どもっ。やっほっほ亭です。
今回は群馬県の裏妙義に登ってきました。
そしてこちらが裏妙義名物、丁須の頭(ちょうすのかしら)。
見たまんま「丁」の形をした妙義きっての最難関ポイント。表妙義の「鷹戻し」も有名ですが、それに比べると鎖場の距離が短く簡単そうに見えますが、オーバーハングしてるため最初の一歩目の足場確保が難しく、多くの方が妙義の中で最難関に挙げる危険度マックスなピークなんです!
高いところが苦手で吊橋すら怖くて渡れない自分が、無謀にも国内屈指の岩稜に挑む、涙あり笑いあり失禁ありの物語。
果たして丁とでるか半とでるか?
どうぞ暖かく見守ってください。
さて、まずは恒例だから軽く裏妙義のことを紹介するぜっ!耳かっぽじって良く聞きな!
裏妙義登山のポイント
①丁須の頭、チムニーなど難所の連続
②表妙義と浅間山の大絶景
③ヒルがでるため3〜4月、10月〜11月がお薦め
とまあ3点ほど書きましたが、難所は丁須の頭だけじゃなくて、稜線に這い出るとひたすら難易度が高い鎖場の波状攻撃で息つく暇がない。ひたすら地獄!もうね、ほんと馬鹿な山です。表妙義よりはるかに馬鹿っ!
途中から疲れて鎖を持つ手がプルプル悲鳴を上げたけど「絶対に離さない!」と泣きながら鎖にしがみついてきました。
鎖場が好きな人にはたまらないんだろうけど、、限度ってものがあるでしょう。マジでこの山はぶっ飛んでた。。
でもね、、春になると霞の影響で山頂からの景色にガッカリ、なんてことがよくあるけど、岩稜なら景色抜きで楽しめるからこの時期はお薦めです!それに目の前にはどんなに霞んでても関係ない近さで日本三大奇景の表妙義がそびえてるんだから絶景が約束されてる訳です!
それと夏になるとヒルがうじゃうじゃ出てくるらしいから登るなら春先か晩秋が良いです。
ところで、裏妙義と表妙義の位置関係がいまいち分からないという方もいると思うので簡単に説明します。
バンクシーは超えたな!ゴッホも超える印象派!ペイントで1時間もかけて書いたんだからちゃんと見てね!!
で、表妙義と裏妙義を中木川が隔ててるのが分かっていただけましたか?これらの総称が妙義山です。
妙義山は赤城山、榛名山と共に上毛三山の一つです。妙義山塊の最高峰は裏妙義の谷急山で標高1,162m。丁須の頭は1,057m。赤岩、烏帽子岩などからなる急峻な岩稜です。
さあ長くなりましたが、果たして丁須の頭には登ることができたのカシラ?
恐怖の岩稜に果敢に挑む中年親父の姿に涙が止まらない、感動の山旅の幕開けです!
いざっ
アクセス
旧国民宿舎裏妙義
・住所 群馬県安中市松井田町五料
・妙義湖を過ぎてしばらく進んで右折したところにあります
ルートとコースタイム
■2019年3月2日
国民宿舎裏妙義⇒(185分)⇒丁須の頭⇒(50分)⇒赤岩⇒(50分)⇒三方境⇒(95分)⇒国民宿舎裏妙義
標準コースタイム:6時間20分
■活動距離7.8キロ
■累積標高上り1,050m
裏妙義登山 本編
旧国民宿舎裏妙義から丁頭の頭へ
裏妙義の登山口がある旧国民宿舎裏妙義への移動中、高崎市内のだるまのふるさと大門屋の前を通過します。
国道18号のだるまが並ぶ景観は以前から気になってました。
もうつぶれてしまった国民宿舎裏妙義に到着しました。
トイレは3月まで閉鎖されてるので要注意です。
国民宿舎の裏には裏妙義の山々。丁須の頭はここからじゃ見えないんですね。
それにしたって見事な快晴。こんなに晴れるなら平標山で雪山登山も良かったなと少し思いましたが、この日上越方面は強風だった模様。裏妙義は標高も低いし風の影響はそれほど受けないってのが有り難いです。
裏妙義登山十箇条!
