【東北】秋田駒ヶ岳 シン・ゴリラが成敗してやる!ムーミン谷はチングルマとバイケイソウがギガ満開 花見登山

【東北】秋田駒ヶ岳 シン・ゴリラが成敗してやる!ムーミン谷はチングルマとバイケイソウがギガ満開 花見登山

「泣く子はいねがー!」

厳しい秋田の冬の風物詩と言えば、「なまはげ」。怖い鬼のお面をかぶり、包丁を振り回し、厄払いをしたり、怠け者を諭したりする。

 

だが7月という真夏に、ピッケルを片手に暴れまわる秋田の妖怪「ピッケルジジイ」をご存知だろうか?

 

「どかねー奴はいねがー」

 

この妖怪は、自分の前を遮る者に対し、容赦なくピッケルを振り回す。

なんという傍若無人ぶり。

 

ここは秋田駒ヶ岳。

ムーミン谷に咲くチングルマを見に、ハイカーが大挙して押し寄せる。

そして老若男女、ムーミン谷の高山植物と山頂からの眺望に惚れ惚れしている。とても平和だ。

ムーミン谷と言う通り、谷なだけに道幅が狭い。

 

コツっ。コツっ。

 

そんな狭い谷の木道で、最も会いたくない妖怪、ピッケルジジイが現れた。

 

年期の入ったウッドのピッケルを木道に突き刺し、周りを威嚇しては手当り次第に睨みつける。

 

泣きわめき、逃げ回るハイカーたち。あまりの恐怖に逃げることを諦め、死を覚悟しているご老人もいる。

 

平和な登山が、一気に恐怖のどん底に叩き落された。

 

 

「どかねー奴はいねがー!」

 

「オラの言うこど、聞がね奴はいねがー!!」

 

 

この傲慢な妖怪を前に、一頭のゴリラが立ちはだかった。

 

うほっ、うほほーーい!!

 

成敗してやる!!

 

いま、秋田の平和をかけた戦いが幕を開ける。

シン・ゴリラ。

カミングスーン(続きは本編で)

 

ねえムーミン こっちむいて♫

恥ずかしがらなーいーで〜♪

うほっうほっしなーいーで〜♪

 

はい、山の話に戻しまっせ!

 

7月初旬、ここ秋田駒ヶ岳は神がかり的チングルマと、ワンダホーなバイケイソウがダブルブッキング状態!!

そんな百花繚乱な秋田駒ヶ岳の中でも、チングルマがもりもり群生しちゃっているのが「ムーミン谷」なのだYo!

日本で山登りしている者ならば、一度は、

見るべし!

訪ねるべし!!

歩くべし!!!

べし!

 

てな訳で、東京からここ秋田駒ヶ岳まで約600㎞の道のりを移動してきたゼイ!

(福岡から数えたら、1,600km!!!)

 

さあ、浮かれる準備は整った!大いに壊れるぞー!エモい写真たくさん撮るぞー!

宇宙規模で秋田の魅力を伝える所存ソン。

お楽しみに!

 

秋田駒ヶ岳の最高峰は男女岳(おなめだけ)の1,637m。日本二百名山、花の百名山。

今回は夏の秋田コマをディスカバ!

 

ルートとコースタイム

■2022年7月3日 ※カッコ内は標準コースタイム

八合目小屋⇒(85分)⇒男女岳⇒(35分)⇒男岳⇒(40分)⇒ムーミン谷⇒(70分)⇒横岳⇒(20分)⇒横森岳⇒(35分)⇒八合目小屋

コースタイム:4時間45分(休憩含まず)

