【栃木】男体山 男気が足りない!登拝大祭りで男らしさを追求する登山

【栃木】男体山 男気が足りない!登拝大祭りで男らしさを追求する登山

栃木の山奥に、フライパン山という灼熱の山があるのをご存じだろうか。

そのフライパン山、実はなかなかの名山らしく、あの日本百名山にも選ばれているだけあって、このくっそ暑い中でも多くのハイカーがピークを目指してやって来るという、摩訶不思議なお山。

それには理由があって、

実は涼しくなる晩秋〜春までの間は、かの有名な牛魔王が見張ってて、一切登らせてもらえないのだ。

もし牛魔王に見つかれば、どんな言い訳を並べようが容赦なく殺されてしまう。

 

そんな牛魔王も、真夏になれば避暑地に出かけて留守にしてしまうため、そのタイミングでしか山頂を目指せないのだ。

真夏の危険な暑さでも物好きなハイカーたちが一気に押し寄せるのはそういう理由。

 

ならば仕方あるまい。自分も8月5日という一年で最も暑い中、栃木の山奥までやってきた。

 

 

これ。

7/31〜8/7までは男体山登拝大祭というのがやってて、その内8月1日と6日の2日だけは深夜0時に開門されるから、多くのハイカーがご来光登山を楽しみにやって来る。

 

ええ、睡眠ファーストの自分はそれには参加せず、安定の朝10時スタート(笑)。

 

ちなみに、男体山ってのはフライパン山の別称だね。

 

そしてこのご来光登山には2〜3百人のハイカーが大挙して押し寄せるから、開門する深夜0時はえらい混雑するし、トレイルは大渋滞。もちろん山頂も。

上りのコースタイムは200分だから、ヘッデン歩行の歩きにくさを考えても、AM1時に登り始めればご来光には間に合うから、ゆっくり出たほうがトレイルの渋滞は避けられる。

 

一方で朝10時にスタートした自分はと言うと、案の定フライパン山で焦がされる様な暑さを満喫してきたんだけど、おかしなもので、山頂では痩せてる人達が寒い寒いって上着を羽織っていく中、半袖のままの自分に言わせればまあまあ涼しいって程度。

デブなめんな。

 

男体山は標高2,486mの日本百名山。

この世はでっかい宝島〜

暑ぢぃ暑ぢぃ言ってたら、フライパン山に嵐が吹き荒れた。

 

ルートとコースタイム

■2023年8月5日 ※カッコ内は標準コースタイム

二荒山神社⇒(200分)⇒山頂⇒(145分)⇒二荒山神社

コースタイム:5時間45分(休憩含まず)

総距離 8.7キロ、累積標高上り 1,250m

 

真夏のフライパン山登山

有料駐車場から登山開始

さすが、登拝祭り。

男体山の駐車場は満車だったから、有料駐車場に止めてスタート。

ここで準備を整えてるだけで、首がちりちり火傷してくる強烈な日差しだ。

 

1日、320円なり〜。

 

さあ、あいつがフライパン山だ。

自分の目にはメラメラ燃え上がって見える。

この暑さの中、本当に登れるのか不安だけど、相変わらず登頂意欲を掻き立ててくれる山容だな。

 

二荒山神社へと進む。

 

入山料は500円から1,000円に値上げされていた。

まあね、値上げなんかはいいよ。

そんなことより、冬はまだ入山禁止なんだよね。

本来誰のものでもない大自然に入山時期の制限をかけるというのは、実にもったいなくて猛烈に残念でならない。

 

これこれ。理由の如何によらず通報しますって、なかなか強権発動っぷり。

仕方がないのかもしれないけど、でも山は公共性が高い物でもあると思うから、そこはもう少し譲歩してもらいたいなと自分なんかは思ってしまう。

 

ルールを決める側の難しさってもちろんあると思うんだけどね。

たとえばこの日も外国人観光客を何人も見かけた。軽装でも夏ならなんとでもなる。でも山慣れた人の軽装と、観光客のそれとは全然意味が違うし、それが冬だったら致命的になるからね。

