すごいところを歩いている。
そこそこ山に登っていれば次第に絶景慣れして、ちょっとやそっとの絶景には驚かなくなってしまうものだけど、やっぱりというか、この並み外れた山深さと歴史ある縦走路は、そんなものを軽く上回って、山登りをしていることの喜びや全能感を満たしてくれる。
大袈裟ではなく、至るところに歓喜してしまう光景が広がってて、何度も立ち止まっては見惚れ、感動に浸ってしまった。
はるか遠くに見えた巻機山や新潟の山々が、気付けばすぐそこに見える。
思えば遠くに来たもんだ。
でも安心してください。
アイムウェアリング!!
ではなくて。
どんなに遠くまで歩いても、結局スタート地点に戻ってきてしまう周回コースなんだよね。
朝日岳の空が赤くなって、強烈な光を放ちながら朝日が昇る。振り返った谷川岳と茂倉岳がオレンジ色に染まり、草花がきらきら輝き出す。
そんな光景にジ〜ンとしてしまう。
下山して2日後、やっとブログを書き始めた自分は、そんな感動を噛み締めていると思いきや、全身を襲う嘘みたいな筋肉痛に苦しんでいる。
ロボットみたいな歩き方で階段を下る、救いようの無い中年の体。
だけど、こんな山旅ができて幸せだな。
体の痛みだけではない。かゆい。
耳、首、足、合計9箇所もブヨに食われ、尋常ではない痒さに苦しんでもいる。
くそっ!もう二度と行かない!と本気で思っている。
でも一方で、すごい経験ができたなぁとしみじみ思う。
写真を見返していると、こりゃまた歩いちゃうかもなぁと。
ああ、かゆい。
ブヨにやられたところが固くなってめちゃかゆい。
やっぱもう行かない(笑)
今回歩いてきたのは谷川連峰馬蹄形。パノラマ写真でも全体が入らないほど広大(笑)
YAMAPを見ていると、これを1dayでやってしまう猛者たちのなんと多いことか。
トレランで挑む猛者や、この日だけトレランの格好をして清々しいまでの違和感を放つお方や、往年のTheハイカースタイルを貫く方まで、様々。
でも全員に共通して言えるのは、見た目で判断できない体力の持ち主たちということ。
1dayでやっちゃう人はすごいよ、ほんと。うん。
自分は2日かけてゆっくり歩いてきたよ、はい。
そして、今回自分が歩いたプランがベストだなと思えたから、馬蹄形を狙ってる方はぜひ参考にしてほしいところだよ。
初日は、西黒尾根で谷川岳に登って茂倉岳避難小屋で一泊。
茂倉岳避難小屋は2022年に建て直されたばかりですごくきれいだし広い。水場が枯れることもあるみたいだけど、水が確保できるならここがベスト。
水が出ていなければ、蓬ヒュッテに泊まるのが良いと思う。
白崩避難小屋も人気みたいだけど、狭いし古いし、トイレやばいし。中を覗いて自分はとてもここには泊まれないと思った(笑)
長い長い縦走路。
天気に恵まれ、最高の2日になった。
さあ、日頃の運動不足の代償を支払う時が来たぜぃ!
↓ちなみに後編はこちら
http://hibihansei.jp/bate-2023/
ルートとコースタイム
■2023年6月17日(1日目) ※カッコ内は標準コースタイム
西黒尾根登山口⇒(220分)⇒トマの耳⇒(15分)⇒オキの耳⇒(45分)⇒一ノ倉岳⇒(20分)⇒茂倉岳⇒(15分)⇒茂倉岳避難小屋
コースタイム:5時間15分(休憩含まず)
総距離 7キロ
累積標高上り 1,580m
谷川岳馬蹄形登山(前編)
西黒尾根から登山開始
谷川岳インフォメーションセンターの無料駐車場。
ここには300台も止められるんだけど、すでに枠外に車が溢れているという有り様。
つか、こんなスカスカな状態で満車って、スペースの使い方下手すぎね?
