鹿島槍ヶ岳~五竜岳 登山(五竜山荘テント泊) ラモスに負けるな!八峰キレットはオコジョと熊のパワハラ攻撃

鹿島槍ヶ岳~五竜岳 登山(五竜山荘テント泊) ラモスに負けるな!八峰キレットはオコジョと熊のパワハラ攻撃

最近はインスタで絶景を見て、それで観光した気分になって旅に出かけない人が増えてるそうです。

それも時代の流れか。。

写真はいいよね、見てるだけなら汗もかかないし、雨にも降られない。

でもこのブログを見てくれている方々はきっと違う。

写真を見てるだけなんてつまらんもん。

 

ドキドキしにアルプスを歩こうぜ!

 

つー訳で、北アルプス後立山連峰、爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳〜五竜岳〜唐松岳縦走も2日目に突入だァー!

この日は核心部、鹿島槍ヶ岳から五竜岳の百名山2座を結ぶ八峰キレットを歩く山旅

(1日目の爺ヶ岳編は、こちら)

 

正面に見える五竜岳。

振り向けば鹿島槍ヶ岳。

左を向けば立山と剱岳。右を向けば遠くに噴煙を上げる浅間山が見える。

雪渓から吹き上げてくる風が涼しい。

岩の隙間からオコジョが顔を出し、ハイマツからは雷鳥がでてきて餌を探してる。眼下に目を凝らせば遠くに大きな熊を発見。それをよちよち追いかける2頭の小熊が可愛い。

標高3,000mの日差しと、油断できない岩場の連続。

インスタグラムじゃ1mmも伝わらないぜ!

 

大絶景の山旅、2日目の記録です。

 

歩いてきた道のり。

鹿島槍ヶ岳は標高2,889m、日本百名山、花の百名山で国内4例目の氷河「カクネ里雪渓」が有名。五竜岳は標高2,814m、日本百名山。八峰キレットは日本三大キレット。

今旅、最大の見せ場の2日目に突入だー!

 

 

~全体スケジュール~

DAY 1:扇沢~爺ヶ岳〜冷池山荘テント泊 ⇒こちら

DAY 2:冷池山荘~鹿島槍ヶ岳~八峰キレット~五竜岳~五竜山荘テント泊

DAY 3:五竜山荘~唐松岳~八方尾根下山 ⇒こちら

※行程的には無理のないスケジュールを組んでるので、のんびりアルプスを満喫したいという方はぜひ参考にして下さい。

 

ルートとコースタイム

■2020年8月23日 ※カッコ内は標準コースタイム。

冷池山荘⇒(60分)⇒布引山⇒(45分)⇒鹿島槍ヶ岳 南峰⇒(20分)⇒吊尾根分岐⇒(110分)⇒キレット小屋⇒(90分)⇒北尾根の頭⇒(120分)⇒五竜岳⇒(45分)⇒五竜山荘

 

コースタイム:8時間10分

3日間の合計
総距離 27.5km
累積標高上り 3,350m

爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳~五竜岳~唐松岳縦走 2日目

睡眠打破

チリンチリン。

チリンチリン。

チリンチリン。

 

「最初サムカッタヨ。ダケド動イタラ暖カクナッテキタヨー」

 

うああぁー!熊鈴うっさい!

 

トレランする外国人よ、テントの側で喋りながら通過するのはマナー違反たぜ…。日本語上手かったけど!

 

冷池山荘から早出した方々が盛大に熊鈴を鳴らしながらテン場を通過するから寝てらんないっ!

