秋の涸沢カール 紅葉登山 来たれ!道楽者!暴食の限りを尽くす秋の山旅

秋の涸沢カール 紅葉登山 来たれ!道楽者!暴食の限りを尽くす秋の山旅

「山賊王に俺はなる!」

そう目標を掲げて精進してきたあちきではござりますが、潰瘍性大腸炎を患い、強烈な腹下しと共にその夢をトイレに流し、今や「座薬王に俺はなる!」と日々治療に専念する日々。

寝る前に「ひー!」と雄叫びを上げつつ座薬を投入する。そんな常にお腹の調子がいまいちな自分だけど、

とうとう、来ることが叶ったよ。

紅葉真っ盛り、10月初旬の北アルプスの涸沢カールに座薬王が降り立つ。ザ・降臨。ちょっと気取った言い方をしてみたけど、ちっとも格好良くないのはいつもの事さ。

ともかくだ。日本国内の山岳において、最も人が増える10月初旬の涸沢カールを攻略してこそ、真の座薬王になることができるのだ!

 

そして今回、真の座薬王になるべく掲げた3つの目標がこれだ!

①平らなテン場をゲットしろ!

②長蛇の列に負けず、おでんをゲットしろ!

③カメラマン達の群れに紛れ込んで、明かりが灯るテントと北穂を撮れ!

老師は言った。さすれば、今より格段に座薬の挿入がスムーズにいくだろうと。更に、たとえ挿入に失敗した場合でもその違和感は今よりずっと軽減されるだろうと。

 

さあ行け!座薬王!

涸沢カールでひたすら食って寝るのじゃ!暇つぶしに写真撮って、奥穂にも北穂にも登らず涸沢を満喫せよ!

今回はそんなていたらくな紅葉登山でごわす。

涸沢カールは標高2,310m。

いざっ

 

ルートとコースタイム

 

■2020年10月3日~4日 ※カッコ内は標準コースタイム。

①上高地~涸沢ヒュッテ 6時間30分
上高地⇒(60分)⇒明神⇒(65分)⇒徳沢ロッヂ⇒(70分)⇒横尾⇒(195分)⇒涸沢ヒュッテ

②涸沢ヒュッテ~パノラマコース~上高地 8時間
涸沢ヒュッテ⇒(110分)⇒屏風の耳⇒(170分)⇒奥又白谷⇒(75分)⇒徳沢ロッヂ⇒(130分)⇒上高地

合計コースタイム:14時間30分

総距離 28.9km
累積標高上り 1,596m
累積標高下り 1,598m

涸沢カール紅葉登山 本編

沢渡駐車場はバス待ちの長蛇の列

 

深夜に沢渡湯の郷駐車場に着いて、そのまま死んでしまうのでは?と思うほど深い眠りに一瞬で落ちて朝を待つ。

いや、朝を待っていたのでは平らなテン場を確保できない。鼻っから過酷なレースに白旗を上げるのも同然の愚行だ。

起きろ!今起きないとほんと後悔するぞ!

なんとか始発の5時発のバスに乗るべく起きてみれば、

 

ゲゲゲ!!

バスチケット売り場では既に100mを超える長蛇の列が…

嘘だろ…話に聞いてた以上じゃないか。

しかも非常識な自分は「今年はコロナで登山客減ってるから楽勝じゃね?」と超楽観してたから余計に落胆が大きかった。

あかん…予想が外れた。あわわわ。

タクシーの相乗りも長蛇の列だし、考えが甘かった!社会全般にwithコロナが蔓延し、すっかり登山客は戻って来ていたのは読めなかった。大きくつまづく。

 

チケットをゲットして安心したのも束の間、再び万里の長城ばりに延々と続くバス待ちの列に並ぶ。

最悪や…これが噂に名高い10月初旬の涸沢ってやつか。。

しかもこの時、既にバスチケット売り場には誰も並んでいないことが分かり、朝の上高地行きバスの最後方にいるのが自分だということが判明。

膝から崩れ落ちた。。

だがこれも座薬王への試練たと思えば乗り越えられる。

座薬の階段のーぼる〜♫

 

上高地から無休憩で涸沢へ

6:50

なんとかバスに乗り込み、上高地までたどり着いてトイレを済ませたらまずは定番の河童橋へ。

高曇りで青空は見えないけど、これだけ穂高連峰が見えるなら上出来だよ。

 

河童焼き。

下山後、バス待ちで時間に余裕があれば買ってみても良いかも。

(前フリ)

 

完全に出遅れた自分だが、見ておくが良い。

「これぐらいの遅れ必ず巻き返す!倍返しだ!」

と脇目も振らず明神を通り過ぎる。

涸沢まで休憩なんぞ無しで行くからそのつもりでよろしく!