春夏秋冬で異なる登山の注意事項が記載されてます。
まず、春!!
山菜取りは登山道からあまり離れないようにしよう!
いきなり登山の事じゃないのか!ラジャっ!(*^ω^*)
夏!
林の中は見通しが悪いから登山道を外れないように歩こう
夏じゃなくてもな!ラジャだ!(‘ω’)ノ
秋!
秋はつるべ落としを忘れるな!
おお〜。意味が分からんかったけどなるほろ、井戸の水を汲む道具をつるべと言って、日没後急速に暗くなる秋とつるべが井戸に落ちていく速さを重ねた秋の季語らしいぞ!
覚えた!( ..)φメモメモ
冬!
凍った岩場は死と紙一重!
ひー!( `ー´)ノ
今日のコースを紹介するぜ!
国民宿舎から籠沢コース(こもりさわ)で丁須の頭→チムニー→赤岩→烏帽子岩→三方境→国民宿舎。
チムニー?おむつみたいなとこだな(そいつはムーニーだよ!)
なんにしてもこの後チムニーが何たるかを思い知る事になる。
さあ全行程のコースタイム6時間20分。
スタートが遅いから谷急山(やきゅうやま)は敬遠します!
あ、そうそう。裏妙義で見ることのできる鳥が紹介されてました。
ここに来る途中、たくさんバードウォッチングしてる人がいたけど、見るからにイカツイ土建屋って感じの人がバズーカみたいな望遠レンズで鳥を狙ってたのがかなり意外でした。
ありゃ普段は女湯狙ってるな。。
籠沢(こもりざわ)ルートです。「篭沢」になってますが、「籠」の方がスタンダードの様です。
林道で登山口まで移動します。ドキドキしますね。
いよいよ登り始めます。最初から岩場という訳ではありません。
歩きやすい登山道を花粉をスーハーしながら標高を上げていく。ウオーミングアップで花粉まみれだぜ。
右を向けば岩稜に穴が空いてるのが見える。
きっとあの穴を目指す変わり者もいるんだろうな。。
す、杉花粉に殺される!
ちょっとずつ妙義らしくなってきました。ここら辺からちょいちょい鎖もでてきます。
行く手を阻む岩を雑な鎖さばきで越えていきます。気持ちはオラオラ系です。
こんな開放的なちょっとしたルンゼに出ました。ここまで来ればもう杉の恐怖に怯える必要はないし、そろそろウオーミングアップも終わりと言った感じ。
つか、ウオーミングアップどころじゃないぐらいに暑い。冬山の感覚でタイツ履いてきたけど必要なかった。他に登山客なんて周りにいなかったからここでパンツ姿になってタイツを脱ぎました。表妙義だとそこそこ登山客いるから難しいかもです。
ビバークできそうですが、炭焼窯の様です。
うっかり寝てたらコンガリ焼かれてしまうことでしょう。
本格的なルンゼらしくどんどん狭まってきた。
ハッハッハー、丁須の頭待ってろよー!
更に狭まり最後は急斜面の鎖場。あのてっぺんを目指すぜ。
振り返ればまさかの横川の釜飯!
登りきったら丁須の頭がドーンと出てくると期待してたけどちょっと様子がちがう。こっちはバツ印だらけで登れないし。
ここかよ!!
すげぇとこ登らせるな。
後で知ったのですがここは下り専用のルートで上り用は別にありました。
まあ登山客は自分たち以外に後ろからやってくる一組しかいなかったし全然OKです。
見えた!とうとう丁須の姿をとらえた!
や、やばい。かなりやばい奴だぞ、こりは。
近づけば分かる。
ハンマーの形をしたコイツに登る前から鉄槌を食らった気分だす。。
丁頭の頭にアタック
早速取り付いてみる。ここまで来るだけでも超怖かったのに、果たしていけるのか?
見よ、この絵に描いたへっぴり腰を。いい歳の男があがく姿に哀愁さえ感じる。
なぜだろう、いま写真で振り返っても涙が止まらない。
さあ、登れ!ぐいっと体を引きあげろ!
こ、怖い!
