【北アルプス】十石山 日本の屋根から加齢臭を散布する 風速27mで晴れ待ちする雪山登山

【北アルプス】十石山 日本の屋根から加齢臭を散布する 風速27mで晴れ待ちする雪山登山

洗面所で背後にぴたりと立った息子。

なんだろう、嫌な予感しかしない。

 

「とうちゃん頭の匂いエグっ!!」

 

やはり、突然刺されました。

 

 

どもども、今回は北アルプスにある十石山(じゅっこくやま)に登ってきました。

 

標高はニコニコの2,525m。

 

おっさん臭という天然デオドラントを日本の屋根から全国へ散布するというクレイジージャーニー。

 

下界では「なにこの黄砂、匂いがエグくない?」と軽く騒ぎになってくれたら本望だ。

 

 

さてさて、こないだテレビで長澤まさみが2世俳優として紹介されてたんだよね。

それって違くね?

そんなこと言ったら吹石一恵だって山田裕貴だって2世俳優になっちゃうじゃん!

Mattもそう。

 

 

親の七光りが届かない異業種で成功しても2世としてくくられちゃうのは正当に評価されてない気がする。

 

さて、仕方ないので十石山の話でもするとしようか。

 

YAMAPやヤマレコなんかでおすすめの山として紹介されていることもあって、最近は目にする機会が多くてちょっと気になってたんだよね。

 

急登はあるけど雪山としての難易度は高くないし、雪崩のリスクも低い。

この山と残雪期の燕岳は北アルプスの雪山デビュー戦にはちょうど良いと思う。

ちょっと距離と標高差はあるけどね、そこはある程度登山経験を積んできた人が次のステップに選ぶといった場合のお話。

 

十石山は白骨温泉から登るルートが一般的。

乗鞍岳にも上高地にも近いから山頂からの景色に期待大といったところ。

でもたくさんレコがアップされてる山だけど、不思議と快晴の写真が少ないんだよね。

 

日本海側の気候の影響を受けるから晴れることの方が珍しいとは思うんだけど、それにしても曇りの日がやたら多いという印象。。

うーん少し心配。

 

この日はてんくらで風速27mという目を疑う強風だったんだけど(とうぜんC)、とにかくそれでも晴れる予報だったからそれを信じて登ってきた。

爺ヶ岳でサングラスが吹き飛ばされるほどの強風に懲りたばかりだというのにね。

 

 

標準コースタイム

■2024年3月31日 ※カッコ内は標準コースタイム

白骨温泉バス停⇒(20分)⇒十石山登山口⇒(210分)⇒十石山山頂⇒(155分)⇒十石山登山口⇒(20分)⇒白骨温泉バス停

コースタイム:6時間45分

総距離 11キロ、累積標高上り 1,210m

 

千石山雪山登山

白骨温泉バス停前からスタート

花粉症による鼻のかみ過ぎで、ちょっとしたことで鼻血が噴出する。

この時期はいつもそう。

周りからは「あいつ鼻血で死んだんじゃね?」

と、あらぬ疑いを持たれてしまうほど職場でも鼻にティッシュを詰めている。そんな恥ずかしい自分がやって来たのは白骨温泉。

 

白骨温泉バス停の近くに駐車場がある。この野天風呂が目印。

ちなみに野天風呂へ通じる階段はなかなかの積雪でとても入れそうになかったな。

 

温泉宿が立ち並ぶ舗装路をボケーっと歩いてると曲がるところを見落とすといううっかり八兵衛を披露。

自分の後ろを歩いてたおじさんもつられて八兵衛してたから、「こいつぁどうもすみません」と軽く挨拶して一緒に引き返す。

 

 

林道が除雪されていたのはここまで。

ここに倒木があって除雪車が入れなかったと聞いた。

このざくざく斬られまくった丸太がそれまで通行できなかった人たちの怨念の強さを物語っている。

 

雪が腐ってて歩きにくいったらない。

そりゃ恨むのも分かるよ。

 

十石山登山口

林道をしばらく歩いて登山口に到着。

最初が肝心だと言わんばかりに、すかさずザックを下ろしアイゼンを取ると見せかけて、焼きそばパンを頬張り始めるという腕白っぶり。

味覚が小学生だから今でもおかずパンが好きなんだよね。

 

