「ゆっくり霊夢だぜ」
「ゆっくり魔理沙だぜ」
魔「おい霊夢、今日は佐渡までやって来たんだぜ」
霊「おい魔理沙、佐渡ってそんな簡単に行けるところでもないだろう?」
魔「霊夢はなにも分かっていないんだぜ。実は新潟行き高速バスの終点は新潟港が多くて、そこからカーフェリーで佐渡までは割と簡単にアクセスできてしまうんだぜ」
俺「以上なんだぜ。このキャラ無理があるんだぜ」
今さらながら、最近ゆっくり霊夢と魔理沙の存在を知ったんだぜ(笑)
さて、そんなわけでおっさんは浮かれている。
人生初の佐渡ヶ島にやってきたのだ。
一番上の写真を見てほしい。フェリーから眺めた佐渡はあたかも洋上のアルプスじゃないの。
正確には洋上のアルプスって言えば屋久島のことを言うみたいだけど、この景色を見たら否が応でもテンションはアゲアゲなのねん。
そそり立つ最高峰の金北山(きんぽくさん)。
「ちんぽくさん」と底辺ギャグを炸裂させちゃうぐらい浮かれていた。
まったくVery Sad(佐渡)だぜ。
さてさて、まず最初に今回のプランを説明すると、
初日は、新潟港9:25発のフェリーに乗車し11:55佐渡両津港着、12:05発のバス(ドンデンライナー)でドンデン高原山荘までひとっ飛び。避難小屋で寝床を作ったら芝尻岳まで散策。
2日目は金北山へ縦走し横山登山口へ下山。国道まで歩いて路線バスで両津港まで移動し、12:35発のフェリーで新潟港へ。
つまり、宿泊代はゼロ。
しかもわざわざ佐渡まで来て海鮮グルメを楽しむ時間は一切ないという、山のみを満喫する実に男らしいプランとなっている。
山ヤロウにとっちゃ大満足間違いない旅。
参考にすべし。
フェリーに乗るだけで旅感は最高潮。
2日間、猛烈に晴れてくれたから、前回の十石山で恐怖の風速27mにさらされたことなんて忘れた(笑)
アオネバ登山口から歩こうかぎりぎりまで悩んだんだけど、声を大にしてドンデン高原山荘までバスで行くことを薦める。
だって2日目の横山登山口への下山で森の山野草や新緑は嫌ってほど楽しめるからね。
ずーっとカタクリロード。
前置きが長くなったけど、坂戸山をはるかに超えるカタクリの大群生を歩く旅の前編でごわす。
標準コースタイム
■2024年4月28日 ※カッコ内は標準コースタイム
ドンデン高原山荘⇒(25分)⇒尻立山⇒(15分)⇒ドンデン避難小屋⇒(15分)⇒論天山⇒(20分)⇒芝尻山⇒(35分)⇒ドンデン避難小屋
コースタイム:1時間50分
佐渡ヶ島 金北山登山前編
新潟港から両津港へ
日々繰り広げられるパワハラから逃げたくて新潟港まで来た。
ここまで来れば鬼上司だって手も足も出まい。
もう俺は自由だ。ザマミロ。
フェリー乗り場にあるトキめき館にトキめく。
佐渡の旅でダジャレは不可欠なのだよ。
お食事処もあったりする。ここ「しおさい」では佐渡名物「ブリかつ丼」だって食べれちゃうのだ。
つか、日本海ならどこに行ってもブリが名物なんだから佐渡も新潟港も変わらない。
なんなら福岡の鮮魚コーナーだってブリばかりだ。
刺身コーナーを見渡してみると、イナダ、ハマチ、ブリ…ってぜんぶブリじゃん!ってことがたまにある(笑)
ちなみに、日本海のブリは太平洋側よりはるかに美味くて値段もぜんぜん違う。太平洋側で育ったパシフィックピーポーはぜひ食べてみてほしい。それとアニサキスがいない生の鯖もね。
まあ自分は成人になってから突然ブリでアレルギーが出る様になっちゃってもう食べられないから、どうでもいいんだけど。
アレルギー野郎な自分はお土産はこうしたカステラとかの方がいいかもしれない。
トキを見て早くトキめきたいもんだ。
予約してたフェリーのチケットを券売機で発行。
GWだから混雑を心配したけど予約なんぞしなくても当日チケットは余裕で買えたな。
ゆっくりフェリーが動き出した。
