ジジイだけが登れる山があると聞く。
ババアとヤングは入山することさえ許されないのだ。
加齢臭を解き放ち、白髪をなびかせて全国から集結したジジイがピークを目指す。
ここは北アルプスの爺ヶ岳(じいがたけ)。今回は冬期バリエーションルートの東尾根を歩いてきた。
累積標高差はジジイの致死量を軽く超える1,800m。
重たい冬装備とバランスを崩しやすい雪斜面に、ジジイたちが苦しみもだえる光景はまさにこの世の地獄。
しかも、この日は季節外れの暖気がやってきて午後から気温が急上昇。
東京ではまさかの15℃になったと聞く。
厳冬期の北アルプスを想定した防寒着は全て荷物となりザックが肩に食い込む。
アイゼンを装着してるからタイツは脱ぎたくても脱げない。
容赦なく照りつける太陽に、汗と鼻水でぐちゃぐちゃに汚れたジジイはもはやG。
何人ものGたちが「どうやらわしはここまでの様じゃ〜」とホイホイされていく中、何気にしぶとく這いつくばり、無事に登ることができたよ。
百名山のバイキングやー!
爺ヶ岳は本峰の中央峰、南峰、北峰の3つのピークを持つ山。
5時間半も登り続けたというのに、やっとたどり着いた山頂は爆風で長居はできない。
でもほんの一瞬でも、山頂に立てた時の喜びと達成感は、最後まで歩いたGにしか分からない。
苦労なんて爆風とともに吹き飛ばしてくれる。
ちなみにゴキジェットばりの屁をこいても安心だ。
ゴンドラリフトを利用して登れる唐松岳からも似た景色が見られるけど、やっぱりぜんぜん違う。
趣味の時間を大事にしたいから山に登っているとすれば、楽することばかりを求めてはいけない。たまにはドキドキさせてくれるということはとても大事なエッセンスなのだ。
ちなみに、この絶景に感動してたら爆風でサングラスが二度と戻らないところまで吹っ飛んでいったことを付け加えておく(悲)
もう買い直す資金力がないから、しばらく雪山はお休みかな。
真っ暗な急登を登り続けてると、日が昇りG達を赤く照らす。
今日も相棒のカメラは富士フイルムX-T1。もう何年連れ添ってんだか。
標準コースタイム
■2024年2月18日 ※カッコ内は標準コースタイム
鹿島山荘前駐車場⇒(210分)⇒P1⇒(60分)⇒P2⇒(40分)⇒分岐⇒(60分)⇒爺ヶ岳山頂⇒(30分)⇒分岐⇒(280分)⇒鹿島山荘前駐車場
コースタイム:11時間20分
※YAMAPでのペースが130%〜150%となっていたので1.3掛けたタイムを記載してます。
総距離 12キロ、累積標高上り 1,780m
爺ヶ岳雪山登山
鹿島山荘前駐車場からラッパ飲みスタート
朝5時のスタートを予定してたけど、まんまと遅れて5時40分。
鹿島山荘前の駐車場は満車だったからすぐ近くに縦列駐車してのスタートなんだけど、眠いし寒いし、早くも死にそう。
更に、苦行か?と思わせる真っ暗な中での急登、それに土と雪のミックスというデンジャラスな斜面を必死に登ってきた。
どれだけ悲劇的な急登だったかは下山時に書くとして、まあとにかくしんどい幕開け。
そして更に己をサバイバルへと誘うお戯れを発揮。
ぽとっ。ツツツ―――――...
なんの音か。
あろうことか山では絶対にやってはいけない「キャップ落とし」という大失態をやらかしてしまった。
キャップは急斜面を絶望的な速度で転がって消えたけど、さすがに諦めきれず、無駄と分かってても10mほど下り、ラッセルして探した。
なんせこのコーラは1リットルのペットボトル。
開けたばかりで800mlは残ってる。
まだうっすら暗かったし、当たり前だけど小さなキャップが見つかるはずもなく、泣く泣く諦めた(泣)
さて、残ったコーラをどうするか。中身は捨てる?
