「もみじ饅頭じゃ紅葉気分高まんないよ!」とイライラしてる山好きの皆さま、こんにちわ。
今回は北アルプスの栂池自然園(つがいけしぜんえん)から白馬乗鞍岳(はくばのりくらだけ)に登ってきました。
紅葉まつりのタイミングで訪れた栂池。天狗原の草紅葉と池塘が広がる秋ならではの風景に癒される旅となりました。それと知る人ぞ知る栂池の名所「神の田圃(かみのたんぼ)」という所にも立ち寄ってきたので少しご紹介したいと思います。ご期待下さい。
白馬乗鞍岳は白馬岳と栂池自然園の間にあるピークなので、下山で通過するだけって言う人がほとんどだと思います。そんなお手軽感覚で登れる山ですが、奥深い錦秋の色に染まるアルプスを楽しむには十分。山頂からの眺めも良かったし、軽く登山したいという人にはお薦めの山です。
では、白馬乗鞍岳登山のポイントです
白馬乗鞍岳登山のポイント
①10月初旬の栂池自然園の紅葉まつり。
②天狗原の草紅葉。
③白馬岳〜鹿島槍ヶ岳の大絶景
白馬乗鞍岳は白馬大池のすぐ隣にあってロケーションは抜群。山頂はだだっ広くて特徴的だから楽しめるし、コースタイムも短いため気軽に歩きたい時にもってこいの山です。
実は、今回は登山初体験のメンバーがいるのでゆるゆる登山にしました。しかし、初めての山が北アルプスだなんて超ラッキーだよ!しかも白馬!(正確には白馬乗鞍だけど)。ほんと羨ましい。
雲海からはひょっこり妙高山、高妻山が頭を出して、まん前には白馬岳、左を向けば鹿島槍ヶ岳まで後立山連峰が圧倒的なスケールで立ち並ぶ。
こんな景色が手軽に楽しめるんだから素晴らしすぎっ!
こないだまで夏の暑さにへばってたというのにもう紅葉の時期か。。山の四季の移ろいに付いていくのに必死です。
一期一会のとっておきの秋山へ行こうぜ!
いざっ
ルートとコースタイム
■2019年10月5日
栂池自然園⇒(70分)⇒天狗原⇒(100分)⇒白馬乗鞍岳⇒(80分)⇒天狗原⇒(70分)⇒栂池自然園
標準コースタイム:5時間20分
白馬乗鞍岳登山 本編
紅葉まつりの栂池自然園に到着。すでに昼過ぎ
早朝都内で集合してやって来ました、初めての栂池(つがいけ)!
これまで白馬岳登山なら猿倉、スキーなら八方尾根、モノマネならコロッケのロボ五木って感じで定番ばかり押さえてきたから栂池はなかなか来る機会の無い場所でした。
この日土曜は曇り、日曜の朝はなんと雪予報。天気に恵まれない週末になってしまったけど、、しかし雪って。。マジですか?
東京はまだ半袖でOKなのに感覚がついていきませんわ。
紅葉を見て、白馬岳の初冠雪まで見られたらラッキーだな、と思ってる登山客で駐車場は9割以上埋まってました。
ロープウェイで標高を一気に上げ、曇りの中に突入。ガスガス地獄です。
やっぱりこうなったか。。
と諦めモードが漂う。
紅葉まつりののぼりが立つロープウェイの山頂駅に着いてみるとガスは見事に晴れてました!
山の天気は分からないもんだな。。今日は運を味方につけることができたみたいだ。
ロープウェイ山頂駅から栂池自然園までは歩いて10分ほど。
栂池自然園は翌日に散策するので、今日は白馬乗鞍岳までちゃちゃっと登っちまうぜ。
ちなみにこの時点ですでに13:30。
行けて白馬乗鞍岳。メンバーの疲れ具合を見ながら天狗原で引き返すか決めようと様子見しながら出発です。
晴れた晴れた!
