【山梨】身延山 さくら団子を食べに出家しな!夢見る桜と花見登山

【山梨】身延山 さくら団子を食べに出家しな!夢見る桜と花見登山

あっぱれじゃ!!

 

JOJOー!俺は物欲を捨てるぞー!!

URYyyyyyy!!!

富士フイルムX-E4がほしい、新しいレンズもほしい。頭デカ族でも締め付けられないキャップと、アルトラのオリンパスがほしい!挙げればきりがない、底なしの物欲沼。

だが、金はない。

これはいかん!

身の程をわきまえて、物欲を一旦リセットせねば近いうちに身を滅ぼすぞ!

 

そんな訳で、今回は桜の名所として名高い、山梨県の身延山(みのぶさん)に出家してきた。

 

みのぶ?JR身延線のみのぶ?そんなところに山なんてあんの?

はっきり言って、その程度でしか知らなかった身延山だけど、桜の名所なら行ってみたい!と鼻息荒めに仏門をたたいてきた。

この山にある「久遠寺」の周辺が桜の名所になってるんだけど、麓から山頂までいくつもの寺社がでてきて、山全体が神聖な場所といった雰囲気で、桜の絶景スポットが点在しているのさ。

 

身延山の山頂ではさくら団子

出家してもこれだけは食べるべし!!

ちなみに、久遠寺が日蓮宗の総本山であることを知ったのは、なんと登山当日。

これまで登った中で、ここまで信仰の山は他になかった。

桜の他にも、ミツマタが咲いてたり、今回は見つけられなかったけど絶滅危惧種のカイコバイモも咲いてるたり、宝探しをするように歩いてみてね。

 

そしてなにより、さくら団子は外せない。

物欲は浄化できても食欲は無理なのだよ。

 

身延山は標高1,153m。日本三大仏教霊山の一つ(そんなものがあったのかー)。

ちなみに他の2座は高野山と比叡山。

さあ、身を浄化し、出家登山へ参ろう。

 

ルートとコースタイム

■2022年4月2日 ※カッコ内は標準コースタイム

三門⇒(20分)⇒久遠寺⇒(160分)⇒山頂⇒(155分)⇒三門

コースタイム:5時間35分(休憩含まず)

総距離 14キロ
累積標高上り 1,215m

身延山お花見登山 本編

無料駐車場から三門へ

出家しに来たつもりだった。

世俗を捨て、仏の教えを学ぶため修行しに来たのだ。

なのになぜ、こんな浮かれているのだ。

身延山の少し手前の「さくら」さんに立ち寄って、本日のご当地スイーツ「みのぶ饅頭」を購入。

せっかく初めての身延にやって来たんだから、味はともかく、なんとしてもご当地ネタはゲットしておきたい。

結局、出家と言いつつ、山とスイーツをガチで楽しむスタイルをここ身延山でも踏襲。

もはや執着と言って良い。

 

焦ってさくらさんに立ち寄ったが、みのぶ饅頭は参道のお店でもたくさん売られてたから、そんな慌てて買う必要はなかったと後で知った。

 

身延山の駐車場に到着。

ここは久遠寺の2キロ手前になるけど、この先は駐車場渋滞が1キロ近く続いているらしい。

桜の時期、夏アルプス、紅葉シーズンはどこも混むのは当たり前。そもそも歩きに来てるのだから、2キロぐらい許容範囲。

トイレも完備されてたよ。

 

身延山までの道のりでも桜がど満開。

つまらない林道のアプローチに比べたら天国だな、と余裕の笑みで浮かれていたが、この後、修行しに来たことを嫌というほど思い知ることになる。

 

ガラガラのカフェの前を通過。

なぜガラガラなのか。

みんな修行で疲れ切って立寄る元気すら無くしてたことを後で知る。

 

身延山の駐車場は脅威の1時間待ち。

2キロぐらいゆっくり歩いたって20分もかからないんだから、散歩しちゃえばいいんだよ。

この時は強気だった。

あの時は浮かれてたよなぁーと、下山した後で知る。

 

この無料駐車場は満車だろうからと鼻っから諦めて正解だった。

 

身延山とバスタ新宿を結ぶバスもここから出てるよ。

 

お土産屋さんのニコニコ屋の女将さんぜんぜんニコニコしてないなーと、眺めながらのブラみのぶ。

商店が増えてきて、いよいよ久遠寺が近づいてきた感じがする。

 

桜が一段と咲いてるところに着けば、いよいよ身延山の入り口。

それにしても美しいぜぃ!

