【北アルプス】五色ヶ原 鬼畜ステアウェイ! 草紅葉の大原野と盛大なる睡眠時無呼吸登山

【北アルプス】五色ヶ原 鬼畜ステアウェイ! 草紅葉の大原野と盛大なる睡眠時無呼吸登山

喉が痛い。

風邪ではないし、ましてやコロナでもない。

この男は、自らのいびきによって、せっせと喉を痛めつけているのだ。

 

ぐあぁぁー、ごぉぉおおー

 

これでもか!

 

ぐるあぁぁぁああー、ごおぉぉぉらおらー

 

ええーい!もっともっとー!

 

ゴゴゴゴォォーどごぐるあぁぁー!ゴゴゴぉぉらオラオラオラー!

 

ピタっ(1分の静寂)。

 

グォぉぉぉおおおおー、ゴゴゴゴぉぉぉおおおー

 

たまに睡眠時無呼吸を織り交ぜ、肺活量アップを狙う。さあ、今晩もこれの5セット、サーキットトレーニングだ。

ひと晩中、体をいじめ抜き、とてつもない疲労感と共にサイコーの朝を迎える。オエッ。

 

ただでさえ、体力が回復するまでに時間がかかるおっさんだと言うのに、

寝たら寝ただけ体は疲弊し、老化に蝕まれるという鬼畜スパイラル。

 

デンドばぐ、づらい(寝起きは中村あゆみばりのハスキーボイス)。

 

どんなに寝ても体が休まらない自分には、もうガチなテント泊縦走なんて、きっと無理なんだ(泣)。

 

今回は、慰安旅行的な、ゆるゆる登山にしようっ!

 

 

急峻な岩峰が連なる北アルプスの中で、ひときわ平和で静かなところがある。

まさに天国。

 

今晩、そこを悪魔のいびきが襲う。

 

標高2,500mにある雲上テラス。それが五色ヶ原。

こんなところ、他に雲ノ平ぐらいしか知らない。

 

しかも、翌日は黒部ダムに下るだけという、ウルトラ楽ちん登山♫

 

 

そう思っていた。

甘かった…。

毎度毎度、懲りずに同じあやまちを繰り返す。

 

100万回呟いたよ、

 

「なにがゆるゆるだ。くそっ」と。

 

しかし、見渡す景色は終始、絶景だったのは間違いない。

槍ヶ岳から野口五郎岳までの裏銀座。振り返れば立山と剣岳。山間に溜まる靄と、ずっと遠くまで続く山並み。

五色ヶ原の更に先には、薬師岳がそびえ、何度も足を止めて景色に見入ったよ。

 

やっぱ、来てよかった。

 

 

浄土山は2,831m、五色ヶ原の標高は2,500m。

 

ルートとコースタイム

■2022年9月17日 ※カッコ内は標準コースタイム

室堂⇒(80分)⇒浄土岳⇒(20分)⇒龍王岳⇒(75分)⇒獅子岳⇒(60分)⇒ザラ峠⇒(40分)⇒五色ヶ原テン場⇔(往復35分)五色ヶ原山荘⇒(85分)⇒刈安峠⇒(75分)⇒平ノ小屋⇒(215分)⇒ロッジくろよん⇒(55分)⇒黒部ダムバス乗り場740

コースタイム:12時間20分(休憩含まず)

総距離 20.6キロ
累積標高上り 1,710m

五色ヶ原 〜鬼畜ステアウェイ〜

扇沢から室堂へ

朝の10:30にやって来た。

有料駐車場すら空いてないかもなーと、恐る恐るやって来ると、扇沢のはるか手前で静止させられ、有無を言わさず、臨時駐車場に回された。

「ここからシャトルバスで扇沢に向かってください」と案内されたのだが、この人とは違う係員によくよく話を聞いて見ると、翌日のシャトルバスの運行はなく、ここは日帰りの人が回される臨時駐車場だった。

 

あっぶねぇー!!!!おんどりゃー!!

