登山をしててどの季節が一番良いかと聞かれたら、理屈抜きで秋が好き。
木漏れ日が差す紅葉のトンネルをカサカサと音を立てて歩く。
10月後半になれば雪に降られることもあるけど、冠雪した山頂と紅葉のコラボはカメラ好きが泣いて喜ぶ絶景でもあるからね。
春の新緑も良いけど花粉がしんどい。
マイナス1000ポイント。
冬は登れる山が限られてくるし天候安定しないし、寒くて早起きが辛いから登山向きとは言えない。
それでも晴れた日の雪景色の素晴らしさは、1年を通じてピカイチ。
だから寒くても一発逆転の青空を期待して歩いてしまうわけです。
ええ、今回も山頂まで頑張りました。
でもそこに待っていたのは容赦ない暴風とクラウディ。
中年オヤジが泣きながら寒さに耐える将棊頭山(しょうぎがしらやま)、後編です。
前編はこちらからご覧ください
3度目の正直でようやく立てた山頂
将棊頭山の山頂に到着っ!
最初標柱が岩陰に立ってて見つけられなかったから、偽ピークかとガッカリしたよ。
木曽駒ヶ岳への稜線はガッスガス。
歩き始めた時は隙あらば行っちゃおうかなと思ってたけど、まあそんな元気ないわな。
西駒山荘ってあんな近くにあるのね。
小屋に逃げ込んだところで、どうせまたこの極寒の世界に戻ってこないと帰れないんだからあそこで休む気にはなれない。
さっきまではっきり見えていた南アルプスは相変わらず晴れちゃいるんだけど(羨ましい)、将棊頭山の山頂にガスが薄っすらかかってしまい全ての景色をぼかす。
爆風に震え、お米の高騰で山頂から悲鳴をあげるという当初のプランはすっかり忘れ、とにかく短い滞在時間中に写真を撮ることに必死。
少し下ったところに見えるポコンとしたピークは将棋ノ頭。
あそこまで足を伸ばす元気なハイカーがたまにいるけど、あたしゃもうお腹いっぱいなので遠慮します。
はい、証拠写真。
極寒だけどゴーグルの下は満面の笑みです😁
このモンベルのハードシェルはかれこれ10年以上使ってる。買った時は安いレインウェアでいいんじゃない?って悩んだけど、結果的に長持ちしてくれてるし、長い目で見れば財布に優しい買い物だったな。
10年経ってやっとそう思える😎
それに今のモデルと違ってデザインがシンプルだからあまり古さも感じないしね。
さーて、早いけど帰ろう。
風が強いからルート消失してるけど、間違えないように帰るだけで危険なところはどこもない。
それとこれまで何度かシャリバテで突然体が動かなくなったことがあるから、今日みたいにコースが長いとそれだけが心配。
そして暴風の中、凍ったハイチュウを口に放り込む。
感覚がおかしくて冷たさは感じないけど、
氷みたいに硬かった。
ゲッザーーン
自分が小学生の頃は、登校途中の凍った水たまりで遊んだもんだけど、最近はそんなものも見かけなくなったな。
そんなところで温暖化が進んでるとつくづく思う。
今はこんなに寒いのに。
それでもきっと30年前の厳冬期登山の方が今よりもずっと難しかったんだろうな。
X-T1で動画を撮りながら、たまに静止画も撮るという感じで歩いてて忙しい。
ボディ内手振れ補正なんぞ風景写真メインの自分には必要ないわ!とか言ってたけど、今日ばかりは事情が違う。
まあそんなブレブレな動画だけど試しにYouTubeをアップしてみるかもです。
ひたすらおっさんがゼェゼェ言ってるだけの垂れ流し動画です。
やっぱやめようかな。。
これが見納めだなぁとちょっと振り返ってみたけど、さっきより更に暗くなっててビビる。
もう思い残すことはない。
さっさと下山してご当地スーパーでローメン買って帰ろう。
話に聞いてた通り、美味くなかったけど(笑)
正面の茶臼山には今後も登りに来ることはなさそうだな。
ちなみに日本百名山の制覇はボンビーな自分には難しいから、日本百高山を目指すのはどうだろうか?と少し思い始めている。
だけど目標に縛られると登山が辛くなりそうだなぁ面倒だなぁと、ぬるい感じで悩んで楽しんでいる。
この時期の樹林帯はシェルター。
ケンシロウをシェルターに押し込んで外から扉を閉めたトキの自己犠牲の精神なんざあたしには無い。
一刻も早く、誰よりも早く、あの中へ逃げ込むんだ。
ああ、そうそう。
白湯を飲もうとしたらサーモスの蓋が凍ってて開けるのに難儀した。
中身は熱々だったのはさすが山専ボトルだけど。
いろんなメーカーがアウトドア用のボトルを造ってるけど、餅は餅屋というのは当たり前で、長い歴史の中で細かい改良点がいくつも採用されてるから、新進気鋭メーカーの保温ボトルになんぞ手を出してはいけないのだ。
餅屋なんて見たことないけどな!
