おデブの権化、やっほっほ亭です。こにゃにゃちわ。
11月中旬、八ヶ岳の権現岳(ごんげんだけ)に登ってきました。
1番牧原、2番今宮、3番権現岳、4番柳田、5番デスパイネ…。おっ!ホークスのクリーンナップに名を連ねる存在感!
あ、失礼。未だ日本シリーズの熱が冷めやらず…。
八ヶ岳の主峰を勝手に打線で例えるなら、1番ファースト阿弥陀岳(たまに事故って走塁アウト!)、2番ショート蓼科山(抜群の安定感)、3番センター権現岳(どっしりタイプ)、4番サード赤岳(頼れる主砲)、5番レフトデスパイネ(足遅すぎ!)って感じかな。
最後のはちょっと違うけど
とにかく権現岳は南八ヶ岳の中でも存在感がある山です。これまで登る機会に恵まれず、この度初めて訪れる事ができました。
それでは権現岳登山で良かったと思ったポイントです。
編笠山~権現岳登山のポイント
①観音平から編笠山→権現岳の2座楽しめる周回ルート
②山頂からは南八ヶ岳、富士山、南アルプス、奥秩父の山々の大パノラマ
③ギボシ〜権現岳はスリリングな岩稜帯
今回は観音平→編笠山→ギボシ→権現岳→八ツ頭→観音平に戻ってくる周回ルートで晩秋の南八ヶ岳を満喫してきました。
冒頭の写真で、右のピークが権現岳、左がギボシです。なかなか男前の山で、岩稜好きに薦めたい山でした。
八ヶ岳で権現岳より南にそれより高い山がないため山頂からの眺めは富士山、南アルプスの大パノラマ。天気さえ良ければ南八ヶ岳の主峰が居並ぶ景色に感動すること間違いなしっ!ひでぶ。
権現岳は標高2,715m、山梨百名山。かつては「薬師ヶ嶽」や「八ヶ岳権現」とよばれ、山頂には祠があって蓼科山とともに山岳信仰が盛んな山だったそうです。
ほいだば参りまひょ。
いざっ
ルートとコースタイム
■2019年11月17日
観音平 ⇒(110分)⇒押手川⇒ (80分)⇒編笠山山頂⇒(30分)⇒青年小屋⇒(90分)⇒権現岳⇒(60分)⇒三ツ頭⇒(75分)⇒木戸口公園⇒(75分)⇒観音平への分岐⇒(40分)⇒観音平
標準コースタイム:9時間20分
総距離 12.6キロ
単純標高差 1,155m
累積標高上り 1,686m
権化の旅 本編
観音平から登山開始
早朝の観音平駐車場。
ここは11月下旬に冬季通行止めになってしまうから訪れる前に北杜市のホームページで事前に確認しておきましょう。通行止めの期間の権現岳は天女山登山口からのルートが一番ポピュラーの様です。
権現岳、編笠山方面へ。
この時点で標高1,560mなのね。単純標高差は1,155mですが編笠山やギボシのアップダウンがあるので累計だと結構登るからご覚悟を!
さすがにこの時期はもう寒いから準備を急いですぐ出発。
今日はコースタイム長い!頑張って歩くぞぃ!
すぐ日当たりの良い平坦な登山道にでます。朝の散歩道です。
熊笹が朝日にきらきら輝いてます。
登りが始まりました。
樹木はすっかり冬枯れてしまい朝日がさんさんと差し込んできます。
この時期は歩きはじめが寒くてしんどいんだけど、すぐに暑くなるから歩き始めちゃえば快適。
唐松の紅葉の隙間から編笠山方面の景色。
フーと息をついて濃いカルピスいちご味を一口。めちゃ甘い。余計に喉が渇くぜ。。
毎度水はちゃんと持ってきてますが、真夏以外はパンチの効いた甘いジュースも持ち歩くのが常です。
見事な秋晴れ。八ヶ岳ブルーってやつね。
八ヶ岳は太平洋側の気候の影響を受けるから冬は快晴に恵まれ易い。もうそんな季節が到来したでありんすね。
広いところに出たらそこは雲海というポイント。
雲海が見えるからその名がついたんだと思うんだけどここから見渡せるのは…
富士山!
