【北アルプス】赤牛岳後編 水晶岳と黒部源流を確信歩き 力汁で乗り越えるおっさんの壁

【北アルプス】赤牛岳後編 水晶岳と黒部源流を確信歩き 力汁で乗り越えるおっさんの壁

始めないと始まらない。

 

なにそんな当たり前のこと言ってるのかというと、おっさんになるとあれやこれやリスクばかり考えてしまい、なかなか踏ん切りがつかなくなるものなのよ。

仕事でもなんでも、Go or No goで迷った時は必ず思い出すようにしている大事なモットーみたいなもので、まずは踏み出してみなきゃなと。

チャレンジなんて結局その過程の頑張り次第で結果は劇的に変わってくるし、うまくいかなければトライアンドエラーを繰り返せばいい。

 

職場にいるんだよね。警鐘を鳴らすだけで、失敗したら「ほら!言ったでしょ!」って言ってくる嫌な奴。

 

うぐぐ…ってなるけど、でも何も始めなかった人より絶対着地したところは前いた所より前進してるからね。

トライした時間に無駄なことなんて何もないんだから、自分は失敗を責める人より、挑戦する人を応援する人でありたいと思う。

 

 

というわけで、赤牛岳にチャレンジしたおっさんのなれの果ての姿がこれだ。

さあキングヌーチャレンジ後編どえす。

 

おっさんの壁を越えたらいったい何者になれるのか。

ねえクララ、あたしアルプスの少女廃人になっちゃったみたい、うふっ。

 

 

さて、赤牛岳のことに軽く触れておくけど、北アルプスの最深部にある水晶岳のもっと奥にある日本二百名山で、どこからアクセスしても1泊以上かかるため往復で最低2泊はみとかなきゃいけない鬼畜な山。

やんちゃな山ヤロウはワンデイに挑んだりするけど、それでも深夜0時に出発してところどころ走っても、その日の夜中に帰ってこれるかどうかという恐ろしいロングコース。

 

間違いなくここは北アルプスの最難関。

 

そしてこの山はそのまんまだけど「レッドブル」という愛称で知られてて、みんな親父ドリンクを片手に登るというのが定番だったりする。

中には赤べこを持ってきたり、赤ふんどしで踊ったり…。

まあいろいろ。

 

後編は赤牛岳から水晶岳を越えて黒部源流経由で三俣山荘へ戻り、その翌日は三俣蓮華岳経由で新穂高温泉に下山する長い道のり。

 

頑張った自分を神様が憐れんでくれたんじゃないかと思ってしまうほど天気に恵まれた。

では、前段が長くてすみません。

 

前編はこちらからどうぞ

【北アルプス】赤牛岳登山(前編) RedBullチャレンジ!青春の牛丼と世のおっさん最強説

 

ルートとコースタイム

■2023年9月16日~17 ※カッコ内は標準コースタイム

鍋平登山者駐車場⇒(40分)⇒新穂高温泉⇒(80分)⇒わさび平小屋⇒(235分)⇒鏡平山荘⇒(140分)⇒双六小屋⇒(140分)⇒三俣山荘

1日目:コースタイム:10時間35分(休憩含まず)

 

三俣山荘⇒(70分)⇒鷲羽岳⇒(85分)⇒水晶小屋⇒(35分)⇒水晶岳⇒(155分)⇒赤牛岳⇒(165分)⇒水晶岳⇒(35分)⇒水晶小屋⇒(95分)⇒黒部川源流の碑⇒(40分)⇒三俣山荘

2日目:コースタイム:11時間20分(休憩含まず)

 

三俣山荘⇒(55分)⇒三俣蓮華岳⇒(50分)⇒中間道分岐⇒(60分)⇒双六小屋⇒(80分)⇒弓折乗越⇒(40分)⇒鏡平小屋⇒(160分)⇒ワサビ平小屋⇒(65分)⇒新穂高ロープウェイ

3日目:コースタイム:8時間30分(休憩含まず)

 

総距離 54.3キロ、累積標高上り 4,360m

 

赤牛岳(後編)

赤牛岳山頂

前編あらすじ

新穂高温泉から入山し、初日は三俣山荘までなんとか歩ききって無事にテントを張ることができた。

今思い返してみても初日がとにかくしんどばっど。

その初日を計画どおりに歩けたから、2日目の赤牛岳登頂の成功が確信できてたんだけど、鷲羽岳と水晶岳を越えて、まだまだはるか遠くに見える赤牛岳に膝から崩れ落ちた。

 

それでもなんとか息も絶え絶えに目的の赤牛岳を踏破し、お約束のレッドブルで乾杯を果たす。

 

もう体力なんて残ってないけど、どうやって三俣山荘に戻る?