 

ちっ!

乗せてくれー!

 

8:40

徳沢をすっ飛ばして横尾に到着。

さすがに疲れてきた。

だがそんなこと言ってらんない。

真の座薬王になるべく平らなテン場を確保するのだ。

20分早く起きていればこんな苦労しなくて済んだのに!と少しでも長く寝ようとした自分を今更だが呪う。

 

長野県警の方々が登山カードを配ってたからすかさずゲット。タダの物は大好物だ。

「奥穂はありませんか?」と聞くと、「奥穂だけ切らしちゃったんですぅー」と、エアペイのCMの「じゃあ、いいですぅー」ばりの「すぅー」に和ませてもらい、今回とは関係のない槍ヶ岳をゲット。

ちなみに、「計画よし!装備よし!天気よし!」のシールは目立つところに貼って下さい!って渡されたけど、どこに貼ろうか1ヶ月経った今もなお思案中。

 

横尾でこの橋を渡って涸沢方面へ。

ここを渡るのは初めて。

 

橋の上から見えた横尾のテン場が、天国過ぎてかなり惹かれる。

だがここて誘惑に負けてはいけない。休憩を取らず、今のペースで歩き続ければ始発組を追い抜くチャンスはまだある!

そう信じて進む!

ゴムゴムゴムのぉ~!

(実はワンピースは1度たりとも見たことがない)

 

魚魚魚!マジー!!

ペースを上げるどころか大渋滞に巻き込まれ、まさかの亀さんペース。

しかも道幅が狭く、下りてくる登山者もいるし、モナコモンテカルロ市街地サーキットばりに抜けるところが無い。

 

まだまだ続く渋滞。

ここは諦めてつかった足を休ませようと鈍足ペースに付き合う。

あれ。つーか既に始発組に追いついたってことか?

 

左手になんか大きな山が見えてきた。

あれはまさか2日目に軽く登っちゃおうと考えてる屏風の耳か?

いや、まさかまさか。

下山中の通り道ぐらいに考えてんだから、あんな高かったら困るわーあっはっはー

 

吊り橋を渡ったところに、川原というどんな強者をも次々と腰を落としていく魅惑の休憩スポットの登場だ。

さあ、誘惑に負けたライバルを出し抜くチャンスだ!

この機を逃しちゃならん!

ならぬものはならぬー!

と咲さん(JIN)ばりに突き進む。知らない人はJINを見るべし!

平らなテン場はもうすぐそこぞー!

 

と意気込んだ途端、本格的な登りがここから始まった。

それまでの渋滞のお陰で十分休めたのが良かった。ガシガシ行くぞ!

 

ガシガシ頑張れたのは5分程度だっただろうか。。それでも頑張ったんだよ。平らなテン場を夢見て。

 

そしてとうとう、

「あれだ、空の城だ」

トレッキングポールに全体重をかけて虚ろな顔で見上げた先に見えたこの光景。

「父さんの行った通りだ。向こうは逆に風が吹いてる!」

 

というのは嘘で、完全なる無風の涸沢。

ほてった体を冷ますこともならず、のんびりしに来たはずの涸沢で息が上がり、何してんだか。

 

ちなみにここで、何気なく撮った1枚に有名人が映ってたんだよね。ラッキー。

小さくて分かりにくいけど、ベレー帽被った女性はたまにランドネとかで見るモデルさん。名前はでてこないんだけどね…

 

10:40

涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐に着いた。

足は使い果たした感じだけど、最後の踏ん張りで涸沢ヒュッテ方面へ。

 

ゴールの涸沢ヒュッテまで目と鼻の先っという辺から、紅葉のレベルがもう一段上のギアに上がる。

疲れなんて吹っ飛んだわ。何度も足を止めて辺りを見回してばかりだ。

 

しかし後ろからはゾンビの足取りで次から次へと登ってくる登山客。

あまり立ち止まってばかりもいられない。あのゾンビ達に飲まれれば、ここまで頑張ってごぼう抜きしてきた努力が水の泡だ。

さあがんばれ。あと少しだ。

20分早く起きてさえいれば、こんな頑張らずに済んだのに!とそればかり悔やまれたが、

それももう終わるんだ…

 

憧れの涸沢へ

「ここがあの有名な涸沢ヒュッテかぁ・・」

登山をそこそこ続けてきて、やっと涸沢に潜入できる。ここまで長かったなぁと感慨深い。しかも秋の涸沢!