すすきとのコラボがサイコーです。
権現岳が八ヶ岳の最南端に位置してるお陰で、まだ標高は低くてもこうしたちょっと開けた場所があればすぐ富士山が見られる。
雲海から先はこんなだだっ広い所を進んでいくから、ルートなんてあって無い様なもんで踏み跡が至るところに付けられててどこが正規ルートか分からなくなる。
それが途端に踏み跡が消えるから焦るんだよね。
ここでも踏み跡が無いことに気付いて正規ルートを探しに少し戻ったりちょっとだけ迷いつつ進みました。
押手川に着きました。まだここまではそれほど汗はかいてない。心臓はどくどく鳴りっぱなしだけど!
ゆっくり歩いてるけど休みは挟まずペースはよどみない。
ここに書いてあるのは、
「標高2,100m。うっそうたる森林に冷気すら感じ、辺り一面は苔に覆われた平坦地。水を求めた登山者が苔を押してみるとコンコンと清浄冷水が湧き出てきたことから押手川と言われた」
うっそうたる森林に冷気すら感じだってー!プププー。いかにも話盛ってておもしろいでちゅー!
ちなみに水は湧いてなかったよ!
編笠山の山頂からの大絶景
ここからの急斜面はこれまでののんびりした上りとは歴然の差。山頂まで一気に上り詰める!息が上がる急坂、途端に無口になるのはいつも通り。
口をついて出てくるのはヒーだけ。いつものヒーヒータイム突入。
頑張ってしんどい区間を抜けたら山頂までもう少し。突然森林限界に達するのが爽快です。
急な斜面をヒーヒーした人だけが見ることのできるご褒美タイムの始まり。
まずこちら、振り返ると南アルプス。
とびきりの山から眺めるとびきりの山々。ひーっひっひっ
麓に目を向けてみるとまっ茶色。紅葉のピークがいよいよ麓に移ったのがよく分かる。
12月の中旬になるとやっと東京や鎌倉あたりでも紅葉の見ごろを迎え、いつもながら季節感のズレにずっこけそうになる。
その頃には八ヶ岳では雪山シーズン開幕ですね。
そしてコイツら!ひーっひっひ。
編笠山の山頂と言えば南八ヶ岳どもの大展望だしょ!
以前編笠山に登った1月の雪景色も感動したけど、雪が付いてなくても圧倒される。
ちょいとアップにして、真ん中の山が八ヶ岳最高峰の赤岳です。
1番右に見えるのがギボシね。ギボシをよく見てみると手前に小さなピークがあるの分かりますよね?
それが西ギボシで、奥の大きなピークが東ギボシです。
今日はその東西ギボシを経由して権現岳を狙っちゃう算段です。
そして先程も紹介した富士山。
富士山はここから何度も登場するからここでは軽くスルーします。ピースしてる人はほっときましょう。
編笠山からの景色が素晴らしすぎて名残惜しいけど、先は長いんでギボシに向けて移動開始。
青年小屋へのカッチコチ下山
編笠山からの下山は北側斜面になるからしっかり雪が付いてます。もうカッチコチで春まで溶けることはなさそう。根雪ですなー。
青年小屋が見えてきた。
日本で一番遠い居酒屋として有名な小屋です。今日はやってるかいな?
おばんでーす。
青年小屋への下りは岩がゴロゴロしてて慌てるとマジで危ない。アイゼン付けようか悩んだけどよちよちペースで下る。
ちょー怖ぇっす。
やっと着いたけど居酒屋は既に営業終了してました。
テン場には営業期間に間に合わなかった登山客が1人ぽつーんといました。よくこの時期の八ヶ岳でテントやるよ。。
不動明王が鎮座するギボシへ
編笠山の下りで使わなかったのにここに来てチェーンを装着する判断の悪さ。
今更だけど、権現岳への登りのトレイルもカチコチに凍っててペースが上がらなかったからね、出遅れ感はあるけどここで装着。
一見雪なんて無さそうに見えるけど、トレイルはガチガチです。
この時期の難しさってこういうところですよね。
えっちらおっちら、疲れない様にゆっくり歩いてのろし場に着きました。
のろしをあげる人の苦労が少しだけ分かりました。
毎日登りに来るなんて、絶対に嫌だな。。
ギボシに向けて岩稜らしくなってきた!下りだと滑りそうなザレ具合です。
今日はピストンを予定してたけど、このザレ場をまた歩くと思うと周回ルートに気持ちがだいぶ傾きました。
樹林帯を抜け、日当たりが良くなってきたからトレイルの雪も溶けてます。さっき付けたばかりのチェーンを外す。めんどくさっ!