世界遺産を観光しに来たついでに腕試しのつもりで登ってみたものの動けなくなったり、そうでなくても山頂にゴミを放置するとか、観光地ならではの問題が男体山にはたくさんあるんだろうと推測する。

まあでも、、やっぱり残念ではあるよね。

 

男らしさをアピールする場

さて、前もって言っておく。

 

男体山という山は、その名の通り、男らしさを競う山である。

 

ここは男どもが自分の男らしさに磨きをかける修羅の山であり、女はそんな男を品定めする目を養う山なのだ。

覚悟しぃや!

 

では早速、己の男気自慢を披露させてもらうけど、自分は散歩中に犬のクソが落ちてたって避けたりしない。

先日、実に清々しく踏んでやった。

 

犬のクソ臭さというワイルドなデオドラントを身にまとい、すれ違う女性はみんな俺に振り返る。男臭さはマックス上昇中だ。

どうだ。

惚れんじゃねぇぞ。

 

摩訶不思議だけど、鞍を付けた鹿の銅像がでてきた。

まさか、昔は鹿にまたがっていたとでも言うのか?

いや、この銅像の御仁こそが、日本で初めて鹿を飼い慣らすことに挑戦した方なのかもしれない。

ここにも面白き男がいたな。

 

突然ですが、電気代の値上げがつらたん。

今の20代の子の給料では暮らしていけないよって心配しちゃうぐらい値上げがやばいけど、そんな中、電力会社各社の2023年度1Q決算報告で、過去最高益をたたきだしたというニュースを見て、控えめに言ってずっこけたよ。

燃料費の高騰が予想を下回ったとか、原発の稼働率が上がったとか、理由はいろいろあるけど、主たる理由は値上げ効果とか言っちゃってるし!

親方日の丸企業なんだから、価格を元に戻すとか、電力無償配布とか、なにかしら国民に還元しておくれ。

ちなみに、これ以上入山料が上がったらみんな裏ルートで登る様になるだろうな。

 

一合目。

自分が初めてKEENの登山ブーツを購入して登ったのがこの男体山だから、この山にはとても思い入れが強くて、全部が特別な風景なんだよね。

それまではスニーカーで丹沢や奥多摩は歩いてたから、初めて登った山が男体山というわけではないけど、山を趣味にしようと決めて、ブーツを買って登り始めた最初の山ってやっぱり違う。

 

それ以降、いったいこの山には何回訪れてるんだろう。

もう10回ぐらい来てる気でいたけど、数えてみたらまだたったの3回目だった(笑)

それでもこの山のことをよく覚えているのは、まだ登った山の母数が少なかった頃に来た山だから。

 

いつも見逃しがちな2合目も忘れずにチェック。

それにしても暑さを心配してたけど、やはり一度山に入ってしまえば森林効果で涼しい。

 

樹林帯をガツガツ登っていく人にガンガン抜かれる。

まあそんな慌てなさんなと、余裕ある大人な男の魅力を発揮しつつ、そこら辺のなんでもない風景を切り取っていく。

せっかくの山なんだから、ゆっくり写真ぐらい撮るぜ。

 

森に差し込む光が柔らかくて、ここが真夏のフライパン山だということをうっかり忘れてしまいそうだ。

 

ちなみに自分は、もうかれこれ20年近く髪型を変えてないし、最近は寝癖すら直さない日もある。

登山は帽子さえかぶればいいんだから、楽でいい。

まことの男は髪型なんぞ気にしないのだ。ハートで勝負しているから。

 

つか、今ごろ気付いてしまったけど、最も男らしい髪型ってハゲだな。

 

こんなことわざもあるぐらいだし。

 

焼け石にハゲ。

もとい、ハゲれば回れ(急がば)。

もうええわ。

 

