鳥海山に登ってきました。
標高2,236mは燧ヶ岳に次ぐ東北第2位の高峰で、日本百名山と日本百景に選定されてます。
分かっているだけで過去9回も噴火を繰り返しているこの山は、その独立した姿から出羽富士(でわふじ)とも呼ばれ、秋田県と山形県の県境をまたいで座する東北きっての名峰です。
鳥海山に登ってみたい!と本日の同行者から出発前日に提案があり、慌ただしくテン場やルートの確認をしましたが、まあ何とかなるものですね。
仕事上がりの金曜夜に集合して、移動距離580キロを勢いに任せてのロングドライブ。
おいおい、うちらってそんな若かったっけ?と、こんな学生ノリに一抹の不安をたずさえて、でも旅って”いつかきっと”、と思ってるうちは行けないよねという開き直りを武器に、一路、熊被害で揺れる秋田県へ( ̄д ̄)
そんな直前の思いつきで鳥海山に来てしまった次第ですが、噂通り良い山でした。
気分ちょーかい(爽快)!
あ、失礼。でもほんと来てよかったです!
山から眺める海は最高だよ~♬
登山日和に恵まれ、遠くまで続く東北の山々の景色も気持ちいい。
期待を裏切らない旅となりました。
ルンルル~ンっと。泣ぐ子はいねが〜♪
考えてみればこれが自分にとって初めての秋田県。
初日は鳥海山、2日目は栗駒山というスケジュールです。
まずは鳥海山から紹介しますっ!
アクセス方法
・象潟登山口は、鉾立山荘前にあります。
・鉾立山荘前の駐車場は300台まで駐車可能。鳥海ブルーラインを道なりで上がり5合目にあります。
・住所 秋田県にかほ市象潟町小滝鉾立1地内
■ルート
■全行程スケジュール 2016年9月17日
■9月17日
6:40 象潟ルート(きさかた) 登山口 ⇒ 7:40 賽の河原 ⇒ 8:06 御浜小屋 ⇒ 8:50 七五三掛(しめかけ) ⇒ 9:20 文殊岳 ⇒ 10:20 七高山 ⇒ 10:55 鳥海山山頂 ⇒ 11:25 大物忌神社(昼食) ⇒ 14:40 下山完了 ⇒ 栗駒山須川口へ車移動 ⇒ 17:50 須川野営場到着(晩御飯) ⇒ 19:00 須川高原温泉
鳥海山登山 本編
象潟登山口へ移動
中秋の名月から数えて2日経ちましたが、それでも尚強烈な明かりで日本海を照らす美しい月を車中から眺めながらの移動。
そんな長い長い移動も、旅の楽しみの一つと思えばさほど苦じゃない。楽しいドライブとなりました。
ちなみに車中では、鳥海山を発案してくれた同行者から「東北に行くの初めてだから楽しみ!」と、驚きのカミングアウトがありました。
すごいなぁ、東北の広さを知ってたら逆に提案できなかっただろうなぁ。
やはり勢いに勝るものなしっす(^^ゞ
5時過ぎに鉾立の駐車場に着いて、1時間ほど仮眠を取りました。
もう少し長く寝てたかったけど、周りで出発準備をする音がうるさくて眠れませんでした。
駐車場から眺める日本海。
天気が不安だったけど、この景色を見て今日は一日持つと確信できた。そうと決まればすぐ出発です。
しばらく舗装路で登山開始
鳥海山の中では一番登られてるらしい象潟口ルートをチョイス。
300台分の広大な駐車場があるのがここを選んだ一番の理由ですが、5合目の1,150mからスタートできるっていうのも、2日目の栗駒山登山のことを考えれば妥当。
標高差は約1,090m、往復15キロと割としっかり歩くから、下山後は予想以上にへばっちゃったけど。。
登り始めてすぐにでてくるTDKの小屋、東雲荘。
車中泊がダメな人はここに前泊するってのも良いですね。
登り始めはこんな舗装されたトレイルが延々と続きます。
まだウォーミングアップの段階だからアスファルトのトレイルでも耐えられるけど、下山の終盤にこれだと足腰にきて大変そうです(T ^ T)
舗装路を横移動する感じでなだらかに標高を上げていきます。
早朝の気温は15℃。気付いたら涼しい季節になってました。
この時期の主役、ウメバチソウ。
前回の燧ヶ岳でもたくさん咲いてましたよ~
賽の河原。
海風をまともに受ける過酷な環境だからでしょうか、森林限界がとても低く気分ちょうかい(爽快)。
オヤマリンドウがたくさん咲いてました。
風除けになりそうな物がないから、風が強い日はあっという間に体が冷えてしまいそうだけど、今日みたいなそよ風が吹く天気だと気分ちょ・・爽快。
とても開放的なトレイルが続きます。
同行者と何度も何度も振り返っては海を眺める。
こっちは山形の海。
天気が良ければ北海道まで見えちゃうんじゃない?