しかもよりによって俺のテントの真横を通過すんなって。。

 

ちっ。もう起きるか…。まだ4時じゃないか。9時間しか寝てないよ。

 

8月中旬にもなると日の出って遅いもんな…。日の出までまだ1時間もあるよ。

 

冷池山荘のテン場は鹿島槍ヶ岳へのコース上にあるから、朝の早い登山客の音がとにかくノイジーなのがマイナスポイントだけど、朝が苦手な自分にとっちゃむしろ良い環境だったのかもしれない…。そうじゃなければ昼まで寝てたかもしれない。

 

でも熊鈴はうるさ過ぎるからテン場を通過する時はやめようね。

 

前日の雨が朝になって乾いてるはずもなく、泥が付着して倍ぐらいに重たくなったテントを

「うえぇぇ〜」と百万回うめき指先でつまんで片付ける。

ただでさえ準備が遅い男なもんでね、片付け終わった頃にはすっかり明るくなってたよ。

さーって、準備は整った。

 

冷池山荘テント場から日の出を見て布引山へ

5時20分出発。

日の出は5時半。歩き始めてすぐに日の出を迎えられるなんて最高だな。

気温は10℃ぐらい。空気が澄んで立山連峰がとてもクリアに見える。

 

鹿島槍ヶ岳に向けて行動開始じゃい!

まずは眠気覚ましに鹿島槍ヶ岳の手前にそびえる布引山を仕留めにかかる。

 

チングルマの果穂がもりもり。

 

ヤマハハコは全盛。

ちょっとカメラの設定で露出を高めにし過ぎたな。白い花は気をつけないと。

 

遠くには浅間山。肉眼だと煙が出てるのもよく分かる。

浅間山の雪山登山は風は強いけど、登りやすいし雪崩の心配もあまり無いからお薦め。入山規制がなければね。

 

目の前に見える三角錐の山、左が布引山、真ん中と右の2つのピークが鹿島槍ヶ岳。

 

泥だらけのテントを片付けててもまだ眠いんだから、とことん自分は登山向きではない体質だなと思う。

いくらでも寝ていられるし、高山病になりやすいし、喘息だし、金欠だし。

 

今日は頭痛はしないけど、アルプスに登ってるといつも頭痛が始まるし、下山してもしばらく気持ち悪い。

そんな自分が、今日は頭痛がしないというんたから絶好調なんだろうな。

と、思いながら9時間横になってカチコチに凝り固まった体をほぐしながらゆっくり標高を上げていく。

 

 

ご来光だ!

ちと雲が多いけどね、当初は雨予報だったんだから、よくここまで回復してくれたと感謝だよ。

 

シシウド

 

イブキトラノオ

 

ウサギギク

 

卍。獅子丸のおでこに書かれてるやつね。

エゾシオガマ

 

ハクサンフウロ

 

布引山に取り付く。遠目にも三角錐に見えた、すんごく登りやすそうな山。

前から布引山でご来光を見たトレラン4人が駆け下りてくる。こういう人たちは起きた瞬間から元気なのだろうか。いや、そもそも眠りそのものが不要なのかもしれない。

自分と何が違うんだろう。

マラソンなら自分も少しだけかじってるけど、山で走ろうなんてとても思えないし、9時間寝たってまだまだ眠いし。

 

登りやすいと言ったけど途中からしんどくなってきた。

ハイマツ帯のある山にしかいないホシガラスが悠々自適に飛び回ってる姿がうらやましい。

 

飛び回れない雷鳥見っけ。

まるまる太って食べたら美味しそう。

 

標高を上げてくると背後には槍ヶ岳が見えた!

同じ北アルプスなのにずいぶん遠い。

 

剱岳は相変わらず近い。三ノ窓氷河、小窓氷河がよく分かる距離。

界王拳を使って視力5.0まで高めれば山頂にいる登山客だって見えるんだけど、こんなところで激しく体力を使う訳にはいかないのだ。

 

布引山に到着。とりあえずここまでは準備体操。

ここに登っちまえば鹿島槍ヶ岳は目の前さ。

 

うーん、素晴らしい眺め。これまでの景色とは打って変わって厳しくも魅力的な、登頂意欲を掻き立てる光景だ。

深田久弥が北アルプスで1番好きだとリップサービスした山。疑惑が多い深田久弥なだけに、孫悟空ならぬソンタクウが働いたのかとつい疑ってしまうが、自分にとっても思い入れの強い鹿島槍ヶ岳は実に良い眺めだよ。

