白馬岳 登山(猿倉~天狗山荘) ハヤブサの襲来と高山植物の峰 テント泊(2016.8.6)

白馬岳 登山(猿倉~天狗山荘) ハヤブサの襲来と高山植物の峰 テント泊(2016.8.6)

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今回は北アルプスで屈指の人気を誇る、白馬岳唐松岳に登ってきました。

どちらも以前から虎視眈々と狙ってた山です。

先日、知り合いが白馬登山を企画してくれましたがスケジュールが合わず、自分だけ参加できなかった悔しさもあって愛しさ倍増(笑)。
週末の天気が晴れと聞いたらいても立ってもいられず、金曜の夜行バスを予約して一人でデカザック背負って行ってきました。

 

初日は猿倉から大雪渓を経て白馬岳と白馬鑓ヶ岳に登り天狗山荘でテント泊。2日目は難ルートで知られる不帰ノ嶮(かえらずのけん)を通過して唐松岳を登頂、八方へ下山します。

まずは1日目の白馬岳から天狗山荘までをご報告します。

 

白馬岳の標高は2,932m、言わずと知れた日本百名山、花の百名山。

栂池からの王道ルートと、猿倉から2キロにわたる白馬大雪渓を満喫するルートで悩みましたが、6月の鹿島槍ヶ岳で針ノ木雪渓を歩く企画を立てるも雪不足のため断念。。

その心残りがあったので、今回は思いっきり大雪渓を楽しんでやろうという猿倉プランにしました。

予報通り快晴に恵まれ、北アルプスの素晴らしい眺めに心が震える旅となりました。

白馬三山を踏破して天狗山荘へ。といきたいところでしたが、、

いざっ

 

 

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アクセス方法

・猿倉へは白馬駅または八方バスターミナルからアルピコバス。

・バス時刻表は、こちら

■ルート

猿倉(1,270m)~ 白馬頂上宿舎 ~ 白馬岳(2,932m)~ 白馬鑓ヶ岳(2,903m)~ 天狗山荘(2,730m)

※頂上宿舎の手前でYAMAPのログが途切れてたので、下記は頂上宿舎~白馬岳~天狗山荘までのログとなります。

yamap

 

■全行程スケジュール 2016年8月6日

6:35 猿倉 ⇒ 7:10 登山開始 ⇒ 8:00 白馬尻小屋 ⇒ 11:40 頂上宿舎 ⇒ 12:30 白馬岳山頂 ⇒ 15:20 白馬鑓ヶ岳山頂 ⇒ 16:20 天狗山荘

 

 

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今シーズン、早くも3度目となるバスタ新宿。もう慣れたもんです。

寝つきは悪い方ですが、高速バスでも頑張れば3時間は眠れることが分かってきました。3時間眠れたら十分です。

 

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八方バスターミナルで高速バスから猿倉行きバスに乗り換え。毎度のパターンで、自分はぎりぎりで座れませんでした。

バスは超満員。

猿倉行きバスは白馬駅が始発なので、高速バスだと白馬町で降りて駅まで歩いた方が良いです。次回の教訓にします。

 

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標高1,270m、猿倉に到着しました~。

激しく揺れる満員バスの中、手すりを強く握ってた腕はパンパン。まいったまいった。

ここで、遭対協の方に登山届けを提出し、内容をチェックしながら一人一人に「無理しないでね」とかアドバイスくれるんだけど、自分の時だけ素っ気なくパス。

なんでだ!!

 

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テント装備担いで、今日も頑張ります!

しゅっぱーつ

 

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白馬尻小屋までの道中は半分以上が林道歩きだけど、ご覧の通り出だしから圧倒的な存在感で白馬岳が出迎えてくれるから歩いてて飽きがこない。

アルプスに来たんだなぁ、と実感すること間違いなしです。

 

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もう咲いてました、トリカブト。

 

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天気、景色ともに最高。そんなわけであっという間に白馬尻小屋に到着。

ようこそ大雪渓へ。わくわくするなー。

 

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猿倉は人がごったがえしてたので、小屋前のベンチでこの景色を見ながら朝食を食べました。

このパターン、オススメですよ。

 

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食べたら早速出発。楽しみで落ち着きませんでした。

大雪渓がすぐ見えてきます。

 

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おお!これが何度も話に聞いてた名物の蟻の行進か!

