ここを歩きたかったから、ずいぶん聖岳まで遠回りすることになった。
おっさんは感慨深げにそうつぶやく。
聖岳だけならこれまで登るチャンスは何度かあった。
でも2泊3日のプランを立て、この光岳から聖岳までの縦走路を歩くことを優先させたからこそ、ずっとお預けだったのだ。
念願だった縦走路に立ち、今おっさんは感動に打ち震えている。
ブルブル。あれ?違うぞ。
これは筋肉疲労による痙攣じゃないか。
「やっぱサイコーだYo!」
と言い放ち、実のところ前日の光岳登山によって満身創痍となった体を引きずり、笑顔は引きつっている。
でも強がれるうちはまだ大丈夫。
疲労の色が見える顔を上げて歩こう。
ここには南アルプスの良さが詰まっている。
便利な時代になった一方で、猛烈に不便になったと思うのが電話の音声ガイダンス。
オペレーターと直接電話で話せたら30秒で終わる用事なのにぃ!
と思いながら、我慢してしばらく音声ガイダンスに付き合うけど、なかなかオペレーターに繋がらないストレスでイライラは頂点。
これって確実にCS低下だし、多くの人が不満に思ってるはずなんだけどなー、なんで普及するんだろ。くそっ。
こないだもカード会社に登録してた電話番号を変更したかっただけなのに、10分ぐらい音声ガイダンスに付き合って、結局変更できずに終わった(ToT)
音声ガイダンスを採用している企業は見直してください。お願いします🙏
とは言ってもね、時代が変わっても変わらないものもたくさんあるわけで。
登山なんてどんなに便利な道具がでてきても、大事なのは企画、天候、体力の三原則だからね。
登り返しでへこたれて、それを乗り越えて山頂に立った時の達成感は、へこたれた者にしか分からない不変の法則(笑)
そんなわけで光岳〜聖岳縦走も2日目。
富士山を眺めながら、三百名山の茶臼岳(ちゃうすだけ)、二百名山の上河内岳(かみかわちだけ)を縦走し聖平小屋を目指す山旅です。
ちなみに、聖岳に登頂を果たせば国内の3000m峰は制覇するんだけど、あまり意識してなかったから、下山した翌日に気が付いたよ。
標準コースタイム
■2024年9月7日 ※カッコ内は標準コースタイム
2日目 光岳小屋⇒(115分)⇒易老岳⇒(75分)⇒希望峰⇒(40分)⇒茶臼岳⇒(100分)⇒上河内岳⇒(40分)⇒南岳⇒(75分)⇒聖平小屋
コースタイム:7時間25分
距離:13.2㎞、累積登り:1030m
光岳と聖岳 2日目
光岳小屋からスタート
朝が来た。
光岳〜聖岳縦走も2日目。この日のコースタイムは7時間30分。
結露でびちょびちょになったテントを、「おえぇ〜気持ち悪ぃ〜、冷てぇ〜」とブツブツ文句を言いながら、かじかんだ手で雑に片付ける。
雲海の真ん中に浮かぶ巨大要塞が聖岳で、右の尖った山が上河内岳。
今日はコースタイム的には余裕だから、日の出を待ってからのスタート。
振り返るとモルゲンに染まる光岳小屋。
まだのんびりしても良かったんだけど、日が昇ると暑くなるから、涼しい時間にある程度距離を稼いでおきたい。
下のテン場はまだみんなのんびりしてるのね。
上のテン場では自分が一番最後のスタートだったから、周りの準備する音がうるさくて焦ったというのが本当のところ(笑)
朝のシンと冷えた空気感。
早起きしたからこそ見られる景色が散りばめられている。
ちなみに、霜が降りてるわけではなく元々白い草だよ。
食料が減った分だけザックは軽くなるはずなのに、
「おかしいな、くっそ重てぇっす」
と泣き言を吐くのは、結露をたくさん含み超重量級となったテントが見事に相殺してくれているから。
日本の美しい原生林保護地域
ついさっき昇ったばかりの太陽が、今日も猛暑日にしてやるわとやる気を見せている。
