【南アルプス】塩見岳 SDGsだに! ガンダーラへの長く険しい道のりと天の川(三伏峠小屋テント泊)

【南アルプス】塩見岳 SDGsだに! ガンダーラへの長く険しい道のりと天の川(三伏峠小屋テント泊)

巨大な山の姿に胸アツっ!!

澄み渡る青空、どこまでも続く長大な稜線。

南アルプスのど真ん中、塩見岳(しおみだけ)に登って来たよ。

待ってたぜぃ!梅雨明け宣言!

ずぶ濡れからの、卒業〜♫(尾崎豊)

日帰りで登っちゃうイケイケハイカーも多い塩見岳だけど自分は

絶対に!

絶対に!!

絶対にテント泊ッ!(ガルルルル!)

日帰りなんて楽しくねぇッスー!山の夜を満喫するッスー!と鼻息荒めで三伏峠小屋でテント泊に突入だ!ウエーイ!

 

テントから顔を出してみれば満天の星空。極楽浄土へひとっ飛びだ!ひゃっほーい。

一年前はコロナ禍で南アルプスの多くの小屋が営業を見合わせたから、今年の南アルプスは例年に増して混雑するに違いない!やばい!

てな訳で、ハイシーズンに入る前に登ってきた。

折しもこの登山前日に梅雨明け宣言がでるという願ったり叶ったりのタイミング。

完璧な青空げっとぉ!

 

歩いたルートは鳥倉登山口〜三伏峠〜塩見岳のピストン。塩見岳のど定番ルートだね。

 

塩見岳は標高3,052m,日本百名山、花の百名山。

三伏峠(さんぷくとうげ)は日本三大峠の1つ。

南アルプスの濃い緑に癒やされ、高山植物の大群生にほっこりし、油断できない岩稜帯にドキドキする一泊二日の山岳トリップ。

塩見岳からの景色に腰砕けー!

 

ルートとコースタイム

■2021年7月17〜18日 ※カッコ内は標準コースタイム

鳥倉第2駐車場⇒(15分)⇒鳥倉第1駐車場⇒(60分)⇒鳥倉登山口⇒(170分)⇒三伏峠小屋⇒(10分)⇒三伏山⇒(55分)⇒本谷山⇒(100分)⇒塩見小屋⇒(55分)⇒塩見岳山頂⇒(45分)⇒塩見小屋⇒(155分)⇒三伏峠小屋⇒(140分)⇒鳥倉登山口⇒(50分)⇒鳥倉第1駐車場⇒(15分)⇒鳥倉第2駐車場

コースタイム:14時間30分(休憩含まず)

総距離 27.5キロ
累積標高上り 2,900m

塩見岳登山 本編

鳥倉第2駐車場までの試練

ナウ、深夜の中央高速。

夢にまで見た塩見岳を前に、すっかり浮かれポンチだったが事件は突然起きた。

ブレーキランプ5回点滅♫

ジ・ュ・ウ・タ・イのサイン〜♪

地獄の渋滞、レッツスターティンだ。

それにしても全く動かない。5分経っても1メートルも動かない渋滞。この事態がとても深刻だと5分経ってようやく気付いた。

そして後ろからけたたましく警察車両と消防車がやって来て「真ん中を通ります!真ん中を空けて下さい!」と拡声器を使ってしきりに叫んでいる。

事故ほやほやなのねん。

今から現場に駆けつけるって…サイアクだべぇ〜。

 

ウゥーウゥーカンカンカン(どいて下さい!真ん中を通ります!)

うあぁ、マジかー。

この時、頭をよぎったのは、今日はもう眠れそうに無いから明日は三伏峠までが限界、塩見岳登頂は明後日になるだろうな、ということ。

(当初の予定では土曜のうちに登頂してしまって日曜は下山だけのつもりだったのよん)

 

そして案の定、

この後3時間以上高速で足止めを食らう事となる。

 

その間、ハンドルを握り、いつ動いてもいいように気を張っていた。まあ、気付けばうとうと眠りに落ちてたんだけどね(もちろんエンジンを切ってね)。

それでも、寝たのか寝てないのか良く分からないとても浅い眠りの状態で時間が過ぎ、

目覚めたのは、警察の拡声器によるバカでかい呼びかけ。

「運転手さぁーん!起きてくださーい!」

 

うあぁーー!!やっべーー!!