こっちから聞いてなかったら、明日危うく扇沢から何キロも歩いて臨時駐車場まで歩かされるところだったわー。

※誘導する人の説明不足。気をつけましょう。ほんとに。

 

で、臨時駐車場を通過させていただき、扇沢まで移動してみると、ラッキーなことに無料駐車場に駐車できた。

※無料駐車場に1台空いてるよ!と教えてくれた係員の方、有難うございました!!マヂカル感謝!

 

扇沢駅でバス待ちの列に並ぶ。

朝イチではないから圧倒的に観光客が多い中、テント泊装備で並ぶ圧倒的違和感。

周囲からは、きっとあの人慣れてるんだろうなーと見られがちなだけに恥ずかしい。立山室堂に行くのは実は2回目で、素人感丸出しでどきどきしながら待っている。

 

前列のおじいちゃんが運転手に向かって、

バック・トゥ・ザ・フューチャーじゃ!!と方向を示している。

 

黒部ダムに着くと、ご当地ゆるキャラの「くろにょん」が出迎えてくれる。

着ぐるみはいないのかと探したけど、中身は汗だくのおっさんだと言うことを忘れてはならない。

 

黒部ダムから見上げる立山の大きさに驚かされる。

室堂へは高い交通費を負担する分、天気でハズレくじを引くわけにはいかない。

こんなに晴れてくれたことに感謝感謝。

 

定番の放水。

落差がありすぎて、地面につく前に全て霧になってどっか行ってしまうんじゃないか?と思ってしまう迫力。

高いところがダメだから、覗き込むだけでおしっこ出ちゃいそう。

 

ケーブルカーに乗り換える。

ここからの乗り換えの多さに紹介の仕方も惰性になってくる。

 

GoTo立山。

観光に来たお子ちゃんが「僕は熊が見たい」と言っているのが微笑ましい。

本物はね、すんげぇ臭いんだよ。

 

最後はバス。

初めて来た時はすごく混んでて、この移動だけでびちょ濡らかすほど汗をかいた。

朝がのんびりだと、なんもかんも空いてるのが良いね。

 

さあ、着いたよー!立山室堂。

ここからは立山が一望できるというのに、やはり意識は五色ヶ原に向いているため、真っ先に探してしまうのは浄土山。

 

あちらが立山。その手前、立山の石碑前は相変わらず記念撮影待ちで長蛇の列。

もちろん並ばない。当たり前じゃないの。

 

浄土山登山口までが長い

スタートが遅いからとっとと始めちゃおうぜぃ。

まずは右前方の浄土山へ。

浄土山を巻けることを期待して一ノ越経由で歩く人もいるけど、巻くと言っても99%登るからね、巻けるなんて期待しないことだね。

 

こんなに標高を上げてきた。

自分はもちろん、まっすぐ浄土山の山頂を目指す。

別山、立山、浄土山で形成される立山三山。

浄土山は立山三山登山で登った以来、今回で2度目だけど、前回は残念ながらガスに巻かれちゃったから今回こそ山頂からの景色を堪能したい。

 

テント泊装備に体が馴染んでいないからか、扇沢から室堂までの移動で消耗したからか、この浄土山登山口に着く頃には既にバテバテ。

つか、ここまで結構登るんだよね。

舗装路だからって舐めてると痛い目に遭う。

 

登山口から先はさすがにトレイルらしくなった。

岩もごろごろしててずいぶん気を使う。

 

フライング五色ヶ原!!

 

いやいや、もう見えちゃったよ五色ヶ原!小屋も丸見えで近い!!

