【北アルプス】槍ヶ岳登山 愛はあるんか?幸せのとんぼよどこへ 吐き気に苦しんだ裏銀座縦走3日目

【北アルプス】槍ヶ岳登山 愛はあるんか?幸せのとんぼよどこへ 吐き気に苦しんだ裏銀座縦走3日目

高校生ドラフト会議を提案するっ!

 

突然だが、語らせて!!

 

今、史上最悪に高校野球が面白くない。

優勝候補だった大阪桐蔭は18人中14人が県外から引き抜いた生徒。決勝に進んだ下関国際高校は、18人中17人が県外と聞いて、どれだけしらけたか。。

大人がね、つまらなくさせている。

もちろん、全ての強豪校がそういう訳ではない。

市船は18人中県外はたった2人。九州学院は全員が熊本出身。

 

他の高校を出し抜き、子供を甲子園という人参で釣り、ジュニアで日本代表だった子を取り合う。

それで、甲子園常連校とか言っちゃうの、もうやめにしませんか?

一昔前の巨人みたいに、金とブランドを駆使し、全員四番打者で揃えちゃうやり方、高校野球で見たくないもん。もんもん。

 

でも、県内の選手だけに絞っちゃうと、東京や大阪みたいに人口が多くて才能も集まり易い県が優位になるし、不正も起こるだろうから、やはり各校で欲しい生徒を最大5名まで申請し、人気が高い子はドラフトにかけるというのが、良いと思う。

もし本人が地元の高校に進むというなら、ドラフトを断れるという条件を付けてみてはどうだろう。

 

そんなことを考えた夏。

 

自分は、今、裏銀座を歩いている。

 

昨日は、疲れた体に鞭打って烏帽子小屋から当初幕営予定地だった三俣山荘から更に先、双六小屋まで歩いて、星になった。

 

ひたすら雨の中を歩き続け、よく風邪をひかなかったもんだ。

 

この山ヤロウにとって憧れの縦走路で、ずーっと台風の影響を受け続けた。

 

一寸先はガス。どこにどんな山があるかなんて分からない。

 

コンノ、そこに山はあるんか?

 

裏銀座縦走も、3日目。

今日は、双六小屋から西鎌尾根を歩いて槍ヶ岳へ。そのまま徳沢まで下ってテント泊の予定。

 

いよいよ、槍ヶ岳だ。最後のメイン料理、がっつりいただくとしましょー。

 

感動のフィナーレが待っている(きっと)

 

裏銀座縦走は、高瀬ダムから始まる槍ヶ岳までの約50キロの縦走路。

今回は初めての裏銀座だから、基本に忠実に上高地へ下るルートを選択したけど、大キレットや高天原温泉を付け加えるのもいつかしてみたい。

それでは、3日目の朝です。

裏銀座縦走1日目は、こちら
〃    2日目は、こちら

 

ルートとコースタイム

■2022年8月13日 ※カッコ内は標準コースタイム

双六小屋⇒(35分)⇒樅沢岳⇒(80分)⇒左俣岳⇒(85分)⇒千丈沢乗越⇒(70分)⇒槍ヶ岳山荘⇒(20分)⇒槍ヶ岳⇒(20分)⇒槍ヶ岳山荘⇒(60分)⇒坊主岩小屋⇒(135分)⇒槍沢ロッヂ⇒(80分)⇒横尾山荘⇒(65分)⇒徳沢園⇒(95分)⇒上高地バスターミナル

コースタイム:12時間25分(休憩含まず)

総距離 25キロ

槍ヶ岳 〜舌を出して笑ってらあ〜

双六小屋から登山開始

昨日からの首の痛みを引きずり、おっさんは疲れ切っていた。

 

3日目の今日は、ここ双六小屋から上高地の徳沢まで歩く予定。行程の半分は下りと平坦な道の移動だから、疲れ切ったおっさんの体力でもなんとか歩けると思う。

 

それもこれも、昨日頑張って双六小屋まで歩いたから。

 

とは言え、今日も台風の影響を受けるという話だし、コースタイムは12時間ほどと何気に長いし、気を抜かないでいこう。

3時に起きて、濡れたテントをオエェ〜を連発しながら片付け、4時に出発。

 

まだ暗い。ルートを間違えないように、槍ヶ岳方面へ。

 

今日こそ、北アルプスってこんなに素晴らしいところだ!登山の魅力を伝える!というテーマが伝わる、そんな壮大スペクタクルな内容お送りするショゾン。

 