やっとザックを背負い歩き始めたと思いきや、わずか10歩で再びザックを下ろし、ワカンを装着するという非効率の極み。

しかしあたしゃそんなことは意に介さず「最初が肝心なのだよ」とよく分からないことをブツブツ言っている。

 

最初が肝心とか言っておきながら、最初からカメラの色設定を間違えて赤色が強調されてしまっている。

ちなみに途中で気付くこともなく、最後までこの設定のまま撮り続けてしまった。

すべてJPEG撮って出しのためもはや手遅れ。

最初が肝心なのだから仕方ない。

 

 

さあ、いよいよ森の中へ。

 

 

本日はめちゃくちゃ強風の予報だったけど快晴の予報でもあったんだよね。

だから登りに来たんだけど…

この雲の多さはなんなの?

 

日が差すとすかさずカメラを構える。

陰ってる時間の方が多かったんだけど、あたかもずっと晴れてるかの様に見せるただの強がり。

 

 

この山は最初に最大の急登ポイントが訪れる。

等高線を見てもらえば分かるけど、最初に密が詰まってるポイントがやって来て、そこからはしばらく横移動。そしてその横移動を抜けると尾根道を山頂までだらだら登り続けるという3部構成となっている。

 

 

樹林帯だから雪崩のリスクは少し低いとは言え油断はできないから、どこに逃げなきゃなとか常に考えながら歩いている。

 

 

ほんの少し青空が出ればすかさず撮影。

今日は晴れだな。

 

ハイチュウ占いでもしとくか。

ハイパー大吉!

ほんと、こんなことで幸せにしてくれるからハイチュウが好きだよ。

 

もう少しで最初の急登が終わる。

1kmちょっとで250m〜300mも標高を上げる。

 

 

コニカ!と思わず叫んでしまった。

なぜここでコニカなんだろう?

今や「さくらカラー」がコニカだとピンとくる人はごく一部の変態だけだろうね。

 

ちなみにコニカの社名は前身の小西六写真工業の「コニシ」と「カメラ」を掛け合わせたのが由来。つか、そもそもコニカの前の社名が小西六だと知ってる人がいたらド変態です。

 

急登が終わるとしばらくは長い横移動になる。

わかんが無かったらゴリラにとってここら辺はズボり地獄だ。

最初が肝心なのだよ。

 

ちなみに爺ヶ岳でサングラスが強風で吹き飛ばされたから、急遽前日にドンキで1,900円で買ってきた。

ユニクロでも良かったかも。

 

尾根道の登りが始まった。

ここかはらはもうやめられない止まらない坂道が山頂まで続くよ。

 

 

晴れだ!ずっと晴れてる!ずーっと!

強がり発動。

 

 

それからぜんぜん太陽が出てきてくれないから少しずつ諦めモードに突入。

どんよりした中、シラビソの森を抜けていく。

 

もうすぐ森林限界

少しずつ木々の間隔が広がってきた。

森林限界は突然には訪れない。少しずつ薄くなっていくのはハゲと同じなのねん。

 

今日のフィルムシミュレーションはVelviaなんだけど、ただでさえ赤色が強調される間違えた設定になってるから余計失敗が目立つ。

ドンキのサングラスをかけたまま撮影してたし、ぜんぜん気付けなかった。

 

 

なんかね、ここら辺でだいぶ疲れてきた。

足が上がらなくなってきて立ち止まる回数も増えてきたんだよね。

 

 

景色も開け、振り返る回数が増える。

あの遠くの山、何十回見たか分からない(笑)

 

 

風速27mで山頂が曇っちゃってたらただのマゾ登山だな。

 

 

そして右を向けば青空を発見しすかさずパチリ。

こうやって印象操作って出来上がるんだろうな(笑)

 

正面を向けば真っ暗(笑)

 

話は脱線するけど、最近無意味な横文字の多用がキモい。

以前からだけどね、

でも最近あまりに多すぎると思うんだよね。

ルー大柴化ですか?

おいおいお前ちょっと前まで「エスカレーション」なんて使ってなかっただろ!

そんなの使わずにみんなフツーに会話できてたじゃん!突然どうした!

