燧ヶ岳 登山(御池ルート) 湿原はキンコウカ満開 尾瀬ヶ原と尾瀬沼の眺めに癒やされる晩夏の峰

燧ヶ岳 登山(御池ルート) 湿原はキンコウカ満開 尾瀬ヶ原と尾瀬沼の眺めに癒やされる晩夏の峰

8月25日。夏の終わりに尾瀬にやってきました。

今回登るのは福島県の燧ヶ岳(ひうちがたけ)

コースは以前からずーっと歩きたいと思っていた燧ヶ岳の人気ルート、御池登山口からのピストンです。

この山に登るのは今回で2回目。前回は浅草駅から電車とバスを乗り継いで行く「尾瀬夜行23:55」という東武の企画を利用してテント泊してきました。で、その時はテン場から1番近い見晴新道を使ったピストンで手っ取り早く登ったんだけど、見晴らしとは名ばかりでずっと樹林帯の急登。しかも登山道は踏みならされてなくて、伐採された熊笹の先が恐ろしく尖ってて、その時履いてたシューズの底を貫くんじゃないかと恐る恐る歩きました。そう、ずっとルート選択をミスったなぁーと後悔してた訳です。

それでも山頂からの眺めは素晴らしく、尾瀬ヶ原から見上げる燧ヶ岳の姿もカッコ良かったので、至仏山にはまだ登った事がないのに「また尾瀬に行くなら燧ヶ岳っしょ!」と再訪を心待ちにしてました。

 

夏が来っる〜🎵(大黒摩季)

ちがう!!

夏が来〜れば思い出すぅー🎵という訳でギリギリ夏に間に合わせてやって来たぜぃ!

 

ほいだば燧ヶ岳のポイントです。

燧ヶ岳のポイント

①御池ルートは登山口から山頂に至るまで変化に富むルート。

②双耳峰で山頂は柴安嵓(しばやすくら)と、爼嵓(まないたぐら)最高峰は柴安嵓の方です。

③山頂からは広大な尾瀬ヶ原を挟んで至仏山が見え、眺めは文句なし!

尾瀬ヶ原の湿原と尾瀬沼は燧ヶ岳の噴火活動によって川が堰き止められた事で誕生しました。尾瀬を形成したのは燧ヶ岳だということは尾瀬を歩く前に知っておきたいポイントです。

そんな燧ケ岳には山頂までの過程で湿原が2回出てくる御池ルートが断然オススメっ!

御池登山口からは、急登→湿原→急登→湿原、そして山頂からどーんと広がる尾瀬沼。そして尾瀬ヶ原と至仏山。遠くには日光連山の山々。この目まぐるしい景色の展開は歩いてて飽きさせません。やっぱ御池ルートにして大正解!と感心してしまった。

 

燧ヶ岳は標高2,356m。日本百名山、東北百名山。東北最高峰の山です

燧ヶ岳、漢字書けません。

いざっ

 

ルートとコースタイム

■2019年8月25日

御池登山口⇒(60分)⇒広沢田代⇒(50分)⇒熊沢田代⇒(100分)⇒爼嵓⇒(20分)⇒柴安嵓⇒(20分)⇒爼嵓⇒(70分)⇒熊沢田代⇒(40分)⇒広沢田代⇒(50分)⇒御池登山口

標準コースタイム:6時間50分

■活動距離:9.2キロ
■単純標高差:853m
■累積標高上り: 1,236m

 

燧ヶ岳登山 本編

御池登山口で準備

尾瀬へは群馬県の沼田からと福島県の檜枝岐村アクセスする方法があります。東京方面からなら圧倒的に群馬県側からアクセスする方が移動距離が短くて楽です。

しかし残念ながら今回登る「御池登山口」は福島県の檜枝岐村側にあるためアクセスするだけで一苦労。。

都内を早朝というかまだ夜の3時に出て御池登山口の駐車場の7:30に到着しました。

 

そんな苦労してやって来たのには理由がある!

東京や山梨の天気が曇り予報だったのに対して、燧ヶ岳は快晴の予報だったから!

こりゃ、期待できるぜぃ!うふっ

と意気揚々と長距離移動してやって来たけど到着するなり

まさかの雨!!

シャトルバスの乗車券売り場のバイトの兄ちゃんが空を見上げ、「はい、今日の仕事終わり〜」とか言いだす始末。ちっ!