森に朝が訪れる。
三吉平(さんきちだいら)を経て、易老岳への登りが始まる。
昨夜は寝る前に肩、腰、足にもたくさん湿布貼ってよかったぜぇーと思いながら登る。
易老岳の山頂。
ここまでは昨日の光岳登山で歩いたところ。
易老岳の山頂は整備されてないし、立ち寄る意味はあまりないよ。
そして易老岳の次に目指すのは希望峰というピーク。希望峰を越えないと大展望は開けない。
ここから先は未知の世界。
朝露に洗われ、朝日を浴びたシダの緑が眩しい。
光岳近辺の森はほんと美しい。ここの樹林帯は一見の価値ありだと、心からお薦めできる。
昨日の感動が再び甦る。
樹林の隙間から聖岳の姿を確認。
今日欲張って聖岳に登ると行動時間は13時間になってしまう。
その分翌日の行程が楽になるというのは魅力ではあるんだけど、せっかく来たんだから確実に晴れた時に登りたいよなぁと悩む。
午後になるとどうしてもガスがでてくるから、聖平小屋に着いてから決めればいっか。
原始的な森は木々の間隔が広く、地面は膝ぐらいまで伸びた草で覆われてネズミやウサギなんかの小動物が隠れることのできる環境が整っているのね。
希望峰に向けてぐいぐい登る。
途中で前からやって来るパーティ2組とすれ違ったけど、茶臼小屋を起点に光岳をピストンするんだとか。
なるほど、そういうルートもあるわけね。
希望峰に到着。
ここで15分ほど休憩を取る間にすかさずテントを乾かす。
すでに日差しが強烈でフライシートはすぐに乾いたけど、インナーやグランドシートまでは乾かなかった。
まあ、この先も休憩の度にまめに干せばいっか。
富士山と茶臼岳
お次に目指すのは茶臼岳。
その右奥に富士山。
南アルプスはやはり間近に富士山を眺めながら3000m近い稜線歩きができるというのが最大の魅力。
まだ8:15だからよく見えるけど、この時点ですでに暑くなってきてるから、すぐに上昇気流が発生してガスが覆い隠してしまうんだろうな。
上河内岳まで見られるか怪しいところ。
三座並べてみた。
一番左が2百名山の上河内岳、真ん中が3百名山の茶臼岳、右奥に富士山。
そして今日登るか明日にするか迷ってる聖岳をズーム。
聖平小屋で14時までにテントを張れて、もし快晴だったら登っちゃってもいいかも。
希望峰から茶臼岳までは森林限界になるかならないか、その境界線付近の縦走路。
右下に畑薙ダムが見えたのでズームアップ。
あそこから登れば聖岳〜赤石岳の縦走も計画し易いんだけど、畑薙ダムまでの林道がトラウマになるぐらい長くてね(90kmぐらい)、もうちょっと勘弁(笑)
ハイマツ帯に出ると好展望が広がり、歩けば歩いただけ茶臼岳が近付いてくるのを確認できて充実感を覚える。
三座をなんとか画角いっぱいに並べてみる。
左から聖岳、上河内岳、茶臼岳の三役揃い踏み。
まさに横綱、大関、関脇。
聖岳の貫禄はゴリラ級。
こんな爽快な日本庭園みたいなところを歩くと見せかけて、実のところ木道がねじれててちょっとバランスを崩せば即池ポチャというSASUKE的なトラップが待ち受ける。
オトギリソウ。
なんでもGoogleが教えてくれる。
シラネニンジン。
いよいよ茶臼岳の登りが始まった。
すかし屁ならぬステルス屁をこきつつ、その噴射で勢いをつけて登る。
これができれば登山上級者。
振り返ると光岳がよーく見える。
意外とここまで結構な距離を歩いてきた。
す〜て〜る〜す〜屁ーー!!!
(か〜め〜は〜め〜波ー!!風に)
噴射しては登るを繰り返し、茶臼岳の山頂が見る見る近付いてくる。
はい、到着。
まだ序盤戦というのに最終奥義ステルス屁を繰り出してしまい、我が腸内一片のガス無し!