「怖くてオシッコ漏れそう。もう無理!」
丁須の頭に立てないことは予想していたものの、まさか肩に手をかけるのが精一杯とは予想できなかった。あまりに早いギブアップに開いた口が塞がらない。
「ヒー!足がすくんで、とても上がれそうもない!ヒー」
叫び声がこだまする。
本能が「ヒー!」と叫んでいる。
ちょっとカッコよく言ってみましたが、負け犬の本能が「ヒー!」と叫んでるだけです。
ちなみにこの時脳裏をよぎったのは、
「ブログじゃ写真載せずに登ったってことにしていいよね?」
だったことをここに白状する。
皆さま、全て正直に書いたのでどうぞお許し下さい。
なんと言われようと、命あってなんぼよ。弱い男で何が悪い。ふんっ!
数分前までは「ハンマー野郎待ってろよ!」とか「たぶん登れる気がするぅ〜」とか根拠のない自信を口にしてたのが全て強がりだったって事がバレた直後だと言うのに、恥ずかしげもなく居直るあたり俺も図太くなったなぁ。
まあいいじゃないの。浅間山が綺麗じゃねぇかよぉ〜。
3月初旬だってのに浅間山の雪もだいぶ減ってきたね。
そしてこっちは表妙義。春霞がひどくてもそんな影響なんか無いさ。圧巻の眺めです。
桜餅を頬張り、これから歩く赤岩、烏帽子岩の見事な景観に鼻血。ここは極楽浄土じゃ。
この翌日がひな祭りだったので、ちょっと華を咲かせようと桜餅を買ってきました。半額で売られてたというのも購入した理由の1つです。
次の2人組がこれから丁須の頭にアタックしようとしてます。
スマホを預かって下からたくさん撮ってあげました。
この方達はちゃんとザイルを持ってきてて「ビレイ緩めてー、もっと緩めてー!」と慣れた感じで声を掛けながらさっさと登っていきます。
たとえザイルとか持ってきてても目が眩んで動けなくなる俺にはとても無理だわ。。
チムニーを通過して三方境へ
預かったスマホが、いつのまにか節電モードになってパスワードを入れないと起動できなくなってしまったので「ザックのところに置いときますねー」と伝えて次なる目的地に向けて移動します。
三方境へ向かいます。
丁須の頭からは横川駅方面に下りていくルートもあるので、ちゃんと地図を見て確認しましょう。
振り返ると先程の2人組のもう1人の方は悪戦苦闘してるご様子。
しかし青空と丁須の頭。そして丁須に立つクライマー。ったく変態だぜ!もとい、絵になるぜ!
あそこに立つのは本来俺だったはずなのにな!
丁須の頭を過ぎてもこの尾根はとにかく岩場の連続です。
慎重に歩くって集中するから疲れます。腕の筋肉が早くもぴくぴく言ってます。
えっ!
突然現れました。コイツが丁須の頭に次ぐ難所チムニーです(ムーニーではない)。
20mの落差をこの狭いU字構造の隙間に体を入れて下りていくんだけど体が大きいからなかなか大変。
どんな角度で写せば伝わるかいろいろ試したかったけどそれどころじゃない。
垂れ下がる鎖の先が見えないもんね。こんなところが正規ルートなんだからさすが妙義。極楽浄土ルートです。
無事にチムニーを通過して下から見上げた一枚ですが、下からだと割と簡単そうに見えちまうのが悲しいじゃねぇか。。
通過できたからこそですが、ほんとこの山楽しいですっ!
チムニーを過ぎると今度は赤岩です。
また難しそうなところを登らされるのかとビビりますが、赤岩に登攀ルートはないので鎖場をトラバースして巻いていきます。
巻くって言ってもこんなルートなんでけど。。一旦下ります。
ずーっと鎖場です。
だんだん鎖を握る手に力が入らなくなってきた。ここは田中将大のスライダーさながらに下に落ちながら右へ曲がっていく変化球ルート。
難易度がどれぐらいかなんてもう分からないから自分の目で確かめてください。でも大キレットやジャンダルムより難しいのは確かです。
さて問題です。
ここはどこがルートか分かりますか?