 

そして昨日歩いた爺ヶ岳。

 

再び、見飽きることのない立山連峰と剱岳。

布引山からの眺めを満喫。

 

鹿島槍ヶ岳へ めぐり逢い宇宙編

布引山でウオーミングアップ終了。

鹿島槍に向けて出発じゃい。

もう邪魔するものはない。ガンガン行こう。

 

トリカブトの群生。

 

イワツメクサ

 

お花畑を眺めつつ、この素晴らしい稜線を闊歩する。たまらんっ!

 

ん??

 

北アルプスをのんびり、鼻をのばして、右手うちわで満喫していると、何やら後ろからこの急登を走ってくる輩がいる!

トレランって下りで走るスポーツだと思ってたけど、登りでガシガシ走ってくる人そうはいないよ。

ぐんぐん近づいてくる。バケモノだ!

 

ま、負けられん!!

 

ガンガン行くぜ!

 

くるしい!肺が爆発する。ええーい、くそっ。壊れるまで行くぜ!

 

めぐり逢った哀戦士編

ゼーゼーゼーゼー!

追いつかれなかった!俺の勝ち!もう動けん。

 

ん?

なんだ、来ないぞ。

と下を見れば、すれ違った人達と何やらきゃっきゃっ話してて立ち止まってたのね。

その時後ろからルイ君!って声が聞こえた。

 

まさか。。

 

まさか!!

 

ラモス!!

 

ラモス瑠偉ですかっ!?

 

俺はラモスに勝ったのか!?すげぇぞ、俺!

 

ラモスがやって来るまでの間、ひとまずここまで歩いてきた道のりを振り返る。

冷池山荘から意外と長く感じたな。テント泊装備ってのもあるけど、最後に競り合って急いだもんたからバテバテだ。まったく何やってんだか。

でもいいんだ。俺はラモスに勝ったのだ。

よーいドン!で競り勝ったわけではないが、勝者は俺だ。

ラモスよ、照れてないでいい加減上がって来い。そして俺を勝者として敬うんだ。

 

足音がする。

 

ラモスが遅れてやって来る音だ。ラストの登りだというのに力強く、それでいて軽やか。ペースも速い。

さすが元日本代表の10番。往年のキレ味は衰えていないな。

 

自分はずっとサッカーをやってたから、小学生の頃は友達と近所のサッカー場まで読売クラブやヤンマー、日産とかの日本リーグの試合をよく見に行ってた。

ラモスは日本がまだ草サッカーだった時代に現れた天才。本物のサッカーを見せてくれた、当時のサッカーキッズみんなの憧れの存在だったよ。

 

さあルイ!

上がって来いルイ!トレードマークのちりちりパーマを振り乱してやって来るんだ!カマーン!

 

そして勝者である俺を讃えよ!!

 

さあ!!カマーン!

 

 

「すみません、いっしょに写真撮らせて下さい!!」

 

まさかのいきなりの土下座攻撃(笑)

 

はい、チーズ(笑)

 

つか、ラモスじゃねえし!!

 

ハイ〜、誰かと言うとですね、なんとトレランの世界チャンピオン、上田瑠偉選手でした~。

いやぁー、びっくり。

「扇沢からここまで2時間かぁ〜」って涼しい顔で言ってるし、ジラレヘンよ。

山頂は貸し切りだったから、自分の様なただの山好きのおっさん相手に長々と(10分ぐらい?)、話を合わせてくれたし、実に気さくで自信に満ちたナイスなチャンピオンだったよ。今後も俄然応援しちゃう!