 

三門の桜と日蓮さんの石段

このどでかい建造物、これが「三門」。

下山では三門方面に向かって下っていくから、これが三門だと覚えておかなくては。

そう偉そうに言ってるが、最初、これが久遠寺かぁ!でけぇーー!!と、しきりに写真を撮りまくった。

これ程のデカさだから勘違いするのも無理はない。実物を見たことがある方なら分かってもらえるはず。

それにしたって桜とこの三門が実にいい感じ。

 

三門をくぐって山へ一歩!出家へと踏み出す。

そして世俗を振り返る。なんか、いいアングルだ。

ここが世俗と仏との境界。

もう向こうへは戻れない。食欲にまみれたブクブクに膨らんだ身を浄化せねばなるまい。

さあ、前を向け。

 

ここは山梨県で屈指の桜の名所。

 

前を向けば御仏へと続く、桜の参道が広がっている。

 

 

いざ、久遠寺へ。

 

わくわく。

 

 

殺す気かぁぁあああ!!

 

もはや処刑場じゃないか。

もしかして…。

これを登った者のみが桜を見られるという、獅子の子供崖落とし方式。

始まっていたのだ。

三門をくぐった時点で血で血を洗う修行のゴングは鳴らされていた。

ラーメン屋の暖簾をくぐる感覚で仏門をくぐってしまった愚かな自分に強烈な一発。

つか、この石段で完全に召されてしまうのではないか?

もはや、登る前から精神的に追い込まれている。

真の修行というのはこういうことなのか。

 

甘かった。自分はバカでのろまな亀だった。

 

日蓮教官の教え。簡単に桜が見られると思うな。

 

ゼェゼェゼェ。なんという苦行だ。

うっかりするとリアルに念仏が聞こえてきそうだ。

 

隣では観光に来たおばちゃんが「これは山登りね」と言っていたが、これが山登りなら即座に引退することをここに誓います。

 

日蓮教官の教え。簡単に桜が見られると思うな。

 

振り返った階段はまさに殺人級。

転げ落ちたらガチでココヘリするレベル。

しかし、これが出家というものだ。

毎週カレーをむさぼり続け、到達したデブの殿堂。

危うく土俵の上を目指すところだった。

 

しかし、修行にやってきた自分はまだいい。

花見にやって来ただけの観光客相手に、この仕打ちはないでしょ。

瀕死しそうなおばちゃんを憐れんで見ていたが、実はメインの駐車場から久遠寺までロープウェイが走っているのを後で知った。

 

日蓮さんの教え。お金を出せば楽に桜を見せてあげる。

 

久遠寺の枝垂れ桜

ああ、枝垂れ桜が見えた!

もはや、悟りの境地に到達。

 

苦労してたどり着いた名物の久遠寺の枝垂れ桜は、まさかの曇り空で、まったく映えないという顛末。

 

日蓮教官の教え。てんくらの晴れ予報を疑え。

 

まあ、曇っててもいい。

この枝垂れ桜、大きすぎて画角に収まらない。そのすごさは来てみないと分からないのだ。

 

苦労して登ってきた。

この世界は涼しい顔をした観光客と、屍となった観光客が入り混じる魑魅魍魎な世界。

女性の場合、かいた汗にべったり髪が張り付いてもはや落ち武者状態。

ロープウェイを使ったかどうかが、一目瞭然で判別できる仏の楽園。

 