ここからは頼れるものは己の足のみぞ。
夢にまで見た縦走路がこちら。
茶臼岳の山頂からは丸見えだ。それにしても山がでっけーなー。
楽ちん登山の代名詞「木曽駒」要する中央アルプス。
上河内岳の山頂に立つまではなんとか隠れないでいてほしい富士山。
なんもかんもがサイコーだわ。
そして光岳。
光岳小屋の女将さんのことを誉めるコメントはよく見かけるけど、光岳のことを良く言う人って少数派なんだよね。
自分はどちらかというと聖岳みたいに岩がむき出しになった山より親近感を覚える。
決して強がりではないよ。
茶臼岳にはもう1つ標識があったよ。
ちなみにこの稜線から左が長野県、右が静岡県になってて、自分も知らなかったんだけど、南アルプスは間ノ岳までがなんと静岡県。
それも人から聞いた話なんだけどね、最後に詳しく書きます。
茶臼岳から上河内岳までは絶景の稜線歩き
茶臼岳から下る。
さあ、どうだ。
ここからがお待ちかねの時間。
古代人が宇宙人と交信していたであろうストーンサークルだってでてくる。
月刊ムーに投稿すべし。
新旧の案内が1本にまとめられて、見事なまでにごちゃごちゃになった標柱。
これだけ矢印あるのに、実のところ3方向にしか分岐してない。
ここを右に折れて茶臼小屋までわずか0.3kmだけど、今回は寄り道はしない。
ちなみに茶臼小屋のテン場もすんばらしいと聞くから、以前から気になってるよ。
狭い日本にすさまじく広い道がある。
南アルプスって何もかもスケールがでかい。
おっさんの富士山欲を満たす絶景がひたすら続く。
聖岳登頂は二の次で、この桃源郷が目的だったというハイカーは自分の他にも多いはず。
当時、おしゃれの代名詞だった「フランス」を、販売予定のソファベッドにそのままつけたら大ヒットした。
何の話かって?
フランスベッドだよ!
「日本アルプス」も、地質調査に来たイギリス人の鉱山技師が飛騨山脈を日本アルプスと呼んだのが始まりだけど、本場ヨーロッパへの憧れもあって一気に広まって、でもその憧れは次第にしぼみ、今じゃ日本アルプスそのものが憧れの存在になったもんね。
フランスベッドは誰しもが知るところで、もはやフランスの意味なんてどうでもよくなった。
つか、フランスの会社だと思ってる人って意外と多いかもしれないけどね。
本社はパリではなく新宿です(笑)
気管支炎がひどい時とか、リクライニングができるフランスベッドがあると楽そうでいいなと、本気で羨ましいわけです。
特に今年の夏は猛暑が続いたから、気管支炎がほんと酷かったよ。
ムムっ。憧れの縦走路だったのに、なぜか下りはじめる。
ずっと稜線を歩くのかと思いきや、まさかの樹林帯に突入する勢い。
しかしガッカリする必要はなかった。
あたかも阪神園芸が整備したかの様な日本庭園に降り立ったのだ。
自分の庭からの眺めがこんなだったら頭バグる。
こんなきれいな庭園の中を歩けるなんて知らなかったよ。
これまた大きなサプライズで感動。
9月に入ったけどまだまだ猛暑日が続く。
一旦樹林帯に逃げ込めたのはむしろ良かったかもしれない。
庭園区間は終わり、サロンパス臭のする両足を引きずりながら、再び標高を上げてハイマツ帯へ突入。
この苦しい登りだって、ぜんぶ楽しまなきゃ、
もっと楽しまなきゃ。
ずっと楽しみにしてたルートなんだからと、よく分からないがめつさに駆られて登る。
確実に頭がおかしくなってきている。
ヘリが飛んでいく。
聖平小屋のホームページでは、物資不足で食堂の営業はしておらす売店のみって書いてあったけど、あのヘリが荷揚げだったらなにか食べれるかも。
期待っ!
