他人の曲をカバーして、どうにか自分の味を出そうと大げさに溜めを作って歌ったり、裏声で歌ってみたり、そんなアーティストが嫌いです。
マックのBGMに流れてきたカントリー調の「イマジン」がね、そりゃもう気持ち悪くて耳をふさいだわけです、ええ。
他人が心血注いで創作した曲を、ライブでちょこっと演奏するならまだしも、変なアレンジを加えてアルバムで発表してしまう行為ってどうなんでしょ?
とにかくそんなイマジンが聞いてられなくて、ヘッドホンでスティービーワンダーのライブ版を流したんだけど、もはや原曲って何?ってほどのアレンジに吹き出したよ。
あ、すみません、スティービーが大好きなんです。
しかし改めて驚くのが、名盤「心の詩」と「Talking BOOK」って同年に発表してたんだね。
まさに湯水のように湧き出る才能。いやはや、天才とは恐ろしい。
イマジンのせいで最初から脱線しました。
さてさて、中央アルプスの将棊頭山(しょうぎがしらやま)に登ってきました。
今回登ったのは2月23日で、実はその2週間前にも訪れてて撤退してます(笑)
その時は大雪警報の翌日ということもあって、新雪ズボズボ、風ビュービュー、そしてガッスガス😭
とにかく極寒という悪条件だったからヘタレな自分はとっとと撤退したわけです。
もっと言えば、2年前の1月にも登りに来たんだけど、前日の大雪で登山口までのアクセスすら難しいそうだなぁと、陣馬形山に行き先を変更したこともあるんだよね。
やはり厳冬期のアルプスって天気が安定しないから難しいなぁとつくづく思いながらも、懲りずに3度目の正直というわけで将棊頭山をえっちらおっちら登ってきたよ。
これを背水の陣というのか。
これで登れなかったら登山やめてやる!
ぐらいのつもりで山頂を目指ししてきたわけです。
実はこの日も大雪警報の翌日で天候は不安定だったんだけど、自分が稜線に出たタイミングで少し風も弱まり、青空ものぞかせ、この時期にしてはかなり恵まれた方だと思う。
死ぬほど寒かったけど😭
標準コースタイム
■2025年2月23日 ※カッコ内は標準コースタイム
ゲート前駐車場⇒(30分)⇒桂小場登山口⇒(170分)⇒大樽避難小屋⇒(100分)⇒茶臼山分岐⇒(30分)⇒将棋頭山⇒(30分)⇒茶臼山分岐⇒(70分)⇒大樽避難小屋⇒(145分)⇒桂小場登山口⇒(30分)⇒ゲート前駐車場
コースタイム:10時間5分
距離:16.9㎞、累積上り:1,705m
将棋頭山 雪山登山
ゲート前駐車場から登山開始
2週間前にもやって来た桂小場登山口近くの駐車場。
この時期は桂小場登山口まではゲートが下りて行けないから2キロほど手前の駐車場からスタート。
振り返れば南アルプス。
この界隈に来るといつも思うけど、伊那市民は東に南アルプス、西に中央アルプスの大絶景が毎日見られちゃうからね、こんな贅沢なところはないよ。
登山が嫌いだったら地獄みたいなところだな。
ところどころ凍ってる林道にヒヤヒヤしながら工事現場に到着。
ここまでは除雪されてたけど、この先から雪道が始まる。
桂小場登山口
2キロほど歩いてやっと桂小場登山口に到着。
歩き始めた時は寒ぃ寒ぃ言ってたのに、今は暑ぢぃ暑ぢぃ。
ここの東屋ですかさずシェルとオクタを脱いで、早くもベースレイヤー1枚という常夏スタイル。
トレイルを登り始めると朝日が眩しく、2月後半にもなれば日が長くなったことを実感。
ちなみに自分は東京より50分ほど日の入りが遅い福岡と東京を何度も行き来してまして、2月後半ですでに18:30になっても明るい福岡の空を見ると何度でも驚ける。
水場ではぽたぽた落ちたそばから凍っていく。
さすがに大雪警報の翌日の今日は風も強いし気温も低い。
稜線は薄いガスが幕を降ろす。
アレほんとに晴れるの?
自称慎重な自分は山の天気はぎりぎりまでチェックするんだけど、こうなった以上は登ってみてあとは運任せだ。
今は6時40分ぐらいかな。
神さま、今回が3度目の正直なんです。
なんとか晴れておくれー!
