ゴリラの求愛行動を知ってるかい。
好きな相手に向けて、愛を込めて自分の糞を投げつける。
自分には縁のない女性がいる。
その名は「アイコマ子」。
コマ子からは、あなたなんかに興味ないわとすでに2回もフラれている。
この娘に初めて出会ったのは、何年前だったろうか。時期は今と同じ6月中旬だった。
とにかくガードが固いコマ子を池塘でも見ながらハイキングしようよ!と誘ってみたのだが、5メートル以上も積もった残雪で池塘を覆い隠し、プランを台無しにされた。
それならばと、お次は秋の紅葉を見に行こうよ!と必死に誘ってみるも、「これ以上つきまとうならお仕置きよ!」とばかりに吹雪を降らせるという塩対応。
10月後半だというのにジラレヘン。
夏山装備の自分は震え、トレランシューズは木道ですべりまくって腕と足をアザだらけにした。
池塘なんて眺める余裕もなく、踵を返して帰ったのだった。
しかも下山後の食事は檜枝岐村名物の「たち蕎麦」ではなく、どこでも食べられる山菜うどんをチョイスする愚行を侵し、「こいつほんと使えねぇ」とすっかり呆れられてしまったのだ。
そして今回は、お隣の会津朝日岳に登ると見せかけて、油断した隙に登頂してしまおうという作戦。
今度こそ池塘が広がるコマ子本来の姿に期待したい。
ゴリラばりに糞を投げつける勢いでおっさんは3度目の求愛に出かけたのだった。
コマ子は福島県会津郡檜枝岐村(ひのえまたむら)在住の日本百名娘で身長2,133m。
花の百名娘でもあるけど、自分はそれほど花がたくさん咲くというイメージはないんだよね。
それよりも秋の紅葉がすごい。
豊富なブナ林もコマ子の魅力の一つで、それとツツジ系の紅葉が一気に色付く世界は一見の価値あり。
なんにしても一目惚れしちゃう山です。
池塘の周りには水芭蕉がたくさん咲くイメージを持ってたんだけど、だいぶ違った(笑)
標準コースタイム
■2024年6月16日 ※カッコ内は標準コースタイム
滝沢登山口⇒(180分)⇒駒の小屋⇒(15分)⇒駒ヶ岳山頂⇒(45分)⇒中門岳⇒(50分)⇒駒ヶ岳山頂⇒(15分)⇒駒の小屋⇒(140分)⇒滝沢登山口
コースタイム:7時間25分
6月の会津駒ヶ岳登山
滝沢登山口から登山スタート
ド定番の滝沢登山口からスタートどえす。
ここ以外からだと燧ヶ岳から縦走するしかたぶんルートってないと思うんだけど、そんな冒険をするのは田中陽希さんぐらいなもので、コマ子へのアプローチはいつもここから。
コマ子も尾瀬ファミリーだったのか。
さあ、果たして今日は縁があるかどうか。
天気は曇りのち雨でいまいちなんだけど、朝来てみたら青空見えてるし、なんとか天気がもってくれることを祈る。
コマ子は千尋の谷から這い上がってきた男としか会わないと聞く。
最初から情け容赦の無い急登地獄で、野郎どもはふるいにかけられていく。
自分も暑さと急登により、さっそくのバイデン化だ(失語)。
この前半の長い急登をクリアすれば樹林の切れ間から山頂が見えるんだけど、試練はそこまでだと思って頑張るのだ。
ウラジロヨウラク。
こういうツツジ系って秋になると赤くなって黄色に色付いたブナの森に良いアクセントになるんだよね。
今流行りのサウナー達に先駆けて自分が始めたのがこの樹林サウナ。
「デトックスじゃー、毛穴に詰まった臭いものが流れていく様でござるー」
そんな気分で歩けば、萎えた気持ちも少しは上げることができるかもしれない。
水風呂は森林限界を超えてからの吹き抜ける風?
さにあらず。
池塘です。
ちなみに、都内で高所得者を狙った高級サウナが次々とオープンしてるけど、どうせ一過性のパンケーキやタピオカと同じで、しばらくしたら唐揚げ店になってたりするんだろうな。
その手のオーナー達の口癖は
「次、なにがくるかなぁ」だ(笑)
そんな物には踊らされないぞ!