歳を重ねても出港はワクワクするもんだ。
尚、始発の6時発のフェリーで金北山を日帰りしちゃうハイカーもいるけど、せっかくの佐渡でそんなもったいないことはしない。
今回はのんびり9:25発のフェリーで移動する。
船内はとても広く清潔。
もちろん下級戦士な自分は2等客船。
自由の風を浴びながら、パワハラ吹き荒れる本州よさらば。
船出にロマンを感じつつも実のところ新潟港の海の色の汚さにドン引いている。
航路は国道350号なんだそうだ。国道だからといって乗船費を国が負担してくれることはないんだけど。
熊谷と群馬間の利根川の渡し船は県道扱いという理由で無料にしてくれるけど、そこが特例なのだよ。
外洋に出ちゃえば福岡と同じ対馬海流だ。美しい海なんだけど、もう既に飽きてきたから横になりに船内に戻った。
ずーっと横になってると、
「佐渡が近付いてきたYo!!」という声が聞こえ、再び外に出てみる。
海洋に浮かぶ大きな山脈が見えてきてコーフンする。左のちょこんとしたピークが金北山かな。
佐渡の懐に入った。
佐渡ヶ島の形はSやZに例えられる様に湾の中に入ってからが何気に長い。
やっと両津港内に入った。
新潟港と違ってさすがに海がきれい。
着岸したら飛行機と同じでボーディングブリッジの出番。
そう言えば最近は飛行機でもタラップ車って見かけなくなったよね。
ときわ丸よ、安全航海をありがとう。
トキわ丸にしたらいいのに。。今あたしの頭の中はいつもトキで一杯。
両津港から楽してドンデン高原山荘へ
ドンデンライナーの受付けはエスカレーターを降りたところにあるよ。
ドンデンライナーを電話で予約するときに迷われる方が多いのでと説明を受けるんだけど、エスカレーターを降りたところです、というのが一番適切で分かりやすい。
これがドンデンライナー。
予約ではアオネバ登山口までにしてたけど、当日ドンデン高原山荘までに変更してもらった。差額はたったの500円。
ぜったいにドンデン高原山荘まで乗ったほうがお得だと声を大にして薦めたい。
アオネバ登山口に到着。
ここで女性4人パーティが降車したけど、きっと
「あれ、あんたは降りひんの?」
「まさかドンデンまでラクするつもりかいな?」
なんとなくそんな視線を感じた。
だが、そんなそしりにもじっと耐えるんだ。
たしかに下から歩いたら花が沢山見れるというレコは見るけど、ほとんど稜線で見れるし、しかも2日目は横山登山口まで下山する予定だから麓に咲く花やブナの新緑もしっかり堪能できちゃうんだよね。
アオネバまでは1500円。ドンデン高原山荘までが2000円。
アオネバから先が本格的な山道で、しかも結構長いから最後まで乗ったほうが断然お得。
クーラーの効いた車窓から眺める金北山はサイコーだぜぇ。
あの標高までひとっとび🤣
こんな幸せなことはない。
一滴の汗を流すことなくドンデン山に到着。
ドンデンカレー
バスを降りて5分ほど歩いたところにあるこちらがドンデン高原山荘。
今日泊まる避難小屋と比べるともはやドンデンヒルズ。
山荘の横には駐車場もあって、地元の方々の格好のドライブスポットとなっている。
山荘の隣にはテン場もある。
予約が必要かどうかはホームページに書かれてなかったけど、キャンプ目的で大人数で混むこともあるだろうから、念のため事前に問い合わせてみた方がいいね。
船に乗ってる時からずっと空腹ハラスメントに苦しんでいた。
レッツゴーだぜ。
小屋のカップ麺は1個250円。
車で上がって来れるからね、なかなか親切価格。
「ドンデンカレー」を食べる気満々で食券を買おうとしたら、「ドンデン丼」なるものを見つけてしまい優柔不断ムシが騒ぎ出した。
2つ食べちゃうか?いやいや、それはいくらなんでもわんぱく過ぎだろ。
ドクターから脂肪肝は肝硬変になって死にますよ、と脅されているのだ。
そもそも「ドンデン丼」ってなに?