よだれ垂らして周囲を見渡せば、自分と同じく慌てて起きるおっさんドライバー達。

 

何が浅い眠りだ。ぐっすりじゃないか。

 

しかし、前に止まってたトラックとか、みんなよく起きれたな。それに感心するわ。

なんにしても睡眠不足で超ダルビッシュ〜。

 

事故現場を通過して分かったのがトラック同士による多重事故。トラックの荷台から散乱したカーゴなどが道路を完全に塞いでた様で、片付けてくれた警察に感謝しながら通過した。

繰り返すが、とにかく寝不足で気持ち悪い。

さすが南アルプス、最初から試練を与えてくれた。

 

鳥倉第2駐車場から登山口までの試練

6:40

このままでは三伏峠すら登れないと、サービスエリアで少しだけ仮眠した後、やってきたここは鳥倉第2駐車場。

深夜に到着しとかないと第1駐車場に停めるのは不可能だ。第2に停められただけ運が良かった。

まあ、正確には第2駐車場も溢れかえってて路肩に停めたんだけどね。

 

第2駐車場からしばらく歩いた第1駐車場がこちら。

もちろん超満車状態。

塩見岳ってアクセス悪いし、ちょっと地味だし、コースタイム長いし、ダンゼン人気の無い山だと思ってたけど全然そんな事無かったわー、へたこいたー。

考えてみれば百名山って久しぶりだな。開聞岳以来か。

 

第1駐車場から先はゲートをくぐって進む。

はっきり言って、眠すぎて気持ち悪い。

駐車場でお弁当を食べたけど気持ち悪くて半分以上残してしまった。せっかくの塩見岳なのに不安しかない。

 

ゲートをくぐれば夢の世界が待っている、という訳ではなく鳥倉登山口までがこれまた長い。

このかったるい林道を早いとこやっつけてしまいたいが、こんな所で余計な体力は使いたくない。これまで生きてきた中で最大限の惰性感で歩を進める。

傍から見れば出来損ないの中年オヤジにしか映らない姿だったはずだ。

 

そりゃそーだよなぁ、自転車で来るべきだよ!

登山口に着いてみるとチャリンコだらけだった。

それにしても高そうなチャリのなんと多いこと。

自分のチャリは、駅前の放置自転車を市区町村から委託された自転車屋さんがオーバーホールして中古販売してたママチャリだ。

つまり、

今流行りのSDGsだ!(どやっ!)

 

一漕ぎする度にギギィという異音がエキゾーストノートが心地良すぎてもはやストレスの限界なのだが、頻繁に5-56挿して長持ちさせてる愛チャリだ。

まあそれはよくて、

ここまで第2駐車場から50分もかかったわ。

 

登山口から三伏峠小屋までの試練

7:30

おえっ。寝不足で気持ち悪い。だけど時間がもったいないというもどかしさ。

とんだ高速道路でのステイホームだった。

なるべく無駄は省いていくぜ。おえっ。

 

やっと南アルプスの大自然の中に潜入だ。

森林限界が高い南アルプスの長い長い樹林帯の始まり。

早々にトレッキングポールを取り出して体力温存させながら出発するよ。

 

バイケイソウの花が咲く。

 

三伏峠までは10カウントノックダウン方式。10数えてるうちに眠りに落ちてしまいそうだ。

ちなみに、最初の1/10までが一番長く、数を重ねていく度に間隔は徐々に狭まっていき、9/10から最後の三伏峠小屋までがあっという間に終わる。減り方が昔のガソリンメーター方式だ。

 

深い!南アルプスの森は緑が濃い!

 

カウントダウンの標識なんざ撮ったってつまらないけど、三伏峠までだから三だけは撮っておこうと決めてた。

 

5/10を過ぎたところで出てくるのが南アルプスの天然水「ほとけの清水」。枯れることもあるみたいだけど、この日は梅雨明け直後だから水量は豊富。ここで軽く水分補給。

そしてこのあたりでやっと気持ち悪さが無くなり、残した半分のお弁当をたいらげた。

完全徹夜で雨の黒戸尾根を登った時を思い出せ!あれに比べたらこんなの大したことないぞ!と、比較対象が楽しい山行ではなく、これまでの辛かった登山になってしまっているのが悲しい。

こんなはずではなかったのに!

