おっさんが泣きながら走る時間です。
上の傘マークが並ぶ画像は広告なんかではなくレース当日の天気予報。
それもアメダスレーダーでは濃い青色とかではなく黄色で表示されちゃうという記録的豪雨なのだ。
佐賀県民の皆さま、
並びに、さが桜マラソンにエントリーされた全ての皆さま、
ごめんなさい。
強烈なボンビー風を吹かせ、大雨を呼び込んだのはあたしです。
ほんとごめんなさい。
この時期の週間天気って変わらないんだよね。
今回は中止だろうなぁ。
中止になったら七輪で鳥肉でも焼こうかなと、レース2日前にルミエールのお肉売り場をうろうろしてたんだよね。
雨の中走りたくないからね。着替えや替えの靴とか荷物が増えるし、体温低下も怖い。
そして案の定、大会運営者よりこんな通知がきた。
当日の朝にコース状況を確認してAM5時までに実行の可否連絡を行います、というもの。
そんなの当日まで待たんでええよ。
ほれ、はよ。
はよ連絡よこせ。
中止じゃろ?
もうマインドは完全に中止の連絡待ち。
そして当日の朝、4時50分に起きると外から地面を叩きつける激しい雨音が聞こえる。
もうあたしの予想は確信に変わったね。
大会ホームページに中止が発表されていることを確認すると、
嘘でしょ。
おいおい、嘘だろ?
うっそマジムリだって!!
こんなにザーザー降ってるのにぃぃぃいいー!!!
我がドイツの科学力は世界イチィィィィイイイイ!!(シュトロハイム)。
まさかの開催。
今さらどうやってモチベ上げりゃええのん。
ムリムリムリムリムリ×100倍界王拳。
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァー!時よ止まれTHEワールド。
とにかく予約していた博多発佐賀行きの特急に乗るために急いで準備しなくては。
雨が降りしきるなか中、自宅を飛び出した。
ふー、つか前段長いよ。いつものことだけど。
もう既に書き疲れてきたもんね。
ちなみにこれが博多駅前。
外国人観光客が100均で買ったであろうポンチョを羽織って大きなスーツケースを引いてる姿が痛々しかったな。
特急かささぎに乗って佐賀駅へ。
周りは虚ろな顔したランナーばかり。
博多から二日市、鳥栖、新鳥栖を停車していく内に見事に魂が抜けた虚無なランナー達で満席。
佐賀駅に到着したけど、雨が止むはずがない。
今からでもいいからやっぱ中止って言っておくれー!!
ギャルのパンティーおくれー!!(鳥山明追悼)
佐賀駅前に設置されたイベント会場。
スタッフはとても明るく声をかけてくれるけど、どうしよもない程どよよーんとした空気が垂れ込め、だれも参加していない。
雨の佐賀駅。
ここから大会会場のSAGAサンライズパークまで約1.6キロを歩くんだけど、駅前の歩行者用の青信号がびっくりするほど早く切り変わるから待ってる間に濡れる濡れる。
ズボンはおろか靴下までびっしょりだ。
レース用の靴はバッグの中に入れてあるから大丈夫だけど、靴下は本番用を履いてるからもはや手遅れ。
足が濡れてモチベが上がる輩はいない。
周囲のランナーからも中止にしてほしかったなぁという会話が聞こえてくる。
会場に着いてさっさと着替えたものの、ぎりぎりまで屋根があるところで待機したいのがランナーの心理。
もう濡れるのは確実なんだけどね、体温低下は最小限に抑えたいという一心だったな。
サバイバルになったなぁ。。
ほんと完走できるのか不安で仕方ない。
整列して濡れる。
整列時間ぎりぎりで並んだけど、スタートまで20分もあるからね、そりゃ濡れるわけよ。
ポンチョを羽織ってるけど、靴は無惨。
ちなみにあたしゃ雨の日のレースは初めての経験。
靴ズレ防止でプロテクトJ1を足の指や股や脇を中心に塗りたくってきたけど、相当タフなレースになるなと緊張して待つ。
2024年3月24日(日)AM9時。
とうとうスタートしてしまった。
ここからの写真は無い。
正確にはゴール直前の40km付近まで無い。
マラソンとは己との戦いだと思っていたけど、ぜんぜん違った。
100%天気との戦いだった。
キャンドゥで買った100円ポンチョは15km地点の給水エリアで脱ぎ捨てた。
もうこの時点でポンチョの下のランニングシャツは雨と己の汗でびちょ濡れ状態だったから着てる意味がない。