ついはしゃいでしまいそうになるが、とにかく今はテン場だ!

 

そして・・テントを張り終えたところの写真を撮り忘れるという、ブロガーあるまじき大失態は置いとき、

とりあえず最大の目標は達成された。ベストな場所をゲットでき、これで今晩の安眠は約束されたぜぃ!

 

 

うあっ!!

こ、これや。。涸沢ヒュッテのテラス席と涸沢カールの眺め。

雑誌や他人のブログを読んでると満足そうに

「生きてるうちに1度は秋の涸沢は行かないと」とか

「秋の涸沢を知らないなんて生きてる資格ないね」とか

「カレーは飲み物なんかじゃない」とか

これまでの自分を否定され続けたけど、遅ればせながら俺もやっと涸沢に来れたんだなぁ~

 

食い倒れ野郎の暇つぶし

そして畳み掛ける様に目的を遂行していく。

お次は長蛇の列に負けずにゲットしたおでん。

ディズニーランドのアトラクション待ちと同じ、30分ほど列に並ぶ。

なんにしても売り切れてなくてラッキーだ。次々と目的を遂行していくのは気持ちが良い。

 

さらに持参した鴨肉を取り出す。取り出した手が鴨汁でびちゃびちゃだ。

しかし味は絶品。最高の贅沢だ。

ブラックペッパーが良い仕事をしてて、あまりの美味さにおでんなんぞもうええわ、と思えてくる。

ちなみに、鴨肉を入れていたビニールが破けてて、鴨汁をザック内にぶちまいてる事を後で知って激しくテンションを落としたことを補足しておく。

ともかくだ、

着いて1時間も経たないうちに、既に道楽フル回転なのだ。人をダメにする。涸沢とは恐ろしいところだ。

奥穂や北穂に登るつもりなんて鼻っから無いし、ここまでの道のりで足は使い果たしたし、休暇を楽しみに避暑地に来た様なもんだな。

 

おっ、悩み相談所もあるから後で寄ってみるかな。

全然仕事をしない部下に、何で残業してるんだ?と問うのはパワハラに当たるのか聞いてもらおっと。怒られるかな。

 

テントの受付は12:30から。

午前中は小屋の方々も忙しいからね。

 

真の座薬王になるべく老師から出された課題の内、既に2つをクリアした。

残す1つは夕方のマジックアワーにライトが灯りだすテン場と北穂を写真におさめることだが、残念ながらまだ5時間近く時間がある。

寝過してしまわないかが最大の悩みだ。

 

とりあえず、暇だから涸沢小屋の方にも足を運んでみるか。

涸沢にやって来るまでは涸沢ヒュッテと涸沢小屋の関係って全然分からなかったけど、テン場から涸沢小屋へ行くには北穂方面に少し登らないといけないから、テント利用者が涸沢小屋の売店を利用することってほとんど無い。テントの受付けも、テント泊向けのトイレも涸沢ヒュッテ側で準備してるしね。

 

そんなわけで登山客でごった返す涸沢ヒュッテとは違って涸沢小屋は静かだったな。

テラス席で美味そうにカレーを飲んでる方々を見て、こっちの売店でカレーにすれば良かったなと思った。

それにしても徳沢も横尾も槍沢ロッヂも、カレー推しが強いから上高地で北アルプスカレーグランプリでも催してくれたら楽しそうだな。ありきたりな発想だけど、リクエストしてみよっかな。

 

13:00

このままテントに戻ってしまうと、翌朝まで17時間ぐらい寝てしまいそうだから、軽く奥穂方面に散歩することにした。

軽くね。

 

見事な赤をゲット。紅葉狩りってやつさ。

 

オレンジ色と穂高連峰の構図。「ここも見事な赤だぞ、1枚撮らねばっ!」と似た様な写真ばかり積み上げていく。

紅葉は確かに綺麗なんだけど、そろそろ青空が欲しいところだ。

 

風がないからいくらでも長居できる。

たまに足を止めてボケーッと何もせず、ただひたすら時間を持て余す。

世界で一番時間の使い方が下手くそなもんでね、これ以上することを探せない。そろそろ限界だ!