 

既に標高1,500mだし雨も降りだすとさすがに肌寒い。とりあえず雨が止むまでは御池ロッジの中で待たせてもらいましょう。

ちなみにこの御池口から沼山峠まではシャトルバスで移動できるので、御池から登って長英新道で沼山峠へ下山してバスで戻ってくる人もいるみたいですが、長英新道は見所も少ないしシャトルバスは600円ほどするので私はお薦めしません。

600円あれば尾瀬名物の花豆が買えるよ!甘納豆美味いよね。

 

御池ロッジの売店にはモンベルコーナーがありました。雨合羽の品揃いの良いこと(泣)。

今更、登山口で売られてる様な登山道具には興味はありませんが、雨が止むまでなんとかして暇を潰す必要があります。

さあ、興味あるフリしてLet’s物色!

「ふ〜ん、そっかそっかー、なるほどねー」とか言いながら必死に見回します。必死です。

そして3分もしない内に店を出ました。。

時間を潰すのが世界一下手かもしれません。頑張ったのに。

 

御池ロッジの外で雨宿りしてると雨が弱まってきました。

しかしこの雨のせいで湿気ムンムン。山頂方面は見事にガスガス。テンションだだ下がりですが、もうそんな事言ってらんないのでツイッターで登山開始を宣言します。

「松本動きます」。

 

御池登山口から登山開始

最初は木道。

登山口からは遊歩道が整備されてて登山客以外にもハイキングができる様によく整備されてます。さすが尾瀬です。

 

すぐに燧ヶ岳と尾瀬ヶ原(見晴)との分岐に差し掛かります。

ここからが本格的な登山開始。

 

いきなり急登です。

御池ルートのピストンなら単純標高差900mほどなので初級レベルなのですが、登山道は湿った岩々が多いので甘く見てると痛い目に合います。

今回は先日の雲ノ平の疲れを癒やすことを目的にのんびりハイクを楽しみに来たので、自分が誰よりも甘く見まくりなんですけどね。

 

サスケ、その1。

落ちる時は顔面から飛び込むべし。

最近、登山シューズをローカットからミドルカットに替えました。靴紐の代わりにワイヤーを引っ張って止めるクイックレースを搭載してるブーツで、素早く締め付けができるしテントでの着脱が楽ちんなのが気に入ってます。

何を言いたいかというと、こういう所でほんの少し失敗しただけでローカットだと即死ですが、ミドルカットだとちょっとした事故で済むからラッキーだね!

 

8月後半なのにきれいに咲くアジサイはエゾアジサイ。不思議な季節感です。

 

燧ヶ岳を甘く見てた自分をあざ笑うかのように、無尽蔵の体力を持つ同行者のペースが尋常じゃなく速いので先頭を代わってもらいました。ゆるゆる気分でしたがトレランになりかねないと危惧して鼻先を抑えた形。

ここで一旦のんびりペースに切り替えます。

 

2合目。

1合目の案内を見落としましたが、この先もちょいちょいこんな案内板が出てきてくれるから自分の位置を確認しやすい。

自分の立ち位置が3枚目を通り越して前頭5枚目ぐらいだってことぐらい分かってます。ほっといてくれ。

 

コバキボウシ

すごく目立つ綺麗な花ですが、よそ見して歩いてる登山者のザックとかに当たってしまうぐらい登山道にはみ出て咲いてました。

 

急坂が一気に緩んだら最初の高層湿原がでてきます。

ここからが御池ルートの真骨頂。

広沢田代~熊沢田代

不思議な世界です。山の中腹になぜこんなだだっ広い湿原が登場するんだろう。

これぞ尾瀬って感じ!

 

ここの高層湿原は「広沢田代」

この次に熊沢田代という湿原が登場します。

更にその次はマサシ田代が登場します。

だいぶ変態だから気をつけろ!

 

湿原らしく池塘がでてきます。

晴れ予報だったのにまんまと曇り空ですが湿原を見てる分には多少天気が悪くても楽しめる。

 

尾瀬には氷河期の植物が残っていると何かで読みました。現在は南限がロシアと言われている植物が、氷河期に標高の高い尾瀬にだけ残って今も自生してるそうです。

すごいことですね。

 

湿原の定番、モウゼンゴケがたくさん自生してました。食虫植物です。

虫も多いんでしょう。トンボも多かったけど気温が低いためか元気がなく、木道にじっと止まったまま近づいても動かないから簡単に捕まえられる。それどころか登山客に踏まれてしまっている可愛そうな奴もいました。

 

オゼミズギク。高山植物の定番中の定番、ウサギギクにくりそつ。たんぽぽじゃないのよ。

 