 

眼下に桜がモリモリしてるところが、日蓮さんのお墓のある御廟所。ガンダーラとでも言っておこう。愛の国だ。

無事に修行を終えれば、永遠の春があそこにはあるのだ。

下山する途中で、うっかりあそこに立ち寄るのを忘れてはいけない。

ここ大事なポイント。

 

仕切り直しで登山開始

ロープウェイは2段構え。

駐車場から久遠寺駅までと、久遠寺駅から山頂まで。

ブルジョア達は一切息を切らす事なく、山頂まで行けてしまうという、もはや涅槃の境地。

冬の北横岳でさえロープウェイを使えなかったボンビーな自分が、ここでロープウェイに乗るはずがない。

一生、ブルジョアとは縁がないだろう。

ロープウェイなんざ使ってたら修行にならない。

さあ、存分に修行に励もうではないか。

 

日蓮教官の教え。お金を出せば楽に山頂に行ける。

 

三門をくぐってからの殺人的な石段で、すでに足は乳酸が溜まりまくっている。

ロープウェイに乗ってみたい。うっかり本音が漏れてしまいそうだ。

軽く屈伸してみる。

安定した坐骨神経痛の痛みがおけつに走る。

 

さあ、ここから仕切り直して、真の出家に挑まねばなるまい。

修行はまだまだ始まったばかりだ。

 

奥の院参道東コース。久遠寺からスタートして、まずは十如坊へ。

こんな感じで寺社から寺社へリレーを繋ぐようにコース案内されるけど、いちいち寺社に立ち寄ってたら時間がさっぱり足りない。

なので基本、すべてスルーする。

 

舗装路をてくてく歩くから足が痛い。

たまにこんなお墓がでてきたりするんだな、この時はその程度でしか考えていなかった。

 

更に増えてくるお墓。

日蓮宗は鎌倉時代に興ったらしい。

これまで約800年近く、ここで修行し、亡くなられた僧侶達のお墓だろうか。

だとすると、少なすぎる気がするなー。

 

更に増えたお墓。

びっしり並ぶ墓はもはや壮観。

この墓参りのやり方、誰かおせーて。

 

もうツツジが咲き始めた山があると聞いてたけど、まさかシャクナゲとは。

桜と同じタイミングでシャクナゲが見られるって、これまで馴染みのない早さ。

 

山の斜面にはミツマタもでてきた。

 

そして、相変わらず舗装路は続く。

足どころか心臓にも悪い。

最初の殺人的な階段ですべて出し切ってもう辛い。

 

ニリンソウかと思いきや葉っぱが違う。

なので分からぬ。

 

結構歩いてきた。

なんだろう、この疲労感は。

大光坊で少し休ませていただきまひょ。

こうやって休憩できるところが随所に出てくるのは助かる。

舗装路だから、何でもかんでも荷揚げできちゃう強み。

 

野生の錦鯉だっている。

 

ちなみに子供の頃、親に千葉の鯛ノ浦に連れてってもらったことがある。

日蓮さんの生まれた鴨川市小湊にある観光スポット。日蓮さんは鴨川で漁師の子として生まれた。

そこは外海なのに、うじゃうじゃと鯛が群れで船を追いかけてくるという、ジラレヘン光景を強烈に覚えている。

こりゃ入れ喰いだぜー!と小学生だった自分はそればっか考えてた。

 

その鯛ノ浦も、日蓮さんが誕生した際に起きた奇跡として、現代まで続いているのだ。

 

鴨川市では、鯛は日蓮さんの化身として今でも大事に守られているのさ。

 

危ない。あやうく日蓮さんを入れ喰い状態で食べてしまうところだった。

 

その頃のインパクトが鮮明に残ってたから、自分にとって日蓮さんイコール「鯛」というイメージしかなかった。

 

まさか鯛が化身とは。常人では理解が及ばないのだ。

 

でも間違いだった。

 

化身はこの錦鯉なのかもしれない。

実に優雅で、晴れやかに泳いでいる。

 