いや、逆にハゲをなんとか隠そうと、後ろ髪を無理やり前へ持ってこようとする、その決して諦めない姿勢が男らしいという見方だってある。

何が男らしいかなんて、見る側によって変わるものなのかもしれない。

 

そうそう、こんな人工物がでてきたんだった。

 

ここらへんが下山の時にえらいことになるから。

この歩きやすいトレイルを覚えといてほしい。

 

一合目から三合目まではまだ元気だからね、あっという間に感じられた。

 

それがこのかったるい林道で異常に長く感じられるんだよね。

でもご安心ください、

この林道、実は破線ルートでショートカットできちゃうんだよねん。

 

うっ。

まさかのショートカットは立入禁止になっていた。

なんでそんなことするんだ。

 

でも、もう少し先にある別のショートカットポイントは使えたけどね。

 

四合目に到着。仮設トイレがあるよ。

 

美しい森と男気

鳥居って鳥が留まりやすいデザインになってるから鳥居って言うの知ってた?

 

男体山の先住民たち。

熊、きつね、アナグマといったお決まりのメンバーに加えてゴリラ、クマタカなんかもいるんだね。

ゴリラは俺か。

 

ヤマネは一度見てみたい。

それにしても日本にオオカミがいなくてよかったよ。

アメリカでハイキング中の男がピューマに追われるYou Tube見たけど、野犬でさえ怖いのにピューマとか冗談じゃないよね。

 

ソバナ。

 

真夏の濃い緑を撮るならやはりVelviaが相性抜群。

緑っていいよね、ビッグモーター。

ビッグモーターが除草剤を撒いてる姿がグーグルマップに映り込んだ時に手にしていたフマキラーの「除草王シリーズ」が、マジで除草できると売り切れ続出、一人勝ち状態らしい。

 

五合目。

余談ばかりだけど、世界最強の雑草と言われるチガヤを御存知だろうか?

IUCNが世界侵略的外来種ワースト100にも選ばれている、めちゃんこ厄介な雑草。

地下茎の雑草だから、下手に抜こうとすると逆に繁殖しちゃうし。

苦労して防草シートを敷いても先端が尖ってるからガンガン突き破って生えてくるし。

マジで除草剤しか手はないのかもだけど、土壌汚染が家庭菜園に影響するからね、フマキラー使うか手をこまねいている。

 

振り返れば中禅寺湖も見えるようになった。

ようやく標高を上げてきたことを実感する。

 

六合目。

さっきから何合目か数えてばかり。

 

山頂に向けてズドーンと登っていく単調なトレイルが続く。

3年ぶりの男体山だから楽しめてるけど、トレーニングのつもりじゃないと一年に2回以上は登れないかも。

 

ヤマハハコ。

これを見ると真夏というイメージ。

 

岩場が出てくる。

こういうちょっとした岩場って、登りならいいけど下りだとちとやらしいんだよね。

 

さすが人気の山だけあってハイカーが増えてきた。

ちょうど10時頃から登ると公共交通機関でアクセスするハイカーと同じタイミングになるからね。

 

どんどん高くなる。

見える景色が変わらないから高度感の遷移が分かりやすい。

 

七合目。数えることに飽きた。

 

さらにゴロゴロ岩場が増えてきた。

 

ちなみに九州芸人のゴリけんさんだけど、

フレンチブルドッグを連れて散歩中の女性を対象にしたアンケートでキムタクよりゴリけん選ぶ説を調査したところ、まさかの圧勝(笑)

 

納得行かないスタッフが、フレンチブルドッグを連れていない女性に聞いてみると8-0でキムタク圧勝。しかし2人だけゴリけんの方が好きと答えた女のコがいて、好きな犬種を聞いてみると、フレンチブルドッグとのこと笑

 

鼻ぺちゃのブチャイク男にとってこれほど希望になるニュースってあるだろうか。

ゴリけんさんはやっぱ偉大だ。

 

アキノキリンソウ。もうそんな季節なのね。

尾瀬に行くとめちゃくちゃ群生で咲いてるよ。

 