広沢田代を過ぎると再び急登が始まる。

3〜4合目を見落として気付けば5合目。

簡単に見落とす注意散漫サタバサ。

 

振り返ると広沢田代が見える。

 

しばらく急登を我慢して登ってると再び傾斜が緩み始め、次なる湿原がそろそろ登場する雰囲気。

 

思わず「わぁー!」と声を上げてしまう広い湿原に出ました。

熊沢田代です。

この山頂に至るまでの過程の面白さ。景色が目まぐるしく変化していくから飽きない。

 

正面奥に見えるピークの奥に燧ヶ岳の本当のピークが隠れてます。

ガスっててちょっと分かりにくいですね。

 

たまたまこの1枚に多くの登山客が写ってますが、実はそれほど登山者の数は多くなかったです。むしろ登山客がたくさんいるー!と嬉しくなって撮ってしまった感じ。

百名山だし人気のルートだからさぞ混んでるんだろうなと警戒したけど、やはり檜枝岐村までのアクセスが大変だから人は少なめの様です。

天気も悪くなったというのもあるとは思うけど。

 

湿原から再び樹林帯へ入っていきます。

湿原を抜けて二つの山頂へ

7合目までやって来ました。

例のごとくそれ以前の5〜6合目の案内を見落とした様です。

 

突然ガレたところに出ました。道幅が広いので休憩を取るのにもってこいの場所でもあります。

お腹が空いて我慢できなかったのでおにぎりを食べます。もうすぐ8合目で山頂までもう少しなのにここで食べてしまっていいのかい?とこの時に自分に言ってあげたい。

 

8合目。ここまで来れば山頂は目と鼻の先。

 

大雨が来たら今にも土砂崩れを起こしてしまいそうなところを通過します。

先程、熊沢田代から見えた偽ピークを巻く様に横移動していきます。

 

そして最期の登り。残念ながら青空は見えませんが、まずは双耳峰の1つ、爼嵓(まないたぐら)への登り。

 

到着!

真向かいに見えるのが柴安嵓。左前方に見えるのが至仏山(見切れてるけど。。)。

で、まず山頂に立ってやっとお目見えするのがこちら。ご紹介しますよ、

 

こちらが尾瀬沼でございます。

なかなか標高差が感じられる景色で爽快です。男体山から眺める中禅寺湖に似てる。

 

御池ルートは俎嵓を経由しないと最高峰の柴安嵓に行けないのが難点。ピストンの場合、帰りは柴安嵓から俎嵓を登り返さないといけない満腹ひでぶ状態。

こんなに食べれないよという訳で柴安嵓は回避しようか悩んだけど、体力的にはまだ余裕があったので結局行くことに。

まあやはり最高地点は抑えておかないとね。登山者の性ってやつです。

 

という訳で、一旦下る。

ご覧の通り、かなり標高を下げる様に見えるけど、実際に歩いてみるとそれ程でもないことにほっと胸をなでおろす。

 

そして踏ん張って柴安嵓の山頂へ。

今年の梅雨は晴れ予報なのに雨、それも大雨&強風、という日頃の行い通り3回も不運に見舞われましたが、そのツケを取り戻す様に最近は晴天が続いてます。

今回も山頂を目前に最高のタイミングで晴れてくれました。

 

着きました。どこからどう見ても暮石。

享年2,356m、燧ヶ岳 太郎殿。

 

ナンマンダブ〜。

燧ヶ岳にはこの構図がよく似合う。

 

先程の爼嵓からほんの少し見る角度を変えた尾瀬沼がこちら。

うーん新鮮味ゼロっ!

一応主役なのでしつこく紹介した次第です。

 

山頂では思い思いのポーズを決めていく登山者たち。

でもやっぱり1番の眺めはこちら↓

 

広大な尾瀬ヶ原と、それを挟んで対峙する至仏山

この景色が燧ヶ岳最大の魅力でしょう。

この景色を見て燧ヶ岳の魅力にヤラれてから再訪をずっと狙ってたから感激っ!

ギリギリのタイミングで晴れてくれてほんとラッキーです。

この素晴らしい景色を眺めながら、8合目でおにぎりを2つも食べたことを激しく後悔しながら、麺1.5倍のスーパーカップをしっかり食べて、今回も太って下山するパターン。やったね!