写真で見てた通りの光景。

 

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雪渓が薄いところや落石危険箇所にはロープが張られてます。

実際、作業中の方がいたので話を聞いてみましたが、一番分厚いところで10mもあるんだそうです。

「薄いところはホント薄いですけどね(笑)」、とのことでした。いやいや、恐ろしくてぜんぜん笑えねっす。

 

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ステップがきられてるのでアイゼンは不要とも思いましたが、落石があった時に避けれないと思って自分はチェーンアイゼンを装着しました。

チェーンだとトレランシューズにも装着できて便利です。

 

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クレパスって縦にも入るんですね。

 

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雲ひとつない晴天をバックに左前方の杓子岳がすごい存在感でそびえ立つ。カッコいい。

 

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全長2キロもある雪渓。歩いててほんと気持ち良いんだけど日焼け対策と目のケアを忘れずに。

自分は雪山の乗鞍で痛い目にあったので、日焼け止めオイルと帽子、サングラスでしっかりガードしました。

 

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雪渓を歩いてる最中はなかなか休憩をとるのが難しいから、こうやって島を見つけて休む人がたくさんいます。

アザラシ。

 

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途切れることのない行進。

残念ですが、雪渓もう終わってしまいました。

 

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ここからは秋道です。

アイゼンを雪解け水で軽く洗う。川の水はコケ臭かったけど、滝から流れ落ちる水は美味くてみんなゴクゴク飲んでました。

 

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ぱっくり雪渓が割れ、深い穴の下を川が流れてます。

ここに落ちたら一巻の終わり。。恐ろしや。

 

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しばらくは急峻な岩場をえっさほいさ登っていきます。

分かりやすい落石危険箇所が続きますんで止まらず行きましょう。

 

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ほらね、休むことは許されません。

死にたくないなら歩かにゃ。

 

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ここら辺から高山植物の宝庫、花の名山を代表する風景が隋所にでてきます。

タカネナデシコ。

 

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カンチコウゾリナ

帰宅して調べてみたら、たんぽぽじゃないことを知る。ここだけの話です。

 

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見事に尖った天狗菱。アルペンムードを掻き立ててくれるわ。

その奥に見える峰が杓子岳です。

 

 

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ハクサンフウロ。

 

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ここで一休み。行動食のつもりで軽くアンパンを1つ食べるつもりが・・・カレーパン、魚肉ソーセージ、おにぎり2個を食べてしまい超満腹、ゲプ~。

 

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やっとの思いで頂上宿舎が見えるところまで登ってきました。

1年ほど前、「白馬ってあんまり登らないであっという間に山頂に着いたってイメージ」、と山トモが話してたのを聞いて信じてしまった自分が愚かでした。

ちょーきつかった。

 

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クルマユリ。現物を見るのは初めてで感激!

 

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小屋が見えてからが長い。。がんばるよー。

男なら担いでナンボじゃー

 

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やっとここまで来た。。

標高2,730m、猿倉からの標高差は約1,500m。白馬山頂までだとなんと1,700mもある。おいおい、聞いてた話とずいぶん違うぞ。。

 

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白馬尻小屋でクーリッシュ食べときゃ良かったわ。。気温15度ぐらいだけど、日が高くなって暑いのなんのって。日陰で少し休みました。

ザックをデポって白馬岳の山頂を目指します。

 

 

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絶滅危惧種のウルップ草がたくさん咲いてました。

白馬と硫黄岳、北海道の一部でしか見られない貴重な花とのことです。

 