しかし、これがなかなか着かないから、ほんとに。。

摩訶不思議。

 

左を見れば大日三山。

大日三山は紅く色付いたチングルマの紅葉と剣岳の眺めが素晴らしい山なので、9月下旬〜10月上旬にぜひ狙ってほしい山。

 

浄土止の山頂はだだっ広く、途中で作るのを諦めたかの様な石垣があったりする。

ちなみに、山頂とされている場所はここではない。

 

立山と草紅葉(くさこうよう)。草もみじって言いがちだから、あえてふりがな付きにしてみたよ。

少し雲がかかってるけど、眺望はバッチリ。

 

はい、このケルンが山頂の目印。

登山口に着いた時点ですでにヘトヘトだったし、空腹でどろの様にだるい。

 

龍王岳の山頂へ

浄土山の南峰には富山大学の研究施設があったりする。

使用されてるのかな?たまに避難小屋として開放してほしいなーと思ってしまいがちだけど、そんな使わないから、やっぱいーや。

ちなみに一ノ越から登ってくると、ここら辺に出る。

山頂のケルンから100mほど離れてるけど、標高はほぼ同じだから、一ノ越の小屋に用事があるなら話は別だけど、今回自分が歩いたルートがいいと思う。

 

で、ここでシャリバテ防止且つ、高山病予防を目的におにぎりをしっかり2つ頬張っておく。

ここではまだ楽ちん登山だと信じ切ってたから、アミノバイタルはまだいっかーと、余裕をかましていた。

高山における行動は、自分が思っている以上に体力を消耗する。

 

 

龍王岳も巻かずにしっかり登っておく。楽ちん登山なのだから、一座も無駄にしないつもりでいた。

そう思わせてしまうところが、鬼畜パターンの入り口。

室堂までの交通費が高さも、後悔は残したくないという、貧乏くさかからくる貪欲さが鬼畜パターンの沼にハメていく。

 

という訳で、山頂ゲット。

まあ、山頂に立てたんだから良かった。

ちなみに標高は2,872m。

 

龍王岳から、お次は鬼岳東面へ向けて一旦下る。

一旦どころか、結構下る。

甘く見てたかもな、と思い始めたのはこの辺から。

 

ペイントの垂れ方がホラー。

 

まだまだ続く鬼畜な下り(T_T)

 

お次の鬼岳。

おいおい、あそこを登るのかよぉ〜と思わせといて、左へと巻くように進んでいく。

いずれにせよ、登っていくんだけどね。

室堂と五色ヶ原をピストンする人いるけど、なかなかやるなーなどと感心しながら歩いていた。

 

左へ左へ。

歩幅はめちゃ短く。歩き方を変えて体力を温存させるやり方へシフト。疲れ切っちゃうと楽しめないからね。写真もたくさん撮りたいし。

 

鬼岳東面で反省

鬼岳東面に到着。

ここで事件勃発。

 

「五色ヶ原山荘に行きますか?でしたらすみません、バテちゃったので、Sという者ですが、遅くなりそうだと伝えてもらえますか。必ず行きますので。。」と、小屋への伝言を頼まれた。

 

自分は、この時の事を反省している。

50代半ばぐらいの男性で、パッと見た印象から、そこそこ登山経験はありそう。笑顔で話しかけてきたし、顔色も良かった。

しかし、もっともっと気遣うべきだった。

行動食は十分足りていますか?飲み物は?糖質は?

高山で突然襲ってくるバテこそ自分の真骨頂。これまで自分が何度も経験してその怖さを分かってあげられることだったのに。

いや、実は行動食のことは少し頭をよぎった。

しかし、弁解すると、自分も初めて歩くコースだったから、今持ってる食料と水分で果たして足りるのか、判断ができなかった。

結果論だけど、自分が持っているカルピス、行動食のSOYJOYとキャラメルを分け、一気に血糖値を上げさせれば動けるようになってたかもしれなかった。

何より、精神の安定が一番。もう少し立ち止まって、しばらく寄り添ってあげればよかった。

夕方に到着するかどうかの遅いスタート。自分の後ろから他のハイカーがこのコースを歩くとは思えない。

 

しかし、今更やり直すことはできない。

この時の事を忘れない様にしよう、次の教訓にしよう。

とにかく、伺った名前を忘れないようにして、先を歩いた。

 