 

御池ルートのピストンなので再び爼嵓へ登り返す。うぷっ。

たまに見晴方面に下山して裏燧を抜けて御池まで歩いて戻ってくる人がいますが、それだと総距離で20キロも歩くことになり、しんどい登山になってしまうからお薦めはしません。

少なくとも今回は雲ノ平の疲労を癒す優しい登山をテーマにしてやって来たので御池のピストンが最適です。

 

秋が来たことを知らせてくれるリンドウをちらほら見かける様になってきました。

 

再び尾瀬沼。もぉええわ!

はい、最後のこれを見納めにしてゲッザーン開始。

 

再び湿原を抜けてゲッザーン

眼下に熊沢田代の湿原が見えてきました。

登りの時とは違う景色の見え方にピストンでも新鮮な気持ちで歩けます。

 

まだまだ紅葉には程遠い濃い緑が山を覆ってます。

 

チングルマの果穂はアルプスで見かける様なピンクがかった物ではなくワタスゲの様に真っ白。

 

えっちらおっちら歩いてると熊沢田代が目の前に迫って来ました。御池登山口から山頂までの単純標高差は少ないから下山は早い。

 

池塘を前に目線を下げて遠くを見るとそこそこ大きな池から撮ったみたい。

正面の山々は日光連山です。

 

尾瀬の湿原には冬の間3〜5mほど雪が積もるそうです。信じられますか?この景色が様変わりするまであとたった3ヶ月ほどだなんて。

もう気付けば夏ももう終わり。短い秋が来て、あっという間にちらほら雪が降り始めてうんざりするほど長い冬がもう目の前です。

 

見晴新道はひたすら急登の樹林帯だったのでこの湿原の景色は別世界。同じ山とはとても思えない。

 

日が差すと途端に暑い。上りでは曇り。そして下りで晴れてくれるなんて今日は出来過ぎです。

しかも百名山でこれだけ登山客が少ないなんて、のんびり尾瀬本来の自然を楽しむことができて今日の登山は最高となりました。

 

もうすぐ登山口です。一部の登山道は川のようにジャバジャバ水が流れてて滑った瞬間ウオータースライダーで登山口まで直行という箇所がいくつかあって、慎重に下りてきました。

 

個性的な山でした。

こんな素晴らしい東北地方の最高峰の山に簡単に日帰りできてしまう即席さ。これでいいんだろうか。。

 

14:00

本日の登山終了。車はもう半分以上いなくなってました。人が少なく感じたのは歩くペースが単に遅かっただけなのか・・?

 

ところで会津高原尾瀬駅前の「憩の家」には「三種合体麺」といって、一つのどんぶりにラーメン、そば、うどんが入った名物があるそうなので欲張りな方は是非どーぞ!!

 

帰りは奥只見から銀山平を抜けて新潟から関越自動車道で帰りました。ですが長い長い山道なので檜枝岐村から那須へ出た方が良いです。

檜枝岐村も新潟もとにかく蕎麦の白い花がたくさん咲いてるのが印象的な旅でした。

 

振り返って

 

山頂からの尾瀬ヶ原の眺めはたくさんの人に薦めたい素晴らしい景色です。東京からだとちょっと遠いけど足を伸ばす価値のある山だと思います。

初めて訪れた時に利用した東武の「尾瀬夜行2355」は23時55分に浅草駅発の電車に乗って車中泊して会津高原尾瀬駅でバスに乗り換え、早朝尾瀬に到着する便利なプランです。

自分が利用した時は古い車輌で、リクライニングシートではなかったため2人分の座席に横になって小さくなって寝ましたが、今は最新の車輌に様変わりしてリクライニングシートでゆったり眠れるみたいです。

ちなみにこのプランを利用して会津駒ヶ岳にも登ることができます。

欲張りな人なら初日に会津駒ヶ岳、2日目に燧ヶ岳に登れるね!

楽しいのか?それ。

 

夏の終わり、湿原ではキンコウカの花が満開でした。一つ一つは目立たない花ですが、遠目に見ると草紅葉がもう始まったのかと見間違えるほどです。

夏の終わりの尾瀬はいいです。前回は初秋にやって来たけどその時も静かで居心地が良かったです。

御池駐車場は420台も止められますが、それでも最盛期は満車になることもあるそうです。

折角尾瀬まで来たのだからやはり最盛期は遠慮してのんびりしたいですね。

燧ヶ岳は満喫したので、次はまだ登ったことのない至仏山にそろそろ登ってみたいです。

5月の残雪期は殺人的に混むと聞くので、やはりまた9月〜10月を狙ってます。

ではでは

楽しかった〜


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