海岸線が青森に向けて日本地図の形の通りに曲線を描く。そんな当たり前が、今自分は紛れもなく秋田県にいるんだという自覚になって現れ、感動してしまう。
御浜小屋に着きました。
この時期、小屋の営業は終わってましたが、休憩200円、素泊まり1000円のチップ制で利用できます。
山と渓谷の6月号で、残雪の中で女性が一人、深いブルーの鳥海湖を眺める写真がとても綺麗だったので、それが鳥海山に興味を持つことになったきっかけ。
湖めちゃ黒いんですけどね ヽ(´~`; ォィォィ
鳥海山の山頂をやっと捉えました。遠いなぁ〜。
この横移動の長さは、牧ノ戸ルートからの久住山に少し似てます。
鳥海湖を過ぎると、やっと舗装路から解放され土の上を歩くことを許されます。
ワタスゲちゃん。
まだ残っててくれてあんがどっ(秋田弁ぽく)
外輪山ルートで七高山の山頂へ
御田ヶ原に着きました。
正面から裾野を広げる鳥海山と向かい合うことができます。
同行者にカメラを預け、ルンルン気分で山に向かってスキップしてる写真を撮ろうとしたら、前を歩く女性が急に振り返って、慌てて済まし顔を装った瞬間の一枚。
ブロガーにありがちな軽い山岳事故です。
以前、大野山で「ニャー!!」と威嚇しながら猫を追いかけてるところを前からくる山ガールに見られたのは苦い思い出。
茶色いキリギリス。
バッタは紅葉が始まったり、草木の少ないところでは保護色で茶色になります。秋を感じますね。
これはチョウカイイチゲ。鳥海山の固有種だそうです。一際目立つ容姿で綺麗な花でした。
ゆったりと標高を下げ、再び登っていく。
景色は良いしここまでは全く疲れを感じません。
時間はたっぷりあるんで、のんびりペースで登ります。
七五三掛(しめかけ)に到着。登山口の象潟(きさかた)もそうですが、オイラにゃ難易度高すぎて読めねぇ漢字多過ぎっす~。
登りは外輪山ルートで。下山で使う人の方が多いみたいですが、自分はこっちからのルートの方が登ってて景観の変化を楽しめるから飽きもこないしお薦めします。
七五三掛は見晴が良かったので、ここでしばし休憩を入れました。
振り返るとここまで歩いてきた稜線と遠くに見える海が素晴らしい。
こっちは一度谷底に下りてから山頂を一気に目指すルートが見えます。
実はこれは意識せずに撮った一枚。この時は谷底のルートがあるなんて知らず、外輪山コースにしか進めないと思ってました。
今、写真を見てみて、何でこっちのルートに気づかなかったんだろうと自分の信じ難い見落としに笑ってしまうわ。
で、外輪山コースに話を戻しますが、改めてこっちを登りに使って正解だったと思う。同行者も同じ意見でした。
谷底のルートだと、疲れて振り返った時に海も東北の山々の大パノラマも楽しめない。ひたすら山頂を見据えて登らないといけないからしんどいと思う。
しつこいようですが、こうやって何度振り返ったことか。
鳥海山に来たことを実感しますわね。ちょーかいちょーかい(そーかいそーかい)
こっちは山形方面。日も高くなってきて少しガスが出てきたかな。それでも昨日まで雨を心配してたのに比べればなんて恵まれた日になったことか。
外輪山一座目、文殊岳に着きました。
さっき休んだばかりだからここは軽くスルーして先に行きます。