当ブログを読んで、山に行ってみたくなりましたと言っていただける嬉しいコメントも無いわけではないけど(つか、一件だけ)、

これは大いに反省すべき点なのだ。

 

最初からそういうつもりでブログを書いてたんだけど、初日は日本三大急登のブナ立尾根で天に召され、2日目はずーっと雨に降られ、何一つ良いところは無かった。

なんとか、3日目の槍ヶ岳は天気を味方につけて、ワンダホーな1日にしたい。

 

しかし、実は暗闇の中でも濃いガスが垂れ込めているのが分かり、ガッカリしながら歩いてきた。

やっとヘッデンがいらないぐらい明るくなってくると、濃いガスの中、わずかだけど青空も見える。

今日は朝から微妙だ。

 

Zoom会議で背景を誤魔化した訳ではない。

樅沢岳(もみさわだけ)に到着。標高は2,754m。

すでに見慣れた、果てしない白の世界。

今更、なにも驚かない。

それでも3泊4日の連休を登山に充てられるなんて、もしかしたら一生で最初で最後かもしれない。

そう思えば、どんなにガスに包まれようが、ついニンマ〜とキモい笑みを浮かべてしまうのだ。

 

樅沢岳から下っていくと、薄っすらガスが晴れてきた。

ちなみに前を歩くお二人は双六小屋をベース基地にして、今日は槍ヶ岳のピストンを堪能するんだそうだ。

一人がなかなか山では見ない派手なシャツを着ててオシャンティだったけど、このガスの世界ではなにも伝えられないのが残念だよ。

 

おっ。

ガスってるけど山のシルエットが分かるようになった。

モーニングガスも終わる気配。

散々、ガスまみれになってきたからガスの気持ちまで分かるようになってきた。

 

少しずつ遠くの景色も見えてきた。

 

実は初日から股ズレに悩まされている。

初日はたまたまテン場で知り合いに会って、股ズレ防止クリー厶「プロテクトジェイワン」なるものを借りることができて、それが劇的に効いて2日目は歩けた。

しかし、3日目の今日も再び股ズレに悩まされ、あたかもうんこをブリブリ漏らしてしまった小学生の様な悲しい歩き姿。

当然、ペースも上がらない。

2泊以上する登山ではワセリンは必需品だと痛感した。

 

ウスユキソウ。

 

来た。

やはり、モーニングガスの時間はいつまでも続かない。

一箇所に穴が開けば、一気に穴は広がる。

よし、今日は晴れる。勝算ありだ。

 

槍ヶ岳に着く頃には、間違いなく晴れるだろう。

ここまで、寝起きの顔がびちょびちょになるぐらいの朝霧を浴びて歩いてきた。

朝霧で目ヤニだけでなく加齢臭も洗い流せた。ガスも悪いものではない。

しかし、そろそろ終わりでもいい頃合いだ。

 

樅沢岳から西鎌尾根へはアップダウンを繰り返していく。

結構下ってきたら、硫黄乗越に到着。

 

ガスが晴れる

こんなおぼろげな景色も、なんと神秘的なことだろう。

そして、辺りにほのかに立ち込めるオナラ的な硫黄臭。

精神を崩壊したおっさんにとって、朝日の光とオナラ臭を一身に浴びることが、一番生きていることを実感できる瞬間であるかの様だ。

ここには、山の素晴らしさが点在している。

 

ダイモンジソウ。

 

高原の朝の様な風景。これまで何度も経験がある。

始まりはいつも雨。

マジでガスが晴れる5秒前。

ガスバスバクハツ。

もぉええわ。

 

始まった。

 

少しでも見晴らしの良いところで、この劇的なショウタイムを見るべく、ペースを上げて稜線を上がっていく。

 

さあ、景色が開けた。

日を浴びる茶色いピークは焼岳。その奥に乗鞍岳。

 

薄っすら見え始めた巨大な山塊。西穂から奥穂へと続く稜線。

自分がいるところも、そこそこ標高は高いというのに(2,600m以上)、恐ろしく大きい。

 

そして、こっちのガスもコマ送りを見る様に晴れていく。

これだけあったガスが、一体どこへ消えていくのか、いつも不思議に思う。

 

ヤリやがる。

なんちゅう劇的な登場。さすが千両役者。

そして、なんじゃこの標高差。危うく感動的な光景に誤魔化されそうになったけど、脱糞しかかったわ。

何度見ても槍ヶ岳は、その高さに驚かされる。

 