 

吊尾根から八峰キレット

さあ、そして、鹿島槍ヶ岳北峰方面へ向けて伸びるこいつが吊尾根。

鹿島槍ヶ岳の最高峰は南峰だから、あえて北峰にも登る必要はないかな。ピークハンターなら狙いに行くだろうけど、景色も変わらだろうから自分はパスしよっと。

 

これから歩く八峰キレットとその先にある五竜岳。

五竜岳の奥には白馬槍ヶ岳や白馬岳が見える。

 

やっとコルに着いたけど、鹿島槍ヶ岳の南峰からの下りは気を抜けなかった。

南峰の下りから八峰キレットが始まってると思った方が良いね。

 

ウスユキソウ

 

チシマギキョウ

 

イブキジャコウソウ

 

これは散ったシモツケソウかな?

 

鹿島槍ヶ岳の北峰は目の前。

ちなみに今回の旅で持ってきたカメラは富士のX-E1と標準18-55mm。

約10年前に発売された化石級に古いカメラだけど、この暗く雰囲気のあるエモい1枚は、まさにX-E1の貧弱な画像処理が為せる業なのではと思う。

カメラの設定はちとコツがいるけど、暗い絵に艶をだしてくれる不思議なカメラなのでそこが凄く気に入ってる。それに軽いし小さいし、防塵防滴ではないけどEシリーズはTシリーズより登山向きなカメラだと個人的には思っている。クセがあるけどね。

 

振り返る鹿島槍ヶ岳南峰。

肉眼だと山頂からまだ上田瑠偉選手が見守ってくれてるのが見えた。

好青年やん!!

もしかしたら体だけこっち向けてスマホいじってるだけかもしれないけど。。

 

まだたくさん雪が残ってる。万年雪だね。

 

鹿島槍ヶ岳北峰と八峰キレットの分岐に到着。

宣言どおり、北峰はパス。

さてさて、キレットに突入する前に装備を確認しておくよ。今日は念の為ヘルメットも持ってきたし、豚皮の手袋(ホームセンターで1,000円)を装着。トレッキングポールはしまっておく。

 

そしてこいつ。マグオン注入。

フルマラソン用に購入したけど今年はコロナで中止になってしまい、気付いたら賞味期限過ぎてたから慌てて持ってきたよ。

マグネシウムが足の痺れを解消してくれるし、何より飲みやすい。

ショッツやハニースティンガー、いろいろ試したけど、これが1番良いね。

 

いよいよキレットらしい激しい下りが始まった。

恐ろしく標高を下げる。

鹿島槍ヶ岳の山頂からだと、最も低いところまで単純標高差390mも下る。

 

初めて見た!オコジョだ!!

可愛い!!

こんな可愛いのに雷鳥だって食べちゃう獰猛な子だなんてシンジラレヘン。

冬毛になるとガンバの大冒険のノロイそのもの。

 

その後も岩の隙間からオコジョが出てくるのをじーっと5分ほど待ったけど(暇ではないんだけど)、

どこか行っちゃったみたいだから、再び激下りを再開。

下っても下っても終わらない下りに、食べても食べても減らない「牧のうどん」大盛りを連想せずにはいられない。知らない人は置いてくぜ!

とにかくビビりな自分は五竜岳に向けた登り返しが今から不安で仕方ない。

 

左の景色は相変わらず素晴らしくて、剱岳から右へギザギザの尾根を辿ってそびえてるのが毛勝三山。毛勝山は一般ルートがないから積雪期にしか登れない。

前々から気になってる山ではあるんだけど、ちょっとハードル高いなぁ。

 

あれがカクネ里氷河なのかな?氷河にしては規模が小さい様に見えるけど。カクネ里氷河のごく一部分なのかもしれない。

雪渓から吹き上げる風がひんやりして気持ち良い。立ち止まって爽快に風を浴びてるけど、落ちたら100m以上落ちてまず助からない。

 

キレット核心部に突入

鎖も出てきた。晴れてさえいればザレ場より鎖場の方が安全だからウエルカム。

 

橋と鎖でガッチリ整備されたポイント。見た目通り簡単に通行できる様にしてくれてるんだけど、踏み外したら数百メートル真っ逆さまで一瞬であの世行き。

こんなところはインスタ映えを狙って変な写真撮ってないで早めに通過するに限る。

 

ヒー。

 

橋の下はV字に切れ込んだ谷でやばい事になってる。

マジで切戸だ。

 

はしごを登る。下を見たら体が動かなくなるから、あちき上しか見ない!

