円墳の上から彼は叫ぶ。
「竹原古墳をなめたら、おまんら許さんぜよーー!」
(麻宮サキを知らん人は置いてく)
待ちに待った1年で1度の一般公開の初日。
九州中、いや世界中の古代史好きが一斉にここ福岡を目指して押し寄せて来るかと思いきや、
たったの3人。
まさかぜよ!!
まあ自分と同じ時間に観覧した人がって話だけど…それにしても3人て…。
どゆこと?
この日はあいにくの雨だったというのもあるけど。
古代史好きって、
装飾古墳好きって、
こんなにファン少ないんだっけ?
ふっ。実のところそんなことは分かっている。
古墳なんぞ、だれも振り向かないトップオブ地味ホビー。
だからこそ、自分は古墳を書き続ける。
いつしか織田信長や坂本龍馬なんかをはるかに超える古墳人気がムーブメントを起こすと信じて。
間違いない。
古墳の命運はオレの筆力にかかっている!
おこがましい?
やかましいわ。
これまで装飾古墳界を盛り上げようとせっせと書いてきたけどね、さっぱり読まれないもんね。
古墳ファンの人口が極小だなんてこと知ってたよ。
それにしても3人には驚いた。
竹原古墳はぴかいちだった。お世辞抜きで。
ガラス越しに見た装飾の鮮やかさはガチでヤバくて鼻血吹き出たよ。
いや、ほんと素晴らしかった。感動した。
上の写真は竹原古墳のレプリカなんだけどさ、
どげん?
バリすごかろ?
なのに3人て🤣
で、下の写真が王塚古墳。こっちも撮影できないからレプリカなんだけど。
どうだ。ウェルカム古代。
キトラ、高松塚古墳、そしてこの王塚古墳は特別史跡に指定されてるわけだけど、キトラと高松塚が造られたのは8世紀初期。
奈良時代になってまでなに古墳なんて造ってんだかね。恥ずかしいわ。
それに対して王塚古墳は6世紀中頃。
ええ、真っ当の古墳時代です。
だから壁画に描かれる生活様式や価値観なんかは高松塚古墳なんかとはだいぶ違って、古墳時代のリアルな宗教観が装飾を通じて、時空を超えて古代人と共有できちゃうという超絶貴重な史跡なのだYo!!
と、声を大にして円墳の上から叫びたい。
古墳の一般公開にコーフン 本編
大賑わいの王塚古墳へ
大雑把だけど装飾古墳の分布図があったので軽くご紹介。
王塚古墳と竹原古墳は近いから一緒に巡るのが良いよ。
車で30分ぐらいだったかな。距離にして20kmほどだったはず。
さてさて、おっさんかやって来たのは王塚装飾古墳館。
どーせ古墳好きなんてごくごく少数だろ?
一般公開日だからって閑散としてるだろう?
呑気に10時頃来てみるとまさかの大繁盛。
臨時駐車場に回されるところだったけど運良く1台出てくれて止めることができたよ。
なんだこの盛り上がり。
何度も来てるけど、こんなの初めてだよ。
ぬわんと!!
1時間20分待ち!
整理券をもらって博物館の中とかイベント会場をうろうろして暇をつぶす。
装飾古墳館の入口に飾られてた寄贈品の掃除が大変そう。
今回のイベントに合わせて売店も出品してて、センスが光るえんぴつキャップなんかも売ってる。
えんぴつキャップって小学生以来の響きが懐かしい。
かわいいデザインだけど、選ぶ基準は食洗器には適合するか否かになっちゃうわけで…
たいてい尖ったデザインの物は買えない。
尖りまくってる。
前方後円墳、双方中円墳、双円墳、
なんでもござれ。
双円墳と前方後円墳のブローチ。
これはもうグッドデザイン賞をあげたい。
我が家の卑弥呼が1個ご購入されてました。
古墳型のクッキーが販売されてた。
世間的には極めてマイナーな古代史好きなんかのためにこんな出し物まで企画してくれるなんて…(T_T)
しょっぱいモンが混じっちまうじゃねぇか。
あのブルーシートの中で、今まさに秘密の公開処刑が行われ、中からキャー!という悲鳴が聞こえてくる。
そして出てきた者どもは、一様にご満悦の表情を浮かべてよだれを垂れ流し、ウフフフフ〜と不敵な笑みを浮かべちゃってるのだ。
自分は果たして平常でいられるのか不安が募る。
ちなみにこちらが王塚古墳の後円部。
前方部の一部は宅地造成によって削り取られてしまっているのがなんとも惜しい。
内部の石室と壁画の紹介は博物館の外でも案内されている。
で、一般公開は撮影禁止なのでここからは博物館のレプリカでご紹介。
ガビちょんだぜ。
この時代、馬を保有することがどれだけ格式高く誇らしかったかがよく分かると思う。
黒鹿毛だからナリタブライアンかウイニングチケットかな。
ほとばしる色彩感覚。
自分の部屋の壁紙がこんなだったらマジ眠れないぜ。
我が王塚古墳の装飾に使われたのは全部で5色で全国イチィィィィイイイイ!!!!(シュトロハイム風に)
王塚古墳は伊達じゃない。
天井には星が瞬くというアラジン風な演出に劇団四季も真っ青だ。
しかも、それだけではない。よーく見てほしい。
天井に描かれているのは、まさかの北斗七星。
北斗の究極奥義「無想転生」を繰り出すケンシロウとカイオウの死闘を思い起こさせる。
なんて粋なはからいだ。
いや、参ったね。
ディズニーやユニバなんかに行って浮かれるピーポーたちは、古墳こそが最高のエンターテインメントだと早く気付いてほしいところだ。
さて、王塚古墳に関してはここまで。
王塚古墳のことは以前にもブログで詳しく書いてあるのでそっちを読んでおくれ。
たけのこがまいうーな竹原古墳へ
王塚古墳から車で30分ほど離れた竹原古墳も王塚古墳と同日に一般公開日を設定してくれている。
行動効率を考えて、王塚古墳と合わせてこっちにも足を伸ばしてほしい。
見学の受付けではたけのこの販売もされてたり、ほのぼの感がただよう。
このたけのこがエグみパーフェクトゼロでめっちゃ美味かった。
受付けしながら出来立てのたけのこコロッケもいただいちゃったりして、だいぶホクホク。
階段を上がったところにあるのが、諏訪GINGER。
特別な古墳があるところにはそれを守る目的か、たいてい神社があったりする。
最初にまずこのモニターを使って丁寧な説明を受けるわけだけど、なんと自分を除いて3人しか傍聴者がいないという閑散ぶり。
王塚古墳の賑わいは一体どこいった?