それに既に多くのランナーがポンチョを脱ぎ捨ててたしね。
それでも計算違いだったのは、多くのランナーが半袖シャツを選択してたのに自分は長袖だったこと。
袖がね、重い。
呼吸まで重く感じる。
体温低下を恐れて長袖を選択したわけだけど15km地点からたっぷり雨を吸ったランニングシャツの重さに苦しめられた。
それと、お気に入りだったミズノのマルチポケットパンツが太ももに貼り付いて邪魔で仕方ない。
スースーハッハッ。焦ったときほど呼吸が大事だと思いながらリズム良く吸う。
雨で唯一良かったのは、喘息な自分は走り始め2キロぐらいは吸えなくて苦しむんだけど、雨だと吸える。
走り始めから「今日は肺に入ってる!」と感じられて気持ちが楽にはなったよね。
さて、この重たいウエアを着てゴールできるのか。
たぶん重量は2キロちかくアップしてると思われる。靴まで入れたらもっとか。
なるほど、もっこりスタイルで敬遠してたけどハーフのタイツスタイルが正解だったのかと、この時初めて痛感した。
あのもっこりスタイルには激しい抵抗があったけど、そんなこと言ってる場合ではなかった。
だいたいこんなに雨ならポークビッツだ。
濡れたウエアがサランラップみたいに体に貼り付いてめちゃくちゃ動きにくいのにも困った。
率直に言って、甘く見ていた。
予想以上に雨の日のマラソンはタフだと思い知った。
まあそれでも速い人は速い。
こりゃ晴れた日以上に走力の差も出るなと思いつつも、最後は根性の差なんだから頑張れ!と腹をくくって走る。
20km時点でタイムは1時間50分。
ハーフで1時間55分。
この最悪なコンディションにしてはペースが早過ぎる気がする。
後半で足が持たないかもなと思いつつ、いつもの悪いクセだけど行けるところまで行って見事に散ってやる!と開き直った。
そして吉野ケ里遺跡に突入したところでスマホが鳴る。
よりによってモンベルからの電話だ。
「はい、もしもし」
あろうことか電話に出てしまう自分。
走りながら修理に出したサンブロックアンブレラの見積りが当初の価格から上がることになりますが修理しますか?という内容の電話だったんだけどね。
もう何年も使ってるしそんなに高いならもういいかなと丁重にお断りをしたんだけど、周囲の声援が聞こえたのか電話を切る際に、
「頑張ってください!」
えっ!
まさかのモンベルからの応援。
神対応(ToT)
モンベルますます好きになったぜぃ!
そんな心温まる電話の他にも、吉野ケ里遺跡では田んぼ化した箇所が何度もあって、くるぶしまで水没しながら走るという貴重な経験もできた(笑)
当ブログを読んでくださってるお方はご存知でしょうが、弥生〜古墳時代の古代史が好きな自分は吉野ケ里遺跡を駆け抜けるというのがさが桜マラソンの最大の魅力だと思っている。
桜より見どころは遺跡。
このコースをチョイスした運営者は偉い!と盛大に叫びたい。
ところがまさか田植えをする様に走ることになるとは…。
こんな残念なことはなかった。
しかし嬉しいこともあって、この吉野ケ里遺跡の出口付近にある給食コーナーでは、なんと神埼市名物の神埼そうめんが振る舞われるというベリー感激サプライズが待っていたのだ。
ありがたい、ありがたい。
これまで食べてきた素麺の中で1番美味かった。
この雨の中、沿道からはたくさん声援をもらったし、ボランティアを始めとする関係者の方々からの支えをすごく感じた。
これまで参加したマラソンの中では北九州、福岡と並ぶ手厚さ、いやそれ以上だったかもしれない。
なにより人が温かい。
福岡マラソンでは糸島に突入してからご老人たちの応援が温かかったけど、それがずーっと長く続く感じ。
佐賀はうどんも美味いし、バルーンフェスタは国内では唯一無二の壮大さだし、黒髪山サイコーに面白いし、ブラックモンブランはこぼさずには食べれないし、とにかく前から大好きな県だったけど、もっと好きになったよ。
大会が中止になってくれ!なんて、奢った考えだった。
少し前までの自分を恥じた。
雨を降らせたのは自分だというのに、どの立場で言ってたのか。本当に申し訳ございませんでした。
ここからは、佐賀のみんなに感謝しながら走ろう。
そんなことを思っていると32km地点でバテた。
突然のバテ田バテ男だ。
感謝?