 

ヒ、ヒー!下ったらあの細いところを歩く。左に落ちたら助からない。

 

今度は右に落ちたらお陀仏ポイントを登っていく。

ヒー!ヒー!

 

ここはどこ歩けばええのー!!

 

ヒー!を何度叫んだか分からない。涙目になりながらやっとこさキレット小屋発見。

あんなところに建てるんだから大したものだよ、とは誰もが思うことだよ。

ここに小屋があるお陰で、これまで何人の登山客の命が救われてきたか。感謝しかありませんよ。

 

キレット小屋でガパオ

ここが有名なキレット小屋かぁ。

トイレを借りたけど小屋の中にしかトイレがないから、その時に中の様子を見させてもらったけど、綺麗な小屋だったな。

 

キレット小屋のジュースは缶ではなくペットボトル。品揃えも素晴らしい!

清潔だし、ここに泊まったら居心地良いだろうな。

小屋のご主人が言うには、「今年の夏は4日しか来なかったな」だって。雨ばかりで涼しい夏だったらしい。

東京は連日猛暑だったって言うのに、羨ましいよ。

 

外のテーブル席は東京なら10万円のチャージ料が発生しそうな特等席。

子供から誕生日プレゼントでもらったガパオリゾッタいただきますっ!

至福とはこのこと。

 

まだまだ続くエンドレス八峰

さて、再びキレット街道を行くぜ。

相変わらず五竜岳は姿を見せてくれない。秘密主義でアマノジャクな山だ。

 

登って登って~

 

 

くだる~

もういい加減うんざり。。

 

あれ、なんかもうキレットらしくない。危険なところは過ぎたのか?

八峰キレットって言うぐらいだからアップタウンは相変わらず多いけど核心部は過ぎたのかもしれないな。

 

振り返る鹿島槍ヶ岳がなんともかっこいい。

これまで扇沢側からしか見たことなかったからこっちから見る姿が新鮮だし、めちゃカッコ良い。

深田久弥よ、疑ってごめんよ、ほんと良い山だよ。

 

核心部は終わったと油断して堕落して浮かれてたら、ここからが本番だったのか?というすっぴんな岩場が登場。

こんな急峻な岩場、下りじゃなく登りで良かったよ。

 

鹿島槍ヶ岳にガスがかかると雰囲気を増す。

夜霧よ〜今夜も〜ありがとぅお〜♫

石原プロ解散、そして大門警部、これまでありがとう。次々と爆発するパトカーに五月雨式に殉職していく刑事達。幼少期には強烈過ぎたよ。

 

まだまだ続く大門警部ばりの硬派な登り。

泣き言ばかり吐く、ドジでマヌケな亀キャラの自分には登れそうにありません!教官!!

 

風間教官のパワハラにヘトヘトになりながら北尾根の頭に到着。ここでも小休止。

これで自分も一人前のスッチーになれる気がする。

 

ここまで来れば散々見えそうで見えず焦らされ続けた五竜岳が目の前だ。

風間教官のパワハラが終わったと思いきや、ここからはいよいよ渡哲也によるパワハラタイム。

その手前に寺尾聰ばりに尖った岩稜が見えるけど、まさかあそこを登らせる訳じゃないよな…。

ちなみに寺尾聰は西部警察での役名は松田刑事。愛称は「リキ」だ!最後は敵からマシンガンで蜂の巣にされ殉職という西部警察らしい最期。

西部警察を見た海外の視聴者は当時の日本の治安を疑っただろうな。

 

右に目を移せば遠見尾根。あの尾根で下山すれば八方尾根の喧騒に巻き込まれることなく帰れる。悩むところだな。

 

パワハラその1。

砂礫状で足の置き場を間違えるとズルズル滑っていく急登。なんてヤラしいポイントなんだ。

上田瑠偉選手みたいに身が軽ければホイホイ行っちゃうんだろうけど。

 

パワハラその2

おいおい。まさか、あの寺尾聰ばりの岩峰を登ってないか?巻かないのか?