撮影禁止!という注意書きがたくさん貼られてたので、恐る恐る「こういうパネルは撮影してもいいんですよね?」と聞いてみちゃう。
聞かずとも良いに決まってるのに。
いよいよ円墳の中へ潜入。
公開はとにかく窓ガラスが大きく、モザイク無しのすけすけで最上級に卑猥🤣
これまで見てきた中でいちばんクリアだったな。曇りもなく、何度も書くけどとにかく装飾が鮮やかで感動した。
どうして1500年以上前の装飾がここまでくっきりと残っているのか。
カビは生えてるって言ってたけど、可能な限り長持ちさせてほしいところだね。
見る前に基本的な知識はぜったいに頭に入れといた方が良いから根気よく読んだんだけど、4行目あたりでギブアップ。
ほれ、もっと招け。
足りぬわ。
さて、公開の状況だけど、とにかく窓ガラスがそこそこ大きくてなんせクリアだったから、何度も書くけど装飾の鮮やかさに驚くこと間違いなし。
どうして1500年以上前の装飾がここまで明確に、ダイナミックに残っているのか不思議だ。
これはもう見に来るしかないね。
車で5分ほど走ったところに、小学校をリノベーションした宮若トレッジという博物館みたいなところがある。
そこに竹原古墳のレプリカもあるそうなので、ちょっと不便だけど立ち寄らない手はない。
装飾の説明書きをしっかり頭に叩き込んで、いざレプリカへ。
とは言え、さっきあれだけ鮮明な本物を見てきたばかりだから、今さらレプリカでは興奮できないんだよ。
おおっ!さっき見たやつそのまんま!
さすがに本物を前にした時の感動は無いけど、まさにこんな感じだったな。
ズームイン!
本物もこれぐらい鮮明に見えるんだよ、ほんとに。
竹原古墳は特別史跡ではないけど、国指定の文化財としてきちんと管理されてるし、なんといっても公開の仕方がサイコーなんです、何度も言うけど。
こいつが玄武(げんぶ)。
北を守るとされる亀と蛇が合体した古代版トランスフォーマー。
やべぇ奴だ。
玄武の反対に描かれるのは「朱雀(すざく)」。
南を守るとされる鳳凰っぽい神獣で、その長い首のセセリが最高に美味い。
あ、すみません嘘です。
真っ暗な中での作業なのに失敗は許されなかっただろうからきっと選ばれし職人がいたんだろう。
キングダム、進撃の巨人、鬼滅の刃、ワンピース、サザエさん、スラムダンク…とかとか、
九州出身の漫画家が多いのはこの頃からの文化なのかもしれない。
こういうパネル展示って小学校らしくていいよね。
こんな馬具の展示もされてたりするけど、展示品としてはこれぐらいだったかな。
おわり
さてさて、まいどテキトーなことばかり綴ってしまったけど、少しでもこの時代のことに興味を持ってくれたら幸いです。
急速に大和朝廷が力をつけてきたこの時代、いったい何が起きてたなんて誰も分からないからこそ、一般公開を利用してその目で古代のメッセージを見るのはとても価値のあることだと思うわけです。
次回の一般公開まで待てない!という方は、手っ取り早く多くの貴重な鏡を展示してある福岡市西区の伊都国歴史博物館や、装飾古墳のことを知るために熊本県立装飾古墳館に訪問してみてほしい。
きっと感動すると思う。
最後に、
「おいおい、あいつまた登山ブログのくせに古墳ぶっ込んできたよ」
「PV稼ぎで古墳好きを気取ってんじゃね?」
そんな疑いを向けているそこのあなた。
古墳のブログなんざぁ誰にも読まれませんからね、ほんと。
ではでは