「出でよ!アイアンシェフ!!」
昔、そんな掛け声で始まる番組がありました。「料理の鉄人」。知ってる方も多いと思います。
鉄人と呼ばれる料理界のレジェンドを相手に、その筋では有名なカリスマシェフが勇猛果敢に料理バトルを挑んでいく。そんな番組です。
料理が苦手で肉を切る時も料理バサミを使う自分には信じられない包丁さばきを見せるアイアンシェフ達。何が彼らを料理の道にいざなったんでしょう。
まあそれはいいとして、番組ではシェフの紹介が終わると本日のテーマとも言うべき食材が発表されます。
本日の食材は!
司会の鹿賀丈史が声を張り上げます。
これだ!
蕎麦!!しかも流水麺だぜ!
5月20日。
毛木平から甲武信ヶ岳に登って来ました。
今回のミッションは千曲川(信濃川)源流の水を使ってシャキッと冷えた蕎麦を食らう!です。
日本一長い川の源流ですすぐというのがポイントです!
4月から連発される真夏日。「今年の暑さはかなりヤバイぞ!」という訳で実現した今回の企画。
果たして企画通りいくのかどうか、
登山史上最もくだらない事に賭ける熱い戦いの幕が開ける。
毛木平から登る甲武信ヶ岳
①甲武信ヶ岳の数あるルートの中で最も容易と言われるコースです。沢沿いの気持ち良いコースで、斜度も緩くのんびり登れます。危険箇所もありません。
②とは言え標高差は1,200mもあるので、コースタイムは往復で8時間30分と少し長め。
③途中に千曲川(信濃川)源流のポイントがあります。ここ大事です!
④山頂からは奥秩父の山々の大展望が広がります。
↓山頂からの景色はこんなですよ!
ホワチャー!
ほいじゃ軽く補足します。
ひとーっつ。
前回は西沢渓谷から徳ちゃん新道で甲武信ヶ岳に登りましたが、急坂がひたすら続きあれはキツかったぞ。。
それに比べ今回の毛木平コースは非常にらくです。沢沿いのルートは野鳥も多いし苔も綺麗で歩いてて気持ち良い。トレイルは幅が広く整備されてるし、これなら子連れでも安心して登れます。
おかげで甲武信ヶ岳が人気な理由がやっと分かりました(^o^)
ふたーっつ
標高差は1,200mありますが、登り返しがほとんどないのであまり疲れは感じないと思います。コースタイムはそこそこ長めなのでスケジュール管理だけはきちんとしておきましょう。くどいですが標準コースタイム往復8時間30分です。
それと毛木平駐車場はすぐ満車になるので早出を心掛けてください。
甲武信ヶ岳は標高2,475m。首都圏からアクセス良い割には公共交通機関での日帰りが困難な日本百名山です。
ここの標柱は日本一カッコいい(たぶんね!)。
青空にそびえるこの写真を撮ることができてヒデキ感激!(追悼)
いざっ
■周辺地図
・毛木平駐車場は60台駐車可能。アクセスはこちら
■ルートとコースタイム
■2018年5月20日 ※カッコ内は標準コースタイム
毛木平駐車場⇒(150分)⇒ナメ滝⇒(90分)⇒千曲川源流⇒ (55分) ⇒甲武信ヶ岳山頂⇒(40分)⇒千曲川源流⇒(60分)⇒ナメ滝⇒(115分)⇒毛木平駐車場
標準コースタイム:8時間30分(休憩含まず)
登山開始
「うーん、真ん中のポコンと出たピーク、あれがたぶん甲武信ヶ岳・・かな?」。毛木平駐車場に向けて移動中に撮った一枚です。
空気が澄んで青空が気持ちいい。そんな朝。
それもそのはず。なんと、
気温6℃だってよ!
