よいやさーー!!!
ここは秩父、埼玉の宝。
ずっと登りたいと思い続けて、やっと来ることができた。
近くて遠い山。自分にとって武甲山(ぶこうさん)とはそんな山だった。
ああ、憧れの武甲山。
登山をしててそんな風に武甲山を思う輩はいないと思う。
「武甲山って登山を始めたばかりの頃に登る山だよね?」
それが一般的なハイカーの共通認識だと思う。
そんな秩父のシンボルに遅ればせながら登ってきました。
「チャレンジ武甲」が本日のテーマ。
難攻不落な武甲に登って武功を上げる!
武甲山のお次は返す刀で大持山と小持山へ切り込み縦走。投石、ペットボトル攻撃、倒木、数々のブービートラップを乗り越え、男を上げるダイハード登山だ!
秩父の盟主をたっぷり堪能した後は、これまた秩父が誇るオアシス「ミューズパーク」へ移動。黄色く色づいた名物のイチョウ並木を、コーヒーでも飲みながら眺め、チャレンジング武甲で疲れた体を癒やす。秩父の魅力をぎゅぎゅっと詰め込んた特濃企画だ。
やっべぇ、企画の壮大さにチビッたわ。
秩ん父いぷい(チチンプイプイ)
秩父ざんまい。秩父まみれになろうぜぃ!
武甲山は標高1,304m、日本二百名山。別名「秩父岳」だなんて、名実ともに秩父のシンボルじゃあーりませんかー!
ルートとコースタイム
■2021年11月27日 ※カッコ内は標準コースタイム
一の鳥居登山口⇒(125分)⇒武甲山⇒(65分)⇒小持山⇒(40分)⇒大持山⇒(55分)⇒妻坂峠⇒(40分)⇒一の鳥居登山口
コースタイム:5時間25分(休憩含まず)
総距離 10キロ
累積標高上り 1,180m
武甲山登山 本編
武甲工業地域
武甲なう。
前澤氏の「宇宙なう」風に言ってみたかっただけよん。のっけから失礼。
秩父のシンボルだけあって、とにかくでかくて目立つ。そして遠目にも分かる採掘されまくった痛ましい姿。元の姿がどんなだったのか跡形も残っていない。この姿こそが武甲山。
ここまでやったら元の姿に戻すなんて不可能だよね。
目指す武甲山の登山口までの道中は、石灰岩を加工する工場が立ち並び「山に来たぜ!」という感慨に浸れる様な雰囲気はないのだ。おぞろじー!
登山口までの道中では、10トンダンプが何台も行き交うという異様な光景が繰り広げられた。
さすがチャレンジ武甲。この物々しさで圧倒させ、帰らせちまおうって魂胆だろうがそうはいかない。こちとら5年以上思い続けた山なのだ。そう簡単に諦める訳にはいかないのだよ、無駄無駄無駄無駄ァー!
心が折れかかったがなんとかたどり着いた。
予想に反して、登山口の近くまで来てみると、ハイカーたちの車で溢れかえってるじゃないの。
なんだーやっぱ人気の山なんじゃーん、と浮かれてしまいそうだったが、待たれぃ!そいつぁちと早いぜぃ!
ダンプの往来に気持ち負けせず辿り着いたハイカーがこんなにいるなんて、ここに集いしハイカーどもは手練れ中の手練れ。ツワモノ揃いだ!
さあ、チャレンジ武甲は始まってる。
皆の者、負けるでない!我に続くのじゃー!
進めなのじゃー!なのじゃなのじゃー!