鬼岳東面から、なだらかな下り坂をおりてきた。

気になって振り返ると、Sさんは50mほど後ろを歩いて来てるのが見えた。

おお、なんだ。歩けてて良かった。そう思った。

なんとなく足取りもしっかりしている。話し声も聞こえたから電波が入って小屋と電話してるのかもしれない。

 

もしダメそうなら一緒に歩いて上げたほうが良いかも…と思ったけど杞憂に終わった様だ。

 

よしよし、なんとか大丈夫そう。

 

Sさんに聞こえるぐらいの大声をだして、SOYJOYをここに置いとくから食べて!と言おうか迷ったけど、電話中だしと思い、ためらった。

 

その後もしばらく振り返って見たんだけど。

姿が見えたのはここまでだった。

 

この後のことはテン場に着いてから補足する。

 

という訳で、ここから自分は呑気に歩いている。

 

んーなんという美しい光景でガスか!

谷に霧が溜まり始めた。なんとなくアルプスっぽくないけど、こういうのもいいでガス。

 

左には水平歩道が斜面を切り裂く。

あれを歩いたらどこへ行くんだろう。ハイカーでごった返す北アルプスならでは、どこもかしこも張り巡らせたコースで溢れている。

高橋庄太郎さんは何かの雑誌で、北アルプスはほぼ全部歩いたと言ってたけど、それってほんとすごいことだよ。

ちなみに九重で高橋庄太郎さんを見かけたことがあるけど、NHKの取材で話しかけられなかったのが残念。

つか、すごいスピードで下山してたから近寄れなかった…。

 

五色ヶ原まで近いと思ってたけど、おかしくね?ぜんぜん距離縮まらないよ?

と、ようやくここが鬼畜コースであることに気付く。

食べても食べても減らない『牧のうどんコース』と言い換えてもいい。

最初はたくさん食えるぜー!と喜んでしまいそうだが、そこはうどん沼への入り口。減らないうどんを必死にかきこみ鼻から麺のリバース。やかんで涙の追い出汁を注ぐ。くぞっ、出汁を吸った麺が、倍に膨らんでますます減らない。

そんな辛い記憶があって、もうかれこれ、10年以上牧のうどんには行っていない。

 

あたしゃね、そもそも二郎系ラーメンとか好まないんだよね。それと同じ理由。

 

ちなみに、自分は資さんの肉うどん派。次男坊はウエストの明太かまたまのファン。そういうわけで、ますます牧のうどん離れが進んだ。

正直言って、むっちゃん万十の関東進出より、ウエストや資さんうどんが進出してくれないかなーと心待ちにしている。

本場香川から撤退した丸亀製麺がこれだけ関東でウケてるんだから、本場で揉まれまくった資さんが成功するのは当たり前体操なのだ。

 

脱線ブログ、あしからず。話を戻す。

 

ここを下って登り返したピークが獅子岳だよ。

 

ウーンッ!うーんッ!!

うんこをいきんでそうな声を出してしまいがちな絶景が続く。

どこまでも山々か連ねるこの国に、野生のゴリラが一頭もいないなんて信じられない。

 

黒部湖と後立山連峰。針ノ木岳は存在感あってほんと良い山だな。

スマホ落として痛い目あったけど。

 

小さくて分かりにくいけど、烏帽子岳も見える。

近くで見たらあんな立派なトンガリ山だったのに、ちょっと離れたら周囲の山の中にすっかり埋もれてしまうなんて。

大分では美人だったサッシーが、自信満々で東京に出てきて井の中の蛙だったことを知ったという。

それと一緒…、一緒か?

 

あんな苦労して登ったのに…。

 

ちなみにサッシーが行き着いた境地が、「かわいいだけがアイドルではない」らしい。

素晴らしいね。

これはつまり、高いだけが山ではないというのと一緒。…一緒か?