道路の電光掲示板に表示された気温を見て愕然としました。連日の猛暑はどこへ行ってしまったというのか。。
7:40
毛木平駐車場に着きました。寒いです。
60台停められる駐車場は既に満車だったので、邪魔にならなそうな所を探して停めました。
この日は日曜だったので土曜に来て小屋泊してる登山客の車もあって混んでました。
しかし寒い。久しぶりに手袋装着します。
千曲川源流で冷やした蕎麦を食らう、という壮大な企画の存続が危ぶまれる緊急事態です。
温かい蕎麦では意味がありません(どんな意味じゃ?)。
図 その1。
毛木平駐車場からは十文字峠→三宝山→甲武信ヶ岳というルートもありますが、いくつかのピークを越えていく見るからにアップダウンがえげつないルートです。
対して今回登る千曲川源流を経由するルートは登り返しがほぼありません。
赤い矢印が登り、下りが青。ピストンなんでこんな矢印書く意味なかったなと書きながら思いました。
図 その2。すごく分かりやすいです。これだけアップダウンが少ないルートも珍しいでしょう。
黒い矢印で一直線に登っていく感じを表現してみましたが、こんな矢印書く意味あんのか?と書きながら思いました。
気を取り直して出発です。ニットを忘れたのが悔やまれます。
7:50 このゲートをくぐり登山開始。
まずはお決まりの森のクマさんのご登場。
登山客をビビらすには充分の迫力がでてます。
歩いて10分ほどで十文字峠との分岐がでてきます。ここで間違えて十文字峠に行ってしまうと先程紹介したえげつないアップダウンが待ち受けてます。
我々は千曲川源流方面へ進みます。
芋でしょうか?
渓流釣りをやってる人もいます。
連日猛暑だったのに嘘やろ?と1番思ってるのが川に浸かって釣り糸を垂れる彼等かもしれません。
トレイルはご覧の通りとっても歩きやすく、もはや林道と言えるぐらい整備されてます。
ツツジの花が綺麗です。
気温が下がったからか、青空がすごく綺麗です。山頂からの展望もこれなら期待できます。
途中にあった神社を見落とした我々は、なぜかこの洞穴を神社と勘違いして一休み。
暗闇の中に祠でもあるのかと思ったわけですが、どう見ても薄気味悪いただの洞穴です。ホラー感すら漂ってます。
すぐ隣には慰霊碑もありました。。
馬酔木(アセビ)がまだ咲いてました。
天城山で枯れた馬酔木を、これ山椒じゃね?と口に入れてみたら苦くてすぐ吐き出したことを思い出します。軽く毒があることもその時に知りました(笑)
奥秩父の森はやはり気持ちが良いです。
登り始めからずっと原生林の森を歩けます。
たまにこういう所もありますが、全体を通して危険箇所はありません。
休憩中に猿真似をしてるところです。おけつの穴に手を添えるところがポイントです。
何してんでしょうね。
ところどころバイケイソウの葉を見かけました。
これも葉に毒があるので要注意です。
オオルリっぽい鳥がいました。見つけられますか?
野鳥の会の人にこの写真を見てもらったら、なんか微妙にオオルリっぽくないなぁと言われました。
じゃあ新種かもしれませんね。
9:35
なめてかかるとツルっと滑るナメ滝に到着しました。
マジで滑ります。
ナメ滝の冷水でこいつをシャキッと〆る!
のはずが、
雪解け水で、寒波きてるし、手をつけていられるのは5秒が限界の超冷却水です!
ズキーンと脳天を突き抜ける冷たさ。
洗ってはズキーン!気を取り直してズキーン!というコントを繰り返しなんとか1袋すすぎ終わりました。
いやぁ〜、ほんと
2袋も買うんじゃなかったぜ。。
まだこんなの残ってたし。そりゃ冷たいわけだよ。
時間はかかったけどなんとか2袋すすぎ終わり手袋を装着して出発です。
千曲川源流まであと2.1キロ。
あと0.9キロ。
ダケカンバって岳樺って書くのか!
分かりやすい!
10:50 千曲川・信濃川水源地に到着!
蕎麦つゆを薄めるための源流をここでゲットです。
これで今回の企画の90%は成功したと言っても過言ではないでしょう。
心配なのは山頂の気温。寒すぎたら温かい蕎麦に変更することも考えてますが、それじゃ企画の趣旨と異なるのでもはや敗北に等しい(何にだ!)。
ちなみに、ちなみにですが何気にゲットばかりの「ナルゲン」をアピールしてます!
気が向いたらナルゲンのレビュー上げますんで楽しみにしてて下さいねー。
で、こちらが源流の水を汲みながらナルゲンをアピールしてるところです。
底から湧き出てるためペットボトルだとうまく汲めませんが、口の広いナルゲンなら簡単に満タンにすることができました。
千曲川源流ポイントを過ぎると急坂が登場します。いよいよ甲武信ヶ岳らしくなってきました。
トレイルには霜柱がたくさんありました。今日はそれぐらい冷えたということ。
そんな中いつもよりかなりゆっくり歩いてるんで一滴も汗をかくことはありませんでした。
沢コースから尾根にでました。
右へ行けば国師ヶ岳、金峰山方面。左に行けば山頂です。
よしよし、青空維持。
所々展望の良いところも出てきました。
左に見えるピークは木賊山。これで「とくさやま」と読むことを知った時はたまげました。
山頂直下はガレてます。
全体を通して気を付けないといけないのはここぐらい。歩きやすいルートでした。
11:35 着きましたぜ!!