 

時折、景色が開けて絶景がチラチラ見えるようになってきた。

遠くに見えるのは北アルプスの峰々。一番左は乗鞍岳。そこから右に笠ヶ岳〜穂高〜槍ヶ岳とオールスターが勢ぞろい。

 

そしてなんと言っても中央アルプス。

今いる南アルプスと中央アルプスに挟まれた街が伊那市や駒ヶ根市ね。

駒ヶ根市のホームページを見ると謳い文句が「2つのアルプスが映えるまち」だって。

素敵過ぎじゃねぇか!

 

南アルプスの北部の山に目を向ければ、左に仙丈ヶ岳。右の白い峰は一目瞭然甲斐駒ヶ岳。

どれもこれも日本を代表する名山を前に大コーフン。

 

そしてやっと見えてきた本日のガンダーラ、塩見岳。

まだまだ遠いけど、目標が見えると俄然登頂意欲が湧いてくる。

速くは歩けないけど、頑張れる気がしてくるっ!

 

三伏峠小屋まであと200歩ね。

あいあいさー。

 

登山口から三伏峠までの道のりは、登り始めでぐいっと登って、途中からなだらかになって、最後はだらだら〜っと軽めに登る、そんな感じ。

途中に水場もあって歩きやすい。

あえて言えば、木で組まれた階段がところどころ歯抜けになってるから踏み抜かない様にちょいと気をつけてね。

 

9:50

睡眠不足で一時はどうなるものかと危ぶまれたけど、なんとか小屋に到着できたよ。

やりきった感じすらあるけど、取り急ぎテント泊の受付を済ませる。

今年2021年シーズンはコロナ禍でテン場も事前予約必須だ。

 

南アルプスの濃い樹林色(グリーン)に髪を染めたお姉さんから親切な説明を受ける。

水場は小屋から往復30分ね、ラジャっ!

 

受付を済ませて戻ってくると、ザックは大量のアブに乗っ取られてた。ひくわ。

 

予約してたとはいえ、小屋の受付でかなり詰めてご利用くださいと言われた通り、満員御礼。

まあそれでも夜になって見回してみれば10張ぐらいのスペースは空いてたんだけどね。

予約せずに来る人のために、少しでもスペースを空けておいて欲しいといった配慮だろうか。

 

三伏峠小屋から塩見岳までの試練

先程までの気持ち悪さはなんとかおさまった。ならば仕方あるめぇ。

テントを張り終えたら、いざ塩見岳へ出陣じゃー!

今、時間は11時ちょうど。

睡眠不足で高山病が心配だけど、ゆっくりならなんとか山頂まで行けるだろう。水分と食料は多めに持っておくことも忘れずに。

翌日は帰りの運転があるから、体力的にいけるなら今日登っておきたいという当初の作戦通りだ。

 

ゆっくり登っていくと、

 

三伏山に到着。

奥に見えているのが塩見岳。遠っ!!

ほんとにあそこまで歩けるのか、ここまで来て不安にかられる。

 

左に見える中央アルプスに少しだけ雲がかかり始めた。それでも今日の天気なら山頂で曇ることはまず無い。焦る必要はないっていいね。

 

正面に見える巨大な山塊をズームにしてみる。左から北岳、間ノ岳、西農鳥岳の白峰三山。

なつかしいなー、高山病とシャリバテで瀕死となった白峰三山♫

頭痛ガンガン、恐ろしいだるさと気持ち悪さに耐え、なんとか北岳山荘のテン場に辿り着いた辛さは忘れられないけど、体調が戻った2日目は3,000m超えの稜線歩きがとにかく絶景続で素晴らしかった。

今となってはもう1度歩きたいコース。

ちなみに、通常は二泊三日のコースだけど一泊二日に短縮して奈良田への下山はヘトヘトになったのに、すれ違った人の中にはワンデー、しかも標高差のある奈良田から登ってくる人もいて、ど変態ばかりで驚愕した。

 

引いて見てみると、左奥が先ほど紹介した白峰三山で右に見えるのが今回のガンダーラ、塩見岳。

3,000m峰がズラリ並んだ景色は圧巻だ。

 