一の鳥居登山口から登山開始
今日歩くコースは、まず武甲山に登って小持山、大持山へと縦走するつもりだよ。
ウノタワにも寄ってみたいところけど、それは予備プランなのさ。
下山後はミューズパークにも行きたいからね、時間の余裕を見て判断するつもり。
登山口が神社だからしっかりしたトイレがあると思いきや仮設だった。
まあ、あるだけラッキーだよね。
贅沢は言ってられない、まさに武甲中の幸いってやつだ。ハイ。
ちなみに、手を洗うところはトイレの裏にあったよ。沢から引いてきた水の脳天突き抜ける冷却攻撃を食らい、登る意欲が半減すること間違いなしだ。
しかし憧れの武甲山。こんなところで挫けてる場合じゃないのだ。
登山口のあるここ武甲御嶽神社までひっきりなしにタクシーがやってきて、慣れた運転で鳥居を通り抜けていく。最寄り駅から歩くとちょっと遠いし、登山口までバスも走ってないから人数が揃ったらタクシーが便利だ。
車で鳥居を通過することにモラル的に心配してしまうところだが、考えてみれば巨大鳥居が町中の道路上にあるところなんてたくさんある。
ここは鳥居の先に駐車場があるんだから仕方ないしね。
下手クソな恐竜がおるよ。
ここが一の鳥居駐車場。あんなに縦列駐車してたのに、まさかの2割ほど空きがあるというトラップ。
さすが武甲山。油断したらその時点で負けだ。
ウノタワを諦めた場合、この地図の赤線通りの周回コースで戻ってくることになる。
まあ、欲張らずにいきまっしょい。
最初は沢沿いの舗装路をえっちらおっちら進む。沢沿いってだけで寒い。
鹿肉入りホットドッグのハニートラップ。誘惑に負けてしまいそうなりー。
雨戸が閉まってたから店は閉まってると思うんたけど煙突から煙が出てる。ストーブの煙なのか料理中なのか、いまいちよく分からない店だな。
ウノタワの紅葉も見てみたかったけど、11月下旬のこの日は完膚なきまでに散りに散ってしまったらしい。残念だ。
しかし、ここ登山口周辺の色付きはなかなか見事じゃー。
今年最後の紅葉かもなぁ~。ふむ、こいつは貴重だぞ、と何枚も撮っとく。
この次に登った丹沢の大山でさんざん紅葉まみれになることも知らずに撮りまくる。
今思えばこれも武甲山が仕掛けた判断を惑わすトラップだったのだ。
そしてここで気付いた。これって人んちの敷地じゃね?
あろうことか民家の紅葉をいいねと撮り続けていたというジラレヘン失態。
これも武甲山が仕掛けた、住居不法侵入罪トラップってやつか。登山しててお縄御免だなんてさすが武甲山、難易度高過ぎだ。
この橋を渡ったら本格的な登山開始。
歩き始めたばかりだと言うのにトラップにハマりまくるファンタジーを経験してるが、果たしてこの先大丈夫なのだろうか。不安タジーだ。はいはい。
さあ、記念すべき第一歩だ。来る日も来る日も武甲山のことを思い続けてきた。
自分でもかなり話を盛っていると思っちゃいるが、今更引けない。最後までこの調子でいくぜ。
いきなりこの不動滝で打たれろというのか、武甲山よ。死んじまうぜ。
しかし、この滝の上の紅葉がなかなか素晴らしかった。
さきほどまで民家の紅葉をパシャパシャとってたくせに、ここで一枚も撮らないという奇怪な所業。
なんじゃこりゃ!
散々憧れてたとか言っておきながら、今日も安定の予備知識ゼロでやって来たため、寝耳に水ってやつだ。
しかし予想はつく。鍋割山の鍋焼きうどん方式だろう。山頂まで担ぎ上げて武功を上げろってことだな、武甲よ。
実はコレ、山頂のトイレの水洗トイレで使うための水を登山者が担ぎ上げるというもの。
2リットルと5リットルのペットボトルが置かれているのだ。
ねえ神様、あちきは体力に自信ないし、リュックが小さいから2リットルで、いいよね?
「おお、もちもち、もちろんじゃ」
男気上がるよね?
「おお、もりもり上がるぞ」
契約成立。
男気という重りを背負って出発。
「がんばって」という応援メッセージも嬉しいじゃあーりませんかー。
しかし、こんな試す様なゲームがあったなんて知らなかったよ。
だいたいハイカーって「背負ってなんぼ」という見栄っ張りな人が多いから、こういうチャレンジを前にNOとは言えない心理を上手く突いている。
憎い!