総距離 9.1キロ
累積標高上り 730m

秋田駒ヶ岳登山 本編

アルパこまくさからシャトルバス乗車

「夢枕」とは、死んだ人が夢に現れて何かを告げること。

誰でも楽しい夢が見れてしまう寝心地サイコーの枕だと勘違いしていたボケボケな自分がいるここは、アルパこまくさ。

これは夢か幻か。憧れ続けてきた秋田駒ヶ岳が目の前にそびえているじゃないの。

時刻は朝の6時。

例年より早い梅雨明けのお陰で、7月初旬にしてご覧の通りすっこーん晴れ。

 

6月から10月まではマイカー規制が敷かれるため、ここアルパこまくさの駐車場に車を止めて、8合目まではシャトルバスで移動することになる。

朝イチのシャトルバスは混むと思い、あえて始発の次のバスに合わせるという頭脳プレーを考えた。

朝から頭がキレッキレだ。

 

というわけで、6:31発のバスに乗車。

全員座れるだけの台数を準備してくれるから、始発でも何の問題も無かったというオチ。

頭脳プレーなんて、ボケボケな自分には向かないのだ。

 

バスに乗り込むと、乗客が思わず「おお〜」と声を上げてしまう狭い林道を熟達したドラテクを駆使して上っていく。

バス同士のすれ違いはとても難しいが、そんな時でも運転手が謎のピースサインを送っちゃうぐらい、仲の良さが垣間見える。

実にかわいいやり取りだ。

2台続いてるよ、のサインではないと信じたい。

 

そしてこのバス、なんとPayPayが使えるなんて最高過ぎ。

財布をザックからいちいち取り出す必要がないのねん。

すばらすぃーサービスじゃ!

 

八合目小屋から登山開始

いざ8合目に着いてみると、SoftBankの電波が通じず、まさかのPayPayが使えないという事態。

ザックの奥底にしまいこんだ財布を慌てて取り出し、現金を準備する間、ちょっと渋滞をつくってしまった。

申し訳ござらん。この場でお詫びするでゴザル。

もし、これを読んだ方は気をつけよーね。

 

渋滞を作っておきながら、誰よりも早く歩き始める。やることがサイテーだ。

バスの乗客が一斉に歩きだしたらトレイルが混むからね、許しておくれ。

 

とは言え、歩くペースはゆっくり。

早速現れたのは、ハクサンチドリ。

 

はじめはこんな登山道をてくてく進む。

8合目からのスタートなだけに、今日の気の緩みは半端ない。たるみきったアゴ、腹、そして気持ち。たるみの大三元。今日もデブゴリラは絶好調だ。

そして、このたるみきった重い体であっても、最後まで果たして歩けるだろうか?などという不安をしなくとも済むのが8合目からの登山なのだ。

なんて素晴らしいことだろう。

 

突然現れる、旧日窒硫黄鉱山跡地(きゅうにっちついおうこうざんあとち)。

日窒は化学工業メーカーで、第二次世界大戦後に倒産したらしいけど、再生法で新日本窒素として再発足。

 

ここでピンときた人はさすが。

その後社名はころころ変わる。

 

チッソと言えば分かるだろう。

1932年から熊本の水俣でメチル水銀をたれ流し、多くの人を苦しめる悲しい歴史は、今後の教訓にせにゃならんぜ。

 

青い山脈と青い空。どこまでも青く美しい。

こんな晴れた日に歩けるなんて、とても幸運なことだよ。

一生分の運を使い果たして、翌日は家を出た一歩目でウンコでも踏んじゃうんじゃないのか。

日が暮れるまでずーっとこの山に居座って、心ゆくまで満喫したいところだけど、この日のうちに東京に戻ることを考えると、昼頃には下山を完了させておく必要がある。

んーもったいない。

 

青空をセスナが飛んでいく。

これがドローンだったらつまらないけど、自由に飛び回るセスナっていうのがいいねー。

 

ちなみに、映画「トップガン マーヴェリック」の役者たちは、F-18に乗る前に、最初はプロペラ機で飛行に慣れ、L-39のアクロバット飛行、そしてF-18にステップアップし、7G、8Gに耐える訓練をしていったそうだ。