M-1グランプリ優勝おめでとう。

 

 

 

目が開けた大仏様。

この大仏様の額のボタンを押すと、

 

このロケットが発射される仕組みになっている。

身延山の世界観は常人では理解が及ばないのだ。

奥が深い。

 

桜も至るところで満開。

ここではすべてが夢の物語なのだ。

 

ミツマタの群生

二十六丁からやっとトレイルに突入。

トレイルと言っても軽トラなら余裕で走れちゃう道だけどね。

それと、この二十六丁を見てほしい。

二十をNiziUではなく「廿」と書くなんて、ぜんぜん知らなかった。

確かに十が2つ並んだ形してる。

これも日蓮教官の教えなのか。お陰で一つお利口になった。

世の中、知らないことばかりだ。

知らなくても生活には困らないけど。

 

ミツマタの群生地へ突入。

 

 

夢見るミツマタ宇宙。

今シーズンはミツマタを見る機会に恵まれた。

 

 

こういう神仏って盗まれないのかね?

海外だったら一瞬で無くなるだろうけど、そこはさすが日本。

 

ここら辺で急に風が冷たくなった。邪神を見透かされたから罰が当たったか?

いや、ちがった。

辺りを見渡しても、そもそも半袖で歩いているのは自分一人だけだ。みんなしっかりレインウエアを羽織ってるし、ニット帽までかぶった人もいる。

まるでアホな小学生みたいじゃないか。早く着替えればよかった。

ここで真夏の格好から一気に冬の格好に模様替え。

これで寒さともおさらば。

 

寒くないって幸せ。

 

防寒対策を整えた途端、それまでの緩やかな道が一変する。

急登が襲いかかり、一気に汗が噴き出るという、なんとなく予想できた巡り合わせ。

くそっ、結局いつも通りだなと、情けなさと暑さですっかり撃沈モード。

日蓮教官から「いちいちうろたえるでない、このたわけめっ!」と叱られてしまいそうだ。

これも修行なのだ。すべて受け入れて歩くしかない。

 

着いた。

脱いだレインウエアの内側は既にひちゃびちゃ。

一体何なんだ。

汗ばんだ上着を脱いだ瞬間、その汗が凍るんじゃないかと疑うほどの冷たい風が吹き、一気に体を冷やした。

着たり脱いだり、いちいちめんどくさい。

でも寒いものは寒い。

この寺社で暖は取れないのか?と覗いてみたけど、窓は開放され、もはや外と同じ。

諦めて山頂を目指す。

これは修行なのだ。

 

まだ雪が残っていた。どうりで寒いわけだ。

ニット帽が正解だったんだな。

山って…めんどくさい。

 

富士山だ!

いまいち天気がスッキリしないから半ば諦めてたけど、富士山が見えただけで浮かれてしまうのが日本人の性。

山頂からの景色が楽しみだ。

 

四十九丁。

こういうのって、歩いてる途中だと終わりが十なのか百なのか分からず、ペースを狂わせるんだよね。

何分の何かが分かるといいんだけど。

まさかねぇ、五十という普通なら半分の目安が山頂だなんて、予想できなかった。

 

奥ノ院と絶景

山頂に到着してみれば、この景色。

遠くに見える富士山の手前の山々は竜ヶ岳とかだろうか。

 

 

ここが奥之院。

さあ、出家しに行こう。

 

ゴールデンな世界。

仏教美術において、荘厳さを表現するために、金色は多用されたらしい。

たしかにオレンジや水色みたいなポップな色合いは信仰を軽くしそうだ。

 

奥の院の奥の奥に山頂の標柱はある。

山頂に着いたと安堵した後に、この石段も登らねばならない現実を突きつけられ絶望がいっぱい。

日蓮教官が植えたとされる杉が立派に育ち、元気に花粉を撒き散らしてた。

 

胸キュン仁王像。いや、天女か?