感謝はしてるけどすっかりそんな余裕は無くなってしまった。
とにかくあと10キロ。
足はもたなかったけどここまで来たら根性だけだ。
どんなにペースが落ちてもぜったいに歩かない。歩いたら自分に負けだ。誓って歩かない。
そしてこんなセリフを思い出した。
「諦めたらそこで試合終了ですよ」
安西センセ〜!!スラムダンク最終巻しか読んだことないから実は知らねぇっス(T_T)
諦めたらおしまい、ヘイ。おっさんは鼻水を垂れ流しながらどんなに遅くなっても最後まで走り切るのだ。
折り返して反対車線から戻ってくるランナーが羨ましいから、こっそりまぎれてしまおうかと魔が差す。
なんとか自制して走り続けて自分もやっと折り返すと、今度は反対車線から追い上げてくるランナーとすれ違うわけだけど、その中に赤い風船を付けたランナーがいた。
「奴だ。奴が来たんだ。赤い風船」
「さらにできるようになったな!ガンダム!」
サブフォーのペースランナーだ。
猛追してくる。
マジか…。あと1kmぐらいしかアドバンテージないやん。
普通に考えれば40km地点で抜かれるな。
なんとか引き伸ばしたいけど、もう足は上がらない。
目標は完走だったけど、やっぱサブフォーしたかった。
もうすぐ残り7kmだ。
次なる給食コーナーが近付いてくる。
今度はなんと佐賀名物の丸ぼうろが待っている。
「マルボーロ!!食べたい!!」
遠くから手を伸ばして向かっていくとおばちゃんが満面の笑顔で渡してくれた。
ありがとー!!
あれ、でもなんでみんな貰わないの?
不思議に思いながら、最初の一口で理由は判明した。
たった一口で口の中の水分を全部持っていかれ、もはや砂漠。
うぐっ。ぐえっ。
飲み込めずに苦しむおっさん。
「水ぅ〜、水をくださぁ〜い。」
涙目で水と一緒に飲み込んだ。
丸ぼうろって優しい味なのに、人を殺せることを知った。
残り5km。
怒涛の給食ラッシュ。すでに満腹な自分に次なる佐賀の刺客が待ち受ける。
糖分たっぷりの小城羊羹だ。
野口健も登山中の行動食は羊羹がベストだと言ってる通り、羊羹の持つ糖質パワーは計り知れない。
前半はぜんぜん給食コーナーがなかったのに突然どうしたというのだ。
お腹は満たされても食べないわけにはいかないじゃないか。
小城羊羹、うん美味い。
予想できる安定の美味さがこれまた嬉しい。
でも少し食べ過ぎた。もだえる自分の背後に迫る赤い風船のシャア。
予想通り、40km地点で赤い風船とそれに群がる集団が追い抜いていく。
完全に心が折れた。
それでも歩かない。ぜったいに。
多布施川河畔公園を走っていると、やっと桜マラソンらしくなってきた。
これが醍醐味なのだから写真を撮らないわけにはいかない。
そうそう、40km地点もばっちり撮影。
あと2キロ。
専門学校の前でおじさんが大きなスピーカーでYOASOBIの「アイドル」を流してて完全に脱力した(笑)
40.5km地点だったかな?