では、後編です。

 

 

呼吸が整ってくると登頂できた達成感が猛烈に襲ってきて、感動に浸っていた。

赤牛岳山頂からの絶景がこれ。

左から槍ヶ岳、穂高、真ん中に水晶岳と鷲羽岳が重なってて、笠ヶ岳がおぼっちゃまくんで、黒部五郎岳とともだちんこ。

 

こっちは裏銀座の稜線。

天気にも恵まれたし、赤牛岳にチャレンジしてほんと良かった。

もっと歳取ってたら登れなかったかもしれないしね。

 

やり遂げたんだなぁとまったりしてたけど、忘れてはならない。

 

ここは超人とド変態が集結する北アルプスの最深部だということを。

 

そう、この男もその1人。

片隅で股間をもぞもぞしてるやばい人がいると思いきや、いっちょやるかと、博多祇園山笠ばりのふんどし姿で現れた山賊。

 

 

ガーハッハッ!!と巧みな操作でドローンを上げたと思えば。

 

 

ドローンに向かってガーハッハッ!!

 

まさに令和に生きる黒部の山賊、鬼窪善一郎。

 

これをやるためだけに、重量物のドローンを担いできたという彼のふんどし姿に涙が止まらない。

全ての男が手本とすべき御仁である。

始めないと何も始まらないぜー。まるでそう語りかけるかの様にドローンへと繰り出されるふんどしダンス。

 

彼と同じ時間を共有できて僕は幸せだ。

 

写真撮っていいですか?にも快くOKしてくれる器量のデカさ。実に気持ちの良い山賊だった。

 

 

そして5分後、祭りの後の静けさ。

 

あれだけ達成感に包まれていた山頂に虚無感だけを残し、山賊は去っていった。

 

 

槍も、

 

 

笠も、

 

 

薬師も、あの令和の鬼窪善一郎が立ち去った後ではみんな虚無。

 

 

黒部ダムが見える。山賊はあそこまで下って岩魚を釣るという。

またどこかの山で出会えることを楽しみにしている。

YouTubeをやってるから観てください!とのことだったけど、

検索しても出てこないから探すのやめた。

 

ふー。虚無ってるぜ。

 

 

隣の稜線には裏銀座の出発点となる烏帽子岳。

こうやって見るとイボみたいな小ささ。

 

赤牛岳まで来れば遠くに富山湾すら見えるのか。

 

 

立山をアップにしてみれば浄土山と雄山の間からひょっこり剱岳が姿を見せてる。

 

こんな絶景より、赤ふんどしの光景の方が何倍も心に残っている。

ふー、すっかりあの男のファンになっちまったぜ。

 

水晶岳へ

さてさて、帰りも長い。

レッドブルを一気飲みしたせいで元気になるどころかだいぶ気持ち悪い。

おっさんの胃には少し刺激が強すぎた様だ。

1年前の裏銀座縦走中に胃もたれで気持ち悪くなってからというものの太田胃散を常備しててすかさず投与。

レッドブルで胃薬が必要になったなんて聞いたことないぞ。

 

赤牛岳らしい土の色。火星みたいだな。

 

 

分かっちゃいるけど水晶岳は遠い。

しかも赤牛岳からだと上り基調なんだよね。

 

振り返る赤牛岳。

前編では赤牛岳って水晶岳と比べたら貫禄負けしてるよなとか、背後にそびえる立山の引き立て役でしかないよなとか、散々なことを書き連ねてきたけど、登れてほんと良かったよ。

 

 