涼しい風と、薄く伸びる雲の隙間から見える青空は秋ならではですね。
下界はまだ暑いというのに、山の季節のめぐりの早さに付いていけません。
湯ノ台ルートとの合流点で一気に賑わいます。とても元気な秋田マダムと会話を交わす。
考えてみればここまで割と静かな山歩きを楽しめました。あまり意識してなかったけど、この山も百名山だったなぁとここで思い出す。
草紅葉をアップにするとこんな感じ。秋らしさにはまだ少し早かったけど、そのおかげで静かな時期に来れたんだと思う。
この日から2週間後の9月末〜10月初旬が紅葉の最盛期だと思います。
外輪山コースは一箇所だけ梯子が出てきますが、そこもしっかり固定されてるし、危険なところは特にありません。
急登もないし、こうやって緩やかなアップダウンを繰り返しながら七高山(しちこうさん)に向けて登っていきます。
ここからでもすぐに分かる、建て替えたばかりで鮮やかな茶色の神社が見えます。
外輪山の最高峰が近づいてきました。
七高山(しちこうさん)、標高は2,229m。一等三角点の山頂です。
ここまでは草原が広がる山でしたが、ここから様相がガラッと変わり、火山らしい噴石に覆われた岩稜となります。
岩場を越えて鳥海山(新山)の山頂へ
鳥海山の山頂に向け、一旦下り登り返します。
ガレ場が滑りやすいです。
雪渓が残ってました。この時期まで残ってるなら1年中解けることはきっとないんでしょうね。
外輪山までなら子供でも登れるだろうけど、ここから先は大人がしっかりサポートしてあげないと難しいと思います。
この山にこんな二面性があったなんて知りませんでした。
こういう岩場は嫌いじゃない、楽しいです。
この狭い中をくぐってみると、
祠がありました。これが胎内くぐりってやつかな?
でかい体を小さくして祠の前を通り過る。うんしょうんしょ ( ̄Д ̄;;
抜け出ると、急登が立ちはだかってました。
再び岩を登っていきます。
景色が開けた。外輪山も見え、全体を見渡せます。
さきほどまで歩いてた山とは全く違う山みたいだ。
さあ、いよいよ山頂はすぐそこです。
鳥海山新山、2,236m踏破!
海、湖、草原、外輪山に最後の岩稜、この変遷はバリエーション豊かで終始面白かったです。
初めての秋田への冒険は無事、成功です。
こんな物もありました。2,229mとな!7m低い、間違ってます!
一等三角点と記載ありますが、新山には三角点はなかったので、これはたぶんさっき登った七高山のものです。
さてさて、山頂があまりに狭かったため、長居はできませんでした。慌ただしく退散。
なので、山頂のすぐお隣のピークに登って遊んでました。
鳥海山大物忌神社経由でゲッザーン
この先で口を開けてるのが正真正銘の胎内くぐり。さっきのは違いました。
旅の恥はかき捨てってね。楽しんだもん勝ちですよ。
なかなかの急登。
登りなら問題ないのですが、下りだとなかなか難易度高いと思います。巻き道も用意されてるみたいです。
白いペイントを目印に、外輪山から見えた神社を目指して下っていきます。
ここは谷底ルートから登ってくる人と下山する人の往来が多かったです。
鳥海山大物忌神社(ちょうかいさんおおものいみじんじゃ)。忌みって・・・∑( ̄[] ̄;)!ホエー!!
