【北アルプス】薬師岳(後編) 値上げ率は驚愕の150%! クマタカが舞う夏の終わりの峰

【北アルプス】薬師岳(後編) 値上げ率は驚愕の150%! クマタカが舞う夏の終わりの峰

大谷翔平のニュースを見るたびに、二刀流ってなんか違うんだよなぁ

と、違和感があります。

 

二刀流って宮本武蔵みたいに2本の刀を持つスタイルだと思うんです。

つまり同じことを2つ同時にやる的な。

ピッチャーとバッターという2つの異なることを同時にすることを二刀流って言うのかな?

と、素朴に疑問なわけです。

 

たとえば、ご飯を食べながらテレビを見てる人のことを、あの人二刀流だわ、なんて言わないでしょ。

 

ご飯を食べながら鼻でうどんをすするなら立派な二刀流です。

すみません、小学生レベルでした。

 

先日、左投げのモイネロがオールスターで右投げを披露してたけど、それこそが二刀流だと思うんです。

バッターならスイッチヒッターかな。

つまり西武ライオンズの仲田慶介くんは二刀流です。

 

 

さて、薬師岳登山の後編です。

薬師岳山荘に到着して、いよいよピークは目の前。

ストックはもちろん二刀流(2本)でヒーヒー登ってきました。

 

 

前編はこちらからご覧ください↓↓↓

【北アルプス】薬師岳(前編) 貴婦人に長年の片思いをぶつけろ 間違いなくあそこがピークよ!編

これが貴婦人だ

「あたし知ってる。間違いなくあそこがピークよ!」

と、おばちゃんに言われた私は、ゴールが近いなら薬師岳山荘で休むまでもない!と、山頂を目指すことにした。

ニセピークはもう目の前だ(笑)

 

でもここから風が強くてね、半袖だととんでもなく寒い。

結局半袖のまま登りきったけど、下山ではしっかりレインウェアを着込んだよ。

 

うほほーーい!!

めちゃくちゃガスってたのに、どんどん晴れ渡っていくという奇跡を目の当たりにして、最後の苦しい登りだというのに妙なテンションだ。

 

 

さあ、貴婦人がカモーンしている。

今さらだけど、勝手に憧れの存在みたいに貴婦人と言ってきたけど、貴婦人ってなに?

 

貴婦人なんて知らない(笑)

 

そんな訳でAIに描いてもらいました。

これだそうです。

えー

無理だわー。

もはや苦手なタイプとか言う次元を超えてるもの。

 

ずーっと奥

こういう無機質な世界って登っても登っても山頂に着かないんだよね。

牧のうどんの「やわ、大盛り」が出汁を吸って無限に減らないという地獄を思い起こさせる。

 

事実、薬師岳山荘からはまだ200mも登らせるわけです。

山頂は目の前のはずなのにー!と感覚がバグるのも貴婦人の魔力によるものかもしれない。

 

そういう時は後ろを振り返れば良い。

どれだけ登ってきたかを実感できるから。

見渡せば日本代表クラスの山々が広がる。

 

分かりにくいから山名を表記したけどもっと分かりにくくなったかも。

薬師岳の山頂に着けば剣岳と立山、それに赤牛岳も見えるに違いない。

 

やったー、見えた。

悲願達成まで目前だ(騙されている)。

 

なんだよー!山頂はあの奥!ずーっと奥!!

 

思い起こされる。

「あたし知ってる。あそこが本ピークよ!」。

知ってないやん。

 

いや、冷静に考えれば地図で確認しなかった自分が良くない。基本、登山は自己責任の遊び。

最後は自分の目で確認しなきゃな。

 

ガッカリしたけど、ここからはほぼ平坦な天国ロードだし、気を取り直して進もう。

最後の登りを楽しまなきゃ。

 

日本アルプスの中では最後の百名山になってしまった薬師岳。

さすがに富山は遠いから簡単には来れない。

 

薬師岳山頂

ありがとう。思わず貴婦人と短い抱擁を交わすあたし。

ここだけは絶対に登りたかったんです。

次から次へと登りたい山が出てきてしまう登山漂流者な私ですが、青天の薬師岳はここ6年の悲願。

 

そんな薬師岳からの眺めは格別。

これだけのカール群は見たことないかもなぁと、北薬師岳方面の景色にうっとり。

人はいつ死ぬか分からないからね、今日来れてほんと良かった。

 

北薬師岳の向こうには立山や剣岳が見えるはずなんだけど、残念ながら雲の中。

いつの日か五色ヶ原から薬師岳を縦走するときに取っておきましょう。

 

赤牛岳が近い!