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こちらは白馬三山の杓子岳、白馬鑓ヶ岳方面に続く稜線。

そのバックに威風堂々と剱岳。その存在感は群を抜いてました。早く登りたい。

 

 

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国内の山小屋では最大級の収容人数を誇る、白馬山荘が見えてきました。

その少し上に尖ったピークが見えます。あれが白馬岳です。

 

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富山県側からアプローチしたいと思います。

この瞬間、人生で初めて富山県に足を踏み入れました。が、富山に遊びに来た感ゼロ。

 

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ほいっ、まず一座目。

陽が高くなり暖められた雪渓から霧がわき、雲となって山肌を駆け上がります。そんな雲との競争でした。

 

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栂池に続く素晴らしい稜線。

このヤバい景色を見てたら唐松岳はパスして栂池方面に下るのも良いなと思えてくる。

 

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うーん、次回はのんびり栂池から登って白馬経由で鑓温泉に下山するルートにしよう・・。

自分はもっとのんびりと登山を楽しむ心のゆとりが必要なんだろうなぁ・・とつくづく思う。

 

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さて、とりあえず白馬山荘にコーラ飲みに戻りますか。

 

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このテラスで1本5百円のコーラを飲みながら、日常より近くを流れる雲をぼんやり見上げ休憩。

 

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何度も山に登ってますが、空の近さは毎回新鮮。

 

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イワヒバリがたくさん飛び回ってます。

いまだ雷鳥を見たことがありません。今日は出会えるかな。。

楽しみばかり。

 

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デポったザックを取りに戻って、天狗山荘に向けて移動開始。

ここから6キロ以上、アップダウンを繰り返す道のり。まだまだ先は長いため体力が少し心配ですが、気合い入れるよ!

 

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眼下には頂上宿舎のテン場。

まだいくつか空きが見えたので、ここでテント張ってしまおうかと甘い考えがよぎる。。気合い入れたばかりだっていうのに。

 

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振り返って花の名山ともお別れ。

いつもよりゆっくりめのペースで稜線歩きを楽しみます。

 

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カールかな?

この稜線を歩いてるとこんな駆け出したくなる広場が随所にでてきます。

 

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左前方の雲に隠れてしまった杓子岳。

大雪渓で左前方にそびえてた山です。

 

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ガツンと下り、ガツンと登る。実はもうバテバテ。

散々悩みましたが、翌日の不帰ノ嶮~唐松岳に向けて体力の温存が必要と考え、杓子岳はパスすることにしました。

白馬鑓ヶ岳には登るつもりなので今回は白馬二山です。

 

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自分の体力のなさを痛感しつつ、今巻いてきた杓子岳を振り返る。

ここで杓子岳から下りてきた人が「いやー杓子はいいよ。切れ落ちててね。もっと評価されて良い山だったよ、フォー!」と教えてくれました。

フォー?

 

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白馬鑓ヶ岳へ向けて再び登る。何度繰り返しただろう、アップダウン。

ここを登りきれば天狗まではほぼ平坦な道です。ガンバレー

遠くで先ほどの方の「最高、フォー!!剣の眺めフォー!!」という声がこだまする。。

 

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日当たりの良い尾根は高山植物の宝庫。

コマクサです。馬の顔に似ているためその名が付いたとのことです。なるほど~。

 

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遠目には採掘場のような山だなぁと、魅力は感じませんでしたが、山頂からの眺望は素晴らしかった!登ってみないと分からないものですね。

先ほどからのフォーさんと、写真撮り合いました。すっかり仲良しです。

 

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この稜線!たまりません。

フォーさんと抜きつ抜かれつ、付かず離れずの関係。

ほんと、エネルギーのかたまりのような方で、動画を撮影しながら「剣がフォー!!稜線フォー!!」と雄たけびを上げてました。

話盛ってませんから。信じてください。

 