女性スタッフに聞くと「牛丼です~!」とのこと。
ドンデンカレー1択だな。
ドンデンカレーです。青いけど実はグリーンカレーなんだけど、
ぬわんと!!!
レモンを絞るとそれまで貧血気味だったドンデンカレーさんの顔がみるみる赤くなっていくというミラクルマジックが楽しめちゃうのだ。
ちなみにセットで付いてくるこの水もレモン果汁を垂らすと少し赤くなるというギミック。
頼む、そんな隠し玉はいらぬからカレーを大盛りにしておくれ。
山荘からの眺めがこれまたサイコーなのよ。
眼下に見えるのは両津港。
ここにテント張ったら極楽浄土だろうな。
大量の水を抱えてドンデン避難小屋へ
さあ、あたしゃドンデンヒルズ避難小屋へ移動しましょうかね。
ドンデン高原山荘の水場で欲張って6リットルも水を汲んだから、これまで経験したことのないザックの重みになって、一気に汗ばむ。
この重量を背負ってあの尻立山を越えないといけない。
地味にしんどいんだわ。
山荘の近くだけでも舗装路で助かるぜぇ。。
左を向けば日本海。
右を向いても日本海。
まさに風の通り道でめちゃくちゃ気持ち良い。
佐渡ヶ島全体が空気の澱みがないから気温が常に低い。
千葉の勝浦が避暑地と言われるのと同じ原理。
さっきから足元はカタクリの大群生なんだけど、荷物が重すぎて写真を撮ほうとかがむと太ももがプルプル震える。
こりゃ無理だ。
ラストの登り坂。カモン。
ドンデン山荘からコースタイム25分で尻立山に到着。
尻立山の頭にも「ドンデン」って書いてあるけど、ドンデンってなに?
100%どんでん返しが由来なんだろうと思ってたけど、
新潟観光ナビを見たらこう書かれてた。
「頂が丸い山という意味「鈍嶺(どんでん)」に由来する」だって。
んなアホな。
鈍嶺なんて日本語知らんわ。フツーに使うの?
尻立山を越えてようやく見えてきたのが本日のホテル、ドンデン山避難小屋。
避難小屋の右に見える池がドンデン池ね。
足元は相変わらずカタクリの森。
この翌日、下山するまで終始カタクリだったけど決して見飽きることはない。
山から海を見たいならドンデンに来なはれ。
風が涼しくて汗っかきにはサイコー過ぎる環境だ。
消えかかってるけど「放牧牛注意」とある。
人糞と牛糞だらけだったら嫌だなと思ったけど、最近は放牧してないみたいで一安心。
今日お世話になります。朝イチのドンデンライナーが満員だったと聞いてたから何人かいるかなと思ってたけど、誰もいない。
貸し切りだったよ。
芝尻山へ散策
寝床を作ったらすかさず芝尻山まで散策に出かける。
芝尻山は金北山とは逆方向にある山だから、今日みたいなプランでない限り歩くことのない山なんだな。
エチゴキジムシロは至るところで群生している。
ドンデン池ではカエルが大騒ぎしてたけど近寄るとぴたりと鳴き止む。とても警戒心が強い。
他にやることもないし、100回は両津港を見たな。
最初に出てくるピークが論天山。
ここまでは森林限界というか、放牧地っぽいトレイルだったよ。
ザゼンソウかなと思いきや、イタドリです。
Googleレンズで調べたらなんでも教えてくれる。
元マリノス監督であり日本代表監督もした岡ちゃんがFC今治高校の入学式の挨拶でこんなことを言ってたんだけど、ほんと、これは誰もが共感することだと思う。
「AIが発達してきたら、仕事の半分がなくなると言われています。言われたことをきちっと正確にこなせばよかったけど、それはAIでもよくやります。今までの教育は失敗しないことを教えてきました。しかし、そんなのだったらAIが全部やってくれます。そうじゃなくて、これからの時代、みんながさっきも言ってくれた“失敗しながら”学んでいかなきゃいけない」