 

常念岳が見える!

…。

やべぇ。。

暇だ。

 

ザイテングラードは目の前に感じられる距離。暇過ぎるし、あそこまで歩いてみるか?といつもの悪い病気が始まりそうだったが、今日は時間を持て余しに来たんだ!と思いとどまることに必死。

 

やはりザイテングラードに登るのはパスして、テン場に戻ることにした。呆れて笑ってしまうが、賢明な判断だ。これ以上疲れたら本当に眠って夜の写真が撮れないじゃないか。

この時期の涸沢に何度も来れる訳じゃない。文句を並べたくなるぐらい暇を持て余しに来たんだ。

 

その結果、撮影した写真は約600枚。いくらなんでも撮りすぎた。

家に帰ってから写真を添削していく作業は最初こそ真剣にだけど、30分もすると鼻くそほじりながらのスーパー適当な断捨離作業へと変わる。

そんな雑な作業でも、今回は軽く5時間はかかった。

 

ドローンを飛びしながら寝転ぶ人、見っけ。

最近、山でドローンを飛ばす人多いよね。あの独特な音がうるさいから山頂を逃げる様に立ち去ったのが前回の空木岳。

今回のように人で賑わってる場所に覚悟して来るような山ならドローンの音もぜんぜん良いんだけどね、静かな登山を望んでる時にはなるべく聞きたくない音なのは自分だけだとは思えないんだけどな…。

 

あの尖った槍ヶ岳みたいな山は涸沢槍。

尖っては触る者みな傷つけた。ああ分かっちゃいるけど。

テントに戻ってAppleMusicでチェッカーズでも聞いて夜を待つかな~っと。

 

テン場に戻る道中も素晴らしい紅葉のオンパレード。

 

背の低い紅葉を見下ろすように観賞できるのが森林限界ならでは。日常では味わえない経験。

 

紅葉に負けないぐらい、テントの鮮やかな色たち。

 

コキアの様に真っ赤なのはナナカマド。

7度かまどに入れても燃え残るためナナカマドというのが通説らしい。

 

2時間ちょっとの散歩を終え、テントの受付けを済ます。テントの受付は20分ぐらい並んだかな。

何をするにも時間がかかる、それがこの時期の涸沢なんだなと、そんなことまで楽しまないとやってらんないよ。

 

そして再びやることを無くし、食う。

えびせんとホットコーヒーのおやつタイムへ突入だ。

「モグモグのーー!!!」と、一度も見たことがないワンピースルフィの決め台詞をかまし、

「えびの一番うまい食べ方って絶対えびせんだよな」と幼稚な感想を吐きつつこの絶妙な塩っけに手が止まらない。

 

テントの入り口は開放。特等席だ。北穂高岳を眺めながら食べるえびせんが何よりも美味い。

確実に下山したら太ってるパティーン。

 

えびせんを一気にたいらげ、テントから思いっきり顔を出して吊り尾根を眺めるとなんと!

おおっ!!!

青空が見えるじゃないかァ!晴れるどー!

 

おっ、こっちにも晴れ間が!

テントからブーツを履くのってほんと面倒だけど、そんなこと言ってらんない。

そうしてえびせん男は、断捨離作業の手間を増やすことになる、数撃ちゃ当たる作戦の写真撮影に興じるのであった。

 

もう少し時間が経つと太陽は巨大な穂高連峰の裏に隠れてしまうから、まだわずかに光が届く時間に晴れてくれたのがラッキーだったよ。

 

屏風の耳とアタマ。尖ってるのが耳で、明日はあそこを登って徳沢に下山する予定。

日が当たると、それまでの景色とは全く違って見える。

 

次々と眠りから覚めてテントから這い出てくる皆様。

待ちに待った晴れのタイミングで寝てるわけにはいかないからね。

 

それまでの紅葉の色とは別物。色の濃さが増す。

10月の涸沢の真髄を見たな。

 

来年、もし平日休みが取れたらまた来たい。土日はごりごりだけど。

その時も、奥穂高岳に登るかどうかはその時の気分で決めるってぐらいの、のんびり気分の登山が理想だね。

 

青空がでたタイミングが、穂高岳を撮る時に逆光だったのがちよっと残念。

 

大天井岳もスッキリ。

 