こういう山菜って採ったことないんだけど、果たして美味いんだろうか。
宝の山だ〜って喜んで採取してる人をたまに見かけるけど、一度手ほどきを受けたいと思ってたりする。
ああ、見えた!!(T_T)
ここからは気が楽。一気に斜度は緩くなるはず。
ほらね。
斜度が緩むと同時に森林限界が近付いて樹林が低くなり、日差しが大開放でくっそ暑ぢぃ。
まだ青空。来てみないと分からないもんだな。
梅雨に突入すれば、天気予報士も鼻くそほじりながら曇時々雨です〜って言っとけばたいてい当たる。
九州や四国だと「くもり時々警報級の大雨」が当たり前になってきてるから、関東や東北はだいぶ恵まれている。
ところどころ遠景も臨める様になってきた。
サウナーあるまじきだけど、大量に流れる汗がキモい。
ムラサキヤシオ。
ノウゴイチゴ。
だいたいのことはGoogleレンズが教えてくれる。
これは知ってる、カメノキ。
まだ咲き始めだからきれいな白。
うぐぐ…
楽になったかと思えば、まだ多少なりとも急登はでてくる。
コマ子に会うのはそんな簡単なことではないのだ。
とにかくここら辺はゆっくりゆっくり、同じペースで歩く。
ミツバオウレン。
遠くの山は日光連山だろうか。標高を上げて見える景色も変わってくる。
だいぶ近付いた。
そろそろ前半の急登を乗り切った者だけが味わうことができるご褒美タイムの幕開け。
ここら辺は春と夏の花の開花時期がかぶるらしく、ショウジョウバカマがたくさん咲いてた。
放牧地と家畜
ごくわずかになった残雪を切って渡った先は
天国だった。
尊い。こんな素晴らしい世界が待っていたのか。
だがちょっと待て。浮かれるのはちと早い。
よく見れば麻生太郎がいるじゃないか。
不吉な予感しかしない。
そう、ここから始まるのはコマ子の第2の試練、日陰なし地獄。
ひたすら日向を歩かされる。
ちなみに前回はここら辺から突然の吹雪に見舞われた。
樹林という逃げ場がなくなってからの吹雪は多少なりともトラウマになっている。
10月後半からはそろそろ雪にも気を付けなきゃなって頭では分かってても、登山口までがまだかなり暑かったりするからつい油断しちゃうわけよ。
暑ぢぃけど、吹雪に比べれば今日は救われた。
家畜並みの体臭を放つおっさんすら爽やかさんに見せてしまうこの爽快な風景こそコマ子の魅力。
ちなみに7年前、ちょうど今と同じ6月中旬に訪れたときはこんな別世界だった。
驚く白さ。
それに比べて今年の冬は少雪、そして3月から続く異常な暑さ。
もう地球壊れちゃったよ。
洋上風力発電で業者と癒着してた議員とか、未来永劫許さないよあたしは。
まるで「なんとかの丘公園」的な風景の中、駒の小屋が見えた。
ここが標高2.000mの山だなんてとても思えない牧歌的な雰囲気。
シャクナゲも少し咲いてた。
まだ咲き始めみたいで綺麗。
家畜化したおっさんが放牧場みたいな世界を突き進む。
平日は社畜、休日は家畜。
それが自分の生活スタイルだぜ、イエイ。
ちなみに、最近は広いオフィスて1人だけポツーンと残って仕事をすることが日常化している。
これでコマ子にフラれたら精神が崩壊してしまいそうだ。
ハクサンコザクラ。
初めてコマ子に登りに来た時に泊まった駒の小屋。
ここは自炊スペースが狭いため使用できる時間を2部に分けることになったんだけどね。小屋のご主人が常連さん達とはやく一杯やりたかったのか、常連以外はまだ腹も空かない夕方17時30分までに食事を終わらせてと告げられ、それ以降は常連さんとご主人の酒盛りタイムに使われるという、それまで聞いてた良い評判を完全に裏切られる残念な対応。
やっぱりテントが気楽でいいなぁと、もう2度と泊まらない小屋です。
駒の小屋から山頂までは0.7km。
ここから2.9kmの中門岳まで足を伸ばすのがコマ子とお付き合いするための正しいお作法となっている。
樹林帯で疲れたとか口が裂けても言ってはいけないのだ。
枯れそうな水芭蕉が一輪だけ咲いてた。
この上にはきっと咲き始めの水芭蕉がたくさん咲いている。
さすがにまだ残雪はあるけど、期待した池塘が広がる景色を見ることができた。
オニヤンマが猛スピードで飛び回ってた。
森林限界の境界みたいなところだから、山頂付近だけシラビソが覆っている。
振り返れば猫耳が特徴的な燧ヶ岳。
尾瀬はすぐ隣だ。
分かりにくいけど至仏山。
こうして見比べてみると、やっぱり燧ヶ岳のほうが格段に良い山だな。
さあここまで来れば全部が絶景だ。
ちょっと雲は増えてきたけど、なんなら雨になるかもしれなかったからね、かなり上出来。
とは言えついさっきまで青空だったのがにわかには信じがたいグレー。
コマ子の怒りに触れてしまったのか。
あぁぁ〜、今回もドボボーンじゃないかぁ。
コマ子「おっさんにはこれがお似合いなのよ〜、二度あることは三度あるのよ〜」
コマ子ー!!!
水芭蕉を見に中門岳へ
こうなりゃ中門岳まで行って水芭蕉に癒やされるしかないな。
雲は多くなってきたけど、せめて雨を降らせないでいてくれているのはコマ子のお情けだろう。
そして再び7年前の中門岳への稜線がこちら。
池塘はいずこへ。
まだ5メートル近い雪の下に埋もれていた。
例年、これだけの雪が本当に夏山シーズン開幕までに溶けるんだろうか?って不思議に思うんだけど、梅雨で見事に消えて無くなるという自然の摂理に感動してしまう。
今年はほんとどうしたというんだろう。
ここだけ雪はあるけど、ほんと表面だけ。
中門岳へ歩き始めてすぐすれ違った方から雪は溶けて池塘は完全に表に出てると聞いた。
水芭蕉もきっと見ごろだろう。
早すぎたかっ!!