しかも、訓練は実際の海軍のトップガンチームが協力。役者たちはゲロを吐きながら地獄の訓練に耐えてCGなしの撮影に挑んだらしい。

そんな中でも、普段から鍛えまくってる最年長のトム・クルーズはぜんぜん余裕だったらしい。ミッションインポッシブルでもスタントを立てないって聞くし、そこはさすが。

実は最近ニュースを見てたら、「追いトップガン」と言って、3回、4回映画館に見に行く人がいると聞いて、ミーハーな自分も見に行ってしまった。

なんと、20年ぶりの映画館。

そして、人生初の4DX。

ヤバいよ、4DX。マジでやばかった。

今の映画館ってこんななの!!!っていう衝撃。空から雪が降ってきた時は、失禁しそうになったよ。

トップガンは、随所に80年代にはかっこいいと思われちゃいそうな、例えば女性がジーンズのポケットに親指を引っ掛けてポルシェに寄りかかって男を待つシーンとか、そんなシーンがふんだんに盛り込まれてて、それがダサくてエモくて、そんなところも楽しめちゃう映画だったよ!

 

話を元に戻すでゴザル。

人気の山だけあって、当然ながらツアー客もたくさんいる。

8合目から登山ができるということは、歩く距離も0合目から歩くのに比べたら1/5ほどで済むし、脱落者が出ない分、ガイドもしやすいはず。

しかも、コースの一番美味しいところだけをかいつまんで楽しめてしまうお手軽さ。

たとえば、おにぎりの具が詰まっている真ん中のところだけを一口食べて、他はぜんぶ捨ててしまう様なもの。

なんて贅沢な登山なんだ。

そりゃツアーも人気が出るはずだよ。

 

トレイルは男女岳(おなめだけ)をぐるっと巻く様に続いており、阿弥陀池へと続いている。

この先の展開が楽しみだ。

 

シャクナゲ。まだまだ咲き始めたばかり。

 

オノエランもたくさん咲いてたよ。

(うまく撮れなかった)

 

なだらかな上り坂で標高を稼ぐから疲れない。

男女岳を巻きながら見える景色も変わり、乳頭山方面の景色から田沢湖方面の景色へと移っていく。

歩き始めてから5時間以上、全く景色が変わらない山もあるというのに。

 

日当たりの良いところは、ミヤマダイコンソウの大群生。

 

下からのアングルで。

今回のカメラは前回の早池峰山同様、もはや化石カメラと言って良い富士のX-E1。

なんとこのカメラ、古いだけじゃなくモニターが固定式なのだ。

今どき…

と、ついつい言ってしまいがちだが、今どきのカメラではなく、化石だ。

こういう使い勝手の悪さも愛すべき1台なのだ。

基本的にはファインダーを覗いて撮るカメラだから、こういう下からの構図で撮ろうとすると、身をしっかりかがめないといけないのがしんどい。

愛すべき1台とか言ってはいるが、本音を言えば、チルト式モニターのX-T1にすれば良かったと、何度も何度も後悔している。

 

ピンクのエゾツツジと白いマルバシモツケ。

 

青空へ。

そのまま空へと突き抜けていく感じに書いてるけど、コースタイムよりやや遅いペースでのんびり歩いている。

ここはおにぎりの真ん中登山なのだ。しっかり味わいながら登ろう。

 

鏡のように青空と山を映し出す田沢湖が見えてきた。

 

そして広がるバイケイソウの花。

これだけのバイケイソウの花畑は初めて見たかも。

花のところだけ鹿にやられて痛ましい姿のバイケイソウたまに見かける。バイケイソウは有毒植物だけど、驚くべきことに、鹿も負けずに毒耐性を身につけてきているらしい。

そのうち、日本中の高山植物はぜんぶ鹿に食べ尽くされるかもしれない。

 

