北九州の貫山(ぬきさん)に初日の出登山に行ってきました。
一年の計をしっかり貫くという意味で、新年一発目にふさわしいと思い、取って置きにしていた山です。
貫山は日本三大カルストの北九州国定公園・平尾台の主峰で標高は712m。九州百名山です。
ピナクル(羊群原(ようぐんばる))と呼ばれる石灰岩が野焼きされた山に点在し、とても不思議な世界を作り上げてます。
この珍しい景観は国の天然記念物にも指定されていて、自分が知る限り似た様な光景を見られるのは山口県の秋吉台ぐらいなもので、関東では決して見られない奇勝だと思います。
登山の難易度としては吹上峠駐車場から山頂まで高低差がたった339mしかなく、危険個所もないため初心者向きです。暗がりの中を歩く初日の出登山にうってつけだし、子供でも登れる優しい山です。
標高は低いのですが、山頂から見渡す海と山々の眺めはなかなか素晴らしいです。
今回は小3の次男と2人で登ってきましたが、雪も風もなく大変穏やかな気候に恵まれ、最高の時間を過ごすことができました。
ということで、2017年もどうぞよろしくお願い致します。
■アクセス方法
・県道28号を平尾台自然観察センター方面へ進み吹上峠駐車場へ。
・平尾台自然観察センターへのアクセスは、こちら
■ルート
■全行程スケジュール
2017年1月1日
5:10 吹上峠駐車場着 ⇒ 5:20 登山開始 ⇒ 6:45 四方台 ⇒ 7:06 山頂 ⇒ 7:33 日の出 ⇒ 8:07 下山開始 ⇒ 9:14 大平山山頂 ⇒ 9:41 吹上峠駐車場
朝3時半に福岡の自宅を出て、5時頃吹上峠の駐車場に到着しました。
初日の出で相当賑わうと聞いてましたが、なるほどなるほど、事前情報通り車も多く駐車場は8割程うまってました。
駐車場から道路を挟んだところにある登山口からスタートです。
初めての山だし、慣れてそうな人の後を控えめに歩こうという作戦。
準備体操したりお茶飲んだり、不審感たっぷりに時間稼ぎしながら辺りの様子を見てましたが・・誰も来ない。。
子供の登るペースを考えると、周りの動き出しを待ってたら初日の出に間に合わないので仕方なく出発です。
しばらくすると山カップルが抜いてくれました!
貴重な先行者です。
ペースも自分たちと同じぐらいなので、
「あの人たちと離れたら遭難するよ!がんばって付いてくよっ!」と子供をけしかける。
その声が山カップルに聞こえたのか、わざとゆっくり歩いてくれたのかも。しばらく付かず離れず歩きました。なんにしても有難かったな。
韓国や中国からの観光客が多い福岡では街中でハングル文字を良く見かけますが、まさか山の中でも見かけるとは。
さすがです。
大平山のピークを越えてから一旦下って四方台に向けて急坂を登り返す区間が、このルートで唯一気をつけなくちゃいけない箇所。
少しずつ標高を上げてきたし、明け方は地面が凍ってるところもあるから慎重に進みます。
上手に下っていく子供を見て感心しつつ、自分はド派手に滑って転びました。
四方台方面へ登り返す先行者のライト。
写真では分かりにくいけど、ここからは山頂に登っていくいくつものライトが見えました。もう不安はなかったし、カップルもどこかへ行ってしまいました。
四方台に着きました。ここで軽く違和感。
俺「うん?トレッキングポールは?」
子「あ!!」
俺「あ!じゃねえーよ(ズコー)」
どこかに置き忘れてきた様です。
・・・・下山は違うルートを考えてたけど、ピストン決定です。
振り返れば行橋市(ゆくはしし)の夜景と周防灘(すおうなだ)が見えます。
福岡県の西側に位置する福岡市では山から登る朝日しか見られませんが、貫山からだと海から上る太陽を拝めます。それだけでも登る価値はありです。
四方台から山頂までの最後の登り。たくさんのライトが山頂を目指して登ってます。
がんばれがんばれー
空も段々と明るくなってきた。今年最初の夜明けを迎えるにあたり、ここで晴れを確信できた。
山頂に着きました。ほっほ〜賑わってますな〜。小さな子もいる、みんな頑張りました。
それと山頂は驚いたことに冬なのにまったく風がない!
子供のペースに合わせてゆっくり登ってきてずっと寒かったからこれには助かりました。
取り急ぎフリースとダウンを着込み、アツアツのラーメンを作ります。
ラーメンにお湯を注いで、3分待っている間に周りを見渡すと、先ほどより明らかに人が増えてます。
日の出が7:30だからあと10分ほどの待ち時間。
苅田港(かんだこう)と海上に浮かぶ北九州空港。
こっち方面から朝日が昇ります。
ちなみに北九州には難解な地名が多く、自分も最初は「苅田」が読めませんでした。築城(ついき)、京都(みやこ)を知った時はぶったまげたな。
おっ!
おーー!日が昇り始めたよ!
興奮しながら写真を撮って、ふとうちの子を見ると、
鼻息をフンフン鳴らしてカップラーメンを食べるのに必死で、初日の出どころではないご様子。
まあそんなもんだよね、子供にとっちゃ大したイベントじゃないか。
きれいやわ〜。初日の出見られて、登った甲斐あったなー。
うん?