塩見岳の南側は山体崩壊した傷跡が生なましい。

いつの時代に崩壊したかは分からないけど、崩壊の衝撃の大きさを想像せずにいられない。

 

強烈な日差しが降り注ぐ。

そんな猛烈な暑さの中、目の前まで迫った本谷山(ほんたにやま)への登りが始まる。

塩見岳へは三伏山、本谷山、天狗岩と小ピークを越えていかなくてはたどり着けない、天竺へは長く険しい道のりなのだ。

 

バイケイソウの群生地をブヒブヒ喘ぎながら登る猪八戒。

三蔵法師さまぁ〜ガンダーラはまだでがすかえ〜

と、何度も足を止めてはトレッキングポールがへし折れそうになるまで体重をかけて休んだ。

でもね、そんなあちきでも低山に登る時ぐらいはトレーニングのつもりでトレッキングポールはなるべく使わない様にしているんだよ(なんの見栄だ?)。

 

ああ、暑い。やっとこさ本谷山に到着。

とりあえず本谷山まで登ってしまえば、次のピークは巻けるから安心だ。

お次は塩見小屋だ。そこで一区切りつくから、そこまでは頑張ろう。

 

本谷山から一旦下ってから割と水平な巻道を進む。

自分の場合シャリバテと高山病はあわせ技で襲ってくることが多く、突然体が動かなくなるのが恐ろしい。

だから今みたいに登りでエネルギーを使った直後は、体に変調が出てないかをつぶさにチェックしとかないと後で怖いし、腹は減ってなくても念の為キャラメルを二粒摂取しとくことも忘れずにしておく。

 

「小屋はじきかやぁいんね。あと40分だに」。

ところどころ静岡言葉?伊那弁?によるほっこりメッセージがでてくる。こういうのも楽しみだに。

 

樹林帯を登っていく。

今日みたいに日差しが強い日は、南アルプスの森林限界の高さがぎりぎりまで直射日光を防いでくれて有り難い。

 

シラビソの森からハイマツ帯に変わった。いよいよ森林限界だ。

日焼け止めを塗り直さねばっ!

 

「がんばるんだに、もうじきだでな」。

暑ぢぃけんど癒やされるだにな。

 

そして、ここまで頑張れば報われるでな。

さあ、顔を上げるんだに。

お目当ての絶景はもう目の前だに。

 

わっしょーーい!!

ウエルカム塩見!!!

 

どーんと目の前に現れた塩見岳。チャンスが巡ってきた時のホークスの応援「ワッショイ」を連発だ。

これでやっとこさ一休みできる。

久々に腰を下ろして、あんな遠くに見えた天竺がコツコツ歩いてたらこんな近くにあるなんて、感慨深い。

 

山頂直下のお花畑

もうすぐだぜー!ガーハッハッハー。

意気揚々と登っていくがここからが意外と長い。

意外と言うか、ほんと長い。

山が大きすぎてあたかも山頂まで近くに見えるけど、塩見小屋から山頂までは単純標高差でまだ300mもあるだに。

それにここから岩稜帯に突入するでな、慎重に進まにゃならんポイントに差し掛かるだに。

 

塩見岳の手前にあるのがこの天狗岩。

疲れが溜まった体に大きく立ちはだかるもんだから、最初の威勢の良さは10歩で消え失せた。

それに標高が高くて息も苦しいし。

10歩進んでは立ち止まり、激しく呼吸を整えて再び登るというのを繰り返す。

久々の高山、我ながら情けない。

 

ブーケみたいにぶわっと咲くミヤマキンバイ。

癒やされるだにー。

 

天狗岩直下。律儀に天狗岩のてっぺんを通過するわけではなく、右斜へと少し巻き気味にルートを取る。

 

イワツメクサ

 

天狗岩を越えちゃえば山頂は目の前!と言う淡い期待は見事に裏切られた。

意外とまだ長い。

意外と言うか、ほんと長い。

あれ、さっきも同じこと言ったな。

 

ツガザクラ

アカモノとの区別の仕方は葉が違うのよん。

 

ここは下山中に小規模な岩雪崩が発生してたポイントだから落石には気を付けたい。

マーキングはばっちりされてるからそれに従ってジグザグに登っていく。

注)マーキングは犬のそれではない。

 

いよいよフィナーレ。青空のピークが待ってるぜ!