テントからでたついでに再び売店に行くと、今なお長蛇の列。

15分以上並び、あともう少しで自分の番だというところで

「あ、あたしのところ並んじゃえばいいじゃーん。いいよいいよー」

と列の後ろに並ぼうとしてた仲間4人をあえて呼び止めて、俺の前に入れてあげるという寛大な小娘に涙を流した。

一人が全員の注文と会計をまとめるなら話は分かる。だが、まさかの一人一人が別々に注文リレーを展開するとは。

これも座薬王への試練なのか。

ここは涸沢。きっとこんな試練をも楽しまないと無理なんだろうな(T_T)。

ちなみに、彼女らの注文はおでんとかカレーとか時間を要するものばかりで、有り難いことに軽く5分以上並ぶ時間が増えた。

俺は10秒で終わるコーラが買いたかっただけなのに。

しかもこの購入直後、トイレの前に自販機があり並ばずにコーラが買えることを知って膝から崩れ落ちた。

 

ちなみに涸沢のトイレ事情は、大の方は朝は長蛇の列ができるけど、それ以外の時間帯なら並んでなかった。小なら朝でも並ばずにできる。

女性は専用トイレがあるので男に混ざって並ぶ必要はないです。

とにかく、朝に急な腹下しが襲ってきたら大惨事間違いないから気を付けなきゃね。

 

売店からテントに戻ってきたら、すっかり日陰になってた。どんだけ並んだんだ…。

気温も下がって急激に寒くなってきた。なんでコーラなんて買ったんだろう。

さっきえびせん食べたばかりだけど、寒いからもう晩ごはんにするかな。

 

モグモグのぉー!

夜もまさかのおでん。

実は小屋のおでんが売り切れだったら悲しいからと持参したんだよね。

 

 

はんぺんも投入するぜよ。

 

そして最後に冷凍うどんを投入。これがすんげー美味かった!

うどんとおでんの汁以上に相性抜群の組み合わせないないやろもん。

 

いよいよ始まるマジックアワーと夜景撮影

限界を超えた。もう食えない。

燃え尽きちまったぜ…と吐き捨て、片付けをおろそかにしつつ次なる目的の完遂のため、ぱんぱんに膨らんだ腹を抱えながら涸沢ヒュッテへ。

無理に急いだら吐きそうだ。

 

この写真撮影の群れの中に割って入らねばならぬ。

なかなかハードル高いな。

 

そして苦労してゲットした一枚がこれだ!

まだ薄っすら明るい空に北穂の輪郭が浮かび、穂高連峰の影でテン場はすっかり夜の帳が下り、テントの花咲かす。

この情景こそが涸沢。

老師よ、これで全てクリアだ!

 

テン場をズームして撮ったこちらも会心の1枚。

フォトコンとか出してみちゃおうかな。手持ちで撮った写真なんてやっぱだめなのかな。

ちなみに今日の機材は富士のX-T1で撮影しました。

 

空が意外と明るくてちゃんと星空が撮れるか心配だったけど天の川もばっちり撮れた。

満足したからテントに戻ろっと。寒くなってきたし。ぶるぶる。

 

明日の天気、日中は高曇りで夜は雨。

こういう掲示板で情報を知らせてくれるなんて、ほんと優しい気遣いだね。

登山客が涸沢に押し寄せるのは、決して立地的な優位性だけではないというのが良く分かる。顧客満足度、CS向上ってやつだね。

ちなみにCSをカスタマーサービスの略だと勘違いしてる人多いけど、顧客満足だからカスタマーサティスファクションが正解。

いかん、つまらんこと言いました。

 

テントに戻ってAppleMusicで1人でノリノリな夜をしばし楽しむ。

そして完全な夜が訪れたことを確認して再び行動にでる。

 

って、やることは撮影会しかないんだけどね。

強烈な月明かりを利用して、夜の涸沢カールと星空の撮影会をおっ始めるぜ。

 

北穂。

目の前のモンベルのムーンライトテントがなかなか渋い。

 

トイレにも行きたかったので、再び涸沢ヒュッテから。

 

30秒開放で撮影すると昼間みたいな夜空。

 

20時にして気温は4.8℃。寒いわけだよ。

まだまだ下がるだろうから、ほんと2℃ぐらいまで下がりそうだよ。

 

定番の位置からの紅葉も夜だとこんなにドラマチック。

ん~満足。

 

月が明るすぎて、星空撮影は断念。でもお陰で良い写真がたくさん撮れたよ。

さあ、テントに戻ってぶっ倒れるぜ!