どこを切り取っても絵になる。

阿弥陀池に近づくと、ミヤマダイコンソウは既に綿毛になっていた。

この日のちょっと前にアップされていたヤマレコを見ていたら、ガスガスの日にやって来て、チングルマは終わって綿毛になってたしもう阿弥陀池で帰りました〜、って人がいたけど、残念ながらそれはチングルマではなかった。

早とちりしたね。。

 

阿弥陀池に到着。

このまま阿弥陀池沿いに歩いて、まずは秋田駒ヶ岳の最高峰、男女岳(おなめだけ)に登る。

順番としては、

男女岳→男岳→ムーミン谷→大焼砂→横岳→焼森

という周回ルートで歩く予定。

 

避難小屋がでてきた。

いつもならソッコーで休憩するところだけど、今日はさすがに8合目からスタートしただけに涼しいし、まだまだ余裕。

ツアー客に巻き込まれたくないし、休まず進むことにする。

 

男女岳へ

目の前が男女岳(おなめだけ)。秋田駒ヶ岳の最高峰。

はたして、今日のような花見登山でピークを目指す理由があるのかどうか分からない。

それでも自然と頂きを目指してしまうのが、山ノボラーの悲しい性ってやつだぜぃ。

 

前日に登った早池峰山にはなかった雪渓が、ここには残っていた。

さすが日本海側の山。

 

横綱級に岩手山が大きい。

左のなだらかに延びる稜線は八幡平に続いているんだろうか。

あそこもちょうど今ぐらいの季節に歩いてみたいコースだよ。

遠すぎてなかなか来れないけど。

 

もう少しで、真の男女になれる。

 

男女になれまひた。

 

手前に見える男岳より、今いる男女の方が背が高い。

ちなみに、遠くに薄っすら見える白い頂は鳥海山。

 

そして、あちらは早池峰山。

あまり来ることのない東北の山々の風景は、何もかもが新鮮でゴザル。

 

再び阿弥陀池へと下っていく。

木道では何やら撮影が行われてる模様。

尾瀬で通行止めにして物議をよんだNHKが来てるのだろうか?

面白そうだからそっち方面に下りてみると、ただ学生風たちが撮影しながらはしゃいでるだけだった。

今は誰でもTikTokerになれるからね。

撮影する楽しみが広がるっていいこと。動画の世界はいまいち苦手だけど。

 

真の男になるべく男岳へ

右前方に男岳が見えてきた。

くどいけど、はたして今日のような花見登山で、ピークを目指す必要があるのだろうか。

まあいい。四の五の言わずに男岳を目指そうではないか。

これで、やっと真の男になれるのだ。

 

バイケイソウの花の当たり年なんだろうな。

これはこれで良いんだけど、実は、いい加減お目当てのチングルマがさっぱり出てこないから、少し焦っている。

まさかヤマレコの「チングルマは終わってました」の情報は本当だったのか?

そんなはずはないそんなはずはないそんなはずはない。

 

アカモノ。

 

エゾツツジ。

平和だ。

今日はいつもの陸上自衛隊を彷彿させる訓練登山の様な地獄は微塵もない。

 

男岳の山頂に到着。

これでやっと真の男になれた。俺、おめでとう。

周囲はグループ登山で来てるおばちゃん達ばかりだけど。

ちなみに狭い山頂でハイカーだらけだから居場所を見つけられない。

 

狭いところになんとか「どすこーい!」と腰を掛けて、取り出したのは、なぜかお隣岩手県の名物「力あんぱん」。

昨日、早池峰山から下山して、岩手のスーパーをぶらついて見つけ、欲張りだから3個も購入した。

結局、食べきれずに持ち帰ることとなり、仕事中に完食。

 

いよいよムーミン谷へ

今日はのんびり歩けるはずなのに、ツアー客に巻き込まれたくない一心で、慌ただしく男岳を下りてきた。

時間の余裕はあるはずなのに、何かに追われているこの感覚は一体何なんだろう。

まあ、いい。

お次はムーミン谷を目指す。

 

