冬の終わりにというか、暦的にはもう春なんだけど最後の最後にどうしても冬山らしさを味わいたくて、駄々をこねるように北陸へ向かった。
誰か山バカにつける薬があったら教えてー!
北陸地方でも新潟の湯沢とかならね、それほど遠くはないんだけど、今回は思いっっっきり足を伸ばして、ビューーン!と福井へ。
荒島岳(あらしまだけ)に登ってきました。
とにかく今年の北陸地方は異常な降雪量で、折り重なる山々は当たり前だけど麓の町並みまで真っ白。
サングラスを外すと眩しくてまともに見ていられないほどの光の世界は北陸ならでは。
長野や東北でも麓の景色まで白くなることってそうそうないからね。
そもそも荒島岳は冬に登りたい山として以前から候補に挙げていた山。
長く登山をしていればそこそこ知名度の高い山には大抵登ってしまっているもんだけど、今回はさすがに遠いからね、初訪問どえす。
標高は1,523mとそれほど高くないから、夏に登るには暑すぎる。
秋も良さそうだけど、やっぱりこの山は冬だなと、ずーっと週末の晴れを狙ってたわけだけど、冬の間はずーーっと雪。
北陸の晴天率の低さ恐るべし。
今シーズンも諦めかけてたところ、最後の最後にチャンスが巡ってきた。
日曜の晴れ予報。
鼻息荒めに突入。
ふむふむ、だれか山バカにつける薬があったら教えてください(笑)
四季を楽しめる日本の自然に感謝ですな。
標準コースタイム
■2025年3月9日 ※カッコ内は標準コースタイム
荒島岳勝原登山口⇒(120分)⇒深谷ノ頭⇒(40分)⇒シャクナゲ平⇒(45分)⇒前荒島岳⇒(20分)⇒荒島岳⇒(15分)⇒前荒島岳⇒(35分)⇒シャクナゲ平⇒(30分)⇒深谷ノ頭⇒(85分)⇒荒島岳勝原登山口
コースタイム:6時間30分
距離:8.4㎞、累積上り:1,230m
荒島岳 雪山登山
勝原登山口から登山開始
正面に見えるのがたぶん荒島岳。
東部湯の丸まで高速つかって、そこからずーーっと下道。松本市と高山市を抜けて登る前からもう限界といったところだけど、目の前にそびえる荒島岳に興奮が抑えられない。
そんな興奮を一気に興ざめさせる事件が勃発。
勝原インターを降りる様にGoogleマップが案内せず、まんまと通り過ぎてしまった自分は一つ先のインターで降りて下道で15分戻るという不毛なコース取り。
人気の山だけあって当たり前だけど駐車場はすでに満車。路駐の最後尾に駐車したのだった。
その後もたくさんやって来たからむしろ路駐できただけラッキーだった。
Googleマップがほんと嫌いです。
朝の7:30に到着して駐車場はこんな感じ。何時に来れば止められるのかね。
ちなみにトイレは冬季閉鎖中です。
斜めからの写真で分かりにくいけど、山頂手前のもちが壁という急登ポイントが鬼畜らしいので、そこでくたばるかもしれない。
割と本気で不安だ。
快晴の山歩き
この時期は歩き始めから雪がたっぷりあるから、下山時にどこでアイゼンを脱ごうかと悩む必要はない。
最初からアイゼン歩行開始なのだ。
足元はPayPayドームのピッチャーマウンドばりに踏み固められててわかんの出番は無さそう。
ちなみにPayPayドームでコンサートがある時なんかはピッチャーマウンドは地下に隠れるギミックになっている。
こんな変なところまで知っておきながら、野球経験はゼロです。
ここはもともと林道だったのかな?と思ったら昔は勝原スキー場があったそうです。
そんな緩い登りで最初に油断させるのがこの山のやり方。
気を抜くな!