それまでの寒さと暑さの波状攻撃で絶望を味わい、それでもなんと乗り切ってたどり着いた修行の終点がこの仁王像だ。

もちろんこういうの大好物だ。

 

今は寺院でさえ説明は四次元バーコードなんだな。

疲れてるから、聞く余裕なんてないけど。

 

ここが本当の奥の院にある祖師堂。

 

なかやまきんに君ばりに胸筋もりもりの金ピカ大仏。

突然ですが運勢を占うと言って、筋肉ルーレットでもおっ始めそうだ。

もしこの大仏様からウィル・スミスばりの張り手を受けたら首が折れること間違いなし。

いつも誰かから叱られることにビクビクしている自分はそんなアホなことを考えていたら良いアイデアを思いついた。

修行の最後は、山頂で大仏に扮した僧侶から猪木バリの張り手を食らうというサービスを始めてみたら意外と流行るかも。

個人的にはぜひ体験してみたい企画ではある。

 

出家したところで、物欲は浄化できても食欲までは奪えない。

みのぶ饅頭と山頂。

ここまで意外と長かった。累積で1,200m以上登ってるんだから当たり前だ。日光の男体山と大して変わらない。

そんなに頑張ったのに、曇り空で南アルプスは影も姿も見せないことに膝から崩れ落ちた。

 

カール・ブッセの美しい詩を味わいくださいとのこと。

カール・ブッセを知らなかったけど、

読んでみたところで

ちょっと何言ってるか分からない。

 

さくら団子

そんなことより、今回の出家を成功させるためには、さくら団子が必要なのだ。

ロープウェイ乗り場にやって来ると、恐ろしい長蛇の列。

もしや、みんなさくら団子で並んでるのか?と思いきや、ただのロープウェイ待ちの列だった。

 

さくら団子以外にも、ゆば、よもぎ、竹炭と、いくつか種類があるんだな。

スタッフおすすめは竹炭か。

ふんっ。片腹痛いわ。

朕にさくら団子(こしあん付)を1つおくれ。

 

さくら団子やら桜葉餅があったり紛らわしかったけど、しっかりさくら団子をゲット。

山頂でアツアツのお団子を500円でゲットできるんだから有り難い。

いつか群馬の焼きまんじゅうも食べてみたい。

 

日蓮教官、おかげで無事に出家することができました。

では、基本無宗教なんで、そろそろ帰ります。なむなむ。

下山の安全もどうぞお守りください、よろぴく。ぴくぴく、ぴくぴこ。

 

お墓の密度ほどではないけど、なかなかの混雑ぶり。

とてもあれに乗る気にはなれない。

 

南アルプスが見られなかったのは残念だけど、富士山は最後までバッチリ見えた。

この時期の富士山は山に取り憑かれた変人だけが好き好んで登っている。一度身延山でお祓いしてもらったらいいよ。

 

竜ヶ岳の向こう側には河口湖がある。去年の秋は天下茶屋のほうとうと御坂山の紅葉を堪能したし、吉田うどんも食べた。

山梨県って名物が多くてほんと良いところだな。もっと喰い尽くさなきゃ。

 

出家したおかげで、食べる楽しみの方が物欲に勝ることに気付けた。

生まれ変わった気分だ。

 

ゲッザーン開始

下山は裏参道のハイキングコース。

今回ももれなくバテたけど、さくら団子も食べられたし楽しい出家だった。

じゃあ出家してくるわーと、出家って日帰りでできちゃうお手軽なものだったのねん。

 

参道だけあって、ここももはや舗装路と言って良いトレイル。

楽しかったんだけど、なんだろう。

名残惜しさがない。

 

見える景色はぜんぜん違って、七面山や南アルプス前衛の山々がドーンと立ちはだかる。

 

ここで僧侶さんから、何かお困りごとはないですか?と声を掛けられたので、

おお、朕はカイコバイモを探しておるのじゃ。どこに咲いておるか知らぬか?