馬鹿すぎです。
その黄色で描いたルートを慎重に渡りながら、赤岩の断崖絶壁を見上げる。
こんな所、登る人おるんかね?
ここは足場が組まれてるので「すっげぇ親切!」と思いました。
足場がしっかりしてたのでやっと周りを見渡す余裕ができました。
岩場が続いてるため景色はずっと素晴らしいのですが、いかんせん写真を撮る余裕が全然ない。大目に見て下さい。
杭が打たれてて足場があります。鉄筋なので多少錆びても大丈夫なんだろうけど、万が一に備えて死んでも鎖は離さねえぞと百万回呟きながら渡る。
呼吸のリズムはヒーヒーフー。毎度のラマーズ法です。
モアイ像らしき自然の彫刻が見えてきました。烏帽子岩も鎖場トラバースで巻きました。
岩場じゃないところは落ち葉のラッセル。あんまり歩かれてないんだろうな。。
あと1ヶ月もすれば新緑が山を覆うんだろうけどそんな気配全く感じさせません。
だんだん鎖場の難易度が落ちてきた感じがする。
ここまでは鎖場を突破しないと帰れないと思って泣きながら乗り越えてきたけど、なんとなく終わりが近づいてきた気がする。
急に雰囲気が変わって杉林に囲まれる。植林エリアに来たってことは、やっぱりもう鎖場は終わったんだろうな。林業の人が職場に鎖場越えてやって来るなんて想像できないもんね。
安堵した途端、乾燥してザレた斜面で2度も滑って泣きを見ました。
ここにも鎖を設置してほしい。
三方境に到着しました。楽しかった鎖場はもうおしまい。
強がりじゃなくて、半分は楽しかったというのが本音。残り半分はもうギブアップ!
今日は腕の筋肉がもう限界だけど、次は妙義山最高峰の谷急山に登ってもいいかもです。
下山開始
国民宿舎への下山は危険箇所は特にありません。気楽に歩いてたら派手に滑って尻もちをつきました。靴は横が破けてるしソールはツルツル。そろそろ靴を買い替えなきゃです。
林道に到着しました。
ザレて滑るから、急坂ではなるべく踏ん張らずに小走りで駆け下りて下山しました。
シューズ買い替えかぁ。痛い出費だな。
帰りに高崎市にある食の駅に寄りました。
道の駅ではなく食の駅ね。
以前、高崎市ともめて一旦営業を停止した事があるそうです。
ご当地名物の下仁田ネギです。
他にここら辺の名物と言えば横川の釜飯と焼き餅。焼き餅を探しに立ち寄ってみたのにここでは売ってなかったです。
群馬はうどんも美味しい所です。半額だったのでうどん3玉、ついでに蕎麦も3玉購入。
炭水化物フィーバーです。
帰ってすぐうどん3玉食べました。ペロリです。もっと買えばよかったと軽く後悔しました。
お陰でこんな体型になっちまったじゃねぇか。うふっ
振り返って
登山用の靴がそろそろ寿命です。2週に1度のペースで出番が回ってくるスポルティバのトレランシューズですが、約2年も使えたのだから上出来でしょう。
下山後はちゃんと手入れして大切に扱ってきたので愛着たっぷりですが、引退後はタウンユースで使う予定です。
新しい靴の出費は痛いけど、いくつか気になる登山ブーツがあるので、その中から少しでも安い物を探そうと思ってます。
物を大切に使うというのはとても大事ですね。物に溢れた日常を送ってるとつい忘れがちです。
表妙義は全部歩いたから
「次は裏妙義にでも行ってみるか〜」
と軽い気持ちでフラッとやって来たけど丁須の頭は格が違いました。
怖くても最初の一歩を踏み出せる強い人じゃないと丁須には登れないと思います。自分の様に丁須の肩にタッチするのがやっとの軟弱者にはとても無理でした。
今握ってる鎖が切れるかも。足場が崩れるかも。ああ俺の番で耐久性の限度を迎えたらどうしよう!
そんな精神状態で下を覗いてしまったらダメでした。
本能がヒー!
軟弱者に鉄槌を下す山でした。
ではでは