悪いやつだ武甲山よ!
(登山者のための水洗トイレで使うんだから武甲山に悪意はないと、付け加えておくYo!)
たいていの男はは5リットルを背負う中、あちきだけ2リットルという半端加減。
果たしてこんなんで武功が上がるのかは謎だが、小さなリュックでも背負うでゴザルー!という気持ちを買ってほしい。
ミニ祠発見。
でた!武甲正宗!
日本酒の命名で迷ったら「正宗」を付ければなんでもOKなんだな。きっと。
草野マサムネ。
石積場ってなんだべ。
帰ってから調べてみると、山頂の御嶽神社でもらった石灰岩をここに安全登山を祈願して積み上げるという場所らしい。
他の山では見かけない仕掛けがたくさんある。人が多い山はルールが多様化し普通に登らせてくれないものだ。軽くめんどくさい。
歩き始めたばかりだと言うのに、山頂までもう残り60分なのね。低山ハイクらしい呆気なさ。
これぐらいなら5リットルを手で持ってもいけたなと、ここにきてヘタレ発言連発。
ちなみに、ペットボトルがあった不動滝からはひたすら杉林が続く。これが武甲名物、杉林マシマシぜんぶ乗せってやつだ。
低山にありがちな光景だが、ここまでひたすら?って感じはさすが。
杉林じゃないところは採掘され放題だし、人の手によってこれでもかと蹂躙されている。
せっかくの武甲山だからたくさん風景を撮ろうとやる気満々だったが、素っ気ない展開になってしまった。
そして、杉林を抜けないまま少し明るくなってきた。
まさか、もう山頂なのか?
五十丁目。
あ、やっぱり山頂かよ!
武甲山の山頂から見渡す秩父の風景
ほんと唐突で呆気なかったが、長らく恋い焦がれた武甲山の山頂に着いたのだ。もっと喜ばなくてはいけない。
しかし大人というのは残念だ。本当はふんどし姿で踊りだしたいぐらい浮かれてると言うのに、さあ喜べと言われてもわざとらしくなってしまう。
ふんどしで踊る方がよっぽど不自然だとか言わない。
とにかく夢にまで見た武甲山の頂上、いただきましたーとでも叫ぼうか。
おっと、その前に。
トイレ用に抱えてきた水を捧げようではないか。
いや、更にその前に、ちょいとトイレぐらいさせてもらおうか。
自分がトイレで使う水を背負ってきた様なもんだな。
山頂の神社はなかなかご立派!
これはどこか車で上がってこれる様に林道が整備されてるに違いない。そんな豪華な作りだ。
神社が自身のインスタのフォローをお願いする時代になったのね。
字の下手さにもビビる。張り紙する時ぐらい本気出して書けばいいのに。
ここで放水するらしい。ここだと言わんばかりの矢印がついてる。
さあさあさあ、神聖な儀式だ。居住まいを正し、先ほど自分がトイレで使った分を戻す作業をしましょうかね。
ほんとにここでいいの?と不安を抱えながらも、蓋を開けて水を注入。
これで武功を上げちまったなー。
この2日後にから大雨が降ったからこの武功も無意味なものなってしまった。まさに水に流されたってやつだ。
レレレ登山部さんの金槌でカーンと一発鳴らして山頂へ。
遅ればせながら、山頂の標柱に到着。
景色を堪能しようじゃないか。
うぐぐっ。
覗き込もうとしたら風の強さと冷たさにたじろいだ。
それまで無風だったから迂闊だった。足元が採掘された工事現場なだけに吹きさらしだ。
もう一歩前へ。トイレ風に。
よいやさー!秩父よいやさー!
ひゅー絶景!
最高だね。青空とぷかぷか浮かぶ雲、秩父の街の景色。
ケンミンショーを見てると、秩父を馬鹿にする埼玉県民のなんて多いことか。
ったく、分かってないね。
埼玉県を北と南で分断し、東京寄り南側の埼玉県人の誇った顔がなんとも残念でならない。
それは間違ってるぞ!