失敗して怖い上司から怒られまくってます。
論天山から芝尻山まではコースタイム20分。往復40分なら行ってみる価値ありでっせ。
避難小屋から先はぱたりとハイカーはいなくなったけど、踏み跡はバッチリ。
樹林帯に突入するとカタクリの森。
カタクリ。
もっともっとカタクリ。
ずーっとカタクリ。
なんじゃここ。
わんこカタクリ状態。
でも見飽きることはない。これだけの群生は坂戸山以上だ。
ほんとこれだけでも佐渡まで来た甲斐があったってもんだな。
芝尻山の山頂に到着。
倒木や水たまりが多くてね、意外と時間かかった。
AIがこの花をアマナかタマスダレたと教えてくれた。
タマスダレって花だったのか。
調べてみるとうちの庭にも生える球根がやらしい植物がタマスダレだと発覚。しかもヒガンバナ科で有毒なんだと。
あ、これはアマナだからユリ科でぜんぜん違うんだけどね。甘菜と書く通り食べれるそうだ。しかも今じゃ絶滅危惧種らしい。
芝尻山には明治時代の三角点があるからどうぞお見知りおきを。
これは御料局と書かれてる。御料地とは天皇や幕府が直接治める地ということ。
御料地とは別に天領地ってあるけど、天領地は幕府が年貢を直接徴収する土地のことで、ちょっと意味が違うんだそうだ。
なんでもAIが教えてくれるぜ。
明日登る金北山。近いような遠いような。
ここから見ると北アルプスの五竜岳の様な風格だ。
山頂の建造物が気になる。
写真じゃ分かりにくいけど、森のずーっと奥までカタクリが広がっている。
森の奥まで日当たりが良いんだろうね。
論天山に戻ってきた。
アマナの大群生。
こんなに咲いてるのに絶滅危惧種だなんて、Very sadだぜ。
これ何度も言います、はい。
年々、絶滅危惧種と聞くと物珍しさもあるけど、残念な気分の方が強い。熊は絶滅しても良いと思うけど(笑)
避難小屋で就寝
避難小屋に戻ってきた。
ちょうど良いサイズの台があったからその上にマットと毛布を敷いて寝る。
毛布と敷布団は2階に置いてある。有り難いでゴザル。
でもどんな使い方されてるか分からないから、シュラフか携帯インナーシーツぐらいは持ってきた方が良いと思うけどね。
2階に寝床を作るか悩んだけど暑かったから一階に寝床を作ったよ。
本日の夕食と明日の朝食。
うまかっちゃんは細カタ麺で茹で時間がたったの90秒だから登山向きだなと思って、福岡で買い溜めしてきた。
マルキョウの安い日を狙ったから5袋でなんと290円。マルキョウさんとルミエールさんには足を向けて寝れない。
食後にドンデン池に駆け寄ってみるとおびただしい数のカエルが大慌てで池に飛び込んで逃げていく。
いやぁ、マジでドンデンライナーで山荘まで上がって来て良かったわーと思いながら日が暮れていく。
水芭蕉の花が〜咲いている〜♫
夢見て咲いている〜♫
尾瀬に行きたくなってきた。
そろそろ日が暮れてきて寒くなってきた。
そしてもう翌朝。
18時に寝て、途中何度も目が覚めたけど、結局朝の3時までぐっすり寝た。
朝ご飯を食べたら出発だ。
では後編へ続く
前編シメ
前編はほぼ移動がメインになってしまったけど、カタクリやアマナの大群生はすごかった。
ドンデン避難小屋は貸し切りでサイコーだったんだけど、トイレがないからね、そりゃ不便です。
お金に余裕があれば、そりゃもちろんドンデン高原山荘に泊まることを強く薦めます。
でも今回の自分のプランなら浮いたお金で下山後に贅沢もてきるからね、どちらを選ぶかはアナタ次第どえす。
ちなみに自分は下山後も贅沢する時間がなかったからいつも通りのボンビーツアーとなったけど。
ではでは、後編の百花繚乱の贅沢な登山へつづく
後編はこちら