃない、
この上はとんでもなくガスリーだ。
ひゅー。。
目を覆いたくなる風景。しかも暴風で耳が冷たいし指が冷たい!
耳はレインウエアのフードを被っちゃえば防げるけど、手袋を忘れたのはほんと大失態。
長袖のベースレイヤーを手の甲が隠れるまで無理に伸ばす。それでもどうしても冷たくて立ち止まってはポケットで温める。
※カイロを持ってきたことを思い出したのは下山後のことだYO!イエイ!
なんとなーく、少しずつ晴れてきた感じはするんだけどなーと遠くを見てると、
ぱぁーっと晴れた。
とは言え青空になった訳ではなく、暴風が目の前のガスを一瞬で吹っ飛ばしただけ。
この晴れとガスリーの周期が徐々に短いサイクルとなって、いつか晴れてくれると信じよう。
イワウメの群生。
5メートル先にいる登山客がやっと見えるぐらいまで天候は回復してきた。
アヘヘへー楽しい〜(T_T)
おお。見上げれば全体の1%ほどだが青空が出現。
2秒で周りの雲に覆い尽くされた。くっ。
最近は悲しいかな、こういう展開が多いな。
なんで夏沢鉱泉でもっと時間を潰さなかったのか。
時間を遅らせた者勝ちなのは明らかだったじゃないか!
時には南米のサッカーみたいなえげつない時間稼ぎも必要だ。スポーツマンシップに反していると正義感ぶって最後まで全力を出し切った挙げ句、追加点を許してしまうパティーン。
さあ、いよいよ煙に燻された山頂が見えてきた。
登山客全員、燻製の刑。
ウエルカムトゥザガスリージャンゴー。
硫黄岳らしくだだっ広くなった。
ミヤマシオガマ。
着いてしもた。
最初から山頂からの景色なんて期待してなかったんだ、そんな慰めを呟いてみたところでこのやるせなさは如何ともし難い。
硫黄岳が晴れるなんて、そんなものは都市伝説なんだ(T_T)。
心の中ででひとしきり号泣。
仕方ない、これも登山だ。
せめて山頂標識と記念撮影ぐらいしておこうかと、順番に並んだけど、前のおばちゃんグループが代わる代わる撮り続けて、ほんと長いこと撮り続けて、、3分経っても一向にどいてくれる気配がなくて、諦めた(T_T)
俺、3秒で終わるのに…。
爆裂火口の縁を散歩してると、真っ白だった山頂はみるみる精彩が戻り、大きな景色が現れた。
さきほどの標柱大好きグループも記念撮影どころじゃないぞ!と火口見学を始めた様だ。
天候に右往左往させられたけど、ひとたび清冽な景色が姿を見せればそんなこと全て忘れる。一気に引き込まれるダイナミックな世界はさすがだ。
硫黄岳山荘前はコマクサとウルップソウ
本当は10m先も見えないガスの中、硫黄岳山荘への死の行軍なんだけど幾分ガスが晴れたタイミングでしかシャッターを切らないから、あたかも「まあまあ天気いいじゃん」って感じ。
ウルップソウは本州では白馬岳とここ硫黄岳にだけ咲く、砂礫帯を好むレアな高山植物。
群生地は硫黄岳山荘の前だよ。
硫黄岳山頂からだと山荘に向けて一旦ガツンと下るため、帰りの登り返しがしんどいけどここは行くべし。
まさかの枯れ寸!!
ウルップソウはもう終わりだったか。。
紫色に咲いてるところが先端のわずか2センチほどという悲しい現実に死の行軍は報われなかった。
半分以上枯れてしまったウルップソウの姿に放心しながら、一向に飛び立とうとしないヘリコプターの音をずっと聞いてた。
本格的な夏山シーズンに向け、赤岳鉱泉小屋で荷下ろし作業をこれでもかとしてるんだろうと思ってたけど、実は赤岳で滑落事故があったと後日知った。
しかもこの日はガスガスで発見できず、翌日遺体を収容したそうだ。
今回の様な生ぬるい登山とは違う、牙を剥く一面を持っているのも八ヶ岳。気をつけねば。
硫黄岳山荘まで来た甲斐あったのがコレ。
硫黄岳山荘の前はコマクサの群生地でもあったのよん。
高山植物の女王様はウマヅラなのねん。
ここでやっと天気が良くなってきた。
夏沢鉱泉で時間は潰せなかったけど、今日のコンディションではベストは尽くせたな。
麓の景色も晴れ渡る。
この瞬間が大好きだ。
しかし山頂はやはりガス。
山頂はどうしてもガスが残りやすい、致し方なし。
やっと静かになった山頂でお目当ての手ぬぐいとの記念撮影に成功。
手ぬぐい買ってたのねん。
下山で夏沢鉱泉で買うつもりだったけど、最近本気で自分がアルツハイマーなんじゃないかと疑うことがある。そんな自分を全く信用できなくて、思い直して小屋に戻ってしっかり購入してたのだよ。やったね。
ところで、自分のド派手な靴が目立ち過ぎてしまい手ぬぐいが霞んでしまった様だな。
下山は赤岩ノ頭経由。
ガスで濡れた岩場の通過があるから気をつけよう。
少し標高を下げればガスの層を抜けてクリアになっていく。
みんな足を止めて振り返り、硫黄岳が晴れてないか確認してる。でも雲の層を抜けただけだから、山頂はガスったままなのよん。
山頂が晴れるなんて今日は無理な話しさ。
それでもぱぁーっと晴れた!!