幾筋ものルンゼやガリーが、槍ヶ岳を筋骨隆々に見せ、近寄りがたさすら感じるぞ。

これが畏怖を感じるってやつか。

部下になじられ、上司に雑用ばかり押し付けられる。やめようと思ってても3時のおやつがやめられなくて、最近じゃ物足りなくてハンバーガーを食べるようになってきた。もはやただの食事になりつつある。

自分も槍ヶ岳みたいな人間になってみたいものだ。

 

西鎌尾根と槍穂高の大絶景

晴れた。

晴れた晴れたとしつこいのは、昨日が絵に書いたクソ登山だったから。

今日、晴れてくれさえすれば、全て報われる。

初心に戻って、夏山の楽しさを伝えなくちゃ。

 

もうどれが何という山か分からない。たぶん表銀座だと思うけど、ひたすら360度広がる名山たちの大パノラマ。

もうこの先、ガス酔いに悩むこともない(確信)。

 

遠くに山小屋が見えた。あれは鏡平小屋だと思う。

昨日、鷲羽岳の山頂で出会った女性は無事にあそこまで戻れたのだろうか。

きっと今頃はこの晴れた槍ヶ岳を、鏡池から家族で見ているんだろうな。

 

槍ヶ岳から南岳、そして、大キレットを挟んで北穂と奥穂。

日本でこれを超える風景は無いと思う。

小さい頃に遊んだ神社も、大人になって訪ねてみるとすごく小さく感じたり、恐ろしい顔をしていた狛犬も、どこにでもいる普通の狛犬にしか見えなかったりする。

成長とはそういうものだ。

だけど、槍ヶ岳は1回目、2回目以上に大きく見え、はるかに感動的。

 

感動に浸っちゃいるが、とにかく槍ヶ岳まではまだまだ遠いし、標高差もかなりあることにビビりまくっている。

だって、まだまだ西鎌尾根の入り口なんだもんもんもん。

アップダウンをくりかえしながら、遥かなる槍ヶ岳へと、一歩一歩進んでいかにゃたどり着くことはできない。

この一歩が重いでゴザルよ。

 

左俣乗越。

首の痛みも限界。肩も痛い。西野カナ風に、痛くて震える。

テント泊装備を担いで、3日間トータルでかれこれ20時間を超える。

整体師曰く、自分の首の痛みは腰からくるものらしいけど、重たいザックによる呪いなのは間違いない。

 

まだまだ歩きやすいトレイルが続く。

初めての西鎌尾根がどんな感じか楽しみにしてた。

裏銀座はグレーディングを見る限り、バカみたいな体力は必要とされるけど、技術はそれほど必要としない。きっとテクニカルな場面は出てこないだろう。

この首の痛みで、テクニカルとか無理だし。

 

この圧巻の景色をずっと見ながら歩けるのは、山ヤロウにとって最上の喜びってやつだ。

田中陽希さんも、「山頂はゴールではなく山の魅力の一つ」と何かで読んだ。

ほんとその通りだなと思う一方で、ガスった時に自分を納得させる言い訳に便利なセリフだと思った。

今後、多用しそうな予感。

 

左手に見える山々にも日があたり、色濃くなってきた。

 

左奥は鷲羽岳かな?水晶岳、野口五郎岳と続く。

たくさん歩いてきた。

 

風は弱い。

最高の条件でチングルマの綿毛も爽やかだ。

 

岩っぽくなってきたなと思って振り返ると、緑と岩の境界が分かりやすい。

西鎌尾根、ここから始まる。

 

苦手なザレ場が多くなってきた。

こういうところは下りでは歩きたくはない。

 

まだまだアップダウンを繰り返していく。

まだ、本格的な登りは始まらない。

最後にゴリラ級の上りを用意してくれる槍ヶ岳の粋な計らい。足は残しておかかないと最後までもたない。

 

下って巻いていくところでは、バランス崩して右側に滑落しないように気をつけないと。

 

ブロッケン!!

今日はいいことあるぞ!

ここまで完璧に夏山JOYを伝えられてる気がする!