 

これが2往復目です!と男気を見せるハイカーにも軽く抜かれるという鈍足っぷり。

下山してくるハイカーに「すごいですね!」と言われて話し込んでいる隙にすかさずオーバーテイク。

このあと抜きつ抜かれつの熾烈な男気バトルを繰り広げる。

 

鳥居って神様の世界との境界らしいんだけど、こんなに何度もててくると、もう何がなんだか分からんのよね。

 

次なる鳥居を目指してのんびり登る。

たかだか1,200mしか登らないし、久しぶりの日帰り装備だから楽勝だろうと思ってたけど、すでに足腰がきついのはなぜ。

 

八合目の瀧尾神社に到着。

数えてばかりだ。

 

これが瀧尾ジンジャーなのか。想像を超える小ささだ。

 

雲多め。山頂はガスガスかもなあ。

まあ山頂が晴れるかどうかより、久しぶりの男体山らしさというか、ズドーンと山頂めがけて登る登山が楽しめれば、今日はそれでいいのさ。

強がりではなくて、それがこの山の醍醐味。

 

いよいよ雲の層へ突入。

中禅寺湖の景色ももう隠れちゃうわー。

 

登拝祭りらしく、にぎやかになってきた。

前を行くのはご年配の10名以上の団体だけど、今考えてみれば、この後訪れる惨劇にこの方たちも見舞われるわけだけど、無事だったのだろうか。

 

八合目をすぎると途端に歩きやすくなる。

 

もうかれこれ2年ほど富士のX100Vの購入機会をうかがってたけど、品薄状態が続き、価格の高騰も止まらず、そのまま販売終了。さすがにもう諦めたよ。

そんな幻のカメラを手にできた幸運な方々による、幸せがいっぱい詰まったブログやレビューを夜な夜な読んでるんだけど、毎日うらやましくもあり、不思議と楽しくもある。

自分も惚れ込んだちょっと大ぶりなコンデジに、世界中のカメラを愛する人たちが熱狂しているコメントを読むと、そりゃそうだよなーと共感できてしまうからに他ならない。

やっぱり、光学ファインダーが魅力だよ。23㎜レンズもいい。

そんな自分が惚れた世界で唯一無二のファインダーを絶賛するレビューを読んでは、毎晩悔しい思いを楽しんでいる。ええ、変態です。

ちなみにX100Vは和製ライカとか言われちゃってるみたいだけど、不便さを楽しむX-Pro3こそがライカに近いと思う。そんなどうでもいいことを夜な夜な考えている。ええ、変態です。

まあどちらも品薄で、今となっては中古ですら手に入らない幻のカメラになっちゃったけどね。

このブームはきっと、多くの人がフルサイズ信仰からやっと目を覚まして、手軽に、そしてファインダーを覗いて撮る楽しみを求めた結果だと思う。

ちとX100Vのことを書きすぎてしまったけど、今日のカメラX-T1のことは溺愛してやまないということに嘘はないし、このあと訪れる惨劇の中でも躊躇せずに撮影できたのはX-T1のおかげ。

カメラはこのT1と100Vの2台だけあればいいのかもしれない。

 

空は爽快に青い。

もしかして雲の層を超えたのかな?

 

きれいな苔を撮ろうとしたけど余計な草が多すぎる。

まあ、これも本来の自然な姿だし雑草もきらきら輝いてきれいだ。

 

さあフライパン山最終章だ。最後は火山らしくザレたトレイルを登っていく。

 

振り返ったときの中禅寺湖がこれまた絶景なんだけどね。まったく見えねぇー。

 

さっき樹林帯から見えた青空は、この雲の隙間を見ただけだったのね。

 

一瞬、ガスが晴れて中禅寺湖がチラ見できた。

以前、中禅寺湖を一周したことあるけど、24kmと意外と長い。もし歩くならクリンソウが咲く6月がおすすめ。

 

山頂と下手くそな字

いよいよ山頂だ。

 

二荒山神社の奥宮。

着いたばかりだけど、下山の安全をしっかり祈願しておく。

このあとしっかり被災するんだけど。。

 

登拝祭の間はこの証明書を500円で発行してもらえる。

せっかくだからゲットしたい!