まさにリアルガスピタンだ!
雲の層を抜けただけか?
違った!!
振り返った硫黄岳山頂がみるみる晴れていく。
嘘やろー
枯れ寸だったウルップソウ群生地もクリアになっていく。
なんだかんだ、結局天気予報通りになったな。
さあさあさあ!
最終目的のボルシチを狙ってオーレン小屋へ、ゲッザーン開始だ!
オーレン小屋〜夏沢鉱泉のトレイルが横幅広かったから、この普通に整備されたトレイルすら物足りなく感じる。
さすが八ヶ岳だ。みんなに優しい。
晴れ渡る空。輝きだす森。一気に首がちりちり音を立てて焼けていく様だ。
梅雨時の天気ってやつは手がつけられない。
オーレン小屋のボルシチ
ごめんくださぁーい!
と、危うく必要以上に大きな声で呼びそうになってしもた。直前にインターホンがある事に気付いたのはファインプレー、俺(フツー気付く)。
インターホン越しにボルシチを注文。
オーレン小屋の内部はこんな感じなのねん。照明のシーリングがオシャレやん。
うんめぇーー!!
人参も玉ねぎもとろっとろ!
人生初のボルシチはライスセットで注文。パンとのセットも選べるYO!
チャージ料無しでこの特等席で食べられる!(たまたま空いてただけ)。しかも日除け付きの席をゲットだ。
沢のせせらぎと涼しい風。ここのボルシチは総合力で本場ロシアの味を超えた。
ロシアの味知らんけど、きっと超えた。
今、山頂にいる人たちは勝利のガッツポーズを繰り出しているに違いない。
ふんっ、ぜんぜん羨ましくないぞ!
なぜなら、
この1時間半後、猛烈なゲリラ豪雨が襲ってきたから!
自分は間一髪セーフ。
時間を潰すのが下手すぎてマジ助かったぜぇ〜。
登山道沿いにあるミツバオウレンの群生を見ながら帰るよ。オーレン小屋の名の由来になった花だ。
夏沢鉱泉に到着。
今回はスルーしたけどここでお風呂に入ることもできる。まったく至れり尽くせりだ。
夏沢鉱泉の横を流れる沢。
梅雨明け宣言間近。本格的な夏山シーズンがもうすぐ始まる。そんな八ヶ岳の旅だったよ。
振り返って
八ヶ岳グルメツアーは山ガールだけのものではないのだッ!
今回のプランは見どころ、楽しみ、夢いっぱいでほんとお薦め。最後の夢はよう分からんけど。うまいスウィーツを持って、小屋グルメと高山植物を盛り込んだ八ヶ岳ツアーを企画してみてちょ。今回は日帰りだったけど、てきればテント泊で!
ちなみに、自分のこれまでの八ヶ岳グルメを振り返ってみると、赤岳鉱泉のステーキ、双子池ヒュッテのコーヒー、高見石小屋の揚げパン、そして今回のボルシチという感じ。まだまだ食い足りない!未踏のグルメは数多いぞ。
お次は黒百合ヒュッテのビーフシチューを狙うぜぃ!
下戸の自分は青年小屋の「遠い飲み屋」は対象外だよ。
コマクサがモリモリ咲いてた。
もし天気が悪ければ霧ヶ峰を散歩するぐらいのつもりだったけど、結果的に硫黄岳に登れて良かったよ。
これまで何度も登る機会があった硫黄岳だけど、天候に恵まれず本沢温泉で撤退したり、直前で他の山に変更したり、それらはすべて暴風が原因。
ピークハントだけを目的に登る様なチャレンジングな山ではないから、暴風の時にあえて頑張る必要は無いのだ!晴れの日をじっくり待って総合的に楽しまなきゃ損だ!
下山後、本場ロシアのボルシチの画像を見たけど、自分が食べたそれとは全く違っててびっくりした。
きっとおっさん向けに食べやすく改良してくれてるんだね。この味は山ガールだけの物ではないのだッ!
ではでは
(書いてるうちに梅雨が明けたヨ!)