サッシーも山を始めたらいいのに。日本百低山制覇を目指してほしい。

 

獅子岳からザラ峠へ

展開の少ないコースだと思ってたけど、ぜんぜんそんなことなかった。

意外だったけど中身が濃厚過ぎて、唐揚げを食べすぎた後みたいに若干胃もたれ気味。

ちなみに、もうおっさんだから、唐揚げはもも肉より胸肉の方がありがたい。

この北アルプスの壮大な景色を前に、おっさんの胃もたれの話題にすり替わってしまうあたり、自分には登山ブログなんぞ書く資格はないのかもしれない。

 

というわけで無理やり話を戻すと、ここは獅子岳のピークに近いところなんだけど、斜面に広がるチングルマの紅葉がとんでもなく綺麗だった。

 

獅子岳から見える五色ヶ原は、たしかに天国みたいに素敵なんだけど、浄土山から見たのとあんま距離が縮まってないように見えるのが気がかり。。

まさか、まだまだ歩かせるつもりなのか…。

 

そして案の定、ここからザラ峠への激下りが始まる。

下りだから余裕と思ってはいけない。テント装備というのもあったけど、ここが一番苦しいポイントだった。

眼の前の景色に感動はしてはいるものの、ここを登り返す人はすこいよと心底思った。

 

やっとこさザラ峠に到着。慣れ親しんだ人ならザラって縮めて言いそうだなと思いながら、ここで一休み。

5分ほど休ませておくれ。

 

振り返って獅子岳。ここを下りてきた。

ザックのおもみに耐えながら、ブレーキをかけながらザレた斜面を下るというのが、どんだけしんどいか。

 

北アルプスらしい急峻な岩場が大迫力。

そんな事を思いながら、Sさんのことも気になる。

ザラ峠への下りはバテた体にはしんどいだろうな。大丈夫だろうか。

 

五色ヶ原へ最後の登り

少し休んだら体力が復活した。

ザラ峠からは楽園に向けて、最後の登りだ。

ここにもバテて足が止まってる女性がいたけど、こちらは連れの男性がいるから大丈夫だろう。

しかしその男性、バテた女性を気にかけず、ぐんぐん先へ行く。しかも自分が追いつけないほどのハイペースだ。

 

なんという弱肉強食。

 

五色ヶ原とはそういうところだったのか。すぐそこがゴールだと言うのに、バテたら仲間じゃねえと言わんばかりに振り払い、我先へという修羅の世界。

 

最後は寄り添ってあげるなんていう甘っちろい考えは捨てることだ。星一徹バリのスパルタを彼に見た。

 

もしかしたらこの男性は、あちきのことを意識して、テン場を確保しようと急いだのかもしれない。

いやいやいや、だったらこんな夕方の到着ではなく、少しでも早く出発すればいいじゃないか。

しかも、五色ヶ原が混んでテントが張れなかったなんて話聞いたことないぞ。

 

やはり弱肉強食なだけか。

 

楽園だと思っていた修羅の世界が近づいてきた。

バテた女性ははるか後方で姿はもう見えず、前方を急ぐ男性と山々しか見えない。

左は野口五郎岳、右が赤牛岳。

 

ナメクジ界のアンドレ・ザ・ジャイアントのお通りだぃ!。

さすが北アルプス。こんなデカいのが(10cmオーバー)庭にいたら腰を抜かすレベル。

ナメクジには興味ないけど、もの好きだから少し調べてみると、これはヤマナメクジという日本固有種らしい。

よく庭で見かけるナメクジのほとんどが外来種ということも知った。オエッ。

 

テン場はここを左へ。

テントの受付は翌日でもいいのでお願いしますという看板が立っている。

受付もせずにそのままスルーしてしまう輩もいるんだろう。トイレも完備してくれてるというのに、ひどい話なのねん。

 

ここからテン場へは水平移動。やっとこの重い荷物から開放される。

 

まだ明るい。

しかし、何度も言うけど甘く見てた。

12時頃に室堂を出発して、夕方になる前に到着できてひとまず良かった。

 

 

この世の楽園

着いた。

ちなみに後で知ったことだけど、この手前のニーモは、ヤマレコの人気記事で毎週トップ10に名を連ねる有名な方のものだった。彼も地獄軍団の一人なんだと思う。

きっとここまで楽勝だっただろうな。

 