そんなことを言った自分に罰が当たったのか、ガレ場で痛恨のルートロス。

正規ルートへ修正するのに少し登り返した。

半端なく疲れてるからほんのちょっとのルートミスで精神的ダメージはアルマゲドンクラス。

 

この先登るのが分かっているのに下っていくという切なさ。

桑田佳祐の歌詞にありがちな「別れるために出会う2人〜」ってのと同じ道理。

ぜんぜん違うか。

 

 

間違いない、ここを登りきったら自分の上に死兆星が輝くだろう。

 

汗が、汗が止まらない。

けつ汗を 集めて早し 黒部川

 

自分の流したけつ汗を黒部源流の一滴に捧げる。

こんな試練の場面でも自ら水を分け与えて少しでもアルプスの水不足に貢献しようという心意気に、我ながら胸が熱くなる。

 

水晶が見つけると少しずつ水晶岳に近づいてきたことを実感させる。

つかこれ、いつもの知ったかぶりで水晶じゃなかったりして。

 

そんな感じでのらりくらり歩きながら、鬼畜な登り返しへ必死に挑んでいる。

 

ところがである。このなんでもない岩場でバランスを崩して怪我を負ってしまった。

手のひらを擦りむいちゃって、泣けるぐらい痛いし、あろうことかトレッキングポールを握れなくなってしまった。

 

これはチングルマの紅葉かな。

手のひらの流血と同じ色だ。想像しておくれ。

 

斎藤佑樹と斉藤由貴ぐらい紛らわしいけど、このピークは水晶岳ではない。

冨安と篠原ぐらい紛らわしいけど、これは偽ピークなのだ。

 

くたくたになった。。

やっと高天原山荘との分岐までやってきた。

まだ細かいアップダウンは続くけど、ここまで来れば警戒すべきは水晶岳への登りだけ。

 

 

ここで手のひらをバンソーコーで処置。これでトレッキングポールが握れるぜぇ。

痛いよ。

 

どう考えたってポールの手助けなしでこれは無理なのだ。

以前、登山に疲れたり窮屈に感じられたらピークを目指さず散歩にすればいいんだよとどこかで書いた記憶があるけど、ここまで決たら登らないと帰れない。

 

登山が窮屈に感じるというのは、本来自由に自然と親しむというのが山遊びの本質みたいなものだと思うんだけど、ついついピークを踏むことにばかりにこだわってたり、無理してコースタイムを縮めて長い距離を歩いたり、なんかそういう目的達成ばかりを意識した登山が続くと、自由を奪われた感じになっちゃって精神的に疲れちゃうんだよね。

 

登山を始めた頃は大きな岩を見たり、鹿やオコジョを見たり、なんなら杉林に日が差しこむ光景だけで癒やされちゃったもんだけど。

次は軽いハイキングでリセットしなきゃな。

 

 

さすが水晶岳、これぞ百名山という貫禄。

百名山に選定された山の中には疑問符が付くものもたくさんあるけど、これは文句なしで特別な山だよね。

ちなみに百名山を全部歩いた訳では無い自分が言うのもなんだけど、八幡平と美ヶ原は謎だよね。だったら絶対に由布岳とか大天井岳の方が良いと思う。

 

まだ雪渓が残っている。この氷の厚みって何メートルぐらいあるんだろう。

 

ふぅふぅ、ふぅ~、ふぅふぅ、ふぅ~と、いつものラマーズ法で登っていく。

立ち止まれば、谷底から吹き上げてくる風でケツ汗が簡単に乾く。

 

この脱糞ものの急登に立ち向かえるのも、やはり水晶岳が強烈に放つ貫禄に触発されて登頂意欲が掻き立てられるのに他ならない。

そしてあの赤ふんどし。今思い出してもパワハラだ。

そんなわけでついニヤつきながら登ってしまっている。

 

 

登りきった。

ここは水晶岳北峰。

 

 

そして北峰より10mほど高くて標柱のある南峰。

この古びれた標柱がなんともアルプスの最深部に来た感じがあって個人的には気に入っている。

本日2回目の登頂というわけで、山頂からの写真は前編で既にたくさん紹介してるし、ここはさくっとスルー。

 

