オオヤマレンゲが咲く山として世界的に有名な山、大分県九重にある猟師岳(りょうしだけ)と合頭山(ごうとうさん)に登ってきました。
すみません、ちょびっと盛りました。
全国的な知名度はいまいちですが、九州のハイカーなら一度は聞いたことがある、そんな山です。
そんな猟師岳を有名にしてるのがオオヤマレンゲ。
一番上の写真がソレです。
「森の貴婦人」とも呼ばれている人目を引く大輪の花です。
主に西日本に咲く花で、関西の大峰山系が有名ですが九州であればここ猟師岳や英彦山、普賢岳なんかで見られます。
猟師岳の良さはオオヤマレンゲだけではなく、この稜線歩きと九重連山の展望の良さ。
どうせ訪れるならどっちも楽しめちゃう6月が最適期だよ。
登山ルートは牧ノ戸峠近くにある猟師岳登山口からのコースと、今回ご紹介する九重森林公園スキー場からのコースの二者択一。
どちらもメジャールートなのでほぼ半々って感じで登られてるけど、オオヤマレンゲを見るなら九重森林公園スキー場から登った方が群生地に近いので断然お薦めです。
あたかも何度も歩いてる風に書いてますが、これが初めての猟師岳(笑)
標準コースタイム
■2025年6月29日 ※カッコ内は標準コースタイム
九重森林公園スキー場駐車場⇒(20分)⇒猟師岳登山口⇒(15分)⇒オオヤマレンゲ群生地⇒(35分)⇒猟師岳⇒(35分)⇒合頭山⇒(25分)⇒スキー場分岐⇒(40分)⇒九重森林公園スキー場駐車場
コースタイム:2時間50分
距離:6.2㎞、累積登り:430m
猟師岳とオオヤマレンゲ
九重森林公園スキー場から登山開始
ここが九重森林公園スキー場。
この手前の筋湯温泉までなら来たことあったけど、このスキー場に来たのは今回が初めて。
このスキー場に立ち寄ってみたかったというのも今回の楽しみの1つだったんだよね。
九州でスキーする人ってみんな広島方面へ行くもんだと思ってたけど、こんな立派なスキー場があったのは驚きだなぁ。
準備体操がてらスキー場の舗装路を登っていく。
たまにえげつない急坂で始まるスキー場があるけど、ここは緩斜面なのが有り難い。
帰りはあの左前方の小高い山の方から下って戻ってくる周回コースだよ。
登りはこの第1リフト(トリプル)の奥にある登山口から山の中に突入していくんだけど、初めてだと分かりにくい。
でも今はYAMAPやヤマレコという便利な地図アプリがあるから心配ないでしょう。
自分もこれから山登りを始めたいという人から装備のことを聞かれたら、まず何が何でもYAMAPのインストールだけはマストだと伝えてます。
ほんと、YAMAPの社会貢献度の高さはすごいよ。
このゲートを開けてからようやく登山スタートです。
しかし指を挟んでしまい、ドバっと流血する幸先の悪さ。
どんなに便利な時代になっても使う人間がドジだと意味がないんです。
史上最速で梅雨明けした6月末。
今日もとんでもなく暑いのでのんびりいきましょ。
九重らしく黒い土のトレイルの感触を楽しみながら歩く。
オオヤマレンゲ群生地
ゲートから15分も歩くと林道に出るわけだけど、こんな風にでかでかと宝のありかを教えてくれる。
なんて親切なんだ。グッジョブ!
案内に従ってこの薄暗い林道を下って行くとすぐにでてくる本日の主役。
オオヤマレンゲ。
初めて見たけどこんなに白いなんて、オラびっくらこいたー
背景の玉ボケも綺麗だ(カメラのおかげ)。
あ、こっちは腐ってる。
背景の玉ボケも無し。
こっちは先週までが見頃だったろうなぁ、と思わせる1輪。
ふむ、ちゃんと咲いているものはあの1輪だけなのかい?
それから探し回ること約10分。
どこにもない!
どこにも咲いてないじゃないか!