答えは否だ。ここまでの急登で喉は乾きまくってるし、午後は気温が上昇する予報。
なんとかP1まで手で持って上がり、下山に備えてデポするという作戦でいくことに決めた。
そんなわけでずっと手持ちで登っている。
端から見れば、常にコーラをラッパ飲みしてる度を越したコーラ好きのおっさんにしか映らないだろう。
手袋したままキャップ開けたのが悔やまれる。
朝もやが晴れてきたのか、それともガスの上にでたのかは分からない。
山に朝日が当たる。
少し斜度が緩んできたけど、いつもトレッキングポールに全体重をかけて登ってるだけに、片手がラッパ飲みスタイルでふさがっているのはしんどい。
案の定、こぼす。
まるで血尿みたいで後続が見たらビビるだろうな。
なんとかP1までは頑張りたい。
この小さな歩幅でも足を前に出し続けていればいつかは着く。
アイゼンを装着すれば安定するからこぼすリスクも減るのだ。がんばれ。
夜明けのランナウェイ
太陽くんの光がすぐそこまで差してる。
カメラだから明るく見えるけど、肉眼だとまだだいぶ暗い。
ガスに負けじと姿を現した太陽くん。
グッデンモルゲン!
ガスが薄れていく。
幻でも見るかのような神秘的な美しさ。
山に登っていなきゃ見られない光景だ。
もちろんこの撮影中も大事なコーラは片時も離さない。
こんなアホにも太陽くんは平等に朝日を注いでくれる。
ガスが晴れて周囲の景色が開けてきた。
ガスの層を飛び出した太陽くんは成長期の子供みたいにぐんぐん昇っていく。
正直、これだけで満足して帰ってしまう人の気持ちもよく分かる。
自然は美しい。
俺も帰ろうかな…。ついそう思ってしまうのは、実のところ体調がサイアクなんだよね。
昨夜は偏頭痛に苦しんで、頭痛薬をがぶ飲みした挙げ句、血圧が一気に下がってしまい、悪寒と吐き気が止まらず、冷や汗かいてぶっ倒れていたという万全の絶不調。
決してネタではなく、ガチで顔色も悪い。
こんなんで果たして登山になるのか不安だ。
無理そうなら早めに判断して帰ろうという気持ちは片隅に置いといて、とりあえずコーラを抱えて山頂を目指す。
冬の北アルプスで今日みたいな快晴はとても貴重なのだ。行けるところまで行く。
鹿島槍ヶ岳には少し雲がかかっている。
一度山頂にかかった雲はなかなか取れないから、あれが爺ヶ岳に流れてこないことを祈る。
大展望の東尾根
振り返れば完璧な雲海が広がる。
遠くに見える山塊は頸城(くびき)山塊。
隣の尾根は鹿島槍ヶ岳へと続く赤岩尾根かな?
赤岩尾根に比べたらこっちの東尾根は短いし標高差もちょっと少ないから歩きやすいはず。
そしてここでやっと標的を目の当たりにする。
それがこれ。正面に爺ヶ岳どーん!
景色がどんどん開けていく展開に少しチビらずにはいられない。
樹林帯であっても冬枯れた森はとても開放的。
正面を見ても、後ろを振り返っても、おっさんを浮かれさせるには充分な景色。
それにしても爺ヶ岳は近そうでまだまだ遠い。
この東尾根はバリエーションルートだからそもそも標準コースタイムなんてものはないんだけど、自分のYAMAPのペースが130〜150%だったから、単純に1.3掛けた11時間30分がコースタイムの目安だと思って良いと思う。
まあそんな長いルートではあるけど、展開が目まぐるしくて一切飽きがこない。
結局、下山するまで中だるみなんてものはなかったな。
ところで、忘れてはいないだろうか?
まだコーラのラッパスタイルで慎重に歩いているということを。
ここでもし右に滑落しようものなら、
「ああ、あの人最後までコーラだけは離さんかったもんね」
と伝説になっていただろう。
ハイチュウの「大大吉」でエナジーチャージ。
体調不良だし、しかもキャップを落とすという不幸が続いてるけど、この先きっと良いことがあるというハイチュウからのお告げ。
上空では青空を楽しむように旅客機がレースしてる。
やっとこさP1に到着。テントは2張。
昨日から季節外れの暖かさとは言え、軽く氷点下になる中で雪中テント泊なんて、自分には考えられない。
さて、コーラをここにデポする作戦だったけど、もう残量が半分を切ったからザックのサイドポケットに入れてもこぼさないことが判明。
粘り勝ちだ。相手は不明だけど。
これで大好きなコーラにも山頂からの絶景を見せてあげることができる。
そしてP1から先はまだまだ続く急登フェスタ。このいけずな登り坂にゲロる寸前。
「一気に登れて効率だな!」とか、嘘でもそんな強がりは出てこない。
まあとにかく、足を前に動かすしか山頂に立つ術はないというわけで、腹をくくって前方にそびえるP2を目指す。
P2のトップに物好き達の姿が見える。
ちなみにこのP2の下山がこれまた恐怖だったんだよね。
YAMAP見ててもここで立ち往生する人がいたっていう理由がよく理解できた。
焦らず一つ一つ、目の前の斜面をやっつけていくだけ。
緩斜面に見えるコイツも割りと急なんだよね。
このアングルだと分かりやすいかな。
この東尾根は片道たった6kmしかないにも関わらず、累積で1,780mも登らせる。
どれだけ急登であるかは、ある程度山登りしてる人ならピンとくると思う。
標高を上げたらその分だけ景色が変わる。
なんて山か分からないけど、すごい景色。
船窪岳かな?