 

って感じです。

 

猛烈にイキった感じになってるぞ。目を覚ませ。

 

俺は「アジェンダ」とか、口が裂けても言わないからな!

スキーをしてた頃は、ビンディングのことは「金具」って言ってたし!

挙げ句にはバインディングって言い出す輩もいたり、ドイツ語と英語で悩むぐらいなら金具って言えばいいのに。

 

ええ、ただの頑固くそヤロウのたわ言です。

 

でもね、思うんです。横文字に頼らず日本語で伝えた方が絶対に美しい。

 

横文字イキり野郎が身振り手振りてする説明なんて聞いてらんないんだよね。

そういう輩に限って、約定を「やくてい」って読んじゃったりするわけです。

 

ええ、わかってます。偏見です。

 

あたしだって昔から浸透してる横文字はそりゃ普通に使いますからね。ジャンパーとかブルゾンとか(笑)

 

ちなみに、自分の会社を見回してみると、海外赴任から戻ってきたおっさんが変な横文字を使いたがる傾向が強い。

 

しかもそこそこの役職者になって日本に戻って来るから、今年の事業部のスローガンなんかを変な英語を使って全社発信したりしちゃうからもう救いようがないわけです。

 

そういう意味では、カルピスとかいいよね。

「カラダにピース✌」とかセンスあって羨ましいわ。

 

遠くに見えるピークが十石山かな。

こうやって見るとまだだいぶある。

 

強風予報だけど樹林がまだ守ってくれている。

心配なのはこの先の森林限界だけど、登ってる最中は熱すぎてハードシェルなんて着る気になれない。

 

雲がものすこい速さで流れていく様子が静止画では伝わらないのが残念だ。

今からあの強風にさらされに行くと思うと恐怖を感じる。

 

遠くから日向がこっちに向かって来る。

雲の流れの速さに合わせて日陰と日向が目まぐるしく変わるのが面白い。

 

日向に包まれたらすぐ日陰になる。

きっと山頂でもこんな感じなんだろうな。

 

最近は坐骨神経痛がだいぶ落ち着いてきて、そっちとの戦いで疲弊することも減った。

だいぶ疲れてきたけど、相手は山だけだと思えば気は軽いのだ。

 

 

ここを登りきったら山頂かな?

 

 

違った。

なだらかに見えるけど地味にしんどいんだよね、この登り坂。

まだ山頂見えないし。

 

あれ、避難小屋がある。

もしかして、すでに山頂に着いてたのかな?

 

あった!

こんな小さい標柱じゃ分からんって!

 

暴風の山頂

写真じゃ伝わらない強風。

期待した景色は雲多め。

 

 

ここまで何度も振り返って見てきた遠くの山は、ここからの景色の方が悪いという首をひねる展開。

 

 

この暴風の中、さあ日本の屋根からおっさん臭を拡散するぜぃ!と浮かれている。

「本日は全国的に加齢臭が広範囲に飛散するでしょう」。

そんなお天気アナ風なことを言ってたと思う。

 

 

ん?どうしたおっさん?

 

もう上司から叱られたくない!

もうこれ以上部下に気を遣いたくないんだ!

突然全てが嫌になって雪山で眠りこく気なのかもしれない。

 

いや、違う。

実はカメラバッグを下におろした瞬間、猛烈な風でカメラバッグが吹き飛び、崖下に落ちる寸前のところで決死のダイビングキャッチに成功したところなのだ。

ちなみにこの時、「9000円!!」とカメラバッグの値段を叫びながら飛びつくというボンビーエピソードは本当のお話。

 

 

そんなアホなことをしているといつの間にか恐ろしい闇が山頂を覆いだした。

一瞬で寒さの限界に達する。

 

3月後半のアルプスはまだ冬だ。

暦の上では春だからそりゃ天候は安定してきたとは言え、まだ普通に雪は降るし、日が陰って強風だとそりゃ寒い。

 

 

そんなわけで避難小屋へガチ避難。

 

 

ここから入るみたいだけど、このちっとも可愛くない猫が目印。

 

 

うーん暗い。

この奥に部屋があるんだろうけど、わざわざわかんを脱いで中に入っていかなくてもいいかも。

 