未知のピーク上河内岳に向けて標高をぐんぐん上げる。
せっかく繁忙期の会社を休んで三連休にしたんだ、1秒だって無駄にせず、もっと欲張らないと。
眼下に聖平小屋が見えた。
真ん中の小さな赤い点が今日のオアシス。
「あぁ、早くあそこでゆっくりしたい」
うっかり本音がこぼれてしまった。
いまのは無かったことにしなきゃ。
まだまだ浮かれ方が足りないんだな、きっと。
途中でザックをデポって、上河内岳のピークへ登る。
遠くの聖岳を眺めて、小聖岳ぐらいまでは標高を上げてきたんじゃないかなと少し満足する。
ザックをデポったらさすがに体軽いわー、とホクホク顔で登る。
テント泊装備も2日目になるとさすがに体がザックの重みに慣れて、あたかも体重が激減した後にランニングしてるような感覚を味わえる。
ずっと空身だったらまだまだ歩けるのに。
最後の登りだってちょろい。
乳酸が溜まりまくった足が嘘みたいにぐいぐい前へ出る。
上河内岳から爽快な景色
そんなわけで最後の方は軽々と登頂。
念願でもあった上河内岳なので、本気で嬉しい。
へこたれてもそれを乗り越えて山頂に立った時の達成感は、へこたれた者にしか分からないのだ。
遠くの聖岳と比べて、同じかそれよりも高く感じる。
実際には2803m。
聖岳は言わずとしれた3000m峰だからここより200m以上も高いんだけどね。
ここまで目を楽しませてくれた富士山が隠れていく。
ほんと、ここまでよくもってくれたよ。
ただの結果オーライなだけなのに、出発した時間もペースもちょうどよかったなと自画自賛しとく。
振り返ると背後からもガスり菌白タカブが襲来。
間一髪だった。
デポったザックを回収しに戻ってきた。
テントも干しといたから、これで完ぺきに乾いたよ。
南岳へ縦走
お次は右前方に見える南岳がターゲット。
聖平小屋からなら南岳も一つの目標になりそうだけど、上河内岳からなら下り基調の中で出てくるただの通過点って感じのピーク。
南岳へ向かってる途中で赤色チャートが混ざり始める。深海で珪質プランクトンの死骸が堆積しできた岩石。
以前、塩見岳で見たことがあったから覚えてたよ。
こういうのを見つけるのも南アルプスの楽しみでもあるね。
南岳に向かってガンガン下っていく、という表現が正しいかどうかは置いといて、とにかく標高をどんどん下げていく。
さらば上河内岳。
下るのはあっという間。
南岳への登り返しはほぼ無い。
おっさんの縦走2日目もエンディングが近付いてきた感じがする。
マツムシソウ。
ウメバチソウ。
タカネナデシコ。
9月なのにまだ夏の高山植物が咲いている。
南岳に到着。
北岳に比べてずいぶん地味な存在。
聖平小屋へ向けてきのこ下山
南岳は軽くスルーしてガツガツ下っていく。
あとは聖平小屋に向けて下るだけなんだけど、これが意外と長くてね、バキバキに心が折れる。
遠い…。うんざりする遠さで赤い屋根の聖平小屋が見える。
しかもトレイルはザレてて、おっさんを弱らせるには効果てきめん。
とうとうこのゴロゴロ転がる岩に乗っかって派手にすっ転ぶ。
もう無理だ。もう楽しめない。
テン泊のザックがショックを吸収してくれたけど、もう楽しくない。
早く水場で体拭いてテントで横になりたい。
でもここだけは慎重に下らなきゃ。
そろりそろり。左に落ちたら南無阿弥陀仏だよ。
危険エリアを抜け、いよいよ樹林帯へ突入。
ナナカマドの赤い実がたくさんできてるけど、紅葉はまだまだ先っぽい。
もうすぐ14時だというのに下から登ってくるハイカーが何人かいる。
その中でUVカットマスクで顔を覆い、女性以上に日焼けケアをするひ弱そうな男を捕まえて
「聖平小屋でのんびりして、昼ごろ出発したんですか?」
と聞いてみた。
「いえ、今朝芝沢ゲートから聖岳に登って、これから茶臼小屋を目指すところなんですが、聖岳が意外と強かったもんだから、もうしんどいです」だって。
なんだ、おまえも超人かよ!