 

槍ヶ岳への強烈な登り

上高地側からだと見えない小槍だってよーく見える。

大絶景を独り占めだ。台風が来てんのもあって、前後には誰もいない。

恐ろしく静かでだけど、心地よい。

 

相変わらず左を見れば絶景。

深い谷から吹き上げてくる風がサイコー。

 

そろそろ、標高を上げてきたから息が整わなくなってきた。

3日目の蓄積された疲労もあって、ペースも上がらない。

それでも、いい。

昨日はずーっとガスだったから、その分を取り返すつもりでゆっくり堪能してやるんだ。

 

千丈乗越に到着。

さんざん焦らされたけど、やっと槍ヶ岳への取り付きが始まる。

もう疲れてきたから、ここで軽く休憩をとってると、西鎌尾根を下ってきた最初のハイカーとすれ違う。

下りだけあって元気な方だったので、写真を1枚頼むと、逆光で真っ暗な写真だったので削除。

 

振り返れば、奥に笠ヶ岳。手前は双六岳かな。

こうやって見ると、今日だけでだいぶ歩いてきたな。

 

左はずーっと鷲羽岳と水晶岳、右の丸っこいピークは野口五郎岳のぜいたく。烏帽子岳は背が高くないから野口五郎の奥に隠れちゃってるんだろうな。

360度、山しかない景色。ここまで来れば、小屋以外の人工物は視界に入ってこない。

これだけ天気が良ければ、登山の魅力なんざ語るだけ野暮ってもんだわー。

 

歩いてきた天国縦走路。

 

右下を見てみると、新穂高温泉から槍平経由で登るルートが見える。

初めて槍ヶ岳に登った時に歩いたルート。

いつまでも終わらない上りをなんとか登りきって、その足で南岳小屋まで歩いたけど、あの時も途中で天に召されたよ。

どこもかしこも、へばった記憶ばかりだ。

 

そんな訳で、今も終わらない上りとの戦いは始まっている。

ガチでしんどい。

呼吸が整わない。それに日差しもキョーレツ。

でも頑張らねば、感動のフィナーレが待っているのだから。

 

小槍とほぼ同じ高さまで来た。青空が気持ちいい!

山には変態が多いから、実際にあの小槍にも登って踊ったって人もいるんだろうな。

こんな小槍一つとっても、ここまで来なければ見ることのできない光景。あたしゃそれだけで満足だけどね。

 

振り返れば、いかに自分が頑張ったかを感じられる高度感。

ルンルン〜♫

 

 

え!?

 

突然だった。前に向き直ってみれば、上高地側の空から恐怖の大王が覆いかぶさってきていた。

 

た、頼む~、今日だけは、今日だけはやめてくれぇ~。

 

さっきまでカンカン照りだったのにぃ!青空だったのにい!

 

ノストラのやろぉー!

 

やっと、やっと、槍ヶ岳山荘まで登ってみれば、再び一瞬だけ青空を見せた直後、真っ白な世界に包まれた。

これほどの近距離なのに、槍ヶ岳の姿が完全に見えなくなるほどに。

やりきれない。

 

そして。

 

さらに恐れていた奴が、ポツポツと語りだした。

 

ポツポツと。

アスファルトに刻む。

なんとなく「とんぼ」っぽくなったけど、歌う気分になんぞなれない。

 

 

ザーザーではないだけ、、、マシか。。

 

 

 

槍ヶ岳山荘で失意の食事

これは少し時間をあける必要がある。

ちょっと待てば、再び晴れてくれるよ、きっと。

とりあえず小屋に避難だ。

 

牛丼でも食べて待とうかと思いきや、「まだランチタイムではないんですよ」と、お兄さんにバッサリ斬られてしまった。

うあぁー!と、斬られ役ばりに後ろにのけぞってるおっさんを見かけたという方、それはあちきのことです。

仕方なく、カップラーメンを注文。

いつもカレーヌードルなのに。今回はなんとなくシーフードヌードルをチョイスした。

白いガスに包まれ、無意識に白いスープを求めていたのかもしれない。

白いのが憎いはずなのに。。

 

槍沢ロッヂはコロナ感染で今日から営業停止なのか。

大変だよねー(前フリ)

 

結局、雨の中登る

下山の時間を考えれば、もう待てなかった。

山頂で起死回生の一発逆転を狙ってやる。

 

もはや白い巨塔。

こんなことってあんの?

ここまでずっと快晴だったのに。

 

どぼぼーん

 

死にたいくらいに憧れた岩の都槍ヶ岳〜♫

くそっ!