雪がサラサラ過ぎてわかんだとズルっと滑る。
大樽避難小屋から上はアイゼンの方が良かったなと何度も後悔。
雪に埋まってないから今日の落とし物だろう。
なかなかレトロな缶だから長年大事に使ってきた物だろうに。
滑っては尻もちをつくという自傷行為にいい加減飽きてきた。
もう嫌だ、
腹も減った。
なんとか避難小屋まで戻ってきた。
こういう避難小屋って、ここにあってくれないと困る!という絶妙な位置に建ってるよね。
やっとここでアイゼンに換装。
アイゼンが固すぎて装着できず、踏ん張ったら太ももがつって、何度か悶絶をうちながらやっと履けたよ。
すかさずコムレケアを摂取。
飲んだ瞬間から効く即効性に感謝。
一瞬で足の痙攣とおさらば。
川越のお菓子、ぽくぽく。
シャリバテ防止で糖質チャージなのだ。
おにぎりはご覧の通りカチコチに凍ってるから、氷を歯で噛み砕くようにしてから白湯で流し込む。
とにかく食べなきゃ。
まだまだ下山の道のりは長いけど、稜線から離れちゃえば日向の道。
風もないし、平和だ。
地元の学校登山で落雷事故があったことの石碑。
この時は奇跡的に全員助かったみたいだけど、学校登山で将棊頭山付近で11人が気象遭難で亡くなるという事故も過去にはあったらしい。
引率する先生たちは大変だよ。。
シラビソから檜の森へ。
もうすぐ悪魔の花粉シーズンが到来する。
植林事業が森を守ってるとかそんな議論どうでもいいから、とにかく今すぐ伐採してください、お願いします😭
何万人も苦しんでいるんです。
もう限界です。
まさか。。。
この限界のことも新たに森林限界と呼ぶのかもしれない。
ヒノキに垂れ下がってるとろろ昆布みたいなのよく見かけるけど、何?
樹林の隙間から垣間見える稜線が恐ろしくガスってる。
1日を通してベストなタイミングで稜線に立てたんだな。
ゲッザーン完了
なんとか無事に桂小場登山口に戻ってきたよ。
この時点で筋肉痛になることを確信している。
もうすでにふくらはぎがパンパンどえす。
帰る途中、正面に見える南アルプスが雄大すぎて立ち止まって撮影。
仙丈ヶ岳の大きさは登頂意欲をかき立てるのに十分な貫禄。改めて良い山だなぁと思ったよ。
振り返って
これだけ将棊頭山に執着してなんどもトライする人はいないでしょう😁
3度目の正直、今回は意地になった甲斐があったよ。
自分にとって登山はスポーツというより、自然に遊ばせてもらう娯楽という捉え方なので、意地になって張り合う対象でもないんだけど、コースタイムが長いからね、意地にならないと絶対に登れなかった(笑)。
稜線は強風だったけど、この時期にしては普通でしょう。
ホワイトアウトしなかっただけラッキー。
真冬にこんな絶好の機会が巡ってくるなんてもったいない!と売り切れ間近になった脚が情けなかったけど最後までよく頑張った。
木曽駒ヶ岳まで歩いちゃう人はすごいよ。自分にはとても無理です。
今回からアクションカメラを導入したので動画もアップするつもりだけど、ただでさえブログも滞っているのに動画編集なんてできるはずがなく、アップするかどうかは分かりません。
やはり自分はカメラを構えてシャッターを切るという行為が好きなので。
だけどせっかくいろんな山に登ってるのだから、一回一回を大事に残しておきたいという思いで動画を撮り始めたといったところです。
話は変わりますが、先日宮崎までホークスのキャンプを観てきました。
オープン戦も始まったし、待ちに待った野球シーズンでさらに忙しくなるので、ますますブログ更新も遅れそうです。
ではでは。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。