赤牛岳から見た薬師岳もめちゃくちゃ近かったからね、その時も薬師岳への思いが強くなったわけです。

 

 

赤牛岳が分かりにくいので山座同定してみました。

新穂高温泉からワンデーレッドブルしちゃう人もいるけど、自分は三俣にテント張って2泊3日で歩いたよ。それでも必死だった(笑)

 

ちょこんと尖っているのが水晶岳。

分かりにくいけど奥にも稜線があって、ちょこんと頭を出してるピークが野口五郎岳。

 

山ではよく見かけるキアゲハ。

山頂でご飯を食べながら寄ってきた人懐こい奴。

晴れてくれたし、満腹になったし、至福の時間。

 

30分ほどのんびりすごしてるとガスってきてしまった。

ほんと、ベリーベストなタイミングで山頂に立てたことに感謝だよ。

今年の運は使い切った感じ。

 

この2週間後に登った大滝山でも山頂で晴れてくれて同じことを連発しましたが。。

 

凍える下山

さて、帰ろう。

下山ルートもガスが覆い、風が冷たくてレインウェアが無かったら凍えてたな。

 

おのれ〜、ぬかったわ。

手がやばい。

猛暑の8月、手袋まで気が回らなかったわ。。

 

それにしても薬師岳の圏谷群はスケールが大きい。

登ってる時は必死で気付かなかったからね、下山では違う景色を楽しめる。

 

 

もとい、ガスまみれで景色見えないやん。

 

しかもザレ場の下山は気を抜いた瞬間ズルッと滑るからすでにおっさんの足はプルプル震え出した。

さっきから寒いとかプルプルとか、文句ばかり言ってるけど、ようやくいつものサバイバル登山が幕を開けたのだ。

 

 

手袋を忘れた私ですが、ハーフパンツにしようかぎりぎりまで悩んだ末、長ズボンにしたのはほんと大正解だった。

やはり夏の登山では山と道のLIGHT5ポケットが一番だなと改めて思ったよ。

 

薬師岳山荘が見えてきた。

下山は早いなぁと思える日もあれば、どんだけ登ってきたんだとうんざりする日もある。

今日は後者です。ほんと呆れるほど登ったよ。

 

 

振り返る薬師岳への登り。

薬師岳山荘の標高2701m。山頂は2926m。

ここの登りが標高差225mもあるなんて、見ただけじゃ分からないのだ。

 

槍ヶ岳が見えたり、隠れたり。

ずっと目で追いかけてしまう。

 

こういうガスが垂れ込める景色も山らしい。

 

指はかじかみ足はプルプル、景色ガスガスのお手上げ状態。

 

お花畑とクマタカ

突然ですが、トウヤクリンドウから秋の知らせが届きました。

 

 

その一方で夏の花のタテヤマリンドウもちらほら。

8月中旬の山は夏と秋が同居している。

 

 

チングルマの森。

さすがにチングルマの紅葉はまだ先。

今日もカメラは富士のX100V。コンデジだとスマホみたいに花の下に滑り込ませて撮影できちゃうのは大きなメリット。

ファインダーもあるし、実に登山向きのカメラだと思う。

 

振り返った貴婦人はまたも晴れてきた。

 

 

これまで何万人というハイカーが貴婦人に浮かれて歩いてきたであろうトレイル。

貴婦人がどんなものかも知らずに。。ふっ。

俺は知っている。

 

 

登りで通過した時は花を閉じてたニッコウキスゲも花開く。

 

 

昼になって夏雲がもりもり湧いてきた。

夏アルプスって感じだなぁ。

 

そんな夏雲の中に浮かぶ鼻くそみたいな黒い点。

ピーヤーピーヤー!

と鳴くのを見ていたら、その鳴き声に呼応してもう1羽が飛び立って、突然のランデブー飛行を始めた。

 

 

翌日、トリミングして野鳥の会の知り合いに

「これなに?トンビ?」

と送ると、

すかさず「クマタカだね、120%トンビではないよ」と返事あり。

いやぁ、好きっていうのはすごいよ。

なんで見分けられるのか、あたしにゃさっぱり分からんよ。

 

ちなみにですが、北村匠海と眞栄田郷敦も見分けられません。

 

キノコを判別できる人も尊敬します。

Googleさんが言うには「ウスタケ」という種類らしくて、特徴は食べると吐き気を起こすとのこと。

毒キノコやないかい。

 

薬師峠キャンプ場から太郎平へは登り返し。

もう失神しそうです。

こういうアップダウンがあるから累計で1800m以上も登ることになるのね。

 