水晶小屋の力汁

そして水晶小屋へ向けて移動開始。

水晶岳って水晶小屋から楽に立ち寄れちゃうイメージあるけど、そんな簡単な距離じゃないから。

 

水晶岳から下山を始めると異様に雲が増えてきた。

午後から雨予報だったから予想はしてたけど、少し早めに降り始めちゃうかもな。

 

 

黒部の山賊は三俣から赤牛岳を越えて沢まで降りて岩魚をたくさん釣って、その日のうちに三俣まで戻ってきたという。

そんなのありえませんて。。

 

ホシガラスが横切る。

登山をしていれば珍しくもなんともないホシガラスも、山に登ってないと決して見ることのできない鳥。

ありがたいとか全く思えないぐらいたくさんいるんですけど。。

 

そして、本当にありがたいのはコレ。山に登ってないと絶対に味わえないグルメ。

ちからぢる!!!

山小屋メシ1位確定!!

相変わらず美味いね〜ほんと

水晶小屋のテラスで食べると、トイレ臭が漂ってくるから小屋の中で食べさせてもらうのがおすすめ。

 

でもテラスからだとこの絶景が見れちゃうんだよね。

てなわけでトイレ臭をチョイス。ずーっと歩いてきた鬼畜アップダウンと赤牛岳がチャージ料無料で見渡せちゃう。

 

ちから汁うまっ!くさっ!と思わずうなっちゃうこと間違いなしなのだ。

 

ちなみに前回は雨だったから小屋の中で熱々を食べたんだけど、今回は外だからか少しぬるくてそれがちょっと残念だったかな。

おっさんになると風呂もご飯も熱々が好きなのだよ。

 

黒部川源流で鷲羽岳を巻く

まあともかく力汁で満たされて、水晶小屋からワリモ分岐へ移動。

力汁のお陰で元気になれたから鷲羽岳に登っても良かったんだけどね、せっかくだからワリモ分岐からまだ歩いたことのない黒部源流の方へ巻いて三俣山荘に戻る。

 

 

おお、何度見てもでっかい鷲羽岳が見えてきた。

あんな悪魔みたいにでかいとさすがにたじろぐな。

 

ここらへんはだいぶ紅葉が進んでいる。

鷲羽岳には登らないと決めた途端、なんて体が軽いんだろう。背中に羽が生えたようだ。

登らないという決断一つでこんなに浮かれられるなら登山なんてやめたらいい。

 

 

ワリモ北分岐に到着。

ここで黒部源流へと足を向ける。

 

 

さあここからは下りだ。まるで天国。

 

 

天国に似つかわしく可愛らしい花も咲いている。

チシマギキョウ。

 

 

こちらはイワツメクサ。

 

赤牛岳までの稜線はゴロゴロした岩場と赤土みたいなトレイルで高山植物はぜんぜん咲いてなかったし、なんか雰囲気が違う。

 

岩苔乗越を黒部源流へ。

 

 

まだまだ下る。

ガッハッハ〜、下って巻くってサイコー。

 

振り返るとこんなに下りてきた。

 

耳を澄ますと左の沢にちょろちょろ水が流れる音が聞こえてくる。

いよいよ始まるのか?

 

これだ。

これぞホンモノの源流。

はっきり言って福岡からはるか遠くの黒部川なんてまったく馴染みはないんだけどね、どんな川でも始まりの一適が見られるのは嬉しいものだ。

 

あれ、まさか。あの高いところに見えてるのって三俣山荘だよね。

あんな上に見えるのって何かの間違いじゃね?

下って鷲羽岳を巻いたら山荘に着くぐらいの感覚だったのに、あんな登るの?