頸城山塊をズームで。
右から高妻山、妙高、火打、焼山。
雨飾山が見えない。
細尾根とナイフリッジと急登
P2は綱渡り。どっちに落ちてもゲームオーバー。
度胸だめしに目を閉じて歩いてみておくれ(笑)
上りはね、安定するから怖くもなんともないんだけど、下りではここが一番怖かったな。
登りきれば風景もアップデートする。
こういう感動をちょっとずつかき集めれば、しんどくても山頂まで行く理由になる。
確実に近づいてきた爺ヶ岳。
小さな一歩の積み重ねでも、最後まで頑張らせることができるのは自分自身しかいないという、そんな当たり前のことが人の少ない雪山に登ってるとリアルに実感する。
360度の大パノラマ。
左を向けばなんていう山か分からないけど…、蓮華岳かな?
とにかくアルプスの中へ中へと入り込んで行くことが実感できてゼーゼー言いながらニンマリ。
この写真みたいに空が暗くなってしまうのは、雪の照り返しで光が多すぎるから。
晴れた日の雪山はとにかくカメラの露出感度の設定がムズい。
液晶は明るすぎて見えないし、サングラスやゴーグルをかけてるからファインダーを覗いてもさっぱり分からない。
P2を過ぎると、東尾根の核心部と言われるナイフリッジが現れる。
右に落ちたら何百メートルも落ちて人生終わり。
落ちるなら左だけど、それでもただじゃ済まない感じ。
無事に通過して振り返ったところだけど、ガチガチに踏み固められた完璧なステップだったからぜんぜん余裕だった。
しかし、ここがノートレースだった時にルートを切り開いていくツワモノは一体どんな人なんだろうか。
冬のアルプスって猛者というか、変態がうじゃうじゃいる。
ナイフリッジを過ぎれば、次なる急登が待ち構える。
息をもつかせぬ展開がめちゃくちゃ面白い。
前言撤回。
もういい加減、嫌気がさしてきた(笑)
どんだけ登らせるんだか。
もうすぐ稜線。
いよいよ暴風エリアへと突入するわけだけど、急登すぎて立ち止まってハードシェルを着る余裕は与えてくれない。
絶景の稜線歩き
稜線に出てまず最初に思ったのは、案内標識なんてあるんだなという驚き。
ここで急いでハードシェルを着込む。
時間はかかったけど、ここまで来ちゃえばもう確実に山頂へは登れる。
ここで針ノ木岳のご登場。
そう言えば、針ノ木雪渓を下山してる間は正面に爺ヶ岳がずっと見えてて、これがまた感動的だったのを思い出した。
さすがに標高が高いから息が上がるのも早い。
さっきの標識のところにザックデポしても良かったな。
振り返れば下界と大気の層がくっきり分かれてるのが見て分かる。あんな悪そうな空気を吸ってたわけね(笑)
標高2,500mから上の空気はクリアだ。
山頂は近いようで長いのなんのって。
山が大きいから、距離感がおかしくなってる。
強風が叩きつける音と猛烈な光の世界をひたすら登っていると、リア充とか懐古主義とか、そんなチープなものではない中で生きていることを実感する。
ラストだ。強風なんかに負けないぞと登っていく。
単調な登りに見えるけど、左へ行きすぎてしまうと滑り落ちた時にどこまでも止まらないなと注意することも怠らない。
爺ヶ岳中峰山頂
Gも山頂に立つことが叶いました。
中央峰の標柱って確かにあったと思うんだけど、どこを探しても見つからないから、雪にうまっちゃったのかな。
標柱なんかより、まずは無限に広がる山並みを堪能しよう。
やばいって。失語症になるぐらいの絶景。
山頂にイグルー発見!これ作った人ブラボー!!