 

朝ラーで始まるアルトな朝

おはようございます。

7時間ほど眠り、腹が減り過ぎてこれ以上は眠れん!とガバッと目を覚ましたのが朝の4時。

朝ラーと、ソーセージ界のキング「アルトバイエルン」で優雅な朝をおっ始めるぜ。

 

さあ、アルトな朝に乾杯だ。

ふーふーふー、

はぐっ。パキッ。じゅわっ!

ボンビー舌に衝撃が走る。

なんという美味さ。最高の瞬間。

そもそもなんでも美味く感じてしまうボンビー舌の自分だからこんなに感動してしまうのか?

いや、違う。ぜんぜん味が違う!普段食べてるポークウインナーとはぜんぜん違う!

 

ふーふーふー

ズルズルっ

んー。安定した美味さ。普段食べてる味となんら変わらないな。さっきから何だこのただ食ってるだけの絵は。

最近YouTubeで、ただひたすら酒を飲んでつまみを食うだけのチャンネルが流行ってると聞いた。それです。

紅しょうがが無いのが寂しいけど、普段は高価すぎて手が出ないアルトバイエルンがあるだけで幸せ。

 

着替えを圧縮袋にぶっ込んだり、のんびり片付けを始める。

 

もうすぐ夜明け。外は曇りか。テンション下がるわー。

 

屏風の耳の上に笠雲みたいなのがかかってる。

雨が降りそうなら横尾に下った方が良いのかもしれないな。と思いながら、ゴロゴロしつつ、荷物を片付ける。

 

さって、行きますか。下山もかなり混むだろうから早めに行動することにするよ。

 

パノラマコースで屏風の耳へ

雨は降らなそうだから、予定通りパノラマコースで屏風の耳経由で帰る。

パノラマコースとついウキウキしてしまう様な名前だけど、この前日にも滑落事故があった、かなり冷や汗ものなコースみたいだから気を引き締めていくよ。

 

曇っちゃいるけど、それでも綺麗な紅葉。晴れてたらどれだけ凄かったことか。

 

さらば涸沢カール。

この景観の良さがパノラマコースの良さ。横尾経由だとこの景色は見られないもんね。

 

紅葉の奥地へ。

 

背筋がぞくぞくする。こいつはまさに冷や汗コースだ。

景色は綺麗なんだけど、崩落箇所がいくつもあって話に聞いてた通りだぞ。

転んだらアウトな箇所が連続するからあんまり写真ばっか撮っていらんない。

 

振り返って、涸沢は見納めかな。

また秋の涸沢カールに来る機会を作りたいけど、他にもまだまだ行ってみたい紅葉スポットがあるから、ちょっと先になるかな。

ちなみに筆頭は、今年行けなかった裏剣。裏剣を眺めてテント張って、翌日は内蔵助に下る、憧れのコース。

でも涸沢は必ずまた来るよ。

 

ここも写真以上に危ういところだった。慎重に歩けば大丈夫だけど、落ちたら100mは止まらないだろうってポイント。

もし雨が降ってたらおとなしく横尾に下ることをお薦めします。

 

秋が爆発してる。

屏風の耳が近づくと紅葉が凄まじい。

 

すごいすごい!と前後のパーティからも歓声が上がる。

ダイソンなみの吸引力に圧倒され屏風の耳へと引きずり込まれる。来てよかった(T_T)

 

引きずり込まれる勢いのまま取り付く。吸引力の変わらないただ一つの屏風岩。想像以上に強力だ。

それほど危なっかしいところはなかったよ。

 

うーん、素晴らしい。

 

屏風のコルから10分ほどで屏風の耳に到着した途端、あたり一面ガスに覆われるという奇跡。

 

あっちは屏風の頭。あそこまで歩いた人が3名かな。今いる屏風の耳と標高はあまり変わらないし、自分は即決でパスすることにした。

 

この景色に向かって万雷の拍手を送っている変なおっさんを見た。というならそれは私です。「よっ!成田屋!」

この紅葉が見られただけ屏風の耳までやって来る価値はあるよ。ガスがしつこくて残念ながら槍ヶ岳は見えなかったけど、十分でしょう。

 

見納めかと思っていた涸沢カール。ほんとのほんとにこれが見納め。

「よっ!中村屋!」

紅葉に向かって歌舞伎の屋号を呼び掛ける変なおっさんを見たというなら、それもあちきだよ。

 