あんまりキャパが大きいと有料駐車場が儲からないという大人の事情があんのかもたけど…。
ブルジョワたちの乗り物が上空を通り過ぎる。
コロナによる物価高が始まるもっと前に、経営が東武から星野リゾートに移った途端に値上げされてしまった夢の乗り物。
経営存続してくれた感謝もあるんだけど、もう一生縁のない乗り物になってしまったよ…。
谷川岳ベースプラザの水洗トイレでいつも通り腹を下したら…、もとい、身支度を整えて出発。
アルピコバスも谷川岳に乗り入れてるんだね。
メモメモっと…。
西黒尾根登山口に向かう途中にある、すっかりお馴染みの登山指導センター前の水場で補給。
本日の水分は2.5リットル。
今日は茂倉岳までだから、これでもつだろうな(ギリギリだった)。
現在AM9:30。
長い2日間が始まる。わくわくというより、既に猛烈な湿度で辟易している。
おまけに久しぶりに重たい荷物だし、長く歩くのも新潟の二王子岳以来の4ヶ月ぶりで不安。
さっきまでお腹下してたし。
マジで不安しかない。
初日は茂倉岳までだから時間的には余裕なんだけど。
たまから、とにかくゆっくり歩きたい。
そんなのんびり気分を吹き飛ばす泥濘地獄で幕を開ける。
これがのっけから30分も続き、飛びながら泥濘を避けて登るという行為でかなり足を消耗してしまった。
やっと泥濘地獄が終わったと思えば、原生林の新緑が恐ろしく眩しい。
西黒尾根は何度も歩いてるけど、さすがの緑の濃さ。
湿気と暑さにやられ、何度も足を止める。
こんなに歩いてきたのに、山頂まであと3時間もあるのか。。
西黒尾根は何度も歩いてるのに、ここでいつも同じことを思ってる気がする。
新緑の大洪水。
こんなの山では当たり前の光景だなんて思わないことだね。
低山だと登山口から山頂までみっちり杉林だけで完遂しちゃう山もあるからね。
武甲山とか?
いや、あそこはたしか、杉で始まってヒノキで終わったような…(一緒だよ!!)
まあ、泣くよね。
蛇紋岩へのワープの穴を見つけて飛び込む。
はい、ここから別世界。
手前のタニウツギと武尊山方面の山並み。そして途端に吹き抜ける風。
この樹林帯から蛇紋岩の尾根道、そして森林限界へと展開していくのが相変わらず素晴らしい。
谷川岳は飽きない。
樹林帯を抜ければブルジョワたちのオアシス、ロープウェイ駅より高いところに出たことを確認。
こちとらここまで無料で登り切ってやったぞ!優越感だぞ!
ザマミロ!
ガーハッハッ!
・・・・時間を金で買える男になりたい。
スミマセン、取り乱しました。
そして、ここから蛇紋岩の岩場が始まる。
どこでトレッキングポールをしまうか悩む。なんせマジで運動不足の身、断腸の思いでここでしまったよ。
さあ、馬蹄形で記念すべき最初のピーク、谷川岳が見えた。
マチガ沢にはまだ残雪たっぷり。
ヘリがしばらく旋回して、渋川方面に飛び立っていく。だれか救助したみたいだ。
下山後のニュースで、一ノ倉で事故があったことを知るんだけど、足の骨折で済んだみたいだ。
事故やトラブルは誰にでも起こりうる。
大事なことは救助が呼べる様にしておくこと、救助が来るまで耐えられる装備を持参しておくことだなと改めて思う。
ココヘリに加入して1年。一生使う機会が来ないことを祈る。
ベニサラサドウダン。
景色が良いから忘れがちだけど、西黒尾根は鎖場の連続。
自分も私観たっぷりで関東近郊の山の鎖場特集としてかわら版にまとめたけど、その中で中級として紹介している。
気が抜けないけど程よく楽しめる鎖場が続く。
ミヤマキンバイ。
ちなみにいつも長ったらしく書きすぎるけど、何度も登っている谷川岳だから、これでもバスバス端折りながら書いている。
しかも、今回は全体行程が長いから前後編に分けて書くつもり。
天気がいいから西黒尾根もたくさんのハイカーが歩いている。
ロープウェイの値上げによって、以前より増えた気もする。
ラクダのコルに一旦下って、ここから一気に山頂まで登る。
この素晴らしい景観こそが西黒尾根が日本三大急登の一つに挙げられるところだと思う。
もっと急なところはたくさんあるからね。
ウラジロヨウラク。
厳剛新道との分岐。
ここからが本番。
小高いところに立つ人を見ると絵になるから撮りたくなる。