ここから始まる激下り。しかもトレイルが狭く、急坂で渋滞が発生しやすい。

秋田駒ヶ岳は時計回りで歩くか、反時計回りにするかで悩むところだけど、YAMAPを見る限り、今回の自分と同じく反時計回りで歩く人の方が多いみたいだね。

どっちから歩こうが、結局同じところを歩くのだから考えなくても良くね?という人もいると思うけど、ここは下りで通過した方が楽に感じられると思う。

 

左にムーミン谷が見えてきた。

あの木道が一本伸びているところには、ここまで待て!お預けだ!を食らってきたチングルマが咲き乱れているに違いない。

 

シラネアオイ。

上ってくるハイカーがすれ違いで避けようとしてくれたお方が、勢い余ってシラネアオイの中に突進しそうになり、昔はギャルだった山ガールから「入らないでー!」と怒られていた。

 

そんなこんなで、ムーミン谷の入り口に着いた。

ここから本番開始と言いたいところだけど、見た感じただ青い草原が広がっているだけ。

本当にチングルマが咲いているのかどうか、ここからではぜんぜん分からない。

 

不安が襲ってきた。

まさか本当に終わってしまったのではないだろうか。

 

心配は杞憂に終わった。

一歩踏み入れてみればそこは別世界。

きみたちはどこに隠れていたんだい?と驚いてる場合ではない。

開始早々、アクセルベタ踏みで咲き乱れている。

 

まだまだつぼみの方が多いけど、そんな姿もウルトラカワイイ!と言う声が周囲から聞こえる。

終わってしまったの逆。これからなのだ。

更にムーミン谷の奥へ踏み入れると、また違ってくる。

 

さて、今年はどんな一年にしようか。

1月に登りたい山を考えると、毎年秋田駒ヶ岳は上位に上がってくるんだけど、天気が悪かったり、開花のタイミングと休みが合わず、ずっと断念してきた。

もうかれこれ、5年以上そんなのが続いてきた。

人生を暇つぶしだと思えたから、待つことができた。

格別としか言いようがない。

 

この上ないすっこーん晴れ。

ちょー気持ち良いー、なんも言えねぇー。

 

晴れちゃいるけど、意外と風が強い。このチングルマも風に煽られてぐるぐる暴れまわっているのを風がやむまでじっと待って、撮った一枚。

そんな努力の末の一枚だと言うのに、ゴリラ級にビッグな頭の影が入り込んてしまっている。

残念すぎるじゃないか。

トリミングしても良かったけど、己の頭のデカさが招いた失態だし、これは甘んじて受け入れるしかあるまい。

 

ゴリラで思い出したけど、西武の山川穂高のあだ名が「アグー」だと知って、親近感が湧いた。

もはや親戚。

ちなみに知るきっかけになったのは、

「アグー、ソフトバンク行くらしいよ」だ。

ネットニュースで見たネタだから本当にホークスに来るか怪しいけど、FA権の行使が待ち遠しい。

 

沖縄出身であり山川穂高といういかにも山好きそうな名前、それだけで好感度アップ。

まったくチングルマと関係ない話になってしまったけど、そんなのはいつものこと。

 

ドリカム風に言えば、チングルマがマウンテンマウンテン。

(だんだん書くことに疲れてきて、適当になってきた)

ちなみに、大日三山に登った時も綿毛になったチングルマの群生がものすごかったから、きっとこの時期の立山はかなり見応えあるはず。

初めて行った立山は涼しいはずの秋だったんだけど、たけのこの里が溶けて団子になるほど暑かった。

夏の立山、暑そうだな。

 

ムーミン谷は話に聞いてた通りだった。

入り口に立った時はチングルマが咲いているか疑わしかったけど、登山客がこぞって訪れるのも納得。

ちなみに、ここがなんでムーミン谷という名前が付けられたかは謎らしい。ムーミンの人形が置かれてたからとか、いろんな噂があるみたいだけど。

 

おーい、ムーミン!