 

 

マジか、まだ下るし。

 

狂ってる。

 

山登りする人って狂ってるー。

 

これはもしかしたら鷲羽岳に登った方が楽だったのかもしれない。

 

ふとそんなことを思って、左に見える光景を見て即座に否定した。

なんちゅうデカさ。

あれに登ってたらぜったい死んでたな。

 

前に鷲羽岳から三俣山荘への下りが長過ぎて途中でへこたれたのを思い出した。下りでバテたのに、今の自分が登れるはずがない。

 

やっぱり黒部源流の選択は間違いではなかったんだ。

 

だいぶ立派な川になってきた。

我が子の成長を見ているかの様だ。ちょっと雨が降っただけで暴れ狂う川だと聞いている。

 

 

ここから登りが始まるのね。

 

あったあった、黒部川水源地。

やっぱこういう碑がないとカッコつかない。墓石みたいだけど。

 

黒部川源流の碑から眺める山々。

この谷に水が集まるのが良く分かる地形だな。

 

 

えっさほいさ登る。

鷲羽岳に登るのよりぜったいに、ぜったいにこっちの方が楽なはずだとつぶやきながらひーひー登る。

途中、「湧き水」という標識があって美味しい水を2リットル汲んで、己の首を締める。

 

なんて美しい景色なんだろう。

やっぱり良い山は遠くから眺めるぐらいがちょうど良いね(笑)

 

紅葉が始まった9月中旬頃が赤牛岳チャレンジの最適期。

これ以上暑かったら無理だった。わざわざ激混みのシルバーウイークにやって来た甲斐があった。

 

とは言え誤魔化しようもない激登りが続く。

本日のラストヒーヒーだ。これを乗り切ればテントで横になって休める、頑張れ。

 

おっさんの向こう側へ。

おっさんの壁を超えるべく始めた今回のチャレンジ。その先にはいったい何があるんだろう。

ジジイだよ!

 

疲れたら止まればいい。おっさんには遠足みたいな登山がお似合いなのだ。

ワンデイでチャレンジする人はほんとすごいよ。

 

これまで登山を通じて出会ってきた方々から、テクニックというか登山で役立つ知恵を分けてもらう機会がたくさんあったけど、そういうのって杓子定規なマニュアルがあるわけでもないから、どんな状況でうまくいったとか、一つ一つのシチュエーションの話題にならないとなかなか良い知恵を授かることは難しい。

 

ロープワークとかは技術だからどこかで習えるけど、例えば雨が降ってきてテントの前室の濡れないところに靴を避難させても、泥の跳ね返りでびちょびちょになったとか、そんな失敗事例とか。

ビニールに入れるかテントの中に収納しなきゃいけないなんて、そんな当たり前なことも最初のうちは分からなかったりする。

ここで言ってるのはそんな些細なこと。

誰かの知恵に授かるときは、その時の失敗を話さないとね。

そもそもアウトドアは経験の蓄積以外になかなか学ぶことができないものだから、寒さ対策やシャリバテ対策も、一つ一つの失敗は無駄ではないのでござる。

 

そして、ここで自分は一つ学んだ。

鷲羽岳の巻き道はこれまで経験してきた巻き道の中で一番登るということ。双六岳の巻き道もなかなかだけど比にならない。

 

どうでもいいけど、Apple MusicからYouTube musicに変更していまいちだなぁと思って使ってたんだけど、最近は少しYouTube musicを見直してる。

YouTubemusicにするとYouTubeで広告が出てこないことぐらいがメリットかなと思ってたけどね。

そんなYouTube musicがあなたにおすすめの曲として提案してくる曲がなかなか渋くて、たぶん間違えた提案なんだけど、それが新鮮でいい。

 

最近ではぜんぜん好きでも嫌いでもない、どうでもいい存在の米米CLUBの浪漫飛行が流れてきて、

 

「飛び回れこのmy heart(舌まるめすぎ)」

 

の発音の気持ち悪さが懐かしかったりする。

ああ、やっぱりカールスモーキー苦手だなと。

 

でもよーく聞くとシンセベースの音がなんとも心地よい。トラックが薄いのもむしろ考え抜いてシンプルにした感じでかっこいい。

まあそんなわけでYouTube musicじゃなかったらもう一生聞くことのなかったであろう米米CLUBも、こうやって聞いてみると食わず嫌いだったなと感謝してるわけです。

 

CDを買い漁った世代の自分からすると、こういう配信サービスはいろんな楽曲に触れるチャンスをくれるからほんとありがたいなと思う。

テントでもオフラインで音楽が聞けるからね。

 