鎖が出てきました。
ギボシは見たまんま、ほんと岩稜らしいルートでちょいとスリリング。
難易度はそれほど高く無いので、中級者クラスの方なら目一杯楽しめる要素満載です。
ほいっ、まずは西ギボシゲット。
お次はあそこ。東ギボシちゃん。
ギボるぜ。
左の景色を見渡せば阿弥陀岳南稜ルートの青なぎが見える。
自分も南稜ルートを無雪期に歩いたことがありますが、厳冬期になると頻繁に滑落事故が起こるルートだから無理して近づかない方が身のためです。
転んだらアウトな区間が続く。
まあ慎重に歩けば問題なしです。臆病な自分はつまづいても大丈夫な様に鎖はがっちり掴んだまま進みます。
下ノ廊下みたいに岩盤を削って登山道を切り開いたルートです。ここを切り開いた人は相当大変だっただろうなと思う。
東ギボシに近づくにつれて険しさは増していきます。
権現岳もこんな近くなった。
岩がちょいと飛び出したのが山頂です。
東ギボシの山頂には不動明王像が睨みをきかせてます。こういうのって台風が来た時とか飛んでかないのかと毎度思うんですが、きっと何年もずっとこうしてあるから大丈夫なんでしょうね。
いよいよ権現岳山頂へ
ここに小屋があったなんて今回の登山まで知らなかったけど、、権現小屋も当然だけど店じまい。観音平駐車場の林道もこの翌週には通行止めになるタイミングだからね。
標高を上げるにつれて南側斜面にも雪がでてきましたがここら辺は表面だけですぐ溶けてしまうだろうな。。
(この登山から1週間後、天気が悪い日が2~3日続き八ヶ岳も南アルプスもすっかり真っ白になりました。いよいよ雪山シーズン開幕です)
さあ。着きましたぜ!最後の分岐。向こう側に奥秩父の景色がパーっとサイデリア。
(我ながらぞっとする古さ!)
権現岳は稜線上にちょこんと乳首みたいに岩が積み重なったところが山頂です。
それがあそこ。ぽこんと飛び出た岩の上が最も高いんだけど、あんな危ない所わざわざ登る必要ないっしょ。
はい~。
風が弱かったからちゃちゃっと登ってみました。怖くて立てないけどね。
権現岳からは360度の大パノラマ
権現岳からは心臓発作を起こしそうな大絶景が待ってた!
ここからジャンプしてムササビの様に麓の甲府の街に向かって飛んでいけたら気持ちいいだろうなと考えてしまう。
さっきまでいた編笠山があんな低く見えるのも新鮮。
そしてなんどもなんどもご登場の富士山。
手前にちょこんと頭だけ写り込んで見えるのはこれから通過する三ツ頭。
そしてスリル満点の南八ヶ岳の峰々。
おおらかさからかけ離れた山容がなんとも威圧的。
一番左が阿弥陀岳で八ヶ岳を代表するバリエーション天国。その右が赤岳。その奥に横岳と硫黄岳も見える。
硫黄岳は山頂からの爆裂火口が有名で、自分が八ヶ岳で初めて登った山でもあります。久しぶりに登ってみたいな。
山頂には甲斐駒ヶ岳にもたくさん刺さってる刀剣がありました。
不動明王と刀剣の関係性なんでしょうが、おかげで甲斐駒ヶ岳は刀剣が突き刺さりまくり。
富士山つんつんして帰ります。
富士山を眺めながらゲッザーン
富士山に向かって下山していく。
絶景を楽しみながら超のんびりペースです。もともとピストンで計算してたんだけど、ギボシのザレ場を下りで歩きたくないなと思って、急遽三ツ頭経由の周回ルートに変更することにしたから正確なコースタイムがイマイチ分かっていない。
そんな訳で、意外と下山が長くて途中からペースを上げることになる。。いつものことだけどね!