今日は朝から晴れちゃいるけど風が強いらしい。
昼過ぎからはその風も弱まり、てんくらもA予報になってるから眺望は良さそうだ。
この日は3月9日。日の出もずいぶん早くなった。
あと10日もすれば春分の日。この日から夜より昼のほうが長くなる。
駐車場は当然福井ナンバーが多かったんだけど、名古屋ナンバーも何台か見かけた。
職場の愛知出身者に聞いたら福井へは2時間で行けるので子供の頃から何度か福井の海に行ってました、とのこと。
羨ましい。
荒島岳は往復で8.4kmしか歩かないのに累積で1,300m近く登る。
山ノボラーならそれがどういう意味か分かると思うけど、そりゃもう鬼畜な上りが続くわけです。
一度雪目になったことがあるからサングラスだけは忘れない。
爺ヶ岳で4900円で買ったサングラスが爆風で吹き飛ばされた時はゴーグルを装着したけど、下山中に気温が上昇してね、「あいつ1人でゴーグル付けて汗びちょびちょでハァハァ言ってて、やばくね?」と周囲のハイカーからキモがられた。
ちなみに今はドンキで1,000円で買ったサングラスを使ってるけど、サングラスの涼しさが有り難い。
ツリーホールと木々の線が絵になる。
標高が低いところはもう残雪期みたいな雰囲気。
枝が毛細血管みたいでちょっと気持ち悪い。
長い長いブナ林。
秋に訪れたらきっと過呼吸しちゃうぐらいの黄葉が出迎えてくれるはず。
少し傾斜が緩んだからすかさずオクタを脱いでベースレイヤー1枚になった。
さすがに1枚だと寒いけど、グンゼの腹巻が良い仕事してて体幹は実に暖かい。
ちなみにオクタはSTATICのアドリフトクルーフーディです。
今年の冬はこればかり着てたな。もう手放せない。
手袋はいつものブラックダイヤモンドのソロイストだけど、それでも指先が冷えて困る。
今日は冬山にしてはかなり暖かい方だけど、それでも気温は氷点下なんだろうな。
実のところあたしの心もこんな感じでポキっと折れてるんです、こう見えて。
他の部署で心の病気になった30代の男を引き取って結構大事に育ててきたんだけど、先日泣きながらもう体が動きません、退職しますと言ってきて、そりゃもうショックだったよ。
もしかして原因って俺?俺なの?
とかちょっと不安に思いながら話を聞いてたけど、
君にとってベストな選択をしたならそれを応援しますと言ったよ。
でもなぁ、あーあ、なんか気が抜けたな。
苦しいのは本人だろうけど、分からず屋でアホな部長には補充を断られてしまったし、こっちも泣きたい。
ルーティンをやってた担当者が抜けるって効率化できるところはほとんど無いし、確実に他のメンバーにしわ寄せがくるからね、これからどうすりゃええねん。
まだまだ序の口。
疲れちゃいないけど燃費が悪いからもう空腹で足が前にでない。
北陸名物その1、とろろ昆布のおにぎり。
買ったその日に食べるならおつとめ品ウェルカム。
食べ物は夏にしか腐らないと間違えた考えを持っている。
潰瘍性大腸炎を患って、毎晩リンデロンの座薬を挿入している。
挿入後はその人差し指を何度も洗うわけです。
座薬の時だけ猫の手を借りたい。
指を洗いすぎてあかぎれしてしまった。
座薬をゴム手袋をつけてするという人もいるけど、デリケートな作業だから自分は素手じゃないと難しいんだよね。
これって意外と悩んでる人多いと思う。
そんなわけで今はハンドクリームが手放せない。
あかぎれは雪山登山も原因の一つだったりする。
座薬のことを考えていると山頂が見えた。
山頂には雲がこびり付いて実に嫌な感じ。
風が強いだけで晴れ予報だったのにぃー!
ここまでガ尾根をンガン登ってきたけど、トラバース気味に進路を変える。
最初はこの山のことをよく知ってる人が踏み跡をつけてくれたんだろうけど、その後を自分のようなトーシロを含め何百人ものハイカーが歩いて高速道路が出来上がってるから迷いようがない。
うーむ、、暗い!暗いぞー!!
前回の将棋頭山も爆風とガスまみれの典型的な冬山って感じだったけど、それでもたまに当たる青空を夢見て毎度懲りずにアタックするわけです。
何度も登っていればいつかワンチャン巡ってくると信じて。
山登りって非効率な遊びだな(笑)
突然の霧氷
そんな非効率は遊びに頭をやられちゃった人たちがあんなにもたくさんいる。
休憩中かな?