 

この光景を見て分かってもらえるだろうか。

ケツの座りの悪い山頂で、憤りのレインウエアに身を包めば、やけに寒さが骨身にしみる。

再び、とんぼ風に言ってみた。

みんな口々に「寒ぃ寒ぃ」と言っている。8月だというのに。地獄だ。

雨が強くなってきた。

下山するか。

 

最後に、これが槍ヶ岳からの眺めだ。

バカヤロー!うぐっ、うぐっ、うぅっ。

ここまで30キロ以上歩いて、晴れたのは最初のピークの烏帽子岳だけという悲劇に鼻水が止まらない。

 

あーあ、幸せのとんぼがー、ほら。舌を出して笑ってらぁ。

とんぼを少しだけ口に出して歌ってみる。

おーおーおーおーおおーおおっーおおっおー♫

歌詞を知らなくても歌えるって便利(笑)

 

標高3,180mまで登ってきたのだ、往生際が悪かろうが、ぎりぎりまで祈ったよ、晴れてくださいと。

本来なら、見渡す限りの山々で埋め尽くされているはずなのに。

 

おーいコンノー!、ここに山はあるんかー?

 

繰り返すが、田中陽希さんは「山頂はゴールではなく、山の魅力の一つ」と言っていた。

たまたま山頂はガスっちゃったけど、ここまでの道中はめちゃくちゃ楽しかったじゃないか。

さっそく自分を納得させる口実に使わせてもらった。

 

体が冷え切ってしまうと、濡れた岩場で怪我しそうだから、早い下山の決断は正しかった。

 

槍ヶ岳にある診療所は慈恵医大なんだね。

ちょっと気になったから、裏銀座にある山小屋の診療所を調べてみると、双六小屋が富山医大、三俣山荘は意外だったけど岡山大・高知大。

裏銀座以外の有名どころの小屋だと、白馬山荘が昭和大、奥穂は岐阜大。

いろんな大学がハイカーを支えてくれているんだね、だーねだーねー。

 

失意のゲッザーン

槍の穂先から下りてくると、雨は止んだけどガスり菌シロタ株なのは変わらない。

無念だが、これも運命か。

さらば槍ヶ岳。また来るよ。

 

ゲッザーンを始めると、失意のハイカー達が足取り重く登ってくる。

上高地から20キロ歩いて、何が楽しくてこの急登を登ってきたのか。

今なら地球上で自分が一番分かってあげられる。

 

しかし、さすが槍ヶ岳。次から次へと失意のハイカー達が登ってくる。

 

この時期に槍ヶ岳から上高地へと下ったことがなかったから、夏道がどうなってるのかは楽しみにしてたことの一つ。

残雪期はここを一直線にガンガン下れたけど、夏道だと九十九折になってるからペースも遅くなるし、距離も長くなる。

そんなことは分かっちゃいたけど、実際に歩いてみると、長いのなんのって…。

 

殺生ヒュッテが見えてきた。

今となっては、あそこにテント泊させてもらえば良かったと思う。そしたら、晴れたタイミングでまた槍ヶ岳に登れたのに。

でもこの時は、午後からてんくらC予報だったし、明日は本格的な台風の到来か?って聞いてたし、なんとか上高地まで、予定通り徳沢園までは下っておかなきゃ、という感じだったのよ。

 

ちなみに、台風は逸れたんだけどね。。

 

ウソでしょー!!

おいおい。晴れてきたやん。

すれ違ったハイカー達の歓声がここまで聞こえる(TT)

 

目の前のガスがぐるぐる回っている。不思議な動きを見せ始めた。

 

ほれ、晴れた。

もう涙で霞んでなんも見えない。うぐっうぐっ。ぐそっ。

これだけ晴れわたってるのに、よく山頂でガスまみれの時間を引き当てたな。それがすごいわ。

槍ヶ岳のイケズ!裏銀座のイケズ!

 

左へ行けば殺生ヒュッテ。

このガスがうごめく様子と殺生ヒュッテへの分岐が絵になると思い、足を止めて少し休憩。

 

殺生ヒュッテのテン場って、天国だな。

今マックでこのブログをポチポチ書いてるけど、ほんと、なんでここに泊まらなかったのか。

もったいないことをした。後悔ばかりだ。

また行かなくては。

 

まあ、でも。

田中陽希さんの言うとおりなのよ。改めて、良いこと言うわ。

この景色は登山をしていないと見ることは叶わないんだよ。

 

槍ヶ岳は、松本市側からだと巨大な常念山脈が立ちはだかって、下界からは見ることのできない、プレミア物の景色なのだ。

 

ずっと、そう思っていた。

 

槍ヶ岳はハイカーにしか見ることが許されない、特別な山。

 

そんなことはなかった(らしい)。

 

ヤフー知恵袋で、こんな書き込みを目にした。

 

以下、一部抜粋。

「山好きな方、この話信じられますか?埼玉から穂高槍ヶ岳見えます。昨日熊谷の荒川に掛かる久下橋からみました。」

 

まさかの、、熊谷から見えるんだってヨ!!