この大一番で今日程の快晴に恵まれるなんて、これまで続いたガスガス登山もやっと報われた。

感激で涙が止まらない。

涙もろいのは老化現象だと聞いたことがある(ほっとけ!)。

 

山頂直下はハクサンイチゲの群生が広がっていた。

 

山頂に近づくほどに勢いを増すお花畑。すごい!

手前の黄色い花はイワベンケイ。奥に広がるハクサンイチゲとミヤマキンバイの群生だ!

6月の花シーズンはコロナで棒に振っちゃったしなーと、鬱憤がたまってたからこれで気が晴れたよ。さすがアルプス。

 

ミヤマオダマキもぎりぎり間に合った。

 

最後の登りだと思って頑張ったのに、それが偽ピークだったというのはよくある話。やはり簡単ではない。

今度こそ間違いなく塩見岳西峰だ、頑張れ!

 

そしてここからの景色がマジでやべぇのよ。

皆の者、見逃すで無いぞ!

 

アンタが大将ー!!

 

この圧倒的アルプス感!

アルプスなんだから「アルプス感」っていうのは違う気もするけど、この豪快な景色の前ではなんでもいい。とにかく圧倒的だ。

この長大な稜線は間ノ岳、そして仙丈ヶ岳へと続く仙塩尾根。北岳からなら歩いてみたい。

 

山頂からの大絶景

塩見岳は双耳峰。お隣の東峰へも行ってみる。

西峰の標高は3,047m、東峰は3,052m。5mほど東峰の方が高い。

 

14:20

東峰にあった岩の上によじ登り、塩見岳で一番高いところに立って標柱を見下ろす。

3,000mの風が涼しい。

これぞ登山の醍醐味、最高だ。

 

東峰からの景色を堪能しよう。

東峰からは遮るものの無い富士山が見られると聞いてたけど、残念ながら半分は雲に遮られてしまった。

山頂部分だけでも見れてラッキーだね。

 

南アルプス南部の山々。左にある自己主張が強い山は悪沢岳、その右が荒川中岳、前岳。全部セットで荒川三山。

荒川三山は赤石岳とセットで歩いたけど、悪沢岳から千枚岳に向けて下山中に見えた富士山の景色が忘れられない。

 

南アルプス北部に目を移しても、どれもこれも魅力的で素晴らしい光景だ。この仙塩尾根の先に見える白峰三山がとにかくインパクト大だ。

白い峰の甲斐駒ヶ岳は雲と同化してしまい、写真では分かりにくいけど肉眼ではバッチリ見えた。

どれもこれも3,000m級の名山ばかり。

正直、もうメロメロ…だに。。

 

これまで歩いてきた道のり。長かった。

見た目通り、青々とした稜線のおかげで強烈な日差しから守ってくれた。

 

山頂で食べる豆大福こそ世界一ィィィイイイイイー!!!(シュトロハイム)

 

長い長い三伏峠小屋までのゲッザーンだに

豆大福を堪能し、40分ほど山頂でボケーっと抜け殻になったら下山開始。

疲れてたからほんとはもっとゆっくりしたかったんだけどね、冷えてきたし、三伏峠小屋まで遠いし、明るい内に着いて水場に寄ってご飯の準備をしたかったからね。

売店は19:30までだったから、時間的には余裕。

 

再び西峰。

初めて登った塩見岳。記念撮影をしておこう。

しかしこうやって見ると、相変わらずナイキのピンクのシューズがどぎつい。ちょっと恥ずかしいぞ。

誰も選ばない色だからハイパーウルトラ価格で買えたのよん(笑)

 

眼下に見える塩見小屋。

今晩の宿があそこだったらどれだけ良かったことか。

疲れすぎて動きがぎこちない。ゼンマイざむらい化が始まった。

いや、進撃の巨人で言う硬質化ってやつか。

 

と、遠っ!!