自分なりに光の速さでテントを張って、小屋へ。

Sさんはもう小屋に着いているだろうか。テントの受付より、心配なのはそっち。

 

夕方になると一気に気温が下がってきた。ここでバテた女性が小屋方面から歩いてきた。

旦那がテントを張ってる間に小屋へテントの受付をするという連携プレーだったみたいだけど…

それにしてもテン場までたどり着けるのか?というぐらいフラフラで心配になる。

頼み込んでテントではなく小屋泊にさせてもらった方がいいんでない?

 

Sさんはまだ到着していなかった…。

いよいよ、やばくね?という感じ。天気は良いから、無事だろうけど、本人は不安だろう、可哀想に。

そして、小屋スタッフの中から屈強そうな男性が迎えに行くことになった。

小屋のご主人と、ザラ峠あたりまで来てると良いのだが…と話しながら、あの時にカルピスとキャラメルを渡しておけば良かった、もう少し話を聞いてあげれば良かったと後悔が襲ってくる。

 

屈強な若者よ、託したぞ。

あちきは年相応に疲れている。

 

テン場に夜の帳が下りようとしている。

クタクタになって食事の準備をする。今晩はペペロンチーノとハンバーグ。

ここは小屋から歩いて10分以上かかるけど、水場もトイレもあって快適。

このテン場を楽しみに来たのだから、本当はもっと早い時間に着きたかったけど、まあ、それはまたの機会だね。

 

スパゲッティを食べ始めた頃、獅子岳の方を見ていると、ヘッデンの明かりが見えた。

一箇所で、止まったり揺らいだりしている。

 

間違いない。見つかったんだ、良かった。

 

まだまだザラ峠の手前。下りの長さに辟易しちゃうところだ。まだまだ大変だけど、これで無事だということが分かった。

屈強な若者よ、グッジョブじゃ!!

 

黒部ダムへゲッザーン開始

そして翌朝。

広いテン場は、寝床もフラットで眠りやすかったはずなのに、なんで朝から疲労困憊なのか。

むしろ寝る前より疲れてる気がする。。

どうやら昨夜も盛大に睡眠時無呼吸をやらかして、寝ながらにしてハードな修行を課していた様だ。

そんな訳で、まだ眠かったけど、お腹が空き過ぎてこれ以上寝ることもできない。

 

なんか他のテン場よりも、みんなのんびりしてる風に感じるのは気のせいだろうか。

このまったり感に負けてしまいそうだ。

 

とは言え、今日は午後から天気が崩れる予報。

明日には台風の影響で暴風雨になるらしいから、天気が良いのも朝だけなのよん。

という訳で急いで出発。

 

裏銀座の稜線ともおさらば。

せっかくの五色ヶ原、次はもう少し早く来てゆっくり満喫しよう。

 

樹林帯が迫ってきた。

さらば、森林限界。

 

下り始めると早々に黒部ダムが見えてきた。

なんだ、だいぶ近いじゃないか。五色ヶ原からの標高差は1,000mってとこか。

黒部ダムに着いたら、あとはバス停に向かって湖畔沿いをえっちらおっちら歩くだけ。

 

樹林の隙間から見えた赤牛岳の存在感が半端ない。

 

刈安峠に近付くと電波塔がでてきた。こんなところまで作業しに来ちゃう人はどんな超人なんだろう。

就職活動してる時に、こういう仕事の選択肢があるなんてどうやって知ったんだろう。

やりたくはないけど…

日夜パソコン作業ばかりだから、汗をかく仕事って素晴らしいと思える。

 

なだらかな下りだったのが、刈安峠から激下りへと一変する。

 

一気に標高を下げると、川の流れの音が大きくなってきた。

さーて、下りが終わった。

ここから先はダム沿いの道をひたすら歩くだけだし楽勝。

 