「冬の空気が澄んだ日、荒船山の上に穂高〜大キレット〜槍ヶ岳が浮かぶように見えます」だってサ!

 

まあね、たしかに最初は驚いたけど、

べつに、こんな風に見える訳じゃないからね。

 

めちゃくちゃ近寄るか、めちゃくちゃ遠くに離れるかしないと見えないということね。

 

 

花の無いところに、ヒョウモンチョウ発見。

 

 

ただひたすら下ってきた。

なんという皮肉か、日差しが強烈過ぎて体力はだいぶ削られている。

この中を登ってくるハイカーは相当にタフだと思う。

 

播隆上人が野宿したとされる、この岩の中に入りたい。

 

最後の槍ヶ岳の姿。

ちなみに、ここまですれ違った方々30人ぐらいだろうか。その全員から話しかけられた。外国人も含む。

思わず声をかけずにはいられないほど、悲しげに見えたのかもしれない。

そこでいろいろ聞かれた。

山頂で風は?ここから山頂までどれぐらい?あれが山頂でいいんだよね?

ひとつひとつ、丁寧に答えた。

別れ際に「自分が登ったときはザーザーでした」としっかり自虐をアピールしといた。

おっさんだからさ、自虐の一つぐらい言わせておくれ。

 

やっぱりバテた

水沢という、槍ヶ岳登山では最後の水場となるポイント。

ここで一口水を頂いてから、体調が激変した。

 

うっ、オエッ。突然、気持ち悪くなってきた。

暑さとカップラーメンだ。さっき食べたシーフードヌードルが胃に残ったままで、今にもリバースしそう。

カレーヌードルにすればよかった。そういう問題だろうか?とにかくシーフードの味がこみ上げてくる。

木陰で5分ほど座りこんだ。

だめだ、休まるどころかますます悪化してる感じ。

 

足元にはハクサンフウロ。

ここでリバースするわけにはいかない。

 

振り返って、この美しい景色で紛らわそうとしても無駄。

早くリバースしてしまいたい。リバースしなきゃいつまでも復活できないと思う。ちょー気持ちわるい。

 

しかし、えづきは波状的にやってくるけど吐けないという苦しさ。

お花畑を通過。

 

遠くに何か見える。槍沢ロッヂだろうか?

もはや牛歩。

フラフラしながら、オエッとえづきを繰り返すおっさん。

この世で最も見たくない光景だ。

 

上空で遭難者を探すヘリ。

そして、前から長野県警山岳遭難救助隊の方々が10人ぐらいでハイペースで上がってきた。

自分なんかより、よっぽど救助を必要としている人がいる。

こんなところで倒れるわけにはいかない。

シーフードヌードルよ、なぜ消化されずに残っている。いつもカレーヌードルを選ぶのに。

 

 

これは一体、なんの代償だ。

さんざん歩いて、ガスとランデブーして、今は気持ち悪さの極み。

歩幅は10cm程度がやっとだ。

もうぐったりだ。

 

日清には絶対の信頼があったのに、軽く裏切られた気分。いや、自分の体調不良が原因か。

 

ちなみに、カップラーメン繋がりで軽く脱線するけど、エースコックを選んで満足した覚えが一度も無い。

そういう人多いと思う。

 

エースコックって、何が特徴なんだろう?と、ググッてみると、こうでてきた。

 

「うまかったらエースコックファンを裏切ることになる」

 

いきなりこのコメントを読んで、仕事中に吹き出してしもた。

このお方はさらにエースコックをいじる。

 

「マズいのを期待して買ってる消費者が悪い」

期待してねぇーわ!

 

 

「不味いことは悪という常識を疑え」

最後に、まさかの名言。

 

これまで、日清か東洋水産、マルタイかサンポー食品で選んでた自分だけど、これを読んで、ほんの少しだけエースコックを応援してもいいかもという気持ちが芽生えた。

パッケージを見て「あ、これウマそう」と思って手に取ってみて、なんだエースコックかと棚に戻してた自分が恥ずかしい。

そうか、これはエースコックを馬鹿にしていた代償だったのか。

 

遠くから見えた人工物が槍沢ロッジだと信じて、なんとかここまで頑張って歩いてきたのに、違った。。

 

ああ、なんてことだ。ババ平があったことをすっかり忘れてた。

ほんとしんどい。気持ち悪すぎる。

 