結局最初に見た1輪だけが奇跡的に残ってたという結末。
くっそー、だいぶのんびりし過ぎた様だ。
まあ、1輪だけでも残っててよかったじゃないか。
生まれてこの方おみくじで大吉を引いたことのない不運の申し子みたいな自分にとって、よくて全滅、悪くてゴリラゲイ雨。
この1輪が超貴重なのだ。
猟師岳へ
重い腰を上げてというか、リアルに重くなった体を支えて猟師岳まで登るぜ。。
この先の稜線ですれ違った方も言ってたけど、この猟師岳の自然林はとても綺麗で、秋に登っても楽しめそう。
夏の濃い緑を楽しめるのもあと2ヶ月。
季節の巡りが早いのなんのって。
冬は長く感じるのになー。
アセビの花が鈴なりに咲く。
写真だけ見てても伝わらないかもだけど、暑いのなんのって。
森の中を歩くのは気持ち良いんだけどね、それなりの覚悟もいるわけです、はい。
最近はファン付き空調服ばかりネットで探してるけど、モンベルは早々に売り切れちゃったもんね。
バッテリーとファン、ぜんぶ揃えたら3万円ぐらいしてテント並みに高いというのに、みんな金持ってるわー。
景色が開けた。
標高はたかだか1,400mほどなので森林限界ではないんだけどね、植生が変わる。
振り返って黄緑のところは野焼きしたところで、手前の樹木はミヤマキリシマ。
これもミヤマキリシマ。
さすがに6月末だから1輪も咲いてないけど、九重の山はどこもかしこもミヤマキリシマの群生が楽しめるということなんだな。
あの山らしい山は涌蓋山(わいたさん)。
牧草地が広がる山で、野焼きもされるから景色は良いんだけどね。
ところどころ糞が落ちてるわけです。
暑すぎてもう紅葉してしまったのかい。
奇跡的に1輪だけ咲いてたミヤマキリシマ。
あっちは猟師岳の南峰。標高は1,381m。
本峰は1,423mだから、このクソ暑い中欲張る必要はない(バッサリ)。
さあ、猟師岳の山頂だ。
ちなみに眺望ゼロという山頂にガッカリして写真を撮り忘れるという失態をやらかしました。
こんな赤い実を撮ったりして山頂を後にしたわけです。
だがしかーし!!
猟師岳の魅力は山頂ではない!!
ということを声を大にしておっさんは吠える。
この時は先は景色開けんのかな?
などと呑気に進んでたわけです。
そして驚かされる。
稜線はくじゅう連山の展望所
どばばーーん!!!
どうだ。
九重山が丸見えじゃあーりませんか!
本峰の久住山も頭だけちょこっと見える。
振り返った猟師岳。
猟師という名の猛々しさは無く、まん丸い山だな。
アザミ。歩いててたまに痛ててってなる尖ったやつです。
いやはや、こんな素晴らしいトレイルが待っていたなんてね。
猟師岳は合頭山とセットで歩くのがお作法らしいけど、こんなトレイルならどこまでと歩きたくなっちゃうのも分かる、ええ。
ホオジロだそうです。
グーグルさんで森田検索しました。
この大きな景色のど真ん中を伸びるトレイル。
この山、最高じゃねぇか。
右奥にそびえるのは中岳と三俣山。
ここから先は似た写真ばかりです、あしからず。
だって最高すぎたんだもん、もんもん。
稜線歩きというのとはちょっと違う。
1,000m以上の高地でありながら大草原の中を突き進んでいく感覚が新鮮。
あまり他の山では例えようがない感じ。
そして顔を上げれば相変わらずのマウンテンビューにおっさん悶絶。
ここ以上に九重のベストな展望所って無いよ。
九重山の中で実はまだ登ったことのないのが三俣山。
なんとなく魅力を感じないから後回しにしてるだけなんだど、ミヤマキリシマの開花が周りの山に比べて遅いらしいから、来年あたり平治岳のタイミングを逃してしまった時に狙ってみるのも良いかなと思ってるよ。
ドウダンツツジ。
夏は鈴なりに咲く花、秋には真っ赤に紅葉するという二刀流で楽しみな千両役者。
おっさんってなんにでも二刀流を使いたがるところがさぶい。
福岡発祥の物は多いけど、大分発祥ってなにがあるんだっけ?とちょっと調べてみました。
どーせ…、とり天と柚子胡椒でしょ?
とか言うなかれ。
なんとね、なんと、
シイタケ栽培の発祥地なんだそうです!!
大好きなシイタケが大分発祥だったなんて!
なんだよシイタケ苦手な奴、意味分かんねぇよ!
と、いつも思っている私が、なぜこうも大分に惹かれるのか、少し分かった気がする。
確かに、九重にキャンプにくる前、道の駅で必ずシイタケ買うもんなぁ。
ま、でもやっぱ、とり天に勝るものはないかな。
とり天発祥の東洋軒で食べたことあるけど、あまりの美味さに膝から崩れ落ちて、泣いた。
なにあのタレ。唯一無二ですから!