この中で一旦ハードシェルを脱いでフリースとダウンを着込む。
立ち止まったらとにかく寒かったから、ダウンを着た時の暖かさが泣ける。
立山連峰がズトーーン!!
諦めなくてほんと良かった。自分を奮い立たせることができるのは自分しかいないのだ。
山という趣味は多少危険なこともあるけど、生きることを前向きにさせてくれる良い趣味だと思うんだよね。
歩いてきた東尾根を振り返れば、よくこんなところ歩いてきたなと全能感に満たされる。
この景色はここを歩き切っちゃうぐらい追いかける物が自分にはあるということの証明みたいなもので、とても誇らしい。
しかしながらそんな夢みたいな時間は長くは続かない。
昨夜ぶっ倒れたときはどうなるかと思ったけど、
キャップを落とした時はどうなるかと思ったけど、
まだ悲劇は終わりではなかった。
オーマイガー!!
写真を撮るべく胸にかけていたサングラスを突風が一瞬で吹き飛ばし、二度と取り戻せないところへと消えていった。
あたかもなかやまきんに君がボン・ジョヴィのイッツマイライフに乗せて「ヤー!」という掛け声とともに飴を遠くに投げつけ、呆然とする子供の気分だ。
ポケットにしまっておけばよかった(泣)
出費も痛い。
ドン・キホーテの300円サングラスから卒業すべく、神田のアウトドアショップで買った5,000円のサングラス。
むしろ安価な部類じゃねーか!とか言わないでもらいたい。これでも自分史上、最高級のサングラスだったのだ。
はっきり言って立ち直れない。
ついでに痛いのが、やっと見つけた頭デカ族でもかけられるサングラスだったこと。
再びデカい顔に合うサングラスを探し回らなきゃいけない。そんなのほとんど不可能に近い。
頭が小さい輩が羨ましくて憎い。
悲しみに暮れている中、針ノ木岳方面の雲が晴れた。
とにかく最高のタイミングで山頂に立てたのは良かった。
オレンジの屋根がかわいい種池山荘が見える。
自分が北アルプスで初めてテント泊した思い出の場所。
今思えば水場が無いテン場をよく最初の地に選んだもんだ。
そして鹿島槍ヶ岳。
近そうに見えるけど、夏道でもたしかここから2時間ほどのコースタイムだったはず。
ムリムリムリムリ。
うん、いい絵だ。
カメラの腕ではなくて、100%被写体とカメラが良いから撮れた一枚なんだけどね。
正面手前のピークは爺ヶ岳の南峰。
今いる中央峰が2,670mで、南峰はそれより10m低い2,660m。
さて、ここからパノラマ撮影。
針ノ木岳〜立山連峰〜剱岳。
立山連峰〜剱岳〜鹿島槍ヶ岳。
しっかりサングラスより高価だったゴーグルへチェンジしている。
今日はほんと「大大吉」だったわ。
とにかく風が強いし、空腹だからそろそろゲッザーンします。
とにかく長いゲッザーン
お腹すいた。
体も冷えたから無風地帯まで一旦逃げなきゃだけど、絶景ばかりで急いで下るのはもったいない。
振り返った爺ヶ岳。
楽しかったなぁ。冬はわずかな時間しか山頂にいられないのが名残惜しくもあるけど、そのお陰でまた来たいと思えるんだから逆に良かったりもする。
今日は長野のご当地スーパーで買ったワッフル。砂糖がじゃりじゃりするほどまぶされてて、正直好みではなかった…
すんまそん。
これから下るルートがとにかくダイナミック。
距離は大したことないんだけど、標高差はあるし危険箇所もあるから全集中で臨む。
さっきも触れたけど、下りで怖いだろうなと思ったここが本当に一番怖かった。
ナイフリッジはなんてことなかったけど。
でもいつか死にそうだから、雪山の難易度としてはこれぐらいまでにしておこうと思うよ。
時間はお昼を少し回ったぐらい。
太陽くんも真上に輝いてて、今日一番の一枚が撮れた。
左を向けばコントラストが強くモノクロ写真かと思わせる世界。
テレビでよくある「世界のあり得ない映像大賞」的な番組で紹介される画像なんかより、よっぽど圧倒的で大きく、畏怖を抱く光景。
だいたいYouTube動画ばかり集めた番組って同じ映像の使いまわしで中身なんてないし、高学歴の芸能人ばかりを集めたクイズ番組と並ぶつまらなさ。
