新潟県にある日本百名山の越後駒ヶ岳に紅葉登山にやってきました。
登り始めからあまりの紅葉の素晴らしさに感動しっ放しで、ほんと秋にお薦めしたい山です!
今回のルートは定番の枝折峠(しおりとうげ)を起点にしたピストンです。
枝折峠は滝雲(たきぐも)で有名なため、前日に雨が降り寒暖差が大きくなる早朝は多くの写真家達で激混みだし、紅葉シーズンの登山客もいて前夜車中泊しないと駐車場に停めるのはかなり難しいです。
朝日連峰に登った時に、新潟から来た方から越後駒ヶ岳を薦めていただきました。その時に周りにいた人たちも越後駒ヶ岳は良かった!と同調するもんだからすっかり洗脳されちまってやって来ました!
越後駒ヶ岳登山のポイント
①登山口の枝折峠の滝雲が名物。
②春〜夏は羽虫が多いためベストシーズンは秋です。
③360度の大パノラマ。
枝折峠の標高は1,065m。単純標高差は938mでお手軽ですが、距離は往復15キロと少し長め。ペース配分をよく考えながら歩かないとバテます!
登り始めからしばらくなだらかな登りが続き標高が上がらずについペースを飛ばしがち。自分は撮影ばかりしてて遅すぎかな?ってペースでしたが、ここのコースタイムは甘いとヤマレコなどで散々書かれてる通り、コースタイムを大幅に巻いてたのにはほんと驚きました。なので、急ぐ必要は全然ありません。
ガスってさえいなければ眺望の良さは約束します。登り始めから景色が開けててすごく気持ち良かったです。左手に荒沢岳。正面に中ノ岳と越後駒ヶ岳を眺めながら紅葉を楽しめるなんて越後駒ヶ岳素晴らし過ぎっ!
越後駒ヶ岳は新潟県南魚沼市にある標高2,003mの日本百名山で、魚沼駒ヶ岳とも呼ばれてます。八海山、中ノ岳とともに越後三山の一つです。
登山道を横切る様に、銀山平(奥只見(おくただみ))から明神峠を抜けて駒の湯まで続く全長12キロの銀の道が走ってます。この道は江戸時代に銀を運ぶ道として大変賑わったそうです。
当時の労働者達も明神峠で黄色に色付いた越後駒ヶ岳を見上げ、ひと息ついたことでしょう。
今シーズン1番の紅葉登山の幕開けでござる〜
いざっ
アクセス
・枝折峠へのアクセスは、こちら
ルートとコースタイム
■2018年10月21日
※カッコ内は標準コースタイム
枝折峠⇒(40分)⇒明神峠⇒(70分)⇒道行山⇒ (70分) ⇒小倉山⇒(80分)⇒百草ノ池⇒(85分)⇒駒の小屋⇒(35分)⇒越後駒ヶ岳山頂⇒(155分)⇒小倉山⇒ (140分) ⇒明神峠⇒(40分)⇒枝折峠
標準コースタイム:11時間55分
■活動距離14.8キロ
■高低差950m 累積標高上り1,261m
登山開始
枝折峠と滝雲
駐車場に停められなかった車が路肩に溢れかえってます。
紅葉シーズンと滝雲発生の条件が重なった週末という事もあって、深夜1時に着いて2〜3台分しか空きがないという異常な状況だったので、朝到着だと停められるはずもありません。
ふぃ~あぶねぇあぶねぇ。
「道の駅ゆのたに」で車中泊してたら間違いなくアウトだったわ。
ここで既に標高1,065m。トイレも完備されてますが、手洗い用の雨水です。水場がないので飲み水の補給はできません。
日の出を待つカメラマン達。この居並ぶカメラマンの中から一足先にご来光を見つけたのは自分だけでしょうか。
彼らのお目当ては枝折峠名物の滝雲。
始めに少し登りますが、あとはこんな感じでアップダウンがあまり無いよく整備されたトレイルが続きます。
滝雲のビューポイントがありました。ここら辺まで写真家の方々で賑わってます。
大きな三脚と一眼レフカメラを担ぎ上げる人達向けなのか、ここまでの登山道はとても歩きやすいです。
本物のご来光の時間となりました。幻想的な光景です。これ見たら人が集まるのもよく分かるわ。