と、勇んで申し込んだけど、対応した男の子と話した時にちょっと嫌な予感したんだよね。。

 

名前を書いてもらってる間、奥宮限定の金色の登山バッチを物色。

バッチは集めてないけど、今にして思えばこっちにしておけばよかった。

 

 

500円支払って登拝之証をゲットしたのはいいけど、

まさかの字が小学生レベル!!

 

つか、俺に渡す時、後ろに隠れてる書いた本人の笑い声聞こえたし!!

字が下手なの自覚しててこんなバイト引き受けてんじゃねぇっつーの!

 

お金取るし、神社だし、さぞ立派な字を書くと思ってたのにぃ!

 

まあ、いいけど。これも旅の思い出か(笑)

 

さーて、飯にするぜー。

今日はローソンで見つけたお好み焼き風パン。

ずっとセブンの「もちもちお好み焼きパン」のファンだったんだけど、店頭に並んでることが少ないんだよね。

 

そんな中、ローソンが類似品を出しているのを発見!!

 

さすが後発だけあって美味ぇじゃねえか!

参ったな、くそっ、うまっ!セブンの特許切れか?うまっ!

 

このローソンの清々しいまでの二匹目のドジョウ作戦に、まんまと乗っかり、あっという間にぺろりだ。

いいぜ、ローソン。

 

山頂は2,486m。

さすがに涼しくて快適だ。

周りでは厚着してる方が目立つけど、デブには半袖でちょうど良い。

 

しばらく待ったけど、陽光に輝く刀剣を撮ることは叶わず。

ちなみに登拝祭り期間中はこれでマグロの解体ショーが見られるよ!

嘘だよ!

 

筋斗雲に乗った二荒山大神様に何年かぶりのご対面。

神様、男らしさってなんですか。

 

せっかくだから太郎山神社にも寄っておこう。

ここでも安全に下山できることを祈願しておく。

この行為にまったく意味がないことを後で知る。

 

ゲッザーン開始

お祈りした途端、ガスが濃くなった。

下山開始。

 

下山で怪我したくはないからね、のんびり下る。

外国人の方々、親子登山の方々、たくさん登ってくる。

みんな苦しそうだけど楽しんでるね。

 

とんぼを捕まえて遊んでみたり。

何度も言うけど、せっかくの山で急いだりしない。

 

ガスの層を抜けて中禅寺湖がクリアになった。

ここら辺の岩場が厄介でペースが上がらないけど、そんな中、分かったことがある。

男らしさとは、ゴン太眉毛だろう。

眉毛をいじる男どもが多いけど、細眉なんぞもう古いしダサい。

ごん太眉毛と眼ヂカラがあって、さらにハゲというスパイスが加われば最先端のイケメンの出来上がり。

時代の先を行きたければすぐに取りかかれ!

 

ここまで下りてきて、ようやく一息つけた。

あとは長い林道と、樹林帯のなだらかなトレイルだけだから楽勝だな。

 

濁流下山

あ、降り始めた。

ずっと空模様は怪しかったからね。

 

「まあどうせ小雨だし、これぐらいむしろ涼しくていい」

 

悠長に構えていた。

 

セルフ雨雲レーダー(目視)でチェック。

ふむ、やはり大雨にはならなそうだな。

ちょっと雨に濡れるなんて、むしろ夏らしくていいじゃないか。ガーハッハッハッ!

 

そんな時だった。

 

 

ゴロゴロ……

 

ん?

 

ゴロゴロゴロ…

 

んん?

 

あんだべ?(鼻ほじほじ)

 

 

 

ぴかっ

ドカーーン!!

 

 

ぎょえーー!!

爆発した。空が爆発した。やばみーー!!