再び山頂に少し立ち寄って帰ろうと思いきや、風が強すぎて本当に体が前に進まない。

子供ぐらいなら吹っ飛ぶほど。

 

仕方ない、帰ろう。

もうこれ以上何かを吹き飛ばされたくはない。

 

ゲッザーン開始

とりあえず樹林帯まで下っちゃえば風を避けられる。

尻セードを敢行したら解け始めた雪で容赦なくパンツまでびちょびちょになったわ。

 

無風の場所を見つけて遅い昼食とする。

スーパーで買った安さだけが取り柄の赤飯おにぎりがひどい味だったことを鮮烈に覚えている。

栄養補給さえできればそれでいいやと諦めつつも、不味いおにぎりがどんなシチュエーションにおいても人を悲しくさせることを知った。

少し高くてもこれからは美味しいおにぎりを買おうと思った。

 

雲が2層になってて、低いところをうろこ雲がゆっくり流れ、その上を大きな雲がすごい速さで流れていく光景が見てて飽きない。

 

さーって、下山だ。

自分は下山してから2週間ほど経った今、風邪を引いてかなりグッタリしながらこのブログを書いている。

 

会社は休めない。というか休む暇なんてないほどの業務量を押し付けられている。

 

よし、だったら在宅しようかとも思ったけど周りのメンバーに「この日在宅しまーす」と先を越されてしまい、もはや自分が出社しないと職場がもぬけの殻状態になってしまうというボッチ状態に陥っている。

風邪で苦しんでるというのに通勤し、留守番をさせられる中間管理職。

 

この在宅勤務のルール間違ってるけど、、それ以前にもう少し気を遣ってほしい。。

 

この清々しい写真を見ながら、喉の痛みと微熱による絶妙なダルさと戦っている。

 

ああ、十石山の時に寄った白骨温泉サイコーだったなぁと走馬灯の様に甦ってくる。

あの至福の時間はもしかすると発熱による妄想なのかもしれない。

白骨温泉、また行きたいなぁ。

 

さっきまでの暴風が嘘のように無風だよ。

山頂の暴風はたしかにすごかったけど、この1週間後、表参道の駅で降りて外に出た途端、傘の骨が全部折れるという猛烈な風雨に見舞われる。

東京のビル風が1番恐ろしいかもしれない。

 

この写真はなんだっけ?と整理してて思うことはよくあるんだけど、この時のことはよく覚えている。

最後の急坂の下りで嫌気がさして、上を向いて撮影に現実逃避しているのだ。

坐骨神経痛が治って登山が楽になると思ったら大きな間違いで、そもそも根性が無いんす。

 

 

最後の林道で完全に疲弊しきってようやく下山終了。

割りとのんびり歩いたつもりだったけど、同じタイミングでスタートしたバックカントリーと一緒になったから、まあまあ速いペースだったのかもしれない。

 

 

振り返って

暴風だったけど、山頂に立てて良かった。

山頂に立つことが目的ではないとは言え、山登りをしてるならやはり山頂に立ててなんぼなのだ。

 

とは言えね、雲が多すぎたしカメラの設定を間違えたし、また来ても良いかなと思っている。

白骨温泉サイコーだし。

つか、山頂よりそっちが目的かもです。

 

 

繰り返すけど、風邪ひいてるけど会社に誰も来ないから留守番のために泣きながら出社してます。

「人がやりたくないを率先してやる」

そんなことをアピールするつもりなんざぁ全くございません。

部下からは「大変ですねぇ」と言いつつ内心では「管理職ならやって当たり前だろ」と一笑されてるだろうし。

パワハラ慣れした上司からは「馬鹿野郎。オレの時はな・・」なんて昔話を聞かされちゃうのがオチ。

あなたの世代は交際費たくさんあったろ?扶養控除だってあったろ?消費税だって3%だったろ?就職氷河期だって経験してないだろ?

 

今を生き抜く40代の中間管理職、みんな頑張れ。

でもその頑張り、あんまり報われないけどね。

もう少し図々しく立ち振る舞いたいもんだなぁ、疲れたし次はどこかのんびり低山を歩きたいなぁ。

そんなことを思っている昼休み。

風邪を早く治さねば。

ではでは

 

歩いたルート


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