時間が経つに連れて雲は消え、山頂方面は完全にクリアーです。
今日は私がカメラの師匠と仰ぐ人を連れてきました。いつも自分が山の写真を見せ、
「山の夜は無数の星がバァーッと見えるんだよ!」と自慢ばかりするから、「いつか連れてけー!」と癇癪を起こされました。
そんな師匠は今日が初めての登山。
無理はできませんね(ニヤリ)
うーん、小川のせせらぎが気持ち良い。
カメラの師匠が早速撮りまくってます。自分も腕はないけど負けじと撮りまくり。
まだ登山口にも立ってないって言うのに撮影に余念がない。
既に13:30過ぎてるんですけど。。
ロープウェイの山頂駅から5分ほど歩いたら栂池ヒュッテに到着。
もう時間がないから登山届をとっとと提出して行きます。
なんつったって無理はできないからね(ニヤリ)
白馬乗鞍岳が目の前に見えます。栂池ヒュッテの標高が1,860m。白馬乗鞍岳が2,469mだから近そうに見えてここから標高差は600mもあります。
いや、600mって言ったら低いな。。いつもの激烈登山に比べたらハイキングみたいなものか。。もうよく分かんないや。
紅葉まつり開催中です。
明日は餅つきをやるみたいだし、きのこ汁も振舞ってくれるみたいです。
雪予報なのは白馬岳の山頂部分だけだろうから、ここら辺は雨になりそう。本当は今日は移動だけにして、登山は明日する予定だったんだけど、天気が悪いという事で急遽これから登る事になりました。
下山したら絶対コレ食べる!
さるなし!
やっと登山開始 早速ノックアウト
時間がないのに無駄な撮影ばかりして寄り道してしまいました。
これより登山開始。
明るい内に戻ってこれる様に、途中まで少しペースを上げて行こうと思います。
無理はできないと言ってましたが、3分で撤回。
曇り空だったのが嘘みたいに晴れました。
まだ緑が多めの樹林帯からスタートです。
最初はよく整備された登山道です。前日まで雨だったので多少ぬかるんでますがこれぐらいなら余裕。
日が当たるとこれから黄色に変わっていく葉と常緑樹との色の差が明確に分かります。
しかし、紅葉の最盛期かと期待してやって来たけど。。今年は少し遅いのかな?
登り始めから標高が高いため、景色が開けるポイントが多くて退屈はしません。
撮影スポットだらけで楽しいっしょ、
「ね?師匠。」
振り返った師匠はうつむき加減で既に無言。。
まだ登り始めたばかりだと言うのに、しんどそうだな。
たまにジムで鍛えてるって言うから地力はあるんだろうけど、やっぱり登山ってランニングとかと使う筋肉が違うし、ペース次第で心拍数も急に上がったりするから最初がしんどいんだよね。
という訳で少しタイム稼いだから小休止。
「天狗原までならすぐだからそこまでは頑張りましょ!」
軽く水分摂って出発しまっせ。
登山道はずーっと整備されてて歩きやすい。さすが百名山。
でもこの歩きやすいと感じるのは登山をやってきた人にとっての感覚。
あぁ、ガスがぁ。。
やっぱり天気は不安定なのか。
師匠は撮影する余裕がないぐらいバテバテのご様子なので少しペースを落とします。
荷物は軽いはず。だけどカメラが重たいんだろうな。師匠のカメラは富士のX-T3という高級カメラで、レンズもかなり良い物を使ってるから自分の7〜8年型落ちのX-E1より2倍近く重たいはず。
ちなみにすれ違った登山客の中にも富士のカメラを持ってる人が何人かいて意外だったな。シェア最下位であまり人とかぶらない分、それが差となって表れるのがある意味魅力だったんですけどね。
だいぶ樹林の背が低くなってきました。少し風が吹き抜けるだけで生き返るー!
やっぱ樹林帯は暑かったよね?
と尋常じゃない汗を流す師匠、ちょーやべぇ。
このちょっと広いところで再び立ち休憩します。
ぐったり座り込んでノックアウト寸前の師匠。。うーん、ボクシングで言えばまだ第2ラウンドが始まったぐらいなんだけど。
すんごい雲海!
「師匠!ねえ!すごいよねえ!」
「・・・・ほんとだ。。」
なんとかカメラを構える姿は、足に来てるボクサーがフラっと立ち上がって審判にまだやれますとアピールするためにファイティングポーズを作るのに似ている。涙無しには見ることができない。
ちらほらと紅葉も増えてきました。
やっぱり今年の紅葉は少し遅い。
しかし紅葉がイマイチだったとしてもここからの眺望には期待できるんだから別にいいっしょ!
天狗原で天国を見た
木道が出てきました。
いよいよ天狗原。
「ほら師匠、着いたよっ!」
さっ、カメラ構えて!
天狗原の眺め、
とくと見よ!
はい、どぼぼーーーん。
まさか、着くなりガスに取り囲まれたよ。
「師匠、なかなか良いガスぷりっすね。」
あんなに頑張ってたのに(笑)
GORE-TEXの帽子のつばをつたって落ちる汗が雨の日に雨どいをつたう水滴の様だったのに。
残念ね。
なんつってね。
私の晴れ男パワーですぐ晴れましたよ。
これが天狗原の草紅葉と鏡の様な池塘。栂池の景色に疲れ吹っ飛ぶー!