徳沢へゲッザーン

屏風のコルにデポったザックを再び背負って徳沢に向けて下る。やはりテント泊は重い。こんだけテント泊してんたから、いい加減軽いテントを購入すべきだと毎回思う。

 

後ろに誰もいないとよなと思って振り返ったら、続々と登山客が連なってるのを見てびっくりした。

あの人たち、屏風の耳に立ち寄るか悩んでたけど、結局登らなかったのか。

「よっ中村屋!」と叫んてしまう絶景が待ってたのにね。

 

今にも熊と鉢合わせするんじゃないかっていう登山道を2時間ほど歩いて奥又白谷まで下ってきた。

つい先日、徳沢でテント泊してた女性が熊に襲われたけど、この登山道を歩いてたら徳沢に熊が出没したってなんらおかしくないってのがよく分かったよ。糞もあちこちあったし。

 

ここまで来たら徳沢までは目の前だと思ってたら、まだ20分も歩かなきゃいけないのね。

屏風の耳からここまで意外と長かったから、めちゃくちゃ腹減った。

ちなみに、下山直後に後ろにいた方々は、下山開始早々に遥か後方に離れてしまい、あまりに静かな中歩いてきたから余計に熊が怖かったわけです。

 

吊橋を渡ればいよいよ徳沢だ。

 

定番過ぎるけど定番の徳沢ソフトをいただく。

写真を撮る前に我慢できずつまみ食いした形跡が、空腹の限界を物語っているのさ。

 

徳沢からはダラダラと上高地への遊歩道が続く。

ここまでの疲労をクールダウンさせながら歩きたかったのに、追い詰める様に雨が降り出し、超ハイペースになる始末。

 

猿だって大慌てだよ。

 

ん?

 

あれ、貴方はまさか。

そんな・・嘘でしょ。こんなところで、

 

こんなところでお会いできるなんて!!

 

 

「老師ィィいいいいい!」

 

ウキ?

 

老師との感動の再会もほどほどに、明神に到着。

行きで立ち寄らなかったんだから、帰りに立ち寄るとは限らない!

行きの時を上回るハイペースで通り過ぎる。

今の俺は風だ!と気持ちは颯爽と歩いてるつもりでも、現実は涸沢での暴飲暴食が響き、体重が2キロも増加してたというドタドタぶりだったに違いない。

 

しかし体重増によってむしろ勢いは止まらない。

猛烈なハイペースのまま上高地に雪崩込んだ。ご覧の通り、すっかり雨は止んだというのにだ。

いや、辛いことばかりではない。

この地獄のハイペースが幸いして、

 

「ちょっと待ってーー!!」

ちょうど扉が閉まろうとしてた12時のバスに滑り込むことができた。

いやぁー慌てた慌てた。チケットとか準備してなかったし。

慌てたけど、頑張った甲斐あったよ。

 

沢渡の足湯駐車場に戻ってきた。

秋の涸沢、なんか、疲れ切った…。でもやっぱり来て良かったよ。ほんと。

慌て過ぎて、トレッキングポールを上高地バスターミナルに置き忘れてしまったことにすら気づかず、呑気に帰ったのでした。

 

おしまい

 

振り返って

岩稜と紅葉の織りなす景観は、一生に一度は涸沢と言う評価に恥じぬ、素晴らしいものでした。

特に夜のテントに明かりが灯る光景は感動的で、三密なんぞに構ってる場合じゃないと、カメラマン達の群れに割って入って写真撮影を楽しんだ。

夕方に日が差した時の鮮やかな色合いも、いいおっさんをイチコロにさせる美しさだったよ。

 

売店で買ったおでんを食べて、持参したおでんも食べて、うどん、鴨肉、アルトバイエルン、ラーメン、えびせん、徳沢ソフト、甘ったるいコーヒーを5杯。コーラなどなど。

なんだ、あんま食べてないな。

どこかに登らなくても十分楽しめるもんだね。紅葉というだけでワクワクしたし、カメラ片手に歩くだけで楽しい季節に、涸沢に来れて本当に良かった。

トレッキングポールは上高地とアルピコバスの両方に問合せたら、アルピコバスが預かってくれてたので、着払いで送ってもらいました。

ありがとうアルピコさん。いつもいつも助けられてばかりです。

では!


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