山頂で晴れてくれさえすれば、今頃、あちきだってはじけた笑顔で歩いてたに違いないんだ。

もう、足を止めたら二度と立てない気がする。

 

血糖値が足りない。

気持ち悪さなんかに負けないぞ!という気持ちを削ぎ落とす、どうしようもないダルさ。

歩幅はもはや10cmといったところで、誰の目にもバテたキン骨マンに映ってるはずだ。

涙目になりながら、塩飴を口に放り込んでなんとか生きている。

 

その時、後ろからすごいペースで駆け下りてくる人たちの足音が聞こえた。

 

さきほど足早に駆け抜けていった長野県警の精鋭部隊だ。

 

助けを求めるべきか。本気で悩んだ。

コロナを疑われるかもしれない。嫌がるだろうな。このご時世だ。そんなことを悩んでる内に、風の様に過ぎ去ってしまった。

 

あぁ…。

 

槍沢ロッヂに救われる

なんとか、なんとか槍沢ロッヂに着いた。

フラフラだ。槍ヶ岳山荘にあった告知で、コロナ感染者がでたため営業を停止しているとのことだった。

ご主人に恐る恐る、暑さでやられてしまい、小屋の中のベンチで少しだけ休ませて欲しいとお願いしたら、OKしてくれた。

このご時世に、ほんと、あざす…。

 

ここでポカリを飲んで、10分眠れた。

10分でも眠れたのが大きかった。

 

なんとか歩けそうです、とお礼を告げて小屋を出た。

 

ここまで標高を下げれば、天気が急変しても樹林に守られてるし、もう大丈夫だ。

まだ若干ゲロ吐きそうだけど、なんとか、徳沢園までは行きたい。

 

ふらふらで横尾、そして徳沢へ

14:20

槍沢ロッヂから約4キロ歩いて、

みなとの横尾〜ヨコハマヨコスカ〜♫

 

横尾山荘もコロナで営業停止。小屋の経営の難しさを考えるとなんともやるせない。売店はやってたからグレープフルーツジュースを飲んで少し休憩。

血圧が下がってゾンビみたいになってるから、血糖値上げて生き返らないと。

ここまで来れば、もはや上高地に着いたと思ってしまいがちだけど、上高地までは、なんとまだ11キロもある。

 

そして、夢にまで見た徳沢園に到着。

横尾から徳沢まで3.5キロ。これが長いのなんのって。レンタサイクル始めたら儲かるなと、いつも思うことは同じ。

 

そして、今は15:20か。

ここから明神まで2.5km。

 

簡単に計算してみた。50分で着けるはず。

よし、テントは徳沢園ではなく小梨平にしよう。

 

それにしても、徳沢園のキャンプ場は天国だ。

この天国をみすみす捨てて良いものか?という気持ちがなかった訳ではない。

でもこの時は気持ち悪さが圧倒してたから悩むことなく先へ先へ進んだ。

 

何が楽しくて歩いてるんだか。

登山の楽しさなんて1ミリも伝えられていないじゃないか。

 

小梨平、そして上高地ターミナルへ

猿が何頭も横切る。

猿の群れを見ると上高地らしさを感じる。

 

16:10

計算通り、ぴったり50分で明神に着いた。

 

相変わらず、先行者はサル。

上高地で猿に出会わなかったことはこれまで無い。

 

今夜の宿、小梨平に着いた。

 

そのはずだった。

 

しかし、まだ16:40。

 

上高地発〜新島々駅行きの最終バスは17:30。ここからバス停までは20分もかかからない。

 

行けるな。。

 

今、マックでブログを書きながら、なに血迷ったことを!せっかく上高地にいるんだぞ!また上高地に来ようと思っても簡単には来れないんだぞ!と、頭を抱えながらキン骨マンならぬ自分に言っている。

慌てる必要なんてないじゃないかぁ~大馬鹿ものめぇー!