イワショウブに夢中なマルハナバチ。

高山植物の受粉では貴重なハチなんだそうです。

ええ、ぜんぶGoogleの入れ知恵です。

 

太郎平小屋と物価高

太郎平小屋が見えてきた。

山の中で赤い屋根ほど目立つものはないね。

雪が積もればなおさら。

 

これまであまり思わなかったけど、水晶岳って良い山だな。

山頂は狭いし、水晶小屋の力汁は美味かったけど山としての印象は薄いという感じだったよ。

こうやって徐々に愛着が深まっていくのかもしれない。

 

 

ここからの下山が尋常じゃなく長いので、しっかり糖分を補給しておく。

おみくじハイチュウで「ハイパー大吉」ゲット。

 

ツンツン。

折立まで遠すぎるんでね、またここに来ることがあるか分からない。

だからしっかり記憶に焼き付けておかねば。

 

 

太郎ラーメンが並1500円!大盛り1800円!!

こんなに高かったか?

 

6年前の自分のブログを読み返してみると、なんと太郎ラーメン並が1000円!

なんと500円の値上げ。値上げ率は驚愕の150%!

それでも飛ぶように売れてた😆

もう俺は絶対に手が出ないわ…。

 

ちなみに宿泊は素泊まり8000円、夕食付き12,000円。

うん、まあそれぐらいだろうなという値段設定だけど、やっぱり自分はテント泊しか選択肢はないかな。

 

長い長いサウナロード

さて、折立を目指して下山を再開するけどさ、

登り返しばかり!

 

 

悲しいけど登らないと帰れないんで必死です。

 

ちなみに前方を歩くのは歩荷さん。

太郎ラーメンの値上げにしこたま驚いたけど、真夏の歩荷さんを見ちゃうと値上げも仕方ないのかもしれない。

 

ベニヒカゲが4〜5匹群れてたよ。

よく見かける蝶だけど、天然記念物の高山蝶です。

 

有峰湖が近づいてきたように見えるけど、ここから長い長い樹林帯が待っているんです。

 

13時。

この時間に登ってくるハイカーが苦悶に満ちた表情で登ってくる。

1日で最も暑い時間帯にテント泊装備で登ってくる人はほんとタフだよ。

 

 

キベリタテハ。

これもよく見かけます。実のところ高山蝶ではないらしいのですが。

 

 

縄文杉ばりにぶっとい木まで戻ってきた。

ここから折立キャンプ場にかけて熊との遭遇率が格段に上がるポイントとして知られている。

前からやって来るのはハイカーとは限らないのだ。

とはいえ疲れすぎて熊に気を払ってなどいられないのが正直なところ。

 

 

アラレポイントまで来た。

少しでも熊の緊張から解放させようという気遣いなのかもしれないが、ちょっと待ってほしい。

 

アラレちゃんの向かいの木にしっかり「んちゃ!」と言わんばかりに熊が貼られ、ほとばしる緊張感。

いくら人に慣れたアーバンベアだとしても、野生動物なんていつ襲いかかってくるか分からない。

やはり野生動物には出くわさないに限る。

 

緊張の時間をがさつに歩いて、なんとか雪山で遭難した愛知大学生の慰霊碑の十三重之塔慰まで戻って来た。

 

14:10

折立キャンプ場に下山完了。

ヘトヘトのグダグタです。

 

 

今から軽自動車で東京まで運転して帰る体力が果たして残ってるのか怪しいけど、とにかく心ゆくまで薬師岳を楽しんでやったぞ。

貴婦人、ありがとう。

 

振り返って

日本全国にある「薬師岳」ですが、最も有名なのがこの北アルプスの薬師岳。たぶん鳳凰三山の薬師岳が2番目で、早池峰山の隣の薬師岳も有名っぽい。

どこが薬師岳の元祖か軽く調べてみたけどぜんぜん分からなかったけど、まあどうでもいいですね、そんなこと。

ちなみにAIによると最も多い山名は「城山」らしいです。

 

さてさて、願えば叶うもので、山頂ではぎりぎり晴れてくれるという奇跡。

すぐに真っ白になってしまったけど、わずかでも素晴らしい景色が見られ、忘れられない夏の思い出になりました。

 

季節は巡る巡る。いつもこんなことを言って今しかない季節を慌ただしく追いかけてる気がします。

気付けば足元にはリンドウが咲いてすぐそこに秋が来てる。季節が歩みを止めない以上うかうかできないぜー、くそっ。

アホですか?ええ、アホです。

ではでは

 


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