滝雲に夢中になり過ぎて次々と抜かれる。
振り返ると登山客が後からどんどんやって来ます。最初地味な山だと思ってましたが駐車場の混み具合といい、完全に侮ってました。
ますます流れ出る滝雲。滝雲が有名だなんて全然知らなかったけど、結果的に滝雲と紅葉登山のコラボ企画が成立。
前日に雨が降って気温がぐっと下がり、今日が快晴予報だから雲海が湧く条件が揃ったわけです。
知った風なこと書いてますが、なーんも知らなかったんですけどね。
明神峠に着きました。
登り始めてわずか20分でいきなり十合目がでてきて面食らうこと間違いないでしょう。
ここは銀山平から駒の湯へ抜ける銀の道の十合目です。
紅葉のピークに突入
明神峠を過ぎて、標高1,200mぐらいになってからいくら歩いても標高が上がりません。しかし丁度それぐらいで紅葉のピークを迎えていたため絶景を長~く楽しむことができます。
こんな小ピークを3つ4つ越えていくから多少なりともアップダウンはあるんだけど標高はなかなか上がりません。
ジレンマに駆られてついペースを上げてしまう気持ちも分かるんだけど、それだとすぐバテることを肝に命じてのんびり歩きます。
右に見えるのが越後駒ヶ岳。左のピークが中ノ岳。登り始めからこの眺めが楽しめるのだから凄いルートです。
この2座に山頂から見える八海山を加えたのが越後三山です。
滝雲が終わったというのに相変わらず撮影ばかりでペース遅過ぎの自分。
お年寄りにも抜かれるありさま。
たまに日が差すと紅葉がこんな色濃くなるわけです。楽しまにゃもったいない。
JPEG撮って出しの写真なので画像加工は一切してません。フィルムシミュレーションでプロビアやベルビアにはしてますがその程度です。
振り返ってもこんな尾根道だから歩いても歩いても標高があまり変わらないってのが分かってもらえると思います。
ちなみに「この山コースタイムが長かったな(汗)」と少し気になりだしたのはここら辺から。
今日は荷物をなるべく軽くしたかったからいつものストーブやコッフェルは持ってこなかったです。
お昼は毎度のカップラーメンではなくコンビニ弁当にしたんだけど、むしろそっちの方が重かったかも。米が重いんじゃ。
越後駒ヶ岳にかかった雲がなかなかとれません。山の全体を写真に収めたいんだけど下山時に撮れたらいいやと少し諦めモードです。
山間に日が差したところの紅葉がとても綺麗です。
次なる小ピーク、あいつが小倉山です。
小さい山なのであっという間に小倉山も制覇。
は、早ぇ。まだ7時50分だよ!
小倉山が駒の湯ルートとの合流地点になるため、コースタイムからどれぐらい遅れてるのかの目安になるポイントですが、早すぎます。
ここのコースタイムの甘さにビビる。
越後駒ヶ岳にかかってた雲もちょっとずつ取れてきた。
自分たちが山頂に着く頃には晴れてくれそうな予感。
山肌は紅葉で山火事の様です。
2年前の同じ時期に登った八海山もこんな感じだったことを思い出します。今のところ新潟には紅葉の外れがありません。
豪雪地帯の山なだけに標高低くても森林限界ちょい手前の微妙な樹林帯が続きます。
百草ノ池という池塘があります。
ここを過ぎた辺りから急坂が始まり、一気に樹林帯を突き抜けます。
雪崩を繰り返して樹木が生えない山。
もうしばらくすると完全に雪に閉ざされてしまいます。
これまでと打って変わって岩場を登る登る。
振り返ればアップタウン少なめの尾根がスーっと伸びてて気分が良いです。
トレランはやりませんが、おかしなテンションだったら走り出してたことでしょう。
左に目を向けると中ノ岳にしつこく雲がまとわりついて、プカプカと越後駒ヶ岳の方へも流れて来ます。
「どげんかして吹き飛ばさにゃならんっ!!」
波ーーー!!!!!
どげんね?