やべぇ、大分やっぱ良いところやわー。
とは言え、九州と言えば歴史、文化的にも福岡、熊本、鹿児島、長崎が主役なのは間違いなくて、大分は残念ながら地味な印象なのが悲しい。
そりゃね、市街地を歩いてたら長崎や鹿児島はそりゃ楽しいわけさ。
鹿児島と言えば屋久島もね、いつか登ってみたいんだけどね、結局いつも手っ取り早い九重方面になっちゃうんだよね。
前方をハイキングするご高齢のマダム2名。
こういうハイカーが少ない山では脅かさないように抜きたいところ。
さて、どうするか。
かなり遠いところからこんにちわー!と声を掛けるか、わざと足音を大きくして近付いて気付かせるか。
そんな風にいつも悩んだりする。
結局ね、自然にこんにちわ〜と挨拶するのが一番良いんです。
気持ちの良いトレイルだけど、登りに差し掛かった瞬間、暑さでヒーヒー。
たかだかこれぐらいの傾斜だというのに。
ここの分岐を左へ折れると合頭山。
重くなりすぎた身体がそろそろ悲鳴をあげている。
シライトソウ。
山頂は目の前。
ここからでも賑わってるのがよく分かる。
牧ノ戸峠側の登山口からだと20分ほどで登れるみたいだしね。
アセビの花がわんさか咲いてる。
合頭山の山頂
さあもう少し。
ベスト体重から6キロ増で膝が古いママチャリみたいにきしむぜー、汗止まらんぜー。
ちょうど大パーティーとすれ違った。
途端に山頂が静かになったっぽい。
山頂には椅子を用意し、大自然という大シアターを独占しくつろぐご夫婦のみ。
今から臭いおっさんがお邪魔します、ごめんなさい。
はい、到着。
分かってたけど日陰がどこにもなくて暑いやん。
向こうは猟師岳。
ずいぶん遠くに見えるけど、今日歩いたルートは全体でもわずか6kmというスーパーお手軽コースなのです。
おいおい、うそだろ…。。
さて、もう下ろうかなとこれから戻る方面を見れば、目の錯覚か合頭山より高いんじゃね?という登り返しを前にかなりたじろぐ。
分岐に向けて激しく登っている。
独り言で「こんなはずじゃなかったのに」が止まらない。
激しく息を切らしながら分岐まで戻ってくると、すぐ近くに牧ノ戸峠側にある猟師岳登山口の駐車場が見える。
あんな近いめちゃくちゃお手軽登山だな。
疲れた体を労らねば!
マルキョウで買ったかしわおにぎりで復活祭じゃ。
正面に見えるのは猟師岳。
あのだいぶ手前にスキー場へと折れる分岐があることはさっき確認済みなので安心。
九重森林公園スキー場へ下山
ここですれ違ったハイカーから猟師岳への愛を聞かされました。
突然の愛の告白に揺れ動きましたが、友達からよろしくお願いします。
スキー場方面へ。
こういう周回コースなのね。
シャクナゲ谷、スキー場方面へ。
そう言えば登山口にもシャクナゲ谷って書いてあったな。
あっという間にスキー場のトップのリフトに到着。分岐から10分も歩いてないと思う。
こんな広いスキー場だったんだな。
だらだらとスキー場を突っ切って戻ってきたよ。
どこのスキー場もそうだけど、鹿の糞だらけです。
時間に余裕があったから一目山にも登ろうかなと、駐車場を移動したらちょうど雨が降り出した。
なんという不運。
いや、歩き始めてから降られるのに比べたらラッキーだったな。
相変わらず不運のスレスレ。
愛車のN-BOXに乗り込み、帰りは白ベンツに煽られまくりました(笑)
振り返って
控えめに言ってもサイコーでした。
ダラダラと長く書きましたが行程は短く、この猛暑下でも最後までバテずに歩けました。
しかも最後はガラにもなくおかわりして一目山を目指そうなんて…。
どうかしてました。
おかわり登山しちゃう人って脳筋だよなー(笑)とか思ってた自分がこんな過ちを犯しそうになるなんて。
雨が降ってくれてほんと良かったよ。
猟師岳は超人的体力を持つハイカーが九重山を下山しておかわり登山をするイメージを持ってたけど、この山だけを目的に来た方が楽しく終われます、間違いなく。
それだけの魅力があります。
たかだかコースタイム2時間50分。
それでこんな長く書けるんだから、たっくさん魅力が詰まってます。
いいですか、おかわりなんてしちゃいけません。
太るだけです。
オオヤマレンゲの時期に来てください。
ではでは