 

そんなことを考えているうちに三俣山荘に帰ってきた。

こうしておっさんのロマン飛行もこれで無事終了。

 

なんとか赤牛岳チャレンジが成功できて、やりきった感はあるよね。

立派だった水晶岳と赤ふんどしのおっちゃんの記憶しかもはや残ってないけど。

 

 

三俣に着いてしばらくすると雨が降ってきたからすぐテントの中に入ると、近くにテントを張っていた関西弁のおっちゃん2人の会話が面白くてね、しばらく楽しませてもらった。

そして雨上がりの夜空がね、これまた素晴らしかった。

 

再びぐっすり寝落ちして、目を覚ませば朝。

朝と言ってもまだこんな星空なんだけど、適当に星空撮影をしてみても簡単に満天の星空が撮れちゃう。

 

そして3度寝に突入。

何度でも寝れる。

 

晴れた三俣蓮華岳を狙う

3度寝から目を覚ますともうすぐ朝日が昇りそう。

今日は新穂高温泉へ下山するだけだから、のんびり起きて明るくなってからテントを撤収する。

 

曇り予報だったけど晴れそうだな。

晴れるなら、、

もしかして4度目にして晴れの双六岳をゲットできるかもしれない。

 

明るくなったらなんか雲増えてね?

テントをのんびり撤収しているとすっかり明るくなった。

 

長野側はすっきり晴れてるんだけどな。

 

岐阜側はガス。

それにしても3連休の最終日だというのにみんな朝が早い。まだ5:30だというのに、テントは1/3も残ってないじゃないか。

 

3日目が始まった。

 

ピッカーン。

山の朝は美しい。何度も同じこと思うけど、これを見ると毎朝5時に起きる生活スタイルに変えようかなと思う。

でも現実は早い時間に寝た分長く寝れるぜーって寝ちゃうからね、意味がない。

 

あれ、さっきまで見えてた槍ヶ岳が穂先だけ出して隠れちゃったな。

もっと早く写真撮っとけばよかった。

 

雲が多くなってきたけど、そこそこ良いコンディション。これなら双六岳いけるかも。

 

紅葉が始まりだした斜面に日が差す。

こういう山の風景を切り取りつつ、既に歩き始めている。

 

まずは三俣蓮華岳へ。

一人分の通り道しかないハイマツ帯に当たり、朝露でびちょびちょになりながら登っていく。

朝はこれがつらい、。

 

三俣峠。

ここにザックをデポして山頂だけ踏んで戻ってきて、巻き道で双六小屋に行くこともできる。

巻き道のアップダウンについては前編で書いたけどかなりえぐいから、三俣蓮華岳に登って中間道で下山するか、ガスの状況次第で双六岳へ行くことにするよ。

 

遅ればせながら、今年初のライチョウを発見。

 

そしてライチョウが現れるということは、どういうことか。

果てしなくガスガス。

人生2度目の三俣蓮華岳はこれで2敗目。この山とも縁がない。

メインの赤牛岳がめちゃくちゃ晴れてくれたからその反動だろうか。運なんて結局とんとんに落ち着くもんだ。

 

双六岳を巻いてゲッザーン

なんだこれは。わずか10mぐらいしか視界が効かないじゃないか。

神様はそうまでして自分の双六岳登山を阻止したいのねん。

絶対に晴れないなと、ここから大谷ばりの確信歩き。

 

うんこかと思ったらなめくじだった。

自分の双六岳はどうせうんこなめくじぐらいしか見せ場はないんだとがっかりしていると、

前から歩いて来た若い女性から「すぐそこにライチョウがたくさんいましたよ!」と嬉しそうに教えてくれて、おっさんは色めき立った。

 

激しい羽音が聞こえた。

たった今、8羽ほどいたライチョウが自分が着く直前にバババッと大きな羽音を立てて飛び立ってしまったのである。

そんなことある?