骨身にしみる遠さ。久々に愕然とした。

 

天狗岩には赤色チャートが多く見られるのもチェックポイント。

赤色なのは酸化鉄を多く含むためで、北岳や赤石岳、そしてここ天狗岩で多く見られる。赤石岳の山名の由来にもなっているみたいだよ。

深海から隆起してできた南アルプスの悠久の歴史を感じられるポイントだ。

 

やっとこさ塩見小屋まで戻ってきた。

岩稜帯でしまっていたトレッキングポールをここで再び取り出す。Amazonで買った3,000円の代物だが、今この時何よりも大事な登山道具だ。

もうクタクタだから準備を整える作業ですら虫の息だよ。

 

「動くで気をつけるんだに」と親切な静岡言葉(?)に癒やされつつ、黙々と歩くだに。

 

振り返った塩見岳にとうとう雲が襲いかかってきた。

1日の帳が下りる様だ。

有難う塩見岳。感謝せずにはいられない。

 

この暑さの中で長い距離を歩く上で、必要な物はトレッキングポールと食料と水だ(自分の場合)。

特に高山での活動は猛烈なエネルギーを消費するから空腹は突然襲ってくる、気をつけろ!(自分に言っている)。

おにぎり3つにキャラメル、飴玉、SOYJOYなど。たくさん用意してあるから安心セイ!セイセイセイ!

 

木のてっぺんでさえずりまくるコゲラ。

そろそろ日が暮れるよー!と呑気に教えてくれている訳ではない。

彼らは周りの仲間に人間がいるぞ!と危険を知らせているのだとNHKの動物番組でやってるのを見たな。

 

17:50

三伏山に戻ってくればテン場までは目と鼻の先だ。よく頑張った俺!

日帰りじゃないって最高♫

まだまだのんびりできるー。

 

夕方になって伊那市側から雲がもくもく湧き起こってきた。

これぞ夏の風景。嫌いじゃない。

 

売店が閉まる時間までまだ余裕だから、水場に立ち寄ってからテン場に戻るよ。

 

水場で足元に転がっていた針金が足に絡まり、水溜りに向かって前のめりにダイブした。

本気で危なかった。もはや滑落。

第2の被害者が出ないため、針金はどかしといたけど、膝と手のひらを擦りむいた(泣)

 

山の夜

テン場に戻ってくると満員御礼。

睡眠不足でクタクタだったけど、気持ち的には「山の夜はこれからだぜ!」と夜ふかしに闘志を燃やす。

どんなに疲れてても楽しまにゃ損だぜぃ!

 

ゆうげの準備をしてると夕焼けに間に合わなかった。

三伏峠からはどうせ樹林帯が邪魔して見えなかったからいいんだけどね。

ちなみに今晩のメニューはハンバーグカレー。メスティンでご飯を炊いたけど、今回もお米に芯が残ってしまい大失敗。

下界では成功するのに山で100%失敗するのは標高の高さが影響してるからだろうか。

うん、もはや生米♪

どんなに疲れてても、どんだけ景色が良くても、芯が残った米は不味い。

カレールーとハンバーグは美味かったけどね。

しかしこんなアクシデントでさえ山で過ごす楽しみの一部なのだ。山の夜はまだまだこれからなのだ。

遅くまで夜ふかししてやるぞ。

限界まで起きててやる…

夜ふかし…。。

20時で記憶がぶっ飛んだ。

さようなら。アーメン。

 

鼻血ものの大絶景!!

夜中の2時。

こんな時間から塩見岳にアタックする方々がいて、その準備をする物音で目が覚めた。

小声で話し合うならともかく、普通の声で会話しながら準備するのは勘弁してけろー!と思ったけど、静かに話されてもどうせ目を覚ましちゃっただろうな。

ならば仕方ないと、外がどんなだか気になってテントから顔を出してみれば一面の星空が広がってるじゃないか!もうともえ投げー!

よだれを垂らしながら、テントの外に顔だけ出してしばらく見上げてたら、プラネタリウムなのか本物なのか分からなくなった。

来てよかった。やはりテント泊にして良かったと改めて思う。

 

山の朝と温泉

翌朝は三伏峠小屋から歩いて10分のところにあるお花畑へ散歩。

ネットで鹿害から守られたエリアがお花畑だよ。

 

テガタチドリ、イブキトラノオ、シナノキンバイなどなど、百花繚乱。

一番良い時期に来たんだな、きっと。

 

さあ、世話になった三伏小屋に挨拶を軽く済ませ、ゲッザーン開始だ。

 

オサバグサ

 

温泉が10時から営業開始と聞いて、途中まで時間調整しながらのんびり下山してきたけど、結局だらだら〜とあっという間に下山完了。

 