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自分のすぐ後ろで、

「風は天然のクーラーだ、フォー!!剣の眺望、フォー!見てよこの稜線フォー!!」と、何度も同じことを繰り返してるだけの実況。

最初は苦笑いだったのが途中で鬱陶しく感じられ、今ではめちゃくちゃ面白く感じられるんだから不思議。

 

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とにかく熱量が半端ないから一度歩き出すとペースが速い。。すぐ前を譲りました。

「あ〜、剣が最高です。ほんと素晴らしいね、風のクーラーが気持ちいいフォー!!」

ブログと違って、たぶん動画だと気持ちが先行しちゃって自分でも同じことを繰り返してることに気づかないのでしょう。なんとなく分かる気がする。

撮影中は立ち止まるためすぐ追いついてしまうのですが、写真を撮るフリして抜かずに待ちます。

 

 

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上空でピタッと静止した鳥がいました。

鷹っぽいなぁと思って見てたら、すごいスピードで急降下し、素早く飛び立って行きました。一瞬だったので運が良ければ撮れてると思ってファインダーを覗かずに撮影。

自分の後ろを歩いてたグリーンパトロールが走りながら「やられた!」と喚いてました。

話を聞くとどうやら雷鳥の住処があった所みたいで、ヒナを襲ったのはハヤブサだろうとのことです。

雷鳥もハヤブサも希少種。その狩りの一部始終を見れたのですからこんな幸運ありませんが、、、

はじめて遭遇した雷鳥が襲われるシーンだったとはね(^_^;)

想像してた出会いと全然違ったわ。

 

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ここを左に折れて天狗山荘へ。

最後に油断して捻挫する人が多いと聞くので気は抜けませんね。

 

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高山植物の主役、チングルマ。

 

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16時になってしまい混雑か心配でしたが、セーフです。

天狗山荘は唐松からも白馬からも距離が遠いから少し安心してましたが、あと1時間遅かったら斜めになってるところしかなかったから、なんだかんだでぎりぎりでした。杓子岳を巻いて正解だったわ。

 

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今晩の我が家です。

さすがにテント張るの早くなったなぁと自画自賛。

 

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九州の味、マルタイの棒ラーメンが本日の晩御飯。裏切らない味です。

マルタイの工場が今宿から西の丘に引っ越してきたためすぐご近所です。子供の社会科見学もマルタイでした。

いろんな種類の棒ラーメンが発売されてますが、こないだスカイツリーの催事でマルタイの熊本とんこつが300円で売られてたのにはぶったまげたな。福岡のスーパーでは120円で売られてます。

 

振り返って

 

晩御飯を食べ終え、翌日の唐松岳に向けた山行の準備も完了、あとは寝るだけ。

まだ明るかったので、ダウンを着込み稜線に出てみると、昼間の強烈な日射しに暖められた山肌からガスが湧き立ち、それが山間にたまり、見事な雲海を形作ってました。

立ち止まって見入り、しばらくしてもう少し高い場所へ移動します。

その場に居合わせた全員が、雲海にゆっくりと沈みながら色を変えていく夕陽を固唾をのんで見守ってます。フォーさんもいましたがこの時ばかりは静かに見てました(笑)。

隣で三脚を立て、熱心に撮影していた人が「写真じゃ伝わらない」とつぶやく声が聞こえました。

 

 

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この絶景を家族や友人に見せてあげたいと強く思いました。

 

今日の山行はしんどかった。。天狗山荘に着くまでの足取りは重く、引きずるようにしてなんとかたどり着きました。テン泊装備の重いザックが肩を圧迫し、痛くてたまりませんでした。

しばらく山は休業かなぁ、と若干懲りた感じになりましたが、こんな心に残る絶景を前にし、更に今日見てきた煌めきを放つ白馬の風景を思い出すと、形容しがたい喜びが心の底から溢れてきます。

 

明日も天気は良くなります。

やはり鑓温泉へのエスケープはやめて唐松岳を目指そう。

では

 

2日目につづく ⇒ こちら


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