 

でも、一部の常識のあるハイカーなら、今日のうちに帰れれば、明日はゆっくり洗濯できるし、テントだって干すこともできるよね、と考えるだろう。

 

しかし、この時の自分は少し違うことを考えていた。

今、下山できれば

淹れたての苦いホットコーヒーが飲める。

杏仁豆腐が食べたい。プリンも食べたい。

炊きたてのお米も食べたいし、吉野家にも行きたい。

浅草にできたという「むっちゃん万十」にも行ってみたい。

きっと東京に進出して閑古鳥が鳴いてるだろう。パラシュート部隊の斉藤優も、東京は高くないと売れんもんねー、と心配していた。

ふむ、福岡県人なら行かねばなるまい。

でも、杏仁豆腐を食べた後だな。

そんなことを考えていた。

 

てな訳で、小梨平を通り過ぎ、河童橋までやって来た。

午後からいよいよ天気は悪くなるという予報だったのに、穂高はそこそこ見えてて裏切られた気分になった。

今回はやることなすこと裏目に出る。まさに裏銀座らしい旅になったよ、ふっ。

 

上高地バスターミナルに着いて、乗車には予約が必要ですと言われ、え、まさか満席!?と驚いたけど、あっさり1席確保できた。もったいぶりよってからにー!

でも空きは5席ぐらいしかなかったから、ちと危ないとこだったんだね。

 

あずさ2号で女性に睨まれる

小梨平でテントを張って、お風呂にも入るつもりだったが、2泊3日で歩いといてお風呂も入らずにバスに乗り込むという暴挙を敢行しようとしている。

いやいや、それはさすがにできない。

周囲に申し訳ないから、トイレで裸になってボディペーパーで体を拭きまくって、着替えを済ませた。

これでゴリラ臭をマンダムなデオドラント臭が隠してくれるはずだ。

 

新島々駅から松本駅までの電車は、バスと同じアルピコグループの上高地線だから、バスと電車代セットで購入できる。

新島々駅でのバスと電車の接続も完璧。

 

駅でコーラを買って電車に乗り込む。

 

バスでも電車でも、8人ほどのまだ若い中国人観光客が近くにいたけど、バスで乗車マナーのクソ悪い日本人のおっさんがいて、とても恥ずかしくなった。

この時の羞恥が、この後の上州武尊山の登山で、山頂にいた中国人ハイカー達に、写真撮りましょうか?と優しく接することに繋がる。

全て連鎖している。

 

特急あずさって、今はこんななってんのか!

何度か乗ってるから知ってるけど(笑)

あずさ2号ってイメージは欠片もない。

車内はガラガラで、3人しか乗ってなかった。

松本駅の売店でビビンバ丼を購入。しっかり温めてもらって乗り込む。

車内で開けた瞬間、それまで平和だった車内をビビンバ臭にしてしまい、前かがみになってパソコンで仕事していた女性から睨まれた。

乗車マナーが悪いのは自分も同じだったか。申し訳ない。。

裏目の裏銀座、これにて完。

 

振り返って

3泊4日の予定でのんびり歩こうと思って企画した裏銀座、まさかの台風8号到来で2泊3日の急ぎ足になってしまった。

 

それでは、その2泊3日をダイジェストで振り返ってみよう。レッツらゴーの助。

 

晴れ渡って、こいつは最高の裏銀座になるなーと確信した烏帽子岳。

突風が吹き、雨も降り始め、クソ登山の幕開けとなった野口五郎岳。

土砂降りになり、寒さで震えて逃げ込んだ水晶小屋。

霧雨の鷲羽岳で失意のピースサイン。

背後にぴったり付いてくるおじさんからストーカー被害に遭った、雨の三俣蓮華岳。

強風が吹き、やまない雨に、つまらないと呟いた双六岳。

そして集大成となった、やけくその槍ヶ岳。

 

涙無しで振り返ることはできない。50キロ歩いてこれだ。

しかし、どれもこれも思い出深い。夏山JOYを満喫できた。心からそう思う。

素敵なガスをありがとう、アルプス。おかげでまた来る理由ができた。

ちなみに1枚だけトイレの画像が混じっているが、間違えたわけではない。

烏帽子小屋のトイレが匂わなくて、素敵過ぎたから1枚撮っておいたのだ。もはや一番の思い出かもしれない。

 

烏帽子小屋よ、丁寧な接客をありがとう。

水晶小屋、そこに建っててくれてありがとう。

三俣山荘のカレー美味かったよ。双六小屋も当日のテント予約でも受け入れてくれて有難う。

槍沢ロッヂは、コロナで営業停止中なのに、暑さでバテた自分を小屋の中で休ませてくれて有難う。

登山の魅力は、またもや伝えられなかった気はするけど、とにかく有難う。

最後に、ビビンバ丼は電車で食べるのはよします。反省。腹が減ってるとクサいやつ選んじゃうんだよね。

ではでは

3日間使ったカメラは、雨だったけど防塵防滴ではない富士フイルムX-E1とXF18-55レンズどえす。


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