後で調べてみると「物忌」で不吉を取り除くという意味があるそうです。
ちなみにここで、明日は栗駒山と月山のどっちに登ろうか悩んでたから、地元の気さくそうなおじさんに移動距離やテン場情報などを聞きました。
とてもおしゃべりが好きな、
こんな顔したプリチーなおじさんでした
ヾ(-д-;)ぉぃぉぃ
これもそのおじさんに教えてもらった、鳥海山固有種の「チョウカイ・・・」なんだっけ。。
いい加減物忘れが激しく、忘れてしまいました。鳥居にたくさん群生してました。
14時までに下山して栗駒山に向けて移動しよう!ということに決まり、ちょっと急いで下山。
月山だとテン場がなさそうだし、ここで予定を変更してリスクを冒すより、当初の予定通り栗駒山でテント張って温泉入ろうという意見で一致。
チョウカイアザミ(たぶん・・)。
普通のアザミと違って背が1mぐらいまで伸びるらしいです。
野いちご。食べたら美味しそうだけど・・遭難した人のためにとっておきましょうね。
ほっほ~。多少急いでますが、なかなか歩いてて気持ち良かったです。
午後になって風が冷たくなってきました。
さむい。。
御浜神社を過ぎたあたりでミヤマキンバイがぽつぽつ咲いてました。
数は少なかったですが5月~7月に咲く花が見れてラッキーですた。
終盤の石段とアスファルトの舗装路で完全に心が折れ、足腰も痛いし、断末魔の下山となりました。
もうすぐ登山口というところで遠くに島が見えました。佐渡かと思いましたが、帰って地図で確認してみると飛島(とびしま)という島のようです。
漢字だけ見ると飛鳥(あすか)と読んでしまいそう。
飛島にはなんと「小物忌神社」があり、ここ鳥海山の大物忌神社と深い関係があるみたいですが、よく分かりませんでした。
栗駒山の須川温泉へ
下山後、すぐに準備を整えて約100キロ離れた栗駒山の須川温泉前の野営場へ移動します。
睡魔と戦いながら、なんとか暗くなる前に野営場に着きました。
テントを張り終えたら、調理場へ移動して晩ごはんです。
メニューは同行者が移動中に購入した玉こんにゃくとイカの揚げ物的なお菓子(揚げ物?)、それとカップラーメンを食べましたがまだ腹8分って感じ。
登山後はお腹が空いて仕方ないっす。
ここ須川温泉は内湯と露天で場所が離れてて代金も別にかかります。それぞれ600円です。
男湯を出た時は自分一人だけだったので写真を撮らせてもらいました。洗い場は3つあって、シャンプーとボディソープ完備です。
とても広い露天。強酸性の湯は顔を洗うととてもじゃないけど痛くて目が開けられない。
お風呂で泳ぎたいと思ってるわんぱく中年は次回からゴーグルを準備しようと思う。
こんな物が飾られてました。源泉を薄めずに使ってるんですね。
湯船の広さは源泉の熱を冷やす目的もあってのことでしょう。
夜の露天風呂から眺めるライトアップされた大きな岩がとても綺麗でした。
1ヶ所から湧出する湯の量では全国2位なんだそうです。11月下旬から4月下旬までは冬期通行止めになってしまうので、この温泉に入りに来るだけの価値はあります。
ゴーグル忘れんでね(^^)
振り返って
本当は南アルプスの白峰三山を予定してましたが、東北以外は天気が悪く、飯豊山か磐梯山がいいかな~と思ってました。すると、同行者から鳥海山は?と有り難い提案があり、それいいね!ってわけでトントン拍子に決まりました。
今日のメンバーとは、山が好きってこと以外に、お互い相手任せにしないところが共通してます。
それぞれが時間のない中で可能な限りの情報を集めて、不足を補いながらプランを考えたから、直前でも混乱なく大満足の旅になりました。
まあ、うまくいかなかったとしても、それはそれで楽しい旅になったと思いますけどね(^o^)
カッキーン(今年の日ハム強ぇ~)。
鳥海山から栗駒山への移動では、10キロ以上走っても鳥海山の姿がなかなか遠ざかりませんでした。
既に遠く離れているはずなのに「鳥海」という地名や学校がでてきたり、周辺地域の人々にとって心の山になっているのが垣間見えます。
全国的に有名な山であるのに、ここら辺では日常の風景。
鳥海山が百名山に選ばれ、全国にその名が広まった今も地元の人々が見上げるそれは、昔から何も変わらない故郷の山なのでしょうね。
そんなことを思いながら、次なる目的地、栗駒山へ向けて車を走らせました。
次回は是非、春から初夏の残雪が多い時期に来てみたい。
人生で初めての秋田県は、楽しかった山旅となって心に残りました。
ではでは