くそっ!
池塘はばっちりでてる。
水芭蕉は完璧にゼロ。
中門岳に到着。周りの方が高いのに、ここが山頂だなんておかしいよなぁなんて思いながら軽く休憩したけど、YAMAPで確認してみればやはり山頂はもうちょっと先らしい。
そんなわけで、せっかくだから山頂を目指す。
少し露出を落として池塘を撮影すると雰囲気が増す。
水芭蕉はいずこ。
正真正銘、中門岳の山頂までやって来た。
中門岳はピーク感ゼロだからあくまでハイキングを楽しむところ。
午後から雨予報だしなぁと、会津駒ヶ岳へ向けて間髪入れず戻るという体育会系ハイキングを遂行。
左には会津朝日岳(たぶん)。
実は今回の候補に挙げてた山だったんだけど、なんせ遠くてね、移動が面倒でやめたというのが正直な理由。
登るなら秋にしよう。
ハイキング感覚とか言っておきながら、左奥に見えるコマ子があまりに遠くてもう歩く気ナシ男。
えっちらおっちら歩いてると、自分を憐れんだのかコマ子の上がちょうど晴れるという奇跡の巡り合わせ。
あら不思議。
天気はどんどん良くなる。
パワハラを受けても「イエッサー!!」、
定時過ぎてから仕事を押し付けられても「はい、よろこんでー!!」
と耐えてきた自分にコマ子からのご褒美なのかもしれない。
4度目の正直でコマ子が微笑んだ。
5度目に来たらまた雪になりそうだから、これを最後にするかも(笑)
遠くの山々はぜんぜん分からないけど、ちょーキモチイイ。
樹林サウナを下山
さて、下山しますかね。
青空が素晴らしすぎる。
分かりきってるけど、梅雨の山旅ほど天気に翻弄されるものは無いな。
残雪の少なさに驚いてばかりだけど、駒の小屋の周辺だけ残雪が多い。
素晴らしい。ほんと天国みたいなところ。
感想が薄っぺら過ぎて書いてて情けない。
燧ヶ岳は猫耳でとても分かりやすい。
おっさんの耳もあんなだったら可愛いんだろうな。
あんな耳の上司に叱られたくないけど。
欲を言えば木道ではなく土の上を歩きたい。
花の山というウリのくせに、ぜんぜん咲いてないんだから別にいいんじゃない?って思ったりする。
すると、たまにハクサンコザクラが咲いてたりするからやはり駄目なのか。
天国が終わって樹林サウナに戻ってきた。
これってミツバツツジだよなぁ。
季節感がバグる。
最後の1輪だけ残ってたサンカヨウ。
水芭蕉も1輪だけ見れたし、まあ上出来か。
樹林サウナによって暴発する家畜臭を宿らせて、戻ってきた。
コマ子、また会いに来るよ。バイバイ👋
おわり
実は下山後の温泉も縁が無い。
前回は登山口からいちばん近くの駒の湯に立ち寄ったら、ちょうど清掃時間ということで断られ、近辺で立ち寄り湯やってます!という看板を出してる民宿にいくつか立ち寄るも、コロナ以降は宿泊者のみに限定しているんですよ〜と断られた。
結局、さんざん探し回って道の駅に併設されている温泉に入ったわけです。
ちなみにずーっと昔、会津高原駅前の温泉に立ち寄った時なんかは、自分以外に5人ぐらいいたんだけど全員ヤクザ(笑)
すぐ上がったわ。
今回は登山口から車で10分ほどのところにある「燧の湯」に寄ってきた。
1,000円と少し割高だけど、公害クラスのオイニーを放ったまま帰るわけにはいかない。
道の駅の温泉でもよかったんだけど、わざわざ桧枝岐村まで来たのにそれだと味気ないからね、ちゃんと温泉に入れてよかった。
帰りの道すがらにあった果物の直売所に寄ると、桃が安かったから、自分にしては珍しく1個だけ買ってみると、もう1個おまけを付けてくれた。
いいことあるな。
普段、果物はあまり口にしない。
包丁で剥くのも面倒だからね。
今回買った桃も帰ってすぐに食べないと放置したまま腐らせちゃうなと思い、すぐ不慣れな包丁を使って剥いて食べてみた。
ん?これってりんごですか?
と思うほどの固さ。
甘みゼロ。なんなら酸っぱいし。
おまけでもらった桃も食べてみたけど、そっちがめっちゃ甘くて美味かった。
自分が選ぶとろくなことにならないんだな、きっと。
今年の夏は山に登った帰りに果物を買って帰ろう。それを夏山の楽しみとする!
ではでは