ヒャッハーと楽しむ自分の横で、師匠はベンチに佇んだまま虚ろな目でしばらくこの世の天国を見ている。
老衰したおじいちゃんみたいだ。
大変だったけどね、初めての登山でここまで来れたんだから上出来だよね。
ガスが晴れて全容が見えてきたよ。この高低差200mの斜面を上った先が白馬乗鞍岳の山頂です。
でもここまでで満足かな?
あそこまで行ける?
せっかくここまで来たんだから行かない手は無いと思うんだけど、どーする?
左から再びガスが流れてくる。もともと悪い予報だったから、これだけの景色を見る事ができて御の字といったところかな。
尚も続くやり取り。
折角だからもう少し歩いてみよっか?前半頑張ってくれたから時間は大丈夫!
という訳で(どんな訳で?)、とりあえず天狗原の奥の方まで歩いてみようと軽く移動開始。
そして登る。完全に騙し討ち。
いやいや、冗談。初めて登山する人にそんなキツイ仕打ちしませんよ。すぐ休憩して作戦会議。
辛そうだけど地力はあるんだからちょっと説得してみます。
「あとたった200mで山頂なんだよ」(距離じゃなくて標高差だけどね)。
「あと200mなの?」
「そう!あと200mだよ。」(距離じゃなくてね)
「なら・・、200mって言うなら行ってみようかな」
はい、いただきました。「行ってみようかな」引き出しました〜。
白馬乗鞍岳の山頂まで残り200m
更にペースを落として登る。振り返ると天狗原と雲海の絶景が広がってます。
「ほら!登って良かったでしょ!」
白馬乗鞍岳に向けてだいぶ岩がゴロゴロしてきました。
日も傾いてきましたが、焦るのは良くないので、いつもののんびりペースに切り替えて行きます。
いきなり雲海から頭を出したのは高妻山(左)、戸隠山(右)。なかなかドラマティックな展開で鳥肌もんです!
高妻山は巨大な船がひっくり返った様な姿ですね。
つい3~4週前に登った雪倉岳からも雲海から突き出した高妻山を見たけど、天狗原越しに見るこの景色も絶景です。
やはり紅葉は青空の下でないと映えないです。午後になると長野側の東側斜面は陰ってしまうので仕方ないです。
ちなみに天狗原から見えた壁の様な斜面は実際に登ってみると意外と傾斜が緩く、余裕で登れました。
※注 尋常じゃない汗をかいている師匠を除く。
岩が大きくなってきました。ゴーロです。
ここでペイントの印を見失い15mほどコースを外れてしまうミス。すぐに気づいて戻ったけど、この時本気で肩を落としてた師匠の姿は見なかったことにしましょう。すみません(汗)
「ほら師匠!もうすぐ上りも終わるよっ!」
この時に師匠の頭の中で流れてた音楽はロッキーの「ファイナルベル」だったはず。
「エイドリア〜ン!!」
そう言って振り返ると師匠は声の届かない遥か後方にいるし(笑)
でも写真撮ってたし、カメラ構える気力が戻ってきたみたいで一安心。
だだっ広い山頂は一面ハイマツに覆われてます。夏から秋になったばかりの風が気持ち良い。ほんと明日雪になるんかいな。。
とうとう後立山連峰の山々も姿を現しました。
山頂までのカウントダウン開始。
白馬乗鞍岳山頂が見えてきました。そして何よりその後ろに見る者を圧倒する白馬岳の存在感があり過ぎー。
本物の山ってのはああいう物なんだぜぇ、と途中にあるただの1ピークの白馬乗鞍岳との差を感じずにはいられない。
この大きさ。とんでもないスケール。高みから睥睨する白馬岳は文句なしで名峰なんだと思い知らされる。
どんな山か云々ではなくただその存在だけで黙らせてしまうなんて、さすが百名山の中でも特別な山です。
ちなみにこれは師匠が撮影した1枚。
山頂に到着 すでに15:30
さっ、白馬乗鞍岳に到着!この時すでに15:30。
もう白馬大池まで寄る時間の余裕はないんでね、適当に写真撮って楽しんだら即下山開始せねばっ!
山頂はハイマツに一面覆われてます。そしてその向こうに見えるのは先ほどから紹介している頚城山塊。
こういう山頂ってとても珍しいと思います。
こちらが師匠が撮ったパノラマ画像。
自分の様にただ闇雲に撮っていたらとうていこんな写真は撮れない。
ダイヤモンドケルン。
詩が書かれたプレートがありましたが、高尚すぎて意味不明です。
作者は、ゆで太郎?