食後のデザートのお時間だ。とうとう楽しみにしていた一口サイズのブラックモンブランのご登場。
スマホで撮ろうとしたら配ってくれてる女の子たちが笑顔でピースしてくれる。
でもごめんなさい。このご時世何に転用されるか分からないので顔にはしっかりモザイクさせていただきます。
ちなみに書き忘れたけど30㎞地点付近でプッチンプリンもいただきました。ごちっ!
最後の国道34号線に突入。ここからゴールのSAGAサンライズパークまでは残り1キロ。
車からは好き好んで大金を払ってなんで大雨の中を走ってんだかねぇ、という風にしか見えないだろうな。
でも分かるまい。
我々全員、この最悪なコンディションで走りきったという「踊る阿呆に見る阿呆、走らにゃ損損」的な一体感が育っているのだ。
さあ最後。
栄光のゴールだ。
よりによって肝心なところでピンボケするという間抜けなおっさんを許してほしい。
ここまで42㎞も走ってきたというのに、救いようのない話だ。
次々と芝生の上で召されていくランナーたち。
限界を超えて疲れたけどこの雨で濡れた芝生の上で倒れこむ気にはどうしてもなれなかった。
ちなみにタイムは4時間8分。何度走っても4時間は切れないんだなぁ。
北島の高級丸ぼうろをいただきました。
疲労と濡れた体で一気に寒くなってきたから早く帰りたい。
「餅が焼けたよー!!」という野太い声が聞こえる。
寒くて仕方なかったから熱々の餅がめちゃくちゃ有難かった。
他にも果実酢や生姜湯なんかも振舞われ。
いちごもご馳走になりました。
コロナが去ったことを実感するなぁ。1.5ヶ月前にコロナにかかったばかりだけど。
焚火したいぐらい寒いけど食いっぱぐれるわけにはいかない。
ボンビーの名にかけてまだ帰らないのじゃ。
今度は屋内のスポンサー展示会場へ。
ここを通らないと帰れないというのはあるけど、レース後にもらったフィニッシャータオルをマフラー代わりにして中へ突入。
JAのコーナーでは1等が牛肉というくじ引きが開催されていた。
水原一平氏のスポーツ賭博ばりに人生をかけた勝負にでた。
ちなみに2等は?と聞くと豚肉とのこと。なんなら豚肉の方が好きだ。
このブタヤロウ当たっちまえぇぇ~!!!
からっきし運に恵まれない自分が引いたのは3等の保冷袋。
まあそんなもんだ。
七輪で豚肉焼きたかったな。
週末に七輪で美味いもん焼いて食う時間が中年オヤジの1番の楽しみなのだ。
着替えで役立ったのがこれ。
因縁の東京マラソンで送られて来た記念品の中にあったポンチョ型タオル。
コロナで東京都から返金されなかったエントリー費の25,000円。すべてはそんな東京マラソン2020から始まったのだ。
ちなみにさが桜マラソンがコロナで中止になった時は約半額相当の5000円分のQUOカードで戻してくれたみたいだし、佐賀の誠意を感じる。
あれから4年も経って、ようやくマラソンが走れるようになったんだなぁと感慨深くもあるけど、、犠牲にした時間はあまりに長すぎたね。
おかげで歳を食ったよ。
おっさんの4年は大したことないけど。若い子の4年は本当に可哀そうだ。
予約した特急電車の時間まで40分もあったけど、体が痛いから早めに会場を出て佐賀駅までの1.6キロの道のりをゆっくり歩く。
途中、セブンでおにぎりとコーヒーを買ったりしたんだけど、周囲にランナーがぜんぜん歩いてないのが不思議だった。
まさか・・
シャトルバス出とったんかい!!気付かんかった!!くそっ!
めっちゃ体痛かったのに!足に5か所以上マメができてたっつーのに!
あ、でも乗客はお金払ってたから無料ではなかったみたいね。
ちょっとだけ得した。。
自分の中のリトルボンビーが、
「こういう時ぐらい金を使え」と言っている。
ではでは
最後に、大会関係者のみなさま、ボランティアのみなさま、沿道で応援してくれたみなさま、本当に有難うございました。
素晴らしい大会でした。
モチベ次第だけど2025年は晴れることを祈って参加したいと思ってます。