 

放心している自分に、それまでさんざん写真を撮りまくってたであろう若い男が満足気に語りかけてきた。

 

「雛ももうだいぶ立派に育ってて、もう雛とはよべないぐらいでしたね」

「もう親離れするのも時間の問題ですよ、あれは」

 

直前で逃して肩を落としている自分にそんなことを言ってくるこいつはアホなのか。

 

つか、ライチョウが一斉に飛び立ったのも、そもそもお前が寄り過ぎたからじゃないのか?

 

くそっ。

 

 

双六岳はぜったいに晴れないから、中間道を確信歩きすることにした。賢明な判断だ。

登って4敗目を喫するより、登らずに引き分けとし、4戦3敗1引き分けにする。

 

中間道はそれほどアップダウンがあるわけでもなかったし、それでいて草紅葉が広がって良い道だったな。

 

やっぱり双六岳を巻いたのは正しい選択。

もしかしたら山頂だけは晴れてたりして、とか思いたくない。

ガスレ、モットガスレ。

 

 

ベルーナドームみたいに屋根との隙間から明かりが差してるし(西武ドームね)。

夏は暑く、冬は寒い、ファンからだけでなく選手からの評判が最悪なベルーナドーム。

活躍した選手が早く移籍したがるのは球場に問題があるのは間違いない。

 

 

撮影を楽しんでるから、巻き道なのに双六岳に登った人とあまり変わらないペースなのはいつものこと。

 

 

フィルムシミュレーションをクラシッククロームで枯れた草原をもっと枯らす。

 

 

ここからガツンと登らせるのかと思いきや左へ巻いていく。ナイスなコース取りだ中間道!

 

ベルーナドームに光が差した。

神々しいじゃないか。

 

チングルマの綿毛が軽く気持ち悪い。

 

 

巻き道分岐に到着。

中間道は良かったな。そりゃ多少アップダウンはあったけど許容範囲内。

 

双六小屋は大盛況。

三俣山荘に比べてさすがにみんな出発が遅い。

初日に自分なんかが三俣山荘まで歩くことができたのも双六小屋と鏡平山荘が途中にあるおかげ。

この絶妙な位置で水を確保できるのが、ほんとありがたい。

 

この広大なテン場。

ぞろぞろとテントを撤収している。

 

 

そんな訳で双六小屋からは渋滞。

最初ハイカーの列の中を歩いたけど、真後ろを歩くおっさんの熊鈴の音がうるさ過ぎて早々に列から離れた。

 

少し距離を取って、のんびり歩く。

久しぶりに聞く、ソーシャルディスタンスってやつ。

 

 

行列はまだまだ続く。

近付きすぎたら、休んで50mほど前後と距離をあけるというのを繰り返しつつ進む。

 

 

これだけガスってたら、少し日が差せばブロッケンになりそうだけどなぁ。

 

 

下の方はガスが晴れて鏡平が見えた。少しずつ天気は回復してる感じなんだな。

 

 

弓折乗越に到着。

何度もこのルートは歩いてるんだけど、双六小屋から西鎌尾根行ったり笠ヶ岳へ行ったりしてるから、実は下りで歩くのは始めてなんだよね。

 

登りは気が張ってるけど、下りだとめちゃくちゃ長く感じそうだな。

 

槍ヶ岳のガスが取れてきてみんな一斉にスマホを向ける。この瞬間がたまらない。

スマホだと頑張って歩いた分、損してるよ。

 

鏡平山荘に到着。

ここからまだ長いからしっかり食べておこうと、初日に食べた牛丼を注文する気満々で突入。

 

売り切れかよ!!!

残念ながら、カレーしかなかった。

三俣山荘の欧風カレーが山小屋のカレーの中ではチャンピオンだけど、鏡平のカレーも野菜が大きくて美味しかった。

 

さて、登りではガスの中だった鏡池はどんな感じだろう。

ベリーグッド!!