こういうところを端折ればもっと尺を短くできるんだけどね。
蛇紋岩の登りはツルツルして足の置き場にも慎重になる。
それと岩場って、どこが一番登りやすいのか探してるうちにうっかり正規のルートからつい外れがち。
そんな八兵衛な自分はずっと先の方までちゃんと見るようにしている。
ハクサンコザクラ。
蛇紋岳は特有の植物が育つことで有名。
その内の一つ、「カトウハコベ」を探しながら歩いたけどさっぱり見つからない。
なんならどんな花かも忘れた。
見たら思い出せるんだけど…。
振り返れば明日歩く反対側の山々が見える。
1番右のほんと小さなトンガリが白毛門、その左にひときわ大きな山が朝日岳。
あいつが明日イジワルしてくるのは間違いない。
下を見てみればどれだけ急なところを登り続けてきたのかがよく分かる。
条件が良ければ、冬のほうが雪を味方にできるから登りやすいかもしれない。
まだむやーん。
(うんざり)
山頂をアップにしてみる。
早く飛んでいきたい。
ザンゲ岩に到着。
神様、病的な派遣社員に机の横の荷物を整理してねと言ったら、パワハラだと騒がれました。
整理してねなんて気安く言ったこと深く反省します、懺悔します、もう二度と言いません。
中間管理職なんて今すぐこっちからやめてやる。
イワカガミが至るところに群生している。
谷川は植生が豊かだ。
エベレストの大行列と合流。
って同じことを2月にも書いたけど、冬ならロープウェイ利用者が増えるのも分かる。
6月にロープウェイを使えちゃう人たちこそが本物のブルジョワなのだ。
谷川のシンボルも見えた。
ついこないだまで見渡す限り雪しかなかったというのに、もうこんな雪渓しか残っていない。
日本の四季のめぐりの速さに改めて驚く。
肩の小屋。
主脈縦走のときに、菓子パン買えますか?と訪ねたら「ないない」と手を振られあしらわれた。
そんな言い方しなくてもいいのに。。きっと虫の居所が悪かったんだろう。
いつか優しくしてもらえるまで通ってやるから!!(笑)
馬蹄形って時計回りにするか反時計回りにするか悩むよね。
反時計回りで歩けばゴールが谷川岳でドラマチックだなぁと思って、最初は反時計回りで企画したもん。
でも、茂倉岳避難小屋を宿泊地に決めて時計回りに切り替えたんだよね。
これが大正解だった。
ちなみに蓬ヒュッテに泊まる場合でも初日のコースタイムが短い時計回りがいいよ。
馬蹄形1座目 トマの耳
記念すべき最初のピークが谷川岳というのもなかなかいいじゃないか。
トマの耳ゲット。
人だらけのトマの耳にさっさと別れを告げて、オキの耳へ。
オキから撮るトマ。定番の1枚。
冬の写真より夏の方が山らしくていいね。
ここにもハクサンコザクラがたっぷり。
ユキワリソウかもだけど。この見分けができたら上級者。
これは間違えようがない、ハクサンイチゲ。
ハクサンイチゲとチングルマの見分けがつくようになったら脱初級者(笑)
花だけ調べてたら上級者になれそう。
馬蹄形2座目 オキの耳
本日2つ目のピーク、オキの耳。
脈々とと言う言葉がぴったりくる谷川連峰主脈。
主脈も景色がほんと素晴らしくて、超絶お薦めなんだけど途中に水場がないのがしんどい。
主脈より馬蹄形のほうが長くて大変だけど、馬蹄形は水場があるしちょうど中間に有人小屋もあって安心。
どっちがいいか悩むならどっちも歩くべし。
いつか赤湯温泉から歩いてみたいと思ってるけど、全然歩けてない苗場山。
オキの耳から奥の院へ。
いつもなら奥の院まで来るとパタッと人は減るんだけど、この日は茂倉岳までとにかくたくさんのハイカーがいたんだよね。
ふむ…
避難小屋、泊まれるかな…。
手前のピークが一ノ倉岳。その奥が茂倉岳。
反時計回りだと茂倉岳への登り返しが鬼畜山場になる。
時計回りだと、朝日岳の登り返しと、白毛門の激下りで召されます、はい。
反対側のあそこまで、無限のピークを越えてたどり着けるのだろうか。
おっさんになるとつい弱気になっちゃうんだよ。
そんな時によく思い出すのが、飯豊山で会った爺さん。その爺さんは「テントさえあればどこまでも行けるからな、ぐえっへっへっ」と薄気味悪い笑みを浮かべ、すげぇバテてた(笑)。