と聞いてみたけど、首を傾げるばかりで、ぜんぜん知らない様子。

ふむ。

よかろう。

引き続き、修行に励むが良いぞ。

 

至るところに案内標識が出てくるけど、とにかく三門方面へ戻ると覚えてさえいれば迷うことはない。

 

右も左もミツマタは咲いちゃいるけど、実に長く単調で地味なトレイル。

すっかり歩くことに飽きてしまい、疲労も倍増。

何か楽しみを探すため、カイコバイモを探してみるが、これがどこにも見当たらない。

本当に咲いているのか?ガセなのでは…?

 

カイコバイモやカタクリも、きっと山に分け入って探さないと見つからないんだろうな、きっと。

滝の近くで踏み跡を探してみたけど、それでも探せなかった。

残念だけど、仕方ない。

何度も言うけど、今日はさくら団子が食べれたのだ。

それで十分じゃないか。

 

身延山の千本杉は天然記念物らしい。

 

デカい!

左下の看板と比較してもらえればなんとなく大きさも分かっていただけるだろうか。

何度も言うが、花粉がひどくて目は充血して点鼻薬も肌身離せない自分としては、どんなに立派だろうが、杉には恨みしかない。

そう言ってこの日も鼻水なのか点鼻薬のやり過ぎなのか分からないほど、透明な鼻汁をせせらぎの様に流し続けた。

 

桜ワンダフルワールド

麓が近くなってくると、再び桜が主役。

ちょうど日も差してとてもいい感じ。

山頂を後にするときの名残惜しさが微塵もなかったのは、はっきり言って麓のほうが見どころが多いからだ。

 

赤い屋根は東屋じゃないんだけど、ちょっと休憩できる椅子があったり、トイレもあった。

疲れすぎて尿漏れしそうだ。

 

ここ松寿庵で足を休ませる。

この建物の裏とかにカイコバイモ咲いてんじゃね?と探してみたけど、やはり見つからない。

この諦めの悪さは、どうやら妖怪カイコバラモンに取り憑かれてしまった様だ。

この先、下山完了するまで探し続けることとなる。

 

ここで耳寄り情報。

なんとここに泊まって、体験プチ修行ができちゃうらしい。

一泊二日でなんと8,000円!!

ブルジョワか!

まさか修行まで金持ちの遊びにされるとは。商売あがったりだ!

 

更に、ここ松寿庵にはこんなビュースポットなるところがあるのだ。

 

どれどれ。

左奥に見えるのは久遠寺。五重塔だって見える。さすが視力1.5。

 

予約席?

こんなところで誰にともなくボケるなんて、やはり日蓮宗半端ねぇ。

 

 

めちゃくちゃ整備されたトレイルだったとは言え、もはや足に鉄球でもくくりつけられたかの様な重さ。

標高を下げ、さくら咲くロードに突入した頃にはもはや家路に向かう日雇い労働者の面影。

 

この鹿よけのフェンスの向こうは、言わば下界。しかしこのフェンス、果たして意味あるのか?その気になれば右から行けんじゃね?という感じ。

 

フェンスを越えると雰囲気はガラリと変わり、寺院へと突入。

花粉による美しい鼻垂れを流しながら愛でる枝垂れ桜。

これには、厳しい修行による難しい表情だった僧侶もほんわか顔。

今、ここで自分が誰よりも癒やしの存在らしい。

 

浮かれすぎてここを素通りするところだった。

林道を道なりに進むと、ここ御廟所には立ち寄れないのだよ。

最後に今回の修行の機会を与えてくださった日蓮教官に、ドジでのろまで亀な自分から最後の挨拶をしとかなきゃ。

 

これが日蓮さんのお墓。

徳川家康のお墓より立派じゃないか。

鎌倉時代に興った宗教みたいだけど、源頼朝の墓の何倍も立派だ。

きっと後世になって作り直したのだろう。

驚きすぎて出家できた感謝を忘れてしもた。

 