とは言え、一度稜線に張り付いたガス汚れはオキシ漬けでもしない限り取れない。
あのモクモクの中は漏れなく強風、横殴りの雪だろうなぁ。
5時50分に駐車場に着いて、6時に林道を歩き始めて、登山口には6:30頃着いたのかな。
アスリートハイカーなら9時スタートでも大丈夫なんだろうけど、自分はこれぐらい余裕がないと不安。
野田場という馬返しポイント。
ここまで桂小場登山口からコースタイムで100分。
2週間前にも来てるから胸突八丁までは端折りながら書きます。
この山は大樽避難小屋まで急登ポイントはないんだけど、まあひたすらにこんな感じでだらだらと登っていく感じ。
水からじわじわ茹でられるカニみたいに、気付いた時には足は売り切れなんてことになるからとにかく序盤はゆっくり。
白川分岐を通過。
体力を温存させつつ、絶対に撤退しないぞとコースタイムをちょいちょい気にしながら登っていく。
ちなみに山頂のタイムリミットは13時に設定してます。
そして右から風が吹き付けるポイントに差し掛かる。
森がシラビソに変わったし標高は1,900m近いと思う。
大樽避難小屋が2,094mだからこの辺の自分の嗅覚は正しかった。
大樽避難小屋
かなり端折ったけど、大樽避難小屋に到着。
ここから先は急登。
休憩ポイントも減るから、避難小屋でしっかり栄養補給しておく。
ローソン倍増化計画、全力で応援してますっ!
47パーセント増量っていうのが企業努力のギリギリ感あるし物価高のご時世を鑑みれば好感度は爆上がり。
そう、今日は山頂から思いっきりお米の価格高騰に悲鳴をあげるのだ。
本当に悲鳴をあげてる人なんて見たことないからね、具現化するぜ。
自分みたいに意思薄弱な人間は避難小屋でのんびりすると歩く気力が削がれ「もういいんじゃね?」ってすぐなっちゃうからとっととリスタートじゃ!
分かってたことだけど、太陽がガスの中に隠れてしまった。
だが諦めぬ!
絶対に晴れると信じないとやってらんない趣味を持ってしまった宿命。
ノーアタックノーチャンスだ!
鬼畜な胸突き八丁
避難小屋から上は「胸突き八丁」という鬼畜ゾーンに突入する。
ここで一気に標高差500m以上を上げるわけだから、おっさんは一気にペースダウンするわけです。
下を向いてひたすら登ってきた。
そして右を向けば青空が!
期待しちゃってよかですか?
格段に雪の量が増え、昨夜降ったであろう雪がシラビソに積もる。
やべー超ブラボー!
とすかさず新兵器アクションカメラInsta360の「ACEPRO」で動画を撮ろうとしたらまさかの電池切れ。
マジー?
しかもこれ、まさかの放電じゃね?
−20℃対応って聞いてたのにぃ!
富士のX-T1は−10℃対応だけどまだ元気に動いてるぞ!
10年前の年寄りカメラに負けてどうするんだ!くそっ!