隠れていく?
あらら。
雲の中へ。
ちーん。。
まさか上った途端、すぐ隠れてしまうなんて。雲の中から再び姿を現わすのを待ちわびます。
わぁー!!
再び歓声が上がる。
先ほどより強い光を放ちながらの再登場。まさにご来光といった感じ。
こ、こ、これや!
これが見たかったんだ!(うるうる)
すごくきれいだ〜
子「ねえ、お父さん」
俺「ほらほら、太陽出てきたって!」
子「ねえ。ねえって。」
俺「うん?」
子「汁、残していい?」
俺「(ズコー)。おいおい、まだ食ってたのか」
「もぉいいから全部飲むから残しとって!!」
「ラーメン食ってる場合じゃないぜっ!」
「見てみな!これがガイア(地球)の夜明けだ!」
いや、日本の夜明けぜよ。坂本龍馬も大政奉還の翌朝、同じ様に海から上る朝日を見て涙したに違いない。
チーズカレーヌードルの汁をすすりながら感傷にひたる。
素晴らしき元旦よ、アーメン(ラーメン)。
まさに、明けましておめでとう御座います! です。
すっかり辺りも明るくなり、みんなさっさと帰り支度を始める。
名残惜しくないんだな。。
うぅ~、もう少し見ていたいけど、そろそろうちらも帰るかね。
自分の荷物は自分で持つんよー。
最後に貫山の山頂標識を1枚撮ってから下山します。
薄っすらと雲はかかってるけど、日本海側に位置する福岡の冬でこれだけの青空が見られれば大満足です。
奇跡とよんで良い晴天でした。
明るくなるとこんな景色が広がってたんだなと、今更ながら知る。
朝日はみるみる上がる。
真ん丸な貫山を振り返ればまだ山頂にいる人が確認できます。
ドリーネです。
カルスト台地特有のくぼ地で、雨水や地下水によって石灰岩が溶かされ侵食された地形のことをドリーネと言います。wikiより。
ピナクル(羊群原(ようぐんばる))がたくさん出てきました。カルスト台地にピナクルが点在する光景を「羊の群れ」と呼ぶのは羊群原の名から由来してます。
次は未年の元旦に来るのも良いかも。
たしかここから少し行ったところで休憩したからトレッキングポールが落ちてないか注意深く見ていこうか。
その前に暑くなったからダウンをしまってっと。
さあ、羊たちの群れを越えていきます。
ポールを探しながら。
再び振り返ると貫山ならではの光景。
たしかヤマケイの貫山の紹介ページでもこのアングルからの写真を使ってたと思ったな。
ポールをバット代わりに素振りの練習。
2本ある内の1本だけを無くしたので野球ぐらいならできます(できねーよ)。
結局、遊びながら下山したためトレッキングポールは見つかりませんでした。
石灰岩って何?と聞かれたので、コレだよと教えてあげました。
これも?
あれもこれも? と、
大きな石灰岩の塊を何個もポケットにしまって持ち帰ろうとするから、その重みでズボンが脱げそうになる。
登りの時は真っ暗で全然見つけられなかった大平山の山頂標識。
アップダウンを繰り返すルートのため多くの方が下山では違うルートを選択しますが、まあウチの子はよく頑張りました。
今年はこの場所からベリーベストな1年が幕を開ける~
早朝はあれだけ賑やかだった駐車場も今は2~3台だけ残して、もうすっかり正月らしい静かな朝に戻ってました。
さって、帰ったら飲めないおとそ呑んで、昼寝しよ~っと。
振り返って
標高2千メートル以上で見た雨上がりの晴れ間に架かる虹、赤すぎる夕焼けに染まる立山連峰、星が溢れそうな空、雪と滝のモノクロの世界、登山をしているとどえりゃあ景色に出会えます。
標高の高い山から見る朝日は、青や黄色だけでなく数多くの色が折り重なってそれが時間の経過とともに目まぐるしく変化していく、とても神秘的な世界です。
これまで自分が見て感動した景色を子供にもたくさん見せてあげたいので、これからもたくさん一緒に登らないといけませんね。
ところで、年末にうれしいことがありました。
15年ほど前、深夜のNHKで流れてた音楽をたまたま聴いて以来ずっと探し続けてた曲が、とあるバラエティ番組の挿入歌で使われてたのをきっかけに探し出すことができました。
曲調からずっと黒人のR&Bグループを探してましたが、まさかまさか、BLURだったとは!
曲名はtender。キャー!!
学生だった頃でさえ聞くのが少し恥ずかしかったUK!オルタナ!
いや~BLURかぁ、すげぇ恥ずかしいー!
と思いつつも、すぐゲオに借りに行って年末年始はBLUR漬けでした。
聞きまくって、すぐ飽きましたな。
さて、初めての初日の出登山は大成功に終わりました。
(トレッキングポールは見つかりませんでしたが。。)
朝起きられなくて韓国岳と大船山を登らなかった次男が、この日本当に起きられるかが重要なポイントでしたが、よくぞ起きてくれました。
この時点で今回の山行はほぼ成功したと言っても過言ではありません。
幸先良かった今年一発目の山旅。
今年もたくさん登って多くの山旅を紹介していければと思ってますので、
どうぞ1年、当ブログの応援をよろしくお願い致します
ではでは