日没間近、ゲッザーン開始
鹿島槍ヶ岳方面なんだけど、、ちょうど山頂部分に雲がかかっててどれが鹿島槍ヶ岳か判別できない。
と思いきや雲が取れてきました。やっぱ鹿島槍ヶ岳!
あの猫耳は間違えようがない。鹿島槍ヶ岳は初めて一人で登った北アルプスの山。しかもテント泊だったし特別な思い入れがあって、す、好きですっ!キャー
変なまつぼっくり。オオシラビソの実です。
そして紅葉。
全体を通して紅葉はいまいちだったかな、残念。。でもやっぱりそれ以上に白馬岳の大きさはインパクト大。白馬乗鞍の後ろから見守る姿には神秘的なオーラすら感じました。
「ああぁぁ!!!!」という叫び声を上げて倒れこむ師匠。
「ぐはぁっ!つった!足つった!」
下山中に師匠が足をつるというハプニングがあり、ストレッチして湿布を渡し、足をひきずりながらなんとか予定通り17時前に下山できました。現在の時刻16:58。
ソフトクリームが売ってるとしたら17時までか?と最後に欲が爆発して走りました。
ゲッザーン完了と神の田圃
お疲れっす!
さあ、ダッシュ!
はい、どぼぼーーーーん。
そりゃ最終のロープウェイが16:40なんだからソフトクリームなんてとっくに営業終了してるよね。。
栂池ヒュッテの前の水場にはブーツの泥を落とすためのブラシが置かれてました。あざっすー。
ちなみにこの翌日の紅葉まつりで予定されている餅つきの臼も準備されてました。
師匠もなんだかんだ言いながら山頂に立てたし、無事明るい時間に下山ができて満足してる様子。
全員怪我なく安全登山ができて良かった。
さよなら白馬岳。今日は栂池の小屋でお泊りです。
ほんとは翌日に登る予定でしたが今日登ってしまったため明日は山には登りません。なのでこの日は深夜遅くまで鍋を囲んで盛り上がりました。
そして一夜開けて。
やはり雨になりました。。
雨なので栂池自然園のハイキングはキャンセル。餅つきももういっかな・・
という訳で予定を変更しますっ!
少し雨脚が弱まって霧雨になったタイミングで隠れた名所「神の田圃(かみのたんぼ)」へ行ってみることにしました。
着いてみると、わずかな期間にしか見ることのできない見事な草紅葉が広がってました。まさに最高のタイミング!黄金色に輝いてる!
早大小屋のすぐ裏にあってロープウェイ山頂駅からだと20分近く下った所にあるからなかなか一般の登山客がここまで来る事はないと思います。
霧雨が降るコンディションでしたが、着いたタイミングでわずかに青空も見えたし、来た甲斐がありました。
下山後は定番ですが白馬の道の駅に寄っておやきを買いました。
10個ぐらい残ってたおやきは、おばちゃん二人組がやって来て全て買い占めていきました。
ぎりぎりのタイミングで1つ買えてラッキーでした。おやきってガワが多いからそんなたくさん食べられるものじゃないけど、、おばちゃんすげぇな。
道の駅からすぐ近くにあった利根川蕎麦店という蕎麦屋さんに立ち寄ってお昼にしました。
蕎麦つゆに七味唐辛子を入れて食べる一風変わったスタイルの店だったけどなかなか美味かったです。
振り返って
全員無事に登頂して、そして無事に下山できてほんと良かったてす。
面白おかしく書きましたが、今回ばかりはメンバーの健康と安全には細心の注意を払いました。秋の日暮れの怖さは分かってるつもりなので、ヘッデンや防寒着、カイロの準備は当然として、必要以上に食料も多く持ち、15時半をリミットに有無を言わさず下山する予定でした。
今回の白馬乗鞍岳は栂池自然園との往復でコースタイムはわずか5時間20分。手軽にアルプスの景色を楽しむには最適ですが、意外と岩がゴロゴロしてて登りにくい箇所があるのでその点だけ気をつけて下さい。
こんな景色を見ることができたんだから来た甲斐があったよ。
夕食は豚鍋。
栂池自然園に下山してから手拭いや登山バッヂを見たりして小屋に戻ってきたのは日が暮れる直前。体もすっかり冷えたし空腹の限界だったからこの豚鍋が格別にうまかったです。豚鍋以上の味がした!(というとベタな言い方かも)。とにかく牛より鳥より美味かった!
下山した翌日、まだ登山の余韻が残る中、師匠と写真を交換しました。同じ景色を見てたはずなのにより大きく白馬岳を描いた1枚に力量の差をまざまざと見せつけられさすが!!と脱帽。やはりこの人を山頂まで連れて行くことができてほんと良かったぜぃ。。
ではでは