平乃小屋から鬼畜コース

平乃小屋に到着。

ここから黒部ダムまで距離はあるけど、登らないで済むし、もはやゴールしたも同然。

と、思っていた。

 

水は汲めるし、ソフトドリンクも売ってる。

黒の柴犬がすごい勢いで走ってきたけど、近くまで来て怖くなっちゃったのか、どこかにスタタターと行ってしまった。

体がでかいから、こういうことはよくある。

ほら、怖くないよ。出ておいで~。と誘っても一向に近付いてこない。

 

小屋の女将さんから後で聞いた話だが、この子は猛犬で、今でも飼い主にも噛みつくそうだ。

迂闊に近付いてはいけない。

 

犬に嫌われた腹いせではないが、やけネクターで一献。

もうゴールしたも同然だし、心置きなく飲んでやるぜー。

いやぁー思いのほか楽勝だったなー。がーはっはっはっ!

 

一歩一歩、お腹の中でちゃぷちゃぷ音を立てている。

およそ登山で聞いたことのない音だ。

ネクターをそのまんま胃袋で抱えているかの様な気分。

さて、移動開始。

 

下を見ると、平の渡し場(たいらのわたしば)。

対岸へ無料で渡してくれる船だよ。読売新道を歩いて赤牛岳に登る時なんかに利用するらしい。

 

平の渡し場を過ぎると、地味にきついアップダウンの波状攻撃が襲ってくる。

あれ、散歩感覚だったのに…、おかしくね?

ちゃぷちゃぷ、うっ。

ネクターなんて飲むんじゃなかったと後悔しながら、無限アップダウンに苦しんでいた。

こんなはずでは…。

慎重に丸太の橋を通過。

 

この持ち主はここに落ちてることを知っても、このアップダウンを越えてまで取りには来ないよな。

 

写真じゃ分かりにくいけど、これはガツンと下っているところ。

 

こ、これは。

 

まさか。

 

出た!鬼畜ステアウェイ!!

 

ぷるぷるぷるぷる。

怖くて震えが止まらない。

あのアクロバティックな登りはなに?まるで下ノ廊下じゃないか。

うっ、どうしたんだろう。お散歩なのにゲロ吐きそう。

この時、自分が下ノ廊下を歩くことはないと確信した。それぐらいしんどかった。

 

本来なら、ここは歩けるようにしてくれた小屋の方々に感謝しなきゃいけない場面なんだけど、そんな余裕はなかったのよ…。

 

鬼畜ステアウェイの上りによって精神はもうズタズタ。

さっきから上っては下るのを繰り返してて、休まる所なんてどこにもない。

イメージと現実のギャップが開き過ぎてて頭がついていかない。

よくよく考えてみれば、山の地形を利用したダムなのだから、岩場や崖の箇所を上に巻いたり下から巻いたりで忙しくなるのは当たり前。

水平歩道なんてないんだよね。

 

平乃小屋から約3キロほど歩いた頃、やっとアップダウンが落ち着いた。

最初からこんな道がずっと続くもんだと思ってたよ。

 

フラフラになった頃、やっとロッジくろよんが見えた。

しかしここ、直線距離なら対岸まで100mぐらいなのに、地形が山側に深く切れ込んでるため、遠回りするルートを取ることになる。

なんでこんな嫌がらせをするんだ、黒部ダムよ。

 

分かりにくいから、つまりこういうこと。

向こう側に渡るためには、ここから2キロほど巻いて歩かなくてはいけない。

奥多摩の三頭山みたいに、浮橋で繋いでおくれよぉ〜、おねげぇだよぉ〜。

 

平乃小屋やロッジくろよんは釣り客が多いから、ここら辺は釣り客をよく見かける。

どんなに魚影が濃くても、アジとイワシしか釣れない自分なんぞには何もかからないだろう。

子供と釣りに行って、あまりに釣れないから帰りにお金を払って鯛の生け簀で釣らせてもらったこともある。

どーせ。

 

ここでやっと対岸に渡れる。何度も言うけど、精神的にも肉体的にもdeathです。

 