秩父は埼玉の自慢だ。宝なんだ。
埼玉の宝なんだ、うぐっ(泣)
僕が1番、
ガンダムを上手く使えるんだ。うぐっ。
誇ってもらいたい。
恥部のアップ!
ちがった。秩父のアップ!
以前もどこかの山で書いたけど、秩父って秩が「チチ」で、父を「ブ」って読ますの違和感あるよね。
地元の人はこれに慣れちゃってるから違和感ないだろうけど、他県民には摩訶不思議に感じる。
律儀に安全登山を祈願するのが自分のスタイル(だいたいの人がそうだよ!)
もちろん、残業中に飲んだリポビタンDで溜めたシールで大型テレビが当たりますよーに!年始のお年玉企画で車が当たっちゃいますよーに!と、物欲まみれなお願いを付け足すことも忘れない。これもルーティンだ。
さて、行くか。
憧れの武甲山に登ることができて余は満足じゃ。
興奮冷めやらぬ、武甲という舞台にいるハイカー全員がそう感じているに違いない。
武甲山の山頂での滞在時間はわすか30分程だっただろうか。憧れと言ってる割には短すぎる。
でもいいんだ。ミューズパークが待っている。
大持山と小持山へ縦走
さあ、ここから始まる縦走路。
頭の中に流れる音楽はBUMP OF CHICKENの天体観測的な爽やかな曲と言いたいところだが、口ずさむのは吉幾三の「俺はぜったいプレスリー」だ。
イェイイェイイェイ。
落書きを読むのは嫌いではない。
今回の落書きは「吉田享宏、満76歳、達成」。
76歳になってまで公共のものに落書きするなんて考えにくい。16歳の書き損じか?後から誰かに上書きされたものか。
そんな意味のない推理をしてるうちに、ミューズパークがどんどん遅くなる。
さて、行こうか。
落ち葉で覆われた地面が晩秋らしさを醸し出していい感じじゃないの。
縦走路に出た途端、武甲山の杉林とはぜんぜん違うぞ。
木々の間から見えるのは小持山、左奥が大持山かな。
予期せぬペットボトルチャレンジによって、元々無い体力を余計にすり減らしてしまったが、あそこまでなんとか歩ききって武功を上げるのじゃ。
皆の者、続けー!
ワー!ワー!ワー!進め進めー!
と、止まらない!
もはや足の筋力は消耗し、ブレーキが馬鹿になってしまったのか。
いや、体重のせいか。止まらん。
巨木に捕まって止まる術を覚えた。
大きなカラマツだ。
草むらが黄金に輝いている。
左は杉林。右はカラマツ林。どっちも植林なんだろうけど、採掘され尽くされた武甲山からは想像もつかない光景だ。山の内側に入ってみると、それまでとは全く別物だということを痛感する。
謎の綿毛。
大した光景ではないけど、こんなもの一つ一つが疲れを吹き払ってくれる。
そして登り返しチャレンジが始まった。なにが疲れた空気を吹き払ってくれるだゴラぁぁぁー!ガルルルル!
登り返しは精神に堪える。自分はMではない。登山をMっ気がきゃっきゃっ楽しんじゃう趣味だと勘違いしてる輩がいるが、それは大きな間違いなのだよ。
少なくとも自分は違う。これでもか的な攻撃には簡単に心がボキボキに折れてしまう。
それにしても良い天気に恵まれた。
今日は大事な大事な武甲山登山だったから、なんとしても晴れてほしかった。
登り返しが始まった辺りから原生林に変わり、葉を落とした木々と青空が里山の寂しさを醸し出してていい感じ。
Mだから山に登ってんじゃない、単にこういう自然相手の遊びがしたいだけだ。
登り返しチャレンジはまだ始まったはかりだ。
ここ登れば山頂だ!と踏ん張って、それが違った時のダメージがデカいから、自分の場合はどうせオレオレ言ってニセなんだろ?騙されないぞ!と常に思うようにしている。
オレオレ山頂はまだまだ遙か先だ。
と思いきや、ここがオレオレ小持山の山頂だった。
ニセと思ってて本ピークだった時は儲けもんだからOK。
腹減ってきたけど、ちょっと微妙。もう少し腹が空くまで我慢することにしよっと。
小持山は眺望もいまいちだしね。
小持山から大持山への縦走ではシラビソとアセビ?といった常緑樹が増えてくるのが印象的。
武甲山も元々はきっとこういう森だったんだろうなあー。
あれが大持山か?