そして御廟所から三門までがハイライト。

これまで荘厳な寺社仏閣を見てきたけど、それは日蓮宗への羨望よりも、むしろちょっとした憐憫さを感じさせる。

この憐憫さは、先日、安い豚肉の脂によって5時間ほどグロッキーになった気分に少し似ている。

ケチった自分を呪いながら、お金さえあればあんなキモい目に遭わなくて済んだのにと、激しく後悔したばかりだが、高い肉でも同じ目にあっただろう。

そして、高い金を払ってまで、なぜこんな目に合わないといけないの?ともっと涙を流したに違いない。

何の話だ、こりは。

なんにしても、いい歳なんで食べる量はほどほどに。

 

桜のダイバーシティーやぁー。

桜の様にあっという間に咲いて散っていくのと、少しお金が溜まれば、あっという間に散財するのと同じで、実に美しい。

そんな諸行無常な世界を痛感させてくれる、実のある出家だった。

 

どうでもいいことばかり書いてるけど、最後の最後にとんでもない桜ラッシュは圧巻だった。

御廟所から三門までの桜並木は久遠寺の桜より見応えあったな。

 

そしてこの三門と桜がフィナーレ。

なぜ山門ではなく三門なのか。三解脱門(さんげだつもん)の略で、煩悩から抜け出すためには「空」「無想」「無作」の三つの門をくぐらなくてはならないとされるから、らしいよ。

一応、ちゃんと調べてみた。

もっと詳しく知りたい方はご自身でどーぞ!

 

駐車場への商店街では植木鉢で、もうクリンソウが咲いてた!

山でクリンソウが咲くのは6月。荒船山のクリンソウはズミの満開時期と重なったら最高だと思うよ!

自分が行った時はクリンソウはちょっと早かったけど…。

 

帰りに山梨の桜の名所「大法師公園」の大法師さくら祭りにも立ち寄ってみた。

 

桜吹雪を狙って風が吹くのを待ったけど、風が吹くと寒すぎて耐えられず、そそくさ帰った。

こちとら出家して疲れてるんでね。

 

山梨らしさを味わいたくて、スーパーに立ち寄ったけど大したものがなくて、迷った挙げ句、八ヶ岳牛乳500mlをゲット。

 

別日。

話は変わるけど、身延山で桜が満開を迎える4月初旬は、ちょうど山梨では桃の花も見ごろを迎える。

特に笛吹市辺りや、勝沼ぶどう郷。ここら辺は山や丘に上がって見渡すと見渡す限りの桃源郷。

桜より、こっちのほうが山梨らしさを堪能できると思う。

 

仏教では、命あるものは何度も生まれ変わるらしい。

ふんっ、ヘソで茶が沸かせるわ!

なんとしても今しか見られない絶景を見に行くべし!幾度となく通って、絶景が見られる機会なんて一回あれば良い方なのだ。

 

振り返って

山梨県民にとって、身延山は何を今更というぐらい、超ど定番な桜の名所らしいです。

ぜんぜん知らなかったけど。

YAMAPでそこそこレコがアップされてるのを見て、知った次第です。

最近はヤマレコよりYAMAPの方が情報量が多くて、新たな山を知る機会も増えて、ほんと有り難い。

身延山は東京から高速バスも出てるし、電車バスでも行けるので、まぁまぁアクセスが良いので、ぜひ桜の満開のタイミングで足を運んでみてください。

 

「その山のあなた」という詩を書いたカール・ブッセというドイツ人の詩人も知らなかったけど、翻訳した上田敏さんのことも知らなかった。その上田敏さんの翻訳が名訳過ぎ!ということで有名みたいです。

名訳過ぎて、読んでも意味が分からなかったけど。

意味は、山の向こうには幸せの理想郷があるらしく、行ってみたけど見つからず、泣きぬれた。ぐそっ!でもきっとあるはず!

という詩らしい。

意味は分かっても、なんのこっちゃです。

幸せは山頂のさくら団子が待ってるぞ!

ではでは

 


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