橋の上から黒部ダムを眺めて改めて思うことがある。

日が差してダムがきらきら輝いて綺麗なんだけどさ、こんなに歩いて登って、景色が開けないって…

下ノ廊下には絶対行かない。

 

実りの秋。キノコを食べる素振りで写真を撮ろうとしたら、胞子がたくさん服に着いて、激しく後悔した。

 

ロッジくろよんの手前で、再び鬼畜アップダウンがスターティン♪

うん、下ノ廊下には絶対に行かないぞ。前フリじゃないぞ。

しかも、天気予報がまんまと外れ、めちゃくちゃ晴れたから日差しがちょーきっつー。

頼むから曇ってくれぇ〜、おねげぇだぁ…。そんなことしか考えられないほど疲れ切っていた。

甘く見すぎていた自分がいけないんたけどね。

 

観光客を乗せた遊覧船が通過していく。

平乃小屋からあの遊覧船に乗れるなら喜んでお金を払って乗る。

 

ロッジくろよんはスルー

先に言うけど、ここは気を付けよう。

ロッジくろよんに到着。

ここのご主人はネットでも話題になってるけど、噂通り難しい人だったわ。

ソロの女性がザックを置いて休んでたら、その場所が気に入らなかったらしく、他へ行けって怒られてた。

なんでそんなことで波風立たすのか理解不能。

こんな所と関わりたくない。自販機があったけど、どんなに飢えててもこんなところでお金なんて使わない!と、軽く休んでさっさと出発。

バカにすんな、くそっ!くそっ!(自分が文句言われた訳では無いんだけど…)。

 

ロッジくろよんから黒部ダムへはあっという間だったのね。。

なおさらジュースなんて買わなくて良かった。

 

あの橋を渡っちゃえば、黒部ダムの遊覧船のりば。

たらいま。

 

黒部ダムに到着。そして扇沢へ

下界のお出迎えはご当地サイダーのハサイダー。

ずっと同じ標高で歩いてきたはずなのに、それでも下界に下りてきた感がハンパない。

 

「くろにょん」がいないか探したけどどこにもいなかった。一緒に写真撮りたかったのにこれが一番残念だった。。

失意に暮れ、黒部ダムから扇沢への移動のバスでは絶対に座りたいと思ってたよ。

座った瞬間、眠りに落ちた。

疲労のピーク。

 

長距離バスでもないのに、ガチで寝てたのは自分ぐらいなもの。まだまだ寝ていたかったけど、あっという間に扇沢に着いてしまった。

乗ってきたバスを見送ると、パンタグラフ式で充電が始まった。あの電力は黒部ダムで生まれた物なのかな。

今日、たくさん歩いて、危うくダム反対派になりかけたけど(笑)、やっぱダムは絶対に必要だよね。

 

 

振り返って

2年前から、五色ヶ原でテント泊することを夢見て、室堂から折立へと抜けるルートを2泊3日で企画したんだけど、天気がいまいち…。

 

台風が来るってんで、慌てて1泊2日に短縮したのが今回の旅。

 

今年はよく台風が来る。

 

しかも、狙いすまして週末に。

 

仕方ない、薬師岳はまた別の機会に。来年登りに行こう。

 

台風がやって来る頻度と、ゴリラゲイ雨の激しさ。地球が壊れていく速さを感じるぞ。

 

今のうちに楽しまねば!

 

Sさんは大丈夫だったんだろうか。ヤマレコやYAMAPにログをアップしてないか気になって探してみたけど、それらしきアカウントは探せなかった。

 

せっかくの五色ヶ原、楽しみにしてただろうに。

体力が復活した翌日に満喫できていることを祈るよ。

 

あそこで自分が通らなかったらSさんはどうなってたんだろう。山の出会いは、その場限りであっても、どこで助けに繋がるか分からないもんだなぁ。

 

なんにしても、あそこで、バテちゃったみたいですと知らない自分に話しかけてきてくれた、Sさんのファインプレーだった。

ではでは


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