ちなみに、シラビソに積もった雪はこんなもんです。
そして前回撤退した時に撮った写真がこちら。
ぜんぜん違うわ。
そりゃね、踏み抜きに疲れ切って撤退するわ。
その時の様子がこちら。
ヘビー級だと簡単に埋まるわけです、ええ。
これだけサラサラの雪だとワカンなんてさっぱり役に立たないからね、
温泉を堪能して帰ったよ😁
すごい速さで雲が流れていく。
稜線の風は半端なさそうだ。
左を向けばいよいよ将棊頭山の稜線も見えてきた。
よし!よし!絶対に山頂行ける(確信)。
ここで雷鳥の調査に来てた方々とすれ違ったんだけど、
「稜線は強風で視界も悪いので、どうぞお気をつけてください」
と仰っていただきました。
なんかすごく品のある言い方で、明らかに自分にはない崇高さを感じたし、なにより学術的な調査という仕事に憧れるじゃない。
自分ができるのはせいぜいパワハラ調査ぐらいなもんだな。
そうです、まいどまいど被害者は私です😁
自分曰く「今回も上司の判断ミスを押し付けられましてね、現場からの叱られ役として矢面に立たされてもう毎日やってられまへん」とのこと。
ふむ、いつものこと!帰ってよし。
嫌な時期なんてね、意外とそう長くは続かないもんだからね。
今の上司が異動するのもそう遠い将来では無いだろうと祈るよ。次の上司から更なるパワハラを受けるかもだけど(笑)
ちなみに、数あるアクションカメラの中からInsta360のACEPROを選んだ決め手は画質の良さです。
そもそも動画にはあまり興味が無かったから、中古で程度の良さそうなのを探してたんだよね。
定番のGoPro、DJIのOSMOAction、ACEPROの3種で検討したんだけど、まあどれも似たりよったりだったけどちょっとだけ絵が鮮やかだったんだよね。
静止画なら撮ってて楽しいカメラを選びたいところだけど、動画になると話は別で便利さで選んだわけだけど…
これからいろいろ試して早く慣れるんだ!!と思ってた矢先に、バッテリーなんか上がってんじゃねーよー、くそー。
樹林が薄れ、空の景色が開けてきた。
強風から自分を守ってくれていた樹林帯にとうとうサヨナラをする時が近付いてきた。
雪もどんどん深くなってくるから踏み跡を外すとえらいことになる。
将棊頭山の稜線が見える。
左のぽこんとしたピークは将棋ノ頭で、将棊頭山から少し標高を下げたところにあるピーク。
南アルプスは中央アルプスに比べて晴天率が高い。
写真じゃ分かりにくいけど南アルプスにも例年以上に雪が降ったらしく、今年の雪が多いのは北陸や東北に限った話ではなさそう。
麓の伊那市の景色も見渡せるようになった。
前日、雪は舞ったみたいだけど市街地はまったく積もってない。新潟や東北は山から見下ろす下界がどこまでも真っ白だけど、長野県南部は例年こんな感じなのかもしれない。
さあ、森林限界までもう少し。
この山は胸突き八丁が急なだけで危険箇所はないし、全体的にコースタイムが長いだけで雪崩の心配もなく比較的安全なんだけど、稜線の爆風だけが心配。
稜線は爆風
おーい、青空どこ行った?
やっと念願の稜線に出てみればついさっきまでの晴れた空はいずこへ?
まあここまで来たら確実に山頂までは行けるんだど…、ちょっと遅かったな😭
南アルプスは相変わらずの青空ですなー。
うらやまぴー。
目まぐるしくうごめく雲。
そして予想していた通りの爆風。
カメラを構えてると横殴りの風によろめくほど。
下山後動画見てみたら風切音しか聞こえなかった(笑)
人が生活することのできない世界。
それにしたって指が冷た過ぎてカイロを失くしたことが悔やまれる。
楽天市場で買い物した時にメールマガジンのチェックを外し忘れた時と同じぐらい悔やまれる。
たまに日が差せばファンタジー。
一瞬たりとも止むことのない爆風が吹きつけるけど、陽のあたる場所はブラボーだ。
強風で雪は飛ばされてしまうから表面だけが白い。なのでわかんよりアイゼンのほうが断然威力を発揮する。
とはいえ今さらこんなところでアイゼンに換装できるはずもない。後悔ばかりだ。
さーて、3度目の正直でやっと山頂を捉えた。
難しい山でもないから本来こんなにチャレンジする必要はないんだけどね、、
真冬の難しさと縁がなかったとしか言いようがない。
雲がぐるぐる回る不思議な光景。ここまで長い距離を歩いてきたからこそ見れる絶景だ。
隣の木曽駒ヶ岳へはバスとロープウェイで楽して登れるけど、趣味の時間を大事にしたいからこそ、便利さばかりを求めてはいけない。
自分をいかにドキドキさせてくれるかを大事にしたい。
麓は一見平和そうに見えるけど花粉という修羅の世界。
ここに長居はできないけどあそこに帰るのも嫌だな。。
さすがに足が上がらなくなってきた。
久しぶりの冬装備は重いし、コースタイム長いし、ここまで標高1,700mも登ってきたし、おっさんの限界を軽く突破。
よく頑張ったよ。
あともう少し。
息が苦しくて何度か立ち止まったけと、その瞬間から体が凍り始めるから泣きながら歩き続けてきた。
それももうフィナーレだ。
後編へ続く