これが2回目の甲武信ヶ岳。
西沢渓谷側からの徳ちゃん新道のシャクナゲは凄かったけど急坂の連続でした。今回の毛木平からの沢沿いルートを歩いてみて人気がある山だってことがやっと分かりました。
次は雁坂峠からのルートも登ってみたいです。
出でよ、アイアンシェフ!!
日差しがあるおかげで暖かく感じられる。
これなら冷たい蕎麦でも美味しくただけそうです。
クッキングスタートです!
と言っても蕎麦に本だしをぶっかけて、千曲川の源流を注いで薄めるだけ。まさに3分クッキング。
素材を生かしきった鉄人ならではの料理と言えるでしょう。
日本一長い川の源流を使うという名実ともに日本一長大な宇宙企画。
その実はスーパーで半額で買った流水麺なんだけどね!
しかし流水麺特有の変な匂いは一切なく、ほんと美味しかったです。たくさんすすいだ甲斐がありました。
ギャランドゥな眺めです。感激です(ヒデキ追悼です。世代じゃありませんが)。
この景色を眺めながら食べる半額の流水麺は自分史上最高の味でした。
残念ですが富士山は雲の中。裾野だけでその巨大さが分かります。
こちらは国師ヶ岳から大弛峠を抜け金峰山、瑞牆山へ続く奥秩父のチャンピオンルート。
景色に満足して、暖かい日差しの中で少しだけ横になったら一瞬で眠りに落ちました。
そして寝起きすっきり。最高です。
12:50 下山します。
1時間20分も山頂にいたのか。。
下山はピストンです。
途中、ナメ滝で遊んでるところです。
そして冷水に苦しんでるところです。
冷たすぎて体が痛い。
このお陰で蕎麦が美味かったんですけどね。
OKサインの木がありました。
パーフェクトな旅となりました。
黄色のスミレってあんまり見たことないと思って撮ってみました。調べてみると特段珍しいものでもなかったんですけどね。
登山口近くまで下りてきて、洞穴じゃなくてちゃんとした神社があったことを確認できました。あれはなんだったんだろう。
15:15 駐車場に戻ってきました。
既に駐車場はガラガラ。
ほんと楽しい登山になったし、ゆっくり歩いたから気持ちいい疲労感です。
帰り道。細かったせせらぎがこれだけ太い流れになりました。
これが更に大きな流れとなって長野を抜け新潟へとそそぎこみます。
そんな千曲川の流れから生まれる恩恵が一面に広がってました。
はい、まだ終わりません。
この旅の締めくくりは、千曲川の源流を持ち帰って家で信州そばを食らう!です。
帰りに長野県内のスーパーに「川上そば」(毛木平は川上村にあります)が売ってたのでそいつを食らいます。
最後までパーフェクトな旅となりました。
振り返って
小学校で日本一長い川は信濃川だと習いますが、信濃川と千曲川が同じ川だってことを知ってる人は意外と少ないんじゃないでしょうか?
自分は2年前に甲武信ヶ岳に登った時に「マジか!信濃川って千曲川なの!?」と知った次第です。
そんな信濃川は全長367km。
その内約60%を占める214kmが千曲川と呼ばれ、残りの約40%の153kmが新潟県内を流れ、信濃川と呼ばれる区間です。
河川法ではその川の名は河口付近の名を使うらしく、そのため教科書も千曲川ではなく「信濃川」になったみたいです。
つまらない話でしたね。
甲武信ヶ岳の千曲川源流を巡る旅、大成功でした~。パチパチパチ。
自分は料理が苦手で、作れるレパートリーはごくごく限られてます。
ご飯を炊く、麺を茹でる、超ネバネバになるまで納豆を混ぜる(料理か?)ぐらいの事しかできません。餃子を焼いても成功したためしがありません。
山頂ではいつもおにぎりかカップラーメンなので今回の企画は我ながらすごく新鮮でした。
世界で一番長い川はナイル川で全長6,650km。
信濃川は367km。なんなのこの差( ̄∀ ̄)
2位はアマゾン川6,400km。もう勘弁してくれー( *`ω´)
3位は長江(揚子江)6,300km。オエェ〜
これらの源流で蕎麦を食べる日が訪れることはないでしょう。
大展望の山頂で食べた流水麺は、家に帰ってから食べた川上そばよりはるかに美味しかったです。
ただ冷水ですすいだだけの料理。
また企画しても良いかも。
ではでは