少し風があって波立ってたけど、それでも上出来。ガスがうごめく感じもすごくいい。

 

そして、よくこんなに長い距離を登ってきたなとうんざりする下りは続く。

日が差すととにかく暑男(アツオ)だ。

 

すっかり枯れてしまった秩父沢。

日当たりが良すぎて間違えて露出を絞りすぎたから暗くなっちゃったけど、ここが猛烈に暑かった。

だけどどうしてもザックを下ろして座りたかったから、日なたで少しだけ休憩。もはや罰ゲームの様相。

 

 

下に舗装路がやっと見えてきたけど、これがまだ意外と長いのよ。

 

 

靴底がベロンと剥がれてしまい、なんてことないところでも滑って大変。

疲労もあってもう歩けない(ToT)

 

 

それでも歩みを止めずにいるとやっと戻ってきた。

 

 

ここからは舗装路。

足取りは重い。すっげーちかれた。

 

 

ねえクララ、あたしアルプスの少女廃人になれたかなぁ?

いや、アルムおんじだな。ガーハッハッ。

おっさんの限界の先はおんじ。間違いない。

 

 

ハアハア、ひーひー。

 

実はわさび平小屋から猛烈なハイペースで歩いて来た。

7月に来たときは運休してた新穂高ロープウェイがこの日は動いてるという情報を聞き、12:30発に間に合わすべく、わさび平小屋から軽いジョギングぐらいのハイペースで飛ばしたのだ。

 

それにしても前を歩いてた女性が早すぎて、ぜんぜん追いつけなかったな…。いったい何者?

 

12:25。間に合った。

30分間隔だから無理せず13時発でもよかったんだけど…。

よっしゃー!これで鍋平まで登らなくて済むぜぇ!と、鍋平に登るよりゼーゼー息を切らしながらロープウェイ乗り場へ雪崩れ込む。

まったくなんのこっちゃ。

今振り返っても、3日通してここが一番疲れたかもな。

 

500円近いソフトクリームに並ぶブルジョワたちを尻目にくたくたになっている。

さっきまで山で1.000円以上するカレーや牛丼をガツガツ食べていた男とは思えないほど、途端に財布の紐は硬くなる。

なんなら下山後のコーラさえ我慢した。

下界では誰よりもケチだぜ。

 

 

下戸の自分にはまったく縁のないお土産を眺めて帰ったよ。

ここまでたくさん書いてきて、最後はこの雑な終わり方。

完。

 

 

振り返って

お~いい写真じゃないの。

でもこの人、自分じゃない(笑)

いい感じの被写体だったからすかさず撮らせてもらっちゃった。

 

 

さてさて、赤牛岳に登ったのは9月中旬なのに書くのが遅くてもう10月中旬。すっかり秋めいてきて、流行りの先取りなのかなんなのか知らないけど、マフラーを巻いた日焼けオヤジを地下鉄で見かける様になった今日この頃。

 

もう北アルプスでは雪が積もったというのに、このブログを書いてて灼熱だった赤牛岳登山の記憶は薄れることはない。

あの地獄の下山・・まさに暑男(あつお)だったわ。

 

 

振り返ってみれば今年のチャレンジは、谷川馬蹄形に始まり、裏岩手縦走、そして赤牛岳と、なかなか破天荒だったな。

この3つのチャレンジの中で一番大変だったのは谷川馬蹄形だったけど、初日の新穂高温泉〜三俣山荘はそれに匹敵する難しさだった。

 

 

 

本気で力汁の味を再現したいんだけど、からっきし料理ができない自分には不可能。また行くしかない。

 

常々書いてるけど、ピークを踏むことは北アルブスの魅力を語る上で大した意味を持たない。このどでかい山塊をどのルートで歩いたかが大事。

初日は三俣で倒れこむぐらい疲れたけど、テント泊装備で新穂高温泉から三俣まではなんとか歩けるってことが分かったし、次もきっと歩けるだろう。自信がついた。

 

三俣蓮華岳、双六岳はね、もう絶対に絶対に晴れないんだよ。。それもよく分かった(笑)

 

三俣蓮華岳は初日に立ち寄ってたら晴れてただろうけど、それが悔やまれる。

まあこういう出会いこそまさに縁がなかったと割り切るしかない。ビークを踏むなんて大した意味を持たないんだ。

うぐっ、ピークを…踏むなんて…うぐっ(T_T)

 

 

山は逃げないからまたいつか企画して再訪しよう。歩けるの分かったし、また力汁食べたいし。

 

ではでは


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