しかし、登山口から駐車場まてが長いからね。

その林道歩きでアサギマダラ発見。

 

この日は第1駐車場までの運行だったみたいだけどハイシーズンになれば登山口まで運行してくれる伊那バスとすれ違ったよ。

ゲートから登山口までの林道にはたくさん落石があったけど、そんなところを走ってくれるなんてほんと素晴らしいバス会社だ。

 

温泉が営業開始するまでの暇つぶしと言えば道の駅と相場は決まっている。

ここ歌舞伎の里大鹿には、塩見岳の名前の由来にもなったとされる天然塩が売られている。

「塩畑(しおばた)」という物なんだけど、残り2個あったけど寸前のところでおばあちゃんに「あったあった」と言いながら全部かっさられてしまい買えなかった。

1個ぐらい残しといて欲しかった(T_T)

 

何で「歌舞伎の里 大鹿」と言うのか分からなかったけど、歌舞伎推しは至るところに見られたよ。

後で調べたら、大鹿歌舞伎は江戸時代から伝わる国の重要無形民俗文化財にもなっているそうだ。

 

塩もなかならたくさん売られてたけど、もなかは唾液を全部もっていかれるからパス。

お弁当だけ買って、がっついてから温泉へ移動。

 

お目当てだった山塩館はコロナ影響で立ち寄り湯の営業は見合わせてるとのことで、仕方なく松川インター近くにある「信州まつかわ温泉清流苑」にやって来たけど、これが大当たり。泉質が滅茶苦茶とろっとろでサイコー。

奈良田温泉とここまつかわ温泉は登山抜きでも来る価値あるよ。

 

温泉からは南アルプスの山々が丸見え。

今年の夏は塩見岳に登れた。最高の夏だ。

この後、岡谷まで高速を使い、そこから先は下道でコンビニに何件か立ち寄りながらのんびり帰ったよ。

 

 

振り返って

梅雨明け直後の登山になったけど、書くペースが遅くて気づけばもう8月。季節の巡りは早い。

連発される猛暑日に突入し、梅雨のじめじめしたあの日々のことなんてすっかり記憶の彼方にぶっ飛んでしもたよ。。

せっかく登山直前に梅雨が明けるというスペシャルなタイミングだったのにー、その有り難みがすっかり薄れてしまっただに。

書くのが遅いばかりに(でも仕事と違って納期がないってサイコー!)。

 

それにしても塩見岳は圧倒的に大きかった。

南アルプスの真ん中にある塩見岳からの景色は、360度どこまでも山岳風景。そこから見える南アルプスの山々がこれまた全部デカい。

特に間ノ岳の大きさは圧倒的で、どうしても隣の北岳ばかりにフォーカスが当たるけど、間ノ岳の存在感は大迫並に半端ねぇだに。

 

すっかり東京オリンピックも始まってしもた。書くのが遅いばかりに。

開会式がいきなりロトのテーマで始まったのは超絶エモかった。

有難うすぎやまこういち、ありがとう堀井雄二、エニックス。

卓球の混合ダブルスはずーっとリアルタイムでメガホン持って応援してた(卓球のルール知らないけど)。

気付けばオリンピックも後半戦か。梅雨明けに登った塩見岳をポチポチ書いてるうちにもう後半戦だ。

でも、納期がないってサイコーだに。

 

ちなみに今回からどのカメラ、レンズを使用したか自分の備忘を兼ねて書くようにするよ。

【今回の使用カメラ】

富士フイルムX-T1、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS。

 

 

ほんとにこれが最後。いつも長くてスンマソン。

3月に飛行機から見た南アルプスの航空写真をご紹介します。

残雪のお陰で塩見岳~北岳へと続く長大な仙塩尾根が分かり易いから追記しとこうと思ったよ。

羽田〜福岡航路はちょうど南アルプスのど真ん中を通るから、塩見岳と赤石岳が真下になって見えないんだけど、この日は少し左寄りを飛んでくれて塩見岳が辛うじて見えたんだよね。

見事な仙塩尾根。そして上空からも分かる間ノ岳と塩見岳の見事な山容。

ほんと、塩見岳に登れて良かった。三伏峠小屋のテン場も水場がちと遠かったのを除けばフラットだったしお花畑もあって天国だったよ。

では!

 


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