 

たちまちだった。

まさに銃弾の様な雨粒が一斉に地面を叩き始めた。

 

芭蕉扇だ!

だれかが芭蕉扇を振りやがったんだ。

 

写真では分かりにくいけど、クマササが銃弾を食らって激しく揺れ動いている。

写真なんて撮ってる場合じゃない。

 

これは急がないとアカンやつやー!とペースを上げた時にはもはや手遅れ。

今歩いてるこのトレイルがわずか1分後には川になって歩けなくなる。

 

「これぐらい涼しくてむしろ良い」とか言ってた自分の姿はもうどこにもない。

「せっかくの山だ、のんびり行くぜ」とか言ってた自分も、もうどこにもいない。

みんなと一緒に大慌てで下っていく。

 

しかし、もう無理だと悟った。

 

 

真っ昼間とは思えないこの暗さ。

 

今できることは何か?

一旦立ち止まってザックの中の財布を守るためにビニールにしまい、さらにレインウエアを着るのではなく、ザックの中の荷物を包む様にして収納し直した。

既にパンツまでびちょびちょだし、3合目まで来てるのだから低体温で動けなくなることもないだろう。だったら今さらレインウエアを着る意味はない。

 

さあ行こう。後でぜんぶ着替えればいいんだし。

靴がびちょびちょで気持ち悪い。

靴の替えがないのは仕方ないな。。

 

みんなすっ転ぶ。

トレイルは濁流のウォータースライダーで、とてもじゃないけど歩けない。

アルプスの稜線ならこうはならないんだろうけど、ズドーンと山頂に向かっていく山なだけに、雨水を集めて早し。

 

もはや鉄砲水。

トレイルから外れて、クマササの上を歩くしかなかったんたけど、たまに大きな枝がクマザサの中に隠れてて、山と道のLIGHT5ポケットパンツが破けないように慎重になる。

 

にしたんたんたんたんクリニックーー!!

周りがすっ転ぶ中、そんな掛け声を上げながら猛烈な速さで下っていく。

 

とうとう鳥居が見えた。長かった。

もう雨の登山は懲りごりだ。

 

ようやくたどり着いた東屋は、すでに避難したハイカーたちで一杯。

 

ずぶ濡れになった自分を見る、哀れみの視線を浴びた。

「どうせお前濡れとるやん。今さら雨宿りする意味ないだろ?」

被害妄想だろうが、そんな風に思えてしまう。

 

自ら満員のシェルターを出て、被爆したトキはこんな心情だったんたな。。

冷たい視線によって東屋を追放され、再び雨の中を二荒山神社を目指すことになった哀れで惨めな自分のことを、誰でもいいから男らしいと言っておくれ。

 

登り始めからのんびりし過ぎた自分を激しく悔やみながら、最後の参道を下っていく。

こんな雨の中でも写真を撮れるのは防塵防滴のX-T1だから。

さっきあれだけX100Vのことを誉めたことは一旦棚に上げて、改めて登山にはX-T1だなと、写真機として機能も見た目の良さも兼ね備えた我が愛機を手に持つと、やはりしっくりくる。

 

なんだこの暗さは。誉めたそばからX-T1が壊れたのかと思った。

やっと二荒山神社が見えた。

いい歳こいてやんちゃな夏を楽しんだと思うことにした。

 

ドラゴンのお頭付きの巻きぐそオブジェでお出迎えなんて、二荒山神社の粋な計らいに目を疑った。

冷静に眺めればこれほど男らしいデザインはない。

さすが世界遺産、発想が突き抜けている。

 

雷鳴が遠ざかっていくのに合わせて、少しずつ雨脚は弱まってきたけど。

それでもしっかり降っている。

 

パンツも靴下ももうこれ以上水分を吸い込む余地がないぐらい濡れて、体重が倍以上に感じられる。

 