どっかに隠れてるなら出てきておくれー!

 

ほいほいのほーい。

まさかのムーミン様のご登場。

実は下山後に、東京のムーミンショップまでわざわざ出かけて、これを撮影してきたのだ。

どんだけ暇してんだか。

おっさん1人、列を作って記念撮影してきた。

恥ずかしすぎる。

しかも、ムーミンに詳しい訳でもないからこれ以上話は膨らまない。

 

まだまだ続くムーミンロード。

遠くから10名以上のパーティーがやってくる。離合できるところは限られるから、仕方なく高山植物が咲いていないところを選んで、下に降りてすれ違うしかない。

それよりもすぐ目の前から一人で歩いてくる人がいる。

どうも気になる。。

 

こちらはアオノツガザクラ。

チングルマ以外にも、サンカヨウ、ヒナザクラなんかも咲いてて、まさに百花繚乱。

会心の登山となったYo!

 

うほっ

 

あ、やばい。でちゃう。

 

うほっ、うっほほーーい!

 

大自然の中に放り込まれたことで、野生の血が騒ぎ出した。

 

 

うほっ、うほほーーい!!

 

自分の中のマウンテンゴリラを抑えられなかった。

 

しかもカメラバッグが、あたかもど派手なおむつを間違えてズボンの上から履いてしまった風にしか見えないじゃないか。

 

ここ2年、コロナによって仕事量が半端なく増えた。そんなストレスを発散するために始めた筋トレ。痩せマッチョを目指したはずが、食欲も倍増した結果、デブゴリラになってしまったのだ。

 

そんなゴリラが浮かれている時に、奴が現れた。

 

 

コツっ、コツっ。

 

この雪のない木道で、ピッケルを打つ音が聞こえる。

 

奴だ。さっきのあの男。

 

やはりそうだったか。秋田駒ヶ岳に生息するという妖怪、ピッケルジジイ。

 

ゴリラの身のこなしで前からやって来たピッケルジジイをかわす。

危うく殺られるところだった。

 

振り返って、ピッケルジジイの背中を目で追っていると、ピッケルジジイの前方からやって来た山ガールが何やら困っている。

 

狭い木道の真ん中を、我が物顔でピッケルジジイが歩くから、山ガールは行き場を失っているのだ。

慌てて山ガールは後ろに下がり、そして端に寄って、ピッケルジジイを先に行かそうとしている。

 

そして、ジジイが言い放った。

 

 

「俺はどくつもりねぇよ」。

 

 

耳を疑った。

 

さすがの傍若無人ぶり。そこは「ありがとう」だろ、という常識は通じない。

 

百歩譲って、

「俺がどくのは道にウンコが落ちてる時だけだぜ」と言ってもらいたかった。

かつて、JOJOの名言ね(知らない人はマン喫へ駆け込め!)

 

 

しかし、こんな傲慢な妖怪、許せない!

 

 

デブゴリラが黙ってないぞ。

 

成敗してやる!

 

 

うほっ、うほっ、と吠えながらおけつを突き出すデブゴリラ。

 

 

 

おならで報復してやる。

 

 

 

一本道の木道で、ゴリラ級の一発をお見舞いするという、ゴリラ神拳最終奥義。

 

上り坂の息遣いが荒くなった時を狙う。

 

こいつを激しく吸い込んじまいな!

あばよー!!

 

 

Bomb!