つか、あのガリ勉ばかりを集めたクイズ番組が終わらないんだからそれなりに需要があるんだろうけど、あたしにはさっぱり分からないよ(笑)
P1から下は樹林帯。
今日は久々に会心の登山だったから、きちんと山の備忘録みたいなことが書けている。いつも登山ブログのくせして話が脇道に逸れてばかりだけど、やればできるもんだな。
さて、楽しい時間も終わりに近づきつつある。
下を覗き込むと、麓まで距離的にはすぐ近くなのにこの落差を下るという事実にガッカリする。
静かなブナ林。
青い空、ぷかぷか浮かぶ雲、どこまでも静寂な世界は最高のスノーハイキングに見えるだろう。
しかし、実際は地獄。
ズボり地獄で召されるおっさん。
気温上昇で雪が緩み、少なくとも50回はズボッた(盛ってない)。
つか、一回のズボりで失う体力は50mダッシュ並み。
もうおっさんの死は近い。
朝は暗い中歩いてたから気付かなかったけど、こうやって樹林の間から稜線が見えてたのね。
カメラを構えてレンズ越しに没入して構図を決めていく。疲れててもファインダーから自然と対話する時間は楽しい。
メニュー表の中から何を食べるかを選ぶときの楽しみに近いかもしれない。店員を呼ぶボタンがあたかもシャッターボタンみたいな。
一体何の話だこれは。
ちなみに今日は最初からずっとフィルムシミュレーションは珍しくPROVIAを選択。最もスタンダードと言われてる発色のフイルムだけど、Velviaだと雪が青くなっちゃうし、柔らかなASTIAだとモヤっとなる感じがするから、雪のシーンではPROVIAが最適解なのかもしれない。
急激な下り坂
いよいよここから急落下が始まる。
コーラのキャップを落としたのがここら辺だったはずだけど、やっぱり探せなかったよ。
ゴミを出してしまい、心から申し訳ございません。
ここら辺は雪が繋がってたからアイゼンで歩きやすいんだけど、もう少しするとガチな修行に豹変する。
それが、これ。
土と雪のミックスで木の根が究極にいやらしい。
登山口付近は雪が多かったから最後までアイゼンは外せないし、なんならドロドロ斜面もアイゼン付けてた方が安全に下りられる。歩きにくいけど。
はい、ゴール。まあなんにしてもズボりが一番の難所だったな(笑)
ズボりすぎて足の筋肉が震えてる。
ここが鹿島山荘前の駐車場。今朝は前日からのテント泊の方達だけで満車になってたから、みんな路肩に止めてた。
汚れたアイゼンは側溝を流れる雪解け水でジャブジャブ洗って清掃終了。
路肩に止めた車へとぼとぼ移動。
雪山だけどたくさん汗かいたから、帰りに信濃大町にある薬師の湯に立ち寄って帰ったよ。
エピローグ
ちょうど山頂に着いたタイミングで剱岳にかかっていた雲が晴れるという奇跡。
その剱岳の勇姿は、まさに槍ヶ岳と並び北アルプスの2大巨頭というにふさわしい貫禄で、それまでもかなり浮かれてたけど、更に盛り上げてくれたな。
コロナにかかって後遺症もひどかったもんだから、今シーズンの雪山は磐梯山を最後に諦めてたんだけど、最後に予想を超えるサプライズに恵まれたよ。
ありがとう、北アルプス。
冬の澄んだ空気の中、異様なまでにコントラストの高い山岳美に、改めて冬の北アルプスは理屈抜きで素晴らしく、山登りをする者にとって聖地だと実感したでごわす。
フルマラソンに向けて足腰を作らなきゃという焦りもあったから、ちょうど良いトレーニングになるなという狙いもあったんだよね。
雪の上は歩きにくいし、アイゼンで足は重いし、雪山登山は標高差以上に疲れる。何度もズボるし。
狙い通り良いトレーニングになった。予想外だったのは、この翌日から4日間も筋肉痛が取れず、全くマラソンの練習ができなくて、むしろ走力が落ちた(笑)
ちょっとやりすぎたかなとは思ったけど、まあなんにしてもあんな絶景が見れだから後悔なんてするはずも無くて、なんなら来年もまた登りたい。
急いでデカいサングラス探さねば。
ではでは