下ってる途中で何人もの外国人や家族連れとすれ違ったけど、今頃みんな大変な目にあってるだろう。

山の天気は変わりやすいとは言うけど、今年の夏は毎日が熱帯雨林みたいなスコールが降り続いて、あたかも地球が悲鳴を上げているかの様だ。

 

この日の夜、深夜0時に予定されている登拝祭りのみやま踊り。

ずぶ濡れで踊り過ぎる。

 

ふぃ~。やっぱ夏の登山は豪雨に限るのぉ

のお?越後屋。

 

がーはっはっは。

 

あっはっは・・

 

うぐっ。

んぐっ。

俺が求めてた涼はこんなんじゃない。

泣いてなんかない。

これは雨なんだ。うぅっ。

 

これから下山する人たちには濡れた岩場と、ドロドロのトレイルが待ち受けていると思うと、3合目まで下りられていた自分はまだラッキーだったのかもしれないな。

このあと、誰もいない駐車場で、

アイムノットウエアリング、ノーパーンツ!!

で、パパッと着替えたよ。

 

寄り道して帰る。

こちらは日光にある船場亭(ふなばてい)。

繁華街から離れたところにあるお店だから、地元の方に愛されてる感がハンパない。

 

ここを超絶おすすめしたい理由は味もさることながら、すぐそばを鬼怒川という好ロケーション。

鮎の刺身と塩焼きを注文して、焼きあがるまで1時間近く待つんだけど、それもチャージ料なしでこんな特等席で待てちゃう。

 

かぶりついた。

美味い!なにこの塩っけ。塩がたまらん!!

 

塩味はこの職人たちの汗かも(笑)

いや、マジでこの猛烈な暑さの中で、灼熱の炭火を前に、ただ黙々と、今でも感染対策のマスクをしながら焼き上げるこの職人たちの姿のかっこよさったらない。

リスペクトに値する。

 

男らしさって、これだったのか。

やっぱ男は仕事だな。黙々と仕事に向き合う姿を見せられたらさ、男体山でびちょ濡れた自分なんて完敗だわ。

最後に良い1枚が撮れたな。

 

おわり

8月初旬。待ち望んでいたとんぼが一気にでてきて、ハイカーの天敵のアブとブヨは激減。

やっと短パンでも登れる季節になったのは多くのハイカーにとって朗報だと思う。

とは言え、なぜか自分だけいつもアブ・ブヨに刺されるから、対策は怠らず長ズボンで登るけどね。

今年もしっかり、10箇所はやられてる。

 

せっかくアブがいない季節になったというのに、テント泊をしなかったのは天気が安定しないから。

雨のテント泊は何度か経験あるけど、泥の跳ね返りでテントよごれるし、トイレへ行くのも面倒だし、なにより雷こわいし。

雷が落ちたテントの画像を見てほしい。あれを見ると雷が鳴り始めたら小屋に避難した方が絶対に良いね。

 

風景写真家の萩原史郎さんが亡くなられました。63歳という若さで。

エアコンが効いた図書館に涼みに行って、手に取った雑誌「風景写真」を読んで、遅ればせながら8月に知ったんだけど、63歳ってあまりに早すぎるよね。

萩原さんの写真は全てが良いお手本だし、実は1度だけトークショーへも行ったことがある。

富士のカメラで風景写真を撮っている人であれば、萩原さんのことを知らない人の方が少ないと思うけど、別に萩原さんは富士ばかり使ってるわけではなくて、ニコン、オリンパスといった各社のカメラでも素晴らしい写真を残している訳で、要は道具を選ばない。

だから幅広く愛される写真家だと思うんだけど、作品より何より、YouTubeでも見られるあの温和な口調に惹きつけられるファンも多いと思う。

もうトークショーで会うことはできないけど、風景写真を撮っている方ならぜひ1度はYouTubeなどで萩原さんのトークを見てもらいたい。

きっと温和なトークの中にも一本筋が通った胆力とか熱い情熱みたいなものが分かるし、萩原さんの人としての魅力を感じ取れると思う。

ではでは


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