でもその姿がね、また味があって良かったんだよ。ゆっくりゆっくり歩いて、結局最後は自分より長い距離を歩いたんだから脱帽。
その時、ペースを保つことの大事さが身に染みて分かった。
一ノ倉岳への登りが始まったけど、この左の斜面に大きく茶色い大きな鷲が舞い降りたのが見えて、巣でも作ってるのか?とそればかり気になった。
清水峠でも黒く大きな鷲が雄大に飛ぶ姿を見たし、もしかしたら絶滅寸前のイヌワシだったかもしれない。そうであってほしいと切に願う。
改めてすごい世界だなぁここは。
尾瀬方面は至仏山と奥に燧ヶ岳。
どこを見ても、ぜーんぶ絶景。
シロバナイワカガミ。
下から吹き上げる風を脇から通し反対の脇へと逃がすという、高難度な脇汗ドライ製法。
あんな標高が低いところにも雪渓が残っていて、その冷気が自分の脇汗めがけて襲いかかり、一気に凍らせるというリアルエクストラコールド。最高だぜ。
何を言ってるのか分からんけど、ピークは目の前だ。
振り返る谷川岳。
切れ落ちた東壁が大迫力だね。
馬蹄形3座目 一ノ倉岳
一ノ倉岳ゲット。本日、3座目。
一ノ倉の山頂には避難小屋があるよ。
せまいし水場もないからゆっくり過ごすことはできないけど、白崩避難小屋を利用するぐらいなら自分は迷わずこっちを選ぶ。
あれは岩原スキー場かな?ここまで来れば湯沢の景色が見えるのが新鮮。
白いシャツだと虫のたかり方が半端ない。
9箇所もブヨに刺されたのはこれが原因だと思う。
毎年思ってることだけど、ブヨたちよ、お前たちがでかい顔していられるのもトンボが出てくるまでだ!
オニヤンマくんの必要性を感じた。
一面に広がる熊笹の広場。明日歩く稜線の向こうには巻機山、更にその奥に見えるのは守門岳かな。
360度名山たちに取り囲まれている感覚は、北アルプスの鷲羽岳に立った時の感覚に近いのかな。
ユキワリソウ見つけた。
そうそう、ハクサンコザクラっぽいけど、これがユキワリソウだよ。やっぱさっきのはハクサンコザクラだったんだな!と思ったけど、正直どっちでもいい。
振り返って、手前から一ノ倉、オキの耳、トマの耳。
茂倉岳の山頂に立つハイカーが確認できる。
谷川岳から先は寂しい縦走路をイメージしてたけど、割と人が多くて避難小屋がいっぱいになってないか焦る。
でもほとんどが茂倉新道を使って土樽へ下山する人たちで、避難小屋は余裕だったけどね。
夕方に満員御礼になったけど。
シラネアオイ。
ミヤマキンポウゲがもりもり。
こういう高山植物を写真にとって帰ってから調べるというのを続けてもう10年以上。半分以上の花は調べずとも答えられるようになった。そろそろ中級者を名乗って良いかな。
馬蹄形4座目 茂倉岳
山頂に到着。さあ、今日はもう登らなくてよい。
山頂からは茂倉岳避難小屋が見える。
実はこの時、すでに疲労困憊でちょっと無理をすると太ももの筋肉がつってしまうやばい状態。
水分不足が原因だと思う。
早く電解質(ポカリ)飲まないと。
茂倉岳避難小屋
茂倉岳避難小屋の水場は小屋の裏を下っていくとすぐにあるよ。
枯れることもあるみたいだから、そこは事前によくチェックしてから計画するべし。
梅雨のこの時期なら大丈夫だと思ったんだよね。茂倉岳と一ノ倉の間にたっぷり雪渓も残ってたし。
頭から何度か水をかぶったり、手ぬぐいで体を拭いてたら女性が下りてきて、慌ててアイムウェアリングをキメた。
八女茶のひよこ味。
ではなくて、八女茶味のひよこ。
逆にするとだいぶキモい。
激つぶれだし。
ひよこの意味半減。
トイレはくみ取り式らしいけど臭くなかったな。まだ新しいからそんな溜まってないからかも。
大勢で夕焼けを撮影してるんだけど、空気を読めない2人が20mほど前で眺めてるからみんなの写真にかぶりまくっている。
まあこれはこれで味のある写真が撮れるからいいんけどね。
翌朝のAM4時。
夜中、自分のいびきで目が覚めるという迷惑な男です、どうもスミマセン。
2日目も素晴らしい天気で幕開けした様に見えるけど、実は強風で激寒。スタート時間を遅らせたかったけど、この日はコースタイム12時間という鬼畜スケジュールだからもう行くしかない。
お世話になった避難小屋のポストに協力金を支払って出発。