 

 

猛烈な破壊力によって、巻き添えを食ってしまった無実なハイカーの皆さま、申し訳ない。

 

しかし、こんな恐ろしい妖怪がこんな観光地みたいな山にもいるなんて。

せっかく楽しかった登山が、一気に興ざめした瞬間だった。

早く忘れたい。

 

左には浅間山を彷彿させる大焼砂の斜面。

 

そして木道と池の風景は、北アルプスの朝日岳を思い起こさせるウルトラギガモンスター的開放感。

こんな風景が標高1,350mほどの小さな谷に広がっている。

 

さあ、そろそろムーミン谷を抜けよう。

確かに美しい風景だけど、いつまでもここに居るわけにはいかない。

正直言えば、チングルマだけでそう多くのコメントを書けるものでもない。

言い方をあれやこれや変えてはいるけど、そろそろ底をついた。

 

という訳で、これが見納め。

雨に降られてもいいから今年行っちゃおっかなー、と思ったこともあったけど、堪えてよかったよ。

ムーミン谷はせいぜい1.5kmほどの区間。ゴリラの感覚では短いけど、人としてはそこそこ長い。

ともかく、楽しい時間はあっという間だった。

 

大焼砂の強風

ムーミン谷を抜けると、まさに鈴なりのサラサドウダン。

 

いち早く綿毛になったチングルマもあった。

 

そして、突然何もない惑星に下り立った様な砂礫帯へ。

秋田駒ヶ岳が火山であることを強く意識する風景。

 

大焼砂はコマクサゾーン。ちょっとコマクサには時期が遅かったみたいだけど、それでもたくさん咲いてたよ。

 

分岐に着いた。右へ下って行くと国見コースの登山口方面。

国見コースも秋田駒ヶ岳の人気のコースで、もしまた来る機会があれば、こっちのコースで歩くのもいい。

ここは左へ曲がって横岳方面へ。

 

ムーミン谷で下げた標高を取り戻す様に上っていくけど、砂場を歩いてるみたいで足が重い。

しかも、なんせ風が強烈。

ここまで風は気にはなってたけど、大焼砂に差し掛かった途端、横殴りの強風が襲ってきた。

まともに立っていられないほどだ。

 

やべぇ、耐風姿勢を取れー!!!

 

なんじゃこの風はぁーー!!

想像をはるかに超える風速100億メートル。ロープをつかんで、必死に強風に耐えるゴリラの勇姿がコレだ!

 

前方をごく普通に歩いているハイカーが見えるのは夢か幻か。または相当な手練だろう。

後にも先にも、ここまでの強風を経験したことはないぞ。

 

三文芝居に見えたかもしれないが、ここはほんと風が強いポイントで、小石が顔に飛んできて痛かった。

冬だったら即時撤退するレベル。

 

ミヤマハンショウヅル。

 

緑のトンネルをくぐっていく。

ここら辺はもう無風。

不思議なもんだよ。

 

ほい、横岳の山頂に到着。

遠くには早池峰山。

 

横岳は秋田駒ヶ岳を時計回りで歩くハイカーにとって中間地点に当たるから、大勢で賑わっていた。

30人以上は休んでたかな。

 

眼下の一本道は、さきほどピッケルジジイと屁で屁を洗う争いを演じたムーミン谷。

あちきのおかげでこの素晴らしい世界の平和が守られたのだ。我ながら誇らしい。

 

人が多い横岳を後にして、焼森山へ移動。

 

シャクナゲ。

 

ミヤマダイコンソウの大群生。

 

焼森山に到着。

左から横岳、真ん中が男岳、右が男女岳。

手前の砂礫にはコマクサの群生。

どこもかしこも花だらけだ。

 

そして遠くに見える岩手山。

風が涼しい。

ここでゆっくりシュークリームでも食べながら遠くを見ていたい。

 

八合目小屋へゲッザーン

すっごく名残惜しいけど、これから600kmの移動が控えてるんでね、8合目登山口に向かってゲッザーン開始。

 

振り返ると秋田の青空。

 

コマクサが風でぶらぶら揺れる。

傷んだコマクサが多かったけど、風の強さに負けたのかもしれない。

 