仕方ねぇ…

こうなったらノーガードの殴り合いだ!

 

ヒー!登ってるぅー!

ノーガードで一方的にボコボコにされた。

巻いたのは鹿島槍ヶ岳の北峰だけっていうね…。主役は遠慮しといて他の小ピークは全て越えていくのがもったいない気になってきた。

 

ふいー疲れた!

でもやっと五竜岳の前に邪魔者はいなくなった♡

あとはお前だけだぜ!

 

あっ、邪魔者発見!!つか、つか、

 

でかっ!!

 

あんな大きな熊がこんな高山帯をのそのそ歩いてるなんて。シンジラレヘンぜ…

 

母熊の後ろを2頭の小熊が追いかけていく。

あのずんぐりむっくりした体型で必死に追いかける感じ、

畜生!やめてくれ!

可愛い過ぎるじゃねぇか!!

 

これが有名なG5ね。

Gの意味知らんけど(笑)

なんだろね、Gって。ゴレンジャー?五竜?ゴリ?

ちゃんと調べたらグレードって出てきた。

うーん、つまらんっ!

 

先程の大きな熊を自分は200m以上離れてたから余裕で見守れたけど、今こっちに向かってくる5人パーティは100mも離れてなかったな。

さすが高齢で動じない、5人もいれば余裕なんだなぁ〜って感心して見てたけど、「おっきな熊でしたね!」って声をかけると、「え!熊いたの!?」って全く気付いてなかったのには驚いた(笑)

あなた方のすぐ近くにいましたよ、とは言わないでおいた。

 

いよいよ近づく五竜岳。

ここまでで八峰キレットのコースタイムが長い理由がよく分かったよ。大変だし何より長いコースだね。

 

こちらがさきほどまで親子グマが散歩してた野原。もういないよね、と慎重に確認しながら通過。

 

マツムシソウ

 

ガスに巻かれる五竜岳山頂

さあ、最後のパワハラだ。

またノーガードの殴り合いだな!と声高らかに言い放ち、シミになっちゃいけないと日焼け止めを塗り直し、ヘルメットでガチガチに防御を固め、指が傷つかないように豚皮のグローブを装着。

誰よりもガードを固めたことを確認してから、よしゃ行こう。

 

1日で扇沢から五竜岳まで歩いて遠見へ下山してしまうツワモノがいる一方で、自分は冷池から歩き始めて既に疲労困憊。ふぅ、マイペースで行くぜ。

息もすぐに上がる。

苦しくて死ぬぜぇ〜と、目の前の急登から目を背けて後ろを振り返れば、ここまて歩いてきた道のりが絶景過ぎて感動。

この尖った岩稜帯を見ていると、恐怖と紙一重の冒険というのはズバ抜けた快感を与えてくれるもんだなと思える。

インスタで旅行した気分だなんて、もったいないね。

 

ガードを固めた状態で最後の稜線に到達。

さあ、感動のフィナーレだ!

あともう少しで報われる。

自分の直属の上司として部長が3人いるという謎の事業体制なため、各々がふと感じた疑問を全部俺にブツケてくるもんだからさっぱり自分の仕事が進まない。ストレスと残業にまみれた日々も、これで全て報われるんだ。部長のバカヤロー!

つい先日はあまりにムカついて、常務にこんな会社もうやめたいですと愚痴ってしまったけど、

もう報われるんだ。

そう思うと泣けてくる。部長のバカヤロー!