遠いのか近いのかよく分からない距離感だ。
ところどころ景色が開け、秩父らしい景色が広がる。
武甲山のハーフアンドハーフ。
どの角度から見ても不自然だなんて面白すぎる。
好きな言葉は「控除」。
初めはとっつきにくかったけど、意味を理解してからはすっかり仲間だ。
今では控除さんの存在を意識しない日はない。控除さんに相談し、控除さんのご機嫌を取り、なんど控除さんに窮地を救ってもらったか、今一番頼もしい奴。彼なしではもう生きていけない。
ちなみに、半額さんも好きだが、性格がストレート過ぎて、残念ながら人としての深みがない。
そしてなにより半額さんはレアキャラだ。
先日もスーパーの店員が半額さんシールを貼り終えるのを、まだかまだかと隣で待っていたら、後からやって来た図々しいおっさんが根こそぎ持ってった。
今日は久々に半額さんゲットだぜぃ!と浮かれてたのに、突然の漁獲高ゼロに突き落とされ、ボウ然としてたら、憐れんだ店員さんに「ぜんぶ取って行っちゃいましたねぇ」と同情された。
なかなか出会えないから親友にはなれないのだ。
ピザなら店舗まで買いに行って半額さんで持ち帰ってくるのをモットーにしているんだけどね。
こうやって俯瞰して秩父の山々を眺めていると、どの山も均質化してて、特徴的なところなんてどこにもない様に思える。
真ん中に見えるのは両神山だ。均質化した山々の中でも、やはり名山と呼ばれる山は際立つもんだな。
そういう意味ではさっきの武甲山ハーフアンドハーフも実に目立っていた。
秩父から奥多摩の山々へと続く山並みに境界なんてどこにも無い。
奥秩父から奥多摩までのロングトレイルはいつか歩いてみたいと思ってたけど、こりゃどこまでも景色が変わらなそうでつまらないだろうな…と思えた。
今気付いて良かった。
小持山から下る。
稼いだ標高を削るのは毎回悲しみに暮れる所業だ。
ごらぁぁー!何度登らせんじゃい、ぐそぉぉぉおおお!ひー!
と一通り喜怒哀楽を表現しながら登っていく。
これでまだピークが先だったら、もうここで昼飯にしてやる!
そんな山とのやり取りを経て、大持山の山頂に到着した。
ああ、やった。。
頑張った甲斐あって、長年背負ってきた不幸をここ武甲で洗い流せたことだろう。じしっ。
逆に不幸になったりして。
さーって、そこそこ眺めはいいからここでお昼にしよっと。
スーパーで半額さんでゲットしたます寿司だ。
腐ってないことを祈りつつ、恐る恐る一口。
うっ!、うまい!!
そう思えたのは最初だけだった。
冷えきったます寿司を、晩秋の山頂で食べるという、極めてチャレンジングな愚行を敢行したがために、完全に低体温になった。
妻坂峠経由で一の鳥居へゲッザーン
さ、さむい…。
完全に気持ちが折れた。ウノタワなんて、とても行けない。やはりこの時期は温かいスープは欠かせなかったな。
ミューズパークに行くとしたら時間もぎりぎりだし、疲れちゃったからもう下山することにしたよ。
欲張っても良いことはないのだ。
富士見の丸太。
へぇー、ここから富士山が見えるのね!