真っ青な空になったろーもん。
山頂にいた人達も木っ端微塵にしてしまいましたが、それがやっほっほ亭スタイル。
岩場の急坂は鎖がなくても問題なく登れるレベルですが、下り用に1本垂らしとけばより安全なのにと思います。
駒の小屋に着きました。
この時期、もう小屋は閉まってるため2階だけ避難小屋として開放してくれてます。
ここにザックをデポして山頂に行く人が多いみたいですが、
「今日みたいに天気が良けりゃ山頂までザックを担ぎ上げて山頂でご飯食べるべきでしょ!」
水場は冬支度で使えない様に縛られてました。
荒沢岳の鎖も冬に向けて撤去したとの事です。荒沢岳〜越後駒ヶ岳〜中ノ岳を縦走する人に向けた連絡ですね。
荒沢岳は八海山みたいに鎖場だらけの楽しい山らしいです。
駒の小屋からは階段です。登りやすいんだかそうじゃないんだか。自分は足を高く上げる分疲れるので好きではありません。みんなそうだと思うのですが。
ちなみにところどころほんの少しですが雪がありました。昨夜の雨が雪になったんでしょう。
右手に越後駒ヶ岳の山頂を眺めながら稜線に向けて登っていく。
山頂付近は樹林はありませんが草原が広がり、あたかも森林限界の様な世界が広がってます。
稜線にでました。
越後駒ヶ岳山頂までは残り150mです。
これまで草原が広がってたのに稜線に出た途端、しゃくなげの葉が青々と生い茂ってます。
稜線は急斜面じゃないから雪崩の影響を受けないのかもしれません。
木道は凍ってて滑る滑る。
越後駒ヶ岳山頂
とーちゃく!!
標高2,003m。
山頂まで長いと思って気構えてた分、逆に短く感じたのは良かったです。
老師感がすごく出てる銅像がありました。
「いつも山頂にいてつまらなくないですか?」
「・・・・。」
寡黙な老師ですね。
じゃあこうしてやるっ!
「えいっ!」
「うわーやめてくれぃー!」
いつもの一人芝居です。
山頂からはまず目の前の八海山が圧巻の眺めです。八ツ峰のギザギザまでよく見えます。
この八海山を眺めながら昼食にしましたが、山頂は狭いし人が多いし、やっぱり小屋で食べるのが正解だったかもしれません。
八海山方面以外は全て雲の中。
よくここの山頂だけ晴れてくれたな。。奇跡です。
人が増えてきたのでさっさと食べて下山します。
尾根道の登山客に今にも覆いかぶさろうとする雲が山ならではで良いです。
下山と圧巻の紅葉
山頂からの眺めも良かったけど、今日はとにかく紅葉が素晴らしかったので、さっさと紅葉のピーク付近まで下りることにします。
山頂に近い草紅葉はすっかり疲れ切ってます。
こんなの1つとっても秋山らしい。
駒の小屋まではあっという間です。
ちなみに会津駒ヶ岳の避難小屋も「駒の小屋」です。日本全国「駒ヶ岳」を冠する山だらけなので探せば他にも駒の小屋ってありそうですね。
振り返れば山頂は既にガスの中。
なんとも絶妙なタイミングで登頂できました。
途中サーっと抜いてたったグループがいて「すっげ。ペース速ぇ!」と思ったけど、ここら辺で大汗かきながら登ってくるところとすれ違いました。
そのグループとは別に「山頂目指さなくていいんじゃね?」「俺もそれでいいと思うんだぁ」と疲れ切った様子で話し合う学生?ぐらいの4人組もいました。
ほんとペースって大事ですね。
さあ、紅葉エリアまで下ってきました。登ってる時はずっとガスの中だった荒沢岳の姿もやっと見えました。
紅葉に感無量って感じに映ってますよね?
しかしよく見てください。
よーく見てください。
違います。
カトちゃんぺしてんだよ!!
うひょーい
うえーい!
どわー!
はいはい、ビリケンね。
つかこないだの朝日連峰と同じネタかよ!
下山中は日がどんどん強くなるから紅葉が一層色鮮やかに見えます。
秋は空気も澄んでるし、最高のタイミングで来ることができました。
越後駒ヶ岳に来れて本当に良かったです。これまでの紅葉狩りで1番かもしれません。
今日は新潟の実力をまざまざと見せつけられましたな。
振り返る小倉山はまさにアルビレックス新潟の色。
越後駒ヶ岳のガスがやっと晴れました。
さっきすれ違ったバテバテだった人達もこのタイミングで山頂に立ってたら苦労が報われてるはず。
カエデです。英語でメープル。
暇人なんでちょいと調べてみました。
カエデの語源はいくつか諸説ありますが、その形から「カエル手」と言われてます。
もみじとカエデの違いは?これが驚き。
実は植物学上の区別はなくもみじもカエデも同じです。どちらもカエデ科カエデ属です。
マジかいや!