8合目登山口の小屋が見えてきた。

焼森山から8合目登山口までは、無風の樹林帯をドタバタ下りてきた。

汗が吹き出す。

 

時刻は11:40。

12:55までバスが来ないものと勘違いしてたから、どうやって暇つぶすかな~と心配してた。

時刻表を見て11:50発のバスがあることが分かって歓喜した。

帰りの東北自動車道で渋滞に巻き込まれたけど、この早い時間のバスに乗れたお陰で、この日のうちに帰り着くことができた。ほんとラッキーだったよ。

 

人気の乳頭温泉へ

アルパこまくさに戻ったら、すかさず乳頭温泉郷へ。

 

なるほど、ここがじゃらんで2022年行ってみたい温泉1位に輝いた乳頭温泉ですなー。

めっちゃ雰囲気でてるけど、なんせ真夏の温泉は入る前から暑い。もう既にぐだぐだ。

 

男湯は混浴露天風呂しかないけど、女湯は専用露天風呂が用意されているので、ご安心あれ。

入る前は誰もいなかったから1枚パチリ。そして貸し切りだぜーと、湯船に浸かった3分後には、ぞろぞろとおじさんおばさんが10人以上入ってきた。むむっ。

まあ、おっさんのヌードなんざ、だれも見たくないだろう。

熱くなってきたからとっとと上がっちゃったけど、自分の隣にいた20歳ぐらいの男の子が、恥ずかしそうにしてたから、のぼせてしまわないか心配になったよ。

混浴だと、不自然に目を背けたり、ぜんぜんゆっくりできないから、あんま好きではない。

 

ババヘラとじゃじゃ麺と冷麺

秋田に来たなら、ババヘラアイス喰らうべし!

色合いからサーティーワンみたいな濃厚なのをイメージしてたら、シャーベットだった時の一口目の衝撃。

溶ける早さにも衝撃を受けたけど。

ちなみに、秋田の方言で中年の女性をババと呼び、ババがヘラで盛るからババヘラなんだって。ババは秋田の方言ではないと思うんだけどー。

 

時間は無いけどせっかくの東北遠征、岩手の道の駅に立ち寄って、飲み物の様にじゃじゃ麺をかっ喰らう。

肉みそでむせる。このご時世、咳こむことはご法度だから涙目で耐えろ。

ちなみに、料理ができない自分でも、こりゃ肉みそさえあれば簡単に作れそうだな、とか思っても絶対に口にするでないぞ!

 

最後は岩手のスーパーに立ち寄ってご当地グルメ「牛テールで食べるもりおか冷麺」を購入。

普通の冷麺なら福岡や都内のスーパーにも売られてるから、一風変わったのが欲しかったんだよね。

この翌週、福岡の伊都イオンのKALDIで全く同じものを見つけ、膝から崩れ落ちた。

 

 

振り返って

7月初旬、ここ秋田駒ヶ岳はチングルマやバイケイソウが花盛り。

百花繚乱の「ムーミン谷」まで、約600㎞の道のりを移動してきた。

 

着いた頃には、もはや屍。

我が地元、福岡から数えたら1,600km以上の大移動だ。物好きにも程がある。

 

だが、声を大にして言いたい。

7月の秋田駒ヶ岳には苦労しても来る価値があると。

 

長距離移動は辛いけど、感動すること間違いなしだYo!

 

ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンは第一次世界大戦で辛い思いをしたそうだ。そんな自由と平和への強い思いが、ムーミンの自由な世界に描かれているとのこと。

ババヘラアイスは、バラの様に美しいアイスがその名の由来だと思っていたけど、まさかおババのアイスだったとは。

ムーミンもババヘラアイスもあんまり知らなかったけど、そんなことを知るきかっけにもなった旅になったよ。

 

秋田までの移動でヘトヘトになって、真夜中に東京に戻ってきた時にはもはや廃人。

でも来てよかった。

強がりではないよ。

ではでは

 


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