まずは目覚めのハイキングで茂倉岳へ。
茂倉岳の山頂には朝日を撮ろうと既に待ち構えている方が3人。
日が昇るまでまだ20分はあるから先へ進もう。
風が強くて待ってもいられないし。
あれが武能岳かと思いきや違った。
登るかと思いきやここは左から巻く。
振り返る茂倉岳。
カメラのおかげで明るく撮れてるけど、まだ薄暗い。
体を硬直化させて手持ちで撮った。手持ちでこれだけブレてないんだからなかなか優秀。
実際の暗さはこれぐらいかな。
暗く撮ると寒いというのが分かってもらえるよね。
レインウェアを羽織って10分ぐらい歩いたらようやく寒くなくなってきた。
なんにしても、この日は手袋を忘れなくてほんとよかった。
ちょうど朝日岳から日が昇るんだな。
茂倉岳の標高は1,978mで馬蹄形の中では最も標高が高い。ここから一気に標高1,594mの笹平まで下る。
反時計回りの人たちが茂倉の登り返しで召されるというのはこれが理由。
今年一発目のご来光だよ。
馬蹄形の東斜面を日が照らす。
草花がきらきら輝き出す。
ヨツバシオガマの朱色が際立ち、こういう光景をいつまでものっぺり見ていたいと心から思う。
しかし今日のロングコースは待ったなし。
今からあの朝日岳に登ってその先の白毛門まで行って、土合まで下るなんてアホじゃね?
朝日に感動しながらも、そんなことを思っていた。
ホソバヒナウスユキソウ。
なんとうつくしい朝。やはりというか、今日は素晴らしい一日になると確信できたし、あとは途中でバテない様にペースを保つことだけを心がけよう。
お願いだからこれ以上下らせないでおくれーと願ってしまう茂倉岳からの下りもそろそろおしまい。
逆回りじゃなくてほんとよかった。
2日目は距離は長いけど登りは累計で1,500mほどで大したことはない。
安心してもいられないけど。
なぜなら昨日の疲れがしっかり残っているから。
昨夜は湿布を6枚張って、避難小屋の中を自分の湿布臭で充満させてしまい大変申し訳なかったんだけど、それでも疲れが取れない。
そんなおっさんに武能岳の追い打ちが始まった。。
カライトソウ。
ハクサンチドリ。
ヨツバシオガマとハクサンチドリの違いも瞬時に識別できるのが中級者だ!(笑)
また登らせるなら下らせるなよー。
登山していれば100万回はそう思う場面に出くわす。
ヨツバシオガマ。
振り返る茂倉岳。
最後にこの登りが出てきたら蓬ヒュッテから土樽へエスケープしてしまう人が多い理由が分かった。
赤城山もずいぶん遠くなった。
武能岳の山頂には避難小屋で隣りになった方々が先行している。
自分のいびきと湿布臭で最も迷惑をかけてしまった方々だ。
申し訳なさと恥ずかしさで顔も見れない。
馬蹄形5座目 武能岳
1,760mの山頂、馬蹄形の5座目の武能岳ゲット。
ここで、前編終了。
この前編の切り方が中途半端に感じられるけど、行程的にも写真の枚数的にも武能岳で区切るのが都合よかったんだよね。ただそれだけ。
後編は、「朝日岳でやっぱり召される編」どえす。
前編おわり
来てよかった。歩けてよかった。
そう思える登山に出会える機会ってそんな多くないし、冒頭にも書いたけど、次第に絶景慣れしてきちゃうから、登山の頻度が増えれば増えるだけ、相対的にそう思える登山って減ってくるもんね。
今回はそんな中、ほんと貴重な山行になったよ。
最初は5月末に企画してたけど悪天候でパス。
6月中旬だと暑くなり過ぎるのを心配したけど、いやらしい雪渓は無くなったし、水場も確保できて結果的にはよかった。
茂倉岳の避難小屋はまだ木の匂いがかすかに残るぐらい新しくて、しかも広いからそりゃ人気だよね。
この日はテーブルを土間に移してなんとか全員横になれるスペースを確保できたけど、見事に満員御礼。
秋になったら恐ろしく混むだろうな。
この日は避難小屋の前にテントが3つ張られたので、早い時間に到着できないなら、念のためテントを持参しておけば避難小屋が一杯でも安心だね。幕営地ではないからあくまでビバーク前提で。
1dayで歩く人はこういう避難小屋の混雑が面倒だからという人も多いだろうね。
一ノ倉あたりで早々に足がつりそうになって苦しんだ自分には考えられないけど。
ではでは、後編へ続く
マジ疲れた。。