なるほど、ここから突然の霧氷タイム。
風向き、湿度、気温、ここが変化点なのね。
一気に、突然に、景色がぜんぶ変わった。
いよいよ氷の世界に突入。
こういうのも含めて今シーズン最後の冬山を味わいたかったんだよ。
なので実のところそれほどガッカリはしてないんだよね。
横を向けば青空も見えるし。
きっと晴れる!そう祈りながら歩くことも登山という非効率極まりない遊びを趣味にした者の矜持でもある!(強がりです)
周りは非合理であればあるほどゾクゾクしちゃうマゾばかりだ。
考えてもみてほしい。
普段の生活の中で、こんなにマゾばかり集めるなんて不可能だ。この光景はすごいのだ。
白山の大絶景
おお!!マゾが寄ってたかってガスった景色を見て歓喜してると思いきや、ちゃんと景色が開けてたのね。
すごい、どこまでも白い。
12月頃から霧氷が見たいとずーっと思ってたんだけど、潰瘍性大腸炎を悪化させてしまい、山歩きなんてとんでもないという状況になった。
だからこそ、ようやく念願が叶ったという感じ。
潰瘍性大腸炎はまだかなりひどい状態だから安静にしてなきゃいけないんだけど、これぐらいの山なら歩けるぐらい回復してきた。
サングラスをかけてるからちゃんと撮れてるか分からないんだけど(ぜんぶカメラ任せ)、なかなかドラマチックに撮れてるじゃないの。
これが10年以上前に発売されたカメラの威力。
富士フイルムX-T1は現行機と比べても小型で軽いし防塵防滴で−10℃までOKという仕様だから冬山では今でも欠かせない1台。
−10℃どころか、実際には−20℃の山でも元気に動いてくれるからかなり頼もしい。
これが壊れちゃったらもうあたしは立ち直れない。
すでに壊れる前兆だらけなんだけど。。
自分が登山をしてて毎年絶対に見たいと思っている光景が、冬の霧氷、春のアカヤシオ、ブナの黄葉。
巻機山で見た霧氷は一生忘れられない光景で、それをきっかけに霧氷トラベラーになってしまった(笑)
以下にリンクを貼っておくのでもし良かったらお立ち寄りください。
巻機山 雪山登山 吼えろ!ジーパン刑事 霧氷と山頂からの絶景はドーパミンマシンガン
ちなみにアカヤシオも毎年必ず名所を巡ってるけど、群を抜いて凄かったのが赤城山の篭山。
まだ行ったことがないという方は、こちらにもぜひぜひ訪れてみてほしいです。
【赤城山】篭山 QUEEN’sアカヤシオと肝油ドロップ!群馬が魅せる圧倒的なピンクの森の登山
ここまで来ると森林限界に近付いてきた感じがするけど、忘れちゃいけないのがこの山は標高わずか1,523mということ。
しこもここらへんはまだ標高1,000m程度だと思うけど、それでこんな景色に出会えるなんてダッフンダだよ。
雪の重みにも負けず、凍る冬にも負けず、たまに心無いおじさんからおしっこの標的にされ、なんでこんなところに根を張ってしまったのかと後悔してるだろうが、とにかく絶景だ。
麓の景色も全て真っ白。
さすが北陸。
歩いてきた尾根を振り返る。
よくこんな中をわかんを履かずにアイゼンだけで歩いてこれたもんだな。
それからもひたすら踏み固められたステップを何の苦労もせずに登っていく。
なんてお手軽なんだろう。自分みたいなへっぽこハイカーにはちょうど良い。
どこを見ても絶景という天国みたいなところ。
お手軽と言ってもロープウェーとかで楽できるわけではないのでそれなりに体力は必要ではあるんだけど。。
霧氷が始まったと思いきや、もはや樹氷ですか?ってぐらいのレベル。
標高が上げるにつれ、当たり前だけど上空のどんよりした雲が近付いてくる。
え?晴れてるじゃない?と思わせるのは、日が差したタイミングでしかシャッターを切ってないから。
この一直線に登っていく感じがたまらない。
夏山だとこうはいかない。
冬の良さってこういうところだろう。
1年があっという間に過ぎていくなか、これからの生き方に不安になっている中年オヤジはいないかい?
悩んでないで、一直線に登ってみなはれ。
ほんのちょっとの冒険心で登山を始めてみるのも良いと思う。
振り返ってみれば、みんな思い思いに立ち止まり、今日このコンディションで登れることの恵みを享受している。
とても幸せそうだ。
後編へ続きます~