ひゅー。天気良くても見えないと思うんだけど、これ。
しばれる。
さきほどの武甲山からの下山と同じく、左が杉林、右がブナのハーフアンドハーフ。境界線トレイルとでも言おうか。
関東平野。よーく見ると画面の中央にスカイツリーが見える。
これまで佐賀県の平野の広さにビビっていた自分だが、その比じゃない。
家康はふるさとの三河を捨てて江戸に移れと秀吉に命じられてラッキーだとほくそ笑んだんだな、きっと。
妻坂峠に到着。
お地蔵さん見っけ。
ほえー。この石仏はこの峠で命を落とした人を供養するために建てたとな。
こんなところで戦でもあったのかと調べてみると、昔は秩父への近道として往来が多かったが、狼の被害で亡くなる人もいたらしい。
その供養のために建てたられたらしいよ。
さあ、一気に下っていくぜ。
武甲山〜大持山の周回ルートは終始整備が行き届いた歩きやすいコースだった。
沢がここから始まる。
この沢の水が、仮設トイレの裏のお手洗い場に通じている。もっと言えばペットボトルを介して山頂のトイレの水に繋がっている。
大海へそそぐ的なロマンあふれることを言いたかった。
木々の隙間から見えた武甲山。
やりきったぜ。無事に武功を上げ、男を上げて凱旋だ。
あんなに縦列駐車されてたのに、もう車は全然残ってなかった。
自分の鈍足にも焦ったが、大持小持に縦走した途端ハイカーの数がガクンと減ったから、武甲山しか登らない人が多かっただけだろう。
大持小持を縦走しても総距離は10キロ、累積標高差は1,200mほどなのでちょうど良いぐらいだったよ。
秩父ミューズパークへ
ここが秩父名物ミューズパークだ。
時間があれば秩父で有名な野さかの豚丼をお弁当で持ってきて訪れたいところだ。
紅葉シーズンはここのイチョウ並木の紅葉を目的に観光客が大挙して訪れる超絶人気スポットだ。
これがそのイチョウの紅葉だ。
ひゅー……。
銀杏しか見えない。これは幻覚ですかえ?
あ、あったあった。
しっかり紅葉してんじゃーん。これだよこれー。
アハハハー。
アハハハ…
うぐっ(泣)
あと1週間早ければ。
まだ秋だと思っていたが、すっかり冬に様変わりしちゃってたのね。
しかし、ミューズパークから眺める武甲山がこれまた絶景だった。
下山後は武甲正宗で一杯やりながら、登山のエピソードを仲間と話しながら帰ったら盛り上がることだろう。
下戸の自分はセブンイレブンのコーヒーをすすって帰ったよ。
振り返って
チャレンジ武甲!
武甲山の元々の山頂は、残念ながらもう残っていない。
昔は標高1,334mだったが、石灰岩の採掘のため山頂部分が爆破されるという壮絶な最後を迎えたのだ。かわいちょ。
山頂は移され、更に測量しなおして現在の1,304mとなり、山頂部分にあった遺跡は旧山頂と一緒に木っ端微塵に爆破されたらしい。
そして、今後50年以上、採掘され尽くされるらしい。山頂部は平らにされるらしいから今の山頂もそのうち消えてしまうだろう。
50年なんて、あっという間だ。
まあその頃自分は死んでると思うけど(笑)、上の写真の美しい紅葉を残せないのは、本当に残念なことだ。
大持山に向かって歩いてると、ブナ林の原生林にシラビソが交ざり、武甲山も人の手が入る前はこんな感じだったんだな〜と、思わせる景色だった。
石灰岩の採掘が始まったのは大正時代かららしい。1970年代になって本格的に採掘がはじまり、あっという間にこんな姿になってしまった。
自分にとって福岡の里山がホームマウンテンだ。
お気に入りのKeltyのキャンプチェアを庭に出して、一人で脊振の山々を眺めながらコーヒーとチョコを食べるのが至福の時間だ。
寛いだ、晴れやかな空が広がる。その時間は完璧に脳みそが溶け、リラックスし過ぎて鼻水は垂れ流しだ。
ホームマウンテンは、そこに変わらない姿であってくれないと困る。ぜったいに困る。
脊振山が平らにされてしまうなんて、それは絶対に許されないのだ。
「秩父」は、元々は「知々夫」だった。住所が変わるのとは訳が違う。
ではでは