イグアナ岩。
とんでもなく大きな景色。目に見える景色がイメージを超えてくる絶景の連続です。権現岳は超お薦めです。
三ツ頭までの登り返しで一気に鈍ペース。足が上がらなくて意外と疲れてることに気付く・・ということを下山中の登り返しでいつも自覚する。
三ツ頭(みつがしら)に到着。ここでトレラン2名が上ってきて、ひとしきりはしゃぎまくってそのまま下山していきました。山頂には興味ないんだな・・。
ここまで来ないとこの南八ヶ岳の景色は見られないからそれで満足なんだろうな。
三ツ頭まで来れば手前に映りこむ山がない富士山を見られると思ったのに・・なんだ手前の山は。
その名の通り「前三ツ頭」です。ちっ。
ここで分岐。観音平へは間違えずに右に折れて木戸口公園方面に下ります。
前三ツ頭方面に行ってしまうと天女山登山口に下りてしまうため、絶対に間違えない様に気を付けねば!もし間違えて天女山方面に下ってしまったら観音平へは再びここまで登り返さなくてはいけない。考えただけで吐血してしまいそうです。
草原も紅葉して輝いてました。とても綺麗。
編笠山と権現岳を一望できるポイントです。
編笠山に伸びる尾根と三ツ頭への尾根が並走してるのでしばらくは右手側に編笠山を眺めながら下っていきます。
子供が1人もいない、ジャングルジムもない、木戸口公園に到着。
少々しつこいけどこれが最後ね、富士山。
富士山が見える景色こそが関東・甲信近郊で登山ができる喜びを感じさせてくれる瞬間だと思う訳です。九州や東北の山にも別の良さがあるけど、富士山が見えた時の充足感は得難いもんね。
ちなみにここら辺で下山が思っていた以上に長いことに気付いて、夕暮れになってしまうんじゃないかと心配になってきた。
一気にペースアップ!
急いでたら前につんのめってガチでコケました。何年登っててもコケるものはコケる。
トレランする人はやっぱりクレイジーだと思う。
横断歩道に出ました。観音平方面へはここを右に折れて約30分です。
横断歩道はちょっと登ったり下ったりを繰り返します。もう足が上がりません。。
カラマツの紅葉も終盤。
誰もいない森でカラマツだけが揺れてました。若干寂しいがらんとした風景。
ずっと登ってみたいと思っていた権現岳、期待以上に良かったという満足感がこみ上げてくる。
15:30 観音平に戻ってきました。
無雪期最後の八ヶ岳を楽しもうとやってきた登山客の車もだいぶ減りました。
しんと静まり返った観音平に弛緩する空気が流れてます。
あと半月もして雪山シーズンに突入すれば今よりもっと登山客でごった返すんだけどね(笑)
振り返って
初めて登った権現岳は予想してた以上に良い山でまさに会心の登山となりました。
編笠山から見たギボシと権現岳の剥き出しの岩稜帯は地球の営みを感じさせるダイナミックな景観でした。こんなすごい世界があるなんて!と感動しきっきりのお祭り騒ぎ。
八ヶ岳のすぐ隣の南アルプスは隆起してできた山脈ですが、八ヶ岳の成り立ちは火山です。
最初に赤岳付近で噴火活動が始まり、北八ヶ岳、蓼科山が続き、次に硫黄岳が爆発したそうです。20万年前には火山活動によって誕生した古阿弥陀岳(こあみだだけ)という標高3,400mを超える富士山の様な山があった事実に驚かされます。
その古阿弥陀岳が山体崩壊を起こし、その残骸が赤岳と阿弥陀岳です。
ちなみにその時の山体崩壊を韮崎岩屑流(にらざきがんせつりゅう)といってなんと甲府に向かって約30キロを呑み込んだそうです。おぞろじい。
山の成り立ちを調べてると、素朴になんでそんなことが分かったんだろうと学者たちの調査に感心することばかりです。
そんな調査の結果を聞かされただけで驚くことばかりなのに、自分で発見した時の感動ってとんでもないだろうな、とも思うわけです。
この歳になって今更地理の楽しみが分かった次第です。もっとちゃんと勉強しときゃ良かったよ。
山登りからごくごく自然に鉱物や地形にも興味が出てきて、今、最も尊敬する人はタモリさんです。
ではでは
悠久の歴史に物思いにふけるのも悪くないです。