あくまでもみじはカエデであって、一般的にその中の特に綺麗なものを区別してもみじと呼んでるだけ。
これもカエデ。
ただ園芸の世界では葉の切れ込み具合で明確にカエデともみじを区別してて、葉の切れ込みが多く深いものがもみじ。逆に切れ込みが浅く大きいのがカエデなんだそうです。
なるほどね。
だったらもみじまんじゅうってカエデなんじゃね?
つか、これまでなんとなくで区別してきましたが・・結局なんとなくで正解だったっつーことね!(ほんとか?)
紅葉登山になくてはならないカエデ。とても身近で有り難い存在ですが、調べてみると知らないことってたくさんありますわぃ。
右前方に奥只見湖が見えてきました。
銀山平です。あそこから明神峠を抜けて駒の湯へと抜ける道が「銀の道」です。
当時の銀を運んだ労働者もこの景色を見てたと思うと感慨深いです。
そんなロマンを感じながらこの壮大な景色を前にすると、京都や鎌倉のモミジばかりを植えた人工的な紅葉狩りがとてもつまらない世界に感じられます。
滝雲スポットまで下りてきました。改めて滝雲が発生する条件を記載した看板を見てみると、一番最後の「☆運」ってのがいいですね!!
最後はすすきで締めくくり。秋を満喫できた登山となりました。
写真家達の車が去って、少し余裕がでてきた枝折峠の駐車場。
下山は夕方になることを予想してたのにまだ13時半です。なんちゅうコースタイムの甘さ。。びびるわ。
駒の湯温泉
銀山平の温泉にしようか迷ったけど、やはりここは駒の湯でしょう!という訳でやってきました。
料金は1人500円です。
以前までは日本秘湯の会に登録してた温泉宿ですが、脱会したそうです。意外とそういう所多いみたいですね。
駒の湯はぬる湯で有名な温泉です。
どんだけぬるいんでしょうねぇ?
夏がベストシーズンなんだろうけど、この時期でも大丈夫なんでしょうか?
つ・・!!
冷てぇ!!!
もはや水風呂。
だ・・だめだ!風邪ひく!
温泉の真ん中からどばどば源泉が出てますが、もはや公園の噴水にしか見えない。。
体だけ洗ってすぐに出ました。
まあこんな経験を500円で買ったと思えば楽しいもんです。
「道の駅こいで」に立ち寄ります。
コシヒカリ団子は目の前で売り切れてしまったので大福を購入。
道の駅の真向かいにスーパーがあったので寄ってみることに。
このアクセスの良さは素晴らしいですね。
スーパーで新潟ラーメンを買って帰りました。道の駅だとお土産用の高いラーメンしか売ってないし、こっちの方が地元感があって良いです。「せきもと」という販売元も新潟のメーカーです。
振り返って
10月中旬という1年で1番登山を快適に楽しめる時期にはここぞという山を候補に挙げると思います。
自分も北アルプスの下ノ廊下を筆頭に候補地をいくつか用意してましたが、越後駒ヶ岳にして大正解でした。
これまで秋に訪れたことのある新潟の山は苗場山と八海山。そのどちらも素晴らしい紅葉を見せてくれました。
きれいな紅葉が見られる条件は、寒暖差、好天、適度な雨、そして台風の被害が少ないことらしいです。
台風が東北、北陸方面を通過しましたが、その影響は特になかったみたいです。
駒の湯は2年前の八海山の紅葉登山の帰りに立ち寄ろうとした温泉で、その時はちょっと遠いしぬる湯はもう寒いだろうということでパスしたのですが、今回はそんなことすっかり忘れ、むざむざ体を冷やしにやって来ました。
真夏にはちょうど良い湯加減なのでもし夏に来ることがあればリベンジしたいと思います。
枝折峠でいきなり滝雲の絶景が見る事ができ、その後も展望の良い尾根道がずーっと続く。
朝日連峰で「新潟なら越後駒ヶ岳が良いですよ」と薦めてくれた人が来てないかと少し期待しながら登りましたが、いるはずがありません。
会ったらほんと感謝を伝えたかったです。
八海山や苗場の紅葉も良かったけど、今のところ越後駒ヶ岳が1番です。
ではでは