大門警部。西部警察で破壊した車4,800台と聞いて笑いが止まりませんでしたよ。

癒やされました。有難う。

さあ、もう山頂だ。

 

ぬおー!ガスった!

大門警部ー!!

 

ちー!!こっちもか!

垂れ込めるガスの中、かろうじて五竜山荘が見える。

む、む、報われなかった!!

 

うぐっ…

山頂からこれまで歩いた道のりを振り返るのが山旅の醍醐味だって言うのに!

さっき写真撮っといて良かったけど…

あちき、くやちぃ!

 

天気悪くなってきたから小屋に向けて下山するか…

ちくしょー!!

 

五竜山荘まで続くのかよ!岩稜帯

山頂直下まで下りてきたけど、五竜岳から小屋まで近い様で遠い。

しかもご覧の通りかなりワイルドな岩場を下る訳でさっぱり気が抜けない。

五竜岳の下山が終わるまでがキレットだ。

 

まだ続くのか…。まさに「牧のうどん」。

知らない人は置いてく。

ウエスト、資さん、牧のうどんの順で好きだから牧のうどんには最近行ってないけど、久しぶりに食べたくなってきたぞ。

 

やっと岩場が終われば五竜山荘のテント場も見えた。天気予報が午後から雨になってたから超空いてる!最高じゃん。

 

ミヤマコゴメグサ

五竜山荘はオアシス

コロナ影響で五竜山荘のテン場も完全予約制。1張り予約するのも一苦労なのに、天気が悪くなって結局キャンセルが相次ぎ、テン場はガラガラ。

 

水はテント泊なら外の水を100円で1リットルまで汲んでOK。

 

メスティンでお米を炊いて、蒸らしでカレーも温める。

これまで山でお米を炊いて80%は芯が残る。5回やって1回は成功するってことだけど、勝率低すぎだな。気圧が低いってのも影響してるんだろうけど。

山で食べるご飯は何でもうまいよ。とはよく聞くけど、芯が残ってたらそりゃ美味くはない。

 

この日も予報通り夕方から大雨になって慌ててテントに避難。

残念ながら夕焼けはこの景色が限界だったけど明日は快晴みたいだから夜明け前の星空が楽しみだよ。

 

 

振り返って

後立山連峰縦走の核心部を歩く2日目。

上田瑠偉選手が駆け上がってくる姿を見たときは、ラストの上りのはずなのに駆け上がってくるバケモノがおるー!と心底驚いた。

遠目にもチリチリパーマではなかったから、ラモスではないことは一目で分かったんだけど、まさか上田瑠偉選手だったとは。あわわ。

佐久長聖高校の出身で2年上の先輩がなんと厚底シューズの伝道師大迫さん。自分も安いやつだけど厚底シューズ買ったよ!とは言わなかっけど、そんな話をいろいろ聞かせてくれて、最高の山頂となりました。

 

八峰キレットから眺める鹿島槍ヶ岳は、深田久弥が惚れ込んだ理由がよく分かるカッコ良さでした。

キレットの難易度はそれほど高くはなかったけど、なにしろ長い!

体力が著しく低下してる自分にとって、森林限界の岩場が延々と続き、見渡す限りの日向にロープローブ!!を連発。マジでしんどかった…。

それにほとばしる汗臭さ。すれ違った皆様方、ほんとスミマセン。ボディペーパーで拭き拭きしてるんだけどね、こればかりはいかんともしがたい。

キレット小屋を過ぎたあたりでガスが覆ってくれて幾分涼しくなったのは救いだったな。五竜岳の山頂でガスに巻かれたのは想定外。まあ仕方ないね。

森林限界の日差し対策でサンブロックアンブレラを買ったけどキレットでは全く使う場面が無かったよ…。

ではでは

1日目の爺ヶ岳編は、こちら

最終日の五竜岳~唐松岳編は、こちら


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