猛毒キノコでも撮りながら呑気に歩いてる自分とは大違いだな。
こちとらキノコが現れるたびに大忙しだぜ(笑)
どれだけ楽しい登山ができるか、カメラを楽しめるかを優先させるから、雨の日はまず登らなくなったし、ガスった日の山行はブログも書かないことが多いからね。
年々、軟弱になっていく。
ここはドコモがつながるエリアなのね。
せっかく山に来たんだから俗世界と繋がりたくないと思う一方で繋がって明日の天気をチェックしたいし、サッカー日本代表の結果も早く知りたい。
突如、不自然なまでに開放的な場所にでた。
鹿にやられたエリアだろうか。
聖平小屋と聖岳の分岐点に到着。
明日の朝はここを右に折れて聖岳を目指すことになる。
あ、もうすっかり今日聖岳に登ろうなんて気は失せてるよ。
auはすぐそこ、ソフトバンクこの辺だって( ´∀` )
テントを張り終えた後にYahooニュースを見にここまで戻ってきたけど、同じようにスマホを片手に彷徨う人が4人いたな。
やはり俗世間から切り離すのは難しい。
木道がでてくるということは小屋はすぐそこ。
聖平小屋でのんびり過ごす
13:00
あんなに遠くに見えてた赤い屋根だけど、一歩一歩進めば着くもんだな。
しかも意外と良いペースで歩けたみたいで、テン場はまだ5張もなかったから一等地に張れたよ。
もう今日はガスが出てしまったし、聖岳には登らないからのんびりしまーす。
山でコーラは欠かせない。
ここでしっかりゲット。
食堂やっててくれてた!
たくさん飯は持ってきたんだけど、とにかく手っ取り早く白飯が食べたくて中華丼を注文。1杯1,000円だったよ。
キベリタテハ。ベンチでくつろいでたらしばらく離れずに隣に止まってた。
越冬する蝶らしいよ。
聖平小屋のトイレはなんと水洗。
洋式で臭くなかったし、まさに天国トイレ。
こんな山奥にある県営の小屋で、本当にありがたいこっちゃ。
しばらくすると続々とテントが増えてきたけど、最終的にはここから10張ぐらいしか増えなかったな。
フラットで水は豊富だし、天気の良い土曜でこんなに空いてるんだから、ここのテン場はこれまで見てきた中でもかなり上位だよ。
20時頃にはライトを消して寝ようとしたんだけど、この日は不思議とあまり寝付けなかったな。
それでもすぐ隣を流れる沢の音に耳を立ててたら21時頃には記憶が飛んだけどね。
振り返って
テン場で知り合った猟師さんは静岡県からの要請で鹿の生息調査を目的に聖平小屋に来たとのことで、聖平小屋には何度も来てるけど聖岳には一度も登ったことがないなと笑ってたな。
いろいろ楽しい話を聞かせてもらったけど、南アルプスは間ノ岳までが静岡県だと聞いて、
えっマジ?あそこら辺って山梨県じゃないの?
と、しこたま驚いたよ。
山梨県には南アルプス市だってあるし、それに山梨県白州のサントリー工場では南アルプスの天然水が作られちゃってるんだからね、日本全国「南アルプスは山梨県」っていう頭になっちゃうよ!
でも実のところ山梨県は甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山、北岳ぐらいしかなくて、地図で見るとたしかに間ノ岳以南の南アルプスの稜線は静岡県なんだよ。
もう一つ驚いたのが、静岡県の山小屋はぜんぶ県営なんだそうだ。
もちろん小屋の運営自体は東海フォレストなどに委託してるけど、静岡県営の小屋が多いのはそういうわけらしいです。
で、ひとたび稜線から西に外れると長野県になるから三伏峠小屋なんかは民営になるんだそうです。
そう考えると静岡県の登山者、山岳界への貢献度って高いよ。感謝しなきゃだよ。
そんなことをあまり表立ってアピールしないところも静岡県の心意気みたいなものを感じる。
アピールする場ってなかなかないけど。
南アルプスを貫くリニアの工事も最後まで抵抗したのは静岡県だもんね。
なんか少し見方が変わりました。
いよいよ明日は聖岳登頂。
晴れることを祈るばかり。
ではでは